2019年10月11日 衆院予算委員会 消費税 ポイント還元は破綻 消費税5%に下げ経済活性化を

予算委員会提出資料① 東京の商店街でのポイント還元登録状況
予算委員会提出資料② 実質民間最終消費支出の推移
予算委員会提出資料③ 国の税収の推移
予算委員会提出資料④ 経常利益と法人税収
予算委員会提出資料⑤ 
予算委員会提出資料⑥ イージス・アショアの負担額

 日本共産党の宮本徹、藤野保史両議員は11日、衆院予算委員会の質問に立ち、それぞれ消費税10%増税、関西電力の原発マネー還流疑惑に対する安倍政権の姿勢をただしました。
 宮本氏は、安倍内閣が消費税10%増税の対策の目玉として打ち出したキャッシュレス決済によるポイント還元の破綻ぶりを具体的な実態を突き付けて明らかにし、「失政に失政を重ねて突き進むのでなく、消費税を5%に引き下げるべきだ」と迫りました。
 宮本氏が都内の商店街を調べたところ、ポイント還元への参加店舗は1~2割。安倍晋三首相が視察した戸越銀座商店街も20・7%にとどまっています。宮本氏は「決済手数料を少ない利益からもっていかれると生活できない」「日々の仕入れや支払いで現金が必要」「常連のお客さんはみんな現金。カードを使う人だけに値引きなんてできない」という中小業者の切実な声を紹介。ポイント還元に参加した店舗からも売り上げは増えず、手数料だけ増えて困惑の声があがっているとして、「中小企業支援策として破綻している」とただしました。
 菅原一秀経産相は「ポイント還元事業の内容を周知徹底させて普及できるよう努める」と述べるだけ。安倍首相も「消費の落ち込みには十二分な対策をとっている」と強弁しつづけました。
 宮本氏は、都内約100軒に話を聞いたところ、約2割が消費税増税による客足への影響を感じていると指摘。「大企業に力に応じた負担を求め、消費税を引き下げた方がよほど経済は活性化する」と、重ねて消費税の減税を求めました。

以上2019年10月12日付赤旗日刊紙より抜粋

≪第200回2019年10月11日衆院予算委員会第2号 議事録≫

○棚橋委員長  次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。大型で非常に強い台風十九号が接近しております。気象庁によれば、暴風雨、そして狩野川台風に匹敵する大雨も予想され、特別な警戒が呼びかけられております。政府においても万全の対策を講じられるよう強く求めておきたいと思います。まず、消費税について質問いたします。多くの国民が反対する中、消費税増税が強行されました。前回の増税からの消費不況が続く中での増税であります。本会議で我が党の志位委員長が、一〇%への増税は失政に失政を重ねるものだと批判をしましたが、それに対し、総理は、前回は対策が必ずしも十分でなかったが、今回は十二分の対策を実施しているところ、こう答弁されました。そのもとで今何が起きているのか、ここが問題です。廃業、倒産。大阪・八尾市の創業九十五年の酒屋はこうおっしゃっております。消費税増税に伴うレジとシステムの入れかえで百五十万円必要だったが、補助金は後払い、爪に火をともしている零細企業では払えない、創業百周年まではやりたかったが、やむなく廃業した、中小零細いじめではないか、こんな声は安倍さんには届かないかもしれないが、ぜひ伝えてほしいと。都内のある居酒屋さんからは、増税で水道代も原材料費も家賃も上がり、もうやっていけない、十二月で閉店する、こう聞きました。私の地元でも廃業の話を伺います。八日発表の帝国データバンクの小売業の動向調査によると、飲食店の倒産、最多更新の勢い、増税を機に廃業を検討する業者が増加しており、その結果倒産に至るケースも聞こえてくるとあります。消費低迷の中で懸命に努力してきた事業者の皆さんが増税により廃業する事態が全国で今起きております。総理、増税を強行して少なくない業者の皆さんを廃業に追い込んだ責任をどう感じておられますか。
○安倍内閣総理大臣 前回の消費税引上げの際には、耐久財を中心に大きな駆け込み需要と反動減が生じ、その後の回復にもおくれが見られるなど、結果として見れば、需要変動に対する対策が必ずしも十分ではありませんでした。今回は、もう御紹介いただきましたが、消費税率引上げに当たっては、こうした前回の反省の上に、教育の無償化や軽減税率に加えて、思い切ったポイント還元、プレミアムつき商品券、自動車や住宅に対する大胆な減税など、十二分な対策を実施しているところでございまして、これらの制度の円滑な実施に政府一丸となって対応することで、経済の大宗を占める国内消費をしっかりと下支えをして、景気の回復基調を確かなものとしていきたいと思います。
