2018年5月14日 衆院予算委員会 首相・加計氏どちらかウソ 首相答弁と愛媛県文書に齟齬

日本共産党の宮本徹議員は14日の衆院予算委員会で、「加計学園」の獣医学部新設をめぐる安倍晋三首相の答弁と愛媛県が作成した文書との齟齬(そご)を追及しました。
愛媛県の文書には、「先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村(博文)文科大臣(当時)が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があった」と記されています。安倍首相の「加計理事長と獣医学部新設について話をしたことはない」との答弁と真っ向から反します。
宮本氏は、愛媛県の中村時広知事が「職員は文書をいじる必要性はまったくない」と述べていることなどを示し、「愛媛県の文書は極めて信憑性(しんぴょうせい)が高い」と指摘。参考人招致で柳瀬唯夫元首相秘書官は記憶がないとしましたが、宮本氏は「反証は誰もしていない。言っていないというのは首相だけだ」として「首相がウソをついているのか、加計孝太郎氏がウソをついているのか。二つに一つしかない」とただしました。
安倍首相は「加計氏がそういう話をしたとは承知していない」と否定。宮本氏は加計氏の証人喚問を要求しました。
また、梶山弘志地方創生相が、2015年4月2日に藤原豊内閣府地方創生推進室次長(当時)と加計学園側の面談の「記録はない」と答弁したのに対し、宮本氏は、獣医学部新設を目指していた京都側と藤原氏の面談日について昨年内閣府から資料提供があったことを紹介。「総理が関与すれば記憶も記録もなくなる」と批判しました。

宮本氏は、2015年4月2日の首相官邸での柳瀬唯夫首相秘書官、愛媛県職員、学園関係者らによる面会を記録した同県作成文書に言及しました。文書には「加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村(博文)文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があった」と記されています。

論戦ハイライト

宮本 総理は下村氏の意見を伝えたのか。
首相 加計理事長と獣医学部新設について話をしたことはなく、ご指摘のようなやりとりを行ったこともない。
宮本 否定するなら学園側が“作り話”をしたことになる。総理がウソをついているのか加計氏がウソをついているのか、二つに一つしかない。真相解明には加計理事長の証人喚問が必要だ。
宮本氏は、4月2日の面会では、柳瀬氏の「本件は、首相案件」との発言に加え、当時の藤原豊・内閣府地方創生推進室次長の「要請の内容は総理官邸から聞いており」との言葉も出たとされていることを指摘。梶山弘志地方創生相は「当時の担当者に確認したところ、『要請の内容は総理官邸からも聞いている』という発言はしていない」と否定する一方、「4月上旬に会った記憶はあるという」「記録はない」と答弁しました。宮本氏は、個人の「記憶」より、集団の記録である愛媛県文書の方が信憑(しんぴょう)性があると批判しました。
宮本氏は、内閣府が加計学園との面会記録を「ない」として日付も明かさない一方で、獣医学部新設で同学園と競合した京都産業大学側と藤原氏が複数回、面談した日付は明確に記録されていると指摘しました。昨年7月、宮本氏に対し内閣府担当者はメールで、「京都側と藤原審議官の面談」として16年の1月26日、6月7日、10月5日の少なくとも3回面談を行ったと説明していました。ところが梶山氏は「日時まで特定することは困難」として答えず、委員会はたびたび中断しました。
宮本 なぜ明らかにできないのか。去年の段階で出せたのに、総理とかかわる問題になったら全部隠ぺいするのか。
地方創生相 持ち帰って確認させていただきたい。
首相 後ほど確かめさせてお答えさせたい。
宮本氏は、京産大と藤原氏との面談日付も政府が答えなかったのは、4月2日の加計学園側との面会記録を「ない」とするためのつじつまあわせだと指摘し、「これでは国民の疑念は晴れない」と批判しました。

以上2018年5月15日付赤旗日刊紙より抜粋

 この日の質疑は驚くべき答弁がおこなわれました。
 私は、愛媛県の文書が公表されたことにもとづき質問しました。愛媛県文書には、4月2日に加計学園と藤原審議官が面会した際、藤原審議官が「要請の内容は総理官邸からきいており」といったことが記されています。この面談にかかわる文書は内閣府の側にも必ずあるはずです。4月2日にあった記憶も記録もないということは絶対ないという確信をもってこの日の質疑にのぞみました。
 というのも、前年に、京都産業大と藤原審議官の面談した、3回(すべて)の年月日についての資料を内閣府から公式に提出していただいていたからです。加計学園側と藤原審議官の面談の年月日の記録がないということはありえません。

