2020年8月20日 衆院厚生労働委員会 医療・介護施設で働く人への定期検査を行政検査として検査戦略に位置付け、財政支援を

 宮本氏は、東京都千代田区や世田谷区の例を紹介し、重症化リスクの高い人が多くいる医療機関・介護施設等で働く人への定期検査を国の検査戦略に位置付け、行政検査として行えるよう要望。国として財政支援を行うことを求めました。
 加藤勝信厚労相は、医療機関・高齢者施設等の感染を未然に防ぐことは重要だと述べ、施設内で陽性者が発見された場合だけでなく周辺地域の感染状況をふまえ、医療従事者、入所者などに必要な検査を行うよう徹底したいと答弁。検査体制整備についても「国からしっかり支援したい」と述べました。また、保健所や施設の医師が必要と判断した場合は行政検査の対象になるとの認識を示し、「公費で財源が確保でき、施設・入所者の負担はない」と答えました。
 宮本氏は、一つの事例として、会食数日後にだるさがあり受診したが、本人も医者も新型コロナ感染を疑わず、その後、同居家族が陽性となり入院したケースを紹介。新型コロナと同様の症状があれば、積極的に検査の対象にすべきだと主張しました。加藤厚労相は、検査が適切に実施されるようさらに努力したいと答えました。
 保健所業務について宮本氏は、保健師が毎晩10~11時までの残業を強いられるなどの実態を指摘し、体制強化と負担軽減を求めました。

以上2020年8月20日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2020年8月19日 閉会中厚生労働委員会議事録≫

○盛山委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。まず、病院への支援です。私も、地元のコロナ患者の治療に当たっている病院に行きまして、院長先生と、その後、労働組合の方々にもお話を伺ってまいりました。その病院でも、二月から六月までの減収は三億数千万円だという話でした。労働組合の方に聞いたら、年末のボーナスは減収がどれだけ国から埋められるのかにかかっているというふうに病院から説明を受けているというお話も伺ってまいりました。この間、診療報酬の引上げだとか、あるいは病床確保料の引上げも行われましたけれども、それが減収を埋める水準になっているのかといったら、それは全くなっていないわけですよね。それから、現実には、国からの交付金というのは、二次補正のものは現場には届いていないわけですね。東京でいえば十月以降というふうに聞いております。運転資金として、今、借入をやっているわけですけれども、これも無利子の融資の枠は一億円では足りないというお話でありました。ですから、病院の支援は、やはり減収をしっかり補填する規模で行うことと、そして当面融資の無利子の枠も思い切って拡大する、こういうことをしないと、本当に秋冬に向かって病院が戦っていけなくなると思いますが、その点、大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 既に一次、二次補正予算を合わせて一兆七千七百六十九億円の新型コロナウイルス感染症緊急支援交付金、この計上を図らせていただき、具体的には、新型コロナウイルス感染症患者専用の病院や病棟、疑い患者専用の個室病床を設定する医療機関における病床確保の補助単価の大幅な引上げ、休止病床も空床確保料の対象とした上で四月までさかのぼって病床確保補助の適用、さらに中等症者等のための空床確保の補助単価の四月にさかのぼった引上げ等、これは全額国費で行うことにさせていただいているところであります。また、診療報酬についても、重症の新型コロナウイルス感染症に対する一定の診療への評価は三倍に引き上げました。加えて、さまざまな、感染症の疑い患者受入れのための院内感染防止対策や、医療機関、薬局等における感染防止のための支援を行うとともに、当面の資金繰り支援として無利子無担保等の緊急対応融資等の拡充も図ったところでありまして、まずはこうした措置がしっかりと現場に届くように対応していくことが大事だというふうに思っております。その上で、予備費等もございますので、医療機関の現場等のニーズ等もしっかりお伺いをしながら、必要な対応を検討させていただいて、対策を講じていきたいというふうに考えております。