○宮本委員 その軽減税率や増税によって廃業が起きているんですよ。みずからが行った政策が国民に対してどういう痛みをもたらしているのか、余りにも無自覚過ぎるんじゃないですか。総理がさっきおっしゃいました、対策の目玉にしておりますキャッシュレスポイント還元、多くの高齢者の皆さんが使えません。スマホを持っていない、交通系ICカードはあるけれどもインターネットが使えないので登録できない、消費税はみんなが負担するのに、一部の人しか還元がないのは不公平だ、こういう声が広がっております。事業者の皆さんはどうか。総理は、ことし二月に戸越銀座商店街でキャッシュレスで買物され、こう言いました。この機会にキャッシュレスをしっかりと皆さん生かして頑張ってもらいたいと。私たち、都内のいろいろな商店街を調べました。戸越銀座商店街、商店会の名簿にある数は二百九十六店、対象外の金融機関や医療機関を除くと二百七十店、うちポイント還元の登録は五十六店、二〇・七%。都内の多くの商店街を調べましても、多くが一、二割の参加というのでこの制度はスタートしているわけですよね。清瀬駅の南口には三つの商店会があり、会員二百を超しますけれども、政府のポイント還元で登録されているのはコンビニ四店を含む三十店。参加は都内どこを見ても少数ですよ。総理、十二分の対策とおっしゃいますけれども、極めて部分にしかすぎないじゃないですか。
○菅原国務大臣 きょうで十一日目でございますが、五十二万軒の中小店舗の登録、そして実行になされています。これは、それぞればらつきがございますが、一日一万店舗ずつ申込みがございまして、現在八十七万になってございます。そのうちの五十二万軒が今実行にあらしめている状況の中で、一日一日しっかりとふえるように努力してまいります。
○宮本委員 今、数を言われましたけれども、八十七万店というのは経産省によるダブりがあるんじゃないですか。
○菅原国務大臣 その八十六万軒というのは、一店舗に対して決済事業者が例えば三軒あれば、その三軒をまとめて延べ数でいうとそういう数字になります。その中で、いわゆるキャッシュレス推進協議会で名寄せをして店舗を数えていくと五十二万軒ということでございます。
○宮本委員 いずれにしても、五十万という話でございますが、商店街一、二割、それが申請が少しふえていっているということですけれども、二割か三割という話じゃないですか。いずれにしても少ないわけですよね。なぜ業者の皆さんが参加しないのか、私、聞きましたよ。決済手数料を少ない利益から持っていかれると生活できない、日々の仕入れや支払いで現金が必要なんだ、常連のお客さんはみんな現金だ、カードを使う人だけに値引きなんてできないと。それから、私、ポイント還元に登録したお店にも聞きました。もちろん、お客がふえた店もありますよ。ですけれども、ふえていないという声も随分たくさん聞きます。ある飲食店のあるじはこうおっしゃいました。客離れが心配で値段を据え置いた、お客は減っていないが、交通系カードで支払う方がぐっとふえた、手数料の負担がふえ、利幅が小さくなって大変と。売上げはふえず、キャッシュレス決済の比率だけがぐんとふえて、手数料がふえて困惑しているという声をたくさん聞きます。皆さんも聞かれているんじゃないでしょうか。それから、申請中の戸越銀座のあるお店の話。総理がこの店に来るというので、○○ペイと言っておきます、○○ペイから勧められて導入したが、総理も来ず、○○ペイの利用者は週に一人から二人、タブレットの端末費用、毎月の通信費用の方がずっと大きい、ペイ詐欺だと。総理、参加は少数、参加してもメリットを感じていない店も少なくない。そして、参加して利益が減る店もある。中小企業の支援策として、これはもう破綻しているじゃありませんか。
○菅原国務大臣 いろいろ御指摘をいただきましたが、いわゆる、決済事業を、誤って入力をした部分を、今、二万件を九割修正をいたしました。そして、これを、ホームページ、絞り込みの検索機能も地図アプリに落とすようにして、いわゆるキャッシュレスポイント還元事業をしっかりと普及をさせていきたいと思っております。一方で、それでもまだ現金でお仕事をする、あるいは商売をする、そういう方々もいらっしゃいますが、このポイント還元事業の内容をしっかりと周知徹底させて、決済事業者そして中小店舗、まさに中小の商店街を中心に、全国の店舗に普及をできるように努めていきたい、このように思っております。
