課税取引の適正化を名目に政府が狙う2023年10月からのインボイス(適格請求書)の導入によって、約161万の小規模事業者が新たに年15・4万円の消費税負担を負うことが、財務省の影響試算で明らかになりました。同省がこのほど、日本共産党の宮本徹衆院議員に明らかにしました。15万円もの負担増は廃業の危機となります。
複数税率により生じる税収減約1兆890億円のうち、約2480億円をインボイス導入による増収でまかなうとしています。財務省の試算によると、農林水産業などを除く売り上げ1000万円以下の免税業者約372万社のうち、約161万社がインボイス導入を機に課税業者になります。2480億円を161万社で割った1社あたりの負担額は15・4万円。試算の上で想定したのは、売上高550万円、粗利益150万円という小規模事業者です。
財務省は161万という数を、「消費者からインボイスを求められることはない」として小売業者を対象外とし、企業間取引の割合(約4割)を基に算出しました。しかし宮本氏に対し、小売業者も課税業者になることを迫られる可能性を認めました。
日本商工会議所の調査では、小規模事業者の5割近くが消費税増税分を価格に「一部転嫁できない」「全く転嫁できない」見込みと回答。宮本氏は3月1日の衆院財務金融委員会で「今も多くの事業者が転嫁できていない」「事業者は生活費を削って納めることになる。深刻な事態を引き起こす自覚があるか」と迫りました。
安倍首相は「円滑に転嫁できるよう、環境を整備する」などと答弁。増税分を転嫁できない場合、業者が自己負担することになるという現実を認めることから逃げ続けました。

 以上2019年3月13日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2019年3月1日 第198回衆院財務金融委員会第5号 議事録≫

○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。総理、本委員会で質疑してきて定かな答弁がなかった点について、まず伺います。消費税の増税、複数税率化に伴い、インボイス制度が導入されます。財務省の見積りでは、免税事業者のうち百六十一万者が課税業者となり、二千四百八十億円税収がふえる、一事業者平均で見れば課税売上げは五百五十万、利益は約百五十万、消費税増税額は十五・四万円。利益百五十万で消費税の納税義務十五万四千円というのは大変大きいです。問題は、消費税は価格に転嫁できるかなんですね。日本商工会議所の調査では、消費税が全部価格に転嫁できる、そういう見込みだと答えたのは、小規模な事業者ほど少ない、一千万円以下の事業者では約五割。事業者が消費税を価格に転嫁できなかった場合、年間の利益が百五十万円しかない中、十五万四千円の消費税をどうやって納めるのかというのを私は繰り返し聞きましたが、財務省からは、転嫁してもらうように頑張るという話しかないわけですよ。でも、現に転嫁できていない実態はたくさんあるわけですよね。ですから、きょうは、財務省は答えられなかったので、総理に答えていただきたいと思います。事業者が消費税を価格に転嫁できなかった場合、事業者はどこからお金を出してこの消費税を納めるんですか。
○安倍内閣総理大臣 消費税は、価格への転嫁を通じて最終的には消費者に御負担をいただくことが予定されている税でありまして、事業者の方々が消費税を円滑に転嫁できるよう環境整備を行うことが重要と考えています。政府としても、消費税率引上げに際して、転嫁対策特別措置法に基づき、買いたたき等に対して公正取引委員会による指導、勧告を適切に実施をし、さらに、転嫁Gメンによる監視体制の強化を行うことにより、中小・小規模事業者の方々が不利益をこうむることのないよう関係法令に基づいてしっかりと対応してまいります。
○宮本(徹)委員 ですから、同じ答えで、転嫁できなかった場合どうするのかということですよ。きょうは、本委員会には元財務大臣でもあった野田さんもいらっしゃいますけれども、野田さんは財務大臣のとき、こう答弁されておりますよ。きちっと転嫁をしていないということですので、それは自己負担になるということです。これは私は正しい答えだと思いますよ。結局、消費税が価格に転嫁できなければ、事業者が身銭を切って支払うしかない、これが真実なんじゃないですか。総理、違いますか。
○麻生国務大臣 たびたび申し上げておりますけれども、このお話をずっとしておられますけれども、これは常に、滞納という話は消費税に限ったことではなくて、所得税でも滞納は起きます。いろいろな税でそういったものは常に起きるものというのはある程度覚悟せねばいかぬのだとは思いますけれども、今、少なくとも、中小企業庁のを見ましても、全く転嫁できていないという回答は二・四%、消費者向け取引で四・二%という数字になっておりますので、事業者が消費税を適切に転嫁できていないという状況ではないというように、私どもは基本的に宮本先生とは意見が、そこのところが大きく違っていると思っておりますが。
○宮本(徹)委員 その同じ調査で、全て転嫁できていると答えているのは、この間も議論しましたけれども、BツーBで八七・三%、BツーCで七五・四%ですよ。一部転嫁できていない、あるいはいろいろな理由で転嫁していない、そういうところも含めれば、たくさんの事業者が転嫁できていないというのは政府の調査でも厳然たる事実ですよ。消費税が価格に転嫁できなかったら、どうやって事業者は税金を納めなきゃいけないのか。納税義務は事業者にあるんですよ、消費税というのは。所得税や法人税は、所得があったらかかりますけれども、消費税というのは、事業者が消費税を預かっていなくても事業者にかかるんですよ。利益百五十万円の事業者にとって、消費税が転嫁できないということになったらどうなりますか。十五万円、生活費を削って納めるということになるわけですよ。そういう深刻な事態を引き起こすということを総理は自覚しているんですか。
○麻生国務大臣 滞納の話をされておられるんだと……(宮本(徹)委員「滞納の話じゃないです、価格に転嫁ができない場合」と呼ぶ)座ってしゃべらないでください。立ってしゃべっていただかないと。ルールというふうになっておりますので、立って。
