2020年4月6日 決算行政監視委員会 休校中も受け入れぜひ 医療関係者や困難かかえる家庭の子ども

 日本共産党の宮本徹議員は6日の衆院決算行政監視委員会で、新型コロナウイルス感染拡大で緊急事態宣言が検討されるなか、宣言で小中高校・特別支援学校の臨時休校を延長した場合も、医療・福祉・公務などに就く人や困難を抱える世帯の子どもは学校で受け入れるよう求めました。
 宮本氏は、「宣言が出されるような状況でも、医療や福祉、教育、公務など国民生活の維持のために働き続けなければならない人たちがいる」と指摘し、その子どもたちへの対応を求めました。萩生田光一文部科学相は「しっかりした対応を講じたい」と答えました。
 宮本氏は、経済的困窮など困難を抱える世帯の子どもの支援も重要だと強調。そうした世帯では専用の勉強机がないと家庭学習が困難な傾向にあるとして、子どもの学ぶ権利を保障するために休校中も受け入れるべきだと主張。萩生田文科相は「文科省が(通知でそうした措置を)例示できるか研究したい。前例踏襲ではなく、学習の遅れがないよう全力で努力する」と答えました。
 宮本氏は給食についても、「私の知るふとり親は『肉・野菜は給食でとり、家でとるのはカロリーだ』と言っていた。困難な世帯の子へ、一歩踏み込んだ支援を」と要請。萩生田文科相は、「各地域の取り組みや工夫を集めて情報提供する。各教育委員会で実情に応じて判断してほしい」と述べるにとどまりました。
 宮本氏は、自治体ごとにばらつきがあるとして国が支援を促すよう重ねて求めました。

以上2020年4月7日付赤旗日刊紙より抜粋

≪第201回2020年4月6日衆院決算行政監視委員会第二分科会第1号 議事録≫

○宮本分科員 日本共産党の宮本徹です。ちょっと質問の通告の角度も変えて伺わせていただきたいと思います。きのう、東京で百四十三人新たに新型コロナウイルスの感染が確認されて、三分の二が感染経路がわからないということで、東京でも学校の休校が延長されるということになりました。さらに、報道では、緊急事態宣言についてきょう諮問されるということも流れております。学校の休校もどこまで長期化するかわからないということだと思います。感染拡大がもっと厳しい局面にこれからなっていった局面でも、そういう状況になっても、国民生活の維持や社会の維持のためには働き続けなければいけない人たちがいるわけですね。医療関係者だとか福祉の関係者だとか、そういう方々がいます。ですから、学校休校ということになっても、そういう方々の家庭の支援、子供の支援というのは必要だと思うんですよね。イギリスでは学校休校ということをやっていますけれども、医療関係者だとか、教育関係者だとか、警察の皆さんの子供たちは受け入れているということが報道されております。ですから、この学校休校がずっと続くという中でも、やはり、医療関係者始め、どんな局面でも頑張って働き続けなきゃいけないその家庭のお子さんたちをしっかり支えていく、学校でも受け入れていくということを考えなきゃいけないんじゃないかと思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○萩生田国務大臣 前回の一斉休業のときにもその課題は認識をさせていただきました。特に、保育園、幼稚園につきましては休業対象にしませんでしたけれども、しかし、その中で、医療関係者の方たちのお子さんについては積極的な支援をしていくということも厚労省とも連携をして行ってきたところでございます。今後、休業が更に延びることになれば、当然、そういう人たちが現場から離れてしまったのではこれは医療崩壊が更に進んでしまうと思います。しっかりとした対策を講じていきたいと思っています。
○宮本分科員 保育園、幼稚園だけじゃなくて、学校も含めて、ぜひお願いしたいというふうに思うんですよね。医療関係者プラスアルファの部分があると思うんですよね。福祉を支えている皆さんも本当に必死でやられていますので、そういうどうしても社会の維持のために働かなければならない人たちはしっかり受け入れていくということをお願いしたいと思います。それから、そういう中でも、学校休校の場合の子供の学ぶ権利をどう保障していくのかということについて次にお伺いしたいと思います。この三月、どうだったかというのが、萩生田さんのところにもいろいろなお話が入っているかと思いますが、教材だけ渡されても、自分では勉強できない、家庭では勉強できないというお話も実際はいろいろたくさん伺いました。ゲームやユーチューブをずっと見て昼夜逆転してしまった、こういうお話なんかも私のところにもたくさんやってまいりました。