東京外環道強行するな 衆院予算委分科会(2015年3月10日)で主張

 日本共産党の宮本徹衆院議員は10日の衆院予算委員会分科会で、東京外環道(関越~東名間)について、巨額の税金をつぎ込み、環境や街をこわすもので、強行すべきでないとただしました。
外環道は高速道路会社が負担する「有料事業」と税負担を組み合わせた合併施工という方式で事業がすすめられています。宮本議員は、国は「有料事業が基本」としながら、実際は税負担が約8割にのぼることを指摘。大規模修繕や更新の費用について検討もされてないことを示し、国の財政制度審議会でさえ「維持管理・更新費用を踏まえた事業を選別する仕組み」について議論されていることを紹介。首都高中央環状線が全線開通したことや圏央道の状況をあげ、3つの環状道路が必要か検討すべきとただしました。太田昭宏国交相は「着実にすすめたい」などと答弁、国交省道路局長は当初1兆2820億円だった事業費がすでに900億円以上増大し1兆3731億円にのぼることも明らかにしました。
 宮本議員は、町会ぐるみで反対が広がる練馬区の青梅街道インター予定地付近の状況や、外環が高架方式だった時に下部に計画されていた「外環の2」とよばれる地上部街路を都が強行しようとしていること、外環本線の大深度地下使用認可に対し1000件をこす異議申立てがされていることを示し、住民合意もなく事業は中止するよう求めました。

≪189回予算委員会第8分科会 2015年3月10日議事録≫

○上田主査 これにて玉木雄一郎君の質疑は終了いたしました。次に、宮本徹君。
○宮本(徹)分科員 日本共産党の宮本徹です。東京外環道の関越―東名間について質問いたします。私は、武蔵野市、三鷹市で党の地区委員長を八年務めてまいりました。計画の中止を求める運動にもかかわってまいりました。計画は、練馬、杉並、武蔵野、三鷹、調布、狛江、世田谷の合わせて七区市にかかわりますが、どの地域でも、立ち退きやコミュニティーの分断、大気汚染や振動、騒音、地下水や湧水への影響など、住民の不安は強く、強引な事業の進め方にも厳しい批判の声が上がっております。きょうは沿線住民の方も傍聴にいらっしゃっております。まず、事業のスキームと事業費についてお聞きします。この事業は、有料道路事業を基本に、税負担による直轄事業を組み合わせた方式で整備を行うとされております。事業費の総額と、有料道路事業、直轄事業、それぞれの負担額は幾らでしょうか。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。東京外環事業、関越―東名間につきましては、当初、全体事業費は一兆二千八百二十億円、そのうち、直轄事業費は一兆三百五十七億円、有料事業費は二千四百六十三億円であったところです。現在のところ、全体で一兆三千七百三十一億円と見込んでおり、そのうち、直轄事業費は変更はありませんが、有料事業費は三千三百七十四億円を見込んでおります。以上です。
○宮本(徹)分科員 大臣、税金による負担が八割近くに上っているわけであります。これで有料道路事業が基本と言えるんでしょうか。
○太田国務大臣 東京外環につきましては、一般道路事業、高速自動車国道法と、有料道路事業、道路整備特別措置法と組み合わせた合併施行方式で整備をしています。東京外環を含め、地方部より事業費の高い大都市、この大都市部の高速道路においては、利用者負担による有料道路方式での整備を基本としつつも、足りない分については税負担もするという合併施行方式で整備をしております。これはほかにも例はあることです。また、維持管理費は、税負担ではなく、有料道路として全額利用者負担により賄っているというところです。税は入れないということです。このような方式は、昨年六月に開通をいたしました、近くでいえば、圏央道、相模原愛川と高尾山の間が六月二十八日に開通しましたが、こうしたものを初めとして、大都市部において一般的に採用しているという形でございます。今後とも、適切に採用することによりまして、必要な道路ネットワークを効率的、効果的に整備してまいりたいと考えています。
○宮本(徹)分科員 足りない分といいながら、税金の方が多いわけですよ。七割ぐらいですかね、さっき八割と言いましたけれども。こういうのは本当におかしいというふうに思います。結局、外環道の練馬―世田谷間というのは、有料道路方式を基本にしては本来つくれない、不採算の高速道路に莫大な国民の血税を投入してつくろうというものです。今財政が大変だといって介護報酬まで大幅に引き下げる中で、こういう赤字の道路に一兆円もの血税を投入していくことは、私は許されないというふうに指摘しておきたいと思います。もう一つお聞きします。大規模修繕や更新の費用は幾らと見込んでいるんでしょうか。その財源はどうなっているでしょうか。
