3月6日厚生労働委員会 新型コロナウイルス対策 「内定取り消し」対応を。雇用調整助成金の特例。

 2月末に、工場への就職が内定していた都内の定時制高校生の内定が取り消されたという話をうかがいました。生活費を稼がなければならない若者にのって、あまりに酷です。3月5日午前に、内定取り消しへの対応を質問通告。3月6日の厚生労働委員会で、内定取り消しがおきないように政府としてはたらきかけること、事業者が大変ならば政府として支える策をとることを求めました。厚労省からは経済団体へのはたらきかけなどに着手しはじめたという表明がありました。
 その後3月10日(火)に政府は雇用調整助成金の特例措置を発表し、「新規学卒採用者等、雇用保険被保険者として継続して雇用されている期間が6か月未満の労働者についても助成対象とします」としました。また、3月13日には、内定取り消しをしないよう厚生労働省から、経済8団体への働きかけがおこなわれました。
 
以下、2020年3月23日付赤旗日刊紙より抜粋

 新型コロナウイルス感染症の拡大で、経済に深刻な影響が及び、新卒者が採用内定を取り消されるケースが出ています。加藤勝信厚生労働相は19日の会見で、感染症の影響によって13社21人分(18日時点)の内定取り消し通知があったと発表。世界で感染が広がる中、政府による早急な対応が求められています。
 東京都内の定時制高校で卒業を目前にした男性(19)は2月末、入社予定だった町工場のA社から突然の採用取り消しの通告が学校にあったことを知らされました。A社は、感染の影響で中国からの部品納入の遅れなどにより、休業の計画を立てざるを得なくなり、業況回復の見通しが立たないことを理由に挙げていました。
 進路指導主任として就職活動を支援してきた女性教員(60)によると、生徒は4日後に対面した際、不思議な出来事に出くわしたように「こういうこともあるんですね」と漏らしたといいます。
 補償などについて話し合いを持ちたいとのA社の意向を受け、女性教員はすぐにハローワークに連絡しました。
 ハローワークは内定取り消しについてハローワークが定めた「新規学校卒業者の採用に関する指針」は、事業者に次の点などを十分考慮するよう求めています。▽採用内定を取り消さない▽取り消しを防止するため、最大限の経営努力を行うなどあらゆる手段を講ずる▽やむを得ない事情で取り消す場合、学生・生徒からの補償などの要求には誠意をもって対応する―。
 しかし、ハローワークには内定を取り消さないようA社に働きかける姿勢が見えず、女性教員は話し合いに応じた方がいいと言われました。「卒業直前の時期に撤回を求めて会社と争うのは難しく、引き延ばすと生徒自身が苦しんでしまう側面がありました」
 生徒と母親、A社による話し合いが学校関係者を交えて行われました。A社は、新規採用が雇用調整助成金の対象外であることを理由に、この生徒の採用はできないと説明。その後、補償問題で双方が合意し、別の仕事を探すことになりました。
 生徒は、就労支援をするジョブサポーターから営業職を紹介され、採用試験を受験。給与は前より低かったものの、卒業目前で内定通知が届きました。
 「生徒は新しい仕事を頑張るしかないと、気持ちを切り替えていますが、結果オーライじゃない」。女性教員は、一人親世帯で家計を助けるため就職を選んだ生徒に対し、「ハローワークは元の雇用を守ろうとはしてくれなかった」と憤ります。「この国の労働行政は、生まれた年が悪かったということで、路頭に迷うのを放っておくのかと思いました」
 日本共産党の宮本徹衆院議員は6日の厚生労働委員会で、内定取り消しを起こさせない働きかけとともに、国が歯止めとして経営が悪化した企業を支えるよう加藤勝信厚労相に迫りました。
 政府は10日、雇用調整助成金について通常は助成対象にならない雇用保険の加入が6カ月未満の新入社員も対象に含める措置を発表。制度活用で内定を取り消さないよう企業に呼びかけています。
 女性教員は強調します。「安倍晋三首相は『予定通り採用できるよう政府としてできる限りのことをしたい』と言いました。本気で内定取り消しを起こさせない具体的な手だてをとってもらいたい。すでに内定を取り消した全ての企業に対し、新たな措置を伝えて撤回させるぐらいのことをするべきです」

