2020年12月25日議会運営委員会 安倍前首相に桜を見る会・前夜祭ただす 

 安倍晋三前首相は25日、衆参両議院運営委員会に出席し、「桜を見る会」前夜祭の費用補填(ほてん)をめぐる自身の国会答弁について「結果として事実に反するものがあった」と虚偽であったことを認めました。安倍氏は「改めて事実関係を説明し、答弁を正したい」と述べましたが、自身に都合よく秘書に責任を押し付けました。野党は「疑念は晴れるどころか、ますます深まった」として安倍氏の証人喚問を求めました。
 安倍氏は「開催費用の一部を後援会として支出していたにもかかわらず、それを(政治資金収支報告書に)記載しなかったとの事実が判明した」と述べ、前夜祭の費用負担を否定してきた自身の国会答弁が虚偽であったことを認めました。しかし、「会計処理は私が知らない中で行われていたことだ」として自身の関与は全否定し、秘書に全責任を押し付けました。
 日本共産党からは宮本徹衆院議員、田村智子参院議員が質問にたちました。
 宮本氏は、「桜を見る会」前夜祭の安倍氏側の費用補填について、2013年は政治資金収支報告書に記載があるのに14年分以降は記載がないことをあげ、「多額の補填は『不適切な支出』と指摘されるのはまずいと考え、隠蔽(いんぺい)のために不記載にしたのではないか」と追及。「有権者への利益供与は政治家として許されない行為だ」とただしました。
 安倍氏は「(秘書と)接触し、話を聞くことができない」と答弁を拒否。「総理大臣だから利益供与して選挙で当選しなければならない立場ではない」などと開き直りました。
 田村氏は、前夜祭は「桜を見る会」とセットで地元有権者をもてなしするものではなかったのかと追及。安倍氏側の前夜祭の費用補填は、政治資金収支報告書では“宴会料”となっており、地元の後援会員らを接待した寄付行為に当たるとして、その原資を明らかにするよう迫りました。
 安倍氏は「(ホテルとの契約)主体は安倍晋三後援会」としながら、「私が預ける共有資金の中から立て替えた」と答弁。田村氏は原資がわかる資料を提示するよう求めましたが、安倍氏は答弁に立たず、答えませんでした。田村氏は「何一つ事実は明らかになっていない」と厳しく批判し、安倍氏の証人喚問を求めました。

