5月21日 財務金融委員会 総理主催「桜を見る会」 招待の内訳の資料破棄

 総理主催「桜を見る会」の支出が安倍政権のもとで年を追って膨張し、昨年は国会で承認された予算の計上額の3倍にのぼっていたことが、5月13日の決算行政監視委員会での追及で明らかになりました。原因は、参加者の急増。これまでメディアに対して、内閣府は、「家族の帯同が増えている」などと説明してきましたが、本当か? 5月21日、財務金融委員会でただしました。

 まず内閣府が定めている「桜を見る会」の開催要項ではどうなっているのか。内閣府の答弁は、毎年、1万人を目安、となっているとのこと。私の手元にある開催要項では「約1万人」となっています。

では招待状をいったい何人にだしているのか。内閣府の答弁では
2014年 1万2800人
2015年 1万3600人
2016年 1万3600人
2017年 1万3900人
2018年 1万5900人
2019年 1万5400人
 とのこと。文書保存期間が5年で、2013年以前はわからないとの答弁。(本当はあるのではないかと思いますが)

 実際の参加者は
2019  18200
2018  17500
2017  16500
2016  16000
2015  15000
2014  14000
2013  12000
2010  10000 鳩山政権
2009  11000 麻生政権
2008  10000 福田政権
2007  11000 第一次安倍政権
2006  11000 小泉政権
2005   8700 小泉政権

 照らし合わせれば、招待状をおくっている数を増やしていることが、参加者が急増している大きな原因であることははっきりしています。
 さらに2019年は、これまで単独で招待されていた方が、番組「出演者全員で」などという招待を受けていたことも明らかになっています。

 なぜ、招待者が増えているのか。「各省庁の意見をきいて内閣府、内閣官房でとりまとめた結果として」との答弁。

 これは官邸からの招待者推薦リストが増えているのではないか。内閣府からききとったという、メディアの報道では「与党の推薦者もおり、人数は与党絡みが多い」ともあります。

 どこの府省からの推薦リストが増えているのか。ときくと、なんと内閣府は「答弁をさしひかえたい」といいます。
 開催要項の人数も、計上予算も無視して、招待者を増やしておきながら、国会に説明しないなど許されないと追及すると、「資料は破棄をした」との答弁。今年の分も「破棄をした」とのこと。「保存期間1年未満の文書だ」

 どこかで聞いたことのあるセリフがまたでてきました。森友疑惑、加計疑惑、安倍・麻生忖度道路などの追及で、政府からでてきたセリフです。

 会計検査もおわっていないのに資料を破棄した、しかも担当者が次々いれかわる霞が関で、翌年などへの引き継ぎを考えても、資料を破棄したという説明はとても納得できるものではありません。

