2021年1月26日 衆院予算委員会 大企業非正規への休業支援金の拡大、雇用調整助成金の改善を 

 日本共産党の宮本徹議員は26日の衆院予算委員会で2020年度第3次補正予算案の締めくくり質疑に立ち、非正規労働者へ支援が行き渡るよう制度の見直しを求めました。
 宮本氏は、緊急事態宣言下で飲食店チェーンの非正規労働者がシフト削減により収入が減少していると告発。菅義偉首相は「シフト制で働く労働者の実態をしっかり調べてみたい」と明言しました。
 宮本氏は、働き手の雇用を維持しつつ休業手当を払った企業を支援する雇用調整助成金(雇調金)の助成率100%を大企業まで拡大したものの「既に店舗閉鎖、人員整理をしているので100%助成を利用できない」と休業手当を支払わない企業があると指摘。「雇調金の仕組みを見直すか、休業支援金の対象を大企業非正規労働者まで拡大しなければ救われない」と迫りました。
 田村憲久厚生労働相は、緊急小口資金・総合支援資金の貸し付けなどを活用して対応してほしいと答弁。宮本氏は「休業支援金や雇調金で対応するのが本来の考え方だ。政府の支援が不十分だから借金してくださいというのは筋が違う」と批判しました。

以上2021年1月27日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2021年1月26日 第204国会衆院予算委員会第3号 議事録≫

