2019年11月6日 衆院厚生労働委員会 検証的臨床試験なしの早期承認制度は薬害懸念 宮本氏が中止求める

 日本共産党の宮本徹議員は6日の衆院厚生労働委員会で、医薬品の承認審査の規制緩和によって薬害が懸念されるとして、安全性・有効性について確認する検証的臨床試験を、承認前にも後にも義務付けない「条件付き早期承認制度」の法制化の中止を求めました。
 検証的臨床試験は、臨床に近い状態で多数の患者を対象にして新薬の安全性と有効性等を確認するもの。安倍政権は、創薬・新薬開発を成長戦略に位置付け、医薬品の審査機関を短縮する規制緩和を進めてきました。宮本氏は、法案の「条件付き早期承認制度」と類似した「条件・期限付き早期承認制度」について、化学誌『ネイチャー』が批判し、「検証可能な透明性のあるシステムを導入すべきだ」と警告していることを示し、「検証的臨床試験をおこなうことを原則とすべきだ」と迫りました。
 厚労省の樽見英樹医薬・生活衛生局長は「すべてのものに実施することは限界がある」などと強弁しました。
 宮本氏は、厚労省から日本製薬工業協会への天下りがこの9年間に4人に上るなど、2年ごとに定期的に行われていると指摘。医薬品の承認制度の規制緩和により製薬会社のもうけが優先され、「安全性がないがしろにされる危険がある」と強調しました。

以上2019年11月7日付赤旗日刊紙より抜粋

≪第200回2019年11月6日衆院厚生労働委員会第3号 議事録≫

○盛山委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。法案について質問いたします。まず初めに、大臣に基本的な認識について伺いたいと思います。これまで、サリドマイド、スモン、薬害肝炎などなど、薬害で国民の命と健康が奪われてきました。私は、医薬品行政では安全性の確保が何よりも重要だと思います。薬機法の一番重要な点も、医薬品等の安全性を確保し、薬害等を起こさないための規制を行うことにあると思いますが、この点についての大臣の認識を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 薬害C型肝炎を始め、さまざまな薬害、甚大な被害があり、残念ながらそうした被害の拡大も防げてこなかった、そういった反省も踏まえながらこの行政に取り組む必要があると思います。今委員の御指摘の点については、医薬品医療機器法、いわゆる薬機法の第一条の法律の目的の中に、医薬品の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うことが一つとして挙げられております。このような法律の目的に即して、医薬品等の安全性を確保していくということは非常に重要だというふうに考えております。
○宮本委員 安全性確保についてどうかということについて、後で議論していきたいと思います。今回提出の法案では、先ほど来議論になっておりますが、医薬品等行政評価・監視委員会の設置が盛り込まれました。第三者性を有する組織の設置は、薬害肝炎裁判での基本合意書に基づく原告団、弁護団と厚労省の協議で二〇一〇年に取りまとめられた最終提言で明記されました。しかし、前回の薬事法改正では、第三者委員会設置は入れられませんでした。弁護団、原告団は、もともと厚労省の外に独立した第三者委員会を設置することを求めておりました。最終的に第三者委員会を厚労省内に設置することを容認せざるを得なかったことは、苦渋の決断だったと思います。それにしても、第三者委員会が、基本合意が二〇〇八年、最終報告書は二〇一〇年、約十年近くもたってからようやく設置される。このことについて、私は、大臣は原告団に対して率直におわびすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 まず、C型肝炎に関しては、感染被害者の方々に甚大な被害が生じ、その被害の拡大を防止できなかった。これについて率直に、国の責任、これは認めなきゃいけない。そして、感染被害者と御遺族の皆様に心からおわびを申し上げます、これは当時の内閣総理大臣の談話でもありますし、その思いをしっかり共有していかなければならないというふうに思っております。そういった中で、第三者組織をどうするのかということで、平成二十二年から、検証委員会での提言がなされてもう十年の期間がたった、長い時間がかかってしまったという思いは私自身も持っております。経緯はもう委員御承知のとおりだと思いますけれども、議員立法が提出されたり、あるいは超党派の議員連盟や政府による調整が行われたり等々の経緯があって、ここで、私も前の厚生大臣をやったときに、組織の具体的な業務の内容等についてもしっかり固めていかなければ合意には進んでいけないのではないかということで、具体的な指示を行ったところでありまして、そういった経緯を経て今回合意ができ、具体的な中身を盛り込ませていただきました。一日も早くこの法案を成立をしていただいて、そして、厚労省としても、この第三者委員会がその機能をしっかりと発揮できるように努めていきたいと考えております。
