日本共産党の宮本徹議員は16日の衆院財務金融委員会で、最近の経済指標の悪化をあげて「景気を冷やす消費税増税は絶対にすべきではない」と10月の増税中止を求めました。日銀による異常な株価下支え政策についても追及しました。
 宮本議員は「前回の消費税増税延期時(2016年)より世界経済の下振れリスクが強まっていることは明白だ」とただしました。麻生太郎財務相と黒田東彦日銀総裁は、世界経済の「下方リスクの存在」や「不確実性」を認めました。その一方、麻生氏は「日本経済は緩やかな回復を続けている」として、消費税増税を強行する考えを示しました。
 宮本氏は「景気を壊し、低所得者ほど負担が重い消費税は社会保障の財源としてふさわしくない」と迫りました。
 また、宮本氏は、日銀が株価指数連動型上場投資信託(ETF)を大量に購入し株価を押し上げていることを批判しました。2018年度に海外投資家が日本株を売り越した分、日銀はほぼ同額のETFを買い入れました。宮本氏は「日銀が買い支えることで海外投資家がリスクを負わずに安心して株式の売却益を出している」としてETF購入をやめるよう求めました。

以上2019年4月17日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2019年4月16日 第198回衆院財務金融委員会第11号 議事録≫

○坂井委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。まず、景気認識と消費税増税についてお伺いしたいと思います。G20の財務相・中央銀行総裁会議がございました。麻生大臣、黒田総裁、お疲れさまでした。報道では、麻生大臣は記者会見で、主要国の景気減速がほかの国にも波及すれば、世界経済全体の成長率が悪化し得る、リスクは下方に偏っていると懸念を示したとありました。前回、消費税増税の延期を決めたときは、世界経済は不透明感を増しているということを理由にされたわけですが、G20でも議論になった世界経済の現状は、前回の消費税増税延期決定時より世界経済の下振れリスクは強まっている、こういうことでよろしいですね。
○麻生国務大臣 二〇一六年、前回のときの、当時は、これは、アジアの新興国とか資源国の経済の減速などそういったものは、世界経済がいろいろなリスクに直面して内需が下振れしかねないという状況になっていたと記憶をいたします。先日のワシントンでのG20の会合では、足元の状況につきまして、世界経済にはさまざまな下方リスクが存在するものの、一月、ことしの一月ですけれども、アメリカが、いわゆるフェデラル・リザーブ・ボード、FRBが利上げペースの緩和を示したこと、また、ドイツの自動車排ガス規制導入に伴う自動車生産の弱含みといった一時的な要因が剥落することなどによって、本年後半から加速し、中期的に堅調に推移していくという認識は共有されたところであります。日本政府の立場としても、現在は、いわゆる通商問題、米中間等々の通商問題や、中国経済の先行き、また英国のEU離脱問題などの動向がありまして、そういったリスクに留意する必要はありますけれども、世界経済は、米国を中心に全体としては緩やかな回復を続けているという認識に変わりはありません。日本経済も、雇用・所得環境の改善というものを背景に、先ほど日銀総裁からもお話があっておりましたように、消費、設備投資などの内需を中心に緩やかな回復が続いていると認識をいたしておりますので、いろいろな意味で、消費税につきましても、私どもとしては本年十月に一〇%の引上げを予定できる、そういったような環境をきちんとやっていきたいと思っております。
○宮本委員 総裁の認識もお伺いしたいと思います。
