2019年2月14日 衆院本会議 消費不況直視せよ 所得税法改定案 宮本徹議員が主張

消費税10%への増税を前提とする所得税法改定案についての趣旨説明と質疑が14日、衆院本会議で行われ、日本共産党の宮本徹議員が質疑に立ち、消費税増税の中止を求めました。
宮本氏は、消費税導入後の30年で年金・医療・介護の負担は増え、給付は減っているとして、「『消費税は社会保障のため』との説明はまやかしだ」と指摘。家計消費について安倍晋三首相が、8%への増税前の水準に回復していないことを認めた(12日、衆院予算委員会での共産党・志位和夫委員長への答弁)ことを挙げ、「深刻な消費不況を直視し、経済に破壊的影響を及ぼす消費税増税は中止すべきだ」と迫りました。
安倍首相は「引き上げによる増収分は社会保障の財源として活用されてきた」「所得環境の改善が進んでおり、消費は持ち直しが続くと期待される」と強弁。「10%への引き上げ方針に変更はない」の一点張りでした。
宮本氏は、政府が10%増税・複数税率の導入と同時に狙うインボイス(適格請求書)制度について、年間売り上げ1000万円以下の免税事業者は制度上、インボイスを発行できないと指摘。インボイスがないと仕入れ税額控除(売り上げにかかる消費税から仕入れにかかった消費税を差し引いた額を納税額とすること)ができず、取引先に敬遠され、「約500万の免税事業者は取引から排除される。多くが課税事業者になるか、免税事業者のままで売り上げが減るか、控除できない分を値引きして取引を続けてもらうかの地獄の選択を強いられる」と批判し、導入を断念すべきだと主張しました。
ポイント還元についても、富裕層ほど恩恵を受け、キャッシュレス決済導入への中小業者の負担が大きい「天下の愚策だ」と述べ、中止を求めました。

以上2019年2月15日付赤旗日刊紙より抜粋

 