○宮本委員 原告団にもっと思いを寄せていれば、もっと早く原告団の思いに沿う方向でまとまったのではないのかという思いがあります。そして、第三者委員会のあり方について私も議論したいと思ったんですけれども、先ほど来、尾辻委員、山井委員から議論がありましたので、その点は割愛して、次に進みたいと思います。前進面の一方で、大変懸念される規制緩和が今回の法案にはあります。加藤大臣は、前回大臣だった二〇一七年十月二日、製薬業界の皆さんとの官民対話でこうおっしゃっているんですね。低コストで効率的な創薬を可能にし、日本発の医薬品を海外市場、特にアジアに展開できる創薬大国の実現を目指したい、こう言って医薬品産業強化総合戦略の改訂を行われております。低コストで効率的な創薬をすることと、国民の健康を守る、この関係はこの法律の改正で一体どうなるんでしょうか。大臣の端的な説明を求めたいと思います。
○加藤国務大臣 まず、医薬品の安全性、有効性、これはしっかりと堅持をしていかなきゃいけないというのは当然のことでありまして、そういった中で、すぐれた医薬品をより早く国民に届けることが可能になる、それが今回の改正の趣旨であります。そういった意味で、先ほどの低コストで効率的な創薬というのは、まさに安全性、有効性を維持しながら、より国民の健康、安心、あるいは国民の医療ニーズに応えられる、そうしたものが低コストで、そして効率的に提供されるということは、国民にとってもプラスになるということであります。
○宮本委員 安全性を維持することと効率を重視することというのは、私は、基本的には、方向としては逆の方向を向いている話だと思いますよ。効率的に審査を短縮していく、そのことによって安全がおろそかになるようなことがあったら、私は、この本来の薬機法の精神にもとるものだと言わなければいけないと考えております。この間、安倍政権のもとで創薬は成長戦略に位置づけられ、規制緩和が行われてまいりました。二〇一四年に先駆けパッケージ戦略が取りまとめられ、二〇一五年度から先駆け審査指定制度の運用が通知で開始をされております。そして、二〇一七年には、製薬業界と厚労省の薬事に関するハイレベル官民政策対話で条件付早期承認制度の導入が検討され、十月から通知で実施をされております。今回、この二つの制度が法案に盛り込まれるということになっているわけですが、もともと通知で始まっているわけですよ。そもそも、こういう医薬品の審査の重大な変更を通知のみで行ってきたということ自体がおかしいと私は思いますが、そういう認識は大臣にはないですか。
○樽見政府参考人 お答え申し上げます。御指摘のとおり、先駆け審査指定制度、それから条件付早期承認制度、それぞれ、平成二十七年、それから条件付は平成二十九年から、通知を根拠として開始をしております。これは現在も、薬機法上、医療上特に必要性が高いと認められるものであるときは他の医薬品の審査又は調査に優先して審査ができるでありますとか、この法律に規定する許可、認定又は承認には、条件又は期限を付し、及びこれを変更することができるという規定があるわけでございます。これを使いまして優先審査あるいは申請資料の一部省略ということをやってきたということでございますので、承認審査における有効性及び安全性の基準を緩和するということではなく、有効性及び安全性の基準を緩和することなく、できる範囲で合理的な扱いを図りたいということでやってきたものでございます。今回は、これを法制化することによりまして、有効性、安全性を担保するということについては変わりないわけでございまして、それとあわせて、いわば透明性、予見性というものを審査の世界において高めたいということでございます。
