5月17日 財務金融委員会 法案が可能にする、口座情報など金融機関のもつ個人情報の第三者提供は、漏えいと金融被害・消費者被害の増大の危険がある

 「銀行がもつあなたの資産情報、決済情報が第三者に提供ができるようになります」、いま国会で審議されている資金決済等改正案の内容です。金融機関(銀行、証券会社、保険会社)がもつ個人情報の第三者への提供が金融機関の業務に加えるというのです。

 5月17日、衆院財務金融委員会で、審議されました。懸念をもつ委員はいて追及してほしいという他の野党の議員も声をかけてきましたが、実際にこの日、法案のこの点について追及したのは私だけでした。

 銀行の持っている個人情報というのは、口座の残高はもちろん、様々な引き落とし、振込などお金の流れ、また、ローンにかかわる情報、さらには、投資信託の購入履歴など。取引企業の情報はもっと細かな情報もあるでしょう。保険会社のもっている情報はさらに健康にかかわる情報、事故歴、病歴などもあるでしょう。証券会社も取引にかかわる情報をもっています。

 もちろん第三者への情報提供は、本人同意が前提ですが、そのためには、どのような情報が、どこに対して提供され、どう利用されるのか、提供される本人の合理的想定の範囲内でなければなりません。これは個人情報保護の大原則です。しかし、提供される情報には、金融機関が分析・プロファイリングした付加価値情報も入るというの政府答弁でした。つまり自分のしらない自分の情報も提供されます。提供先も、ひとつひとつの会社を列挙して同意を求める必要はないというのが政府答弁。さらに利用目的も具体的でなければならないといいますが、本人の合理的想定の範囲内でとどまる保障はありません。

 しかも、同意の形式は、スマホのボタンのワンクリックも否定しないというのが政府答弁です。高齢者保護の特別の手立てをとるわけでもないというのが政府答弁です。

 ただでさえ、保険販売、投資信託の販売など金融被害は高齢者が多く、その他の消費者被害でも高齢者多い現状で、金融機関の顧客情報の第三者提供がおこなわれれば、高齢者らがターゲットになる被害がふえる懸念があります。

 さらに、スマートフォンの位置情報と金融機関の情報を結びつければ、カジノやパチンコ店にいる人に対して、サラ金やカードローンの広告をうつビジネスが可能になる危険性もあり、多重債務の被害も広がりかねません。

 5月17日の衆院財務金融委員会の採決では、ただひとりでしたが、反対の態度をとりました。この問題は、被害がでないよう監視が必要です。

≪2019年5月17日 第198回衆院財務金融委員会第14号 議事録≫

○坂井委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。本法案は、金融機関の持つ個人情報を第三者に提供できるようになります。まず、大臣に基本的な原則を確認したいと思います。金融審議会の金融制度スタディ・グループで、個人情報保護委員会事務局参事官の佐脇氏は、世界に共通する基本的、原則的な考え方として、情報を提供する本人にとって想像可能な範囲で使われるといいますか、本人の期待が満たされるような形式で使われるというのが大原則、こう述べておられます。この原則について、大臣の見解を伺いたいと思います。
○麻生国務大臣 金融審議会におけます佐脇オブザーバーの発言ですけれども、これは、議事録にありますように、個人情報が情報を提供する本人が想像可能な範囲で使われる、あるいは本人の期待が満たされるような形で使われるというのが世界に共通する個人情報保護政策の原則である、こう述べておられるというものだと考えておりますけれども、これはいずれにしても個人情報保護法にあるとおりでありまして、個人情報は、個人の人格を尊重するという理念のもとで慎重に取り扱われるべきものでありまして、適正な取扱いを図る必要があるものだ、さように考えております。
○宮本委員 提供先の第三者の範囲や利用目的、これは、提供する本人の合理的想定の範囲内であるべきだというのがやはり大原則だと思うんですよね。ですから、この原則に立てば、どういった情報が誰に提供され、どう使われるのかという認識は提供する本人と共有される、これが大前提になると思います。そこで、一つ一つ確認していきたいと思います。情報提供できる金融機関が保有する情報、データとは具体的にどういうものなのか、例示をしていただきたいと思います。また、金融機関で分析した付加価値顧客情報は第三者提供の対象に含まれるのか。さらに、金融分野における個人情報保護に関するガイドラインの第五条では、要配慮個人情報、労働組合への加盟、門地、本籍地、保健医療及び性生活に関する情報などの機微情報は、原則、取得、利用又は第三者提供を行わないとなっておりますが、この法案では機微情報が第三者提供の対象に含まれるのか。三つまとめてお答えいただけるでしょうか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。