 国民に説明したくないこと、もっといえば政権が隠したいことは、資料を破棄をする、ということなのかといぶかってしまいます。

≪2019年5月21日 第198回衆院財務金融委員会第15号 議事録≫

○坂井委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。まず初めに、先週、決算行政監視委員会で取り上げました安倍首相主催の桜を見る会についてお伺いします。支出が大変膨張し、予算計上額の三倍の支出になっているという私の質問、メディアでも報じていただきました。招待客は、安倍政権、以前は一万人前後だったのが、ことしは一万八千二百人。予算額は一千七百六十六万だったのが、年々支出が膨らんで、昨年は五千二百二十九万円ということであります。まずお伺いしますけれども、ことしの桜を見る会は、開催要項では招待人数は幾らと定めていて、そして、実際、招待状を出した数というのは幾らなんでしょうか。
○井野政府参考人 お答えいたします。桜を見る会の招待者数についてでございますけれども、開催要項におきましては、これは毎年でございますけれども、約一万人ということで、目安として書かせていただいているところでございます。一方、ことしの実際の招待者数でございますけれども、約一万五千四百人というふうになってございます。
○宮本委員 一万五千四百人。ちょっと過去をさかのぼって、この五年間ぐらい、招待状を出した数、教えていただけますか。
○井野政府参考人 過去五年間、さかのぼって申し上げます。平成二十七年でございますけれども約一万三千六百人、平成二十八年、約一万三千六百人、平成二十九年、約一万三千九百人、平成三十年、約一万五千九百人でございます。平成三十一年は、先ほど申し上げたとおりでございます。
○宮本委員 二〇一五年、一万三千六百人。もっと前はどうでしたか。二〇一五年より前の数字はありますか。
○井野政府参考人 この関係の行政文書が保存されているのが平成二十六年以降でございますので、もう一年だけさかのぼることができます。平成二十六年は約一万二千八百人でございます。
○宮本委員 二〇一四年、一万二千八百人。多分、その前はもうちょっと少なかったんじゃないかという気も私はします。参加人数は、二〇一三年は一万二千人だったんですね。それ以前は一万一千人とか一万人だとか、あるいは一万人を欠けるときもあったと思います。麻生大臣のときも、いらっしゃったのは一万一千人だったかというふうに思います。どんどんどんどん、安倍政権のもとで、計上予算は変わらない中で、招待状を出す数がふえているわけですよね。これは一体全体、何でこんなにふえていったんですか、招待する数が。
○井野政府参考人 お答えいたします。桜を見る会には、外交団、国会議員、都道府県知事、議長を始め、各界において功績、功労のあった方々を、各府省庁からの意見等を踏まえ幅広く招待しておりますが、内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめているところであり、結果的に招待者及び参加者がふえたものでございます。
○宮本委員 いやいや、結果的にふえたというんじゃ全然説明にならないでしょう。大体、開催要項は毎年一万人目安というふうに書いているわけでしょう、一番初めの答弁では。だったら、その一万人にふさわしいように各省庁に配分をして推薦してもらうというやり方を普通はやるものだと思うんですが、なぜそれが結果的にふえたんですか。そのからくりを教えていただけますか。
○井野政府参考人 からくりというものがあるわけではございませんけれども、先ほど申し上げましたとおり、各省庁からの意見等を踏まえまして、内閣官房及び内閣府におきまして最終的に取りまとめているところでございまして、結果的に招待者及び参加者がふえたものでございます。
○宮本委員 確認しますけれども、各省庁に対して、これぐらいの規模でというものというのは、一万人という目安があるわけですから、当然出していると思うんですけれども、そういうものはないんですか。
○井野政府参考人 各省庁に対しまして、一律の基準はお示ししておりません。
○宮本委員 では、一万人を目安なんというのは全然ないわけですね。どんどんどんどんふやしてくださいということでやってきたということですか。ちょっと確認しますけれども、では、二〇一四年、一万二千八百人に招待状を出したのが、この二年は一万五千何百人まで出しているわけですけれども、とりわけ招待状を発送するところがふえた省庁はどこですか。
