2019年3月8日 衆院安全保障委員会 軍事費の硬直化招く防衛調達特措法延長案 「いずも」から空爆防衛相は排除せず

 防衛装備に最大10年の長期契約を認める防衛調達特措法を5年延長する改定案が8日の衆院安全保障委員会で、自民、公明両党などの賛成多数で可決されました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、社民党は反対しました。

 防衛調達特措法は、財政法で5年以内とされている国庫債務負担行為を、自衛隊の航空機や艦船などの防衛調達については10年まで可能とするもの。今回の改定で2015年制定の現行法の期限をさらに5年延長します。

 日本共産党の宮本徹議員は採決に先立つ討論で、財政法制定時に国会議員の任期をふまえ国庫債務負担行為の年限を3年とした経緯にふれ、10年先まで将来の軍事費を先取りすることは、「国会の予算審議権を侵害し、憲法の定める財政民主主義に真っ向から反する」と厳しく批判しました。

 宮本氏は、長期契約を含む防衛装備の大量調達による財政の硬直化に言及。政府が昨年末に史上最大の軍拡計画を閣議決定し、F35戦闘機などの米国製兵器の大量購入を計画していることを挙げ、「財政のさらなる硬直化を招き、国民生活の関連予算を圧迫することは明らかだ」と批判しました。

2019年3月10日付赤旗日刊紙より抜粋

 日本共産党の宮本徹議員は8日、衆院安全保障委員会で、護衛艦「いずも」の空母化は憲法違反だと批判しました。

 「いずも」で米軍F35Bの発着訓練を考えているという岩屋毅防衛相に対し、宮本氏は、領有権をめぐり係争中の南シナ海での日米共同訓練や、北朝鮮情勢が緊迫していた当時のような米空母機動部隊との大規模共同訓練への参加は可能かと質問。岩屋防衛相は「日本として主体的に判断していく」と答え、否定しませんでした。宮本氏は憲法が禁じる「武力による威嚇」になると厳しく批判しました。

 さらに宮本氏は、安保法制に基づく重要影響事態や国際平和共同対処事態で、「いずも」から米軍F35Bが空爆に飛び立つこともありうると指摘。岩屋氏は「排除されない」と認めました。

 宮本氏は、1972年に防衛省の久保卓也防衛局長(当時)が、攻撃機を搭載し海外の領域を攻撃する任務を与えられるものは「攻撃型空母に変質する」と答弁していたと指摘し、「いずも」から出撃した米軍F35Bが海外の領域を攻撃すれば、政府自身が憲法上持てないとしてきた攻撃型空母に変質すると追及しました。

 岩屋氏は、「後方支援であり、武力攻撃とは一体化しない」などと答弁。宮本氏は、国際的に通用しない議論であり、日米安保法制下での「いずも」の空母化は、攻撃型空母への変質そのものだと批判しました。

2019年3月10日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2019年3月8日 第198回衆院安全保障委員会第3号 議事録≫

