2020年4月17日 厚生労働委員会(対安倍総理質疑)事業者向け給付金の拡充、個人向けの8割の賃金補償をせまる 

提出資料 SAVE the CINEMA 要請書 

 日本共産党の宮本徹議員は17日の衆院厚生労働委員会で、新型コロナウイルス感染拡大にともなう政府の事業者向け「持続化給付金」の給付上限の抜本的引き上げと継続的な支援、給付対象の拡大を強く求めました。
 政府の対策は、売り上げが激減した中堅・中小企業に上限200万円、個人事業主には上限100万円を給付するもの。宮本氏は、家賃だけで月500万円というミニシアター経営者の声を紹介し「200万円では1カ月の家賃にも届かず“持続化”できない。上限の引き上げを」と迫りました。
 安倍晋三首相は、200万、100万円の給付は「相当思い切った額」だなどと答弁。宮本氏は「固定費を出し続けなければ事業所は倒れてしまう。持ちこたえられる給付が必要だ」と求めました。
 しかも50%以上売り上げが減った事業者しか支給対象にならないなど「対象が狭すぎる。雇用調整助成金は売り上げが5%減まで拡充したのに、なぜこちらは50%減なのか。売り上げが  20%減ったら致命的との声もある。対象の拡大を」と要求。安倍首相は「半減に至らなくても融資がある」と述べるだけでした。
 宮本氏は、国民の声で補正予算に入る方向になった1人10万円の給付についても「暮らしは緊急事態だ。1回の10万円では暮らせない。給付の上積み、継続的給付が必要だ」と追及。小口資金の貸し付けがあるなどと答えた安倍首相に対し、「借金しろという話ではないか。イギリスは8割の休業補償をしている。考え直すべきだ」と求めました。

