2021年5月28日 衆院厚生労働委員会 「出自を知る権利」保障せよ 特別養子「ベビーライフ」問題 宮本氏が求める
日本共産党の宮本徹議員は5月28日の衆院厚生労働委員会で、特別養子縁組をあっせんしていた一般社団法人「ベビーライフ」が昨年突然廃業した問題を取り上げ、子の「出自を知る権利」の保障や情報開示など、国が責任を果たすよう求めました。
「ベビーライフ」は昨年7月、東京都にあっせん事業の許可申請の取り下げを申し出て事業を停止しました。それ以降、関係者と連絡が取れなくなり、生みの親や成長の記録などの行方がわからなくなっています。5月26日には、この団体を通して子どもを迎えた親たちが相談窓口の設置や引き継いだ情報開示を求める要望書を都に提出しています。
特別養子縁組で子となった人の自分の「出自を知る権利」の重要性についてただした宮本氏に対し、田村憲久厚生労働相は「出自を知る権利は非常に重要。養父母に対してしっかりと支援をしていく」と答弁しました。
宮本氏は、子の健康に関わる実親の健康情報が得られることが大事だとして「ベビーライフの情報を整理し、必要な情報が適切に当事者に開示されるよう都道府県にしっかり働きかける必要があるのではないか」と迫りました。田村厚労相は「東京都とも連携しながら協力して対応してまいりたい」と答弁しました。
≪2021年5月28日 第204回衆院厚生労働委員会第23号 議事録≫
○とかしき委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。尾身会長、今日もお忙しいところ、ありがとうございます。アドバイザリーボードで、東京のリバウンドの可能性というのが言及されておりました。これまでの傾向でいえば、夜間滞留人口、昼間の滞留人口が増加し始めると、どの程度の期間で感染者数というのはリバウンドしていくんでしょうか。
○尾身参考人 人流といっても、昼間の人流だとか、あるいは繁華街だけの限定した、しかも夜の滞留人口というので多少違いますけれども、今までの研究の結果、一番感染と関係があるのは、夜間のしかも繁華街、そういうところの人流と感染の拡大とのリンクが一番しっかりと今までの情報ではそうなっています。今まで、変異株の前は、大体、そうした夜間の滞留人口というのが二、三週間続くと感染の拡大の兆候が見られるというのが一般的な傾向でした。今回は、いろいろな県からのいろいろな情報を集めますと、変異株の影響があるとは考えられますけれども、感染の拡大のスピードが前よりも速くなっていて、今度は逆に下がるのに時間がかかるということもありますので、もしかすると今までの二、三週間よりも早い、期間が短くてリバウンドをするということも考えておかないといけないということで、これからいろいろ様々な状況で影響されるので、いろいろなことを考えていく必要があると思います。
○宮本委員 そうすると、アドバイザリーボードの資料では、五月八日から十五、二十二と夜間の滞留人口が増加し続けて二週間続いている。これが今週も含めて続いているということになると、従来であってももうリバウンドが始まるということですから、変異株ならそれより物すごい早いタイミング、もしかしたら今月中に感染者数もプラスに転じる可能性があるというふうな理解でよろしいでしょうか。
○尾身参考人 ゴールデンウィークの影響というのはだんだんもうなくなっておりますので、これから、今委員御指摘のように、東京はまだ緊急事態宣言発出下なんですけれども、人流が少しずつ増えているという現象がありますので、このことがしばらくすると新規の感染者数に反映されていくという可能性はあると思うので、私は注意をする必要があると思います。
○宮本委員 近いところでリバウンドしていく可能性があるということです。そして、今日も資料をお配りしておりますけれども、昨日、東京都の健康安全研究センターの変異株のスクリーニングの調査が出ておりました。資料でお配りし、尾身会長も御覧になっているかと思いますが、これを見たら、母数は少ないんですけれども、L452R、インド由来の変異株の比率が六・七%まで上がってきております。ちなみに、イギリス由来のN501Yが五・七%だったのは三月の半ば頃だったんですよね。それが多数になるまで、一か月半ぐらいでばっと多数になったということを考えると、六・七%までもう来ているということがこれが全体の傾向だとすれば、もう一か月、一か月半の間に多数にこのインド変異株がなる可能性もあるというふうに見ていらっしゃるんでしょうか。
○尾身参考人 今委員がおっしゃるように、インド株がだんだんとイギリス株に取って代わっていくということは十分あり得て、しかも、それほど時間がかからない可能性もあるので、様々な対策をしっかりと今まで以上に強化する必要があると思っております。
