統合幕僚学校の研究テーマ 
 自衛隊には上級幹部の教育機関として、統合幕僚監部学校があり、教育と研究がおこなわれています。
 2017年度(平成29年度)と2018年度(平成30年度)の研究の一覧が防衛省の作成した別紙です。

 この2カ年の指定研究は「宇宙作戦に係る研究」。指定研究は統幕長がテーマを指定しするとのことです。防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画あるいは防衛白書等、防衛省が国民向けに説明する文書には「宇宙作戦」なる用語はありません。どうも自衛隊内の部内用語のようです。トランプ政権が宇宙軍をもうけることを打ち出していますが、宇宙での日米一体作戦にむけた研究ということでしょうか。

 2018年度の自主研究は「多国間の共同(連合)作戦に指揮権等が及ぼした影響に関する調査研究」です。統合幕僚学校長が決めたテーマとのことです。これは、部外委託研究で、株式会社エヌ・エス・アールが委託先です。この会社は、元幕僚長が取締役会長をつとめるなど、自衛隊OBが役員に名をつらね、日本安全保障戦略研究所がああります。

 研究テーマからして、多国籍軍との共同作戦の課題についての研究ということですが、いったい、なぜ、いま、「多国間の共同(連合)作戦に指揮権等が及ぼした影響に関する調査研究」なるものをはじめたのか、いかなる事態を想定しているのか。4月26日の外務委員会で防衛省に問いましたが、どの国も一国では守れないなど、抽象的な説明がかえってくるだけで、なぜ、いま、はじめたのかという具体的な説明はありませんでした。

 現実には、安倍政権のもとで、安保法制が制定され、集団的自衛権の行使や重要影響事態、国際共同対処事態での後方支援など、アメリカにとどまらず、同盟国ではない国との共同作戦、後方支援などに道が開かれました。そして、この間、同盟国ではない、オーストラリア、イギリス、フランスなどとのACSA(物品役務相互提供協定)が次々締結されています。そして、これらの国は最近、南シナ海などアジアでの活動に、乗り出してきています。対中国などを念頭に、多国間共同作戦を考えているということでしょうか。

 この委託研究についての、仕様書をみると、冷戦終結後の軍事作戦が調べる対象ですからイラク戦争やアフガン戦争などでしょう。そして、共同作戦をすすめるうえでの課題について、指揮権や装備、さらには政策や法制度まで調査の対象としています。多国籍の軍事作戦への参加のために、新たな法改正まで視野に入れているということでしょうか。