乱暴すぎる病院再編統合 12月15日付赤旗日曜版にコメント

 厚生労働省は再編統合の検討が必要として424の公立・公的病院のリストを公表しました。「この病院はなくなる」との不安が広がり、職員や看護師が引き抜かれる、研修医が来ない、新しい看護師が採用できないなど深刻な問題が起きています。人員不足で困っている医療現場をさらに追い詰めています。
 私の地元の東京では、最も近い救急病院まで救急車で40分かかる奥多摩病院など10病院が名指しされました。
 奥多摩病院は、地域の医療を支えるために24時間365日、4人の常勤医で年間400回の往診を行うなど懸命に頑張っています。
 10月の台風19号の際には、孤立した地区に町の保健師が山道を歩いて全戸訪問し、他市の病院にかかっている住民も含めて薬を届けました。
 厚労省の評価は極めて限られた項目で行われたものです。地域で果たしている役割を無視されたことに、院長は「心が折れる」と言いました。
 そのことを国会で加藤勝信厚労相にただすと、424病院の中には「地域にとってなくてはならない医療機関も当然入っている」と答えざるを得ませんでした。そういうリストを出すこと自体間違っています。
 政府の頭の中にあるのは社会保障費をどう削減するかだけです。医療費を削減するために病床を減らそうと「地域医療構想」という仕組みをつくりました。しかし政府の思惑どおりに病床が減っていません。それぞれの病院は住民の命と健康を守るかけがえのない役割を果たしていますから、なくすわけにはいかないのです。
 その中で、社会保障費の負担を嫌う財界と政府が主導して、期限を設けて強引に病床削減を進めようとしています。
 いま必要なのは、誰もが自分の暮らしている地域で必要な医療を受けられるようにすることです。自治体ぐるみ、住民ぐるみの運動を一緒に起こして、不当な再編都合をはね返していきたい。
 医師は全く足りません。病床を減らすのではなく、医師を増やしていくことが、住民の命と健康を守る医療をつくっていく道だと考えています。そのためにも医師の労働条件の改善は当然必要です。

以上2019年12月15日付赤旗日曜版より抜粋