○岸委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。憲法は、予算は単年度主義を決めております。時々、国会議員が予算を決めていく。そういう中で十年にもわたって国庫債務負担行為を認めるというのは、本当に私、本会議でも指摘しましたが、財政民主主義に反すると思います。とりわけ安全保障ということを考えた場合に、世界情勢は十年もあればがらがらがらがら変わるじゃないですか。私が中学生のとき、冷戦で、レーガンの大軍拡がありましたよ。P3C、日本も百機体制だ、ソ連の潜水艦を追っかけるんだというので、打ち出して爆買いを始めましたよ。ところが、高校生になったらベルリンの壁崩壊ですよ。P3Cは改修して、潜水艦対策じゃなくて、水面にある不審船対策をやろうなんて話になっていったわけですよ。ですから、大臣、やはり十年というのは、どう考えても安全保障環境は変わっていくんじゃないですか。
○岩屋国務大臣 確かに、安全保障環境というものは刻々と変わっていくものですけれども、防衛装備の調達には、どうしても単年度の予算では済まない、やはり複数年度を要して初めて装備が整うということがございます。そこで、大綱という大きな方針をつくって、そして五年の中期防衛力整備計画をつくって、およそ見通せる範囲の安全保障環境はこうであろう、したがって、それに対応できる装備を整えなくてはいけない、それも一年ではそろわない、複数年かかるということで今の仕組みができ上がってきているんだと思います。何でもかんでもこの長期契約法でお願いしたいということではなくて、やはりその要件をしっかり満たしたものを、財務省さんとも相談をさせていただいて、ある意味厳選して選んでいくということになるんだというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 刻々と変わるということはお認めになりました。大綱で決めてと話しますけれども、大綱だって、中身の是非は別として、皆さんだって十年たたずに変えているじゃないですか。だけれども、十年も契約を結んじゃったら、先まで兵器の方だけは支払いを縛られるということになるわけですから、これはどう考えても道理に合わないということを指摘しておきたいと思います。そして、来年度予算には初めてFMSの長期契約が盛り込まれております。長期契約の要件はコストの縮減と安定的な調達だと。FMSはしかし、価格は見積り、納期は予定。仕組み上、この要件を満たさないというふうに私たちは考えております。これはちょっとお伺いしたいんですけれども、概算要求ではFMSで、最新鋭のスタンダードミサイル、SM6の取得費百三十二億円が計上されておりましたが、予算段階では削除されております。この理由は何ですか。
○鈴木政府参考人 平成三十一年度概算要求におきましては、「まや」型イージス艦用のSM6取得経費として約百三十二億円を計上しておりました。しかし、概算要求後に米国において構成部品の一部が枯渇したため、平成三十一年度にはこれらの取得ができないということが明らかになりましたので、平成三十一年度要求を見送ったものでございます。今後、引き続き、なるべく早期に調達が可能となるよう米国側と協議を行ってまいりたいと思っております。
○宮本(徹)委員 つまり、安定的な調達の実施どころか、部品が枯渇してつくれなくなっちゃった。本来、一五年から量産態勢に入っていると言われているものですらこういうものなんです。もう一つお伺いします。概算要求に比べて予算でふえているものがあります。SM3ブロック2A、これは幾ら増額となり、増額となった理由は何ですか。
○鈴木政府参考人 SM3ブロック2Aの取得につきましては、三十一年度概算要求におきまして約二百六十六億円を計上しておりましたが、三十一年度予算案におきましては約三百三億円、対概算要求額として比較しますと約三十六億円の増、これを計上しております。増額の理由といたしましては、SM3ブロック2Aは日米共同開発の装備品であり、調達価格については、我が国の取得数量だけではなく、米国の取得数量にも影響を受けます。八月末の概算要求後に、米国より、先方の最新の調達計画等を反映した価格情報に基づき増額を行いましたが、これは、米側の調達数量の減少に影響を受けたものと考えてございます。