○黒田参考人 世界経済の動向を見ますと、グローバルな生産、貿易活動に弱目の動きが見られますけれども、二〇一五年から一六年にかけて中国などの新興国の株式あるいは原油価格が大幅に下落して金融資本市場が大きく変動したというようなころに比べますと、世界の市場も総じて落ちついて推移しております。また、各国の内需や非製造業の業況も比較的しっかりしております。先行きの世界経済については、当面減速の動きが続くとしても、米国経済が拡大を維持するほか、中国の景気刺激策の効果が次第に顕在化してくると見込まれることなどから、総じて見れば緩やかに成長していくと見られます。IMFも、先日公表した見通しにおいて、世界経済は本年後半には再び成長率を高めていくとの見方を示しております。もちろん、こうした見方には、米中貿易摩擦の帰趨を含めてさまざまな不確実性が存在いたしますけれども、現時点では、世界経済が二〇一五年から一六年ころよりも悪化していく可能性は低いというふうに考えております。
○宮本委員 二〇一五年、一六年のときも中国経済のこととかいろいろありましたけれども、こんなに中国経済、失速はしていなかったんじゃないですか、当時は。今の方が大失速をして、それが日本の生産や輸出にも影響を与えるという事態を引き起こしているというのが現実だと思いますよ。私は、今の方が世界経済の下振れリスクは強まっているというのは明々白々だというふうに思います。四月一日に日銀が発表しました短観を見ますと、大企業製造業の景況感は六年三カ月ぶりの悪化幅ということになりました。さらに、内閣府の景気ウオッチャー調査、先日発表したもの、現状判断指数は二年八カ月ぶりの低水準。そして、同じく発表されました内閣府消費動向調査、消費者態度指数も三年一カ月ぶりの低水準。景況感は、企業も国民も、大変これから悪くなっていく、今悪くなってきているということを感じているわけですけれども、大臣は、これ、原因は何だとお考えですか。
○麻生国務大臣 宮本先生御指摘のこの指標ですけれども、日銀短観の大企業製造業の業況判断DI、ディフュージョンインデックスは、前回の調査から七ポイント低下をし、六年三カ月の下落幅、おっしゃるとおりになっております。景気ウオッチャー調査の現状判断のDIも、前月の二・七ポイント低下をしておりまして、四四・八と、二年八カ月ぶりの低水準。また、消費動向調査の消費者態度指数というものも、前月から一ポイント低下をいたしまして、四〇・五と、三年一カ月ぶりの低水準となっているものと承知をしています。これらの要因については、今御指摘のありましたように、中国経済の減速に加えまして、アメリカと中国の通商問題を始めとした海外におけます経済の不確実性などが影響したものだろうというのに、私も、そういうような感じがあるのは確かだと思います。こういった、景況感というんですかね、そういったマインドの低下につきましては、これは十分注意していく必要があろうとは思いますが。片や、日本の実体経済を見ますと、名目GDPまた企業収益等々は過去最高水準となる中で、これは有効求人倍率も二年にわたって全都道府県で一倍を超える。また、失業率も二十六年ぶりの低水準ということになっておりまして、連合の調査によれば、五年連続で二%程度の高い水準の賃金アップが実現して、ことしもその流れが続いているという状況にあります。雇用者数の増加を加味した総雇用者所得を見ましても、名目、実質ともにプラス傾向が続いているなどなど、こういった雇用とか所得環境の改善というものを背景に、経済のいわゆる基礎的なファンダメンタルズというものは確かなものになってきているというのが、私どもの基本的な考え方であります。
○宮本委員 名目のお話をされますけれども、実質で見れば、賃金、消費、停滞しているというのは、この間、国会でもずっと議論になってきたことであります。内需が低迷しているもとで、アベノミクスのもとで、輸出は円安の中で好調だったわけですけれども、その輸出に陰りが見えてきているというのが今の状況だと思うんですね。こういうときに、内需を更に冷え込ませる消費税増税をやっていいのかということだと思います。日経新聞は、大企業製造業の景況感の悪化について、過去の経験則に照らすと景気後退入りの警戒領域に近づいた、こういうふうに警鐘を鳴らしております。こういう中で消費税増税を強行したら、前回の増税以上の深刻な影響が起きるのではないかと、大変懸念しております。日銀の生活意識調査、お配りしましたけれども、こちらでも同じような傾向が国民の景況感としてあらわれております。現在を一年前と比べるとよくなったか、悪くなったか。過去一年間でどう推移したのか。あるいは、一年後を現在と比べるとどう考えているのか。これをちょっと紹介してもらえますか。
