2020年11月20日 衆院厚生労働委員会 青年・成人期の余暇活動の支援を。エアロゾル感染、介護施設、医療機関の換気。

 宮本徹議員は20日の衆院厚生労働委員会で、青年・成人期の障害者の余暇活動の支援と父母の就労保障について質問しました。
 特別支援学校に通っている間は放課後ディサービスが利用できます。卒業後、就労継続支援や生活介護を利用すると多くの場合、終了は午後3時ごろです。「午後3時問題」ともいわれ、青年・成人期をむかえた障害者の日中夕方、休日の余暇活動の支援が課題となっています。また、卒業、卒所後、父母が仕事をやめたりパートにきりかえざるを得ない状況もあります。
 宮本氏は、青年・成人期の平日夕方、休日の余暇活動の支援を全国必須の事業や、放課後ディの青年・成人版のような給付制度を全国的に整備するなど「厚労省で本格的に検討していただきたい」と求めました。
 田村憲久厚労相は、「問題意識というものは私も共有をさせていただいている部分だ。これからもいろいろなご提言を頂きながら検討を進めさせていただきたい」と応じました。

以上2020年11月27日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2020年11月20日 第203回衆院厚生労働委員会第6号 議事録≫

○とかしき委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。きょうは、尾身先生に来ていただきました。お忙しい中、本当にありがとうございます。そして、連日対策の先頭に立っておられること、本当に心から感謝申し上げたいというふうに思います。それで、感染拡大が急激に進んで、きょうも東京は五百人以上ということで、二日連続、北海道は三百人余、新たな陽性者が確認されたということであります。やはり、感染拡大防止のためには、どうすれば感染が終息に向かうのか、何が感染リスクを高めるのか、そういう科学的な共通認識を国民全体で共有していくというのが非常に大事なことだと思います。先生方の分析では、感染者の八割はうつさない、そして、そのことからいっても、クラスターを早期に終息させてクラスターの連鎖をとめれば、これは下火の方向に向かっていくんだということであります。そこで、じゃ、クラスターがどうやって発生しているのか。これも先生方の分析で、三密の場で感染が広がるということを早くから指摘されていらっしゃいました。これに学んで、イギリスでは三密プラス二に気をつけようということで、三密プラス大声と時間ですね。私はここでは三密プラス三つに気をつけようということを言っているんですけれども、三密と大声と時間とマスクなし。三密プラス三、これがリスクだということを私も提唱しております。ただ、こうしたことが共通認識にみんなでなっていく上では、やはり感染経路についての共通認識が必要だと思うんですよね。感染経路はいろいろ言われていますが、クラスターの要因となっている感染経路というのは主には何なんですか。
〔委員長退席、門委員長代理着席〕
○尾身参考人 お答え申し上げます。先生の、クラスターの原因になっている感染経路は何かという御質問ですよね。これは前から申し上げていますように、この感染は、私が感染していて、隣の人に感染させて、その人も一人だけ感染、そういうような一人一人の感染というもので伝播するような性質ではありません。それはなぜかというと、先生がおっしゃったように、これは当初から、五人感染しても一人しかほかの人に感染させないということが当時からわかっていまして、その事実は今でも基本的には変わりありません。したがって、クラスターがなぜ起きるかというと、五人のうち一人だけが感染させる、その一人が、たまたま誰とも感染しない、あるいは感染しても接触した人が一人だけだったら、二人、三人いくうちに自然に消えていってしまう疾患です。ところが、この一人が、たまたま、いわゆる先生がおっしゃった三密の状況で何人かいるところにいると、そこでクラスター感染が起きる。そういうような感染の伝播をするということであります。
○宮本委員 ですから、そういう感染伝播は、もうちょっとお伺いしますと、マイクロ飛沫感染ですね、先生方の言い方で言えばマイクロ飛沫感染、私はエアロゾル感染と言っていますけれども、で起きているのか、飛沫感染で起きているのか、接触感染なのか、主にはどれですか。