○井野政府参考人 特段、各省庁に枠というものを設けているわけではございません。各省庁からの御意見等を踏まえまして、最終的に内閣官房及び内閣府で取りまとめを行っているところでございます。
○宮本委員 ですから、私が聞いているのは、各省庁から上がってくるのでしたら、その取りまとめの際に、とりわけたくさん推薦がこの間ふえているところがあるんじゃないですかというのを聞いているわけですよ。
○井野政府参考人 招待者取りまとめの過程におけます詳細につきましては、御回答を差し控えさせていただきたいと存じます。
○宮本委員 おかしいじゃないですか。そんなの、答えられない話じゃないでしょう。予算の三倍もの支出を行っているわけですよ。国会に対して説明していた三倍もの支出をどんどんどんどん膨らませて、しかも、開催要項は毎年一万人規模と言いながら、どんどんどんどん招待者をふやしていっている。どこの省がふえたんですか、答弁は差し控えたい、そんな説明、国会に対して成り立つはずがないじゃないですか。委員長、答弁させてください。
○井野政府参考人 どこの省庁からということをしっかり全て把握しているわけではございません。各省庁からの御意見等をいただきながら、内閣官房及び内閣府で最終的に取りまとめているところでございます。
○宮本委員 ますますわからない答弁ですね。さっきは各省庁から取りまとめた数だと言って、今度は各省庁のものがよくわからないと。一体全体どうやって招待状を出す仕掛けができているのか、私には全く理解できないですね。きょう参加されている委員の方も、全く理解できないんじゃないですか。説明になっていないと思いますよ。委員長も同じ思いだと思います。
○坂井委員長 井野官房長、説明をお願いをいたします。
○井野政府参考人 各省庁からの数というものは、資料が残ってございません。
○宮本委員 各省庁からの資料は残っていない、それはあえて破棄をしたということなんでしょうかね。一体全体、予算計上額とも違うお金をどんどんどんどんふやし続けているわけですよ。開催要項では一万人と。だけれども、招待状はどんどんふえていて、その資料も残っていない。こんな説明、国民に対して通るはずがないと思いますよ。大臣、ちょっと、こんな説明はとても納得できないと思いますが、麻生大臣、いかがですか、予算の執行のあり方として。
○麻生国務大臣 これは、財務省の話というより、執行されている役所はどこですか。内閣府ですか。(宮本委員「内閣府です」と呼ぶ)では、内閣府に聞かれた方がいいんじゃないですか。
○宮本委員 いや、予算をつけているのは。財務省がつけた予算以上のものを内閣府が出しているわけですよ。財務省の査定がなめられているという話じゃないですか。財務省が認めた予算と全然違う使われ方をしている。これは内閣府に聞いてくれという話じゃないと私は思いますよ。大臣もそこはアンタッチャブルにしなきゃいけないのかな、そういう話なのかというふうに私も思ってしまいますけれども、私、ことしのリストは少なくともあるはずだと思いますよ。どの省庁から推薦が何人あったのかというのは残っているはずだと思いますよ。それももう破棄しちゃったんですか。
○井野政府参考人 桜を見る会に関しますこうした資料につきましては、一年未満の文書というふうに整理させていただいておりまして、ことしの資料につきましても、もう既に開催が終わりましたので破棄させていただいております。
○宮本委員 とんでもない話ですよ。これはちょっと、私、きょうは会計検査院を呼んでいないですけれども、会計検査院にもお願いしなきゃいけないような話じゃないですか。予算と全く違う支出を行って、その書類は、メディアに取り上げられたからかどうか知らないですけれども、恐らく、過去にさかのぼって全部破棄したことにしよう、そういうふうにしているとしか私はとても思えないですよ。報道を見ますと、内閣府によると関係省庁が各界各層から推薦する以外に与党の推薦者もおり人数は与党絡みの方が多いというと。内閣府は、こういうことなんですか、各界から関係省庁が推薦する以外に与党の推薦者もおり、人数は与党絡みの方が多い、これはメディアに対して内閣府が回答しているようなんですけれども、このとおりですか。
○井野政府参考人 報道等がどのようにそのようにされたのかにつきましては、承知しておりません。
○宮本委員 いや、報道がどうされたかじゃなくて、報道の中身が事実かを聞いているんですよ。与党の推薦者もおり、人数は与党絡みの方が多いというのは事実ですかと。