○宮本委員 そうすると、先ほど来オリンピックの問題の議論もされているわけですけれども、当然いろいろな対策を打っていかなきゃいけないのは前提ですけれども、リバウンドが始まっていく、それがインドの変異株によってリバウンドが加速していく、そういう中で七月を、オリンピックの時期を迎えていく可能性もある。そのときに、長妻さんもおっしゃっていましたけれども、本来、様々な対策を強めなきゃいけない、ハンマーを打たなきゃいけないというときに、オリンピックをやっているからという理由でハンマーが打てなくなる、こういうリスクがあるのではないかと思いますけれども、その点はどうお考えでしょうか。
○尾身参考人 私は、今、日本の社会で求められているのは、オリンピックの開催するしないにかかわらず、今の大阪で見られているような状況、緊急事態宣言を出しただけでなくて、一般の医療に支障が来て、本来なら病院でケアをされるべき人が家庭にいて、しかも重症化したり、そういうような状況が今起きている。この状況、こういうことを、オリンピックの開催の有無にかかわらず、もうそういうことを避けるんだという強い思いが私は政府と自治体と我々に求められているんじゃないかと思います。
○宮本委員 絶対そういう事態は避けなきゃいけないというのは、当然、政府も自治体も国民もみんな持たなきゃいけないということだと思うんですけれども、そのときに、オリンピックをやっているがためにいろんなことができないということになったら、これはなかなか厳しい事態になるなということもありますので、そういうことを考えても、今、インド変異株の状況やリバウンドの状況を見て、本当にもう判断しなきゃいけない時期に来ているんじゃないかなというふうに感じております。その上で、アドバイザリーボードの資料も拝見させていただいたんですけれども、変異株の影響もあるんではないかと思いますけれども、職場、飲食以外の職場で、マスクあり会食なしという状態でも感染が広がっているケースが間々ある。ホワイトカラー、デスクワークの職場であっても、距離を取っていた、マスクをしていた、でも感染したのではないか、そういう資料も出ておりました。もちろん、マスクの質や着け方に問題があった可能性もあるとは思いますし、あるいは、換気の悪い例えばトイレみたいなところで、誰かごほごほとしたのがエアロゾルが残っていた、そういう共有スペースがあるのかも分からないですし、あるいは、換気の悪い場所でずっとみんなで仕事をしている、長時間一緒に換気がそれほどよくない場所にいることによるリスクもあるのかなというふうに思いますけれども、やはり、こうしたリスクを、とりわけ、イギリス変異株でこういうことが起きていて、インド由来の変異株ということになれば、もっと大きなリスクが、もっと本当に、感染対策を一人一人のレベルでも徹底していく、社会全体でも徹底していくということがより求められると思うんですけれども、その辺を共通認識にしていくのをもっと徹底しなきゃいけないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○尾身参考人 今委員おっしゃるように、いろんな各地方自治体からの情報を集めたり外国の論文を見たりすると、やはり今、感染が個々人のレベルでしやすくなっているということはかなりもう確実だと思います。どういうことかというと、やはり今までは三密ということを言っていて、しかし今は、三密の一つでもあって、さらに、まだこれは確定的なことじゃなくて、次回の分科会でしっかりと我々の考えをまとめて、政府、あるいは政府を通して一般の市民の方にお知らせをできればいいと思っていますけれども、今のところ我々が感じているのは、三密だとか大声だとかお酒ということに加えて、もう一つ、一緒にいる時間というもののファクターが、今まで私どもは人数のこととか距離のことは申し上げましたけれども、時間のことについてはそれほど強調はしてこなかったです。だけれども、今回、同じところに長くいるというこの時間のファクターというのが非常に重要になったことと、それから換気というもの。つまり、マイクロ飛沫というものが今まで以上に、この変異株になって、今までもマイクロ飛沫の重要性は指摘していましたけれども、ここに来て、接触の感染も重要ですけれども、マイクロ飛沫が感染の伝播に占める役割というのがますます重要になってきたので、そういうこと、新たな気をつける点というものが出てきた。これについては、なるべく早く一般の市民の皆さんに専門家の方から発信をしたいと思っています。
○宮本委員 変異株の下でのマイクロ飛沫対策、私はエアロゾル感染ということをずっと申し上げてまいりましたけれども、エアロゾル感染対策、時間のリスクの問題、換気、あとマスクの密着、是非専門家の皆さんからの効果的な発信をお願いしたいと思いますし、政府からも徹底的に発信をしていただきたいというふうに思います。その上で、換気の関係なんですけれども、飲食店の認証制度というのを尾身会長もかなり強調されていたわけですけれども、今日は内閣官房にも来ていただきましたけれども、これは具体化の状況というのは今どうなっているんでしょうか。