○深澤政府参考人 高速道路の大規模更新、大規模修繕につきましては、NEXCO三社が、平成二十六年一月に大規模更新・大規模修繕計画を公表したところであります。その後、精査を行った計画について、平成二十七年一月には国土幹線道路部会においてその内容について審議を行っていただきました。この計画では、開通済みの路線の立地の環境や、あるいは建設時の状況、開通後の使用環境から、通常の修繕のみでは、致命的な損傷に発展し、通行どめ等が発生するおそれがある箇所を、大規模更新、大規模修繕を実施する箇所として選定しております。一方、現在整備中の東京外環については、この計画において大規模更新、大規模修繕を行う箇所の該当はなく、その費用は見込んでおりません。以上です。
○宮本(徹)分科員 検討もされていないということでございます。大臣もよく御存じのように、今日本じゅうでインフラが維持できない、更新できないと大問題になっております。 昨年の財政審に財務省が提出した資料があります。ここに持ってまいりましたが、新規投資は、社会資本の整備水準の向上や将来の人口減少の現実を見据えれば、これまでのような大きなニーズはなく、これまで以上に厳選していく必要と指摘されております。また、社会資本整備総合交付金等の問題点として、将来の維持管理・更新費用を踏まえた事業を選別する仕組みがあるのか、こういう提起もされております。新たに事業に着手する際には、将来の更新費用や大規模修繕、その財源を見据えて行うべきだ、財政審でさえこのような指摘がされる時代になっております。大臣も、この財政審の指摘はそのとおりだと思いませんか。
○深澤政府参考人 平成二十四年の笹子トンネルの事故を教訓といたしまして、道路法を改正し、道路管理者の責務を明確にするなど、インフラの老朽化対策を進めてきており、引き続き、安全、安心な社会の構築に取り組むことが重要であると考えています。御指摘の東京外環につきましては、現時点で最新の交通量や便益の算定手法等に基づく事業の効果について、維持管理費を含めて確認した上で、審議会において御議論いただき、また、都道府県知事の意見もいただきながら事業化したものでございます。今後とも、最新の知見をもとに、コスト縮減も図りながら整備を進めてまいりたいと思います。以上です。
○宮本(徹)分科員 維持管理費の日常的なものは見積もっているけれども、更新費用まで含めて検討すべきだということを財政審は指摘しているわけですよ。先の見通しもないまま新たな事業を進めていくというのは、未来世代に対して極めて無責任だということを指摘しておきたいと思います。さらにお聞きします。先日、東名ジャンクションの立て坑工事現場を視察してまいりました。この施行区分はNEXCO中日本になっております。NEXCOは、この立て坑工事は、当初工事費は七十億円の予定だったとしておりましたが、増大すると言っておりました。NEXCOの施行区分での工事費が増大し、全体として予定されている、先ほどでは三千三百七十四億ですか、それを超えた場合は誰が負担するんでしょうか。NEXCOが負担するんでしょうか。
○深澤政府参考人 平成二十三年十二月の高速道路のあり方検討有識者委員会の中間取りまとめにおきましては、東京外環などの大都市部の高速道路は、利用者負担による有料道路方式の整備を基本とすべきとされているところであります。東京外環につきましては、大深度地下を活用した初めての道路工事であることに加え、大都市部の用地買収が必要であるなど不確定要素も多いことから、事業を進める中で事業費が増大することも想定されます。仮に、東京外環の事業費が増加した場合においても、あり方検討有識者委員会の中間取りまとめの考えに従い、コスト縮減など高速道路会社の経営努力を活用しながら、できる限り有料道路事業費により対応してまいります。以上です。
○宮本(徹)分科員 できる限り有料道路事業方式ということをおっしゃいますけれども、それを超えた場合は税金による追加の負担は生じないということで理解していいんでしょうか。
○深澤政府参考人 繰り返しになりますけれども、できる限り有料道路事業費により対応してまいりたいと考えています。