≪2019年2月14日 第198回衆院本会議第5号 議事録≫

○副議長(赤松広隆君) 宮本徹君。
〔宮本徹君登壇〕
○宮本徹君 日本共産党の宮本徹です。日本共産党を代表して、所得税法等改正案について質問いたします。(拍手)本法案の最大の問題は、十月からの消費税増税を強行しようという点にあります。消費税導入から三十年。社会保障の財源の確保のためと称し、税率の引上げを繰り返しました。しかし、国の税収は、税率三%だった一九九〇年度は六十・一兆円、税率八%の二〇一八年度が五十九・九兆円と、同水準にとどまっています。総理、この原因がどこにあると考えていますか。法人税や富裕層への減税を重ねたことが大きな要因なのではありませんか。この三十年、年金は削減、医療費は窓口負担がふえ、介護保険も見直しのたびに給付減、負担増、社会保障は改悪の連続でした。消費税は社会保障のためという説明は、全くのまやかしだったのではありませんか。この三十年間の消費税収は三百七十二兆円、同じ期間に、法人三税は二百九十兆円減りました。そしてまた、同じ期間に、企業の内部留保の中心である利益剰余金は三百兆円以上ふえています。庶民から大企業への富の移転が消費税三十年の真実なのではありませんか。消費税は、税率引上げのたびに景気に深刻な影響を与えてきました。町を歩くと、多くの商店から、前回の増税で落ち込んだ売上げが戻らないという悲鳴を聞きます。総理には届いているのでしょうか。我が党の志位委員長の質問に対し、総理は消費が増税前を回復していないことを認めるなど、消費税増税の根拠は総崩れです。深刻な消費不況を直視し、経済に破壊的な影響を及ぼす消費税増税は中止すべきではありませんか。総理は、いただいた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講ずると言います。全て還元するほど増税による景気の落ち込みが心配ならば、初めから、消費税増税ではない税収の選択肢こそ考えるべきであります。総理、法人税を課税強化してこそ、内部留保が実体経済に還流し、大きな経済効果が期待できるのではありませんか。増税対策として打ち出されたポイント還元は、キャッシュレス決済の手段を持たない人には何一つ還元がありません。一方、キャッシュレス決済を多用できる富裕層が百万円のブランドバッグを買えば、五万円のポイント還元です。余りに不公平ではありませんか。低所得者ほど負担が重い消費税を増税し、その対策で富裕層が恩恵を受けるのは、所得再分配に反するのではありませんか。しかも、ポイント還元は、不正が防止できる保証はありません。にもかかわらず、政府は、ポイント還元の予算が足りなくなれば補正予算で積み増す可能性を否定しておりません。ポイント還元のために赤字国債を発行するなど、愚の骨頂ではありませんか。今回のポイント還元は、零細業者に新たな苦しみをもたらします。新たにキャッシュレス決済を導入しても、手数料やWiFi接続料などの設備費用に見合う利益を得られる保証はなく、経済的負担がのしかかるだけではありませんか。一方、キャッシュレス決済導入を避け、現金商売を続ける零細業者は、売上げが落ち込み、営業が厳しくなるのではありませんか。余りにひどい、天下の愚策、ポイント還元はやめるべきであります。消費税の複数税率導入も問題です。コンビニ店主に戸惑いが広がっています。国税庁は、イートインコーナーで食べる場合は申し出てくださいと店に掲示すれば、レジで申出がない場合は一律八%でよいと説明します。仮に、毎日、購入時に申し出ずにイートインコーナーで食べる方がいても、追加で二%の消費税を求める必要はないとのことです。一方、総理は、テークアウトと言いながらお店で食べている子供がいたら注意するのは大人の義務だと過去に答弁しております。一体、注意するのか、ほっておくのか、どちらが政府の公式見解なのですか。また、消費者アンケートによると、外食を減らし、自宅での食事や出前、テークアウトをふやすとの回答が顕著です。外食産業が打撃を受けることは明らかではありませんか。そば屋さんからは、出前がふえても夫婦二人では対応できないと悲鳴が上がっています。これほど理不尽な制度はありません。そして、日本商工会議所などの中小企業団体がこぞって反対しているのが、複数税率導入に伴うインボイス制度の導入であります。インボイスが発行できない免税事業者は、取引から排除されてしまいます。五百万免税事業者の多くが新たに課税事業者にならざるを得なくなり、零細事業者に煩雑な事務負担と新たに重い税負担がかかります。消費税に免税制度を設けている趣旨に反するのではありませんか。かといって、免税事業者にとどまれば、仕事と売上げが減るか、消費税の仕入れ税額控除ができない分の値引きを取引先から求められるでしょう。廃業に追い込まれる業者が続出するではありませんか。免税事業者に地獄の選択を強いるインボイス制度の導入は断念すべきであります。消費税は、低所得者ほど負担が重い逆進性、そして、消費税が転嫁できなくても身銭を切って納めなければならないという根本的な欠陥があります。消費税増税はきっぱりと中止し、応能負担の税制改革にこそ踏み出すことを強く求め、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 宮本徹議員にお答えをいたします。消費税についてお尋ねがありました。この三十年間の税収の変化についての御議論ですが、所得税や法人税による税収の減少の背景としては、所得税に関しては、累進構造の緩和や三位一体改革の中で地方に税源移譲を行ったこと、法人税に関しては、企業活力と国際競争力を維持強化するための改革を行ったことといった制度改正要因に加え、バブル期以降の資産価格の下落等、経済情勢の要因もあることを指摘したいと思います。この間、急速な高齢化等を背景として、年金、医療、介護等の社会保障給付費は大きく増加してきました。消費税は、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定しており、勤労世代など特定の者への負担が集中しないことから、社会保障に係る費用を賄うための財源としてふさわしく、引上げによる増収分は、実際に社会保障の財源として活用されてきました。その上で、本年十月の消費税率一〇%への引上げについては、全世代型社会保障制度の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するために必要なものです。