○宮本委員 予備費、この間、一部は支出が決まったわけですけれども、私はそこに病院への支援が入るのかなと思っていたわけですよ。しかし、入っていないわけですよね。今言われた二次補正だって、届いていくのは十月以降になるわけですよ。ですから、予備費、早く支出を決めないと、届くのが来年になっちゃいますよ。ですから、本当に急いで具体化をしていただきたいということを求めておきたいと思います。次に、感染拡大防止と検査についてお伺いします。基本は手洗い、マスク、換気、三密対策が感染拡大防止では大事だと思いますが、その上で、検査の対象なんですけれども、一つは、やはり有症者について、これは医師が疑った人について、新型コロナじゃないかと疑った場合は受けられるとなっているわけですけれども、もっと幅広く有症者も考えなきゃいけないんじゃないか。疑うレベルというのはお医者さんによっていろいろなわけですよね。私の地元でこういう話があったんですね。介護現場で働いている方が、飲食の数日後に、熱はなかったけれどもだるさがあった。風邪だと思ってお医者さんにかかった。本人もお医者さんもコロナだと疑わなかった。症状を抑える薬をもらった。その後、その方と同居している要介護の家族が発熱した。状況がどんどん悪くなって、検査をしたら、新型コロナの、同居している方は陽性だった。この同居している方は外に出ることはほとんどない方ですから、家族からの、自分からの感染だろうということをおっしゃったわけですよね。入院になって、重症化はしなかったからよかったんですけれども。ですから、感染拡大防止ということを考えた場合に、有症者をもっと幅広くといいますか、疑うレベルというのを引き下げて、ちゃんと、どんどんどんどん検査するというのが必要じゃないかと思うんですよね。その点、大臣、いかがお考えでしょうか。
○加藤国務大臣 今の御指摘の例は承知をしていないので、ちょっとそれについてはコメントできませんけれども。ただ、基本的に医療行為でございますから、医師が診断をして、それに基づいて対応していただくということが基本になるんだろうと思います。そういった意味においては、必要な情報を医療従事者、特に医師の皆さん方にしっかりと提供して、適切な診療が行われる環境をつくっていくということが必要なんだろうというふうに思っておりまして、これまでも診療の手引き等々も出させていただいているわけでありますけれども、引き続きそうした努力をすることによって、医療の面におけるPCR検査が適切に実施していただけるように更に努力をしたいと思います。
○宮本委員 実際は、全国的に、発熱してもなかなか検査を受けられないという声がいまだにあちらこちらで出ているわけですよね。もちろん、その発熱した人はステイホームをやっていて、感染している疑いが全くない場合もあるかもわからないですけれども、そうじゃないケースもあるわけですから、やはり、有症者は本当にきっちり、新型コロナに見られる症状が小さいものでも、あったらどんどんやる、これを徹底してやっていただきたいというふうに思います。それから二つ目に、きょうも議論になっております、安藤委員からも柚木委員からもありましたけれども、医療、介護等で働いている皆さんへの定期的な検査、社会的検査についてお伺いしたいと思います。先ほど大臣からも、そういうところの、病院だとか介護で入られている方は重症化リスクが高い人だから、そこでのクラスターは避けなければいけないというお話がありました。そういう中で、千代田区は、独自の財源で職員の皆さんの定期検査をこの八月から始めました。そしてもう一つ、世田谷区、私も保坂区長に先日お話を伺ってまいりましたけれども、検査の拡充をいろいろ考えているんだというお話でした。第一段階は、通常の検査自体が逼迫していますので、これは新しい機器も入れて、医師会の協力も得て、検査体制を強化する。現在一日三百ぐらいから、六百にふやすと。第二段階としては、介護、医療、障害者福祉等で働く人への定期的な検査を社会的な検査として行う。その際、これも大事だなと思ったんですけれども、保健所、医師会にできるだけ負担をかけない形で、独自に検体を採取して検査機器を回す体制をつくりたいと考えていると。その際、大勢の人を効率よく検査するためにプール検査も導入したいと。数人程度の検体をミックスして、検査して陽性が出たら、残っている検体で、一人一人陽性か陰性か確認するために、もう一回PCRの機器を回すということです。この人は陽性だと出た段階で保健所につないでいくというお話でした。プール検査については、今、先端研の方で精度などについて実証試験をしていて、八月末以降にこの実証試験の結果が出る予定だという話でありました。ただ、保坂区長も、財政的な面での支援がなければ大変だとおっしゃっていました。世田谷区は、ふるさと納税で五十億円の税収を失っているわけですよね。交付税は、不交付団体ですから、ありません。地方臨時創生交付金も、一次、二次合わせて二十八億円ということですから、ふるさと納税で失った分も埋まらないというレベルなわけですよね。