今御指摘の、まず、データ、情報の種類、中身でございます。例えば地域銀行を例にとりますと、地域銀行が地元の企業の事業性評価に用いているようなデータ、あるいはビジネスマッチングなどの経営支援に用いているような情報をいろいろたくさん収集し、二つ目の御質問と関連しますけれども、これを例えば銀行の中でできるような分析をする、あるいは経営先の支援企業に提供したり、あるいは、ビジネスマッチングを行う、こういった目的で第三者に提供するというふうな材料があり得ると思います。この中には、例えば地域の経済状況、地域の物流の状況、あるいはそれにかかわる資金の移動といった情報が、目的とするような、例えば銀行業の高度化ということで、事業性評価の中身を高度化するとか、こういったものの関係で必要なデータなどが出てくるかと思います。その意味では、そういったものを分析したということで付加価値が上がっているような顧客情報も含まれるということかと思います。それから、機微情報といいますか、要配慮情報でございます。この法律は、個人情報保護法をオーバーライドする、あるいはひっくり返すという意図はございません、あくまで個人情報保護法の法律の適用にのっとって行うという趣旨でございます。
○宮本委員 資金の移動というお話がありましたけれども、確認しますけれども、銀行が持っている口座情報、預金残高だとか出入金の記録、決済情報、こういったものも第三者提供の対象には含まれるということですね。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。排除されるものではございません。ここで制約となっていますのは、銀行業の高度化あるいは顧客の利便性の向上に資するということで、漫然と単に名簿を売るみたいなことではなくて、こういった高度化という目的を持って何らか行っていくという過程で、その中身の、個々の情報の種類というものについて形式的あるいは画一的に、これはいいとか悪いとかという区切りはしてございません。
○宮本委員 排除されていないということですから、出せるわけですよね。個人が特定できる形で口座の情報も提供ができる。付加価値顧客情報、金融機関で分析したものも大丈夫だということですから、金融機関がプロファイリングして、例えば、この方はこれぐらいのハイリスク・ハイリターンの投資商品を好むだとか、恐らく、証券会社にしろ銀行にしろ、そういうのをいろいろ情報を持っていると思いますが、そういうものも含めて提供できるという理解でいいわけですね。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。その情報の使い方、提供の仕方ということでありますと、例えばハイリスク・ハイリターンの商品を適合性のないお客さんに売るためにこういったことをやるということでありますと、業務範囲規制を超えまして、そもそも業務のあり方として、例えば適合性の原則であるとか顧客本位の業務運営の方針に反するということになりますので、ここはあくまで、業務範囲規制で銀行が極めて限定的な業務しかできないというふうに整理しているものとの関係で、今のITあるいは技術革新の中でどのように銀行業務が行えるようにするかということでございます。おっしゃっているような、もし非常に顧客本位でない、あるいは顧客を害するような行為を目的とすることであれば、それは銀行法の本来の趣旨に立ち返って、そこはしっかりモニタリングし、必要であれば対応していくということを考えております。
○宮本委員 しっかりモニタリングして対応するということですけれども、法律上は、排除される規定というふうになっていないんじゃないですかね。さらに、付加価値顧客情報といった場合は、それこそ、それぞれのところでプロファイリングされていて、自分で知らない自分の情報というのも当然入ってくることになると思います。次に行きますけれども、では、提供先の第三者、これは制限はあるんですか、ないんでしょうか。例えば、消費者金融業者、パチンコ、カジノ運営業者、こういうところに提供できるのか、できないのか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。現在、情報技術革新が飛躍的に発展しておりまして、大変変化が激しいものですから、具体的な商品、サービスの提供形態がなかなか直ちには予測がつかないところがあります。こうしたことから、具体的なデータの種類だけでなくて提供先についても、この法律の中で、画一的あるいは形式的に特定の業態あるいは形態を個別列挙する形で、これはいいとか、これがいけない、こういうふうな個別列挙の規定の仕方はしてございません。でございますので、個別の業態の御質問でございますが、これを一般論に置きかえてお答えさせていただきますと、金融機関が、例えば社会的な要請が明らかに認められないような、そういう情報関連業務を行うということがあれば、これは、今回の法律改正が銀行業の高度化、利用者の利便性の向上に資する情報の提供ということですので、今回の改正の規定の趣旨に反するのではないかというふうに考える次第でございます。
