2020年8月20日 衆院厚生労働委員会 雇調金延長に加え、大企業で働く非正規労働者を休業支援金の対象にすべき、また雇用調整助成金100%にすべき

 日本共産党の宮本徹議員は19日の衆院厚生労働委員会で、コロナ禍で雇用状況の悪化が続くなか、9月末が期限の雇用調整助成金(雇調金)の特例措置の早急な延長と拡充、休業支援金の対象拡大を求めました。
 休業手当を支払う企業に助成する雇調金は、コロナ禍の特例措置で休業手当のうち中小企業で最大10割、大企業は75%を国が負担します。一方、労働者が直接申請できる休業支援金は、大企業で働く労働者などが対象外となっています。
 宮本氏は、大企業の非正規労働者から休業手当が支払われないという声が多数寄せられていると指摘。大企業の観光業で働く無期限休業中のパート労働者が、「契約労働時間0時間~、社会保険なし・雇用保険なし」の契約書にサインを迫られた事例を告発し、是正を要求しました。
 宮本氏は「雇用を守るには今以上の対策が必要だ」として、雇調金の期限延長とともに飲食業や観光業、運輸業、イベント業など売り上げが大きく落ち込み続けている大企業に対する雇調金の助成率引き上げや休業支援金の対象拡大を求めました。
 加藤厚労相は、延長は「適切に判断する」などと答弁。正規社員に休業手当を支払い、非正規に払わない場合は「パートタイム・有期雇用労働法違反の可能性があり、違反の場合は指導等行う」と述べました。
 宮本氏は、雇用維持には継続支援が必要だと強調し、「期限延長を決める際には、縮小ではなく拡充させる構えで検討を」と重ねて求めました。

以上2020年8月20日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2020年8月19日 閉会中厚生労働委員会議事録 該当部分抜粋≫

