2022年2月4日 衆院予算委員会参考人質疑 「貧困の底が抜けた」
衆院予算委員会は4日、新型コロナウイルス感染症対策や国民生活・経済などについて参考人質疑を行いました。
国立感染症研究所の脇田隆字所長は、感染状況について「小児、高齢者などで減少傾向がないと全体の減少にはつながらない」と指摘。救急搬送の困難事例が増えているとして「柔軟な病床運用が必要だ」と述べるとともに、3回目のワクチンの前倒し接種を加速するよう求めました。
連合の村上陽子副事務局長は、雇用保険の積立金が年度途中で枯渇するとして、雇用調整助成金などへの予算措置を求めると同時に、失業等給付を従来の4分の1の国庫負担に戻すべきと述べ、政府提出法案を批判しました。
反貧困ネットワークの瀬戸大作事務局長は、困窮者などへの支援活動を通じて、「コロナで貧困の底が抜けたような状態だ」と指摘。公的住宅の拡充、生活保護の適切な受給、求職者支援制度の弾力運用などを求めました。
質疑で日本共産党の宮本徹議員は、生活保護制度の改善策を質問。瀬戸氏は、役所の窓口で生活保護を申請させない違法な対応が繰り返されていると述べ、国による調査を求めました。
国民生活・経済をめぐっては、日本共産党の宮本岳志議員が「日本のジェンダー不平等の大本に横たわる年間240万円にのぼる男女の賃金格差の解消が必要だ」として参考人の見解を聞きました。
権丈英子亜細亜大教授は、男女間の賃金格差は非常に重大な問題だと指摘。格差の一番の要因に管理職比率、二番目に勤続年数をあげ、解消のための取り組みが必要だと述べました。
また、井手英策慶大教授は「家事労働から女性が解放されていない」として、多くの女性が非正規雇用で働かざるを得ない現状があると発言。男性が家事に参加できる状況、長時間労働に異議申し立てできる状況をつくる必要性などを訴えました。
以上2022年2月5日付赤旗日刊紙より抜粋
≪2022年2月4日 第208回衆院予算委員会第10号 議事録≫
○根本委員長 これより会議を開きます。令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算、令和四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。三案審査のため、本日の午前、新型コロナウイルス感染症対策等について御出席いただいている参考人は、国立感染症研究所長脇田隆字君、日本労働組合総連合会副事務局長村上陽子君、国立大学法人長崎大学学長河野茂君、一般社団法人反貧困ネットワーク事務局長瀬戸大作君、以上四名の方々であります。この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。参考人各位には、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。次に、議事の順序について申し上げます。最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。それでは、まず脇田参考人にお願いいたします。
○脇田参考人 感染症研究所所長の脇田でございます。本日は、このような機会をいただきまして、予算委員会の皆様に改めて感謝を申し上げます。私のただいまの所見について述べさせていただきます。まず、現状の問題点といたしましては、現在のオミクロン株による感染拡大は、年末年始などにおける会食などにおける感染者急増から、感染の場が家庭、職場、学校、医療機関、介護福祉施設などに移り、拡大をしております。今週先週比あるいは実効再生産数は減少をし、一に近づきつつある局面であります。一部の地域で減少傾向、上げ止まり、あるいは多くの地域で増加速度の鈍化傾向も見られております。今後の推移ですが、まず、若者世代の減少が始まりつつありますが、小児、高齢者など、ほかの世代でも減少傾向がないと全体の減少にはつながらないと考えております。既に多くの地域で、若者層中心の急激な感染拡大により、軽症者の健康観察者あるいは自宅療養者が急増し、一部の地域では、その後、高齢者に感染が波及し、コロナ感染による肺炎がなくても、基礎疾患の増悪による重症者が急増、死亡者も増加しております。急増した感染者、濃厚接触者の隔離による医療機関を含めた社会機能の低下が懸念されますが、療養期間、待機期間の短縮で対応が進みつつあります。小児の感染拡大や職員の感染により、学校休校、保育所休業などによる教育機会の低下、保護者が家庭で子供を見なければいけないことによる社会機能の低下があります。感染者、濃厚接触者の急増による保健所機能の低下、崩壊が懸念されております。