2019年11月13日 衆院厚生労働委員会 桜を見る会、会計検査院「検査する」

 13日の衆院厚生労働委員会で、首相主催の「桜を見る会」について、ただしました。桜を見る会に予算の3倍を支出したうえ、内閣府・内閣官房が招待者名簿を廃棄していることについて、会計検査院の認識をうかがしました。
 会計検査院の三田啓第一局長は「一部の資料が無い場合でも、確認できる他の関係資料にもとづき検査していく」と述べ、桜を見る会の合規性を「適正に検査する」と答弁。国会への報告についてただすと、「検査の結果、報告する事項があったら決算検査報告として報告する」と述べました。

・・・・・
 菅官房長官が認めた、官邸からの推薦、与党からの推薦は、内閣官房がとりまとめますが、内閣官房は「保存期間1年未満の文書」として廃棄しています。また、内閣府・内閣官房が、各府省等の推薦をもとにとりまとめた招待者名簿について「保存期間1年未満の文書」として、会が催された後、「遅滞なく」廃棄したとしています。一方、政治家からの推薦ではない、各府省からの推薦名簿については、各省庁の文書管理規則で保存期間が10年や3年と定められています。
 つまり、政治家推薦枠だけはすぐに「破棄できること」にして、何を聞かれても、「破棄したのでわからない」とこたえられるような仕組みをつくったということです。森友、加計を教訓にした証拠隠滅システムでしょうか。

≪第200回2019年11月13日衆院厚生労働委員会第5号 議事録≫

○盛山委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。朝から議論になっております桜を見る会について、冒頭少しだけ質問させていただきます。菅官房長官が午前中の記者会見で、各省庁以外に国会議員からも推薦を受け付けているということをお認めになりました。内閣官房にお伺いしますが、政治家の推薦は内閣官房で受け付けているということでよろしいですか。
○大西政府参考人 お答え申し上げます。桜を見る会につきましては、開催要領に基づきまして、各界におきまして功績、功労のあった方々を、各省庁からの意見を踏まえて、幅広く招待をしているところでございます。内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめているものでございます。なお、お尋ねいただきました招待者の取りまとめの検討過程におきます情報等の詳細を明らかにいたしますことは、内閣官房及び内閣府における取りまとめの円滑な実施に支障を及ぼすおそれがありますこと等から、従来からお答えしていないところでございまして、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○宮本委員 菅官房長官が具体的に話したわけじゃないですか、国会議員の推薦枠があると。それで事務の支障に差しさわりが出たんですか。出ないでしょう。では、政治家の推薦はどこが受け付けることになっているんですか。
○大西政府参考人 恐れ入ります、お答え申し上げます。私もちょっと、午前中ずっと別件で国会の中をいろいろ動いておりまして、先ほど会見の記録を拝見しましたけれども、その中では、官房長官の方からは、申し上げたのは、じゃないかということを申し上げましたということでございまして、そこは確定的な御答弁ではないのではないかと思っております。繰り返しの御答弁になって恐縮でございますけれども、やはり現時点におきまして、内閣官房及び内閣府におきます取りまとめの円滑な実施に支障を及ぼすおそれがございますので、このたびのお尋ねにつきましても、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○宮本委員 具体的にどういう支障ですか。
○大西政府参考人 具体の支障ということでございますが、これはさまざま、言い尽くすことはできませんけれども、例えば、具体的に誰々さんは招待されているのかといったようなことにつきましてお問合せが来ることもございますが、それは個人的な情報ということでもございますし、また、自分の、もっとこういう人たちをどんどん入れてほしいといったような御要望が多数になりますと、実際にはなかなかそれがおさまらないようなことにもなることもございまして、それは一例でございますけれども、いろいろな支障があるということでございます。