○宮本委員 安全性について緩和することなくということをおっしゃっていますけれども、この条件付早期承認制度を通じて行ったものは、これまで求められてきた検証的臨床試験について、事前はもちろんのこと、事後についても求めないというものになっているわけですよ。根本的な規制緩和を行っているじゃないですか。そういういいかげんな答弁をされたら困るんですよね。もう一つ、先駆け審査指定制度でございますが、通知の運用の中で承認された一つが、有名なインフルエンザの治療薬のゾフルーザであります。ゾフルーザが登場したときは、一回錠剤を飲むだけで治療が完結するということで、大変脚光を浴びました。昨年からことしにかけて使用は全国的に広がりましたが、ご存じのとおり、ことし三月に感染研が、A香港患者の七割で耐性ウイルスが検出されたと発表しました。同じ三月には、厚労省が、重大な副作用として出血を書き加えるように指示を出しました。このゾフルーザは、通常なら、普通の薬なら十二カ月審査期間がかかるところを、この先駆け審査指定制度を使って承認申請から四カ月で承認されたわけですよね。そして、PMDAが審査報告書を発表すると、何とその翌日に厚労省は緊急に薬価収載、同じ日に塩野義製薬は販売を開始しました。異例な猛スピードだったわけであります。この先駆け審査指定制度は、開発段階から審査当局が企業の相談役となりながら早期承認を目指すという制度で、これで一体、中立的な審査ができるんだろうか、こういう疑問の声も上がっております。このゾフルーザの問題について、先駆け審査指定制度の運用上の問題、あるいは制度上の問題はなかったのか、厚労省はどう総括されているんでしょうか。
○樽見政府参考人 まず、探索的臨床試験、検証的臨床試験ということをお触れになりましたけれども、通常、審査を行うときには、探索的臨床をやった後に検証的臨床というのをやって承認に至るということになるわけでございますけれども、これは、現行でも必ずしも常に法律上義務づけられているものではございません。そういう中で、例えば、先ほどお話出ましたけれども、難病で非常に患者さんが少ないといったような場合には、検証的臨床試験ということで、多数の患者に医薬品を投与して有効性、安全性を検証するということがそもそも非常に難しいというものがございますので、そうしたものについても、今までも個別の条件という中でできる対応をしてきたわけでございますけれども、そういうことが制度的にできるんだということを明らかにするということが今回の法律の内容になっているということについて、最初に申し上げさせていただきたいと思います。恐縮です。ゾフルーザについてでございます。ゾフルーザは、平成二十七年の十月二十七日付で先駆け指定をされまして、平成三十年の二月二十三日付で承認をしている。抗インフルエンザ薬でございまして、従来のインフルエンザのお薬とは作用機序が異なる薬剤ということだったわけでございます。ゾフルーザについて、耐性ウイルスが発生するということが指摘をされているわけでございますが、これは、実は治験を実施していた段階においても判明していたことでございます。このゾフルーザの承認の際には、その点も踏まえて評価を行うとともに、企業にはその内容を添付文書に記載をさせております。かつ、医療現場への情報提供ということもさせております。それから、製造販売後調査におきましても、臨床現場で本剤が使用された際の本剤に対する感受性の変化でありますとか耐性化というものについて情報収集を行うような承認条件というものを付しておりまして、企業から随時情報収集をしているということでございます。ということで、ゾフルーザの承認に関して、必要な評価を行って条件を付しているということでございますので、運用上、制度上の問題ということについて申しますと、そうした問題というものはなかったというふうに認識をしてございます。なお、市販後、この先駆けに限らず、通常の品目においても、承認後に得られた安全性情報というものがありますれば、必要に応じて適正使用に関する注意喚起を行っているところでございますので、厚生労働省としては、ゾフルーザにつきましても、引き続いて適正使用に関する注意喚起を必要に応じて行っていきたいというふうに考えているわけです。今般、日本感染症学会から、十二歳未満の小児において慎重に投与するような提言というものが行われたということでございますので、関係者の方々の御意見を踏まえながら、必要な対応というものについては検討していきたいと考えております。