本当に、子供の学ぶ権利をどう保障していくのかという点では、三月の一斉休校から見えてきたたくさんの課題があったというふうに思うんですけれども、その課題について、大臣、どういうふうに認識されているでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。今般の新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえまして、学校の臨時休業を行う場合において、子供たちが授業を十分に受けることができないことによって学習に著しいおくれが生じないようにするといったようなことは非常に大事なことだと考えております。先般、四月一日改訂をいたしましたコロナウイルス感染症に対応した臨時休業の実施に関するガイドラインにおきましても、可能な限り、家庭学習を課したり、家庭訪問を行ったりするなど、各教育委員会等に対して必要な措置を講じるよう依頼をしているところであります。各設置者及び学校においては、例えば、家庭訪問を通じた課題の配付や回収、ICTを活用し、児童生徒に課題を送信することによる学習状況の確認、教科書を教材とする各教科の授業動画の公開などの取組を行っている事例もあると承知をしており、文部科学省においてはこうした取組事例の周知に努めてまいりたいと考えております。また、児童生徒の学習の支援方策の一つとして、児童生徒及び保護者等が自宅等で活用できる教材や動画などを紹介する、子供の学びの応援サイトを開設をしまして、その内容の充実に努めているところであります。同時に、ガイドラインにおきましては、家庭学習を課すことに加えまして、各学校が児童生徒の学習状況の確認や補習等の学習指導を適切に行うとともに、生徒指導、児童生徒等の健康観察を適切に行う観点から、児童生徒や学校の実態に応じて登校日を適切に設定をすること、体調面にも配慮した上で、特に配慮を要する児童生徒など一部の児童生徒については登校させたりすることなど、きめ細かな工夫を行うことについて示しているところであります。今後とも、学校の臨時休業を行う自治体と緊密に連携をし、児童生徒の学習に対する支援に努めていきたいと考えております。
○宮本分科員 武蔵村山市で生活実態調査というのをやって、これは去年の三月に公表されているものがあるんですね。小学校五年生と中学校二年生の調査なんですけれども、中学校二年生の場合、自分専用の勉強机があるというのは、一般層では八四%、困窮層では六三%。自宅で宿題ができる場所があるというのは、一般層では九三%、困難層では七八・七%。ちなみに、今、いろいろな動画とか配信だとかとお話がありましたけれども、インターネットにつながるパソコンがあるというのは、困窮層では、小学校五年生、二一%という調査なんです。これは去年ですから、一年たてばもうちょっと広がっていると思います。あと、実は、この三月なんかは、結構、経済的に余裕がある家庭は塾にかなり通わせているというのがあったと思いますが、学習塾に通うということが経済的にできないとお答えになっているのは、一般層では八・五%に対して、困窮層は六六・七%。物すごい大きな差があるわけですよね。先ほど局長の答弁の中で、特に配慮を要する児童生徒など一部の児童生徒については登校させたりするなど、きめ細やかな対応のための工夫を行うということがありましたけれども、そういう中に、本当に、こういう、自宅で勉強しようにも、なかなかそういう状況がない家庭も受け入れていくというのをもうちょっと明示的にやった方がいいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。各自治体の取組について、今しっかりと、臨時休業中に、先ほど委員御指摘いただきましたように、各学校において子供たちを受け入れているさまざまな事例もございますので、そういったことを収集を今しているところでありまして、各自治体に対してしっかりと横展開をしていくということ、それからさらに、これから、QアンドA等を今充実をさせているところですけれども、状況に応じては、必要な取組ということについては通知を発出するなどのことも検討していきたいと考えております。
○宮本分科員 先ほど私はイギリスの例をお話ししましたけれども、イギリスは、そういう医療関係者や警察官だとか教育関係者の子供に加えて、支援が必要な子供を受け入れるというのを明示的にやっているんですよね。ですから、そこはかなり明示的にやっていただかないと、本当に大変な状況に子供も家庭もなっていくんじゃないかと思いますので、対応を大臣の方からも一言お願いします。
