2021年5月12日 衆院厚生労働委員会 休業支援金迅速に 企業への指導求める

 日本共産党の宮本徹議員は12日、衆院厚生労働委員会で、休業支援金の迅速な支給と制度の周知・徹底、企業への活用の指導を要求しました。
 宮本氏は、休業支援金の支給要件になっている労災保険への加入について、事業者が任意加入しない場合、申請から支給まで8カ月間も要する例が相次いでいると指摘。労働者性が確認できた時点で迅速に支給し労働者を救済すべきだと迫りました。
 厚労省の田中誠二職業安定局長は「労災保険の手続きなしに支給決定を行うのは困難」としつつ「可能な限り迅速な対応に努めたい」と答弁しました。宮本氏は、「かなり時間がかかっており、労働者の生活が脅かされる。迅速に支給するべきだ」と強調しました。
 宮本氏はまた、ある大手飲食チェーンの人事担当が「支援金の対象は勤務開始時刻が18時以降の労働者だけ」「時短は対象外」などと難癖をつけて申請に協力しない悪質な事例を告発。こうした対応は許されないことを周知し、申請に協力するよう大企業を指導せよと求めました。
 田中局長は「不当に申請を阻害するのは誠に遺憾。制度内容を正確に周知するとともに事業者にも協力を要請したい」と答弁しました。

以上2021年5月16日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2021年5月12日 第204回衆院厚生労働委員会第18号 議事録 該当部分抜粋≫