まず、蔓延防止策でございますが、感染の場所が移り変わってきているため、感染リスクに応じた対応が必要と考えます。家族以外との飲食を避けること、大人数での集まり、大声、混雑を避ける。職場では、テレワークを再度徹底していただき、職場での接触を減らすために、社内の会議もリモートを活用することが重要と考えます。学校、保育園などにおける感染対策と教育の機会と社会機能維持について、小児の感染が社会全体の流行拡大の主要な拡大要因にはなっていないと我々専門家の間で議論はしております。学校、保育園などの休校、休所は最小限にすべきですが、その基準も明確にしておく必要があると考えております。学校、幼稚園、保育所などは、学びの場所であると同時に、保護者が就労などの社会活動を継続するための預かりの場の機能もございます。こうした場での感染を防ぎ、休校、休園を最小限にするため、感染対策の徹底、感染リスクの高いプログラムを中止していただくこと、分散登校、リモート授業などを更に活用、教師、保育士など周りの大人へのワクチンの接種の前倒しをお願いしたいと考えます。高齢者など重症化リスクの高い人たちを守ることが必要でありまして、介護福祉施設における感染が増加しております。施設での感染者が出た場合には、地域による感染管理や医療の支援が重要です。そうした施設の従事者の定期検査、高齢者の三回目ワクチン前倒しの加速をお願いしたいと考えております。医療提供体制では、年齢、基礎疾患、ワクチン接種歴などが重症化の見極めに非常に重要です。最近のデータでも、高齢者でワクチン未接種者はオミクロン株でも重症化リスクがあると考えられます。リスクの低い軽症者には効率的な対応、自己検査、自己管理、フォローアップなど、ただ、必ず医療につながることが必要です。重症化リスクのある陽性者はしっかり医療の監視下に置き、地域医療のサポートなどが必要です。また、救急搬送困難事案が増加しております。この時期は例年でも通常医療、救急が逼迫しております。柔軟な病床運用が必要と考えております。通常医療が必要な方、例えば心筋梗塞、外傷、虫垂炎などで緊急検査、治療、手術など、が入院できる体制を維持することが必要と考えます。保健所の体制ですが、保健所は、検査の陽性者について、医療機関からの発生届を確認し、本人に連絡して就労制限や勧告を行い、疫学調査を実施して濃厚接触者を特定、また、本人の療養方針を決定して入院、宿泊療養、自宅療養を決め、自宅療養者のフォローアップをする、最後に療養解除をする、一連の手続で様々な書類の発行や患者のサポートを行っております。しかし、感染者の爆発的な急増で保健所の対応は危機的な状況であります。保健所長会からの提言や専門家有志の提言でもその対応が出ております。重症化リスクのある患者を見逃さないような対応が必要と考えております。予防接種におきましては、三回目の接種が始まり、二月三日には、一日の三回目の接種回数が五十万件を超えました。まだオミクロン株の流行拡大が続いておりまして、たとえ流行のピークを越えても高齢者の感染がしばらく続くことから、感染予防と重症化予防のため、三回目接種を更に進めることが重要と考えております。新型コロナワクチンの効果についてですが、初回シリーズから時間がたつと、ワクチンによってつくられた抗体の量は下がっていきますが、逆に抗体の質については高まることが分かっています。つまり、より幅広い変異株に対応できる抗体ができるようになります。しかし、抗体の量自体は減っていきますので、三回目の接種をすることにより、質の高い抗体をたくさんつくることが可能になり、変異株に対応できる抗体がたくさんつくられます。変異株対策のためにも、三回目の接種を進めることが重要と考えております。今後更に四回目の接種が必要なのか、また実施するならどの程度の間隔でに関してはまだエビデンスが十分ございません。サーベイランスについてですが、流行状況の把握と評価のため、全数把握を継続することが必要と考えております。しかし、オミクロン株の感染拡大による感染者急増により保健所機能が逼迫し、これまでと同レベルで全数の把握というのは非常に困難になっております。流行対策上、感染者数とその状況の把握は重要です。様々な対策でサーベイランスの継続が必要と考えております。今後の見通しですが、ウイルスが進化を続けております。オミクロン株の祖先がアルファでもデルタでもない。インフルエンザと異なって、まだその進化が連続的には起こっていない、起こっているとは言えません。季節性もまだ明らかではありません。どんな変異株が次に出現するかの予想は困難ですが、人と動物で新型コロナウイルスの感染が継続する限り、新しい変異株が出現する可能性がございます。