○宮本委員 全く反省していないというのも驚きですよね。そもそも、先駆け審査指定制度は四要件あったわけですよ。治療薬の画期性、対象疾患の重篤性、高い有効性、世界に先駆け。対象疾患の重篤性、これはインフルエンザにまで当てはまるんでしょうか。高い有効性はあったんでしょうか。耐性菌がどんどんどんどん広がっているという状況になったら、有効性がどんどんどんどん失われているというのがこのゾフルーザの現状じゃないですか。そういうものを中立的な審査が疑われるような先駆け審査指定制度でやってよかったのか、ここを私はちゃんと省みなきゃいけないと思いますよ。さらに、条件付早期承認制度について伺いたいと思います。先ほど探索的臨床試験と検証的臨床試験の解説がございましたが、今でも、おっしゃるとおり、探索的臨床試験の次の検証的臨床試験を経ずに、患者が少ない場合はその先に進んでいる場合はあったわけですよ。ただ、その場合も、この条件付早期承認制度の前は、基本的には検証的臨床試験を事後に今まではやってきたわけですよね。それを今度取っ払ってしまう、法律上も取っ払ってしまうということが私は極めて問題ではないかということを先ほどから言っているわけですよ。過去に、例えば、探索的臨床試験で承認を出してたくさん死者が出た例もありますよね。イレッサですよ。そういう経緯もあるわけですよね。ですから、検証的臨床試験というのは非常に大事なわけであります。それで、次、伺いますけれども、条件付早期承認制度と類似した先例として、再生医療等製品の条件、期限付の早期承認制度というのが、二〇一四年度、設けられております。この制度をめぐっては、科学専門誌のネイチャーから批判が出ております。ことし一月のネイチャーでは、脊髄損傷治療薬、ステミラック注の承認について、幹細胞科学や脊髄損傷の専門家十人の意見をもとに厳しい批判がなされております。ステミラック注の臨床試験には対照群がなく、治療群十三例しか被験者がいない。これでは、患者が治療によって回復したのか自然治癒か区別できない。さらに、ネイチャーによると、この治療法の仮説はこれまでのエビデンスに反しており、科学的エビデンスがない。しかも、臨床試験が学術論文も公刊されていないもとで承認された。そういう上で、日本は検証可能な透明性のあるシステムを導入すべきだ、こう批判しております。この批判をどう受けとめられているんでしょうか。
○樽見政府参考人 御指摘のネイチャーの指摘でございます。何点か御指摘をされましたが、最大のポイントは、いわゆる二重盲検による比較臨床試験ということが実施されておらない。要するに、ステミラックを投与した人がよくなったというけれども、投与しなかった人と比較をして効果というものが十分に評価をされていないということだというふうに認識をしております。しかしながら、このステミラック注という薬でございますけれども、急性期の脊髄損傷の患者から骨髄を採取して、幹細胞を培養して当該患者に戻すという製品でございます。ネイチャー誌の指摘のように対照群をつくるということになりますと、急性期の脊髄損傷の患者から骨髄を採取して、何もしないでプラセボを投与する、そういう治療を一定の患者さんに対してしなければいけないということになるわけで、そうしたことは倫理的に問題だというふうに考えているわけでございます。したがいまして、ステミラックにつきましては、二重盲検による比較試験というのはできておらないわけでございますが、適切に設計された臨床試験の成績に基づいて、PMDAにおいて審査の上、品質、有効性、安全性が確保されているということで条件及び期限付承認という形になったということでございますので、私どもとしては、ネイチャー誌に対して、今申し上げたような内容につきましてことし五月に反論を送りまして、掲載をされているところでございます。
○宮本委員 ですけれども、ちゃんと比較してやらないと、プラセボ効果でよくなったというふうに判断しているだけかもわからないわけですよ。科学的な検証ができるシステムにやはりならなきゃいけない。この批判はちゃんと受けとめなきゃいけないと思います。さらに、再生医療等製品の条件、期限付早期承認制度をめぐっては、この制度で第一号で承認されましたテルモが販売するハートシートについても、有効性、安全性の検証の見込みが立たない状況になっております。このハートシートでは、わずか七人の患者に安全性と有効性が示唆されたとして、製造販売が条件付承認とされました。この承認につけられた条件は、ハートシート治療群六十症例以上と対照群百二十症例のデータを五年以内に提出して、この製品の有効性を実証すること、こういうことでした。ところが、テルモは昨年、五年では十人余りしか患者が集まらないという試算を出して、三年間の承認期限の延長を申請し、厚労省もこれを認めました。つまり、効能が実証されていない治療法が八年間も臨床現場で使われ続けるという状態になっているわけですね。ネイチャーは、将来、早期承認制度によって承認された製品に効果が見られないということがきっと起こる、そのときはどうなるんだろう、こういう疑問も投げかけられているわけであります。このハートシートの承認について、厚労省はどのように総括されているんでしょうか。