○宮本委員 別にそういうことは支障にならないじゃないですか。大体、こういう人を入れてほしいというのは安倍事務所を先頭にやっているわけですから。それが支障だったら、桜を見る会自体、やることが問題だという話になりますよ。きょう朝から議論になっておりますけれども、桜を見る会、安倍事務所が出している案内では、御出席を希望される方は、二月二十日までに別紙申込書に必要事項を御記入の上、安倍事務所又は担当者まで御連絡くださいますようよろしくお願い申し上げます、参加される方が御家族、知人、友人の場合は別途用紙でお申し込みください、コピーして御利用くださいというのが流れているわけですよね。そうすると、安倍事務所が取りまとめた招待状の発送の依頼は、内閣府若しくは内閣官房のどちらかにあったということですよね、物証があるわけですから。
○大西政府参考人 恐れ入ります、また御答弁申し上げます。繰り返しの答弁に若干なってまいりまして申しわけございませんけれども、招待者の取りまとめの検討過程、発送に至る部分もございますでしょうけれども、そうしたところの詳細を明らかにいたしますことは、円滑な実施に支障を及ぼすおそれがございますので、お許しをいただきたいと思います。
○宮本委員 これだけの物証があって隠し続けるというのは、よほどやましいことをやっているということじゃないですか。午前の議論でも、内閣府が招待状発送の元締めだけれども、ほかの省庁にも依頼しているという話がありました。内閣官房が発送を行っているものもあるということでいいですか。
○大西政府参考人 これも恐れ入ります、また繰り返しの御答弁になってしまいますけれども、そうしたところも含めまして、きょうは答弁を控えさせていただきたいと思います。
○宮本委員 全く何を聞いても答えないわけですよね。きょうは勘弁と言うんだったら、この後どこかで答えていただけるのかなと思いますけれども、これは予算委員会を開くしかないということになると思いますよ。きょうは会計検査院に来ていただきました。閣議で配付された桜を見る会の開催要領では、招待範囲は、皇族、元皇族、各国公使等、衆参議長、副議長等、国務大臣、副大臣、政務官、国会議員、認証官、事務次官等及び局長等の一部、都道府県の知事及び議会の議長等の一部、その他各界の代表者等、計一万人とあります。会計検査院に伺いたいんですけれども、こうした書きぶりの場合は、その他各界の代表者等の等の解釈としては、誰でもいいんですか。
○三田会計検査院当局者 お答え申し上げます。一般論といたしまして、行政文書の解釈につきましては、当該文書を作成しました機関においてなされるべきものと考えております。
○宮本委員 会計検査院出身の元調査官の方が、こういう場合の等といった場合はほぼ同等だというふうに解説をしておられますよ。各界の功績、功労があった人というのが、本来だったらこの文言から読み取れる中身なんじゃないですか。誰でもいいという話なんですか、これは。そんたくして会計検査院がそういう答弁をされるようでは、本当に私は心配になってしまうわけであります。大体、後援会員が友人を誘っていい、知人を誘っていいと。功績、功労のはかりようがないじゃないですか。違いますか、今回出ている文書というのは。功績、功労をどうやってはかるんですか、友人や知人が誘ってきたものを。こんなでたらめをやっていて、真実も明るみに出そうとしないというのは、本当に情けない話だと思いますよ。そして、もう一点、会計検査院にお伺いしますが、開催要項をはるかに上回る招待を行って、予算を三倍もオーバーする支出を行いながら、ことしの招待名簿は破棄したと、内閣府も内閣官房も含めて安倍政権は説明しております。会計検査院が合規性などについて検査するに当たって、私は、この招待名簿は必要であり、検査が終わる前に破棄してはならないものだと思いますが、検査院の見解をお伺いします。
○三田会計検査院当局者 お答え申し上げます。一般論といたしまして、各府省においては、文書管理規程を定めまして、これに基づき管理しているものと承知しております。会計検査院としては、各府省において適切な行政文書の管理が行われていることを前提として、その保存されているものについて検査をしているところでございます。各府省において文書管理規則に従って適切に管理されていることが必要と考えております。
○宮本委員 会計検査院法二十六条では、検査上の必要により検査を受けるものに帳簿、書類その他の資料若しくは報告の提出を求め、この場合において、提出の求めを受け、又は質問され若しくは出頭の求めを受けたものは、これに応じなければならないと。この桜を見る会の合規性の判断ですよ。功労者が、功績者が正しく呼ばれてなされているのか。これは、税金の支出が適正かどうかを見る上では、招待者の中身を判断するしかないわけですよ。ましてや、予算は一千七百万円台で国会では承認されているのに、予算の三倍も支出をしていたわけであります。そして、招待者も、一万人というのが閣議で配られた開催要項で記されていたにもかかわらず、野方図にふやされてきたわけであります。これの適正さ、合規性を判断しようと思ったら招待名簿は不可欠だと思いますが、違いますか、検査院。
