この願いをから 『雇用と公共交通守る』目黒交労組委員長 知念正男さん

 私たちが働くタクシー会社、目黒自動車交通(東京都目黒区)の入るロイヤルリムジングループは、政府が最初の緊急事態宣言を出した2020年4月7日、突然「事業休止」を発表しました。メデイアがいっせいに「600人全員解雇」と報じました。
 その日、六本木付近でタクシーを走らせていたら、同僚から「みんな解雇だとニュースになっている」と連絡を受けて驚きました。
 会社は「退職合意書」にサインをするよう退職強要を行い、賃金30日分の解雇予告手当すら支払わず、脱法的に自主退職に追い込もうとしていました。組合で議論し、「裁判では時間がかかる。団体交渉で退職強要を撤回させよう」と意思統一しました。

政府を動かす

 11日、社長が駐車場で説明会を開きました。私は社長の目の前で「雇用調整助成金を活用して雇用を守れ!」と書いた紙を持って訴えました。仲間たちから雇用維持を求める声が相次ぎました。
 このたたかいを支えてくれたのが、日本共産党でした。
 宮本徹衆院議員は、ロイヤルリムジンが解雇回避努力をせず、解雇予告手当も支払わないとし、「ルールなき解雇はだめだと指導すべきだ」と追及してくれました。加藤勝信厚生労働相(当時)が「問題事案を把握したら指導する」と答弁しました。
 高橋千鶴子衆院議員の質問で、赤羽一嘉国交相(当時)が「雇用を切ってとか、偽装的なところは感心しない」と答弁しました。
 国交省は、タクシー事業者に事務連絡を出し、解雇を正当化した社長の発言を「正しくない」と指摘しました。厚労省はコロナQ&Aを更新し、雇調金を活用し、雇用維持を求めました。
 4月24日の団体交渉で、社長は、退職強要や解雇の撤回を約束しました。後日、休業補償を実施して雇用を維持する確認書を組合と締結しました。
 共産党の国会質問で、国からタクシー会社に要請が行われたことが力になりました。「赤旗」も連日報道してくれ、労働組合で団結すれば雇用を守れると確信できました。

政権の交代で

 コロナ禍でタクシーの営業は厳しい日々が続いています。コロナ禍の影響がなくなるまで、雇調金の特例措置を続けてほしい。
 PCR検査を「いつでも、誰でも、何度でも、無料で」という共産党の提案はぜひ、実現してほしい。
 タクシーの営業は長年、規制緩和に苦しめられてきました。いまも「ダイナミック・プライシング(変動運賃)」や自家用車による運送を解禁する「ライドシェア」が狙われています。政権交代で、公共交通を破壊する新自由主義政策を是正してください。

以上2021年10月6日付赤旗日刊紙より抜粋