○宮本(徹)委員 滞納の話をしているんじゃないですよ。消費税が価格に転嫁できなかった場合のお話をさせていただいております。
○麻生国務大臣 だから、払えなかった場合は滞納になるわけですよね。
○宮本(徹)委員 払えなくなったら消費税は滞納になりますけれども、消費税を価格に上乗せしなかったら、それでも売上げがあれば、それに応じた消費税の納税義務は発生するわけですよ。そうすれば、どこからかその消費税を持ってくるしかない。どこから持ってくるのかといったら、利益を削ったり生活費を削ったり、こうやって納めるようになっているのが消費税の仕組みじゃないのかということを言っているわけですよ。
○麻生国務大臣 税金は、基本的にはそういうものだと思っております、私どもは。その上で答弁をさせていただかぬといかぬのだと思うんですけれども。少なくとも、そういった形で滞納するとかいう形にならざるを得ない、百五十万円で十五万四千円の納税ができなくなるという話を前提にしておられますので、そういった一括納税というものが困難というような相談があったとかいうことになった場合には、それは、個々の事情を十分に把握した上で、具体的な納税計画を約束して分割納付等々を認めるのは、これは法令に基づき適切に対応させていただくということになっておりますのは、ほかの税金と同じことだと思いますが。
○宮本(徹)委員 ほかの税金とは消費税は全く違うんですよ。法人税も所得税も、自分に所得があって、それで自分が納める納税義務があります。消費税というのは、預かった消費税を事業者が納税する義務があるんですよ。預かっていなくても納税する義務が発生するんですよ。ここは大変な問題なんですよ。日本商工会議所の調査でも、インボイス制度を導入したら免税事業者の一割近くが廃業を検討すると答えているんですよ。そういうことをやっていいのかということが問われていると思いますよ。地域の住民の暮らしとそして経済を支えている業者の皆さん、インボイス制度を導入すれば一割近くの方が廃業を検討する、こういう道に、総理、進んでいいんですか。総理にぜひ答えていただきたいと思います。
○麻生国務大臣 転嫁対策のお話だと思うんですけれども、基本的には、民間事業者団体の認識等々を言っておられましたけれども、これは、消費税率の引上げに対して価格への転嫁を行うということの重要性というのは申すまでもない話なのであって、資金繰りの確認とか納税資金の確保等々について、これは事業者に対して注意の喚起を促していく、こういうことをしておかないとだめですよというようなことになるのだと思っております。いずれにしても、事業者の方々が消費税を価格に転嫁できるようにするためには、消費税転嫁対策特別措置法というのがあるのは御存じのとおりだと思いますので、これ等に基づいてしっかりと対応してまいらねばならぬところだと思っております。
○宮本(徹)委員 私は、ですから、消費税、三十年たっても転嫁できていない業者がたくさんいる、にもかかわらず消費税の納税義務が発生している、これを免税事業者まで広げたら大変なことになるという話を何度も繰り返しさせていただいているのに、どういう大変なことが起きるのかという自覚が余りにもなさ過ぎますよ。こんなことで、複数税率化、一〇%増税、インボイス導入なんてとても認められないと申し上げておきたいと思います。もう一点、お伺いします。消費税導入三十年ということで、消費税以外の国民の負担がどうなったのかということで、きょう、資料をお配りさせていただいております。この資料の一枚目の右側のグラフを見ていただきたいと思いますが、これは政府税調に提出された資料を簡素化したものであります。所得税、住民税と社会保険料の合計の負担率、赤い線が消費税導入前、紺色の方の線が二〇一五年分です。角度がなだらかになるだけではなくて、低所得者は負担が大きくふえ、高所得者ほど負担が下がったというのがこの三十年間の傾向なわけですよね。これは、税と社会保険料の集め方として、総理、間違っているんじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 まず、税制について申し上げれば、所得税は累進税率の仕組みをとっておりまして、もとより所得再分配機能を有するものでありますが、昭和六十年代以降、税率構造の大幅な累進緩和が行われた結果として再分配機能が低下したことは否めないとの指摘もあると承知をしています。このため、所得税の再分配機能の回復を図る観点から、最高税率の引上げ、金融所得課税の税率引上げ、給与所得控除の見直し、基礎控除の見直し等の施策を既に講じてきたところであります。そして、社会保険料については、高齢化等に伴い社会保障給付の費用が増加する中で、国民皆保険の維持にどうしても必要な費用を賄うため、保険料率の引上げを行ってきたところであります。他方、比較的低所得の方々が多い国民年金や国民健康保険等の保険料については、所得に応じた免除や軽減の仕組みを設け、必要な支援を行ってきました。また、例えば、基礎年金、国民健康保険等に係る給付費用の半額は税金で、これは御承知のとおりでありますが、賄われておりまして、さらに、所得が低く税金を負担していない、あるいは少額の負担にとどまる場合でも各種の給付を受けることができるなど、受益と負担をあわせて考えることが重要であろうと思っています。いずれにいたしましても、個人所得課税や社会保険料のあり方については、経済社会の情勢の変化等も踏まえながら、今後とも不断に検討を行ってまいりたいと考えています。
○宮本(徹)委員 所得再分配機能の回復の観点から最高税率を引き上げたとおっしゃいましたけれども、所得再分配機能を本気で回復するんだったら、逆進性の強い消費税増税というのは全く反対のことをやっているじゃないですか。総理、消費税をどんどんどんどん引き上げて、高額所得者の税率を引き下げたというのは、この三十年間なんですよ。これを本当に正すというんだったら、消費税増税はやめるべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。