○三田会計検査院当局者 お答えいたします。一般論といたしまして、会計検査におきましては、特定の資料だけではなく、さまざまな資料に基づいたり、担当者等から説明を受けたりなどしているところでありまして、一部の資料がない場合でありましても、確認できる他の関係資料等に基づきまして検査してまいります。
○宮本委員 ほかの資料を破棄されたら、それはないもとで調べるかもわからないですけれども、本来、会計検査も受ける前に、会計検査上、普通に考えたら、どう見ても、合規性の判断をする上で、調査する上で必要なものを捨てていいんですかということを聞いているわけですよ。そんなことを捨てていいということになったら、何でも捨てるじゃないですか。
○三田会計検査院当局者 お答え申し上げます。繰り返しになりますが、会計検査院といたしましては、各府省において適切な行政文書の管理が行われていることを前提として、その保存されているものについて検査をしているところでございます。各府省において文書管理規則に従って適切に管理されていることが必要と考えております。
○宮本委員 即日廃棄していいという文書管理規則をつくったら、即日全部廃棄されて、検査のしようがないじゃないですか。違いますか。私は、会計検査院は、本来ならば、こういう問題は国民の関心も非常に高いですから、桜を見る会については、予算も大膨張している、国会の承認されたものを無視している、そして総理の後援会がこれを後援会サービスとして私物化しているという重大な疑惑もあるわけですから、検査院がしっかり検査すべきだと思いますよ。いかがでしょうか。
○三田会計検査院当局者 一部の資料が廃棄されている場合につきましても、確認できる他の関係資料等に基づきまして適正に検査してまいります。
○宮本委員 桜を見る会について検査をしていくということでよろしいですね。
○三田会計検査院当局者 適正に検査してまいります。
○宮本委員 国会に報告を出していただけますか。
○三田会計検査院当局者 検査の結果、報告する事項がございましたら、決算検査報告として御報告させていただきたいと思います。
○宮本委員 国民の関心が極めて高い事項です。そして、総理の疑惑にかかわる問題もありますので、しっかりと検査をお願いしたいと思います。それでは、薬機法の審議に移りたいと思いますが、検査院と内閣官房、そして内閣府は退席していただいて結構でございます。ありがとうございました。前回に続いて、きょうは、まず、オンライン服薬指導の解禁について質問させていただきたいと思います。現行の薬機法では、処方された医薬品の販売は対面による指導となっております。また、前回の薬事法改正の際に、一般用医薬品のインターネット販売が解禁されるという中で、厚労省は要指導医薬品というカテゴリーを新たに設け、医療用医薬品からスイッチしたばかりの一般用医薬品を要指導医薬品に指定して、これについては対面の販売が必要だといたしました。その際、政府は国会でこう説明していたんですね。使用者本人の状態等を直接五感を用いて判断した上で販売することが必要だ、こういう説明でありました。ところが、今回の法案では、処方された医療用医薬品についてまでオンライン服薬指導を全面解禁するというものになっております。直接五感を用いて判断することが極めて重要だという、これまでの認識というのは変わったんでしょうか。
○樽見政府参考人 お答え申し上げます。平成二十五年の薬事法改正でございます。そのときに、御指摘のとおり、ほかの一般用医薬品と区別して新たに要指導医薬品という医薬品の区分を設けたということでございまして、これは、医療用医薬品から転用して一般用医薬品にしたもの、いわゆるスイッチOTC、そのスイッチしてから一定の期間が経過していない医薬品というものについては、一般用医薬品としてのリスクが確定しておらない、一般用医薬品でございますので、一般の人がやってきてこの薬を下さいなというふうに言ってくるということでございますので、そうしたものについて、薬剤師が直接の対面によって、まさにその五感をもって、患者さん御本人が気づいていないような症状も含めて患者さんと話をして、その上で確認をして販売することが必要だというふうに言っていたわけでございます。今回導入しようとしているテレビ電話等による服薬指導というのは、医師の処方に基づいて調剤された薬剤の服薬に対する指導というものでございますので、一般の人が医療用医薬品からスイッチしたばかりの医薬品を買いに来るというものとは違うものでございます。あわせて、今回導入しようとしているテレビ電話による服薬指導については、初回は対面で行うというようなことを条件とするなど、対面による服薬指導と適切に組み合わせるということ、あるいは、医療機関との連携体制の確保等の一定の要件を確保することを求めることにしたいというふうに考えておりまして、そういうこととあわせて、必ずしも一律に対面による指導を義務づけなくても適切な実施が可能と考えたものでございます。五年前の要指導医薬品は、まさにスイッチされたばかりのOTCということで、普通の一般の方が来られる、それに、まだ一般薬としてのリスクが確定しておらない、そういう薬を売る場合ということでございますので、そうした要指導医薬品の販売についての扱いというものは、今般の改正後も維持をすることにしているということでございます。
