2019年11月22日衆院厚労委員会。教員の一年単位の変形労働制、労使合意なしは労働基準法違反

 日本共産党の宮本徹議員は22日の衆院厚生労働委員会で、公立学校の教員に1年単位の変形労働時間制(変形制)を導入可能とする教員給与特別措置法改悪案について、労使合意の歯止めを取り払うもので、労働基準法違反だと追及しました。
 改悪案は、1年単位の変形制を導入する際に労基法が必要とする労使協定の締結を要件とせず、自治体の条例だけで導入できるとしています。
 宮本氏がなぜ労基法が労使協定を義務付けたのかとただしたのに対し、厚生労働省の坂口卓労働基準局長は「変形期間が1年と長く、弾力性の程度が高いため」と答弁。1日8時間・週40時間の大原則を崩すことに対する歯止めとして労使合意が必要との認識を示しました。宮本氏は「歯止めを取り払うもので、労基法違反だ」と追及しました。
 宮本氏は、時間外・休日労働の労使協定について定めた労基法36条が公立学校教員に適用され、労使協定を締結できると指摘。坂口局長は「36条は地方公務員法上適用除外とされていない」と認めました。
 宮本氏は「労使協定を結ぶことが可能にもかかわらず、なぜ自治体が条例で学校現場に押し付けることができるのか」と追及。労基法の原則をゆがめ、教員の命と健康を脅かすものだと批判しました。加藤勝信厚生労働大臣は、「地方公務員の勤務条件は条例で決められる」と強弁しました。

以上2019年11月24日付赤旗日刊紙より抜粋

≪第200回2019年11月22日衆院厚生労働委員会第6号議事録 該当部分抜粋≫

○宮本委員 解釈通達でそういうふうに書くというお話なんですけれども、私は、やはりこの防止指針にちゃんと書かないと、解釈通達まで一つ一つの会社で見て対応を具体化していくというところに本当になるのかなと思いますよ。やはり防止指針そのものに明示的に、職場は業務を遂行する場所だということよりももっと踏み込んで書くべきだと私は思います。そうしないと、居酒屋だとか休日だとか、私的領域のハラスメントについて、これは相談が来ても対応しなくていいものだと誤解が生まれる可能性があるわけですよね。あるいは、防止義務は会社にないんじゃないかと誤解を生む可能性があるわけですよ。ですから、解釈通達だとかよりも、ちゃんと防止指針にしっかりと書いていく必要があるということを申し上げておきたいというふうに思います。ちょっと残り時間が少なくなってまいりました。一年単位の変形労働時間制について伺いたいと思います。教員に一年単位の変形労働時間制を導入する給特法改正案が、今週衆議院で採決をされました。労基法では、一年単位の変形労働時間制の導入には当然労使合意が必要になっております。ところが、この給特法の改正案では、労使合意抜きで自治体の条例で導入することが可能になっているわけですね。労基法の原則に照らして大変な問題だと私は考えております。ちょっと確認いたしますけれども、労基法三十二条の四で変形労働時間制を導入する際に、なぜ労使協定を必要としているのか。端的に説明していただけるでしょうか。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。委員お尋ねの労基法三十二条の四ということで、これは一年単位の変形労働時間制ということでございまして、一カ月を超える一年以内の期間を平均して一週間当たりの労働時間が四十時間を超えないことを条件として、業務の繁閑に応じ労働時間を配分するということを認める制度でございます。この制度につきましては、設定できる変形期間の最長期間というものが一年と長いということで、弾力化の度合いが高いということで、制度を導入するに際しましては労使協定の締結を必要としているものでございます。
○宮本委員 つまり、歯どめとして、労働者の集団的な同意を必要としたということだと思うんですね。ところが、今回は、教員、公務員については、同意なく、条例でできるようにする、歯どめを取り払うということになっているわけですよね。もう一つ確認しますけれども、労基法の三十六条は、公立学校教員を含む地方公務員は地方公務員法上適用除外になっていますか。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。労働基準法三十六条でございますが、これは、使用者が法定労働時間を超えて労働させる場合、又は休日に労働させる場合には労使協定の締結を必要とすることなどを定める条文、いわゆる三六協定と言われるものに関する条文でございます。お尋ねは、地方公務員法の問題でございますが、同条につきましては地方公務員法においては適用除外とはされていないものと私どもは承知をしております。
○宮本委員 地方公務員法上の適用除外になっているわけじゃないんですね。ですから、三六協定は公立学校の現場でも結ぶことは可能なんですよ。労使協定を結ぶことは可能なんですよ。ですから、労使協定を結ぶことが公立学校の現場でも可能にもかかわらず、なぜ今回、条例だけで自治体が学校現場に、先生たちに一方的に一年単位の変形労働時間制を押しつけることができるのか。労基法の基本的な原則からいっても、とても許されるものじゃないというふうに考えております。大臣に伺いたいと思いますけれども、大臣は労基法を所管しております。一年単位の変形労働時間制は、労使協定もなしに公立学校の現場に導入すべきじゃないんじゃないですか。
○加藤国務大臣 今回の公立学校の教職員に導入する目的は、長期休業期間を活用して一定期間集中して休日を確保することである、そう承知をしておりまして、そういう観点から、そもそも地方公務員は適用が除外されているものを公立学校の教職員に限って適用可能とし、そして、その適用に当たっては今委員御指摘のように労基法上は労働組合との書面による協定が必要になっておりますけれども、地方公務員の勤務条件については、勤務条件条例主義というのがあって、それにのっとって対応されているというふうに承知をしております。
○宮本委員 ですけれども、勤務条件条例主義があるからといって三六協定を結んじゃいけないというルールはないわけですよ、公立学校の教員だって。条例で決める、そういうルールがあるのは知っていますよ。だけれども、三六協定自体は結べるわけですから、条例で決めるだけじゃなくて三六協定も必要だと加藤厚生労働大臣が言えばいい話じゃないですか。私はそう思うんですけれどもね。ですから、これはやはり三六協定もなしに導入すべきでないという立場にぜひ立っていただきたいと思うんですよね。時間が終了しましたというペーパーが来ちゃったのであれですけれども、もう一問、本当は後期高齢者医療制度の二割負担の導入の問題についても質問したいと思っていたんですけれども、時間がなくなってしまいました。二割に引き上げるという議論が全世代型社会保障検討会議でやられていて、そのニュースを見て、大変不安が広がっております。先週末も私も車座集会に出ていましたら、七十四歳の方が涙ぐんで訴えていましたよ。この一年で帯状疱疹などで三回入院した、自分は体が頑丈だと思っていたけれども、やはり年をとれば病院にかかることがふえる、年金から引かれるものがどんどんふえる中で、二割負担になったらどうやって暮らしていけばいいのか、こういう声も聞きました。ぜひ、二割に窓口負担を引き上げることはやらないという立場で頑張っていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。