『朝まで生テレビ!』に出演しました

6月26日深夜のテレビ朝日討論番組『朝まで生テレビ!』に出演しました。

番組をつくっているみなさんが努力をしたにもかかわらず、与党の方々が全員欠席するという「異例」の討論になりました。自民党の若手議員の「文化芸術懇話会」でのメディア統制発言などが問題になるなか、「戦争法案」をとおすために、自民党本部が議員のテレビ出演を規制したのではないかという報道もなされています。「国民には丁寧に説明して理解をえる」といいながら、与野党の討論番組に欠席するということは、矛盾しています。

番組の中では、戦争法案の問題と合わせて、安全保障政策が議論になりました。やりとりのなかで、日本共産党の現在の安全保障政策と過去の安全保障政策と将来めざす日本のあり方とがコメンテーターからもでてきて、それに対する私の説明が、不十分だったと思いますので、あらためて簡単に記します。

1,現在の安全保障政策:

●平和的安全保障。紛争を戦争にしないために北東アジアでの友好協力条約など地域の平和の共同体をつくる。モデルはASEAN諸国の東南アジア友好協力条約です。仮想敵を設けず、もめごとを話し合いで解決するルールを作り、年間1000回もの対話で信頼醸成を高めています。韓国のパククネ大統領も北東アジア平和協力構想を提唱し、中国も支持を表明しています。アジア政党会議でも支持されています。戦争は絶対におこしてはなりません。どんなもめごとが国と国との間にあっても、戦争にいたらない枠組みづくりこそ、一番の安全保障になるのではないでしょうか。

●憲法9条は段階的実施:自衛隊は憲法上は「違憲」と考えますが、憲法9条は段階的実施という立場です。政権をとっても、自衛隊をすぐになくすことは考えていません。急迫不正の侵害に対しては、自衛隊も含めあらゆる手段を活用し国民の命と財産を守るのは当然のことです。自衛隊がなくても大丈夫と多くのみなさんが思うような安全保障環境ができる中でしか、憲法9条の全面実施はできません。そういう点では共産党が政権についても、自衛隊との共存はつづくということです。

● 「安全保障のジレンマ」:一方が「抑止」だといって、軍備拡大をすれば、他方も軍備を拡大し、軍拡競争がエスカレートしていきます。その中で軍事的緊張も高まっていくことになります。政府のこんどの戦争法案は、集団的自衛権の行使やアメリカへの兵站活動で、南シナ海などにものりだしていくものとなっており、この地域での緊張をさらに高め、際限のない軍拡競争になっていく危険があります。財政的にも先のない道です。この地域の安全保障を考えれば、「平和的安全保障」の体制をつくることこそ、もっとも現実的な安全保障政策ではないでしょうか。

● 政府は国民を「説得」するために、日本を守るための法案であるかのようにいいますが、政府与党の戦争法案は、違法な戦争を繰り返してきたアメリカに地球規模で戦争協力するものです。そしてアフガンやイラクの現状をみても、この間の戦争が一層の憎しみの連鎖を広げ、世界を不安定にしています。

2、憲法9条の全面実施について

●憲法9条は、戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認という徹底した平和主義です。憲法のかかげる「理想」を実現するためには、いくつものステップが必要だと考えています。

なによりも、平和的な安全保障環境が築かれなければなりません。北東アジアに地域の共同体ができること、対話のつみかさねで信頼醸成をはかるなかで、北東アジア地域全体で軍縮をすすめていくこと、その中でアジアの緊張の原因の一つである安保条約を解消していくことを位置づけること、こうした努力のつみかさで東アジア地域全体での平和的な環境をきづくことをめざします。憲法9条を持っている日本だからこそ、東アジア全体の軍縮と平和の枠組みづくりの協議をリードできるはずです。

こうした平和的な安全保障環境が築かれ、諸外国も軍縮にすすむ中で、自衛隊も縮小をすすめていき、やがては、自衛隊がもうなくても大丈夫と多くの国民が思う安全保障環境ができるのではないか。その段階で国民合意で憲法9条の全面実施という道がひらけるのではないかと思います。

「朝生」では、「武力をなくした後の抑止力」は何かという学生さんの質問中に、別の質問がとんできて、回答が途中になってしまったのですが、憲法9条の全面実施の段階では、アジアに築かれた平和的環境(各種条約など)と国連が一番の抑止力になるということです。警察力や海上保安庁で対応できる環境が築かれることが前提です。

※「理想の国」はありません。

番組中、「理想の国は?」と聞かれて、頭の中に何もなかったのですが、何か答えなければまずいとの思いこみで、とっさに「軍隊がないという点では、コスタリカですかね」と答えてしまいました。あとになって、反省しきりです。

この発言は修正を許していただきたいと思います。私自身、現在の世界の中で、理想の国も、モデルとしている国もありません。もちろん、世界で個々の政策ではすぐれた国を持っている国はたくさんあり、学ぶべき政策はたくさんあります。なお、コスタリカも安全保障政策全体では私の考えとは違います。

2015年6月26日朝生8