○宮本委員 私は個別に挙げて質問したのに一般論でお答えになるということは、一般論として当てはまる場合もあれば当てはまらない場合もある、場合によってはこういうところにもあり得るというふうにしか聞こえない答弁ですね。次にお伺いしますが、情報の取扱いのルールについて、もともと金融機関には多くの一般事業会社よりも厳格なルールが適用されておりますが、その理由について述べていただけますか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。先生御指摘のとおり、金融機関につきましては、まず、個人情報保護法のもとでも金融分野のガイドラインというものがございまして、一般的な事業会社に課されるルールに上乗せする形で厳格ないろいろなルールが定めてございます。また、銀行法を始めとします各金融関連業法の法律、それから監督指針、業界の自主ルールにおきましても、顧客情報の漏えい防止のためなどの体制整備といったさまざまな措置が設けられているということで、上乗せの厳しい規制がされております。この趣旨でございますけれども、金融機関の業務の公共性、そしてその取り扱う個人情報の性質、利用方法などに鑑みますと、個人情報について特に厳格な措置が求められるのではないかという趣旨というふうに理解してございます。
○宮本委員 銀行やあるいは保険会社が持っている情報というのは、資産などの情報だとか、あるいは健康に関する情報なんかも持っているわけですね。公共性に鑑みて、そういうものはとりわけ厳格に扱わなきゃいけないということになっていると思うんですよね。心配なのは、銀行の情報が第三者に提供されるという中で、多くの預金を保有する高齢者がターゲットにされるという事態が生まれないのかということです。最近見たニュースでは、日本郵便は、新規の保険勧誘で苦情が殺到して、八十歳以上への勧誘を自粛するということを決めたというニュースがございました。郵便局の窓口あるいは訪問先での保険販売で、商品を理解しないまま契約してしまうケースが相次いだからであります。一五年度から三年間で一万九千件もの苦情が寄せられたと。国民生活センターのいろいろな統計資料を見ましても、消費者被害あるいは金融被害、一番多い世代は七十代以上ということで、高齢者になっているわけですね。そこでお伺いしたいんですが、個人情報の第三者への提供について、今回、特別に高齢者保護の手だてというのはとられるんでしょうか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。まず、高齢者保護の特別な手だてでございますが、今のこの法案の中身におきまして、例えば何歳以上といった画一的な基準で、個別にこの情報を提供してはいいとかいけないといった規律を盛り込んではございません。むしろ、その情報の性質、あるいはその利用目的、そして、それをお客さんにどう説明し、お客さんがどう理解されていると認められるかといった、そういった業務のプロセスで、金融機関においては、これらの個人情報保護法そして銀行法等々の関連業法を踏まえて、その厳格な規律のもとで、顧客本位の業務運営、あるいはその法律上の顧客保護の観点から適切な配慮を行って取引が行われるべきものだと考えております。そのためにも、現在、既に金融関係業法におきまして、個人情報保護の上乗せルール、そして関連業法における高度なルールというのを設けている次第でございます。こうしたものがきちっと守られていくのかについて、私どもとしてもしっかりモニタリングしてまいりたいと存じます。
○宮本委員 しっかり守られていないから、高齢者の金融被害がたくさんたくさん毎年報告されて、金融庁にも相談室に寄せられているということだと思うんですよね。その上、今度は資産情報まで第三者に提供されていくということになったときに、もっと被害がふえる可能性というのは当然懸念されるわけですよ。ところが、新たな手だてをとるわけじゃないと。大変心配ですね、これは。それから、次に行きますが、金融分野における個人情報保護に関するガイドラインは、第三者提供についての同意を得る際には、原則として書面で、1個人データを提供する第三者、2提供を受けた第三者における利用目的、3第三者に提供される情報の内容を本人に認識させた上で同意を得ることを定めております。本人にとっては、誰に何のために何を提供されるのか認識するということが大変重要なわけですが、まずお伺いしたいのは、ここで言う第三者とは、提供する企業単体のことを指すのか、あるいは企業グループでも構わないのか、それとももっと抽象的なものが書面に書き込まれているというのでも認められるんですか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。