○萩生田国務大臣 設置者の判断というのを尊重しなきゃなりませんけれども、先生の問題意識は私もよくわかります。三月の一斉休校は、ぎゅうぎゅう詰めていきますと、授業日数は、中学校で十日以内、小学校でも十五日以内だったので、このリカバーは何とかできるなというイメージで来たんですけれども、今後更に休校が続くとしますと、先生がおっしゃるように、それは、プリントを渡して自分でやっておきなさいといってできる子はふだんからやはりやっている子で、学習がなかなか自分ではできない子にとっては非常に苦痛でありますし、また、学習がおくれていく実態というのは、これは正直言って否めないものがあると思います。開校後にリカバーしようというのが局長の先ほどの説明だったので、この間も、やはり学習に課題があるお子さんについては、家庭訪問などをしていただいている学校も数多く確認をさせていただいております。しかしながら、多分、本当は一部でも学校を開いてそういう子たちの授業をした方がいいんじゃないか、こういう御提案だと思うので、そこを、文科省がそういう例示をすることが果たしてできるかどうかちょっと研究してみたいと思うんですけれども、異常事態なので、余り前例や踏襲をするんじゃなくて、ここは、できることは何でもやって、子供たちのおくれはないように全力で努力をしてみたいと思っています。開校後、加配の教員などの用意もしていますけれども、都道府県から教員を配置してもらうのを待っているのでは間に合わないという可能性がありますので、例えば市町村単費で、直接OBなどに声をかけて二人制で授業をやってもらうようなことも含めて、いろいろなことを考えていかないとこれは本当に大変なことになってしまうと思いますので、全力を尽くしたいと思います。
○宮本分科員 お願いしたいと思います。それから、あともう一つ、私もたくさん聞いた声が、昼食の問題なんですよね。学校休校の間の昼食で、一人親の皆さんだとかから大変だという声が上がっています。私の知り合いでも、シングルファーザーで、三人男の子を育てているお父さんがいます。実は、率直に聞いたら、ふだんは、肉、野菜は学校給食でとっていたというんですよね。家でとるのはカロリーだということなんですね。あわせて、ちょっと、先ほど紹介した武蔵村山の生活実態調査を紹介したいと思うんですけれども、栄養群の摂取状況というのを聞いているんですね。小学校五年生で毎日野菜をとっているというのは、一般層では六三・八%ですけれども、困窮層は三七%。三人に一人。肉か魚を週に四、五日以上食べるというのは、一般層は七八%ですけれども、困窮層は五三%。二人に一人なんですね。逆に、カップ麺やインスタント麺を週に四、五日以上食べるというのが、困窮層では九・四%。ほぼ毎日、カップ麺かインスタント麺を食べざるを得ないという状況というのがあるんですね。文科省も学校給食の活用ということを言われています。ちなみに、ニューヨークも、学校閉鎖、今、ニューヨーク州はやっています。でも、ニューヨーク市は、朝食、昼食、そういう困窮層に対して、苦労している層に対しての無料提供というのをやっているんですね。これ、現状、給食をどうしていくのかという問題も難しい問題ではあるんですけれども、こういう方々の食の支援というのはどうするのかというのは、もう一歩踏み込んで考える必要があるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○萩生田国務大臣 三月の臨時休業のときにもたびたびお答えしましたけれども、子供の居場所を確保するに当たって、児童生徒等に学校給食の調理場や調理員を活用して昼食を提供することも工夫の一つと考えられます。今回、大阪市などは、やはり大阪府と並んで、しばらく、二週間ごとの休業延長をすることになったんですけれども、市長が、やはり子供たちの食事が一番心配なので、時間差でお昼だけでも食べに来て、そのときに健康状態のチェックをしたりするようなことを試みてみたいというお話をいただきました。そういう工夫を各自治体でされることは私はよろしいことだと思います。新年度に向けて示した新型コロナウイルス感染症に対応した臨時休業の実施のガイドラインにおいても、児童生徒に、ぜひ、こういった工夫によって昼食の提供をすることを考える旨を記載しております。また、就学援助の対象となる家庭に関しては、給食の休止により執行されなかった就学援助の学校給食費相当の財源などを活用し、別途昼食費の支援を行っている教育委員会もございますので、こういった点も横展開をしていきたいと思います。文科省としては、臨時休業に係る各地域の取組や工夫を集めて情報提供をし、各教育委員会において地域の実情やニーズに応じて判断をいただきたいと考えております。