 しかし、森友問題でも「交渉記録は廃棄をした」と平気で虚偽答弁をおこなってきた、政府ですから、「4月2日にあった記録はない」などと、また嘘をつくかもしれません。
 そこで、言い逃れができないように、京都産業大側と藤原審議官の面談の日時が残っていることを国会で答弁していただくために、追加でその点の質問通告をおこないました。これは、前年に調べて資料提出をしてもらっている点なので、用意する答弁ペーパーからもらさず、その資料の日時を読み上げてもらおうとおもって通告しました。

 ところが当日、蓋をあけてみると、京都産業大とあったのは「日時を具体的に特定するのは困難」という驚くべき、大臣の答弁がかえってきました。

 これはどういうことでしょうか。加計問題に不満をいだいている内閣府の職員が、あえて、私に昨年資料提出したことをふせて、おかしさを浮き立たさせるために大臣にあのような答弁させたのか、
  あるいは、私が京都産業大と会った日の資料を遺失していると考え、しらをきろうという作戦で大臣に答弁させたのか、
  はたまた、宮本に昨年資料提出したことを、担当者が引き継ぎ忘れたか(国会議員への提出資料は行政文書として保管されるルールのはずなのであまり考えられませんが)。
 
 驚きの答弁で、私の質問シナリオがゆれてしまいました。

 が、いずれにしても加計学園側と藤原審議官との面談の日時がわからないなどという答弁は、絶対に虚偽答弁です。

≪2018年5月14日 第196回予算委員会第25号 議事録≫

○河村委員長 これにて江田君の質疑は終了いたしました。次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。加計学園問題について質問いたします。総理は、この間、加計さんからこの獣医学部の新設について相談や依頼があったことは一切ないと説明してきました。ところが、愛媛県の面談記録には、加計学園側の言葉として次のような記載があります。加計学園から、先日総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからぬと言っているとの発言があったとのことと記されております。相談しているじゃないですか。総理が加計学園の獣医学部新設に向けて加計氏の相談に乗り、政府部内の意見まで伝えていたということが、この文書を見れば示されております。総理が深く当初から関与していたことを示す証拠だと私は思いますよ。総理、本当に総理は、加計孝太郎さんと会食した際に、獣医学部新設について下村大臣の意見を伝えたことはないんですか。
○安倍内閣総理大臣 これまでも答弁しているとおり、私は、加計理事長と獣医学部の新設について話をしたことはなく、御指摘のようなやりとりを行ったこともありません。なお、下村大臣も、そういった発言をしたことがないと述べておられると承知をしております。
○宮本(徹)委員 愛媛県の中村知事は、職員は文書をいじる必然性は全くないと言っています。そして、先日の与党が招いた加戸前知事、総理も信頼されている方だと思いますが、加戸前知事も、愛媛県のメモは、当日、東京事務所で、東京事務所と愛媛県から来た職員とが協議しながらメモをつくっていかれたのだと思う、雰囲気は伝えている、流れは多分そうだ、こうおっしゃっているわけですよ。この愛媛県の文書というのは極めて信憑性が高いんですね。そうすると、総理がこの記載内容を否定するなら、加計学園側がその場で作り話をしたということになるんですよ。
総理、総理の親友である加計孝太郎さんは作り話をするような方なんですか。
○安倍内閣総理大臣 加戸前知事は雰囲気ということをおっしゃっていたわけでございまして、雰囲気をどのように伝えるかということについてはいろいろな伝え方があるという趣旨の話もされておられた、こういうふうに承知をしております。いずれにせよ、先ほど申し上げましたように、獣医学部のお話をしたことはないということは何回も申し上げているとおりでございます。また、下村前文科大臣もそのような発言をされていると承知をしております。
○宮本(徹)委員 私がお伺いしたのは、この愛媛県の文書については、この部分については誰も、柳瀬さんだって記憶にないと言うだけで、反証は誰もしていないんですよ。そういったことを言っていないと言っているのは総理だけなんですよね。もし総理が、この部分がですよ、私は言っていない、そんな話はしたことがないと言うんだったら、加計学園側が作り話をこの場でしたということになるんですよ。そうすると、総理がうそをついているのか、加計孝太郎さんがうそをついているのか、二つに一つしかないんですよ。加計孝太郎さんは、総理の御親友で、どういう方かも総理はよく御存じだと思いますが、そういううそをつかれる方、作り話をされる方なんですか。
○安倍内閣総理大臣 そもそも、加計孝太郎氏が例えばどこかでそういう話をされたということを私は承知をしていないわけでございますし、ですから、これは今、私はお答えのしようがないわけでありまして、いずれにせよ、加計氏とそういう話はしていない。また、下村前大臣もそういう趣旨の話をしておられる、このように思います。