≪第201回2020年3月6日衆院厚生労働委員会第2号 議事録該当部分抜粋≫

○宮本委員 ~省略~ 次に行きますけれども、四月から就職が内定していた高校生が内定を取り消されたという事態が起きております。私は、今回、そういう事態がもっとどんどん広がりかねないなという心配を受けるような経済状況だと思っています。高校生たちが高校を卒業して就職するというのは、まさに生活費を稼がなきゃいけないから就職される人たちなわけですから、そういうことがないようにしっかりと事業主に対しても働きかけるし、大変な事業主は支えていくしということだとかを含めて政府として対応が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○定塚政府参考人 お答え申し上げます。新卒者に対する採用内定の取消しの問題でございますが、対象となった方へ大きな失望を与えるものであり、新型コロナウイルスの経済への影響による採用内定の取消しはできる限り防止をするということが必要と考えております。そのために、厚生労働省といたしましては、主要経済団体等に対しまして、新卒者の採用内定の取扱いを含め、新型コロナウイルス感染症に係る雇用維持等への配慮に関する要請を行う、これは既に着手をいたしております。それとともに、事業主の皆様の雇用維持の努力を一層強力に支援するために、雇用調整助成金の特例措置を講じて、各種支援の御案内に係るリーフレットを労働局等を通じて周知をしているところでございます。それでもなお採用内定の取消しを受けるという場合の新卒者の方に対しては、ハローワークにおいて、学校とも連携しながら、新たな就職先の確保など、丁寧な就職支援に努めてまいりたい、このように考えてございます。
○宮本委員 経済団体に呼びかけているという話ですけれども、それぞれの事業主のところまでしっかり届くやり方でやらないと、これは町工場の話なんですね、私が聞いている話は。経済団体のトップに言ったから、それですっと伝わるような話じゃないんですよ。そこはしっかりやっていただきたいというふうに思います。それから、一律休校に伴う収入減少に対しては、雇用関係にある人は賃金助成、あと、フリーランスについても官房長官は何か考えると言っているというお話なんですけれども、同じ政府の要請でも、イベントの自粛要請だとか塾の自粛要請だとか、こういう要請もやっているわけですよね。そこでの深刻な影響が出ているわけですよね。音楽家、声楽家、スタジオミュージシャン、落語家、舞台スタッフ、スタイリスト、カメラマン、講演会の講師、あるいはスポーツクラブのインストラクター、塾講師、こういう方々への所得補償というのも別個、真剣に考えなきゃいけないんじゃないですか。
○田中政府参考人 今回の新型コロナウイルスの感染拡大によりまして休業を余儀なくされる労働者への支援につきましては、総理から示された方針を踏まえまして、厚生労働省として、雇用調整助成金の特例措置の対象の拡大や要件緩和に加え、小学校等の休校等に伴い職場を休まざるを得なくなった方々に対して、正規、非正規を問わず、休暇中に支払った賃金相当額の全額を支給する新たな助成金の創設等に取り組んできております。また、収入の減少等により当面の生活費が必要な方については、社会福祉協議会が実施主体となる生活福祉資金貸付制度において、低所得世帯等であって、緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった世帯に対して、当面の生活費として、無利子で十万円以内の貸付けを、低所得世帯であって、収入の減少や失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯に対して、生活再建までの間に必要な費用として、保証人がいる場合は無利子で原則月額二十万円以内を三月間まで受けられる貸付けを行っているところでございます。フリーランスや個人事業主の方の状況はさまざまであると考えられますが、収入が減少して暮らしが厳しい状況にある方については、今般の状況に鑑みますと、何らかの支援が必要と考えております。収入が減少するフリーランスや個人事業主の方に対する支援についても対応を検討しているところでございますが、早急に結論を得たいと考えております。なお、先月十三日に取りまとめました新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策において、自営業者等も含めた中小企業、小規模事業所に対する資金繰り支援として、各関係機関における経営相談窓口の設置や、日本政策金融公庫等による緊急貸付、保証枠としての五千億円の確保等の措置も講じており、今後とも、政府全体としてしっかりと連携を図りながら必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
○宮本委員 ですから、貸付けのメニュー以外に支援が必要じゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 最後に申し上げさせていただいたように、個人事業主の方に対する支援、どういったことがあるのか、これは雇用者とはまた違う部分があるわけでありますから、その辺も踏まえてしっかりと検討させていただきたいと思います。