○宮本分科員 工夫の一つという答弁をずっとされているのは私も存じて、その上で、工夫の一つで、東京を見ても、給食を考えているという自治体ももちろんありますけれども、なかなかそうはなっていない現状がありますので、もう一歩踏み込んで、促すということをぜひやっていただきたいと思います。それからあと、就学援助の食費の部分について、給付している教育委員会があるという御答弁が先ほどありましたけれども、これも全国的にばらばらだったわけですね、三月。東京を見ても、もう大変だろうからということで戻している自治体もあれば、全然戻していない自治体もあるわけですよね。ですから、これは、必要な家庭には私は昼食をぜひ出していただきたいと思いますけれども、そうしていないところは、本当、生活費、大変だという声が上がっています。もともと就学援助を受けている世帯というのは低所得者の世帯ですから、そこで、子供一人、二人、あるいはまた三人の昼食を出していくというのは大変ですから、これをもう一歩促すということが必要じゃないかと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○丸山政府参考人 お答えを申し上げます。先ほど大臣の方からも答弁ございましたように、各自治体において、さまざまな昼食の提供についての取組が工夫をされているということだろうと思います。文科省としては、臨時休業に係る各地域の取組や工夫を集めて、これを横展開していくということをしっかり行っていきたいと思いますし、各教育委員会において、地域の実情、ニーズに応じた対応というものを御判断をいただきたいというふうに考えているところであります。
○宮本分科員 これはいいことだよということで、奨励的にやっていただきたいというふうに思います。それから、あともう一点、就学援助について、三月二十四日に出た文科省の通知では、新型コロナウイルス感染症の影響等により家計が急変、年度の途中において認定を必要とする者については、速やかに認定し、必要な援助を行うこととあります。ですけれども、実はこの就学援助は、家計急変の条項がもともとある自治体とない自治体とあるんですね、家計急変の場合。もともと家計急変の場合はそういう申請ができますよという自治体もあれば、そのルール自体がない自治体なんかは、ちょっと聞いてみましたら、この間の文科省の通知自体、後ろの方に書いていましたね、就学援助のその話は、自覚がない、うちの市議の方が担当課に行って、どうなっていますかと聞いても、それが実情なんですよね。ですけれども、こういう事態になってきますと、本当に就学援助を必要とするという方がかなりたくさん全国的に生まれてくると思いますので、これは文科省から出す就学援助の通知をもうちょっと特出しして、制度自体がないところはぜひつくってほしいということを書いていく。それから、奨学金なんかは、今、家計急変のパンフレットを出していますよね。独自にあるわけです。ですけれども、就学援助の、普通の家庭に配られるのは、やはり前年度収入に基づいてという一般的なものが配られているわけですよね。家計急変の場合はできますよというのが特別配られているわけではないわけですよね。ですから、そういう案内を再度作成して全世帯に届けるだとか、そういう取組が必要だと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
○萩生田国務大臣 それは、先生の御指摘、大事だと思います。災害時でも、今御説明がありましたように、前年度の収入に対してということでやらなきゃならないんですけれども、これは、二月と三月でそれぞれの御家庭、もう状況がすごく違っていると思います。四月になって更に違う関係がありますので、これは、直近の収入状況で申請ができるような柔軟な対応事例を各自治体にしっかり示して、新学期に当たって保護者への周知が徹底されるように働きかけをしたいと思います。就学援助を必要とする児童生徒に対して速やかに援助が行われるように、ここは御意見は御一緒でございますので、確かに前例がないんですけれども、ここは異常事態、緊急事態だと思いますので、しっかり声を上げたら手を差し伸べることができるような仕組みを全国の自治体にもしっかり例示をして、特出しでいきたいと思います。
○宮本分科員 よろしくお願いします。それからあと、学生なんですけれども、学生も、バイトがなくなって収入が途絶えて困窮しているという声がたくさん上がっております。飲食店はどんどんどんどん閉まっていますし、いろいろなところが休業に入っていますので、大変なわけですよね。この間、修学支援制度の家計急変の問題だとか、文科省からいろいろな通知が出ているのは存じております。ただ、親の収入が減っていなくても、学生のアルバイトで学費を出していたり学生自身の生活費を出しているというケースもあるわけですよね。親の家計は急変していない、だけれども学生自身が自分で学費を出したりアルバイトで生活費を出している、そういう場合はどういう支援をできるのかということなんですけれども、その点については何か考えていることはあるんでしょうか。