○宮本(徹)委員 じゃ、そうなると、加計さんに来ていただいてこの場で話していただくしかないじゃないですか。総理は、加計さんが総理の地位を利用して何かをなし遂げようとしたことは一切ないということを言いますけれども、もしこの場で総理は言っていないということをおっしゃるんでしたら、こういう発言をしていないんだったら、この面会の場で加計学園側は、総理が言っていないことも持ち出して、総理との関係をアピールして物事を進めようとしていった、こういう話になるじゃないですか。いずれにしても、総理のこれまでの答弁と全く違う話になるわけです。委員長、どう考えても、この問題、真相究明のためには加計孝太郎加計学園理事長を証人喚問する必要があります。
○河村委員長 理事会において協議をさせていただきます。
○宮本(徹)委員 もう一点、お伺いします。首相官邸での面談について、加戸前愛媛知事は、会合でアドバイスをもらったことが学部認可につながったと正直に語られました。そして、その場でのアドバイスだけじゃないんですよね。この三回の面談、一回目の面談の後から官邸は精力的に動いています。愛媛県の面談記録には、四月二日の内閣府の藤原次長の発言の内容として「要請の内容は総理官邸から聞いており、」と記されております。内閣府に伺いますが、一体、総理官邸の誰からどのような要請の内容を伝えられたんですか。
○梶山国務大臣 当時の担当者に確認をしましたところ、要請の内容は総理官邸からも聞いているという発言はしていないということでありました。
○宮本(徹)委員 何も、ここに記録がされているのに、そういう発言はしていないと。その類いの、趣旨の発言はされているんですか。
○梶山国務大臣 今申し上げたとおりでありまして、この発言はしていないということであります。
○宮本(徹)委員 四月二日にそういう発言はしていないにしても、それに近いような発言、どういう発言をその場でされたんですか、この問題について四月二日に藤原さんは。
○梶山国務大臣 この趣旨の発言はしていないということであります。
○宮本(徹)委員 じゃ、愛媛県に書いてある文書はうそだということを内閣府は考えているということですね。
○梶山国務大臣 その事実関係について担当者に確認したところ、今申し上げたとおりであります。
○宮本(徹)委員 またこれは愛媛の中村知事がお怒りになられますよ。記録はあるんですか、四月二日の。そういうことを記憶に基づいて話しているのか、それとも記録があるのか、おっしゃってください。愛媛県の側は記録が出ています。内閣府の側は、こういう要請がないと言うんだったら、内閣府の四月二日の記録を出してください。
○梶山国務大臣 前にも答弁しているかと思いますけれども、四月上旬に会った記憶はあるということでありまして、さまざまなやりとりの中で四月二日にということがうかがえるような状況は出てきておりますけれども、記録はございません。
○宮本(徹)委員 記録がなくて記憶だけに頼って言っているのと、はっきりと集団でつくった記録と、どっちが信用性があると思いますか、総理。
○安倍内閣総理大臣 この問題は、例えば文部科学省の文書のときにもあったのでございますが、発言については、これはどういう受け取り方をするかということもございますので、まさに今回の反省点としては、言った言わないにならないように、発言については発言者の確認をとって記録に残すべきであろう、このように考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 私が聞いたのは、どっちが信用性があるかといったら、それは当然、集団でつくった記録の方が信用されるということなんですよ。全く、今の答弁を聞いても、国民は理解されないと思いますよ。また総理を守るためにうそをついているんじゃないか、こういうふうにしか思わないですよ。先ほど、藤原さんは四月の上旬に会ったことがあるということでしたけれども、四月二日に会ったという記録はないんですか、内閣府には。
○梶山国務大臣 記録はございません。
○宮本(徹)委員 では、念のためにお伺いしますけれども、獣医学部新設には、強力なライバル校として京都産業大学がありました。内閣府に伺います。藤原さんは京都産業大学と三回面談をしています。面談した日にちは記録に残っていると思いますが、教えてください。
○梶山国務大臣 内閣府では、規制改革を通じて地域の活性化を目指そうとする自治体や事業者の相談に応じることは通常の業務の一つとして認識をしております。特区指定前や提案段階でも、相談に幅広く応じることとしております。京都府及び京産大の関係者の方にも数回お会いしていると聞いておりますが、その日時までは具体的に特定することは困難であると聞いております。