≪2020年12月25日 閉中審査衆院議会運営委員会 議事録≫

○高木委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。検察が公表しました公訴事実を見ますと、安倍前総理の秘書が、共謀の上、収支報告書に記載しなかったとあります。共謀して不記載にした目的は何なのか。多額の補填、利益供与を隠すためだったのではないのか。二〇一三年分の補填は晋和会の収支報告書に記載があります。しかし、二〇一四年分以降はどの収支報告書にも不記載。報道では、安倍氏の秘書が、二〇一三年、総務省に問い合わせ、記載が必要だと確認、ところが、その後、不適切な支出だと指摘されるおそれがあったため、二〇一四年分以降は記載しないことにした、こう報道されているわけであります。なぜ、二〇一四年分以降、多額の補填について不記載にしたのか、当時の担当者に確認するよう通告してあります。お答えください。
○安倍議員 今御指摘のとおり、一三年、晋和会において計上しているわけでございますが、本来、計上する先は晋和会ではなくて安倍晋三後援会であったわけでありまして、そして、安倍晋三後援会に計上し、そのまま計上し続けておけば、これは問題がなかったというふうに思うわけでございますが、今御指摘のあったように、その後、記載がなされなかったということでございます。このことについては、質問の通告の中で、確かめておくようにということでございますので、当該秘書、これはもう何年も前に高齢を理由に退職をされた職員でございますが、この職員も検察から聴取等を受けているというふうに承知をしておりますので、今まで打合せ等をしてはならないということでございましたので、今まで話をしていなかったところでございますが、当該職員は、今、代理人を立てておりまして、代理人の弁護士に私の弁護士から、代理人でございますから、代理人同士が話をしなければいけないということで、代理人同士が話をさせていただきました。どうしてそういうことになったのか教えてもらえないのかということで連絡をとらせていただいたんですが、いわば、当該代理人から、今この問題について接触を図るべきではないと考えているということで、答えられないということでございました。
○宮本委員 答えられない。いまだ隠さなきゃいけないことがあるんじゃないのかと思ってしまうわけであります。不記載が始まる二〇一四年に何があったのか。小渕優子後援会の観劇会で、政治資金収支報告書で収支が合わないことが大きく報道されました。補填しているのではないのか、公職選挙法違反の利益供与ではないのか、あるいは裏金づくりではないのか、大問題になる中で、小渕優子さんは大臣を辞職されました。前夜祭への多額の補填は不適切な支出だと指摘されるとまずいと考え、隠蔽のために二〇一四年分から不記載にしたんじゃないですか。
○安倍議員 当該の職員と、先ほど申し上げましたような理由で、接触をし話を聞くことができないので、私が勝手に申し上げることはできないわけでございますが、そもそも、会場費等々の支出があればそれを計上するということは、これは総務省も認めているということでございますので、そもそもそれを計上していれば問題なかったわけでありますから、それをなぜその段階で計上しなかったかということについては、これは想像でしかないのでございますので、今申し上げることができないわけでございます。また、本人に対しては、きょう午前中に、代理人に、話をさせてもらえないのか、話をさせてもらえるということになれば私が話を聞くということにしていたのでございますが、そういう形で今接触することはできないということで、断られてしまったということでございます。
○宮本委員 不記載の理由がわからないという話になっているわけですけれども、支出に問題がなかったというふうにおっしゃいますけれども、問題がなかったら載せているんですよ。載せていたものをわざわざ載せなくなったというのは、これは補填はまずいんじゃないのかとみんなで話し合って載せなくなったのではないのか、こういう疑念があるわけであります。安倍前総理の預金から桜を見る会前夜祭に補填された額というのは、大変巨額なわけですよね。二〇一九年でいえば、二百六十万円。先ほど黒岩さんの計算がありましたけれども、私も二〇一九年分、試算しましたけれども、参加者一人当たり約三千円の補填になります。私は、これは大きな利益供与だと思いますよ。きのうの記者会見では、こうした補填を行ったことについての反省は一切なかったわけであります。私たち政治家は、有権者の支持をお金で買ってはならない。それは、民主主義の土台を崩すからであります。政治家であれ後援会であれ、利益供与は禁じられております。松島みどり議員は、うちわを有権者に配り、大臣を辞職されましたよね。三千円もしないんですよ、うちわは。菅原一秀議員は、香典を秘書が持参して、大臣を辞職されました。小野寺五典さんは、お線香を持参して供えて、議員辞職された。こういうことも過去にはあったわけであります。一人当たり三千円も補填した、有権者への利益供与は、政治家としては許されない行為であった、私はそういう自覚を安倍前総理は持たなきゃいけないと思いますよ。
○安倍議員 会場費等の設定においては、会場費等々について、音響費等々も含めて、公職選挙法上もこれは政治資金団体等からの支出が認められているんだろうと思います。そしてまた、飲食費等についても、これは、どの程度の、程度の問題かどうかということを私は承知はしていないわけでございますが、そうしたことも含めて、厳しい、検察側が捜査を行った結果、聴取を行った結果、今回問題ないという御判断をいただいたもの、こう思っております。そもそも、桜を見る会をやっているときにはもう私は既に総理大臣になっておりますから、私がそうしたことを、今、宮本委員が言われたような形で、何か利益を供与して選挙で当選しなければならないという立場ではこれは全くないわけでございまして、つまり、例えば我が党においては、自分の選挙のことは全く考えないという状況にならなければ自民党の総裁にはそもそもなれないわけでございます。幸い私も、今まで九回、選挙を戦ってきたところでございますが、毎回地元の皆様が大変頑張っていただいた結果、これは常に圧倒的な勝利を与えていただいているところでございまして、そうした意味におきまして、そんな利益を供与して票を集めようということは、つゆほども、私も含めて事務所も考えていない。それよりも法令遵守の方が極めて重要だというふうに思っております。
○宮本委員 法令遵守だったら、わざわざ記載していたものを記載をやめるというのは、全く成り立たないじゃないですか。しかも、会場費、会場費と言っていますけれども、後援会の収支報告書の訂正を見ても、会場費なんて書いてないですよ。宴会料等と書いてあるじゃないですか。全体の、二〇一九年でいえば四一%が補填なわけですよ。三千円、一人当たり。これはどう見ても利益供与ですよ。そのことについて反省の言葉もない。不起訴というのは、イコール白ということじゃないですからね。そこははっきりさせておきたいと思いますよ。松島さんだって菅原さんだって不起訴ですよ。だけれども、問題だということで責任をとられたわけであります。その点、みずからの閣僚はそういう形で責任を過去とったにもかかわらず、御自身はどうされるんですかということが問われているということを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。