もちろん、その検査というのは、定期検査といった場合に、きょう感染していなくとも翌日感染するというのはあるわけですし、もちろん、発症前の人がPCR検査でどこまで確認できるのかという精度の問題というのはあるわけですけれども、そういうことを皆さん承知の上でも、しかし、高齢者施設などでクラスターが発生したら命の問題になる、それはどうしても避けたいということで、定期検査をやりたいという考えなんですよね。ですから、こうした施設で働く人への定期検査については、国の検査戦略にもしっかり位置づけて、行政検査としてできるようにすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 先ほども答弁させていただきましたけれども、医療施設あるいは高齢者施設等においてクラスターが発生したときには、やはり、より一層重症化しやすい、中には亡くなる方も、死亡にもつながっていくというリスクも高いということでありますから、いかにそこにおける感染をまず未然に防止をしていくのか、あるいは、仮に陽性者が出ても、できるだけ少ない人数にどう抑え込んでいくのかというのは非常に重要であると思います。そういった意味においても、このPCR検査を含めた検査を活用して、そうした対応をとっていくことが必要だと思っておりますので、そうした施設内において陽性者が発生したのみならず、周辺の感染状況を踏まえて、必要とあれば、今言った医療従事者あるいは入所者の方始め、必要な検査をやっていただきたいということはこれまでも申し上げているところでございますので、そうした旨の徹底を図っていきたいと思います。ただ、実際に、なかなか、やれる体制ができているのかというまた問題もありますので、それに対しては、移動して、現地に、施設に行ってPCRができるような体制を構築していただくとか、さまざまな対応をそれぞれの自治体にお願いしていかなきゃなりませんけれども、そういった体制整備に対しても、国からしっかりと支援をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。それから、プール検査のお話もありました。プール検査を始めとして、今、さまざまな検査についての開発が進んでおりますので、我々も、そのできたものについて検証させていただいて、これは使えるといったものは積極的に活用していきたいというふうに思います。
○宮本委員 今のような例えば世田谷区の感染状況であれば、区と区の保健所が判断すれば、定期検査を、能力があればということですよ、定期検査を介護職員や医療施設の方々にやるということは、行政検査の中に位置づけてできるということでよろしいんでしょうか。
○加藤国務大臣 医療施設の中については、多分、お医者さんがおられますから、お医者さんが判断されるということにつながるんだろうと思いますし、また、地域において、医療施設等々でなくて、一緒の地域において検査をするということがあれば、それは行政の方が判断するんだろうというふうに思います。具体的なことについては、当初、世田谷区長が、いつでも、どこでも、誰でもでしたか、打ち出されたときに、我々も具体的な中身も聞かせていただきました。まだ中身は検討中ということではありましたけれども、またよく相談をさせていただきたいということは申し上げているところでございます。
○宮本委員 ちょっとよくわからないんですけれども、それは、医師が必要と判断したらというのが、ルールでやるということですか。例えば、飲食街、沖縄の松山なんかだとか新宿の歌舞伎町なんかは保健所の判断でやったと。保健所の判断でもいいし、あるいは医師が判断しても、そういう定期検査、定期検査なんですよね、やりたいと言っているのは。そこも行政検査に含み得るということでいいわけですね。
○加藤国務大臣 基本的に高齢者施設の中における健康管理等は医師の方が担っておられるわけですから、当然、医師の方の判断ということになるんだろうと思いますけれども、そこはもちろん行政といろいろ御相談されるという場面もあるんだろうというふうに思います。
○宮本委員 一つ一つの施設というよりも、悉皆的に全施設をやりたいという判断なわけですね。千代田区でいえば、もうそれを始めたと。千代田区は小さな区で人口も少ないですから、七つの施設なので、お医者さん一人、契約を結んでやっているというお話を伺いましたけれども、世田谷区の場合は、高齢者施設だけで一万というよりももっとの数になるわけですね、対象者は。それも、区長や保健所が判断したら、定期検査は行政検査の対象になり得るという理解でよろしいですか。