○宮本(徹)委員 そんなうそ、よくつけますね。私、昨年、内閣府に資料請求して、メールが送られてきていますよ、京都府と藤原審議官の面談。回答、面談の記録は作成していませんが、確認できた範囲では、京都側からの申出に応じて、京都府等から次のとおり相談を受けました、平成二十八年一月二十六日、平成二十八年六月七日、平成二十八年十月五日。平気でこうやってうそをつく。許されないですよ。(発言する者あり)
○河村委員長 ちょっと、答弁中です。
○梶山国務大臣 けさ、朝、通告があった質問であります。そして、全てを明らかにされたいということであります。数回会ったことはあるということで肯定しておりますけれども、全てについて今つまびらかにすることはできないということであります。
○宮本(徹)委員 なぜできないんですか。私はちゃんとメールで去年もらっているんですよ。去年の段階では出せたものが、交渉記録は残っていないということを、うそをつくっていくためには京都の側と会った日付までないことにしてしまう、総理とかかわる問題になったら全部隠してしまう、隠蔽してしまう。これは余りにもおかしいんじゃないですか、総理。
○梶山国務大臣 私がこの席に出る直前にいただいた質問であります。その質問の内容は、面談した日にちを全て明らかにされたいという質問内容であります。それにつきまして、数回お会いしたと聞いておりますけれども、その日時まで具体的に特定することは現時点で困難だということであります。
○宮本(徹)委員 去年、私、メールでもらっているんですよ。これは、内閣府の参事官補佐の方ですよ。参事官補佐の方にもらっているわけですよ。私、これを答えてもらうためにわざわざちゃんと通告をしているのに、おかしいですよ。(発言する者あり)
○河村委員長 ちょっととめてください。
〔速記中止〕
○河村委員長 速記を起こしてください。梶山大臣、御答弁ください。
○梶山国務大臣 今申しましたとおり、今の質問の時間に入る直前にいただいた質問であります。そのことにつきまして、全ての日時を明らかにせよということでありますけれども、数回会ったことは認めております。その日時まで具体的に現時点で示すことは困難であります。お尋ねのことでありますので、持ち帰って確認をさせていただきたいと存じます。
○宮本(徹)委員 私は、きょうの予算委員会の場で、京都はわかっているのに、なぜ……(発言する者あり)けさ通告していますよ。大体……(発言する者あり)
○河村委員長 御静粛に願います。
○宮本(徹)委員 大体、参事官補佐からちゃんと私に対してメールも出しているんですよ。メールで出している資料が、何で都合が悪くなったら出せないのかというのは、こんなおかしな話はないですよ。結局……(発言する者あり)
○河村委員長 議事録をとめてください。
〔速記中止〕
○河村委員長 速記を起こしてください。宮本君。
○宮本(徹)委員 いや、本当におかしな話で、私は難しいことを朝言ったんじゃなくて、昨年、私は同じ質問を内閣府に求めて、メールで資料が来ているから、そのことを紹介してもらおうと思って、きのうの夜じゅうにファクスを送っていますよ。ファクスはきのうじゅうに送っていますけれども、朝、確認もしています、早朝に。委員部の方からも、通告は伝えてあります。はっきり言って、私に出した資料があるわけですから。去年の七月に出しているわけですよ。ところが、記録があることになってはならない、四月二日に藤原審議官が加計学園側と会った、そういう記録があってはならないと。そのこととつじつまを合わせるためには、京都産業大学と藤原さんと会った日はしっかり記録があるのに、その記録まで隠してしまうと。(発言する者あり)手元にない。じゃ、いいでしょう。仮に手元にないから答えられないならそうでもいいですけれども、いずれにしても、京都産業大学とは会った日の記録は明確に三回残っています。京都産業大学と藤原さんが会った日は三回明確に残っています。私は資料をもらっています。どうして加計学園と会ったら藤原さんは日付を忘れてしまうんですか。総理が関与することになったら、そういう途端に記録もなくなる、記憶もなくなる、こんなことをやっているからいつまでたっても国民の疑念は晴れないんですよ。おかしいでしょう。京都産業大学の側は藤原さんが会った日付の記録はある、そして内閣府の側はない。総理、どう思いますか。
○河村委員長 総理、時間が来ておりますので、簡潔に願います。
○安倍内閣総理大臣 私もちょっとお答えのしようがないわけでありますが、藤原参事官はいわば京都産業大学とも会っているわけでありますから、その京都産業大学と三回会っているのであれば、別に加計学園と会っていることを隠す必要はそもそもないわけであろう、こう思うわけでございます。いずれにせよ、梶山大臣は、きょう、本来であればもっと前に質問通告をいただかなければならないところでありますが、先週質問通告をいただくはずでありますが、きょう急に朝言われて、その場ではちょっと手元にそのメール等がなかったので確かめることもできないわけでありますが、後ほど確かめさせてお答えをさせたい、このように思います。
○河村委員長 宮本君、時間が来ております。
○宮本(徹)委員 時間が参りましたので、これで終わります。