○宮本委員 要指導医薬品よりも医療用医薬品の方が、これは一般用医薬品に移る前の話なんですから、もっと慎重に扱わなきゃいけないというのは当たり前の話だと私は思いますよ。医療用医薬品に準じた扱いにしたのが、この間の、前回の改正の要指導医薬品ということじゃないですか、位置づけからすれば。その説明は全くおかしいと思いますよ。テレビ電話だとかで確認するといったって、それは五感では確認できない方法になるわけですよね、間違いなく。そして、初めは対面を求めるといっても、体調はいつどう変化するかわからないから今まで対面でというのを求めてきたわけですから、そこを規制緩和するというのは本当におかしな話ですし、前回は直接五感で感じるのが大事だと言っておきながら、今度は五感は関係ないですよというのは、本当に朝令暮改が過ぎるというふうに私は思います。そして、今回の改正案を見て驚いたんですけれども、対面、映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に確認しながら通話をすることが可能な方法その他の方法により薬剤の適正な使用を確保することが可能であると認められる方法として厚生労働省令で定めるものを含むとあるんですよね。ですから、厚労省令で定める方法は対面に含めるというふうに、何でも逆に言えばできちゃうわけですよね。条件も制約もないわけですよ。ですから、直接五感を用いて判断することが大事という本来の原則的な立場からすれば、私はオンライン服薬指導というのは極めて例外的な扱いにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○樽見政府参考人 まさに近年、情報通信技術というものは著しく進歩しているわけでございまして、質の高い医療を効率的に提供するという観点から、こうした技術を活用していくということもまた大変重要なことであるというふうに考えているわけです。そういう中で、オンライン診療、お医者様の診療というところについては、既に平成三十年の三月にガイドラインを策定して、それに基づく診療が行われています。そのときにも、初回は対面診療とすることでありますとか、あるいは、診療計画というものを作成して、それに基づいて診療を受けていただくというようなことを要件にしているわけでございます。ただ、診療は三十年からやっているわけですが、一方で医薬品については、服薬指導について、現行の法律上、対面というものが一律に義務づけられているということになっておりますので、そこのところを今回の改正によって改めまして、一定のルールのもとで、薬剤の適正使用を確保することができるというような場合について、テレビ電話等による服薬指導を認めるものということでございます。そういう意味でいいますと、服薬指導は対面が原則であるということは変わらないわけでございますので、極めてと言うかどうかというところはあると思いますけれども、いわば例外という扱いになるというのはおっしゃるとおりであろうと思っています。
○宮本委員 例外だとおっしゃいますけれども、やはり極めて例外なものにしなきゃいけないと私は思います。ところがその制約が法律の文言上ないというのは、私は大変懸念しているということを申し上げておきたいと思います。次に、新たに設ける課徴金制度について伺います。課徴金を課す目的について確認したいと思いますが、これは金銭的不利益を課すことで違反行為を防止するための抑止力だ、こういうことでよろしいですか。
○樽見政府参考人 おっしゃるとおりでございます。課徴金導入の目的は、事業者による違反行為に対して経済的不利益を課すことによって、広告違反を行う動機を失わせ、広告規制の抑止力を高めるものということでございます。
○宮本委員 独禁法も課徴金の制度があります。きょうは公取に来ていただきました。製造業、大企業の場合は売上高の一〇%としておりますが、この根拠を説明していただけますか。
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。お尋ねの課徴金の算定率でございますが、平成十七年の独占禁止法の改正によりまして一〇%とされたものでございますが、この一〇%という水準は、過去の違反事件の不当利得を分析しましたところ、九割の事件で八%以上の不当利得があると見られたということ、また、違反行為の抑止という行政目的に照らしまして、その八%に、抑止を強化する分として、その四分の一に当たります二%を上乗せしたものとして設定されたものでございます。
