2020年5月22日 衆院厚生労働委員会(対総理質疑) 黒川氏辞職安倍政権の責任追及 法解釈変更撤回求める

 日本共産党の宮本徹議員は22日の衆院厚生労働委員会で、黒川弘務東京高検検事長が賭けマージャンをして辞職した問題を取り上げ、違法・違憲の閣議決定で黒川氏の定年延長をした安倍政権の責任を追及しました。宮本氏は「三権分立を損なう閣議決定、法解釈変更をしたことに国民の怒りが沸騰している。ここを正さない限り国民の信頼回復はできない」と述べ、閣議決定の撤回を要求。安倍晋三首相は「黒川氏の勤務延長は適切なプロセスを経たもの」などと開き直りました。
 宮本氏は「黒川氏を『余人をもって代えがたい』として定年延長し、法解釈を百八十度変えて、この結果だ。その責任をどう考えているのか」と述べ、安倍首相の任命責任を追及。安倍首相は「法務省、検察庁の人事案を最終的に内閣として認めたもの」「解釈変更は、検察庁法を所管する法務省において適切に行った」というだけでまともに答えませんでした。
 宮本氏は、進退伺を出した森雅子法相を安倍首相が慰留したことについて「森法相のもとで検察・法務省への信頼回復が図れるとは誰もが思っていない。なぜ検察・法務省への信頼が失われているのか理解しているのか」と批判。首相は「森法相にはさまざまな批判も受けとめながら、指揮を高め、信頼回復に全力をつくしてもらいたい」としか答えませんでした。