○尾身参考人 そういう意味では、先生のおっしゃったエアゾールという言葉は、我々基本的には使っておりません。エアゾール感染とマイクロ飛沫感染というのは、大きな意味では、広い意味では同じですけれども、エアゾール感染というのは、その中で特に長距離においても感染し、長く空気に漂う、したがって長距離でも起こる、長い時間、長距離でも起こる。それに加えて、マイクロ飛沫感染というのはそれに比べて短距離で起こる感染で、二つは似ているようでも基本的には違う。我々は、マイクロ飛沫感染というのが実は三密のところで起きて、それ以外にも、それはだから、いわゆる飛沫が飛ぶということで起こることは間違いない。それと同時に、接触感染というのも当然ありますね。先生のおっしゃったいわゆるエアゾール感染というのは、似ていますけれども、長い距離を漂っていく。これはいわゆる空気感染というものですけれども、この空気感染については、今のところ私どもはそういうことが起きているとは思っていません。なぜかといいますと、空気感染という、こういうものが起きていれば、今の状況でこれだけの数の感染でおさまっていることはないと思うので、今のは飛沫か、あるいは接触感染がほとんど大部分だというふうに考えております。
○宮本委員 物すごい長距離で起きているということを私は言っているわけじゃないんですね。普通の人が空気感染でイメージすることを言っているわけじゃなくて、三密の環境であれば、ちょっとの距離じゃなくても、もう少し離れている距離でも、例えば感染研のホームページを見れば、飛行機の中で、かなり離れた客席での感染の例が紹介をされております。あれを見ると、あれを飛沫感染というふうに説明しても、国民の人はわからないですよね。普通、飛沫感染というと、何か唾がぺっぺっと飛んでいるイメージなんですよ、国民にとっての飛沫感染というのは。でも、そうではないわけですよ。実際に起きている現象というのは、三密の環境であれば、もう少し広い範囲で、先生方で言うマイクロ飛沫は浮遊していくということなんだと思うんですけれども、そういうことなんじゃないんですかね。
○尾身参考人 お答えします。先生のおっしゃるように、いわゆるマイクロ飛沫感染ですよね、これは、三密の上で換気が悪かったりいろいろな条件がそろうと、空気感染ほどではないけれども、ある一定の距離に、せきをしたり、くしゃみをしたり、大声を出すと行くということがこれは当初からわかっておりまして、そのために、今はマスクの効用というのがある程度いろいろな調査でわかっていて、そういう意味で、食事の、そういう三密のところに行った場合には、避けると同時に、近距離で会話なんかをするときには、両方が、お互いがマスクをするということで、いわゆるマイクロ飛沫感染というものを防げるということだというふうに思います。
○宮本委員 ですから、三密の環境では一定の範囲で飛ぶと。ですから、今、マイクロ飛沫なのか、飛沫か。一般の人がイメージする飛沫感染というのは、こういう、唾が飛ぶということなんですよね。だけれども、もっと見えないようなマイクロ飛沫、エアロゾルだと私は思うんですけれども、そこはここで議論してもしようがないので、おいておきますけれども。そのマイクロ飛沫が浮遊しての感染というのが、クラスターの発生ではかなりの部分を占めるというのが事実なんじゃないですか。
○尾身参考人 お答えします。何%かはっきりはわかりませんけれども、先生のおっしゃるマイクロ飛沫感染がクラスター感染の重要な役割を果たしていることは間違いないと思います。
○宮本委員 ですから、だからこそ、この間、換気のことを相当夏ぐらいからずっと強調され続けて、CO2モニターの話だとかも出てきているというのは、私はエアロゾルだと思って、空気伝播だと思っていますけれども、皆さんは。それは、距離の問題はありますけれども、何メートルというので区切られるものではないと思うんですよね。区切られるものじゃないんですよ、これは、相当離れていても、例えば、温度が低い環境なんかだと物すごい広い範囲でも起きていますよね、クラスターは。まあ、乾燥した場合もそうですけれどもね。ですから、そこをもっと国民全体で共通認識を持たなきゃいけないと思うんですよね。ですけれども、そこが、主に飛沫感染と接触感染とかと割と厚生労働省のホームページなんかにも書いてあるんですけれども、クラスターでは、マイクロ飛沫感染、それなりのかなりの範囲まで三密の場合では影響を及ぼす、マイクロ飛沫感染が先ほど先生おっしゃったとおり重要な役割を果たすというのを、厚労省のホームページにはそう書いていないんですよ。我々は、普通に読むと、主に飛沫感染、接触感染によって感染するという書き方なんですね。これだと伝わらない。例えば、そうすると、今、介護施設でクラスターが起きていますけれども、介護施設では換気はどれぐらいの頻度でやった方がいいと厚生労働省は示していますか、大臣。