個人情報保護法のもとのガイドラインでございまして、この個人情報保護法、原則、企業グループ内の情報提供であっても、法人格が異なれば第三者であるというふうに観念されるというふうに解釈しております。したがいまして、お尋ねの第三者につきましては、必ずしも提供する企業単体のみならず、企業グループの中の別法人も排除され得ないということとなります。それから、個人の同意をとるに当たりまして、この第三者の範囲につきまして、本人がどの事業者に提供されているのかということが判断できるように情報の提供先を明確にするということに加えまして、提供される情報の内容、そして提供先における利用目的を本人に認識させた上で同意を取得するということをこのガイドライン上、求めてございます。
○宮本委員 提供先を明確にするといった場合に、○○社、○○社、○○社、○○社というふうに全部並べて書くのか、提供先ですよ、あるいは、○○企業グループというのが並んでいるのか、あるいはもっと抽象的なものでいいのか、そういう質問をしたんですが。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。これは、個人情報保護法のガイドラインあるいはその解説を拝見しますと、具体的に全ての企業名を書かなければならないということでもないんですが、抽象的であっては決してならない。どういったことに使われるのかということが、情報を提供している、出した側の人間が合理的にわかるようなものである必要があるということで……(発言する者あり)失礼しました、望ましいでございます。ということと理解してございます。
○宮本委員 だから、全ての企業名を書かなくてもよくて、でも抽象的じゃだめということを言いますけれども、どこまで自分の情報が使われるのかというのを本人が理解しようと思ったら、全部利用先を書かないと、本人が理解できる想定内にとどまらないじゃないですか。想定外までどんどんどんどん使われることになっちゃうんじゃないでしょうか。この点も大変不安ですね。さらに、時間がないので次に行きますけれども、この利用目的や情報の内容というのはどのようなことを示せばいいのか。これは具体的にどこまで明示されるのか。これもお答えいただけますか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。この御質問につきましても、抽象的ではいけないということになってございまして、単に、例えば自社の所要の目的で用いるというのではいけないということでございます。例えば、当社の預金の受入れなどとか、金融機関が提供する商品やサービスの内容を示すということでございます。また、銀行法や各業法の監督指針あるいは業界の自主ルールにおきましてもいろいろな措置を講じているところでございまして、こうしたことの具体的な内容でございますが、技術革新に基づいて新たなやり方が行われていくということになりますと、個人情報の量とか性質が変わっていく、拡大あるいは増加、高度化していくということになれば、これに応じて管理体制も強化していく必要があるということでございまして、こうしたことについてきちんと対応していただくという必要があるということでございます。
○宮本委員 金融庁の今のガイドラインの範囲だと、当社又は関連会社、あるいは提携会社の金融商品・サービスの販売、勧誘、この程度でいいと書いているわけですね。だからここが、会社のところがもっと漠となる。さらに、サービスの販売、勧誘なんて書いたら、何だって使えるということになっちゃうんじゃないですか。ですから、本当に情報提供者の想定の範囲内ねということを大原則にするんだったら、もっと厳格にしなきゃいけないというふうに私は思いますよ。それから、本人の同意は、一度得たなら、同じ利活用なら再度同意を得る必要はないのか、利用目的が変わったときというのは再度同意をとるのか、お伺いしたいと思います。
〔委員長退席、越智委員長代理着席〕
○三井政府参考人 お答え申し上げます。金融機関は、既に同意を得た情報の提供先であるとかあるいは提供される情報の内容に変更がある場合には、再度同意を取得する必要があるというふうに考えております。また、利用目的を変更する場合は、変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲内でなければならないということで、それを超えてしまってはいけないということ、それから、変更した場合には、変更された利用目的につきまして、本人に通知するか公表しなければならない。それから、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱う場合には、改めて本人の同意を得なければならない。これはいずれも個人情報保護法の規律であるというふうに理解してございまして、これらに従っていただく必要があるというふうに考えております。