以上2020年5月23日付赤旗日刊紙より抜粋

≪第201回2020年5月22日衆院厚生労働委員会第15号 議事録≫

○盛山委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。検察庁法の問題、通告しておりますので、質問させていただきます。(発言する者あり)何時に通告した。昨日の午前中に通告しておりますので。それで、本当に耳を疑うような答弁が続いているわけですけれども、朝から私は本当に耳を疑ってばかりなんですよね。午前の法務委員会、森法務大臣は、総理に進退伺を出したら総理が強く慰留したと。そして、その理由を先ほど総理は本委員会で、法務省、検察への国民の信頼回復のために慰留したと御説明されました。今お話がありましたけれども、国民誰もが森法務大臣のもとで検察、法務省への信頼回復が図れるなんて思っていないですよ。信頼を損なった張本人の一人じゃないですか。総理、一体全体、なぜ検察、法務省への信頼が失われているのか、理解されていますか。
○安倍内閣総理大臣 今回の案件につきましては、まさにこれは、先ほど申し上げましたように、既に検事総長のもとで処分がなされ、そして本人から辞意が表明され、本日辞職を閣議決定したところでございますが、緊急事態宣言の中においてお金をかけてマージャンを行った、つまり賭博を行ったということについて、お金をかけてマージャンを行ったということについて、当然、まさに責任ある立場として、これは重大な問題であるのは事実でございます。それについては既に森大臣からも答弁をさせていただいているわけでございます。そうした中において、法務省そして検察庁において事実関係の調査を行った上において処分がなされたわけでございますが、当然、国民から信頼を集めなければいけない中において、その中で強い権力の行使を行っていくわけでございますから、検察庁への信用を回復しなければならない。その中で、森大臣に、確かに、さまざまな御批判も受けとめながら、ここはしっかりと検察庁そして法務省において士気を高め、信頼を回復するために全力を尽くしてもらいたい、このように申し上げたところでございます。
○宮本委員 そういう、かけマージャンをやって国民の信頼を損なうような人物を誰が定年延長をしたんですか、どうやって定年延長をしたんですか。それまでの法の解釈を一方的に変更して、違法、違憲な定年延長をやって、こういう事態を引き起こしたんじゃないですか。そのことを行った安倍政権が国民の信頼を損ねたんじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 黒川氏の勤務延長については、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、検察庁を所管する法務大臣からの閣議請議により閣議決定されるといった適正なプロセスを経たものであります。他方で、黒川氏の辞職については、黒川氏が緊急事態宣言の中に金銭をかけてマージャンを行っていた事実が判明したことを契機に、本人からの辞職の申出を承認し、辞職させることとしたものであったということでございます。もちろん、つけ加えますと、勤務延長の判断とは直接これは関係しないということでございますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、この問題につきましては、検事総長が事案の内容等諸般の事情を考慮して処分を行った、このように承知をしております。
○宮本委員 定年延長の判断は間違いじゃなかったみたいなことを言うのは、国民は全く納得しないと思いますよ。黒川さんは余人にかえがたいと言って、法律の解釈まで百八十度変えて定年延長をして、このざまですよ。そのことへの責任をどう感じて、どうとられるんですか。
○安倍内閣総理大臣 法務省、検察庁の人事案を最終的に内閣として認めたものでありまして、その責任については私にあるわけでありまして、御批判は真摯に受けとめたい、このように思うところでございます。
○宮本委員 ですから、いつも総理は、責任は私にある、真摯に受けとめると言うんですけれども、行動が伴っていないじゃないですか。責任があるんだったら、責任をどうとられるんですか。
○安倍内閣総理大臣 先ほど来申し上げているところでございますが、このことにつきましては、まさに最終的に内閣として判断をしたわけでありますから、最終的な責任は内閣総理大臣である私にあるわけでございますが、この上はしっかりと国民の皆様の信頼を回復するために全力を尽くしていきたい、このように考えております。
○宮本委員 もともと、今回の事態は、黒川氏が賭博をやった、そのことへの国民の憤りは当然ありますけれども、それと同時に、違法な閣議決定で黒川氏の定年延長を行った、そのことに対する国民の怒りもずっとあるわけですよ。だから、あの検察庁法案を撤回しろという、かつてないネット上での国民の怒りも広がったわけですよ。そこをわかっていないんじゃないですか。賭博のことは問題だと総理はおっしゃるけれども、総理自身が、閣議決定で、法律の解釈を百八十度変えて、それまで検察庁法のもとでは国家公務員法の定年は適用されないとされていたものを、検察にも適用してやったわけですよ。そこに対して、これは三権分立を損なうものだということで国民の怒りが沸騰しているわけじゃないですか。そこを正さない限り国民の信頼は回復できないんですよ。閣議決定は撤回するしかないんですよ。そこの認識を、総理、持ってください。
○安倍内閣総理大臣 これは繰り返しになるわけでありますが、検察官も一般職の国家公務員であり、国家公務員法の勤務延長に関する規定が適用されるとの今回の解釈変更は、検察庁法を所管する法務省において適切に行ったものと承知をしております。その上で、今般の国家公務員法等の改正案の趣旨、目的は高齢期の職員の豊富な知識、経験等を最大限に活用する点にあるところでありまして、検察庁法の改正部分の趣旨、目的もこれと同じであるということでございます。
○宮本委員 全く質問にお答えにならないんですけれども。検察庁法の問題については、元検事総長の方々も初めて連名で意見書を出されました。総理もお読みになられましたかね。本会議で総理が検察官にも国家公務員法の適用があると従来の解釈を変更することにしたと述べた、このことについて、法律改正の手続を経ずに内閣による解釈だけで法律の解釈運用を変更したという宣言であって、フランスの絶対王政を確立し君臨したルイ十四世の言葉として伝えられる、朕は国家であるとの中世の亡霊のような言葉をほうふつとさせるような姿勢だと。絶対君主、絶対王政の時代と同じ姿勢だというふうに批判されているんですよ。こういう批判について真摯に耳を傾けるべきじゃありませんか。
○安倍内閣総理大臣 ルイ十六世と同じとまで言われると、多くの方々がそれは違うのではないかというふうに思われるのではないかと思うわけでございます。私がここに立っているのも、民主的な選挙を経て選ばれた国会議員によって選出をされた、その多数によって選出をされてここに立っているわけでございますから、この根本的なところをよく見ていただかなければならないんだろう、こう思うところでございます。共産党はどのように党首を決められるのか、よく私は承知をしておりませんが、そのようになっている、総理大臣や、また我が党においても、選挙において総裁を選んでいるということでございます。
○宮本委員 民主国家だからこそ、こういう声を上げて批判されているわけですよ。私たち一人一人は選挙で選ばれた国民の代表です。立法府は国権の最高機関なわけですよ。だからこそ、その立法府で定めた法解釈を一方的にねじ曲げるのは朕は国家なりと同じだという批判になっているわけですよ。その点を理解されない、受けとめない、大変問題だということを厳しく指摘して、質問を終わります。