2018年11月2日 衆院予算委員会 陸上イージスなど米国製武器爆買い 将来のつけ1.5兆円

2018年11月2日 衆院予算委員会提出資料 FMS 概算要求項目一覧

岩屋毅防衛相は2日の衆院予算委員会で、米国の武器輸出制度である「対外有償軍事援助」(FMS)に基づく米国製武器の購入全額のうち、将来にツケを回す「後年度負担」の残高が2019年度概算要求で1兆5,076億円に達する見込みを明らかにしました。
日本共産党の宮本徹衆院議員への答弁。民主党政権時の2012年度予算での1,521億円と比べ約10倍に膨れ上がると批判しました。
2019年度概算要求のFMS対象事業は174項目にのぼり、陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」本体2基(要求額1,991億円)やF35Aステルス戦闘機6機(881億円)、迎撃ミサイルSM3ブロックIB(552億円)などが並びます。
2019年度の後年度負担総額は5兆3,372億円で、概算要求額約5.3兆円とほぼ同額の借金を抱えていることになります。
安倍政権以前に比べ2兆円以上増えましたが、安倍政権による米国製武器の“爆買い″によって、将来の借金ツケ回しを拡大させていることが浮き彫りになりました。
宮本議員は質疑で、岩屋大臣自身がFMSを「よその国が作ったものを言い値で買う」「価格がどうなるかも分からないという調達の仕方」(2012年6月15日、衆院安全保障委員会)と批判していたことを紹介し、「米国の兵器産業の利益と雇用のために、国民の血税を湯水のごとく投入していくことなど許されない」と批判しました。

以上2018年11月4日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2018年11月2日 第197回予算委員会第3号 議事録≫