○衛藤参考人 お答えいたします。この調査では、年四回調査を実施しておりますけれども、一年前に行いました調査と、一番新しい、ことし三月の調査の数字を比べさせていただきますと、まず現在の景況感でございますが、よくなったと感じている人の比率は、一年前が九・六%、これが足元は四・八%に低下をいたしております。一方で、悪くなったと答えた方の比率は、一年前、二二・〇%ございましたが、今は二四・〇%に上昇ということでございます。同じように、一年後の景況感の見通しを聞いております。よくなるというふうに答えた方は、一年前の調査では九・三%でしたが、これが今回は八・七%に低下をしております。一方で、悪くなりそうだというふうに答えた方は、一年前は二四・五%でしたが、今回は三九・三%に増加をしているという状況でございます。こうした景況感の背景でございます。アンケートでもその背景について聞いておりますけれども、自分の収入とか、あるいは勤め先の業況といった生活実感などよりは、公表されている景気指標、それからメディアなどでの報道ぶりなどの寄与が大きいというふうに理解をいたしております。
○宮本委員 国民全体が、本当にこのままでは景気が心配だという状況になってきているんだと思います。新聞報道を見ていますと、四月一日、日経で、ライフコーポレーション社長の岩崎氏は、商況はよくない、昨年十二月あたりから急速に悪くなっている、こう言われております。二〇一八年度第四・四半期は、既存店舗の売上高が前年同月比で〇・七%減、六年ぶりのマイナスになったと。三月以降もこの傾向は変わらないという予想でございます。最近の消費の変調で見方を変え、増税したらその後の買い控えは長引くのではないかというふうにおっしゃっておられます。資料で一枚目の下につけましたが、これは日銀のさくらレポートの添付資料です。百貨店、スーパーの販売額ですが、四半期ベースで見れば、二〇一七年第三・四半期から二〇一八年第四・四半期まで一年半の間、前年同月比で減少し続けた地域が九地域のうち三地域に上っております。直近の三四半期では、全国ベースでも三カ月連続で減少、九地域のうち六地域は連続減少。二〇一八年の第四・四半期で前年同月比で減少というのは、東海地域を除けば全てということになっています。もちろん、コンビニへお客が流れているというのもなくはないとは思いますけれども、それだけではないということが、これを見ても示されているというふうに思います。個人消費は大変低迷しているというのが、大臣、今の状況なんじゃないですか。
○麻生国務大臣 消費の動向ですけれども、確かに、二〇一四年四月の消費増税、八%への値上げのときには、これは、大幅な駆け込み需要とか反動減というものが生じて景気の回復力が弱まることになったものというように、私どももそう思いますが、その後のアベノミクスの取組によって、GDPベースで見ますと、二〇一六年後半以降増加傾向で推移して、二〇一三年の水準を上回るなど、持ち直しをしているんだと理解をしております。いわゆる消費を取り巻く環境というものを見ますと、これは、間違いなく生産年齢というものは減少していっているという極めて厳しい状況の中で、雇用は大幅に増加をしております。雇用者数の増加も加味した総雇用者所得というものを見ますと、名目でも実質でもこれは増加が続いておりますので、雇用・所得環境というものは着実に改善をしておりまして、消費は引き続き持ち直していくことが期待されるところだと思っております。これまでも、政府としては、賃金の引上げに向けて、我々としては、賃金引上げに積極的な企業を税制面から後押しさせていただくとか、また、政労使会議や経済財政諮問会議などにおいて、政府から経済界に対しまして賃金引上げを呼びかけ続けてきたところでもあります。さらに、今、AIとかIoTとかいろんなものの活用を通じまして、生産性の向上の取組も支援をさせていただきながら、働き方改革により長時間労働を是正するということなどを通じて、生産性を向上させるなどの各種取組を行ってきたところでありまして、引き続き賃金引上げに向けた取組を進めてまいる、これによって消費というものの状況が生まれやすくなるということを期待をしているところでもあります。