○樽見政府参考人 ハートシートでございます。平成二十六年の十月三十日に申請をされまして、PMDAによる品質、有効性及び安全性に関する審査というものを経まして、平成二十七年九月十八日に、標準治療で効果不十分な虚血性心疾患による重症心不全に対しという適用でございまして、それに関して条件及び期限付承認という形になったものでございます。ハートシートは、従来の薬物あるいは外科的な処置とは異なる仕組みで治療をするということでございますので、そういう異なる基準による治療効果というものが期待される。それから、提出された臨床試験の成績などから、先ほど先生は、有効性がないまま承認されているというようなお話でございましたけれども、そういう意味でいいますと、提出された臨床試験の成績から、一定の有効性、安全性が確保されているということで承認をしたものでございます。ただし、まさに先生がおっしゃるように、数が少ないということでございますので条件、期限付承認という形になったということでございまして、現在、その製造販売業者におきまして製造販売後の調査を実施しているというところでございますので、その成績に基づきまして改めて製造販売承認申請がなされれば、厚生労働省として、品質、有効性、安全性を適切に評価をしていくということになるということでございます。
○宮本委員 条件をつけて承認したのに、条件を満たさなかったら、更にこの期限を延ばしてくれということが続いているわけですよね。私は、こうした先行制度についての検証と反省なしに先に進んでいいのかということを大変危惧しております。何百万円もお金を患者さんがかけて、効果がなかったということにだってなりかねないわけですよね。誰も責任をとらない。さらに、効果がないだけでなく、重大な副作用があったらどうなるのかということを大変懸念するわけでございます。ですから、私は、検証的臨床試験は、これはやはり絶対的な原則にすべきだと思うんですよね。重篤な患者で、患者数がごくごく少なく、事前の検証的臨床試験の実施が困難な場合でも、事後に検証的臨床試験を行うというのは絶対的な条件として付していくべきなんじゃないですか。違いますか。
○樽見政府参考人 まさに、疾患の性質、あるいは患者さんの状況ということの中で、本当に、例えば患者さんが非常に少ないでありますとか、あるいは、例えば災害なんかの救急のときに特に使うといったようなものというのは、そういう状況を発生させて検証して試験するということがそもそも性質上できないというものもございます。もちろん、販売を条件付で認めた後でしっかりと、いわゆるリアルワールドデータから安全性、有効性というものを確認するデータをしっかりと集めるということについては、これはしっかり取り組んでいきたいというふうに思いますけれども、検証的臨床試験と呼ばれる形のものを全てのものに実施をするということについては、やはり一定の限界があるのではないかというふうに考えております。
○宮本委員 リアルワールドデータと検証的臨床試験というのはやはり違うわけですよね。やはり、薬を投与した人と投与していない人とをちゃんと比べることによって、その薬の効果というのがわかる。だから今まで当たり前のようにやってきたわけで、それを省いたことによって薬害が起きたらどうするのか。ここを本当に真剣に考えていただきたいというふうに思いますよ。その点を真剣に考慮せずに、どんどんどんどん製薬業界の働きかけで緩くなっていく危険というのを私は大変危惧しております。なぜかというと、厚労省と製薬業界との関係があるからです。この九年間、厚労省から日本製薬工業協会への天下りについて、いつ、どの官職の方がどういう部署に再就職したのか、全員述べていただけますか。
○土生政府参考人 お答えいたします。国家公務員法の規定に基づきまして、国家公務員の管理職職員であった者が離職後二年間に再就職した場合には内閣総理大臣に届け出る、このような仕組みになってございます。この届出によりますと、九年間という御指摘でございますが、平成二十二年十一月から令和元年十月までの間、日本製薬工業協会に再就職した者は四名ということでございます。順に申し上げますと、平成二十四年四月一日に、離職時、大臣官房付であった者が理事長付部長、これは嘱託職員でございます。それから、平成二十六年四月一日、大臣官房付から企画部長、平成二十七年七月一日に、大臣官房付から経理部長、平成二十九年十一月一日に、大臣官房審議官、社会、援護、人道調査担当から企画部長にそれぞれ再就職したという状況でございます。