○土生政府参考人 御説明させていただきます。厚生労働省におきましては、介護施設の感染拡大防止策の一助といたしまして、専門家や関係者等の意見を踏まえまして、介護現場における感染対策の手引きというものを作成しているところでございます。その中で、先生から御指摘のございました介護施設の換気ということでございますけれども、ポイントだけ申し上げますと、小まめに換気を行い、部屋の空気を入れかえることが必要、定期的な換気を行う、窓を使った換気を行う場合、風の流れができるよう、二方向の窓を定期的に数分間程度全開にするといったことなどをお示しして、各事業者等に周知をさせていただいているという状況でございます。
○宮本委員 今お話あったとおりで、換気というのは当然重視して書いているんですけれども、一時間に何回換気すればいいかということも実は示されていないわけですよね。WHOは一時間に六回換気するのがいいということを、ディレクターのマリアさんがしゃべっておられるというのもありましたけれども、それは別に介護施設ということではなくて一般的な話だと思うんですけれども。先生方の言葉ではマイクロ飛沫感染がクラスターではかなり重要な部分を占める、換気が大事だ、だけれども換気の回数が、どれぐらいやったらいいのかというのは介護施設でも示されていない。報道を見たら、いや、一時間に一回換気していましたとか、こういう話は出てくるわけですけれども、では、一時間に一回で十分なのかという問題というのはあるわけですよね。あるわけですよ。ですから、私が何が言いたいかといいますと、繰り返しになりますけれども、やはり、クラスター対策が大事だという点でいえば、そこでの伝播ルートをもっと国民全体の共通認識にしていく必要がありますし、また、換気についてももっと、クラスターが起きている場所、飲食店はCO2モニターをつけようという話になっていますけれども、今、医療機関、介護施設でのクラスターがふえているわけですから、そういうところでの換気をどうしていくのかというのをもっと踏み込んで示していく必要があるんじゃないかというふうに思います。もちろん、介護施設の伝播ルートはわからないですよ。伝播ルートはわからないですけれども、札幌の百人とかというクラスターということを考えた場合、やはり先生の言うマイクロ飛沫が一定影響しているのではないかということを思わざるを得ないんですね、私自身は。それは調査が必要な話ですけれども。そういうことを私は問題意識として持っているということを、きょうは先生にお伝えしたかったということでございますので。大臣、介護施設についてもちゃんと、換気、もうちょっと踏み込んでやっていただくように、一言お願いします。
○田村国務大臣 私も、ずっとこれに関して関心を持っていました。というのは、政府の、まだ政府に入る前ですけれども、いろいろな専門家の方々が三密回避ということを言われました。換気をよくしてくださいという限りは、普通の飛沫、よく我々が、言われたとおり、すぐに落ちる飛沫では起こらないわけで、一定程度浮遊している飛沫があるからこそ換気をしなければならないんだろうと。そういう中においてマイクロ飛沫という話が出てまいりまして、エアロゾルかマイクロ飛沫か、私も専門家じゃありませんからわかりませんが、換気は非常に重要であると。場合によっては、一定時間、環境によっては長く浮遊している可能性もあるんだろうと思います。介護施設に関しては、言われるとおり、一律のつくりじゃありません、大きさもいろいろありますし。ですから、ここで何か一律のものを示すというわけにはいきませんが、一定時間で数回というのは、要は空気の流れをよくしてということであって、全くもって、これ、ちゃんと、この建物で、これぐらいのシミュレーションで、そもそもどれぐらいの飛沫を浴びれば、暴露すればどういうような体調の方が感染しやすいかというのも、個人差もありますし、なかなか出てこないんだと思います。ですから、一般論として、よく換気をして、空気の流れをつくって、そういうよどみがないようにという意味で、これはこういうのを示させていただいておりますが、徹底して換気をしっかりやってくださいというのを更にお伝えをしてまいりたいというふうに思います。
○宮本委員 先生、お忙しいと思いますので、これで結構でございます。ありがとうございました。