○梶尾政府参考人 お答えします。飲食店における感染防止対策を徹底するために、山梨県や鳥取県などの認証基準を基に、感染症予防対策に係る認証の基準という案を作りまして、それを基に、第三者認証制度の導入にできるだけ早く着手するようということで、四月の三十日に厚労省、農水省との連名の事務連絡で都道府県に依頼をしたところでございます。現状ですけれども、五月二十五日現在、これの基準を作成をしまして飲食店の見回りを実施しているということで、十八の自治体から報告を受けているところでございます。
○宮本委員 そのうち、緊急事態宣言が出ている自治体は幾つありますか。
○梶尾政府参考人 この十八の中に、現在緊急事態宣言が出されているものが二つございます。
○宮本委員 全体としてまだ具体化も進んでいないですし、緊急事態宣言が出されているところでは二つしかまだ認証制度もないということなんですよね。人流も、自粛疲れもあってもう我慢し切れない、そういう中で増えてくるという下で、本当に、環境を変えることでリスクを下げるというところにもっと私は力を入れていただきたいというふうに思います。何度も申し上げていますけれども、CO2モニターを使って換気を測定するといったときに、具体的に換気のやり方のアドバイスなんかもしっかりやる取組をそれぞれの自治体でやるというのをもっとやらなきゃいけないと思いますし、あるいは、前に紹介しましたけれども、千代田区はCO2モニターを無償で配付するということを開始しました。補助金を使って、申請したら上げますよというのじゃ手間なので、なかなかそうならないわけですよ。やはり飲食店の皆さんに対してもっと積極的に、環境を変えるための支援、感染リスクを下げるための支援、これをやっていただきたいと思うんですけれども、内閣官房、いかがですか。
○梶尾政府参考人 お答えします。先ほど、現在十八の自治体が作成済みということを申しましたけれども、検討状況は報告を受けることになっておりまして、ほぼ全ての自治体から、現在、第三者認証制度の導入に向けて検討しているという報告は受けてございます。そして、CO2センサーに関してですけれども、この事務連絡の中でも、換気の徹底というのは必須項目として定めた上で、換気を徹底するに当たりCO2センサーの使用等により換気状況の把握に努めることというふうに定め、また、第三者認証制度の重要な要件としましては、一軒一軒戸別訪問をして遵守状況を厳しく確認、指導するということを明記しておりますので、各自治体ではこういったことを踏まえた検討を進めていただいていると考えてございます。そして、支援についてでございますけれども、この事務連絡の中でも地方創生臨時交付金を活用できる旨を記載しておりますけれども、先般、この臨時交付金で新たに特別枠として事業者支援分五千億を創設しまして、そのうちの三千億円分については、喫緊の課題に対応するために先行して各県に交付限度額をお示しし、速やかに事業に着手できるようにしたところでございます。都道府県の判断で、交付金を用いてCO2モニター等の配付あるいは購入支援を行うということも可能であるというふうに考えてございます。
○宮本委員 ですけれども、その自治体に積んだお金というのは、やはり事業者の皆さんの様々な協力だとか減収に対しての支援に大体どこの自治体でも回るわけですよね。それはよく分かっていると思いますけれども、やはり別枠で、ちゃんとこういうことで使ったら積み増して出しますからということをやっていかないと、ワクチン接種、高齢者は七月末まで頑張る、そこまでやれば重症化する方は大分減るとは思いますけれども、若い世代も含めて重症化する方というのは当然いるわけですから、その先まで、秋冬まで見据えた対策をやはりやらなきゃいけないと思うんですよね。これから暑くなりますので、暑くなるとどうしてもお店は、今は窓を開けて外の空気を入れて換気をよくしているところも、また密の環境が広がる危険があるというふうに私は思っております。ですから、そこまで見据えて様々な換気対策への支援というのを是非やっていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。尾身会長、ありがとうございました。内閣官房も結構でございます。それでは、後半の質問に入りますが、今日は特別養子縁組についてお伺いいたします。国は、この間、特別養子縁組の普及促進を図ってまいりました。その理由を端的に述べていただけますか。
○渡辺政府参考人 御指摘の特別養子縁組制度、これは、養子となる子供と実の親との法的な親子関係を終了させるとともに、養親との離縁の要件を厳格にすることによって、養親子関係を強固なものとする制度でございます。これは、子供にとって永続的に安定した養育環境を提供することができるものでありまして、平成二十八年の児童福祉法の改正で導入しました家庭養育優先原則というものにもかなうものということで、重要な役割を担う制度だと考えておりまして、これまで普及促進に努めてきたところでございます。