○宮本(徹)分科員 結局、できる限りといって、それ以上になったら税金を投入するという話じゃありませんか。工事費がふえればふえるほど国民の税金投入がふえていくというのは、これはけしからぬ話ですよ。そして、今、当初予定を変更して、地中の一部を大きく拡幅する都市計画変更手続が進められております。東名ジャンクション付近の断面は、止水領域を含めると、高さ五十四メートル、幅九十八メートルという巨大な構造物となります。この計画変更をやれば事業費は当然ふえると思いますが、幾らふえると見込んでいるんでしょうか。
○深澤政府参考人 委員御指摘のことにつきましてお答え申し上げます。大深度地下での本線のシールド、それからランプ部、これを接合する工事、いわゆる地中拡幅と言っておりますけれども、国内でもこれまでほとんど実績のない難工事であります。より確実で安全な方法で施工すべく、有識者の意見を聞きながら検討を進めてきたところでございます。これらの検討結果を踏まえ、接合部の断面につきましては、それまで形状を馬蹄形ということで考えておりましたが、より確実な安全性、健全性を確保するため、これを円形という形にしまして、都市計画変更を行ったところであります。これによって、断面がふえますので、事業費の増大も可能性はあります。今後とも、地中拡幅につきましては、工事の安全性の確保、早期整備、コスト縮減などのさまざまな角度から、施工方法の検討、検証を重ね、現場条件などを踏まえ、適切な方法を選定した上で事業に着手してまいりたいと思っております。具体的な工法を現在検討、検証中でございますので、現時点で事業費を確定させることは困難でございます。以上です。
○宮本(徹)分科員 結局、現在検討中で、どれだけふえるかというのもまだ明らかにもなっていない。そういうままで、工事だけは実際は立て坑工事がどんどん進んでいるというのは極めて無責任だと思います。大体、今、施工方法の検証、検討を行っているといいますが、事業着手している段階でいまだに検証を行っているというのは、結局、当初の計画が拙速で、検討も極めてずさんだったということじゃありませんか。しかも、地下水対策については今も検討のさなかということになっております。安全対策も地下水対策も検討が終わらないまま工事を進めるというのは許されないというふうに思います。外環道は、先ほどもお話ありましたように、一兆円という桁外れの税金を投入する巨大事業です。人口も交通量もこれから減少していきます。その中で本当に必要な道路なのかということをよく検証することが必要だと思います。もともと、外環道の整備効果は、二〇一三年の七月の国の評価でも、環八がわずか四分、環七がわずか二分だけ短縮される程度の効果しかありません。しかも、この数字は二〇〇五年の交通センサスをもとにした推計です。その後も沿線の交通量は減っております。しかも、先週、中央環状線も開通しました。圏央道も二〇一五年度中に大部分が完成いたします。大臣、ここは立ちどまって、三つも環状高速道路が必要なのか、改めて検証すべきではありませんか。
○太田国務大臣 首都圏の道路ネットワークの骨格をなす首都圏三環状道路というのは、今御指摘もありましたが、都心に集中する通過交通を分散させて、都心部の渋滞を解消するための切り札になる重要な道路であります。先般の中央環状ができた開通式におきましても、東京都知事が、世界では、大都市では、パリにおいても、上海においても、ニューヨークにおいても、現在ですら渋滞で大変な状況の国際都市がある中で、今回のことで相当渋滞が緩和される、三環状ができるということの中で、初めて世界で渋滞のない国際都市ができる、その世界一を目指したいんだということを舛添知事が言っていましたけれども、渋滞を解消するということは私は大変大事なことだと思います。首都圏三環状道路が一体で機能を発揮するということになりますと、渋滞解消とともに、物流や企業活動が効率化いたしまして、東京、首都圏の国際競争力は飛躍的に強化されます。昨年六月二十八日に圏央道が相模原のところから通りましたけれども、一気に関越道と結ばれて、富岡製糸場を初めとして観光客が非常に急増するというようなこともあり、喜びの輪が現実には広がっており、圏央道の周りには、既に埼玉県等では工場が非常に多くなるという現象が現実に起きています。私は、地域の皆様の御理解と御協力を得ながら、この三環状については早期開通に向けて着実に整備を進めたい、このように考えています。