○門委員長代理 尾身理事長、御退席ください。
○宮本委員 予定以上にちょっと時間がかかっちゃいまして、ちょっと残った時間で障害者福祉関係のことをお伺いしたいと思うんですが、本当にもう余り時間がないからあれですね。問いを一つ飛ばしまして、私、前の前の大臣の根本大臣とは随分、予算委員会の分科会で三十分使って議論したテーマがあるんですけれども、それは障害者の青年・成人期の余暇活動及び父母の就労支援という問題なんですね。今、特別支援学校にお子さんが通っている間は放課後デイサービスが御存じのとおりあります。しかし、それを卒業した後どうなるのか。一般就労される方もいれば、福祉的就労に進む方もいれば、あるいは生活介護の施設に行かれる方もいるわけですけれども、就労継続支援施設だとか、あるいは生活介護の場合は午後三時ぐらいで終わるケースがたくさんあるわけですよね。そうすると、その後、どこで本人たちはどう過ごすのかという問題があります。本人たちの余暇活動の支援をどうするのか。実は、放課後デイサービス、ここまで整備したからこその課題が出てきているのは、やはり、放課後デイサービスがあるから御両親も共働きをできた、あるいはシングルでも働きながらできたわけですけれども、十八歳、特別支援学校をお子さんが卒業して、放課後デイがもう卒所となった後は、本人たちが過ごす場所がないために親御さんが仕事をやめざるを得ない、あるいは仕事をパートに変えざるを得ない、こういうことが今起きて、十八歳の壁だとか午後三時問題ということが言われております。現実は、地域活動支援センター機能強化事業だとか、日中一時支援だとか、いろいろなものを使っての、社会福祉法人さんだとか、あるいは自治体の方で努力はされていますけれども、御存じのとおり、地域生活支援事業は、法律は国が二分の一出すとなっていますけれども、二分の一もお金は出ていないわけですよね。出ていない。そうすると、かなり社会福祉法人さんが持ち出ししながら支えると。でも、そういうやり方は余りもたないですから、多くのニーズがあるわけですけれども、ニーズにとても応え切れない状況があるというのは大臣も御存じのことだと思うんです。ですから、これは、やはりちゃんと全国の必須事業にしていく、あるいは放課後デイの青年・成人版のような給付制度を全国的に整備していく、そうしたことを私は検討していかなきゃいけないと思うんですよ。ぜひ、これをどうしていくのかというのを厚労省で本格的に検討するという仕組みを設けていただきたいというのが、きょうの質問の趣旨でございます。
〔門委員長代理退席、委員長着席〕
○田村国務大臣 おっしゃるとおり、青年・成人期の障害者の皆様方が、夕方だとか休日等々どこに居場所等々をという話の中で、言われたとおり、日中一時支援でありますとか地域活動支援センター等々を御利用されているという方々もおられて、委員はそういう問題意識を持たれたので、平成元年だったというふうにお聞きしておりますけれども、委員が御質問されて、調査をやるべきではないかというような形の中で、委員からのいろいろな御提案もあって、開所時間がどれぐらいだとか、どういうニーズがあるかということを調査をして、そういうものを各自治体に周知をさせていただいておるということであります。そういう意味では、そういうものをどうしていくのかということを考えていかなきゃいけないわけでありますが、実際問題は、開所時間等々も限りがあるわけでありまして、そういうものを整備してくるのも一つだと思います。一方で、地域共生社会というのは、そもそも障害者の特性だけではなくて、高齢者でありますとか、なかなかいろいろな困難を抱えている方、もちろん健常者の方々も含めて、一緒になって地域をつくっていこうという考え方でございますから、そういう観点からも、みんなが集える場所というものを一つ考えていくというのも、この地域共生社会を進める中においての一つの方向性ではないのかなというふうにも考えております。いずれにいたしましても、委員のその問題意識というものは私も共有させていただいている部分がございますので、これからもいろいろな御提言をいただきながら、我々もいろいろな検討を進めさせていただきたいというふうに思います。
○宮本委員 御提言はきょうさせていただきましたので、ぜひ、厚労省内で勉強会なり検討会を、問題意識を共有していただいたということですから、始めていっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。