○宮本委員 国として促進をしてきたわけですから、しっかり適切な支援を関係者で行うというのは当然のことだと思います。 こういう相談を一件受けているんですけれども、特別養子縁組の場合、子が一歳を超えて養子縁組をしたり監護期間に入った場合は、育休は取れず、夫婦のどちらかが無収入のまま家庭で子供を見るか、保育施設に子供を預けて働き続けるしかない、無収入は酷である、一方で、養父母と子供が愛着関係を築く大切なときに子供を保育施設に預けるのもつらいという話でございます。子が一歳を超えて養子縁組をしたりあるいは監護期間に入った場合に何らかの公的な経済支援を受けられる仕組みというのが必要じゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○田村国務大臣 今委員もおっしゃったような気がしますけれども、一歳未満でございますれば、当該子、養子縁組であったとしても、これは対象になるわけでございます。今、翻って、多分、それを超えた場合どうするんだという話だったというふうに思うんですけれども、特別養子縁組に至る過程で里親制度というものがあるわけでございまして、特別養子縁組までの間、里親でいろんな対応をいただくということであれば、里親に対しては、それぞれ手当、生活費、教育費、医療費等々、これは出るわけでございますので、そのようなものをお使いをいただきながら特別養子縁組につなげていただく、その間に愛情形成等々をしていただくというような形を使っていただくのも一つであろうというふうに思います。
○宮本委員 里親制度を使わない場合も当然あるわけでして、一歳をちょうど超えたぐらいの子供と養子縁組あるいは監護期間に入るという場合も当然あるわけですよね。ですから、ちょっと別の形式も含めて是非御検討いただきたいというふうに思います。続いて、昨年突然事業を停止したベビーライフの件についてお伺いいたします。特別養子縁組で子となった人が自分の出自を知る権利が保障されること、また、養父母が、真実告知など、発達段階ごとに適切な子供への働きかけが行えるよう、継続的に援助することの重要性について、大臣はどう認識されているでしょうか。
○田村国務大臣 やはり出自を知る権利は非常に重要であります。そういう意味ではこれは保障されなきゃなりませんし、真実を告知するということは大変なことでありますので、これに対して養父母に対してしっかりと厚生労働省も支援をしていくということは非常に重要であろうというふうに思っております。
○宮本委員 この点で、ベビーライフを介してあっせんを受けた関係者の皆さんは大変今困っている状況にございます。情報の一部は東京都に引き継がれましたが、その詳細も明らかになっておらず、一昨日、養父母の皆さんが東京都に様々な要望も出しております。これまではベビーライフを介して養父母と実親との交流というのが行われてきました。成長に合わせて定期的に写真を生みの親に届ける、こうしたものも全部ベビーライフが仲介となってやってきたわけです。子が将来、実親に会いたい、あるいは手紙を出したいというふうになったときのことを考えると、実親との関係を続けていけるようにするというのは極めて大事なことだと思います。もちろん、子の健康に関わる養父母の健康情報が得られるということも大変大事な問題であります。そこで、大臣にお伺いしますけれども、このベビーライフの情報を整理し、どのような情報を引き継いだのか、速やかに関係者に明らかにすべきではないのか。また、必要な情報が適切に当事者に開示されるよう都道府県にしっかり働きかける必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○田村国務大臣 民間あっせん機関による養子に関する記録の保有といいますか、こういう在り方でありますとか、また、養子の方々に実親の情報をしっかり提供する際の留意点、こういうものに関しては、民間あっせん機関宛てに本年三月にも、周知すべく通知を出させていただきました。そういう意味では、法律にのっとって、また関係指針にのっとって、いろんな形で、真実を告知する、これに関する悩みでありますとか、児童の発達段階に応じた悩み、こういうものに対して助言、支援をあっせん機関は行わなければならないとなっているわけであります。一方で、今、多分、言われたベビーライフに関しては、もう既に事業を停止しているので、そういうようなことができない中においてどうやってその役割というものをどこが担っていくのかという話だと思いますが、ベビーライフからの情報の引継ぎ、これは東京都からも今随時報告を受けております。東京都が引き継いでいるわけでありまして、把握できる限りの養子等に関する情報を引き継いだ上で、現在、内容の整理を行っているということであります。今後の対応方針については東京都において現在整理しているところと聞いておりますけれども、厚生労働省といたしましても、東京都には助言をしっかりと行っているわけであります。いずれにいたしましても、養親、それから実際に養子の皆様方、実の親、それぞれに対して必要な対応をしていかなきゃならないわけでありまして、厚生労働省といたしましても、今後とも東京都に協力をしてまいりたいというふうに思っております。