○宮本(徹)委員 つまり、アメリカが途中で調達計画を変えたら価格が上がるということですよ。概算要求から予算案の間のわずか数カ月で価格が上昇したり、あるいは、部品の供給がこれはだめだということでつくれなくなる。これが実際なんですよ。E2Dで同じことが起きないという保証は私はないと思いますよ。FMSで十年間もの間、調達の安定的な実施が保証されないというのは、この一例をもってしても私は明らかだと思います。もう一点、FMSについて伺います。二〇一七年に会計検査院が是正改善を求めているんです。アメリカから武器が届くと、品目に相違がないか、数量に過不足がないか、損傷の有無がないか、これは受領検査を行います。受領検査調書というんですけれども。アメリカからは、生産のために品目、数量、価格などを記した計算書が送られてくる。会計検査院が調べたら、この受領検査調書、日本側がつくったものとアメリカから送られてきた計算書が合わない。FMS中央調達六十四ケースを調べたら、全てで記載内容が一致しなかった。余りにもでたらめだと思うんです。防衛省に伺いますが、では、二〇一七年と二〇一八年度、この計算書と受領検査調書の記載内容が一致していないケースはどれだけありましたか。
○深山政府参考人 済みません、平成で申し上げますが、まず二十九年度におきましては、計算書と受領検査調書の不一致は十九件、三十年度におきましては、同様に六十五件、不一致がございました。
○宮本(徹)委員 つまり、検査院から指摘された後でも、アメリカから送られてきた計算書と防衛省の側がつくった受領検査調書は一致していないということが続いているわけですよ。いいかげんなものがアメリカから送られ続けているということじゃないですか。もう一点お伺いしますけれども、検査でのふぐあいや計算書に問題があれば、アメリカに不具合報告書を送付して是正措置の要求を行うという仕組みだということです。ただ、一年以内にこれを行わなければアメリカ政府から却下されることになっている。ちなみに二〇一二年から一六年度は、武器のふぐあいで不具合報告書は七百三十四件、計算書の誤りの是正措置要求は二百五十二件というのが報告書に記されておりました。これも数だけお伺いしますが、二〇一七年度と二〇一八年度、アメリカ政府に送付した不具合報告書の件数及び米国政府から却下された件数というのは幾らでしょうか。
○深山政府参考人 不具合報告書に関しましては、二十九年度に米国に送付いたしましたのが二百九件、三十年度が、三十年度はまだ年度が終わっておりませんが、現時点までで百五十五件でございます。そのうち、委員御指摘の却下というのは、二十九年が二十八件、三十年度が九件でございます。
○宮本(徹)委員 つまり、不具合報告書をどんどんどんどん出さざるを得ないような問題があるものが届き続けているというのが実態じゃないですか。私、これはどう考えても、FMSが、今度の法の趣旨に沿う、調達の安定的な実施だとかコストの削減、前提を欠いていると思いますよ。ですから、これはやめるべきだということを強く申し上げておきたいと思います。その上で、きょうは「いずも」の空母化について大臣と議論したいと思っております。大臣は昨年十二月十八日の記者会見で、日米共同訓練で米軍機が「いずも」を離発着することはあり得るんだというふうにお述べになっておられます。具体的には、どういう場面でどういう訓練を行うというのを想定されているんでしょうか。
○岩屋国務大臣 「いずも」型護衛艦の改修を行えば、能力的には、米軍の有するF35Bの発着艦も可能になると考えております。今御指摘の私の会見で申し上げたのは、例えば、事故あるいは日米共同訓練といった場合における米軍機の離発着は現行法上も可能だということを申し上げたところでございます。具体的にどういう場面でどういう訓練を行うかということについては、現時点で検討や調整を行っているわけではありません。
○宮本(徹)委員 現時点で具体的な検討、調整は行っていないということですけれども、一般的に日米共同訓練は、「いずも」自身ももういろいろやられているわけですよね。例えば場所でいえば、南シナ海でもやられておられます。そうすると、今後、「いずも」が空母化改修された場合に、米軍のF35Bの離発着訓練を南シナ海でも行うということはあるんじゃないですか。
○岩屋国務大臣 米軍のF35Bが発着艦できるようにはもちろん能力的にはなるわけですけれども、実際どういう地域でどういう訓練を行うことが適切かというのは、そのたびにしっかり判断をしていく事柄だというふうに思っております。
○宮本(徹)委員 私は南シナ海でやるのは適切でないというふうに考えているんですけれども、大臣の考え方はどうですか。
○岩屋国務大臣 どういう訓練を行うかということによっていろいろ評価は変わってくるんだろうと思います。地域が南シナ海であってはどんな訓練も、適当でない、適切でないということではないのではないかというふうに思います。