○宮本(徹)分科員 先ほどの大臣のお話でも、舛添知事も中央高速道の開通式で、これで渋滞は大分緩和するんだと言っているわけですから、改めてその時点に立って検証することこそ必要だと思います。そういう検証もせずに、一兆円も税金を投入して道路建設に邁進していくというのは全く無責任だと思います。もう一つ、この事業は、住民の意向を無視して強引に進めようとしている点でも極めて問題です。練馬区の青梅街道インターチェンジの予定地では、町会長を先頭に、町会ぐるみで猛烈な反対運動が起きております。きょうは資料で、私の撮影してきた写真もお配りをしております。外環は、もともとインターチェンジなしを基本に検討が進められてきたものであります。国と東京都が設置した東京環状道路有識者委員会の二〇〇二年の最終提言には次のようにあります。「今後の議論においては、移転家屋数を出来る限り少なくして、地元住民への影響を軽減化することが、もっとも重要視すべき観点である。」「したがって、今後、外環計画の議論を進めるにあたっては、インターチェンジ無し地下化案を検討の基本において、議論を進めるべきである。」これが出発点だったわけです。大臣、国として、青梅街道にハーフインターをつくる必然性というのはもともとないんじゃないですか。
○西村(明)副大臣 委員御質問の青梅街道インターチェンジにつきましては、ほかのインターチェンジと同様に、平成十九年の四月に都市計画決定がされておりまして、平成二十五年九月に道路区域の決定をするなど、事業を進めているところでございます。御質問のように、青梅街道インターチェンジをつくる必然性、これにつきましては、このインターチェンジの設置によりまして、周辺地域から外環へのアクセスがよくなるということ、そしてまた、現在の関越道練馬インターチェンジや外環大泉インターチェンジに集中します交通を分散して、生活道路に入り込む交通が排除されることなどの効果が見込まれているところでございます。事業への御理解とそして御協力を賜りながら、青梅街道インターチェンジを含めた東京外環につきましても、計画的に整備を進めてまいりたいと考えております。
○宮本(徹)分科員 今のお話は後づけの理由なんですよね。このインターは杉並区との区境に計画されておりますが、杉並区では住民アンケートも行われて、住環境破壊に反対する住民の意見を踏まえて、杉並側はインターはつくりませんでした。その結果、練馬側だけのハーフインターになりました。この経過からいっても、ここに絶対インターがなければならないというものではないはずなんですよ。先日、私も現地で町会長さんや住民の方からお話を伺ってきました。こう言っていました。環境破壊を理由に杉並側でやめたものを練馬側だけつくるというのは、自分たちは人間扱いされていないと大変憤っていらっしゃいます。町会が当時取り組んだアンケートでは、九〇・六八%がインターは不必要と答えております。そして、この地域では、沿線各地域で開かれた国と都による地域課題検討会も開かれておりません。区の提案で始まった国と都と区と住民による話し合いも、一方的に打ち切られたままになっております。国は今事業を進めようとしておりますが、今、この写真をお配りしていますように、測量も住民の拒否でまともにできない状況です。そして、昨年十一月、インターの事業認可の取り消しを求める裁判も始まりました。つくる必然性がなかったものをつくろうとすることで、ここまでこじれているわけであります。二〇〇七年に地下方式に都市計画が変更される際に、当時の冬柴国交大臣は国会でこう言っております。「経緯を重く受けとめて、これまでと同様に地元の方々との話し合いを続け、一歩ずつ計画の具体化を図ってまいりたい、」と答弁しております。大臣、こうした経緯を踏まえるなら、インターの事業は強行すべきでないと思います。大臣自身、ぜひ、現地に行って、状況を見て、住民の意見に耳を傾けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○深澤政府参考人 委員御指摘の青梅街道インターチェンジにつきましては、地元練馬区からの設置の要望もいただき、平成十九年に都市計画決定がなされたものです。国土交通省としては、東京都とも連携し、青梅街道インターチェンジを含めた東京外環について、これまで五百回以上の説明会を開催するなど、地元住民に丁寧な説明を実施するよう努めてきたところであります。これからも引き続き、地元の御理解、御協力をいただけるよう、丁寧な説明に努めてまいりたいと思います。