その際、新たな変異株が感染拡大するとすれば、これまでに自然感染やワクチンによって獲得された免疫を乗り越えてくる可能性があります。しかし、新たな変異株の病原性について予測することも難しいところです。オミクロン株のように上気道感染が主体となることで感染力を高め肺炎を起こす割合が減るという方向性が維持されるのか、それとも全く別の方向性になるのか、今後もサーベイランスによるモニタリングを継続し、ワクチン、治療薬の開発を継続することが重要と考えております。研究開発についてですが、感染性の高い変異株が突然出現して流行拡大しているといったサイクルを繰り返している間は、地域流行への移行を見通すのはまだ難しい状況です。ただ、この状況から抜け出すためには、軽症者も広く使用できる新規治療薬が使用可能となることが重要と考えております。早期治療で重症化リスクを軽減できることが広く認知できることが重要と考えます。現在、臨床開発中の薬剤の有効性が早期に確認をされることを願っております。今後のコロナ対策ですが、新たな感染症対策には研究開発が重要です。ワクチン研究開発のファンディング機能の強化、ワクチン研究開発拠点の形成、創薬ベンチャーの育成などの予算化には大変感謝をしております。その際、対象となる感染症の選定や研究開発のマネジメントといった司令塔機能が重要です。そこには是非、科学者のレビューが必要です。例えば、専門家によるアドバイザリーボードのようなものの設置を検討していただきたいと考えます。我が国あるいは近隣のアジア地域において、重要な感染症を疫学的に調査し、選定をし、その感染症の特性に基づき、どのようなワクチンが必要なのかを検討するステップを置いていただきたいと考えます。また、課題進捗管理においても、科学者による科学的な目利きが重要と思います。また、層が薄いと言われる感染症領域の研究者育成も重要です。大学院生、ポスドク、大学のポストを増やすのには限界がありますが、関連をするベンチャー企業育成によって、ベンチャーあるいは製薬企業で、若い企業が、雇用され、活躍できる場が広がると考えます。この領域で研究していくことで将来にわたり活躍できることが見えることが、研究者を育てることに重要と思います。最後に、感染研の機能強化についてですが、感染研の役割は、感染症の発生防止、予防及び新たな感染症の発生に関する研究を通して、我が国の感染症対策に役立つことでございます。感染研の機能は大きく三つございます。一つ目が感染症に関する基礎的な研究、二つ目は予防ワクチンなどの品質保証、三つ目が感染症の実態把握のためのサーベイランス、感染症危機対応などでございます。 感染研は、その歴史的な背景などから、最初の二つの機能に重点がありました。今回の新型コロナウイルス流行においては、三番目の感染症疫学及び公衆衛生機能が非常に重要です。また、ワクチンや抗ウイルス薬の研究開発も非常に重要でございます。既に、予算、定員の増強がございました。機能強化を図っておりますが、日本全体の研究能力を底上げするために、感染研は、地方衛生研究所と連携して、日本の感染症対応力を強化するということが必要と考えております。このため、地方衛生研究所の強化が重要でありまして、その地衛研の設置についての法的な位置づけの明確化を是非お願いしたいと考えております。また、大学、企業とも連携をして、感染症に関する研究能力の底上げが必要と考えておりますので、是非サポートをお願いしたいと考えております。私からは以上になります。ありがとうございました。(拍手)
○根本委員長 ありがとうございました。次に、村上参考人にお願いいたします。
○村上参考人 連合副事務局長の村上と申します。本日は、意見表明の機会をいただき、ありがとうございます。働く者の立場から、雇用保険の問題を中心に、幾つかの点について意見を述べます。まず、雇用保険財政についてです。御案内のとおり、雇用保険制度は、労使折半の保険料と国庫負担を財源として政府が運営しています。このうち、雇用調整助成金などが含まれる雇用保険二事業については、使用者負担の保険料のみで運営されています。この働く私たちにとって重要なセーフティーネットである雇用保険制度の財政について要望を述べます。一点目は、労働者の雇用のセーフティーネットを安定的に運営するための財源の確実な確保です。御承知のとおり、新型コロナウイルス感染症の度重なる拡大は、様々な業種に大きな影響を与えています。特に交通、運輸、観光、サービス、飲食を始めとした業種を中心に、経済活動が縮減し、多くの労働者が休業を余儀なくされました。当初は、リーマン・ショック時を上回る失業者の発生も想定されていましたが、雇用保険制度が大きな役割を果たし、雇用調整助成金の特例措置や、在籍型出向を通じた雇用維持を支援する産業雇用安定助成金などにより、失業者数が抑えられてきました。