○宮本委員 違法行為のやり得にならないように、不当利益にプラスアルファで抑止力をかけているということであります。経産省、来ていただいていますけれども、日本の製造業の、今、平均的な売上高営業利益率というのは幾らですか。
○上田政府参考人 お答え申し上げます。本年六月公表の経済産業省企業活動基本調査確報によりますと、平成二十九年度における資本金十億円以上の国内製造業の売上高営業利益率は、約五・七%というぐあいに承知をしております。
○宮本委員 今、資本金十億円以上の企業、製造業でいえば、大企業、五・七%が利益率だと。それに対して、独禁法では一〇%、売上高に対して課しているということであります。今回の法案では、課徴金の算定率は四・五%と、独禁法の大企業の製造業よりも随分低いわけですね。四・五%の根拠について、先週の審議での説明では、医薬品製造販売業者、医療機器製造販売業者の営業利益率の中央値という説明がありました。こういう決め方で、果たして不当利得相当額以上の金銭的不利益を課すことができるのかということが問われていると思います。ちょっと数字をお伺いしたいと思いますが、医薬品製造販売業者の医薬品関係の売上高営業利益率の平均、また、医薬機器製造販売業者の売上高営業利益率の平均、述べていただけますか。
○吉田政府参考人 お答えいたします。平成二十九年度医薬品産業実態調査に回答いただきました、日本製薬団体連合会の業態別団体のそれぞれに加盟していただいている企業二百九十三社の医薬品売上高に対する医薬品関係の営業利益率は、一二・一%でございます。また、平成二十九年度医療機器産業実態調査に回答いただきました、日本医療機器産業連合会の会員企業六百一社の損益計算書における営業利益率は、七・八%となっております。
○宮本委員 今回の中央値から見た四・五%に比べて、平均値で見ると、利益率はもっと高いわけですよね。そして、医療機器製造販売に比べ、製薬メーカーの利益率は、平均で見ても倍近く高いというものになっております。今、数字をちょっと紹介してもらいましたけれども、大臣、今の法案に出ている四・五%、この算定率というのは、巨大製薬企業からすれば、違法な収益の剥奪、抑止力という点でいえば、私は極めて不十分じゃないかというふうに思います。独禁法では、大企業、中小企業で課徴金の率を分けております。薬機法でも、大企業、中小企業で課徴金の率を分け、大企業は引き上げるというのは考えるべきではないかと思いますし、医薬品製造販売と医療機器製造販売でも利益率は大分違います。ここの課徴金の率を分けるというのも私は考える必要があると思いますが、いずれにしても、巨大製薬メーカーの利益率というのは非常に高いわけですから、本当に不法なことをやり得にしないためには、この課徴金の率はもっと引き上げるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 先ほどから答弁させていただいているように、課徴金制度の導入というのは、事業者による違反行為に対して経済的不利益を課すことによって、今回の場合は広告違反を行う動機を失わせ、広告規制の抑止力を高めることを目的としているということで、今回、算定率を四・五%としたものであります。一般的に、例えば景品表示法についての課徴金の算定率は三%でありますから、それと比べては随分高い水準になっている。また、一律にしているというのは、運用面、それからこうした制度をよく知っていただく、そういう点から四・五%という一律の率を課している、こういうことになっているわけであります。
○宮本委員 ですけれども、それでは、不法な広告をやってもうけても、もうけは残るということになるわけですよ、大量のもうけが。やはりそれを抑止するためには、独禁法と同じように、不当な利益は許さない、それ以上の課徴金を課すことによって抑止を図る。私は、せっかく課徴金制度を設けるんだったら、やはりそこまでやっていく必要があると思いますので、そこはぜひ今後も考え続けていっていただきたいというふうに思います。その上で、もう一点だけ課徴金についてお伺いしたいんですが、製薬業界は、この算定率を決める過程で、厚労省に何らかの意見というのは伝えてきたことはあるんでしょうか。