増収分を活用し、幼児教育の無償化や年間最大六万円の年金生活者支援給付金等の社会保障の充実を行いながら、社会保障の安定化も同時に図ることとしており、消費税が社会保障のためという説明がまやかしであるとの御指摘は全く当たりません。消費税率引上げの影響や法人税についてお尋ねがありました。消費税については、一国全体の消費を捉えるGDPベースで見ると、二〇一六年後半以降、増加傾向で推移しており、持ち直しています。消費を取り巻く環境を見ますと、二〇一二年から二〇一八年までの六年間で、生産年齢人口が五百万人減少する中にあっても、就業者数は三百八十万人増加し、景気回復により仕事が増加したことにより、正社員の有効求人倍率は調査開始以来最高の水準となり、賃上げも、連合の調査によれば、五年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが実現、中小企業の賃上げは過去二十年で最高となるなど、雇用・所得環境の改善が進んでおり、消費は引き続き持ち直しが続くことが期待されます。いずれにせよ、消費税率の一〇%への引上げについては、全世代型社会保障の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するためにどうしても必要なものです。消費税率の引上げに際しては、反動減等に対する十二分な対策を講じた上で、リーマン・ショック級の出来事がない限り、法律で定められたとおり、十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定であると繰り返し申し上げており、この方針に変更はありません。なお、企業に対する税制については、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から、成長志向の法人税改革に取り組んできましたが、その中でも、租税特別措置の縮減、廃止等による課税ベース拡大により、財源をしっかり確保しております。今後の税制のあり方については、これまでの改正の効果を見きわめるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ、検討する必要があるものと考えております。ポイント還元についてお尋ねがありました。今回のポイント還元では、与信審査がなくても誰でも簡単に加入できるプリペイドカードなど多様な選択肢を用意することで、クレジットカードを持たない方々も含め、幅広い消費者がそのメリットを受けられるようにいたします。また、今回の支援対象である中小・小規模事業者は、雇用の七割を支える、日本経済の屋台骨です。ポイント還元によって中小・小規模事業者の売上げが大きく伸びることとなれば、従業員の方々の所得拡大など裾野の広い波及効果も期待されると考えており、富裕層だけが恩恵を受けるかのような御指摘は当たりません。今回の実施に当たっては、当然、政府として、決済事業者とよく連携しながら、不正防止に万全を期してまいります。その上で、今後の執行状況をよく注視してまいりますが、予算額については、本事業を担当する経済産業省において、需要喚起策であることも踏まえた上で、事業を実施するに当たって十分と考えられる額を措置していると承知しています。さらに、今回は、店頭にQRコードを一枚置くだけで導入でき、中小・小規模事業者の皆さんの維持コストがほとんどかからないQR決済を始め、幅広いキャッシュレス決済手法を対象といたします。また、決済端末の導入が必要となる場合も、しっかりと支援を行い、その負担をゼロにするとともに、手数料についても、三・二五%以下とした上で、さらに、その一部を補助するなどにより、中小・小規模事業者の皆さんの経済的負担を軽減する考えです。キャッシュレス決済は、レジ締めに必要な手間の削減による生産性向上に加え、海外で急速にキャッシュレス決済が普及する中、日本を訪れる外国人観光客の七割が、キャッシュレスがあればもっとお金を多く使ったと回答している中で、インバウンド消費による売上げ拡大の大きなチャンスです。小規模事業者の皆さんも含め、この機会に、キャッシュレス決済を普及させることで、外国人四千万人時代の到来を見据え、日本経済の新しい成長につなげてまいります。軽減税率制度についてお尋ねがありました。消費税法においては、適用税率の判定に当たり、事業者が販売時点で顧客に意思確認を行うなどの方法で判定することとしており、販売後の消費者の行動を事業者において確認するなどの措置をとることまでは、制度上、求めておりません。他方、御指摘の私の答弁は、一般の大人としての教育やモラルに関する問題への対応という観点から答弁したものです。また、軽減税率制度の実施に伴い、消費者が外食を減らし、自宅での食事や出前をふやすことで事業者の負担が増すとの御指摘ですが、事業者の皆さんには、コストや消費者の行動も踏まえ、合理的な販売価格を任意に設定していただけるような環境整備を行うことが重要であると考えております。そのような基本的な考え方や事例について、価格表示ガイドラインにおいてお示ししています。いずれにしても、政府としては、軽減税率制度の円滑な実施に向けて、消費者の理解と事業者の対応の双方が確保されるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えています。インボイス制度についてお尋ねがありました。インボイス制度は、複数税率制度のもとで、適正な課税を行うために必要なものであり、また、インボイスにおいて税額が明確になることから、中小企業にとっても価格転嫁を行いやすくなるといったメリットも期待されているところです。他方、インボイス制度を導入すれば、事務負担がふえるのではないか、あるいは、免税事業者からの仕入れは仕入れ税額控除ができないこととなるため、取引から排除されるのではないかなどの懸念の声があることは承知しています。そのため、政府としては、こうした御懸念に対応するため、課税事業者への転換の要否を見きわめながら対応を決めていただけるよう、インボイス制度の導入までに四年間の準備期間を設けるとともに、そこから更に六年間、免税事業者からの仕入れについて一定の仕入れ税額控除を認めることとしています。こうした経過措置を設けたことにより、個々の事業者への影響を極力緩和することができるものと考えております。(拍手)