○宮本(徹)委員 どんな訓練もというか、私はどんな訓練もと思っていますけれども、私がきょう問題にしているのは、F35B米軍機を離発着艦させる訓練を現に領有権争いがある南シナ海でやるのは適切ではないと考えているわけですけれども、大臣も、これはやるべきでないというふうにおっしゃってください。
○岩屋国務大臣 今具体的に、どこでどういう訓練をやることが適切でない、適当でないということを言うつもりはありませんけれども、先ほども申し上げたように、それは適切に私ども、判断をしてまいりたいというふうに思います。
○宮本(徹)委員 なぜ適切でないと言えないのかというのは全くわからないんですけれども。南シナ海の領有権争いについて我が国は、あの島々が誰のところに属している島かということについてはニュートラルですよね。ニュートラルですよ、これは外務省の立場というのは。もちろん、一方的な力による現状変更が許されぬのは当たり前です。同時に、私、この間、安保法制のときにも議論させていただきましたけれども、政府からあったのは、複数の国が埋立てを今やっているわけですよ。そういうもとで日本が一方の立場に立って軍事的に関与していくということになるというのは、あり得ない話だと思うんですよ。アメリカはもう明確な意図を持ってやっていますよね。航行の自由作戦、中国に対して圧力をかけるということでやっておりますが、仮に、空母化した「いずも」が米軍のF35Bを積んでの離発着訓練を南シナ海でやるということになったら、これは、この領有権争いに日本も軍事的に関与していくという強烈なメッセージを出すことになるわけですよ。私は、それはやってはいけないということを考えております。ですから大臣も、そこはやらないと明言してください。
○岩屋国務大臣 やっている訓練というのは、委員、さまざまな種類のものがございます。例えば、災害対応のための訓練も各軍種間でやっておりますし、したがって、今、「いずも」ということも何か特定されて先生はおっしゃっていますけれども、「いずも」という護衛艦も、御案内のとおり、さまざまな機能を持った護衛艦です。医療船としても使えるし、輸送船としても使えるということですから、訓練の種類、やり方、そして、日米共同訓練という形もあるだろうし、日米が入った多国間の共同訓練というあり方もあるだろうし、その目的もそれぞれ違うだろうし、どういうものに参画してどういう訓練をやるかということは、私ども、適切に判断をしていきたいというふうに思っております。
○宮本(徹)委員 私はきょう、災害対応の話をしているわけじゃないですよ。F35B、米軍のものの離発着訓練について言っているわけですよ。これは明確なメッセージを発することになるのは間違いないわけですよ。ですから、これはやるべきでないという、重ねて申し上げたいと思います。それからあと、朝鮮半島情勢は、昨年の南北首脳会談があり、米朝首脳会談もあり、政府の言葉で言えば、歴史的転換点ということになります。やはりそこに向かう過程の二〇一七年というのは、大変緊迫した状況があったわけです。北朝鮮はミサイル発射を繰り返し、アメリカも北朝鮮に対して軍事的圧力をかける行動を繰り返しました。お互いの行動と言動がエスカレーションするというのが続きました。例えば二〇一七年十一月は、アメリカは空母を三隻並べて日本海で、これは日米共同訓練という形でやりました。アメリカの空母が三隻並んで訓練をやるというのは、異例中の異例だということで報道されました。お伺いしたいんですけれども、今は朝鮮半島情勢はこうなっていますけれども、緊張が高まるような状況の中でアメリカの空母と「いずも」をずらっと並べ立てて、「いずも」での米軍F35Bの離発着訓練というのを行うことというのはあり得るのかどうかということをお伺いしたいと思います。
○岩屋国務大臣 先生は何かケースを物すごく限定して、それについてやるかやらないか答えろという御質問なんですけれども、例えばいろいろな事態がございます。重要影響事態とかいうような事態がありますが、そういう場合に一体どういう米軍に対して支援を行うかということについて、今、具体的な構想を持っているわけでもありません。したがって、そういう仮にということでケースを限定して聞かれても、なかなかお答えすることは困難なんですけれども、いずれにしても、実際にどういう事態が発生したかというその事態の様相を踏まえて、法律の定める要件と国益に照らして、日本としてどういうことが可能になるのかというのを主体的に判断をしていくということになるわけでございます。