しかし、雇用保険財政に目を向けると、提出資料三ページ目のとおり、失業等給付の令和四年度予算案においては、支出が収入を上回っており、さらに雇用保険二事業への貸出しも行われるため、令和三年度末に約一兆三千百億円あった積立金はほぼゼロに近い残高となる見通しです。また、雇用保険二事業の令和四年度予算は、現下の新型コロナウイルス感染症の再拡大を踏まえれば、今後も雇用調整助成金や産業雇用安定助成金が担うべき役割は依然として大きく、年度途中で枯渇することは必至です。コロナ禍の影響を受ける労働者が安心して就労できるよう、まずは雇用調整助成金や産業雇用安定助成金などに当面必要な予算措置を講じることが必要不可欠です。また、今後の感染症の拡大による雇用への影響に対応すべく、失業等給付の積立金や雇用保険二事業の雇用安定資金を十分確保しておく必要があります。政府においては、補正予算の編成や予備費の充当を通じた一般会計から労働保険特別会計への更なる繰入れなど、状況に応じた機動的な財政措置をお願いいたします。加えて、育児休業給付についても、早ければ令和六年度に積立金が不足する見通しとなっており、子ども・子育ての支援制度として位置づけ、雇用保険会計によらず、政府の責任により一般会計で実施することなど、制度の在り方について早期に検討を開始していただくようお願いいたします。次に、失業等給付の国庫負担の見直しについてです。この見直しは、厳しい雇用保険の財政状況下で、雇用情勢等に応じて異なる国庫負担割合を適用するとともに、別途国庫から機動的に繰入可能な仕組みを導入するというものです。これらを含む雇用保険法等改正法案が今通常国会に提出されています。失業等給付の国庫負担割合は、提出資料四ページのとおり、本来は四分の一、二五%とされているところ、暫定的な引下げ措置によって、四十分の一、二・五%が適用されています。過去の衆参の厚生労働委員会の附帯決議においては、国庫負担には政府の雇用政策に対する責任を明確にする意義があるという政府の認識の下、早期に安定財源を確保し、四分の一に戻すこと、時限的な引下げ措置は令和三年度までに厳に限ることとされてきました。そうした経緯も踏まえ、労働政策審議会においては、労使から四分の一に戻すべきであるという意見が挙げられていましたが、政府の案は、雇用情勢及び雇用保険の財政状況が悪化している場合にのみ四分の一とし、それ以外の場合には四十分の一とするというものでした。また、国庫繰入制度については、国庫繰入れの機動性と実効性が担保されているとは言えず、適切な時期に適切な内容の財政措置がなされるか、懸念があります。政府による政策のかじ取りが労働者の雇用に大きく影響する今のような状況だからこそ、本来の国庫負担割合である四分の一とすべきではないでしょうか。コロナ禍からの回復の兆しが出てきていた中で、新たな変異株の出現などによる感染再拡大が雇用に及ぼす影響は不透明です。現場からは、雇用調整助成金の特例措置が本当に重要だという切実な声も寄せられています。雇用のセーフティーネットである雇用保険が将来にわたる安定的な運営を求められていることを踏まえれば、国庫負担割合を従来の四分の一に戻すことも含めた財政基盤の確立を求めたいと思います。次に、保育所、学校等において感染が拡大していることを踏まえた対応についてです。保育所の休園や学校の休校等に際して、保護者が仕事を休むことのできる機運の醸成と、小学校休業等対応助成金・支援ど、労働者を支える制度の周知と支援の強化が必要です。また、国民が安心して暮らし、社会経済活動を行えるようにするためには、ワクチン接種の体制確保、とりわけ、いわゆるエッセンシャルワーカーに対する優先的な接種体制の速やかな構築を求めます。同時に、それぞれの事業所内で感染検査ができるよう、検査体制の整備に向けた事業所への支援強化や、検査キットの安定確保について、医療現場への安定供給と併せて求めます。加えて、変異株の特性や、それに応じた感染予防策、ワクチンの副反応情報など、国民への正確な情報提供を行うとともに、ワクチン接種の有無による差別、偏見が起きないよう、改めて啓発の徹底を求めます。最後に、提出資料五ページ目のとおり、コロナ禍の最前線で働く医療、介護、福祉等の労働者は、全産業平均に比べて賃金水準が低い状況にあります。今回、政府がこの分野の賃金改善を行うこととしたことは評価いたします。人材確保が困難なこれらの分野での安定的なサービスの提供のためには、働きに見合った抜本的かつ継続的な賃金の改善が重要です。補正予算により先行実施される補助金による処遇改善措置では、対象とならない医療機関や事業所、職種があります。全ての従事者を対象に、継続的な処遇改善が行われる施策を講じていくことが必要です。また、労働組合のない職場も多い分野でありますので、国と地方自治体との連携で、事業所等への積極的な働きかけとサポートを行っていただき、実効性ある施策にすることが重要と考えております。以上、御清聴ありがとうございました。(拍手)