○井野政府参考人 招待者取りまとめの過程における詳細なプロセスにつきましては回答は控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、招待者につきましては、開催要項に基づきまして、各省庁からの意見等を踏まえ、内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめているところでございます。
○宮本委員 では、各省庁から意見等の等の中には、この報道のとおり、与党の推薦者もいるということでよろしいわけですね。否定されないということですね。
○井野政府参考人 各省庁からの意見をもとに取りまとめさせていただいております。
○宮本委員 では、その各省庁が意見を出す際に、与党の意見も聞いているというのもあり得るということですね。
○井野政府参考人 各省庁がどのように意見を出しているのかにつきましては承知してございませんけれども、我々といたしましては、各省庁からの意見等を踏まえまして取りまとめを行っているところでございます。
○宮本委員 否定されないわけですよね。ですから、内閣官房からの推薦リストには、与党関係の方からの推薦のものがたくさんあるんじゃないですか。先週、決算委員会でも取り上げさせていただきましたけれども、ネット番組の「虎ノ門ニュース」というのがあるそうですが、ことしは例年と異なり、ネット番組「虎ノ門ニュース」の出演者全員でというお招きだったため、虎ノ門ファミリーの皆さんとともに参加した、こういう参加の仕方になっているわけです。私たち国会議員のところに来るのは、ぜひ夫婦同伴でということしか書いていないですよね。皆さんのところに来るのもそうだと思いますけれども、私のところに来るのもそうですよ。こんな出演者全員でなんて、こういうやり方が一部の方にはやられているという話なんですね。私は、これは極めて不透明な基準でやられていると思いますよ。しかも、予算計上額は変えないまま、そして表向きの招待者数は一万人目安というのを決めておきながら、実際の招待状はどんどんどんどんふやしている、こういうやり方は改めるべきじゃないですか。
○井野政府参考人 桜を見る会を開催するに当たりましては、毎年、そのやり方、詳細を検討しているところでございます。来年度につきまして、適切に検討することになると思います。
○宮本委員 毎年検討して、来年度は適切にやるという、それだけですか。今のやり方が適切なんですか。一万人目安といって毎年確認しておきながら、基準不透明なまま招待客をどんどんふやして、予算の三倍も支出する。誰がどう考えてもおかしいじゃないですか。是正すると言ってください。
○井野政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、内閣官房及び内閣府におきまして最終的に取りまとめたところ、結果的に招待者及び参加者がふえたものでございます。毎年度、適切に対応してまいりたいと思います。
○宮本委員 まるで今までの対応がよかったかのような、とんでもない姿勢ですよ。私は、こういうやり方をしておいて、財政が大変だから消費税増税してくれというのは、絶対国民の理解は得られないです。それは強く申し上げておきたいと思います。それでは、続きまして、消費税の問題と景気認識についてお伺いしたいと思いますが、先ほど来、昨日発表のありましたGDPの速報値をめぐっての議論が続いております。議論を聞いておりますと、ファンダメンタルズはいいんだということをおっしゃいます。しかし、きのうのGDPの速報を見ましたら、家計消費もマイナス、設備投資もマイナス、輸出もマイナス。輸入は更にそれよりもマイナスになったから、これが押し上げ効果になったということですけれども、先ほどの麻生大臣の答弁では、この輸入のマイナスというのは、国内の生産の落ち込みの反映もあるんじゃないかというような答弁もされておりました。そうすると、本当にいいところがほとんどないというのが今度のGDPの速報値じゃないかというふうに思いますが、大臣に確認したいと思いますけれども、ファンダメンタルズはよいというふうに一方でおっしゃるわけですけれども、そのファンダメンタルズのよさというのは、今度のGDP速報値、どこかにあらわれていますか。
○麻生国務大臣 基本的に経済というのは、もろもろのものから判断をされて、総合的なものが最終的に出てくるので、一つ一つの事象を全部取り上げて、これがいいから、ちょっとこれは悪いからというようなものではなくて、全体的なものでやっていくということになりますので、財政で見ましても経済で見ましても金融で見ましても、少なくとも今GDPは伸びておる、つい六、七年前まではマイナスだったんですからね、伸びていますよ、間違いなく。そして、物価等々につきましても、マイナス、デフレーションではない。そして給与は上がっておる。企業収益は史上空前。納められている税収も二十八兆円伸びた。GDPも、間違いなく人口が減っているにもかかわらず伸びた等々、これはファンダメンタルズがいいと言わざるを得ないんじゃないでしょうかね。