○伯井政府参考人 お答え申し上げます。文部科学省といたしましては、今般の新型コロナウイルス感染症の影響で学生が進学、修学を断念することがないよう支援をしていくことが重要というふうに考えております。今御紹介いただきました修学支援新制度あるいはより幅の広い世帯を支援対象としている貸与型奨学金の両制度におきまして、家計急変の学生等への支援を行うことを積極的に広報、周知をしているところでございます。これらの制度についても積極的に御活用いただければと考えているところでございます。また、こうした支援制度とあわせて、入学料等初年度納付金あるいは授業料等の納付が困難な学生に対して、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえ、各大学に授業料等の納付の猶予などの弾力的な取扱いや減免等のきめ細やかな配慮の要請も行っております。引き続き、子供たちが経済的理由により進学、修学を断念することがないよう、しっかり支援をしていきたいと考えております。
○宮本分科員 今、一世帯三十万円の給付金というのが政府で検討されていると思うんですね。多分、これも世帯単位だから、親の収入は減っていないけれども、学生が、学生の分はアルバイトで稼いで生活費へ充てていたけれども、学生の収入が減ったからというので受けられるようになるんですかね、これは。萩生田大臣、これは政府全体で検討している話だと思うんですけれども、世帯単位でというのは。
○伯井政府参考人 今御説明いたしましたように、文部科学省としては、高等教育の修学支援新制度あるいは貸与型奨学金によりまして進学、修学の後押しを行うということにしています。一方、雇用に係る支援につきましては、厚生労働省において、雇用調整助成金の特例措置として、四月一日から六月三十日までの間、企業が雇用の維持を図るために休業手当を支払う場合には非正規雇用も含めて対象とする拡充が行われており、学生アルバイトについても休業手当が支払われた場合には対象となり得るということでございます。文科省といたしましては、引き続き、厚労省とも連携しつつ、学生が経済的理由により進学を断念することのないよう、丁寧に対応してまいりたいと考えております。
○宮本分科員 学生も雇調金の対象になり得る、それは法律上はそうだと思うんですけれども、実際どこまでそれが対応されるのかという問題があるわけですよね。しかも、なおかつ、休業手当は六割ですから、アルバイトと奨学金で今までやってきた学生はどうするのかということが起きるわけですよね。ですから、この給付金をどうするかというのは、学生の対策をどうするのか、ぜひ政府全体で検討していただきたいと思います。それともう一つ、厚労省に住まい確保給付金というのがあるんですね。大臣、厚労省に住まい確保給付金というのが。これは厚労省の制度で、離職した場合で、住まいを失いかねない人に対しては支援するという制度なんですよ。これは離職というのが条件になっていて、ところが、今回は実は離職じゃなくて収入の急減だとかいろいろあるから、制度を、対象要件を変えてくれというのを私は厚労省にもお願いしているんですけれども、例えば学生なんかについても、東京でひとり暮らしをやっていて、アルバイトが全然仕事がなくなってしまってという場合に、例えばこの住まい確保給付金がそういう学生にも適用できるように文科省からもお願いするとか、ちょっとそういう検討もしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○萩生田国務大臣 先ほど局長から学生アルバイトの休業手当の御説明をしましたけれども、これは雇用者側が休業手当を払った場合ですから、多分、先生の問題意識はもっと深刻で、もうバイトに来なくていいですよとバイトに利用されてしまった学生はどうするんだという問題もあると思うので、いろいろなケースを今後幅広に考えていかなきゃいけないと思います。もちろん、自立して東京なりに出てきて、自分でアルバイトをして学費を稼いで、なるべく実家に負担をかけないでと頑張っている学生さんの応援をしたい、そういう気持ちはあるんですけれども、こういう事態なので、本当に家庭そのものも支援ができないのかどうなのかは、ここはやはりちゃんと相談をしていただきたいなと思うんです。そして、家庭の方でも収入が減っていれば、先ほど申し上げたようなさまざまな制度も使えますから、玉突きで、結果として学生の応援をすることもできると思います。今御指摘の、家屋の家賃の件につきましては、文科省だけでは判断できませんので、そういう実態も踏まえて厚労省と相談してみたいと思います。