○宮本(徹)分科員 今、私の話の何を聞いていたのかと思いますけれども、丁寧な説明も何もやられていないという状況になっていて、裁判になっているわけじゃないですか。大臣、ぜひ現地の状況を、行くなり住民の意見に耳を傾けるなりしていただけないでしょうか、この問題で。裁判にまでなっているわけですよ。
○太田国務大臣 適切に判断をさせていただきたいと思います。
○宮本(徹)分科員 もう一つ、「外環ノ2」と呼ばれる地上部街路についてお聞きします。
 外環本線が大深度地下を利用することになった理由は何でしょうか。
○深澤政府参考人 東京外環は、首都圏の渋滞緩和、環境改善や円滑な交通ネットワークの形成や災害時の広域交通ネットワークの強化を図る上で重要な路線として、早期整備効果の発現が求められております。特に、高度な土地利用が図られている東京都内の既成市街地部を通過することから、用地取得や区分地上権設定範囲を極力小さくし、早期整備を図る手法として、大深度地下の使用を図っております。以上です。
○宮本(徹)分科員 もともと住民に迷惑をできるだけかけないということで始まったわけであります。二〇〇六年六月に関東地方整備局と東京都が出した文書ではこう言っております。「外環は環境への影響や移転や地域分断への影響を考慮し、大深度地下構造としたことから、地上部の利用が可能となりました。 大深度のシールド工法を活用した区間では、移転の必要がなくなることから、これまで通りの生活が可能です。」と言っております。外環本線が地下方式になって、建物の移転の必要はなくなった、これまでどおりの生活が可能、国もこうした認識を当時持っていたということですね。
○小関政府参考人 二〇〇六年六月に国土交通省関東地方整備局及び東京都都市整備局が、「東京外かく環状道路(関越道~東名高速間)」に関する「これまでに頂いたご意見・ご提案と計画の具体化の検討等における考え方」という資料を公表しております。この資料は、外環本線についての計画を具体化するに当たって取りまとめたものであり、地上部街路「外環ノ2」については今後の検討事項として整理しておりました。このため、この資料において、外環本線を地下化する区間の一般的な事項として委員御指摘の記載もある一方、今後の検討事項である地上部街路「外環ノ2」については、「外環を地下化しても、外環ノ2の計画は残るため、今後、取り扱いについて検討する必要があります。」と記載されております。このため、外環本線を地下化するからといって、必ずしも地上部街路「外環ノ2」を廃止するとは当時から考えておりませんでした。
○宮本(徹)分科員 全然違うんですよ。当時の石原都知事は、二〇〇六年に、現地を視察した後の記者会見で、そういう御迷惑をかけないように、とにかくあの下をくぐる、そういう工法でやりますので、その点は御安心いただきたいと思っておりますということで、地上部の人たちには迷惑をかけないためにこうやったんだということを言っているわけですよ。ところが、東京都は、地下化された外環本線の真上の地上部にも「外環ノ2」という道路をつくろうとしております。東京都は、二〇一二年に、練馬区の大泉ジャンクションに近い約一キロの区間を国の認可を受けて事業化し、都は、さらにそこから南の約三キロメートルの区間について都市計画変更して事業を強行しようとしております。太田大臣、そもそもこの「外環ノ2」は、外環本線が高架だったことを前提に、その下部に計画されていたものです。本線を地下方式にする際、地上はこれまでどおりの生活が可能ですと言ってきたんですから、本線の地下化に伴い当然廃止されるべき道路であります。地上部道路をつくるなら、これまでどおりの生活が可能ですという言明に反します。「外環ノ2」は廃止すべきですし、事業も認可すべきでないと考えますが、いかがでしょうか。
○小関政府参考人 平成十九年に外環本線が高架方式から地下方式に変更された際、地上部街路「外環ノ2」の計画については、今後、取り扱いを検討することとされております。このため、東京都は、沿線の自治体等から出された要望を踏まえ、平成二十年三月に地上部街路「外環ノ2」の必要性やあり方等についての「検討の進め方」というものを公表し、これに基づき、広く意見を聞きながら検討を進めているところでございます。こうしたことから、現時点における「外環ノ2」の必要性については、都において判断すべきものと考えております。このうち、地上部街路「外環ノ2」の練馬区区間につきまして、都は、平成二十二年に地域住民との話し合いの会を設置し、その後、平成二十五年に三案の具体的な整備イメージを公表するなど、広く意見を聞きながら検討を進め、昨年十一月に都市計画を変更いたしました。今後、東京都から都市計画法に基づく事業認可の申請が行われた場合には、その申請内容に応じて、都市計画法に基づき、適切に対応してまいります。