○宮本(徹)委員 二〇一七年の事態というのは、別に、重要影響事態だとか認定しているわけでは全然ないわけじゃないですか。そういう中でもアメリカの側は、そのときの訓練のときに司令官はこう言っていますよ。地域の安全と安定の維持に寄与する米太平洋艦隊の比類ない能力と断固たる意思を示すものだということで、これはもう強烈な軍事的プレッシャーをかけるという目的を持ってやったんだということをアメリカの側は言っているわけですよ。御存じのとおり、私たちの国の憲法は九条でこう書いているわけですよ。「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」緊張が高まる中でアメリカの空母機動部隊と一緒になって「いずも」が米軍F35Bの離発着訓練を行うとなれば、これは、憲法で禁じられている武力による威嚇そのものだと私は思いますが、そうなるんじゃないですか。
○岩屋国務大臣 それは、何といいますか、外交上どういう振る舞いが我が国に適切か、適当かということも含めて総合的に判断をしていくということになると思います。米国の艦艇、空母が出てくれば、それに必ず自衛隊の艦艇が出ていく、航空機が出ていくということではなくて、与えられたその事態をしっかりと総合的に判断して振る舞い方というのを決めていくということになるんだと思います。先生おっしゃるように、我が国は、他国にとって脅威となるような振る舞いはしないということでこれまでやってきているわけでございますから、そういった基本的な考え方が変わっていくということはないと私は思います。
○宮本(徹)委員 脅威となる振る舞いをしないと言うんだったら、この場で、緊張が高まる中で米空母機動部隊と一緒に、改修された、空母化された「いずも」での米軍機のF35Bの離発着訓練はやらないと明言してください。
○岩屋国務大臣 先ほども申し上げたように、いろいろなことが考えられるわけです。緊急時に米側の航空機が急にふぐあいを生じて近傍におりれる空港、滑走路がないという場合もあるでしょうし、通常の、クロスデッキといいますが、お互いに載せている航空機を載せ合いっこをしてその技量をはかるというような訓練などもあったりしますので、そういう訓練というのは私はあり得るんだろうと思いますし、いよいよ事態が本当に緊張が高まっていって平安法に定めるような事態になっていったときには、やはりそのときの判断というものがあるんでしょうし、それは国会の御承認が前提になるわけですけれども、そういうさまざまなケースがあろうかと思いますので、絶対に米軍のF35Bが我が方の護衛艦に載ってはいけないというようなことを申し上げるわけにはいかないのかなと思っております。
○宮本(徹)委員 私は、緊張が高まる中であれば、これはもう明確に憲法九条に抵触する、絶対やってはならない。さっきから、こういうケースはやるべきじゃないと言っても、絶対やらないということを明言されないというのは、大変不安だと。(岩屋国務大臣「大丈夫です」と呼ぶ)大丈夫ですと言われても保証がない。憲法違反の活動に踏み出しかねないということを厳しく批判しておきたいと思います。その上でもう一問お伺いしますが、安保法制では、重要影響事態、国際平和共同対処事態で戦闘作戦行動に発進準備中の航空機への給油、整備が可能となりました。そうすると、重要影響事態や国際平和共同対処事態で、空母化された「いずも」から米軍F35Bが空爆に飛び立っていく、これはあり得るということですか。
○岩屋国務大臣 先ほどもお答えしましたけれども、改修後の「いずも」型護衛艦によってどのように米軍への支援を行うかについては、今、具体的な構想があるわけではありません。特に検討しておるわけでもありません。実際に発生した事態の様相を踏まえて、法律の定める要件ともちろん国益に照らして、我が国として主体的かつ総合的に判断を行っていくということになろうかと思います。例えば重要影響事態などの場合において、これも何か具体的な構想があるわけではないんですけれども、一般論として申し上げれば、平和安全法の定める要件を満たし、又は国益に照らして主体的に判断した結果として、着艦した米軍機に対する給油や整備等を実施することは可能、可能でありますけれども、これは一般論として可能だというふうに申し上げているのであって、何かそういうことを今から計画があったり想定をしていたりということではありません。
○宮本(徹)委員 一般論として、米軍機に対して給油をして整備をして、それは可能だと。その後、米軍機は空爆に飛び立っていくということだって排除されないじゃないですか。それは排除しないんですか。