○宮本委員 本当に大変な状況が続いていますので、どんどん旗を振っていただきたいと思います。次に、雇用についてお伺いをいたします。雇用調整助成金の延長については、伊佐さんとのやりとりで、適切な時期に判断されるというお話がありましたけれども、私は今が判断するときだというふうに思っております。つい先日、労働組合にこういう相談があったんですね、観光業で働くパートの方から。今は無期限休業中で休業手当が出ている。だけれども、こう言われたというんですね。会社の業績悪化から、社会保険から抜けてほしいと。新しい契約書を示されたのは、契約労働時間はゼロ時間から、社会保険なし、雇用保険なし、こういうのが示されたという相談なんですけれども、これにサインしなければ契約更新できない。もうとんでもない不利益変更で、こんなものは許されないというふうに私は思うんですけれども、これはこれで正していかなきゃいけないと思っておりますが、一方で、これまで休業手当を払うことができていた大企業の中でも、本当に体力が落ちてきているところもあるということのあらわれでもあるというふうに思います。そして、この間、私も何度か労働組合の皆さんと厚労省にも要請をしているんですけれども、大企業の非正規労働者の皆さんから、休業手当が支払われていないという相談が絶えないんですね。労組の皆さんが団交すると、いろいろなことを使用者が言うわけですけれども、雇用調整助成金の助成率が七五%なので、これではとても皆さんのところまで払えないんだというようなことが言いわけとして使われる状況もあります。ですから、大企業も含めて、正社員も非正規も雇用をどう守るのか、私は今以上の対策が本当に必要だということを、この間、いろいろな相談を聞きながら感じております。私たちの党は、一貫して当初から雇用調整助成金の助成率は十分の十というのを求めてまいりました。中小企業についてはそうなっているわけでありますが、例えば飲食業や観光業や運輸業やイベント業など、売上げが大きく落ち込み続けている場合は大企業も助成率を引き上げるだとか、あるいは、そうした業種については新しくできた休業支援金の対象にしていくだとか、こうした検討も必要じゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 委員がおっしゃった例で、まず、就業時間がゼロ時間というのはちょっとよく、それが就業契約なのかなという思いをしながら聞かせていただきましたけれども。いずれにしても、まさにそれは、ある意味では首切りみたいな話にもなるということなんだろうと思いますから、それはそれで、的確に、我々として、もしそこに労働法規等に違反等があれば、それは適切に対応させていただきたいというふうに思いますし、また、ぜひ労基署等に御相談をいただきたいというふうに思います。それから、休業給付については、これまでも申し上げておりますけれども、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労基法上、休業手当の支払いが必要になるわけでありまして、これについては正規、非正規かかわらずということでもありますし、また、休業手当の支払い義務がなくても、同一労働同一賃金の観点からは、正社員に休業手当を支払う一方で非正規の雇用者に対しては支払わないということになれば、これはパートタイム・有期雇用労働法等の規定に違反する可能性もありますし、まずは、そうした違反が認められる場合には、都道府県の労働局から助言指導等を的確に行わせていただきたいというふうに思っております。そういった中で、まず、九月末の対象期限ということでありますので、これに対しては適切に判断をしていきたいということは先ほどから申し上げているとおりでございます。対象の拡大等についてもいろいろと御要望があることは承知をしておりますけれども、一方で、限られた財源の中でどこに集中して支援をしていくのか、そういった観点から現行の支給ができているということ、それから他方で、こうした雇用調整助成金というのは、一時的に支援するという意味においては非常に価値があるわけでありますけれども、継続することに対してはさまざまな御議論もあるわけであります。そういったこともしっかりと踏まえながら対応させていただきたいと思います。
○宮本委員 雇用状況がやはり悪化をしてきているというのは、厚労省の雇いどめや解雇の人数を見てもふえ続けているわけですよね、コロナで。これからも、秋冬、新型コロナの感染拡大がまた大きく広がって、いろいろな経済活動の縮小という局面もまた迎えるかもわからないわけですよね。影響を受ける業界というのは、同じ業界が影響を受け続けているわけですよね。ですから、本当に、そこで働いている人たちの雇用をしっかり守り抜くというのは継続的にやらなきゃいけない話だと思うんですよ。しかも、初めに言いましたけれども、体力があったところもどんどん体力が落ちてきている。私も、内部留保がたくさんあるところに支援しろと言っているわけじゃないわけですよね。ただ、内部留保が少しあったところも、なくなってきているところもあるわけですよね。ですから、そういう実態に合わせてしっかり支援をしなければ雇用は守れないと思いますので、そこは本当に、限られた財源ということをおっしゃいますけれども、今そのお金を使わなければ、日本の経済のその後の再生、V字回復はなくなっちゃうわけですから、よく考えて、早急に具体化をしていただきたい。私は、できれば本当に、九月末の延長を決める際には、縮小ではなく拡充させる、そういう構えで、ぜひ政府内でも検討していただきたいと思います。次の問題に移ります。前回の委員会で、厚労省の長時間労働についてお伺いをいたしました。その後、ワーク・ライフバランス社というところが国家公務員の働き方について調査されたんですね、二〇二〇年の三月から五月の働き方について。四百八十名の方が答えています、うち七十名が厚生労働省の方。この調査では、単月で実際の残業時間が二百時間以上と答えた方が十三人で、うち四人が三百時間以上でした。前回の厚労委員会の私への答弁と数が合わないんですね。おかしいなと思うんですよ。ちゃんと実態に即して残業時間を把握して残業代を支払うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○山田政府参考人 お答えします。御指摘の民間企業によるアンケート調査の残業時間の定義というのは明確ではありませんが、国家公務員の超過勤務は、公務のための臨時又は緊急の必要のある場合に、正規の勤務時間外に勤務することを命ぜられたとき、この命令に従って行われるものであります。厚生労働省職員の超過勤務手当の支給については、基本的に、超過勤務命令に従って行われた勤務に対し、適切に超過勤務手当を支給しているものと思っております。
○宮本委員 今の答弁でいいんですか。橋本副大臣のところへ先日お話に行きましたけれども、ちゃんと支払っていなかったのがありましたよね。
○橋本副大臣 せんだって、宮本先生に副大臣室にお運びをいただきまして、ツイッターの投稿等を示していただきながら、この件につきましてお話をいただきました。その際にもお答えをいたしましたけれども、私どもの方で、超過勤務手当の支給については、その個々のケースについてはお答えを差し控えますけれども、やはりしっかりと実情に応じて適切に支払うようにということで、改めて私の方からも指示をいたしましたので、そのようにされているものと承知をしております。
○宮本委員 実際はちゃんと払われていないというのが証拠つきで告発されているわけですから、先ほどの答弁はないと思いますよ、ちゃんと副大臣に答弁していただきましたけれども。私は、前回も大臣にお願いしましたけれども、現実に支払われていなかったものがあるということで是正を今図っていただいているわけですけれども、やはり、予算を確保しないと、これからまた秋冬で大変な事態になったときに、厚労省の職員の長時間労働がまた更に発生する可能性があると思うんですよね。ですから、私は、橋本副大臣には、予備費も含めてちゃんと確保するようにということを申し上げましたけれども、サービス残業が厚労省で発生しないように、ちゃんとやる、予算も確保する、その決意を述べていただけますか。
○橋本副大臣 お話をいただきましたように、厚生労働省において本当に残業がたくさん出ているということは、これはもう紛れもなく事実でございます。それだけの業務量を職員は一生懸命こなしていただいているのでありまして、適切に残業代をお支払いをするということで今後臨んでまいりたいと思いますし、当然ながら、当初の計画よりも超勤の手当が必要になるということになっておりますから、そのことにつきましては、まずは省内で確保できるものからということになろうと思いますけれども、適切に予算を確保してしっかりお払いする、こうしたことで臨んでまいりたいと考えております。
○宮本委員 ちょっとあと何問か通告していたんですけれども、時間がかかってしまい、たどり着かずに、申しわけございませんでした。以上で終わります。