○加藤国務大臣 ですから、そこは、先ほど申し上げましたように、一方的にやれるものではありません。検査は協力しながらやるものですから、基本的にそれぞれの施設側の対応というのは求められるわけなので、それを判断するのは、もちろん、施設長とか、施設の責任者もいると思いますけれども、健康管理という面においては、そこにおられる医師の意見というのは尊重されるものなんだろうというふうに思います。ただ、地域においてこういうことでやりたいからということであれば、その施設等と御相談をされていくんだろうというふうに思いますので、その具体な進め方というのは、それぞれ地域地域ということになるんだと思いますので。ただ、最終的には、やはり、例えば高齢者施設でいえば、そこにおける医師の方がこれはやるべきだという判断をされて行われていくんだろうというふうに思います。
○宮本委員 それは当然、それぞれの施設との相談というのは、区長や保健所の判断とあわせて、なければできないわけですね。施設の長なんかは、どんどんやってほしいという意見があるのを受けて、区の側も今、具体化をしているわけです。ですけれども、検査の体制があることが前提ですけれども、それはあり得る、行政検査でやり得るということで確認をさせていただきたいというふうに思います。行政検査としてできるということになれば、当然、それは、負担は国の方でということになるのではないですか。
○加藤国務大臣 行政検査は、国と地方、半々の負担ということになりますので、そういった意味で、首を振らせていただいたというのはそういうことです。ただ、いずれにしても公費検査ということになりますので、国が半分負担、残りの半分については地方交付税等々で対応させていただくということでありますから、しっかりと財源の確保を図って、そして、実施をするとすれば、行政検査の一環として行われますので、施設やあるいはそこの入所者等々に対する負担はないということになるわけであります。
○宮本委員 初めに申し上げましたが、世田谷区は地方交付税不交付団体なわけですよね。いろいろな支援も少なくて、一方で、ふるさと納税でどんどん消えているということですから、そういう点も、ちょっと財政的な面も、ぜひ支援を更に考えていただきたいということも申し上げておきたいと思います。次に、保健所のことについてお伺いをいたします。地元の保健所長さんのお話もお伺いしてきましたけれども、本当に、保健師の皆さん、毎晩十時、十一時まで残業が続いていると。何とか交代で休日はとれるようにしながら、みんなが継続的に頑張れるように努力されているというお話も聞きました。ですから、本当に、保健所の体制強化と負担軽減はもっと図らなきゃいけないなというふうに思っています。先ほど、きょうの安藤委員とのやりとりでも、自宅療養者のフォローアップについては医師会だとかに外部委託できるということになっているわけですけれども、実際はそこまでやられていない保健所もたくさんあるわけですよね。地元の医師会の方なんかにお話をお伺いすると、こういう自宅療養者のフォローアップというのは臨床の仕事だから、保健師さんがやるよりも、訪問診療医と訪問看護ステーションがやった方がよほどそのニーズに合っているんだというお話も聞いておりますので、これは事務連絡ではできるということになっているわけですけれども、もっと積極的に、地元の医師会と相談してやっていただくということを強く自治体の方にも言う必要があるんじゃないかと思いますし、あと、今、濃厚接触者の検査もたくさんふえているわけですけれども、検査結果の連絡をするのに、なかなか電話がつながらないという話も聞くわけですよね、留守電にしている人も多くて。何度も何度も電話して、その手間も大変だということで、ある区では、これからは陰性の場合はメールでやっちゃおうという話も聞いておりますが、そういうことも含めて、本当に保健所の負担軽減をぜひ図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○正林政府参考人 お答えします。今般の新型コロナウイルス感染症への対応では、保健所が住民の相談対応や積極的疫学調査等において重要な役割を担っており、増大する保健所業務の負担軽減が課題となっております。厚生労働省としましても、増大する保健所業務の負担軽減を図るため、各自治体に対して、電話相談等に係る人員の雇用に係る経費の助成、外部委託、縮小、延期等が可能と考えられる保健所業務のリスト化、ICTを活用した保健所業務の効率化など、専門職が専門性の高い業務に専念できるよう支援を行ってまいりました。さらに、本年六月には、都道府県に対して、七月末までに、業務の外部委託等により保健所の業務負担を軽減し、技術系職員が専門性の高い業務に専念できる体制を構築、保持するように要請をいたしました。現在、体制整備の状況について都道府県からの報告を受け、その結果の取りまとめを行っているところでありますが、保健所の業務負担の軽減に関する好事例についてはその周知を図るなど、引き続き保健所の負担軽減に取り組んでまいりたいと考えております。
