住宅街直下に直径16メートルの巨大トンネル2本を掘る外環道工事(練馬ー世田谷間)。世田谷区の東名ジャンクション(JCT)付近の試験的なトンネル掘削で昨年5月以降、隣接する1級河川・野川に大量の気泡が噴出し、地下水が地表に噴出するなどのトラブルが相次いでいます。
気泡は酸素濃度が低く、一呼吸で瞬時に昏倒(こんとう)し死亡しかねないもの。国も「想定外」「気泡が出ることは把握していなかった」(国土交通省)と認めています。

 世田谷区成城の橋本敬子さん(70)は「私の家の下でも何が起きるかわからない。本当に不安です」と訴えます。掘削機(シールドマシン)が本格掘進を始めて約1・5キロ掘り進むと橋本さん宅の地下に到達します。
「地下40メートルより深い部分を掘っても地表に影響が出る。それなのに国は強引に工事を進めている。私たちが疑問や不安を訴えても知らん顔。きちんと説明しようという姿勢すらありません」 
 国と高速道路会社は昨年12月14、15の両日に、世田谷区内で説明会を開き、今年1月中旬の本格掘進開始を一方的に通告。住民側から「安全と言えるのか」と批判や疑問が噴出しましたが、途中で質疑を打ち切りました。
 26日には、練馬区大泉JCTでシールドマシン発進式をする予定です。
大泉JCTに隣接する小学校で11日に行われた本線トンネル工事についての説明会。住民から、「工事を始める前に避難計画を住民に提示してほしいとお願いしていたのに、説明がない。事故が起きてからでは遅い」「大泉の工事でも致死レベルの気泡が出る可能性があるのではないか」など不安や怒りの声が相次ぎました。
説明会に参加した練馬区石神井(しゃくじい)台の藤田淑子さん(74)は「福岡の博多駅前では地下鉄の工事に伴う大規模な陥没事故が起きた。住宅の地下を掘るのは危ない」と憤ります。
杉並区内の工事説明会(12日)では、事業者側の「地上への影響はない」との発言に批判が相次ぎました。
配布資料には、掘削方法の改良後も「少量の漏気」があったと記載。住民から「改良しても住民に影響があるではないか」と批判の声があがりました。
調布市議会は昨年9月、気泡問題の住民向け説明会を求める意見書を全会一致で可決。同市の担当者は、「安全はもちろん、安心できるような情報提供が必要だ」と語ります。
武蔵野市の担当者も、「国・事業者と沿線7区市の連絡会議で、気泡等について市民に丁寧に説明してほしいと繰り返し求めている。安全・安心確保のため、慎重に慎重を重ねてほしい」といいます。

 外環道建設の認可取り消しを求める「東京外環道訴訟」でも、気泡問題が大争点になっています。
 外環道建設は、地下40メートルより深い場所であれば地権者に無断で掘ってよいとする法律(大深度法)の認可にもとづいています。同法の前提は「地表に影響を与えない」こと。気泡などの噴出でこの大前提が崩れ、大深度法の正当性そのものが問われています。
15日に開かれた同裁判の第4回口頭弁論では、原告の山田耕平・日本共産党杉並区議や、野村羊子・三鷹市議(無所属)らが陳述。
山田区議は「子どもたちが遊ぶ水辺で酸欠ガスが発生すれば取り返しのつかない事態が起きかねない。地上への重大な事象が発生している事そのものが大深度法の大前提を崩すものです」とのべました。
 口頭弁論後の裁判報告集会では、参加した沿線住民らが工事強行に抗議し中止を求める要請書を採択しました。
 日本共産党の宮本徹衆院議員、吉良よし子、山添拓両参院議員、党地方議員らは外環道建設の中止を国に繰り返し要請しています。

以上2019年1月20日付しんぶん赤旗日曜版より抜粋