○根本委員長 ありがとうございました。次に、河野参考人にお願いいたします。
○河野参考人 アカデミアの立場から、次のパンデミックも見据えて、長崎大学学長河野ですけれども、お話をさせていただきます。資料の一ページを御覧ください。オミクロンは軽いから大丈夫というのは間違いであります。木を見て森を見ず。下のデータは長崎県の入院患者ですけれども、高齢者介護施設のクラスターにより、病床はこのように急増し、逼迫いたしております。次の二ページを御覧ください。二年前、二月に横浜でダイヤモンド・プリンセスのクラスターが起こりました。その一、二か月後に、長崎では、クルーズ船のコスタ・アトランチカ号のクラスターが起こっております。当時はまだまだ、何がどうすべきか分からないままに、県、国の協力を得まして、長崎大学は、学長の迅速な意思決定構築を形成し、豊富な人材を適材適所に用いて、当時ではまだ遺伝子診断が非常に難しかった時期に、三、四日で六百二十数名を本学が開発したLAMP法を用いて検査いたしました。同時に、咽頭拭い液はサンプリングが大変難しいので、唾液サンプルの有用性も検討させていただきました。乗員等の診療ですけれども、これは、秋野公造議員を経て自衛隊から調達しましたCT診断車を活用し、船外において、埠頭本部を構築しまして、乗組員の感染対策指導、トリアージを行い、さらに、スマホを利用した健康管理アプリを開発して、感染防止拡大等に当たっております。DMATや帰国支援、国、県、市などとの連携により、「死者ゼロの真相」で、ここにこの経緯を示しておりますけれども、一旦は、このときは鎮圧いたしました。次の三ページを御覧ください。この二年間で感じたことですけれども、今後、日本を感染症の脅威から守るため、現在のこの最大のピンチをチャンスに変える必要があります。この波を乗り越えたから終わりという短絡的な思考では極めて厳しく、感染症のパンデミックは国防という観点からの危機管理が試されております。パンデミックを含めた感染症の迅速な情報収集、解析、対応作成は国防の要であります。国立感染症研究所だけでは難しく、現行の保健所体制も脆弱であり、全国からの疫学情報を管理する組織、地方ブランチも含めた新設、そして、保健所機能を抜本的に見直し、拡充するということが必要です。また、今、抗原検査が逼迫しておりますけれども、有事の際の診断検査体制の構築、研究機関、企業、アカデミアの協働体制、さらには、予防のためのワクチン、例えばインフルエンザのときのような定期的なワクチンや経口薬、こういったものの治験の迅速な遂行体制の整備、諸外国に負けないためのこういった治験体制をつくるということ、さらには、支援体制、DMAT、DPAT、自衛隊などに感染対策の専門医が少ないということで、パンデミック対応感染制御チームの設立ということも重要かと思います。次のページを御覧ください。医療ですけれども、現在のように、高齢者介護施設クラスターによって病床は逼迫しております。そして、自宅療養者の死亡の発生ということで、これではいけません。全ての病院で診療できる体制の整備というのが必要であります。そのためには、人材育成、そして、全病院、施設に感染制御チームの設置の義務化、こういったことが必要かと思います。そして、今のように、大量の感染者の評価と層別化、このために保健所は逼迫しておりますし、医療機関の負担も偏在化しております。したがって、保健所機能の拡張と開業医も含む全ての医療機関の役割分担の明確化、医師会、病院、アカデミア、行政、オンラインの促進も含めて対応すべきだと思います。そして、新しい薬、この治験のプロセス、完全に今海外の開発に頼っていますけれども、やはり、パンデミックのときには、診療と治験を同時進行するのは極めて困難であります。人的、物的支援が必須で、やはり、例えば、軽症で、外来でオンラインを利用した治験ができるとか、重症は、レムデシビルを早期導入したときのように、国産治験薬の早期承認の仕組みの導入など、やはり企業にインセンティブを持たせる必要があろうかと思います。次の五ページを御覧ください。この五ページの下の方に、今はウイルスですけれども、ウイルス感染症でなく、薬剤耐性菌が大きな問題になる可能性もあります。実は、この上に書いてありますように、数年前には、日常診療にも必要な抗生物質が供給停止されました。