○宮本委員 ですから、その大臣の言うファンダメンタルズのよさというのは今度のGDP速報値にはどうあらわれているのかというのを聞いているわけですよ。だって、消費はマイナスですよ、設備投資もマイナスですよ、輸出もマイナスですよ。輸入はもっと大きく下がったけれども、そこには国内の需要の落ち込みがあるだろうというのが、先ほど麻生大臣が、川内筆頭理事との間で議論された中でおっしゃっていたことですよね。そうすると、今度のGDP速報には、そのファンダメンタルズのよさというのは一体全体どこにあらわれているのかなと思うんですよね。その点、今度のGDP速報値との関係で説明していただけるでしょうか。
○麻生国務大臣 今申し上げたような数字で、ファンダメンタルズのどこの部分で、どこが悪くなって、どこがよくなっているかという話を個別にお聞きになりたいということが御趣旨のようですけれども、少なくとも今、それで出た金はどこに行ったかといえば、個人の貯蓄にたまっているんでしょう。個人貯金はふえていますからね、一千八百六十兆円。ふえているんじゃないですか。企業収益もふえているんでしょう、間違いなく。内部留保がたまりにたまって何十兆円と。だから、そういうところにたまっておるというので、ファンダメンタルズはその中にも入っていますから。だから、そういった意味では、どこがどうといって、そこが使われないところに問題がある。需要というものが喚起されてこない。金があっても、金を使おうという人がいないというところが問題なんだというように理解されたらいかがでしょうか。
○宮本委員 金があっても使わない、大企業は内部留保をためにためているというのは、ここでも何度も議論してまいりましたけれども、お金が回っていないわけですよね。そういう中で、消費は本当に低迷を続けているわけですよね。家計最終消費支出、持家の帰属家賃を除いたものを見ますと、季節調整の実質で見ますと二百三十七兆ということです。これは、安倍政権がスタートした直後の二〇一三年一―三月が二百三十八兆ですから、安倍政権がスタートしたときよりも実際の家計消費支出は減っているというのが、きのうのGDPの速報値の中でも出ているわけですよね。ですから、ファンダメンタルズはよい、よいということを言いますけれども、消費は低迷が続いている。とりわけ、私何度も議論させてもらいましたけれども、やはり二〇一四年に消費税を増税したことが実質の可処分所得を国民から奪っていった。その結果、消費の低迷が続いているということだと思いますけれども、違いますか。
○麻生国務大臣 前回の、消費税の三%の引上げのときに対して駆け込み需要というのがえらくたくさん出たというのは、宮本先生もよく言っておられましたよね。今回、駆け込み需要というのは今起きていますかね。(宮本委員「若干起きていますよ」と呼ぶ)今、もう五カ月前ですよ。あのときは、六カ月前からえらい騒ぎで起きていたじゃないですか。今回は、例えば住宅需要なんというのは、いろいろな会社に聞いてみても、住宅の駆け込み需要はまずありません、そう答えておられているのが現実だと思いますので、私どもは、そういった意味では、少し前回とは違った形になってきているので、間違いなく、我々としては、前回の反省に基づいて、消費の抑制傾向が見られたとか、また駆け込み需要の反動が大きかったということを考えて、少なくとも今回はそういった配慮をいろいろさせていただいているんだと思っております。
○宮本委員 駆け込み需要は、それは大きくは出ていないですけれども、私も、日銀のさくらレポートをずっと見ましたら、やはり各地の聞き取りの中では、住宅については駆け込み需要の発生を見越して早目に着工を行っているだとか、その手の駆け込み需要が少し始まっているだとか、そういう報告が、さくらレポートを見ますと出てきていますよ。今回、民間住宅、GDP速報でもプラスの一・一と出ていましたけれども、そこには、まだ全体ではないと思いますよ、大臣のおっしゃるとおり、まだ駆け込み需要は起きていないと答えている地域もありましたので。でも、実際は、一部では、駆け込み需要は住宅について始まっているわけですよね。それも入って、民間住宅のところはプラス一・一になっているということだと思うんですよね。ですから、それも除けば、今の消費状況というのは私は本当に惨たんたる低迷状況だというふうに思いますよ。