○宮本委員 消費は持ち直しているとおっしゃいますけれども、実質で見れば、二〇一三年度の水準を回復していないというのは明らかなわけですよね。どんと冷え込んだものから、少しは持ち直しているかもわからないですけれども、もとには戻っていない。そこにまた増税していいのかということだと思います。日銀のさくらレポート、私もずっと、聞き取った中身のものも読まさせていただきましたけれども、個人消費の低迷、節約志向が根強くあるというのがよくわかりました。例えばこういうことを書いています。食料品は、特売日などにおいて値引き幅を拡大させると売上げが大きく伸びる傾向が顕著であり、消費者の節約志向は根強い。これは函館のスーパーですね。三月に入り、飲料や菓子の仕入れ価格が上昇しているが、顧客離れが心配で販売価格に転嫁できていない。これは秋田のスーパーからの聞き取りですね。同じように、仕入れ価格がどんどん上がっているけれども、消費者の根強い節約志向や競合で、仕入れ価格を価格に転嫁することは難しい。これは大阪の方だとか。価格に転嫁することが大変な事態になっているという声が、できないという声がいっぱい出ております。あるいは、値上げしたところの話も出ていますね。宿泊料を試行的に値上げしたところ、客数が大幅に減少した、宿泊需要は堅調であるものの、当地では依然として競合が厳しく、他社に先駆けて値上げを行うことは難しいと実感した。これは高知の宿泊業の話であります。つまり、値上げすれば客離れを実感しているというのが多くの事業者。消費者の節約志向の中で、とても、今のメーカーのいろいろな値上げに対しても、実際はスーパーの段階では販売価格に転嫁できない、こういう声がいっぱい全国各地から日銀の聞き取り調査でも寄せられているという状況であります。こういう中で消費税を増税して、価格に本当に転嫁できるのかという状況があると思います。麻生大臣にもお伺いしたいと思いますが、私なんかも、地元の商店街を回っていますと、とても消費税を増税できるような環境じゃないよという声をたくさん聞きますが、大臣御自身はそういう声を周辺からよく聞かれるんじゃないですか。違いますか。
○麻生国務大臣 急速な高齢化というものを背景に、これはもう御存じのように、私どもとしては、社会保障費の充実というものは間違いなく大事な視点でありまして、私どもは、中長期的に見まして、少子高齢化は国難とも言える最大の問題だと思っております。これが大前提に私どもはあります。したがいまして、いわゆる国民の安心というものを支えるという意味において、社会保障制度を、国民皆保険等々を次の世代に引き渡すということにおきましては、何といっても安定財源の確保というのは待ったなしの課題となっております。したがいまして、今、我々の今の景気に対する判断は先ほどの答弁で申し上げたとおりですが、私どもは、同時に、こういった問題で対応させていただく、いわゆる駆け込み需要、また反動減等々に対応するための対応はいろいろさせていただいております。もう一点、私どもは、この問題を考えるときに、安定財源の確保というものを今後行っていくのは、私どもにとりましては絶対の課題でありますので、そういったことを考えますと、引き続き今の置かれている状況というものをいろいろ考えた上で、本年の十月に一〇%に引き上げさせていただく予定であります。
○宮本委員 増税できる環境にないという声は多分大臣のところにも届いているとは思うんですけれども、安定財源の確保がなぜ消費税なのか、私たち何度も議論させてもらっていますけれども、なぜ所得税じゃだめなのか、なぜ法人税じゃだめなのか、そこの定かな答えはいつもないわけですよね。景気を壊す消費税、低所得者ほど負担が重い消費税、これは社会保障の財源として全く私たちはふさわしくないと考えておりますので、他の手段で考えるべきだ。こういう、本当に景気がどんどん、景気への心配が国民の中で広がっているもとで、そしていろいろな指標も悪化しているもとで、世界経済も減速する中で消費税増税など絶対にやってはならないということを申し上げまして、次の質問に移ります。次に、日銀のETFの買入れについてお伺いしたいと思います。きのう、OECDの対日経済審査報告書が発表されました。日銀のETF買入れについて、市場の規律を損ないつつある、売却することの困難に直面することが予想されるなど指摘されておりますが、総裁はこの指摘をどう受けとめられているでしょうか。