これは、ジェネリック促進、薬価引下げで企業が国内生産を減らして、海外に拠点を移し、海外で問題が発生したために自国で生産ができないということで、感染症対策は国防であるという意識の欠如が明らかになったと考えております。次の六ページを御覧ください。今、様々なワクチンに対して様々な意見があります。感染症からしますと、予防にはワクチンは基本であります。こういったワクチン接種に対する正しい知識が欠如しているということから、やはりこれは、初等教育から感染症の予防や制御の基本的な教育、したがって、幼児期から高等教育までのシームレスな教育ということで、高等教育においては、恒常的に感染症診療に強い専門医を育てる仕組みとしまして、学部段階から専門医を目指す感染症専門医枠の設置、また、主要な病院に専門医を育成するための恒常的組織の設置ということが必要かと思います。そして、今回、やはり理論疫学の専門家と、行政、専門家を橋渡しする、政策実行できる人材養成組織も必要であります。人への投資というのが極めて重要であります。次のページを御覧ください。七ページですけれども、本学では、こういった人材、為政者、専門家とアカデミアを橋渡しする、学術的エビデンスを効率的に政策に落とし込むことのできる人材養成ということで、博士レベルの公衆衛生人材養成ということで、この十月から、長崎大学プラネタリーヘルス学環を設置し、ドクター・オブ・パブリックヘルスを与えるように、熱帯医学、ロンドン大学、国立国際医療研究センターなど国内外の研究、教育施設と連携して、しっかりこういった人材を育てようと考えております。次ページを御覧ください。研究ですけれども、やはり未知の微生物、今ない微生物に対応できるようなBSL4など、平時の先端的基礎生命科学と臨床研究、これを推進するためには、やはり、国による十分な研究費の継続的で安定的支援が不可欠であります。それと、制圧ツールの実用化に向けて、産官学の連携の研究プラットフォームを構築ということが非常に必要かと思います。また、パンデミックに瞬時に対応できる体制、平時における研究者間の連携、グローバルネットワーク、基礎研究を迅速に臨床できるシステム構築、また、数理モデルを用いた予測、こういったものをしっかり研究する必要があろうかと考えております。次の九ページを御覧ください。パンデミックが次に国内に侵入すれば、やはり、公衆衛生と医療システムのすり合わせ、ここは極めて重要であります。ウイルスなど微生物に対応することも重要ですけれども、やはり、何といっても、今回分かったことは、人、人への投資が極めて重要であります。したがって、医療、国を守るという観点からの危機管理、保健所機能の強化。教育は、初等教育から大学院、臨床現場までの感染症教育、感染症専門医、公衆衛生専門家の養成。研究は、アカデミア創薬を可能にする仕組みと安定的予算の確保ということを是非お願いできればと思っております。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○根本委員長 ありがとうございました。次に、瀬戸参考人にお願いいたします。
○瀬戸参考人 よろしくお願いします。一般社団法人反貧困ネットワークの瀬戸といいます。今日も、これが終わったら、現場の方の駆けつけ支援が入っています。今日の資料の中で、二ページ以降のところに、二ページの下段の方から駆けつけ支援の活動紹介というのが出ています。二〇二〇年の四月以降、ずっとこの二年間、現場の方から、駅だとかネットカフェだとかいろんな場所からSOSがあって、駆けつけをしています。駆けつけしているというのはどういうことかというと、所持金がもう百円もない、冒頭に書いていますけれども、もうこのままでいくと死んでしまう、そういう状況のSOSが各地から入ってきます。そういう状況の中で、僕ら自身が、反貧困ネットワークを含めて緊急アクションという団体をつくって、この二年間、ずっと支援活動をしてきました。この間の報道、出ているように、年末年始の相談会、いろんなところで炊き出しを行いました。ずっと、毎回毎回、五百人以上の人たちが並んでいて、コロナ感染の就職における影響、それと、それ以前からあった貧困問題について、このコロナの関係で要するに底が抜ける、その状態が続いています。まさに野戦病院の状態です。三ページに出ているように、今の具体的な、社協とか福祉事務所のところで緊急対応の貸付けができない、そういう状況の中で、我々自身、民間のところで基金をつくって、一億五千万、本当に市民からカンパをいただいて、具体的な直接支援としては、約八千万を使って、この間、二千九百人の具体的な直接支援を行ってきました。