それは、やはり紛れもなく、消費税増税が国民の可処分所得を奪ったということですよ。この上に消費税増税をかぶせたら、これは本当に取り返しのつかない事態が日本経済に起きるということになると思いますので、絶対中止すべきだということを強く申し上げておきたいと思います。その上で、もう一点、消費税にかかわってお伺いしたいことがあります。軽減税率の導入で、収入や経費に軽減税率八%対象項目があれば、区分経理をしてそれぞれの税率による仕入れ税額の計算が必要となります。ですけれども、これへの対応というのは大変おくれている状況にあります。四月十九日に大阪商工会議所が公表した緊急調査では、大体対応が済んでいると回答したのは一三%、たった一割強の企業しか対応を完了していない。増税までに完了できるかの問いに対して、完了できるは四割強だった。つまり、半分の企業が十月までに間に合わないということを言っているんですね。こういう状況を国税庁は把握されていますか。
○並木政府参考人 お答え申し上げます。御指摘の調査結果も含めまして、事業者の方々からのさまざまな声があるのは国税庁としても承知しておりますけれども、政府といたしましては、軽減税率制度の円滑な実施に向けて事業者の準備を促すため、周知、広報等にしっかり取り組むことが重要だと考えております。このため、国税庁といたしましても、軽減税率の適用対象品目や軽減税率制度に対応した請求書の書き方等について、具体的な事例に基づいて解説したQアンドAの公表、関係省庁や事業者団体、関係民間団体とも連携した形で五万回を超える説明会等の開催、電話相談に対応するための消費税率軽減税率電話相談センターの設置などのさまざまな周知、広報等の取組を丁寧に行ってきているところでございます。さらに、三十一年四月より、消費税率軽減税率電話相談センターについては、事業者の皆様にとってより利用しやすいものとなるよう、無料のフリーダイヤルを設けて対応を開始したところでございまして、説明会についても、今後、どの事業者でも参加できる説明会を全国で数多く開催することとするのに加えまして、事業者団体等における説明会においては、業種ごとの取引実態に即して丁寧に説明するなど、事業者の準備が具体的に進んでいくよう工夫して取り組んでいくこととしております。引き続き、関係省庁等と連携しつつ、着実な制度周知、広報や丁寧な相談対応などに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○宮本委員 同じ大阪商工会議所の調査では、約四割が現時点ではほとんど何もしていない、二割超が自社には関係ないと思っていたとお答えになっています。中身を見ていますと、当社は食料品等を扱っていないので軽減税率は関係ないと思っていた、あるいは、業者に会計システムの改修を依頼したが、業者が多忙で二カ月たっても連絡がない、こういった切実な回答も出ておりました。飲食料品だとかを売っていなくても、例えばお客用にお茶だとかコーヒーを買っているところ、あるいは資料用に新聞を買っているところはみんな必要になるわけですよね、この区分経理が。ですから、常識で考えれば、ほとんどの事業者は区分経理が必要だと思いますが、国税庁は課税業者のうちどの程度が区分経理をすることになるというふうに想定されていますか。
○坂井委員長 答弁は簡潔にお願いします、時間が過ぎておりますので。
○並木政府参考人 お答えいたします。軽減税率制度の対象品目の売上げや仕入れがある課税事業者は、御指摘のとおり、これまでの記載事項に税率ごとの区分を追加した請求書等の発行や記帳などの経理を行う必要がございます。御質問の区分経理が必要となる課税事業者数については、取引の実態や簡易課税の利用状況等にもよることから、確たることは申し上げられませんけれども、多くの事業者において対応が必要であると考えております。こうしたことから、広く課税事業者の方を対象として、国税庁といたしましては、先ほど申し上げたような取組を着実に実施することで、事業者の準備が円滑に進むよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
○宮本委員 多くの事業者が、やらなきゃいけないにもかかわらず、やれていないのが今の現状なわけですよね。私、実態調査をちゃんと国税庁としてやるべきだと思いますよ。こういう面からいっても、とても十月からの消費税増税などやりようがないということを申し上げまして、時間になりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。