○黒田参考人 今回公表されたOECDの経済審査報告書において、日本銀行のETF買入れに対して、間接的な株式保有割合の高さや市場規律の低下といった副作用が懸念事項として指摘されていることは承知しております。もっとも、この報告書でも、これらの懸念があるものの、二%の物価安定目標を達成することは依然として日本銀行の優先課題であるという認識も示しております。日本銀行といたしましては、ETFの買入れは物価安定の目標を実現するための政策枠組みの一つの要素であるというふうに考えておりまして、これまでのところ大きな役割を果たしてきていると思っております。副作用に関しましても、ETFを通じた日本銀行の株式保有割合は株式市場全体の四%程度にとどまっておりますほか、コーポレートガバナンスの面でも、ETFを構成する株式については、スチュワードシップ・コードの受入れを表明した投資信託委託会社により、適切に議決権が行使される扱いとなっております。日本銀行としては、今後とも、政策のベネフィットとコストを比較考量しながら、その時々の状況に応じた適切な政策運営に努めてまいる所存でございます。
○宮本委員 いや、OECDの報告書は、二%の物価目標については是としていますけれども、その手段としてETFの買入れを是とは書いてはいないですよね。私も含めて、野党も含めて、ETFの買入れは市場の価格形成機能をゆがめているじゃないか、あるいは出口で大変な困難があるんじゃないかということをこの委員会でも議論してまいりましたけれども、OECDも全く同じ指摘をする状況であります。私は、立ちどまって見直す必要があるところに来ていると思いますよ。白川前日銀総裁は、著書の「中央銀行」で、二〇一〇年十二月に日銀がETFの買入れ政策を開始したことについて次のように述べておられます。ETFやREITを買入れ対象としたことも、中央銀行の金融政策としては異例であった。日本では、バブル崩壊後、株価が大幅に下落する過程で、政府及び日本銀行に対して株価の下支えを目的として株式の買入れを求める議論が何度も高まった。日本銀行は二〇〇二年に金融機関の保有する株式の買入れに踏み切ったが、これは金融システムの安定維持を目的としたものであり、金融政策の一環として、株式市場において不特定多数の投資家から広く株式を購入したことはなかった。ETFは上場株式を組み込んだ投資信託であることから、従来行っていなかった不特定多数の投資家からの株式の購入と機能的には同等である。それにもかかわらずETFの買入れに踏み切ったのは、買入れにより株式投資に係るリスクプレミアムが引き下げられれば企業の資金調達コストの低下につながり得ると判断したからであると書いてありました。黒田総裁にお伺いしますが、黒田総裁が総裁就任後に、政府及び日本銀行に対して、株価の下支えを目的として株式の買入れを求める議論があったのかどうか、そして、ETFの買入れについては、白川前総裁と同様、中央銀行の金融政策としては異例、こういう認識を持っているのかどうか、お伺いしたいと思います。
○黒田参考人 日本銀行は、物価の安定という使命を果たすために、その時々の経済、物価情勢などに応じて必要な施策を実施いたしております。その際には、あらかじめ特定の手段を排除することなく、ベネフィットとコストを比較考量した上で、最適な手段を選択してきております。株式に限らず、中央銀行の資産買入れをめぐっては、それが資産価格に影響を及ぼし得ることについてさまざまな意見があることは承知しております。その上で、ETFの買入れは、株価安定の目標を実現するために必要な措置の一つとして、みずからの判断で実施しているものであります。