その中で、具体的に、資料に出てきますけれども、僕らのSOSの中で、八三%が、家がないか、家がなくてネットカフェに泊まっている。その合計で、八三%の人たちが実際の家がないわけです。そういう人たちに対して具体的な緊急の支援を行って、数日後に、例えば生活保護の申請の同行を行って、アパートの転宅を行って、その後の就労支援のフォローを行う、そういう実情です。その中で見えてくるのは、一点目は、冒頭のところの2、居住貧困の問題ですね。この問題が非常にやはり今の社会の中で大きな問題だということで、なぜこれだけ多くの人たちが、若者たちが家がないのかということですね。このデータに出ていますけれども、東京都の二〇一七年のネットカフェ難民調査、ネットカフェの住人の調査というところで、六二・八%の人たちが、具体的に、アパートを借りる初期費用がないと。ということは、本当に最初から非正規や派遣の仕事しかなくて、そもそもお金を貯蓄することはできない、そういう実情に今あるんだということです。そのことが今でも進行しているんだということです。それともう一つは、そういう意味で、公的な、住居確保給付金についても、やはり継続的な制度としてしっかり捉えていただきたい。今日、これは文書に入っていませんけれども、全国の中で、公営住宅で、六十歳未満、単身の人たちが入居できない、東京都の場合、入居できないんですね。そういうような公的住宅の活用も是非お願いしたいということです。それと、この間、国会でも話題になりましたけれども、扶養照会については非常に改善がされて、厚労省の方から通知が出ていますけれども、相変わらず福祉事務所のところでは追い返しがやはり頻発をしています。今日、実は、僕は一時半から、ある都内の区の生活保護の同行に入っていますけれども、僕らの支援団体が生活保護の同行に行かないと、普通に、若いんだから、あなたは働けるんだからということで追い返しが頻発をしています。いつまで僕ら自身が同行をずっと続けるんでしょうか。その関係で、例えば、相談しても追い返されるということで、この間、いろんな犯罪も起きているし、出ていますけれども、横浜市のあるお母さん、シングルマザーのお母さんでいうと、生活保護の申請の受理がされて決定まで四十日かかっている。そうしたときに、もうガス、水道、電気も全く払えない、そういう事態も起きています。そういう問題も含めて、是非、国会議員の皆さんについては認識をしていただきたいというふうに思っています。それと、年末年始の相談会からずっと継続して、この間、五百人以上来ています。非常に、女性の、子供を抱えている女性が並んでいます。先週の新宿都庁下の新宿ごはんプラスの相談会では、七十二名の女性が並んでいました。そうしたときに、相談ブースについては増えていないんですね。とにかく食料が欲しい。昨日、ニュースで、カップヌードルが二百十円になる。そうしたときに、生活保護の金額は変わらない。この間、切下げが入っていますからね。だけれども、どんどんどんどん物価が今上がっている。そうしたときに、本当に今の生活保護の金額で暮らしていけるのか。本当に、これについては、予算の中で生活保護費の特別加算をやはり検討していかないと、ますます一番つらい立場にいる人たちが苦しんでいくというふうに考えています。それと、求職者支援制度ですね。この間、公明党さんなんかも含めて、非常に頑張っていただいて、要件緩和がされています。ただ、僕ら現場でいうと、支援してきた人たちが、具体的に、アパート入居します。だけれども、ほとんどやはり仕事がないんですね。そうしたときに、例えば仕事の、職種の範囲拡大とか、具体的な弾力的運用の中で、より使える制度にしていただきたいなということがあります。それと、オミクロンの、今回、この間の傾向の中で、僕らは、駆けつけ支援だけじゃなくて、実は、食料品の配達も行かざるを得ない状態になっています。僕自身も行っているんですね。この間の報道でいうと、保健所からの置き配、食料がやはり届いていません。本当に大変な状態になっています。それで、やはり五日たっても届かない、その中で生活困窮だと。やっと僕は来週その方と、東京の北区かな、そこで申請同行に行きますけれども、その間、民間の支援団体のところで食料を運んでいる、そういう事態があります。僕は練馬ですけれども、練馬のあったかフードバンクのメンバーでいうと、もう自転車で今走り回って、そういうような経済的に厳しい家庭で感染の疑いがあるという家庭に民間が回っている状態です。是非、それについて、ルートの問題ですね。本当に保健所だけでいいのか、バックアップセンターだけでいいのかという問題も含めて、検討をお願いしたい。