日本やドイツなど米軍が駐留している国に対して、駐留経費総額の1.5倍の経費負担を要求するー。米ブルームバーグ通信が報じた「コストプラス50」と呼ばれる米トランプ政権の計画が大きな波紋を広げています。
 「むちゃくちゃだ」。12日、衆院安保委員会で日本共産党の宮本徹議員がこの問題を提起し、政府の見解をただしたのに対して、与党席からも驚きの声があがりました。
 日本は現在、基地従業員の給与や施設建設費などの米軍「思いやり予算」をはじめ、年間8000億円もの米軍関係経費を支出しており、米軍に対する貢献度は米同盟国の中でも突出しています。
 仮に、5万人以上の兵力を抱える在日米軍の駐留経費総額を支払い、さらに5割を上乗せすれば、途方もない金額になります。
 しかし、これは決して絵空事ではありません。トランプ氏は米大統領選のキャンペーン中から、日本などに米軍駐留経費の全額支払いを要求。就任後も、NATO(北大西洋条約機構)加盟国に対して、軍事費のGDP(国内総生産)比で2%以上の支出を執拗に要求しています。
 昨年秋から行われた米韓防衛費分担特別協定(SMA)をめぐる交渉でも、米側は従来の2倍以上の金額を要求したと報じられました。ブルームバーグによれば、トランプ氏は韓国との交渉担当者であるボルトン大統領補佐官に対して、「コストプラス50」を指示したといいます。
 こうしたトランプ氏の考えは「米国第一主義」に基づいています。同時に、米国が「世界の警察官」を自任し、平時から全世界に米軍基地網をはりめぐらせる「前方展開戦略」が米国の財政に重くのしかかり、限界に達していることの反映でもあります。
 本来なら、米国は他国の主権を奪い、侵略戦争の拠点となる海外基地の全面撤去に向かうべきです。しかし、同盟国が少なからず米国に依存していることを逆手にとり、米軍駐留に「経費5割上乗せ」という“プレミア″をつけ、“金を出せ、さもなければ撤退する”という交渉を仕掛け、利益を得るー。ここにトランプ氏の狙いがあります。
 報道によれば、トランプ氏の“ディール”(取引)には巧妙な仕掛けがあります。米国防総省は各国が支払うべき金額と同時に、「米国の政策に対する接近の度合いに応じた割引」額を試算するよう指示を受けています。「駐留経費総額の1.5倍」という途方もない金額を吹っかけて、米国の政策に対する何らかの協力を約束すれば、「割引」に応じるという狙いです。
 さらに、米側は従来、各国に負担を求めていなかった新たな分野ー米兵の給与や空母・潜水艦の寄航費用なども対象に含めるとしています。
 こうした手法で交渉をしかけられたら、安倍政権は腰砕けになる危険があります。
 岩屋毅防衛相は12日の記者会見で、ブルームバーグの報道について問われ、「(米軍駐留経費の)相当な部分を負担している。厳しい財政事情もあり、理解をいただくべくしっかり交渉したい」と述べました。
 しかし、日本政府はこれまで、米側の要求に応じて、日米地位協定上も支払い義務のない「思いやり予算」や在日米軍再編経費など拡大に拡大を重ねてきた歴史があります。また、安倍政権には、イージス・アショアなど、当初は導入を否定してきた米国製武器を、トランプ政権に屈して導入に転じた前科があります。2021年3月に期限が切れる現行の「思いやり予算」特別協定の延長交渉はきわめて厳しいものになることが予想されます。
 宮本氏は衆院安保委で、「『思いやり予算』が始まった一つの理由は、円高と同時に米国の財政が大変だから思いやろうということだったが、いまは日本の方が大変なわけです」と指摘。「そういう中で、米軍の駐留経費増など断じて認められないということを表明するべきだ」と求めました。

以上2019年3月13日付赤旗日刊紙より抜粋