○宮本委員 異例かどうかというのは、そういう話もないわけですけれども、異例の金融政策であるETFの買入れが導入されてから九年過ぎております。出口の先行きは全く不透明で、日銀はまだ買い続けるということを言っているわけですよね。日銀は、ETFの買入れの目的について、この間、株式市場のリスクプレミアムに働きかけることを通じて経済、物価にプラスの影響を及ぼしていくというふうにおっしゃっているわけですけれども、経済、物価の面でどんな効果があったのかあるいはなかったのか、具体的に説明していただけるでしょうか。
○黒田参考人 ETFの買入れというのは、物価安定の目標を実現するために必要な措置として行っておるものでございまして、株価の安定の目標ということではございません。先ほどちょっと発言の誤りがございましたので、訂正させていただきます。御指摘の、ETFの買入れが株式市場におけるリスクプレミアムに働きかけることを通じて経済、物価にプラスの影響を及ぼしていくということを従来から申し上げておりますが、具体的に申し上げますと、金融市場の不安定な動きなどが企業や家計のコンフィデンスの悪化につながることを防止することによって、それらの前向きな経済活動をサポートすることを目的といたしております。実際、量的・質的金融緩和の導入以降、我が国経済は大きく好転し、労働市場はほぼ完全雇用の状態にあります。物価面でも、既に、持続的に下落するという意味でのデフレではなくなってきております。もとより、ETF買入れの効果を単独ではかるということは難しいわけですが、本措置は量的・質的金融緩和の枠組みの一つの重要な要素として実施しておりまして、この間の経済、物価の改善に大きな役割を果たしてきているというふうに考えております。
○宮本委員 単独で効果をはかることは難しいと言って、なぜ役割を果たしていると言うのかが全くわからないですよね。具体的に説明ができない。実際は、株価が下支えによって上がった、そういう話にすぎないんじゃないかというふうに思います。ちょっと時間がなくなってきましたので、資料をちょっと見ていただきたいと思うんですが、これは日経新聞に出た話であります。二ページ目ですね。二〇一八年度の株式市場において、株式の買い主体と売り主体を見れば、外国人投資家の売り越しを日銀が購入している構図がくっきりとあらわれております。海外投資家による二〇一八年度の売り越し額は五兆六千三百億円。一方、日銀のETF購入額は約五兆六千五百億円。ほぼ、この二つで見ると、売り買いが均衡している状態であります。ちなみに、日経新聞は、海外勢の売りを日銀が一手に受けとめるいびつな構図が鮮明になった、こう指摘しておりますが、総裁、この市場の動向自身は事実ですよね。
○黒田参考人 御指摘の数字はいずれも事実でありますが、我が国の株式市場における二〇一八年度の売買代金の総額は、現物株だけでも七百兆円を大きく上回っております。投資家別に見ますと、海外投資家に加えて、国内の家計や投資家も活発に取引を行っており、日本銀行のETF買入れ額の売買代金の総額に占める比率は一%以下にすぎません。また、ETFを通じた日本銀行の株式保有額も、株式市場の時価総額の四%程度にとどまっております。ETF買入れの株式市場への影響を判断する際には、売り越し、買い越し額だけではなく、こうした売買代金の総額や各主体の保有残高も見る必要があるというふうに考えております。
○宮本委員 昨年、私、この場で、TOPIXで、前場で値が下がれば日銀の買入れの確率が高くなる、ある一定以上下がった場合、一〇〇%買っているというお話もさせていただきましたけれども、結局、日銀が買い支えることで、海外投資家がリスクを負わずに安心して株式の売却益を出している、こういうことなんじゃないかというふうに思いますよ。時間になりましたから、これで質問を終わりますけれども、国内には利益は還元されず、海外投資家に利益を提供していく、こういう手段になっているETFの買入れ、株価の買い支えはやめるべきだということを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。