○宮本委員 普及されて、損したというお店も結構出ているわけですよ、おかしいじゃないですか。何にも反省もなく、どんどんどんどんこのまま普及していくと。大体、総理が十二分な対策だということをおっしゃってきましたけれども、ことごとく破綻していると私は指摘させていただきたいと思います。私は、消費税増税の影響について、この間、駆け込み需要の反動の影響が相対的に小さそうな飲食店だとか食品小売を中心に、都内のお店約百軒、飛び込みも含めて聞いて歩きました。約二割のお店が早くも客足への影響を感じているということでした。ある果物屋さんは、トレーや包装袋の値上げ分をかぶって頑張っているが、お客さんが二割ぐらい減った。それから、同じ食べ物でも、税率で差をつけられた外食、飲食店の一部でも、お客さんの入りに影響が出始めております。サラリーマン客が多いおそば屋さん、いつもは満席のお昼の時間がすいている、二、三割お客さんが減った。ある居酒屋は、稼ぎどきの週末の日々の売上げが数万円単位で落ちた。ある中規模の居酒屋は、お客が半減し、こうした状況が続くなら、店をどうするか相談しなければならないと。今後、更に廃業や閉店に追い込まれる店も出かねないんじゃないですか。民間調査では、外食を減らすという方が六八%。増税によって、外食という庶民のささやかな楽しみが奪われているという人も出てきているわけですよ。消費税増税は、総理はいつも駆け込み需要とその反動の対策のことをおっしゃいますけれども、それ以外に、実質所得を奪うという最大の問題があるわけですよね。消費は必ず落ちるわけですよ。ちょっとパネルを見ていただきたいと思いますが、これは実質民間消費支出の統計であります。消費税が三%のときは平均年二・六%伸びておりましたが、九七年の五%への増税で伸びが約一%に鈍り、さらに、消費税を八%に増税して、伸びは零コンマちょっとということになりました。消費税増税のたびに消費が鈍化しているというのは、私は一目瞭然だと思います。総理、どんどんどんどんこの民間消費支出も伸びなくなっているもとで、一〇%増税でこのままずっと突き進んでいくと、日本の経済に対して深刻な打撃を与えることになるんじゃないですか。
○西村国務大臣 お答え申し上げます。今、実質民間最終消費支出の推移のパネルを示されましたので、このことも含めて今の様子を少しお話ししたいと思うんですけれども。この三十年間で、これは二十五年ぐらいですか、の間で日本の社会経済の構造は大きく変わっておりまして、御案内のとおり少子高齢化が進んでおります。したがって、世帯も、もう御案内のとおりですけれども、高齢者の年金世帯がふえておりますので、当然、若者が多い社会と高齢の方が多い社会と消費の傾向は変わってくるわけでありますし、さらに、近年の技術の進化で、シェアリングエコノミーなど新しい動きの中で、若者たちが物離れも出てきておりますので、そういった大きな変化があるということをまず前提として御理解いただければというふうに思います。その上で、確かに消費税は、消費マインド、消費者のマインドに何らかのマイナスの影響を与える可能性もありますので、先ほど答弁もございましたけれども、負担を上回る額の、ポイント還元もそうですけれども、何より軽減税率があり、そしてプレミアム商品券も今準備が進んでおりますので、これから商品券に交換された方が、買われた方が、消費も出てくると思いますので、そういったことでしっかりと下支えをしながら、ただし、この消費の動向については、日々のデータ、週のデータなどをきめ細かに分析しながら、しっかりと経済運営に万全を期していきたいと考えております。
○宮本委員 少子化だけでは当然説明できないわけですよ、増税のたびに伸びがどんどんどんどん、消費支出も落ちているわけですから。先ほど、消費税は消費のマインドにマイナスを与える可能性があるとはっきりお認めになりました。だったら、そういう道を突き進んでいいのかと真剣に考える必要が私はあると思いますよ。前回の八%への増税によって、長期にわたる消費不況が今なお続いているわけですよ。一世帯当たりの実質消費支出はいまだ年二十万円も落ち込んだままであります。総理、私は、そして我が党は、この消費不況から抜け出すためには、消費税増税、この間の連続増税をもとに戻すしかないと思いますよ。失政に失政を重ねて突き進んでいくのではなくて、五%に消費税を引き下げるべきじゃありませんか。