○宮本委員 二〇一二年、二〇一四年、二〇一五年、二〇一七年と、順番からいけば、二〇一九年も十月一日より後にまた誰か再就職するのかなと思わせるような並び方でありますけれども、お伺いしたいんですけれども、厚労省から日本製薬工業協会になぜ定期的に再就職があるんでしょう。何らかの約束があるんですか。
○土生政府参考人 お答えいたします。国家公務員の再就職につきましては、国家公務員法に基づきまして、現職の職員が他の職員等に関する情報提供を行うこと等を禁止されております。また、在職中の利害関係企業等への求職、これも禁止でございますし、また、元職員による元職場への働きかけ等も禁止されているということでございます。さらに、こうした規制のもとで再就職等監視委員会の厳格な監視が行われているということを承知しております。個別の再就職の経緯につきましては承知はしておりませんけれども、いずれもこうした規制のもとで適切に行われたものと認識してございます。
○宮本委員 今いろいろいろいろ、禁止している、禁止している、禁止しているというお話をされますけれども、それでは、なぜ定期的な再就職があるのかという説明に全くなっていないじゃないですか。日本製薬工業協会の方から厚労省に、来てくださいよ、天下りの席を用意していますよ、そういう話があるんじゃないですか。違いますか。
○土生政府参考人 お答えいたします。先ほど申し上げましたような規制のもとで、それぞれの経緯の中で再就職が行われているということでございまして、先生おっしゃるような事実については承知しておりません。
○宮本委員 事実について承知していないと言ったって、普通に考えたら、自由に、どこからの働きかけもなく、定期的に同じ厚労省の同じような部署の方々がどんどんどんどん同じところに再就職していくというのは考えられないじゃないですか。これはもう製薬工業協会と厚労省の間で何らかのルートがあるということなんじゃないですか。これは、製薬工業協会の方から、来てくださいという話があるんじゃないですか。違いますか。私は、ちゃんとこういうのは調査しなきゃいけないというふうに思いますよ。日本製薬工業協会、官民対話の場でも恐らく加藤大臣もお会いになっているんだと思いますけれども、製薬団体連合会と製薬協が連名で、官民対話の場で要望書を出しておりますね。「革新的医薬品の創出に向けて」ということで、何が書いてあるか。薬事規制の整備、先駆け審査指定制度、条件付早期承認制度など画期的承認制度の法体系化、一番下の行に矢印で、創薬の効率化、研究開発、製造販売後調査、製造のコストの削減、臨床開発のスピードアップ。今回の法改正も、製薬メーカー、製薬業界側が求めてきたものなわけですよね。そこに厚労省の天下りのポストとしてあるということになっているわけですよ。こうなると、今回の法改正、重大な問題がありますけれども、法律に書いている文言以上に運用の中で安全性がどんどんどんどんないがしろにされていく危険というのは、私は大いにあり得る話だと思いますが、大臣、そう思われませんか。
○樽見政府参考人 日本製薬工業協会が加盟している日本製薬団体連合会というところから、制度改正に関する要望書というものをいただいているということでございまして、そういう中で、柔軟かつ機動性のある規制対応でありますとか、国際的な規制調和及びグローバルサプライチェーンの効率化でありますとか、そういったようなことが入っているということでございますが、私どもとしては、こういう企業にすぐれた医薬品を積極的に上市に向けて努力をしていただくということも含めまして、その目的としては、国民に安全で有効な医薬品を一刻も早く届けたいというところにあるわけでございますので、きょう前半で申し上げましたけれども、有効性、安全性というところについて、今回の制度改正を行うということによって特に緩めるというようなことを考えているわけではございませんので、その点を申し上げたいと思います。
○宮本委員 時間になりましたから終わりますけれども、有効性や安全性についての規制を緩めるつもりはないというんだったら、私は、事後であっても検証的臨床試験は原則として時間がかかってもこれはやっていくんだということは盛り込む必要があると思いますよ。それなしに、どんどんどんどん、この法律の文言だけでいえば、今は、この場では緩める必要はないといったって、そんな緩めませんとは法律にはどこにも一行も書いていないんですよ。そして、実際、この間の通知の運用では、問題が世界からも指摘されるような事態が起きているわけですよ。ですから、その点は再考を求めて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。