○宮本委員 ベビーライフの場合は、許可団体になっていない段階で廃業しちゃったという問題があるわけですよね。それで、東京都の側からなかなか関係者にいまだ何の情報も伝わっていないし、どういう情報があるのかも関係者の皆さんは知らされていないのが今の現状なわけであります。ただ、許可団体になっているかいないかということによって、子供の権利や利益、あるいは、いろんなもの、本来知り得ることが知れないということがあってはならないというふうに思いますので、是非、先ほど大臣がおっしゃった通知、これは許可団体に対しての通知だと思うんですけれども、その趣旨あるいは指針の趣旨も踏まえて、しっかり当事者に情報が開示される仕組みをつくっていただきたいというふうに思います。その上で、ベビーライフ自身は許可団体ではなかったわけですけれども、過去には許可団体が廃止した例もあります。あっせん団体が事業廃止した場合に、情報の継承というのは大前提ですけれども、同時に大切なのは、子供や養父母に必要な支援が継続的に行われるということだと思います。大臣にお伺いしますけれども、養子縁組をあっせんしていた機関が解散した場合、事業が引き継がれ必要な支援が行われるようにどのような取組を行っていくのか、ベビーライフの事業廃止に伴う、情報だけじゃなくて、事業の継承についてはどのような取組を行い、現状はどうなっているんでしょうか。
○田村国務大臣 ベビーライフは、今、法施行以前の状況のまま解散されておりましたので、そういう意味からいたしますと、言われるとおり、あっせん機関になっていなかったといいますか、指定されていなかったわけでございますので、そういう意味では、余計に今東京都との間において大変御苦労いただいて情報の引継ぎをいただいているというふうに思いますけれども、民間あっせん機関が廃業する場合は、その帳簿を都道府県又は他の民間あっせん機関にこれを引き継いでいかなければならないものとされているわけであります。こうした規定に基づいて適切に支援が継続されることとなる、一応制度上はこういうふうになっているわけでありますけれども、養子等に関する情報に関しましては、やはり養子の出自を知る権利の確保、これは重要なものでありますので、情報の保存や引継ぎが円滑に行われるよう、厚生労働省といたしましても都道府県と連携して、そのような形になるように、他のあっせん機関の協力を得るなどして必要な対応を行っているわけであります。いずれにいたしましても、ベビーライフの場合は、今東京都が情報を引き継いでいただいておるということであります。全て引き継いでいるわけではないと委員はおっしゃられましたけれども、かなりの部分は引き継いでいただいておるということをお聞きもいたしておりますので、しっかりとこの件に関しては東京都と連携してまいりたいというふうに思っております。
○宮本委員 ベビーライフが子供をあっせんした実親あるいは養父母の仲介支援を行ってもいいよと名のりを上げていただいている団体も今生まれてきているという話は伺っておりますが、そこにしっかり情報が引き継がれていくという仕組みも必要です。あわせて、そういう団体ができたとしても、その団体への十分な支援がないと、また事業の継続性という問題が生まれる可能性がある。そのことを養父母の皆さんも心配をされておられます。というのも、収入はあっせんのときの手数料だけですから、その手数料が引き継ぐ団体に入ってくるわけではないというのが今の仕組みでありますので。ですから、事業がしっかりと継続されていく、情報がしっかり管理されて必要なときに伝えられると同時に、実親と養父母の定期的ないろんな交流、こうしたものへの支援というのもしっかりできるようにしていこうと思った場合は、やはり帳簿や事業を引き継ぐ団体へのしっかりとした財政的な支援、これもやる必要があるんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○田村国務大臣 様々ないろんな問題、諸問題に対してはいろんな助言等々の支援はしてまいりたいというふうに思っております。いろんな形で、出自を知る権利等々においていろんな対応をしていただくというものに関しては、これはモデル事業としての支援はあるんですけれども、今言われたみたいに、引継ぎというような形の中において全体の体制を整備するという意味では国からの財政的支援というものはないわけでありますけれども、いろんなお悩みはあられるというふうに思いますので、それぞれの相談に関しては都とも連携しながら協力して対応してまいりたいというふうに思っております。あくまでも助言という形になろうと思いますけれども。
○宮本委員 是非、同じことがまた生じちゃいますので、一回こういうことが起きて受け継いだ団体がまた大変なことになったら大変ですから、そこは本当にどういうふうにすればこうした事業が継続できるのかというのをしっかり検討していただきたいというふうに思います。問いはまだ残っておりますけれども、時間になりましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。