○宮本委員 ~略~ 今年二月から、休業支援金の対象が大企業の非正規にも一部拡大されるということになりましたが、ある大手飲食チェーン店では、人事担当の方が、勤務開始時刻が十八時以降の労働者しか対象にならない、時短は対象外だといって、支給要件に存在しない勝手な要件をつくり上げて、申請に協力しないというちょっと悪質な対応を取っているわけですよね。やはりこうした対応は許されないということを周知するとともに、申請に協力するよう、この企業に対してしっかり指導していただきたいと思いますが、これはいかがでしょうか。
○田中政府参考人 一般論としてお答えさせていただきますけれども、厚生労働省としては、これまでも、休業支援金、給付金の内容について、対象となり得る労働者への周知や休業の事実の証明などについて、事業主の皆様に協力を要請しているところでございますけれども、御指摘のように不当に申請を阻害する事業主がいらっしゃるのであれば、これは誠に遺憾です。事業主がそのような対応を取っている場合でも、労働者からコールセンターに問い合わせていただければ、正確な情報をお伝えできるとともに、事業主に協力いただけない場合であっても、その旨を記載の上、労働者が申請することが可能でありますので、こうしたこともしっかり周知したいと思います。いずれにしても、制度内容の正確な周知を行うとともに、事業主に対しても、随時、必要な協力を要請してまいりたいと考えております。
○宮本委員 個別の名前を今日は出していないですけれども、労働局の方には本人からも言っているみたいですので、後で個別の会社の名前もお伝えしますので、しっかり対策をお願いします。それからあと、休業支援金なんですけれども、これは労災保険加入が支給要件となっているため、事業者が労災保険に任意加入しない場合は、職権での加入手続が必要になります。そうしたケースで、申請から支給まで半年から八か月ぐらいかかる例が相次いでいます。私たちのところに相談に来ただけでも三件ぐらいあるんですね、物すごい時間がかかっているのが。労働者性を確認するという趣旨からすれば、労災の職権加入は後で行うこととして、労働者性が確認できた時点で迅速に支給して労働者を救済すべきだと思いますが、いかがですか。
○田中政府参考人 休業支援金・給付金につきましては、事業所の実在確認や、その事業所で働く方の労働者性を確認するため、支給に当たっての最低限の要件として労働保険、労災保険の手続が取られていることを確認しておりまして、こうした確認なしに支給決定を行うことは困難と考えております。労働保険の手続がされていない申請を受け付けた場合には、労働局において、事業主に対し趣旨説明を行った上で、まずは、事業主が労働者を雇用していると自ら判断した場合には労働保険に加入するよう勧奨を行うとともに、それでもなお労働保険の加入手続を行わない事業主については、事実確認を行った上で、職権による労働保険関係の成立手続を行いまして支給手続を行っているところであります。引き続き、可能な限り迅速な対応に努めてまいりたいと考えております。
○宮本委員 可能な限り迅速というふうにおっしゃいますけれども、ちょっとかなり時間がかかっているんですよね。もっと急いでやらないと、半年とか八か月とかたったら、本当にその間の生活というのは大変になるわけですから、しっかりお願いしたいというふうに思います。それから、あと、大手のイベント会社、シミズオクトさんですけれども、非正規労働者を日々雇用ということで、実態は継続的な雇用であるにもかかわらず、雇用保険に加入させずに休業手当不払いを正当化するということがあって、私たちも相談に乗ってまいりました。ある非正規労働者の方がハローワークに確認請求した結果、雇用保険加入になったわけですけれども、この方によると、同じように加入資格がある労働者は多数いるけれども、ハローワークは、当事者から請求しないと調査すらしないというふうに言っているらしいんですよね。やはり、こういうシミズオクトさんのような例については、雇用保険法第九条に基づいて、厚労大臣の職権で調査を行って、要件に該当する労働者は雇用保険にしっかり加入させるべきだと考えますが、いかがですか。
○田中政府参考人 一般論として御答弁申し上げますが、雇用保険法におきましては、原則として、事業主は、その雇用する労働者が被保険者となったことを届け出る義務がございますが、これが行われないと、労働者が失業等給付を受けられないといった事態を招くため、その権利の保護を図る観点から、直接労働者本人から厚生労働大臣宛てに確認の請求を行うことを可能としております。さらに、一部の労働者から確認の請求があり、その方について確認を行う中で、当該事業主に雇用されるほかの労働者についても被保険者資格があると認められるときは、ハローワークにおいて事業主に対して届出を指導し、これに応じないときは職権により確認することとしております。いずれにしても、事業主が適正な届出を行っていただくことが最も重要でありますが、委員御指摘のような事案についても、職権の行使を含めて、雇用保険制度を適正に運営してまいりたいと考えております。
○宮本委員 ありがとうございます。一般論と言いながらも、事実上この件についてしっかり対応していただくというお話でしたので、職権の行使をしっかりやっていただきたいというふうに思います。それから、あと、こういう相談もあるんですね。都内のある製造業で働くパートの方が、一日六時間の労働契約だったのが、今回、コロナの時短で四時間労働になって、月九万円から月六万円に収入が減ったということなんですね。ただ、そのときに、平均賃金の六割の解釈を示した一九五二年の通達があるんですけれども、それによると、六万円払っている場合は、二時間の時短分については休業手当支払い義務がないということになっているそうであります。一方で、休業支援金は、一日四時間以上働いた場合は、その日が休業とならずに支給対象にならない。ですから、休業手当も出なければ休業支援金の対象にもならないということになっているわけですよね。私は、そもそも、この一九五二年の通達を見直すべきだというふうに思います。それと、あわせて、休業支援金についても、雇調金だったら、六時間の契約が二時間減って四時間になっても、これは当然、雇調金を使って休業手当を払うことはできるわけですね、雇調金の場合は時短についても使えるわけですけれども。よくここの場でも、休業支援金と雇用調整助成金はパラレルなんだというお話が皆さんからありました。そのパラレル論で、前に進むこともあれば、なかなか後ろに進まないこともありましたけれども。休業支援金と雇用調整助成金はパラレルというなら、少なくとも、休業支援金はこうしたケースにでも支給できるように改善しないと救われないですよね、この方は月九万円の収入が六万円に減ったにもかかわらず。これをどうにか改善していただけないでしょうかね。
○田村国務大臣 これは休業手当の話と雇調金の話で、雇調金は、言われるとおり、時間的に時短で休んでいる部分に関して、そこの部分に対して出る、雇用調整助成金は。ただ、これも、企業にしてみれば、今、補助率が十分の十ですから、そこまで、じゃ、全部対応しようかということになるわけでありますが、これは補助率が違う場合には、当然、持ち出しがあるとなると企業もいろんな形で企業行動は変わってくる可能性はあると思います。基本的に、この休業手当の支払いに関しては、いつもの話でありますけれども、暦日数で割るものでありますから、今委員がおっしゃったみたいなことが起こるわけでありまして、結果的に、日々六千円、時給千円で、例えば六時間働いて六千円もらっているものがあったとしても、全体でこれが十二万円だとすると、三か月の平均で見ると、暦日で割りますから九十日で割りますので、結果的に、出てくるお金というものが当然のごとく変わってくるわけでありまして。すると、この出てきたお金、四千円というものに対して、残り二時間分、何とかならないかという話だと思うんですが、これは四千円に対して六割でありますから、四、六、二十四、二千四百円。二千四百円よりも四千円の方が大きいものでありますから、そういう意味では、これは十分に休業手当分をクリアしているということになりますので。結果的に、休業手当というものは、時短で出てきておる、以前よりも働いている時間が減っている部分に対してというよりかは、全体の中で生活を保障するという意味からして、もらっておられる給料のうちの六割をクリアしているかどうかというようなところの話でございますので、結果的にはこれは暦日を使うものでありますから、こういう形になるということでありますので、これは御理解をいただきたいというふうに思います。
○宮本委員 いやいや、それは理解いただきたいといっても理解できないですよね。だって、休業支援金は八割の賃金保障を実際はしているわけですから。これは、働いている時間が違う、四時間じゃなくて三時間で働いている日がもうちょっと多いというケースだったら、これはちゃんと休業支援金の対象になって出るわけですよね。ですから、これはちゃんと改善してもらわないと、本人は納得できないというふうに思いますよ。それで、もう時間が来たから、もう一問あったんですけれども、これは指摘だけに終わらせていただきますけれども、雇調金の特例、休業支援金の特例、今日大島さんからもお話がありましたけれども、これを縮小したら大変なリストラが私は起きると思いますよ。ちょっと前に聞いた話ですけれども、資本金一千億円近い阪急阪神ホールディングスの株式会社のグループ企業である阪神阪急ホテルズが、非正規労働者二百十九人を雇い止めしたということで、あした労働組合が記者会見の発表もしているわけですよね。こういう形で、今でも、先の雇調金が見えないという中で、こういう話がどんどん出てきているわけですよ。これは絶対に、雇調金は、少なくとも、コロナが終息していく、もうワクチンの作戦を今やっているわけですから、七月末まで高齢者が打っていけば、かなり感染者、とりわけ重症者については抑えていける事態になるわけですから、そこまではしっかり雇調金を私は維持していかなきゃいけないと思いますよ。
○とかしき委員長 申合せの時間が来ておりますので。
○宮本委員 そのことをしっかり受け止めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。