以上2020年4月18日付赤旗日刊紙より抜粋

≪第201回2020年4月17日衆院厚生労働委員会第9号 議事録≫

○盛山委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。全国に緊急事態宣言が出ましたけれども、既に国民の暮らしは緊急事態なんですよ。余りにも遅過ぎるんじゃないですか。先ほどの話を聞いても、雇調金が届いたのは三件六十七万円、学校休校の父母への助成金、合わせて十二件三十三万円。余りにも遅過ぎますよ。そして、今度の予算をめぐるどたばたであります。総理は、きのう、国民の声に押されて、一人十万円の給付に転換されました。しかし、見直さなければならないのは、私はそこだけじゃないと思うんですよね。事業者への補償、ここをしっかり見直さなきゃいけないと思います。事業者向けの持続化給付金、中堅・中小企業は上限二百万円、個人事業主は上限百万円。これでは全然足りないという声が、悲鳴の声が上がっております。この二百万円と百万円の積算根拠というのは何なんですか。これは何カ月分ということなんですか。
○安倍内閣総理大臣 まさに、積算根拠という予算事務の詳細については、担当である経済産業省を呼んでいただければしっかりとお答えできるものと考えておりますが、給付金額の算定に当たっては、何カ月分かといった発想ではなくて、中小・小規模事業者の皆さんが平均的に要する家賃など、固定費負担を参考にしたものと承知をしております。
○宮本委員 いや、固定費を参考にしても、何カ月分というのがなかったら根拠が全くわからない。一カ月分ということなんですかね、そうしたら。全く今の説明ではわからないんですが、二百万円では全く足りないところはどうするのかという問題があると思うんですよね。私、先日、あるミニシアターを経営されている社長さんにお話を伺いました。家賃は二カ所で月五百万円だというお話です。二百万円じゃ全く足りない、一カ月分にも足りない。東京都の協力金、一カ所五十万円、二カ所で百万円、これを足しても三百万円なんですよ。一月分の家賃にも全く足りないんですよね、東京都の協力金を足し上げても。中堅・中小企業の経営者の皆さん、個人事業主の皆さんも、今、売上げが急激に落ち込んで、あるいは売上げが全くなくなる中で、家賃を払い、リース料を払い、人件費を払い、固定費を払うことには、本当に大変な、深刻な事態にあるわけです。ですけれども、この給付金、名前は持続化給付金という名前ですけれども、この規模では持続化できないという声が上がっているんですよ。持続化できないと。私は、二百万円という上限の抜本的な引上げが必要だと思いますよ。
○安倍内閣総理大臣 今回、世界各国がさまざまな対策を行っておりますが、中小企業、中堅企業や個人事業主等に対する給付としては、日本のこの二百万円、百万円というのはいわば相当思い切った額でもあるんだろう、こう思っております。そして、今までになかったことを今回やらせていただいているところでございますが、例えば、今回、実質無利子無担保、最大五年間の元本返済不要の融資も行っていくこととしておりますし、雇用調整助成金による人件費の補助、そして、国税や地方税、社会保険料の猶予のほか、持続化補助金の上限額を通常の二倍の百万円に引き上げるなど、特別な枠を措置するなど、さまざまな政策を駆使して手厚く支援をしていく考えであります。また、緊急の小口資金につきましても、最大八十万円、これは返済免除つきでございますから、そういうものも活用していただきたい、このように考えております。
○宮本委員 ですから、そういうもろもろのメニューをおっしゃったけれども、雇調金はいつ出るかわからない事態にもあるわけですよ。人件費は、一人一日八千三百三十円を上限に九割まで出すということになっても、一割は出さなきゃいけない。さらに、何よりも、先ほども言いましたけれども、家賃ですよ。あるいは、工場だとかだったらリース料なんかもあるでしょう。そういうものを出し続けなきゃいけないのに、出し続けられなくなったら倒れちゃうじゃないですか。総理は、コロナが終わった後はV字回復だ、その予算も組むんだということを言っていますけれども、V字回復の前に事業者が倒れちゃうんですよ、この水準では。だから、もっと上限を引き上げるだとか、やる必要があるんじゃないですかと言っているわけですよ。事業所が持続し続けるためには固定費を賄い続ける規模での支援が必要なんだ、その問題意識は総理はあるんですか、ないんですか。
○安倍内閣総理大臣 いわば、事業を営んでいる人たちにとって最大の課題というのは、手元の資金がちゃんと確保できているかどうかということが一番の悩みでもあります。それを確保できるように我々も今支援をしている。今、先ほど申し上げました二百万円、百万円とは別に、手元の資金として、これは、例えば、先ほど申し上げました最大三千万円まで無利子無担保で五年間返済が免除されるもの、それによって何とか手元資金を確保することが当然できるわけでございます。そしてまた、同時に、賃貸料等々について何とか延ばしていただけるように我々もお願いをさせていただいているところでございますし、それを進めていくために何ができるかということも考えているところでございます。
○宮本委員 貸付けに手を出して返せる当てがあるのかないのかという、ここのちゅうちょもあるわけですよ。それは、当然、従業員の給料も払わなきゃいけない、家賃も払わなきゃいけない。貸付けには手を出すでしょう。だけれども、限度があるわけですよ。先ほど来議論になっていますけれども、五月六日で終わる話じゃないわけですよ。ハーバード大の研究者の皆さんは、二〇二二年までアメリカでいえば断続的に対策をとり続けなきゃいけない、こういう発表をされているじゃないですか。山中教授だって、一年を見越した、一年は覚悟した戦いだということをおっしゃっているわけですよ。そうすると、今回、五月六日までみんなで八割接触を絶って頑張ったとして、だけれども、またどこかから感染が広がったら、また同じことを繰り返していくわけでしょう。そうしたときに、こういう規模で足りないという声が上がっているんだから、もっと、じゃ、映画の文化を潰すわけにいかないと。総理も映画は好きじゃないですか、よく年末にごらんになっていますよね、総理の動静を見ても。例えば、日本の映画なんかでいえば、上映されている映画の大半は実はミニシアターなんですよ。昨年公開された一千三百本のうち、一千本はミニシアターだけの上映なんですよね。国民にとっても、そういう本当にかけがえのない役割を果たしている。