○安倍内閣総理大臣 消費税については、国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点で、社会保障の財源と位置づけているところでございます。つまり、今回もそうでございますが、十月から、三歳―五歳、幼児教育、保育を無償化したわけでございますし、また、来年の四月から、真に必要な子供たちの高等教育の無償化を行うわけでございます。同時にまた、低年金の方々に年最大六万円の給付を行い、そしてまた同時に、介護保険料の軽減等も行っていくわけでございます。こうした社会保障あるいは子育てへの支援については、今申し上げたような消費税がふさわしい、こういうことでございまして、この点も御理解いただきたい。同時に、今回は消費の落ち込みに対しましては十二分な対応をとっている、こういうことでございます。今後とも、注意深く消費の動向を見ていきたい、こう思っております。また、先ほどのポイント還元につきましては、大手は今回の消費税の引上げに対してセールを行う体力があるわけでございますが、中小企業、小規模事業者の皆さんはその体力がない中において、国が支援する形でポイント制も導入したという側面もあることも御理解をいただきたいと思います。
○宮本委員 消費税は社会保障にふさわしいと言いますけれども、その認識、全く間違いだと思いますよ。低所得者ほど負担が重い消費税というのは、社会保障の財源として一番ふさわしくないですよ。そして、私たちは、財源は消費税に頼らなくてつくれるじゃないかということを、この間、重ね重ね申し上げてまいりました。パネルをぜひ見ていただきたいと思います。消費税導入から三十年、社会保障の財源確保のためと称して税率の引上げを繰り返しました。消費税率が三%だった一九九〇年、税収は全体で六十・一兆円でした。消費税率が八%になった二〇一八年、消費税収は大きくふえました。国の税収は全体で六十・四兆円、消費税収は四・六兆円から十七・七兆円。消費税収はこんなにふえているんですね。税収は同じ水準なわけですよ。なぜなのか。総理、大企業などへの減税や所得税の最高税率の引下げなど、富裕層への減税を行ったことが大きな要因なんじゃないですか。
○麻生国務大臣 一九九〇年以降の所得税という、いわゆる平成二年からの法人税の減収の背景というものからまず申し上げさせていただければ、所得税に関して言わせていただければ、これは、税負担の公平のために消費税を創設させていただきましたのは、このとおり、この赤のところですけれども、その後、個人所得課税を軽減するなどの税制改革を行ったり、御存じの三位一体改革等々で地方に税源移譲を行ったということであります。また、法人税に関しては、企業活力と、これは国際競争力というのがよく言われることになりましたので、こういったものを維持強化するための改革を行ったといった制度改正要因に加えまして、この後は、御存じのように、翌年からバブルが崩壊してきますので、資産価格が猛烈な勢いで下落します。株価が三万八千九百円からいきなり、二度と三万八千円に行ったことはないんですが、後はずっと下がった。また、土地も九二年からそういうことになりましたので、経済情勢に要因があるというふうに考えております。その上で、消費税につきましては、これはもう御存じのように、国民が広く受益なり負担というものを分かち合うという意味で、社会保障の費用をあらゆる世代から広く公平に分かち合うという観点から、私どもとしては、いわゆる社会保障の財源と位置づけて引上げをさせていただいたところでありまして、大企業、富裕層優遇との御指摘は当たらないと思っております。