○金田委員長 これにて川内君の質疑は終了いたしました。次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。雇用対策について総理にお伺いしたいと思います。先ほど川内さんからお話がありましたけれども、休業支援金の対象にならないけれども休業手当も出ていないという大企業の労働者について、総理は答弁で、本会議で、政府としては、大企業の労働者の方々が雇用調整助成金の特例を活用いただけるよう、企業に対して丁寧に働きかけを行ってまいります、こう答弁されました。今回の緊急事態宣言の下で、実態はどうなっているのか。報道がありましたけれども、ラーメン屋一風堂では、緊急事態宣言の影響で、夜間シフトに入っている従業員はシフトがカットされて、シフトが決まっていないという理由で一月後半からは休業補償の対象外とされております。カツ丼チェーンかつやで働く男性も、シフトが減り、収入は月二十五万円から十万円になった。外食大手のフジオフードシステムで働いている女性、今年に入って勤務していた店舗が閉店になった、何とか近隣の店舗に異動になったけれども、今までの週四日勤務から週に一日、よくても二日しか入れなくなった、子供を二人育てており、毎月の収入が減り本当に困っています、こういう声があふれております。総理は、緊急事態宣言の下で、こうした飲食店でシフト制で働いている労働者の皆さんが置かれている実態について、どう認識されているでしょうか。これは総理の認識です。
○菅内閣総理大臣 政府としては、雇用を守って事業を継続していくために、雇用調整助成金の特例措置を延長するとともに、今般の緊急事態宣言に伴い、知事の要請によって営業時間短縮に協力する飲食店については、大企業に対しても助成率の引上げを行ったところであり、まずはこうした制度の徹底を図っていきたいというふうに思っています。いずれにしろ、飲食店等の皆さんには大変な御迷惑をかけ、また御協力いただいていますことに感謝申し上げますとともに、今委員から言われましたが、勤務される、非正規、シフトですか、制で働いていらっしゃる方、そうした方の実態というものをしっかり調べてみたいと思います。
○宮本委員 しっかり調べていただきたいんですね。ちなみに、働きかけるということを総理もおっしゃって、田村大臣も記者会見で呼びかけられていましたけれども、今回の緊急事態宣言で、大企業も雇調金一〇〇%助成になりましたけれども、この特例を使ってちゃんと払ってくれ、こういう働きかけ、今まで何社に対して行ったんでしょうか。
○田村国務大臣 ちょっと通告が届いておりませんでした。すぐに、すぐに調べさせます。
○宮本委員 恐ろしいですね。私、ちゃんと通告、いつもメモで、ちゃんとかなり前に入れるようにしているんですけれども。
○田村国務大臣 大企業の一〇〇%助成の話。これは、まだ大企業一〇〇%助成に関しましては発表されたばかりでございますので、これに関しましてはまだ集計調査しておりませんので、これから周知をいたしまして、しっかりと、またどれぐらいのところが対応していただいているかということを調査してまいりたいというふうに思っております。
○宮本委員 できたばかりで、働きかけをやりますと言って、働きかけもやっていないわけですよね。それで、働きかけをやったら払われるのかという問題が今起きてきております。というのも、先ほど挙げたようなところは、割と労働組合なんかにも入って、団交もやったり、企業とやり合っているわけですけれども、シフト制については休業手当の支払い義務がないということを言われる。今日午後、あるところで行われた団交の話を聞きましたけれども、そこでも同じように、雇調金一〇〇%を使ってくれ、これができたじゃないかという話をしても、休業手当の支払い義務がないと言われたと。それと同時に、実はこの一〇〇%助成がうちは使えないんだという話も出たという話なんですね。なぜなら、条件として、この特例は、人員を一人も解雇してはならないという条件がついております。飲食店の場合は、ずうっと厳しい状況が続いておりますので、これまで店舗を閉鎖して人員を整理したことがあるところが少なくないんですね。ですから、去年の一月から今年の一月末まで一人も首を切っていなければこの一〇〇%助成が使えるということになっていまして、せっかく、一〇〇%助成、今回対象を拡大されたのに、これを使って休業手当を支払うということにもなっていない現状があるんですね。これはどう解決されますか。
○田村国務大臣 中小企業もそういうルールの下で一〇〇%助成をやっているということでございます。大企業も同じような形の中で、十割助成という形で今般対応させていただいております。ちなみに、いろいろなお声がありますので、総合雇用労働相談コーナーですか、こういうところで、いろいろな方々から、うちの方では雇調金等の対応をいただいていないということがあれば、それで大企業等々にいろいろと我々依頼に入らせていただいて、協力要請をさせていただきたいというふうに思っております。
○宮本委員 ですから、私が今お話ししたのは、協力要請をできやすくするために皆さんも一〇〇%に雇調金を引き上げたと思うんですけれども、既に飲食店の皆さんは、体力がなくなる中で、店舗を閉鎖して人員削減もしちゃっている、一〇〇%助成は使えない、そうなると、今までと同じことが続いてしまうのではないのかということなんですよね。これは解決しないと駄目だと思いますよ。今のままだと、絶対休業手当が支払われるということにならないですよ。雇調金の仕組みをもっと考えて直すか、そうでなければ、休業支援金の対象を大企業の非正規労働者まで拡大するか、どちらかしないと、今まで払われなかった方々に休業手当が支払われる、あるいは何らかの支援が届くということにはならない。今、こういう問題が起きております。これは是非、どう解決するかというのを、総理、ちゃんと考えていただけないでしょうかね。
○田村国務大臣 基本的に制度が備わっております。今総理がいろいろとおっしゃられましたけれども、それぞれのいろいろな対応策がございまして、例えば緊急小口、総合支援資金、こういうものの貸付け等々、これは百四十万まで両方とも合わせると最大あるわけでありまして、こういうものも含めて対応いただく。また、住居確保資金、これは二度目ということで、対応するということでございます。それぞれの対応策を通じて、いろいろな、窮しておられる方々に対しては支援をしてまいりたいというふうに考えております。
○宮本委員 ですから、休業手当が支払われていないのは雇調金か休業支援金かで対応しようというのが本来の考え方じゃないですか。そういう方々に対して、政府の支援が不十分で、それが届かないから借金してくださいというのは筋が違うと思いますよ。総理もそう思いませんか。
○田村国務大臣 総合支援資金に関しましては、もう御承知のとおり、緊急小口もそうでありますけれども、特例でございますので、住民税非課税ということであればこれは返済免除という形になっております。そういうような形で、大変困っておられる方々に対しては、こういう対応の下でいろいろな支援の手を我々も伸ばしていきたいというふうに思っております。
○菅内閣総理大臣 雇調金の十分の十は使えないということですけれども、従来の十分の八とか、そうしたものは使えることになっていますから、そういう中での対応も一つじゃないでしょうか。
○宮本委員 いや、もう話がひっくり返っちゃう。十分の八だと休業手当が払ってもらえないから、今回、十分の十まで引き上げたんですよ。ところが、その十分の十の条件が合わないから、またそれでも払えない企業がある。そうすると、ずうっと四月から休業手当を払っていない方々を救う方法というのが、今、政府の対策ではなくなっちゃっているわけですよ。そこをどうするのか。雇調金の条件を抜本的に見直すのか……
○金田委員長 時間が参りました。
○宮本委員 あるいは、休業支援金の対象を大企業まで拡大するのか、二つに一つしかないんですよ。それを是非決断していただきたいということを申し上げまして、時間になりましたので、質問を終わります。