来年度からの大学入学共通テスト 民間英語試験利用ノー 共産党申し入れ

 日本共産党国会議員団は17日、2020年度から始まる大学入学共通テストでの民間英語検定試験の利用の中止を求め、萩生田光一文部科学相あてに緊急の申し入れを行いました。畑野君枝、宮本徹両衆院議員、吉良よし子参院議員が参加。文科省高等教育局大学振興課の西田憲史課長が応対しました。
 畑野氏は、民間英語検定試験の多くは実用英語であり、中学・高校英語授業の基礎的な学習という本来の目的からかけ離れていると指摘。さらに、高額な受験料が低所得の家庭にとって大きな負担となることや、大都市にしか設置されていない会場の問題など受験機会の公平性が保障されていないと、利用の中止を求めました。
 西田課長は、それらの問題や試験時のトラブルへの対応について明らかにするよう高校や大学側からも要請があり、試験を実施する民間事業者に対策を検討するよう求めていると述べ、これらを通じて不安を解消していきたいと表明。一方でスケジュール通り実施する構えを崩しませんでした。
 吉良氏は、全国高等学校長協会から申し入れがあったにもかかわらず「検討したいというだけで問題が解決されないまま民間試験の申し込みを開始するというのはあまりにも無責任だ」と指摘。専門家や現場の声にしっかり耳を傾けるよう求めました。
 宮本氏は、「(朝日新聞などの共同調査で)大学側が65%も問題があると言っている状況のまま突入するなど絶対にあってはならない。日本の教育にも禍根を残す」と批判しました。
 申し入れの中で、西田氏は、試験の実施方法に大きな変更がある場合は2年程度前に予告・公表するよう大学側に求めた局長通知の存在を明らかにし、21年春の試験に向けて、「本来、今年の春には、民間試験を利用するかどうか大学が明確にすべきだったが、まだ決まっていない状況がある」などと発言。党議員は「大学の中には懸念や反対の議論があり、決められる状況ではない」「大学に無理に決めさせること自体が問題だ」「制度そのものの矛盾が露呈している」と指摘しました。
 大学入学共通テストへの民間英語検定試験の利用 2020年度から大学入試センターにかわって行われる大学入学共通テストで、英語の試験は民間の試験を利用します。英語の「読む・聞く・話す・書く」の四つの技能を評価するために、英検、GTEC、TOEFLなど六つの民間業者が行う資格・検定試験を受けて、その成績が各大学に提供され、合否判定に使われます。共通テストとは別に受験料がかかります。種類の違う民間試験を比べる不公平さや、民間試験のため試験会場が限られ、受験にかかる交通費など受験機会の公平性の問題が指摘されています。全国高校長協会は「延期及び制度の見直し」を求めています。TOEICは、処理の煩雑さを理由に参加を取り下げました。

以上2019年9月18日付赤旗日刊紙より抜粋