○宮本委員 本当に大変な状況が続いていますので、どんどん旗を振っていただきたいと思います。次に、雇用についてお伺いをいたします。雇用調整助成金の延長については、伊佐さんとのやりとりで、適切な時期に判断されるというお話がありましたけれども、私は今が判断するときだというふうに思っております。つい先日、労働組合にこういう相談があったんですね、観光業で働くパートの方から。今は無期限休業中で休業手当が出ている。だけれども、こう言われたというんですね。会社の業績悪化から、社会保険から抜けてほしいと。新しい契約書を示されたのは、契約労働時間はゼロ時間から、社会保険なし、雇用保険なし、こういうのが示されたという相談なんですけれども、これにサインしなければ契約更新できない。もうとんでもない不利益変更で、こんなものは許されないというふうに私は思うんですけれども、これはこれで正していかなきゃいけないと思っておりますが、一方で、これまで休業手当を払うことができていた大企業の中でも、本当に体力が落ちてきているところもあるということのあらわれでもあるというふうに思います。そして、この間、私も何度か労働組合の皆さんと厚労省にも要請をしているんですけれども、大企業の非正規労働者の皆さんから、休業手当が支払われていないという相談が絶えないんですね。労組の皆さんが団交すると、いろいろなことを使用者が言うわけですけれども、雇用調整助成金の助成率が七五%なので、これではとても皆さんのところまで払えないんだというようなことが言いわけとして使われる状況もあります。ですから、大企業も含めて、正社員も非正規も雇用をどう守るのか、私は今以上の対策が本当に必要だということを、この間、いろいろな相談を聞きながら感じております。私たちの党は、一貫して当初から雇用調整助成金の助成率は十分の十というのを求めてまいりました。中小企業についてはそうなっているわけでありますが、例えば飲食業や観光業や運輸業やイベント業など、売上げが大きく落ち込み続けている場合は大企業も助成率を引き上げるだとか、あるいは、そうした業種については新しくできた休業支援金の対象にしていくだとか、こうした検討も必要じゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 委員がおっしゃった例で、まず、就業時間がゼロ時間というのはちょっとよく、それが就業契約なのかなという思いをしながら聞かせていただきましたけれども。いずれにしても、まさにそれは、ある意味では首切りみたいな話にもなるということなんだろうと思いますから、それはそれで、的確に、我々として、もしそこに労働法規等に違反等があれば、それは適切に対応させていただきたいというふうに思いますし、また、ぜひ労基署等に御相談をいただきたいというふうに思います。それから、休業給付については、これまでも申し上げておりますけれども、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労基法上、休業手当の支払いが必要になるわけでありまして、これについては正規、非正規かかわらずということでもありますし、また、休業手当の支払い義務がなくても、同一労働同一賃金の観点からは、正社員に休業手当を支払う一方で非正規の雇用者に対しては支払わないということになれば、これはパートタイム・有期雇用労働法等の規定に違反する可能性もありますし、まずは、そうした違反が認められる場合には、都道府県の労働局から助言指導等を的確に行わせていただきたいというふうに思っております。そういった中で、まず、九月末の対象期限ということでありますので、これに対しては適切に判断をしていきたいということは先ほどから申し上げているとおりでございます。対象の拡大等についてもいろいろと御要望があることは承知をしておりますけれども、一方で、限られた財源の中でどこに集中して支援をしていくのか、そういった観点から現行の支給ができているということ、それから他方で、こうした雇用調整助成金というのは、一時的に支援するという意味においては非常に価値があるわけでありますけれども、継続することに対してはさまざまな御議論もあるわけであります。そういったこともしっかりと踏まえながら対応させていただきたいと思います。