○宮本委員 制度改正、法人税、富裕層への減税も一因であったことは麻生大臣も否定できないわけですよ。最高税率、所得税は七〇パーから四五パーに下がっています。法人税は四〇パーから二三・二パーにこの間下がったわけですよね。結局、この間起きたことは、法人税、所得税の減収分が消費税に置きかわっただけの話なわけですよ。社会保障のためといって消費税を増税しながら、富める者の減税に費えてしまった。それから、あと、経済情勢もあるというお話がありましたけれども、もう一枚のパネルを見ていただきたいと思います。この青い折れ線は企業の経常利益ですよ。バブルのときのピーク、一九八九年は約三十九兆円、昨年は八十三兆九千億円、バブルのときの二倍以上になっております。一方で、棒グラフ、法人税と地方法人二税の合計は三分の二に減っているわけですよね。利益に対する法人税の負担というのは、急激にこの間軽くなっている。企業がもうけを上げても、税として社会に還元されなくなってきているわけですよ。とりわけ、資本金十億円以上の大企業の実際の法人税の負担率は一〇%程度ですよ。こういう大企業優遇を改めて法人税の負担を少しもとに戻せば、六兆、七兆は出てくるじゃないですか。消費税増税などする必要などなかったじゃないですか。総理、大企業、富裕層優遇税制を改めて、ちゃんと大企業、富裕層に負担を求めるべきじゃありませんか、総理。
○麻生国務大臣 企業に対するいわゆる税制の件につきましては、これは御存じのように、どんと落ち込んでいっているこのときに比べまして、私どもは、法人税率の引下げ等に当たっては、これは、いわゆる財政事情とか等々、いろいろ厳しい状況にありますけれども、企業部門の内部留保の状況、さらには消費税率を引き上げたということのような諸情勢というものをこれ考えまして、我々はこの間に同時に、租税特別措置の縮減また廃止等々によって課税ベースというものを拡大させていただいて、財源はしっかり確保しておりまして、ネット減税というものを行っているわけではありません。また、所得税につきましては、これまでの再分配機能というものから考えまして、いわゆる回復をするために所得税の最高税率というものを四〇から四五に引き上げておりますし、また、所得税の基礎控除というものも、二千四百万だったものを、たしか二千五百万に上げさせていただくということにさせていただきましたので、金融所得課税の見直しというものも、上場の利益というものを一〇%から二〇%に引き上げる等々の施策は既に講じてきたところであります。我々といたしましては、そういったようなことをさせていただいた上で、企業の利益は回復してきているという点につきましては、私どもとしては、法人税というものは、しっかり、きちんとして、上がってきているという状況にはなってきているんだと思っております。
○宮本委員 上がってきているといったって、ほとんど上がっていないじゃないですか。以前の水準だったら、これだけの経常利益が上がっていたら、国の税収は相当潤っているわけですよ。ネット減税はしていないと言いながら、大減税をやっているからこうなっている。しかも、減税分の大半は企業の内部留保にどんどん積み上がっているだけじゃないですか。もう四百六十三兆円ですよ。これは経済に回っていかない。そんなところにどんどんどんどん減税するよりは、ちゃんとそこに課税して、消費税は増税しない、引き下げていく、この方がよほど経済は活性化する。そのことを強く申し上げておきたいと思います。その上で、もう一点、質問させていただきます。国民に消費税増税を求める一方で、アメリカ製兵器爆買いで防衛省予算が膨張を続けております。来年度の概算要求は、またも過去最高であります。秋田では、参院選で、イージス・アショア反対の野党統一候補が勝利いたしました。総理は、秋田での応援演説で、地域の皆様の理解がなければ進めていくことはできません、こう述べていました。地元はノーを突きつけました。地元選出の自民党議員も、もう無理と言っております。ところが、民意を愚弄するかのように、今度の概算要求にはイージス・アショアの費用が盛り込まれております。とんでもないですよ。総理、あなた、演説をされていたわけですから、民意を受けとめてイージス・アショアをやめるべきじゃありませんか。
○河野国務大臣 しっかりした調査に基づく正確なデータをもって丁寧に御説明をし、地元の御理解をいただいていく、そういう所存でございます。
○宮本委員 民意を受けとめるべきだということを言っているわけですよ。なぜ、県民が審判を下したのに断念をしないのか。なぜ秋田と山口にイージス・アショアなのか。パネルをぜひ見ていただきたいと思います。北朝鮮のミサイル基地からハワイ基地に向かう直下が秋田であります。グアムに向かう直下が山口であります。アメリカの対日政策に影響を与えてきたアメリカのCSISは、「太平洋の盾 巨大なイージス艦としての日本」なる論文を出しております。この中で、日本のイージス・アショアは、米国が本土防衛のために高価なレーダーを構築する必要性を軽減する、ハワイ、グアム、東海岸その他の戦略的基地などの重要地域を弾道ミサイルなどから守るため、イージス・アショアを使うことができると記しております。まさに、アメリカの求めで、アメリカ防衛のために導入しよう、だから秋田に固執しているんじゃないですか。総理、違いますか。