○宮本委員 それからあとは、形式的に本人の同意がとれましたということがあっても、本当に本人がその内容を理解しているかどうかというのは、どう確認するんですか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。本当に理解しているかどうかという確認でございますが、これをできるだけ客観的に判断するとしますと、例えば取り扱う情報の性質や利用目的、あるいは利用者への説明の態様、様子であるとか、これまでの利用実績とか、こういったことを総合的に勘案して、合理的に見て利用者が理解しやすいような形でまず説明が行われ、これを見て同意をしているのかといった、こういう態様を見て判断するということが考えられると思います。
○宮本委員 大変抽象的な説明で、今のでは、本当に本人がどこまで内容を理解しているのか、確認をどうしているのかというのはよくわからないですね。まさか、スマホのボタンのワンクリックで同意ということにならないですよね。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。スマホのボタンのワンクリックという御質問でございますが、原則は書面による同意ということになっていますが、では、電子的な情報が一切排除されるものかという問題で考えますと、一切排除されるものではないのではないかと考えてございます。その上で、これが実際に、利用者、もともとの情報の出し主でございますけれども、その利用者の同意を得たものと実質的に見られるのかという観点から判断すべきものと考えます。
○宮本委員 驚きましたね。スマホのボタンのワンクリックでもあり得るんだという話で、ここにいる皆さんもパソコンを使っていて、いろいろなときに同意というのでぽちっとやるけれども、あれ、文章を全部読んで同意している人なんてまずいないですよ。それでいいなんというのは驚きの答弁だと言わなければならないと思います。ですから、本当に顧客の情報、金融機関が持っている顧客の情報というのは、資産だとか、本当にプライバシーにかかわる部分ですよね、健康情報だとか。そういうものの扱い方として、今のような説明ではとても納得しません。それからあと、現状のガイドラインに基づいて私も質問させていただきましたけれども、現状のガイドラインは、先ほどの川内筆頭からのやじというかサジェストもございましたが、こうしなさいじゃなくて望ましいという表現で書いてある部分というのも非常に多いわけですよね。ですから、同意のとり方というのは、この法案の是非とは別ですけれども、私の立場は反対の立場ですけれども、ガイドラインはやはり改定して、もっと厳格にしなきゃいけないと思いますが、その点の認識、いかがですか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。個人情報の保護のあり方でございますけれども、現在、個人情報保護委員会におきましても、さまざまな観点から議論がされていると承知してございます。現在、かつてのような時代と異なりまして、これだけのデータ社会になりますと、データが金融機関にだけ集中しているという状況ではなく、さまざまな場所に、さまざまな通信手段を通じて情報がやりとりされ、さまざまな場所に蓄積されている中で、金融機関は、もちろん先生御指摘のとおり、悪用されれば大変な社会問題であり、また利用者に対するよからぬ影響があるわけでございますが、うまく使うことによって、より金融の仲介機能が発揮される場合、あるいは今まで提供されない仲介サービスが提供できる可能性を求めて、さまざまな取組をしていらっしゃる方々もおられると承知していまして、いい形で進むというものとしっかり利用者の保護が図られていくということのバランスについて、私どもも実態を一生懸命把握しながら、よりよく改善していくべく議論をしてまいりたいと思います。
○宮本委員 ガイドラインをよりよく改善するということですね。もう一度確認します。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。ガイドラインということがいいのか、あるいは、現在、従来型の検査マニュアルではなくて、今後の金融機関のモニタリングについてのさまざまなディスカッションペーパーであるとか問題提起とかを、今までとは違った形でさせていただいております。今回、法律改正をお願いしてございますので、この法律改正が認められました暁には、この改正された法律についてどのように行政対応していくのかということについても、どういうふうにしていくのか、形式も含めて考えてまいりたいと思います。