○宮本(徹)分科員 いや、都においてやっていると言いますけれども、国にはやはり政治的責任があるわけですよ。何のために外環を地下にしたんですか。四十年以上凍結されていた外環を、地上部には迷惑をかけないから認めてくれといって地下にしたわけですよ。そういう経過があるのに、これは東京都で検討してもらって、それで認可の申請が来たら結論を出すんだ、こういう傍観者の立場は許されないというふうに思います。交通ネットワークということを東京都は言いますけれども、今、「外環ノ2」について、杉並区と武蔵野市での住民との話し合いでは、これは廃止も含めて話し合いが行われております。三鷹市ではこの話し合いの会すら設置されていないのは御存じのとおりだと思います。練馬だけ認可したって、東京都が言っているような交通ネットワークなんてできないんですよ。しかも、杉並区や武蔵野市でのこの話し合いの会の正規の構成員に国もなっているわけであります。国は、廃止も含めて話し合っている最中に、交通ネットワークもできる見込みもないまま、一部だけ強行するのはおかしい、そういうふうに大臣は思いませんか。
○小関政府参考人 地上部街路「外環ノ2」の練馬区区間につきましては、東京都から、当該区間のみであっても、東京の骨格幹線道路を南北に結ぶ広域道路ネットワークを形成するとともに、災害時の安全な避難路の確保や、生活道路に流入している通過交通の抑制など、地域が抱える課題解決に必要な道路だというふうに聞いております。地上部街路「外環ノ2」の他の区間につきましては、東京都において、引き続き広く意見を聞きながら検討を進めているところであり、国土交通省としても、このような動きを見守ってまいります。
○宮本(徹)分科員 住民の話を聞いてと言いますが、住民は要らないと言っている道路なわけであります。大体、当時の石原元都知事も、こんな道路がいまだに都市計画道路として残っているのかということを二〇一一年の段階でもおっしゃっているわけであります。本当に何のために外環本線を地下にしたのかと改めて言いたいというふうに思います。最後です。外環本線の大深度地下の使用認可について、昨年、住民から一千件を超す異議申し立てが起こされております。ところが、これに対して大臣は、昨年八月に、「異議申立ての補正について」というとんでもない文書を出しておられます。一部読み上げます。「不服申立てができる者は、」「違法又は不当な処分により自己の権利若しくは利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者であるので、平成二十六年九月二十二日までに事業区域に係る土地又は物件に関する権利を有することを証する資料を提出願います。 なお、上記期限までに提出がなされない場合は、」「異議申立てを却下することがある」というふうに書かれております。異議申し立てができるのは、土地、物件の権利を持っている者に限るとしか読めない文書であります。行政事件訴訟法九条では、二〇〇四年の改正で二項が追加され、原告適格は拡大されております。道路拡幅工事などでも、環境悪化の影響を受ける付近住民も対象になる可能性があるとされてきております。これに伴い、異議申し立ての申立人の適格も拡大が図られております。この法の趣旨からいっても、今回のこの大臣の補正命令は、異議申し立て者を所有権、地上権を持つ者に限るものであり、明らかに不当であって、撤回すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○小関政府参考人 御指摘の補正命令は、各異議申立人が違法または不当な処分により自己の権利もしくは利益を侵害され、または必然的に侵害されるおそれのある者であるかどうかの確認の一環として、事業区域に係る土地または物件に関する権利を有することを確認したものにすぎず、撤回の必要性はないと考えております。
○宮本(徹)分科員 時間が来ていますから終わりますけれども、日本語はそうは読めないですよ。「外環ノ2」も外環本線も廃止を求めて、質問を終わります。
○上田主査 これにて宮本徹君の質疑は終了いたしました。