○安倍内閣総理大臣 イージス・アショアは、現下のこの厳しい安全保障環境の中、弾道ミサイルの脅威から、我が国全域を二十四時間三百六十五日、長期にわたり切れ目なく防護することを可能とし、そして、国民の命を守り抜くためにこれはどうしても必要な装備品であり、これは米国を防衛するために導入するものでは全くないわけでございまして、今の説についても、今初めて、というか、先般初めてお伺いしたところ、先般、共産党の皆さんの指摘のみについて、私も存じ上げているところでございます。繰り返しになりますが、これは、日本の国民の命を守り抜くために導入するものであって、米国を守るためのものではないということでございます。
○宮本委員 なぜ秋田なのかという説明が一言も総理から説明されていないわけですね。共産党のみの指摘だということをおっしゃいますけれども、一般紙から私はこれは出させてもらいましたし、アメリカのCSISは、日本政府もたくさん、各省庁から毎年、人が出ております。そして、アメリカの太平洋軍ハリス司令官が、二〇一七年、米上院軍事委員会でこう証言しているんですよ。日本は、THAADかイージス・アショア、あるいは両方の導入を決断すべきだ、日本がこれらを購入すれば、我々が配備しなくて済むと。アメリカの議会でアメリカの司令官がはっきりと言っているじゃないですか。しかも、このアメリカのためのイージス・アショアに一体幾ら税金を投入していくことになるのか。これも大問題なんですよね。パネルをごらんいただきたいと思いますが、当初、一基八百億円、答弁がありました。次は一千億円弱になりました。契約は本体一基一千二百二億円、二基で二千四百四億円、そして維持運営費などなど含めて四千四百九十二億円。アメリカの言い値で膨張しているわけですね。さらに、新たな追加負担の報道が先月末にありました。ロイターの報道によりますと、実弾発射試験で五億ドル、五百億円以上追加負担を求められる可能性がある。商業用の船舶や航空機の航行を禁止することに伴う経費まで負担する、そういうことが報道されておりました。それだけじゃないですよ。これ以外にも、迎撃ミサイルを搭載するわけですけれども、一発三十億円以上と言われています。これを最低四十八発ですよ。これだけで一千五百億かかるだろうと。さらに、基地の建屋の建設や敷地の造成費用、燃料費と、どこまでかかるのか。総理、今後、イージス・アショアの整備、運用に一体幾らかかるんですか。際限ないんじゃないですか。
○河野国務大臣 そのグラフの最初の八百億は、従来型のSPY1というレーダーの費用でございます。二番目の棒グラフは、それを最新鋭の高性能のレーダー、LMSSRに変更をした、そういうことでございます。三つ目の棒グラフは、それに、現時点で判明している教育訓練経費、あるいは三十年間にわたる維持運用経費を含んだものでございますから、その三つの棒グラフはいずれも違うものでございます。今後、ライフサイクルコストをしっかりと精査をすると同時に、日米で価格の低減に努め、価格がかなりの確率で精査できた段階でお知らせをしたいと思います。
○宮本委員 違うものだということを言いますけれども、目的は同じものなわけですよね。アメリカから高いものを買えと言われて、いいレーダーに変えて。二つ目と三つ目だって、上がっているじゃないですか。二つ目がLMSSRだったら、三つ目も同じLMSSRで、値段が上がっているじゃないですか。最終的に幾らかかるかも、こういう答弁もございませんでした。幾らかかるかもわからずに、そして、民意は、もう要らない、こういう審判が出ているにもかかわらず、アメリカの要求で、イージス・アショア購入だけどんどんどんどん突き進んでいく。こんなこと、国民は絶対納得できないことですよ。国民には、財政は大変だといって消費税増税を求めながら、トランプさんに言われたら、アメリカのためには、アメリカの言い値で何ぼになるかもわからない、これをどんどんどんどん爆買いしていく。こういう政治は、私は、根本的に間違っている。この政治を正すために、日本共産党は全力で闘うということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。