○野田委員長 これにて大串さんの質疑は終了いたしました。次に、宮本徹さん。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。まず、閉会中の日米首脳会談について伺います。首脳会談の共同声明では兵器購入の話はなかったわけですが、トランプ大統領は記者会見で、私が、日本は我々の思いを受け入れなければならない、巨額の貿易赤字は嫌だと言うと、日本はすごい量の防衛装備品を買うことになった、こういう発言をしました。総理、一体、何をどれだけ買う約束をしたんですか。
○安倍内閣総理大臣 国民の命と平和な暮らしを守り抜くためには、我が国の防衛力について、質及び量を必要かつ十分に確保することが不可欠であると考えています。本年九月に行った日米首脳会談においては、私から、米国製の防衛装備品を含め、高性能な装備品を導入することが我が国の防衛力強化のために重要であると考えている旨をトランプ大統領に説明をしたところであります。なお、このような考え方は、トランプ大統領に対して、これまでの首脳会談においてもこうした説明は重ねてきたところでございます。日米首脳会談のやりとりの一つ一つについてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、防衛装備品の導入については、これは委員御承知のとおり五カ年計画でありまして、中期防衛力整備計画に基づいて、米国製の防衛装備品を含め計画的に取得しており、今後とも、我が国の主体的な判断のもとに、防衛力の強化を行っていく考えであります。
○宮本(徹)委員 何で一つ一つのやりとりを答えるのを差し控える。これは差し控えることじゃないと思いますよ。総理のポケットマネーで買うわけじゃないんですよ。国民の税金で買うんですよ。隠さなければならないような、国民に説明できないような約束をトランプ大統領にしたんですか。私は、国会に対して説明する義務があると思いますよ。
○安倍内閣総理大臣 ほかの首脳会談、例えば日中の首脳会談でも同じことなんですが、首脳会談で行ったことについて、どういう話題について話をした、どういう発言をしたということについては、お互いに了解し合ったことを外に出していくということに基本的にはなっていくわけでございますので、その点において、今これ以上答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにいたしましても、今までもそうなんですが、中期防衛力整備計画に基づいて、米国製の防衛装備品を含めて計画的に取得をするわけでございますので、例えば、私がそのときにいきなりあることを考えて、これを買いますよ、あれを買いますよと言うことは、これはあり得ないわけでございまして、あくまでも、中期防衛力整備計画に基づいて、我々は防衛装備品を計画的に取得をしていくということであります。
○宮本(徹)委員 日米で了解したことを出すという話ですけれども、トランプ大統領は、共同声明になかったことも記者会見でしゃべっているわけですよ。ということは、日米の了解になっていないということは、トランプさんじゃなくて安倍さんの側が隠したいということで、合意になっていなくて出していないという話じゃないですか。トランプ大統領は隠して困るような話じゃないですよ。それから、中期防衛力整備計画に基づいてということをおっしゃいましたけれども、イージス・アショア、中期防衛力整備計画の中にはなかったですよ。更に言えば、これから五年間、中期防衛力整備計画を決めるのは十二月じゃないですか。何にも決まっていないですよ。中期防衛力整備計画に基づいて買うという話だったら、何か買うという約束なんてできっこないはずなのに、トランプ大統領によると、日本はすごい量の防衛装備品を買うことになった。極めて重大ですよ。それから、総理は我が国の主体的判断ということをおっしゃいましたけれども、飯島内閣官房参与がテレビ番組でこう言っていますよ。イージス・アショア導入について、トランプ米大統領に押しつけられて購入する状態だ、こう話していますよ。主体的判断だなんて、多くの皆さんは思っていないですよ。みんな、トランプさんに言われて言いなりになっている、そう思っていますよ。そして、トランプ大統領がすごい量と言うとおり、来年度の概算要求ではFMSは大変巨額になっております、六千九百十七億円。兵器等購入額のうちFMSの割合は、安倍政権以前の五%から、今度の概算要求では一九・五%。きょう、一覧表をお配りしております。百七十四項目あります。イージス・アショアの人材育成費もある、早期警戒機E2Dも、一気に九機整備しようというのを視野に入れた買物になっているわけですね。しかも、これはほとんどが後年度負担に回している、未来にツケ回しをしているわけですね。結局、トランプ大統領との約束ありきで、とにかくまず契約だけたくさん結んじゃおうというのが今度の概算要求にもあらわれているんじゃないですか。きのう、FMSが議論になりました。それで、後年度負担も議論になりました。昨日、岩屋大臣からは、後年度負担が五兆三千三百七十二億円になるという数字の紹介もありました。安倍政権で二兆円以上、兵器のローンがふえたという計算になるわけですね。もう一つ、数字をお伺いしますけれども、FMSの後年度負担は、二〇一二年度の予算と、そして二〇一九年度の概算要求、それぞれ幾らになっていますか。
○岩屋国務大臣 数字だけ申し上げますが、平成二十四年度のFMSに係る総額は千五百二十一億円、平成三十一年度概算要求時におけるFMSに係る総額は一兆五千七十六億円でございます。
○宮本(徹)委員 つまり、約十倍ですよ。安倍政権になって、FMSの将来のツケ回しが十倍にまで膨れ上がっているということになるわけですよね。この間、アメリカ製の兵器の爆買いが、防衛省予算の増大、そして兵器ローンがふえる主たる要因になっているというのは、はっきりしているというふうに思います。それで、このFMSをふやすことは、自民党の中からだって問題だという声が出てきていたわけですよね。岩屋大臣も野党時代、FMSについては強烈に批判されておりました。国会の議事録。これはFMS契約ということですから、価格というのはどんどん高騰していく、よその国でつくったものを言い値で買う、いつできるかわからない、価格がどうなるかもわからないという調達の仕方は考え直すべきだ。当時の岩屋大臣の言ったとおり、今度のイージス・アショアだって、初めは八百億円、次は一千億円、概算要求では一千二百三十七億円と、相手の言い値でどんどんどんどん値上がりしているという状況になっております。岩屋大臣、大臣になって、みずからの思いを生かせる立場になりました。FMSによるアメリカ製兵器の爆買いは、これはやめるべきじゃないですか。やめるよう安倍総理に言ってくださいよ。
○岩屋国務大臣 そのときの発言も、FMSそのものを全部否定したわけではなくて、やはり日本の防衛のために、米国でしかつくれない高性能の装備を導入する必要というのはあるんだろうと思います。ただ、今も、例えば、未納が多いとか、未精算が多いとか、納期がおくれてしまうとか、最初の見積りが高過ぎるとか、そういうFMSに係るいろいろな諸課題があることは事実です。これについては、米側とも常に協議をして改善を図るように努力をしてきておりますし、先般、シンガポールでマティス国防長官とお会いしたときも、ぜひ、このFMS調達については、さらなる改善について協議をさせていただきたいということを申し上げました。一層の改善を図ってまいりたいというふうに思っております。
○宮本(徹)委員 議事録を見ていると、FMSじゃない方法でやろうというニュアンスで、当時、岩屋さんは発言をされておりますよ。安倍政権の一員になると、みんなアメリカの言いなり一色じゃないですか。安全保障のことをおっしゃいますけれども、なぜアメリカが同盟国に今武器を売りたがっているのか。これはもう、トランプ政権ははっきりしていますよね、アメリカの軍需産業の利益を守るため、雇用を守るため。安全保障のどうのこうのじゃないんですよ、アメリカ・ファーストなんですよ。アメリカの兵器産業の雇用のために国民の血税を湯水のごとく注ぎ込んでいくことは、私は許されないと思いますよ。総理、トランプ政権のアメリカ・ファーストにつき合ってアメリカ製兵器の爆買いを続けたら、未来にわたって暮らしのための予算を圧迫することは明白じゃないですか。
○野田委員長 宮本さん、質問時間が終了しております。総理、簡潔にお願いします。
○安倍内閣総理大臣 はい、わかりました。安倍政権になって米国からのFMS調達経費は確かに増加をしておりますが、全体の四分の一は実はF35戦闘機に関する経費であります。これはオバマ政権のときに当時の民主党が四十二機の導入を閣議決定したものでありまして、安倍政権はこれを引き継いで誠実に実行しているわけでございます。FMSの中にはそういうものも入っておりますし、さらには、イージス・アショアについてはもう時間がありませんから述べませんが、我々は我が国の防衛のためには必要な経費だと考えております。
○宮本(徹)委員 イージス・アショア導入の根拠とされた重大かつ差し迫った危機なんて、今やどこにもないですよ。
○野田委員長 質問時間は終了しております。御協力ください。
○宮本(徹)委員 こんな中で、消費税増税の一方で、アメリカ製兵器の爆買いは決して国民の理解は得られないということを強く、厳しく指摘して、質問を終わります。
○野田委員長 これにて宮本さんの質疑は終了いたしました。