映画だけの話じゃないですよ。どの中小事業所でも中堅企業でも、同じように日本社会にとってなくてはならない役割を果たしているわけですよ。それに足りないんですよ。そこは本当に真剣にどうすればいいのかというのは考えていただきたいと思います。それから、もう一点、この持続化給付金は大きな問題があります。売上げが五〇%以上減った場合、この要件があるわけですよね。これは本当に対象が狭過ぎますよ。私が地元の民主商工会の事務所にお話を伺いましたら、今、国から給付金がもらえるんじゃないかと思って、次から次へと事務所に訪れたり電話がかかってきて相談がある、だけれども、売上げ五〇%減となると、飲食の人なんかは売上げがどんと落ち込んでいますから対象になりますけれども、それ以外、対象になる人は本当に少ないと言っていましたよ。一〇%売上げが落ちただけでも大変なんですよね。昨年、消費税増税がありました。全部を価格に転嫁していませんから、みんな利益が落ちているわけですよね。さらに、二〇%売上げが落ちたら、本当に小さなところは致命的なわけですよ。とりわけ、家賃を払わなきゃいけないところ、人を抱えているところ、こういうところほど大変な事態になっているわけですよ。この五〇%という要件も緩和しないと、本当に日本の小さなお店が持続できないですよ。持続化給付金というんだから、持続できるように要件を緩和してくださいよ。総理、どうですか。
○安倍内閣総理大臣 今回の感染症によって、多くの事業者の皆さんが休業などで売上げがゼロになるような厳しい状況にありますが、今回の給付金は、そのように休業を余儀なくされた事業者のみならず、大きな困難に直面している事業者の皆さんを幅広く対象にしているものと承知をしています。その上で、売上高が半減まで至らない事業者についても、先ほど申し上げましたように、実質無利子無担保、元本五年間据置きの融資等々について、さまざまな政策を駆使して手厚く支援をしていきたい、このように考えております。
○宮本委員 本当に冷たいですね。中堅企業ぐらいだったらまだ、その後を考えて、返せるかなと思って、貸付けに手を挙げる人がいるかもわからないですけれども、本当に小さな事業所からいったら、貸付けに手を出すこと自体が怖いわけですよ、返せるのかなという思いがあって。だから、給付金という話を聞いて、みんな喜んで、自分ももらえるんじゃないかと思って、よく要件を見たら、自分のところはもらえない。恐らく与党の多くの政治家の皆さんのところに同じ声が届いていると思いますよ。この五〇%売上げ減は余りにも対象が狭過ぎる、もっと緩和すべきだと。恐らく、手を挙げてくださいときょうは言わないですけれども、皆さんのところに同じように届いていると思いますよ。そうですよね。与党の政治家の皆さん、みんなうなずいていらっしゃいますよ。だって、雇用調整助成金の要件を緩和したわけじゃないですか。雇用調整助成金は売上げ五%減まで対象を拡大したわけですよ。何でこっちの給付金の方は、五〇%売上げが減る、こうならないと対象にならないのか。もっとこれは考え直すべきですよ、総理。
○安倍内閣総理大臣 これは、例えば、ここに座っている自民党、公明党の支持者の多くも実は個人事業主が大変多いわけでありまして、そういう皆さんから切実な声が来ています。その皆さんは、今、お金を借りることということを、やや、借りたいという人は余りいないかのごとくのお話をされましたが、お金を借りることがいかに大変かということを皆さん切実に考えておりまして、普通は担保がなければ貸してくれない、そして利子がある、また元本を返さなければいけない。これは五年間据置きとなるわけでありますから、これをまずしっかりとやっていくということも大切なことなんだろうと思います。それとともに、この百万円、二百万円の給付につきましては、五割ということでございますが、これから十二月までの間において一カ月でもこの五割に当たれば百万円を給付させていただくということの中において、そういう中において我々も相当柔軟に考えているわけでございまして、そういう中で事業者の方々も考えられるんだろう、こう思うわけでございまして、できるだけ必要な人に必要なお金がなるべく早く届くように我々も努力をしていきたい、こう思っております。
○宮本委員 もっと町場のお店の意見を総理も聞かれた方がいいですよ。五割減る月がやってくるまで待つ前にお金がもたなくなりますよ。ぜひ、与党の皆さんからもそういう声も出るでしょうけれども、総理御自身が町場の意見を聞いて考え直していただきたいと思います。最後に、家計への支援についてもお伺いします。今回、一人当たり十万円の給付ということになったわけですけれども、収入を失ったりとか大幅な減収になったフリーランスや非正規の皆さんは、一回こっきりの十万円ではとても暮らしがもたない、こういう声も聞いていると思います。例えば、テーマパークで残業代込みで二十万円で働いていた方が、休業手当は六万円しか出ていない、これでどうやって生活していけるんだということで声を上げていらっしゃいます。やはり、収入が大きく減少した方々に対して、私は継続的な給付の支援が欠かせないと思いますよ。これをちゃんと考える必要があるんじゃないですか、総理。
○安倍内閣総理大臣 今例として挙げられたフリーランスについては、個人事業主に当たれば、先ほど申し上げました百万円の給付が行くことになります。そしてまた、緊急の小口資金につきましても、これは三カ月間継続して収入が減っていけば、三カ月、二十万、二十万、二十万と行くわけでございまして、これと別の仕組みの二十万がございますので、合計で三カ月間で八十万円の資金が行くということでも支援をさせていただきたい、このように思います。それぞれの方がどういうメニューが利用可能かということを、わかりやすく、これからもしっかりと広報していきたいと思っております。
○宮本委員 非正規の人には、二十万、二十万、二十万、借金をしてくれ、そして将来稼いで返してくれ、そういう話じゃないですか。だって、将来免除になるのは非課税世帯だけですよね、今度の特約というのは。そうでしょう。ですから、非正規の皆さん、非課税よりもちょっとわずか出る方々に、借金をして、三カ月、二十万、二十万、二十万、借りてくれと。そうじゃないでしょう。例えばイギリスだって、三カ月、八割、フリーランスであろうが雇用者であろうが給料を補償するとやっているじゃないですか。そういうことを日本でもやるべきだということを強く申し上げて、時間になりましたので、質問を終わります。