○宮本委員 私は法案反対の立場ですけれども、いずれにしても、現状でも緩いこのガイドラインをもっと厳しくしなきゃいけないということは申し上げておきたいというふうに思います。さらに、時間がなくなってしまいましたので、ちょっと問いを当初よりも飛ばしてお伺いしたいと思いますが、今回、いろいろな金融機関の持っている情報を第三者に出せるということになるわけですが、スマホの位置情報などに加え、金融機関が持つ金融資産あるいは取引情報などが加われば、例えば、カジノ、パチンコ店にいる人にサラ金やカードローンの広告を打つようなことも技術的には可能になるというふうに思いますが、特定の消費者の脆弱性につけ込むような広告の手法について、こういうものが許されるのかという点について麻生大臣の見解をお伺いしたいと思います。
 〔越智委員長代理退席、委員長着席〕
○麻生国務大臣 一般論として申し上げれば、いわゆる事業会社が情報とかデータとかいうものを活用して、消費者のそれぞれの好みとか年齢とか家族構成とかいろいろなものに応じて、ターゲットを絞って商品とかサービスとかいうものの広告を行う、これはもう従来広く行われてきたものだと承知をいたしております。こうしたターゲティングというものは、例えば、消費者一人一人がそれぞれに適した商品とかサービスとかいうものの提案を受けることができるという利点におきましては、利用者の利便に資するという面もあるんだと考えておりますが、例えば、今ちょっと例が出ましたが、貸金業者が情報とかデータとかいうものを活用して、ギャンブル等依存症のいわゆる蓋然性が高いとか借入れの実績が多い消費者をターゲットに絞って、融資に関する広告を行うというような話を多分想像しておられるんだと思いますが、それは今回の改正とは全然無関係に問題でして、貸金業者によるこうした不適切な広告につきましては、法令上、禁止等の規定が既に設けられておると理解しております。いずれにしても、我々といたしましては、金融庁としてはということですが、この金融分野においても、消費者の脆弱性につけ込むような不適切な広告とか勧誘とか、そういったことが行われることのないよう、引き続ききちんとして、努めてまいりたいと考えております。
○宮本委員 貸金業者だけじゃなくて、銀行のカードローンも今物すごい問題になっているわけですね。銀行がそういう広告を打つということも可能性としては出てくるんじゃないかというふうに思いますので、そういうところまでやはり考えなきゃいけないんじゃないかというのは問題提起をしておきたいと思います。あと、時間がないので、最後にお伺いしたいと思いますが、今、個人の信用力を数値化するスコアリングというのが広がっております。このスコアリングの情報が社会生活で活用が進めば、点数が高いほど恩恵がもたらされる一方、低いスコアの方があらゆる機会から排除され、バーチャルスラムと呼ばれる新たな貧困が広がって、人権にかかわる問題となる可能性があるとの指摘がございます。この問題について、金融庁としての考え、そして対策について伺いたいと思います。
○栗田政府参考人 お答え申し上げます。委員御指摘のように、我が国の金融機関におきましても、スマートフォンなどを通じて、個人のお客様から取得したさまざまな情報をAIが分析して、個人の信用力を点数化、スコアリング化して、スコアを融資などに活用するという動きがあることは承知しております。また、こうした動きが広がっていきますと、一定のスコアを満たさなければ融資を否決されるなど、個人が社会生活におけるさまざまなサービスから画一的に排除されるおそれがあるという御指摘があるということも承知しております。現状、我が国におきましてスコアリングの普及はまだ限定的でございまして、御指摘のような問題が具体的に生じているということまでは認識しておりませんけれども、当庁といたしましては、引き続き、金融機関によるスコアリングの活用や普及状況、それから社会への影響を注視していくとともに、金融仲介機能の適切な発揮あるいは顧客保護などの観点から、適切な監督に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○宮本委員 アメリカや中国はこれが大変進んでいるわけですよね。一定のスコアがないとお金が借りられない、あるいは部屋を借りるのも大変だということも起きていますね。さらに、これが就職なんかにも活用されていったら就職もできなくなる。ですから、いろいろな情報をひもづけていくというのは大変な問題を引き起こす可能性があります。アメリカでは、州によっては人事採用にスコアリング情報の利用を禁止する州法をつくっているところもありますし、ヨーロッパのGDPRでは、人間を介さない自動的な判断によるプロファイリングに関するものについては本人に異議を述べる機会を与えるという形で規制を入れているところもあります。そういうところの規制の例なんかも学びながら、本当に今回の法案でいろいろな情報のひもづけが進んでいくことの危険性というのがどこにあるのかというのをしっかり見ていかなきゃいけないということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。