○宮本分科員 ぜひ厚労省との相談をお願いしたいと思います。次の問題に移りたいというふうに思います。これも大学生にかかわる問題ですけれども、新しい修学支援制度がこの四月からスタートいたしました。その一方で、去年ずっと一年議論になってきたわけですけれども、国立大学の授業料の減免との関係でいえば、対象が小さくなる、収入ラインが下げられるということになったわけであります。ちなみに、私たちが調べたところ、独自の減免で、従来どおりの減免を新入生に対しても維持したのは東大だとか五つの大学にとどまったということだと思います。大臣にお伺いしたいんですけれども、私たちの国は高等教育の漸進的無償化の条項、これを民主党政権のときに批准したわけですけれども、この人権規約には後退禁止原則というのがあるんですね。それは御存じですか。
○伯井政府参考人 国際人権規約では、高等教育の漸進的無償化を図ることとされておりますが、具体的な方法については、どのような方法をとるかは加盟国に委ねられているものと承知しております。今回の高等教育修学支援新制度でございますが、真に支援が必要な低所得者世帯の学生に対して確実に授業料等が減免されるということで、大学を通じた支援を行うとともに、学生生活の費用をカバーするために十分な給付型奨学金を支給するものでございまして、全体としては支援の規模や金額が拡大しているということで、支援が広がっていくものと考えております。そういった意味で、高等教育の漸進的無償化の趣旨にもかなうというふうに考えております。
○宮本分科員 ですから、後退禁止原則というのがあるのかと私は問うたんですけれども、それについて知っているとも知らないとも、まさか知らないということはないかと思うんですけれども。国連人権規約は、社会権規約第二条第一項で、この規約の各締約国は、この規約において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成するため、自国における利用可能な手段を最大限に用いることにより、行動をとることを約束するとなっていますね。この社会権規約第二条第一項の義務の性格について、社会権規約委員会の一般的意見三というのがあるんですね、一般的意見三。ここには、いかなる意図的な後退的な措置についても、最も慎重な検討を必要とし、かつ利用可能な最大限の資源の完全な利用という文脈で、十分に正当化されなければならないというわけです。つまり、後退させては絶対だめと言っているわけじゃないですからね。後退させるためには、今回みたいに国立大学の授業料減免の基準が後退する、そういう場合には、利用可能な最大限の資源の完全な利用という文脈で、十分に正当化されなければならない。今回の新しい修学支援制度は消費税増税の財源でやったわけですよ。もともと、文科省の予算としては、それとは別個に授業料減免の予算があったわけですよ。その予算はどこに行っちゃったんだろうかと思っているわけです、私は。そのお金を使えば、その一部でもともとの国立大学の減免は継続することができたわけですよね。ですから、私は、この国連人権規約を批准した国として、今回の措置というのは明確に国連人権規約違反になると思いますよ。後退禁止原則違反。そうなるんじゃないですかね。
○伯井政府参考人 お答え申し上げます。各国立大学がこれまで独自に行ってきた授業料免除につきましては、従来からも、各大学が、自己財源も活用しながら、おのおのの方針に基づいて実施してきており、引き続き、各大学においてその取扱いを検討いただくことが基本となりますが、令和二年度予算におきましては、各大学の自主的な授業料免除に活用できる運営費交付金の増額を行ったところでございます。その上で、令和二年度以降の各大学の独自の授業料免除につきましては、例えば昨年度と同水準の経済的基準で行う大学もあれば、学力基準など経済的理由以外の基準で行うことを検討している大学もあるというふうに聞いておりまして、高等教育の修学支援制度に加えて、各大学の方針に基づき、個々の事情に応じた取組を検討しているというふうに認識しております。
○宮本分科員 ですから、私の、この人権規約の後退禁止原則との関係で違反じゃないかということに対して、ちゃんとした反論が来ないわけですよ。私は、そこをちゃんと検討されていないというのは大変問題だと思いますよ。時間が来たから終わりますけれども、本当は、この新しい制度で三浪以上が差別されている問題だとか、あと、この対象がこれでいいのかという問題も議論したかったんですけれども、また次の機会に、なかなか萩生田大臣と議論する機会が少なくて寂しいんですけれども、また議論させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○後藤主査 これにて宮本徹君の質疑は終了いたしました。