○樽見政府参考人 課徴金の算定率の基本的な考え方につきまして、厚生科学審議会の部会の取りまとめというところで入っているわけです。この厚生科学審議会の部会のメンバーとして、医療関係団体、医薬品・医療機器業界団体、薬害被害者、患者団体等の代表者、それから法学を始めとする各種有識者で構成される部会ということでございまして、そこの取りまとめの中で、「課徴金の額の算定については、違法行為の対象となった製品の売上額に一定の算定率を乗じる簡明な算定方式を採用すること。」というふうにされたところでございます。こうした考え方で先ほど来出ている制度にしたわけでございますけれども、製薬業界から厚労省に対して何らかの意見を伝えてきたということについてはございません。
○宮本委員 伝えてきていないんだったら、製薬業界の方を政治の側、行政の側がそんたくして、これほど独禁法に比べて低いものになったのかなと考えざるを得ません。独禁法に比べても低い課徴金の一方で、自民党に対して、製薬業界からの企業・団体献金が行われております。医薬品業界の自民党に対する企業献金は、政治資金収支報告書によりますと、二〇一七年、八千三百万円ということになっております。製薬業界の政治団体であります製薬産業政治連盟は、毎年政治家のパーティー券を買っております。二〇一八年の収支報告書を見ますと、政治資金パーティーで、アステラス製薬、塩野義、第一三共、武田、田辺などの製薬大企業が毎回四十万円ずつ支払いをしております。そして、そのプールした二千六百万円もの資金で、自民党政治家を中心にパーティー券を購入しております。加藤大臣も、製薬産業政治連盟にパーティー券を買ってもらっているんじゃないですか。
○加藤国務大臣 私が主宰をしている勉強会等においてパーティー券を購入していただき、それについては、法令に従い、適正に処理をさせていただいているところであります。
○宮本委員 二〇一七年、幾らもらいましたか、買ってもらいましたか。
○加藤国務大臣 済みません、私の方の収支報告書においては、たしかパーティー券二十万円以内はここには出てこないということになっておりますので、ちょっとすぐには出てこないということでございます。
○宮本委員 製薬産業政治連盟の収支報告書の方に出ておりますが、二〇一七年二月二十八日、二十万円、二〇一七年六月二十三日、二十万円、二〇一七年九月一日、二十万円、二〇一七年十二月一日、二十万円。これはマサルカイと読むんですかね、衆議院議員加藤勝信昼食勉強会、支出が記されております。この二〇一七年、もちろん厚労大臣だった期間も含まれているわけですよね。加藤大臣、製薬大企業はどういう動機で大臣あるいは大臣経験者の、加藤大臣のパーティー券を買うんでしょうか。
○加藤国務大臣 パーティー券を買っていただいている方のそれぞれの事由というのは個々なので、ちょっと直接私自身が知るすべはありませんけれども。ただ、御承知のように、政治資金パーティーは対価を徴収して行われる催物であるということ。そして、こうした会に、勉強会に定期的に御参加いただいて、これは実は厚労大臣になってから始めたわけじゃなくて、もうずっと前から始めて、そのころから同じように御参加をいただいているということでありますし、また、この勉強会も、単に厚生労働分野だけじゃなくて、そのときのさまざまなトピックを取り上げながら、意見交換をしながらそれぞれ勉強を深めていく、こういう趣旨で実施をさせていただいているところであります。
○宮本委員 報道を見ていますと、製薬メーカーでたくさん献金だとかを政治家にもしておりますアステラス製薬担当者は、なぜ献金だとかをするのかということで、こう言っているんですね。産業界全体の動向を踏まえ、製薬業界の要望を伝える意味においても献金していると。一般的な社会貢献で献金すると言っているわけじゃないんですよ。業界の要望を実現してもらうために献金をし、パーティー券を買ってもらっている、こういうことなんじゃないんですか。
○加藤国務大臣 今言われた方に対して、ちょっと、その方がそう言っておられる以上に、私の方からコメントすることはありません。ただ、さっきおっしゃった献金とパーティー券、ですから、献金という場合には、一般的にいわゆる寄附ということ、そうした寄附というものは私は受け取っていない。いわば、先ほど申し上げた、対価を徴収して行われる政治資金パーティーについて御参加をいただいて会費を負担していただいている、こういうことでございます。
○宮本委員 パーティー券も実際は献金の形を変えたものですよ。二十万円も食事だとかそんなものに出ているわけじゃないわけですから。前回は、私は、製薬工業協会に対して厚労省から定期的に天下りがあるということを言いました。そして、きょうは、政界に対しては製薬マネーが流れているということを申し上げましたが、やはり行政や政治家が製薬業界とこういう天下りやあるいはお金の関係を持っていて、本当に安全最優先の厚労行政ができるのかという点では、私は大変疑念を抱かざるを得ないと思いますので、こういう点は改めていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。