○岩屋国務大臣 今、一般論として申し上げたのは、法律上は可能だということを申し上げたので、排除されないのかと言われれば排除されないんですけれども、どういう支援を我々が主体的に行うかというのは、その事態に応じて決める事柄でございますし、国会の関与をいただいて決める事柄でございますので、あくまでも、その事態に応じて、主体的にそのときに判断をされるということだと思います。
○宮本(徹)委員 排除されないというふうにおっしゃいましたけれども、そうすると……(岩屋国務大臣「法律的には」と呼ぶ)いや、法律的に排除されない、その後は政策判断だ、国会の判断だという話ですけれども、法律的に排除されないわけですよね。そうすると、米軍F35Bが「いずも」から空爆に飛び立っていく、これが法律上可能だったら、空母化された「いずも」というのは、文字どおり、憲法上保有できないとされてきた攻撃型空母そのものじゃないですか。
○岩屋国務大臣 例えば、重要影響事態のときに私どもが可能になるのは後方支援でございまして、武力の行使ではございません。そして、先ほどの、例えば米軍機への整備、給油の支援ということは、武力の行使と一体化ということにはならないわけでございまして、それをもってして、「いずも」型の護衛艦が攻撃型空母になるという御指摘は当たらないというふうに思います。
○宮本(徹)委員 私、そういう議論は通用しないと思いますよ。だって、「いずも」型空母から米軍のF35Bが飛び立っていく、それで空爆を行う、世間からしたら、誰がどう見たって、米軍と一緒になって自衛隊は武力の行使をしているというふうに国際法上はみなされますよ。誰がどう考えたってそうですよ。ですから、後方支援だから武力行使じゃないという議論は全く通用しないというふうに思います。残された時間が少なくなってきましたが、きょう、資料をお配りしております。過去の国会議事録から答弁を抜粋させていただきました。もう山のように答弁があったので少ししか抜き書きできませんでしたけれども、これまで、空母の保有については、国会でもかなりの、何十年にもわたっての議論が行われてきました。私も振り返って読んでみましたけれども、七〇年代から八〇年代にかけての説明というのは、潜水艦対策のヘリとの対比で、攻撃機を主力とするのが攻撃型空母だという説明というのはかなり主流です。きょう私が配っている上から二つ目のところのをまず見ていただきたいと思うんですが、一九七二年五月三十一日の答弁です。これは、何を搭載するのかというのと同時に、任務に着眼しての答弁なんです。当時の防衛局長、こう答弁されています。「一万トンの船でありましても、これがたとえばハリア」、F35Bの前の垂直離発着型の戦闘機です。「これがたとえばハリアのようなものであって、しかもハリアが将来性能が向上いたしまして、システムとしてとらえた場合に、それがたとえば海外の領域を攻撃するような任務を与えられるようなものとして設計され、つくられておるということであれば、これは一種の攻撃型空母に変質する」というふうに言っているわけです。大臣はこの答弁を御存じでしたか。
○岩屋国務大臣 存じませんが、これを拝見すると、「変質するということではなかろうか」という言いぶりですから、何か断定をして物を言っているということではないのではないかなというふうに思います。私どもが申し上げてきたのは、これまで、性能上専ら他国の国土の壊滅的な破壊のために用いられるような兵器、これを保有することは自衛のための必要最小限度を超える、その一つの例として攻撃型の空母ということを申し上げてきたのであって、今般、「いずも」型の護衛艦を改修して、引き続き多機能の護衛艦として用いていく、必要がある場合にのみ十機程度のSTOVL機を運用することができるという運用のあり方、その全体の性能からいっても、決して憲法上保有されない攻撃型空母には当たらないということを申し上げてきているわけでございます。
○宮本(徹)委員 いや、私は、安保法制のもとではそういう議論というのはちょっと違うと思うんですよ。米軍のF35Bを搭載し、米軍のF35Bが海外の領域を攻撃する、こういうことができるわけですよ。ですから、これはまさに攻撃型空母の変質だということに、過去の国会答弁上から見てもなるわけですよ。ですから、安保法制のもとでは、まさに改修化された「いずも」というのは攻撃型空母になるんだということを申し上げて、時間になってしまいましたので、続きはまた来週ということで議論させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。