○宮本委員 雇用状況がやはり悪化をしてきているというのは、厚労省の雇いどめや解雇の人数を見てもふえ続けているわけですよね、コロナで。これからも、秋冬、新型コロナの感染拡大がまた大きく広がって、いろいろな経済活動の縮小という局面もまた迎えるかもわからないわけですよね。影響を受ける業界というのは、同じ業界が影響を受け続けているわけですよね。ですから、本当に、そこで働いている人たちの雇用をしっかり守り抜くというのは継続的にやらなきゃいけない話だと思うんですよ。しかも、初めに言いましたけれども、体力があったところもどんどん体力が落ちてきている。私も、内部留保がたくさんあるところに支援しろと言っているわけじゃないわけですよね。ただ、内部留保が少しあったところも、なくなってきているところもあるわけですよね。ですから、そういう実態に合わせてしっかり支援をしなければ雇用は守れないと思いますので、そこは本当に、限られた財源ということをおっしゃいますけれども、今そのお金を使わなければ、日本の経済のその後の再生、V字回復はなくなっちゃうわけですから、よく考えて、早急に具体化をしていただきたい。私は、できれば本当に、九月末の延長を決める際には、縮小ではなく拡充させる、そういう構えで、ぜひ政府内でも検討していただきたいと思います。次の問題に移ります。前回の委員会で、厚労省の長時間労働についてお伺いをいたしました。その後、ワーク・ライフバランス社というところが国家公務員の働き方について調査されたんですね、二〇二〇年の三月から五月の働き方について。四百八十名の方が答えています、うち七十名が厚生労働省の方。この調査では、単月で実際の残業時間が二百時間以上と答えた方が十三人で、うち四人が三百時間以上でした。前回の厚労委員会の私への答弁と数が合わないんですね。おかしいなと思うんですよ。ちゃんと実態に即して残業時間を把握して残業代を支払うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○山田政府参考人 お答えします。御指摘の民間企業によるアンケート調査の残業時間の定義というのは明確ではありませんが、国家公務員の超過勤務は、公務のための臨時又は緊急の必要のある場合に、正規の勤務時間外に勤務することを命ぜられたとき、この命令に従って行われるものであります。厚生労働省職員の超過勤務手当の支給については、基本的に、超過勤務命令に従って行われた勤務に対し、適切に超過勤務手当を支給しているものと思っております。
○宮本委員 今の答弁でいいんですか。橋本副大臣のところへ先日お話に行きましたけれども、ちゃんと支払っていなかったのがありましたよね。
○橋本副大臣 せんだって、宮本先生に副大臣室にお運びをいただきまして、ツイッターの投稿等を示していただきながら、この件につきましてお話をいただきました。その際にもお答えをいたしましたけれども、私どもの方で、超過勤務手当の支給については、その個々のケースについてはお答えを差し控えますけれども、やはりしっかりと実情に応じて適切に支払うようにということで、改めて私の方からも指示をいたしましたので、そのようにされているものと承知をしております。
○宮本委員 実際はちゃんと払われていないというのが証拠つきで告発されているわけですから、先ほどの答弁はないと思いますよ、ちゃんと副大臣に答弁していただきましたけれども。私は、前回も大臣にお願いしましたけれども、現実に支払われていなかったものがあるということで是正を今図っていただいているわけですけれども、やはり、予算を確保しないと、これからまた秋冬で大変な事態になったときに、厚労省の職員の長時間労働がまた更に発生する可能性があると思うんですよね。ですから、私は、橋本副大臣には、予備費も含めてちゃんと確保するようにということを申し上げましたけれども、サービス残業が厚労省で発生しないように、ちゃんとやる、予算も確保する、その決意を述べていただけますか。
○橋本副大臣 お話をいただきましたように、厚生労働省において本当に残業がたくさん出ているということは、これはもう紛れもなく事実でございます。それだけの業務量を職員は一生懸命こなしていただいているのでありまして、適切に残業代をお支払いをするということで今後臨んでまいりたいと思いますし、当然ながら、当初の計画よりも超勤の手当が必要になるということになっておりますから、そのことにつきましては、まずは省内で確保できるものからということになろうと思いますけれども、適切に予算を確保してしっかりお払いする、こうしたことで臨んでまいりたいと考えております。
○宮本委員 ちょっとあと何問か通告していたんですけれども、時間がかかってしまい、たどり着かずに、申しわけございませんでした。以上で終わります。