それともう一つは、家がない人たちに対しての、やはりホテル療養とか、保険証を持たない、持っていない、所持金がない人たちについても、ちゃんとしたそういうような医療が受けられるような形にしていただきたいなというふうに思います。最後に、外国人の問題です。実は、僕らのシェルターに多くの外国人がいます。コロナ感染で、入管にいる在留資格が持てない外国人の人たちが多く外に出て、約六千人の仮放免の人たちが実は地域に来ます。そうしたときに、地域に出ていっても、具体的に、住む家もない、働くことも許されない、医療も受けるべき人たちができない。そういう人たちに対して、我々民間の支援団体が、実は、我々の基金の七割は外国人に使わざるを得ないという事態になっています。具体的に言うと、我々のシェルターのところで住居を提供して、生活費を実は提供しています。提供するしかないんです。それと、具体的に、入管に長く入っていますから、非常に体調が悪い。そうしたときに、僕らのところで具体的にお金を出して病院に連れていく。今日は、入管行政の話をするところじゃありませんから、それは触れませんけれども、具体的に、やはり生きているわけですよ、その人たちは。最低限のやはり生存については守っていただきたい。なぜ我々支援団体が医療費を出すんでしょうか。今、大村入管でネパールの方が、具体的に、足が壊死状態でいます。仮放免でいいから出してくれと言っています。でも、出してくれません。我々は、出していただいて、取りあえず、とにかく緊急対応なので、民間のところでお金を集めて、この壊死の問題については、手術とか、そういう問題についても費用を出すから出してくれという話をしています。そういうようなやはり切迫した状態を、是非、国会議員の皆さんについても認識をしていただきたい。僕は、この間ずっと現場に行っているんですね。今日、これからも同行があって、夕方、もう上野からSOSが来ているので行くんですけれども、本当に是非、国会議員の皆さん、今日、岸田総理はいませんけれども、やはり現場のところで当事者の話を聞いてほしいと思います。どんな状態で、本当に、お母さんたちがガス、水道を止められて、そういう状況で厳しい思いをしているのか。そのことについて応えていただくのは、公助としてのやはり国会の役割だと思います。その辺、是非よろしくお願いしたいと思います。以上です。(拍手)
○根本委員長 ありがとうございました。以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
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○根本委員長 これより参考人に対する質疑を行います。質疑の申出がありますので、順次これを許します。松本尚君。
○松本(尚)委員 自由民主党の松本尚でございます。よろしくお願いいたします。まず、脇田先生に質問したいと思います。私は、昨年までは千葉県庁でコロナ対策の陣頭指揮を災害医療コーディネーターとして執っておりました。今週、千葉県の医療調整本部とか、前に仕事をしておりました救命センターに確認をしましたところ、この第六波というのは第一波とか三波とかと大体同じ医療負荷がかかっている、すなわち、入院患者のほとんどは高齢者だったり、ハイリスクのある患者さんだったり、既往歴の患者さんだったりしていると。一方で、第五波というのは、中壮年層の方々の肺炎が非常に多く見られていたと思います、三十から五十歳代ぐらいの。通常、診療しておりますと、この世代、ふだんは肺炎にならないというのは先生も御存じだと思います。そういった意味では、一番注意すべきなのはこの年代層だというふうに私は考えておりまして、昨年の十二月の産経新聞の「正論」なんかでも、そこは、この世代の肺炎の発生率をしっかりモニタリングしろというふうに主張していたんですけれども、思ったとおり、第五波ではそれが現実となりまして、たくさんそういった世代の方々が亡くなったということがありました。今回の第六波は、全然それが違うということであります。 そこで、質問なんですけれども、今回、今第六波で認められている肺炎、重症肺炎の患者さん、デルタが多いんですか、それともオミクロンが多いんですか、いかがでしょうか。
○脇田参考人 お答えいたします。現在、第六波での肺炎というのは、委員がお尋ねのとおり、高齢者あるいは基礎疾患のある方ということで、第五波のときの中壮年の、いわゆる三十代から五十代のウイルス性の肺炎とはかなり異なる様相だと伺っております。つまり、デルタ株による肺炎というのは、びまん性の、すりガラス状の肺炎ということを呈するということは委員御承知のとおりだと思いますけれども、第六波におけるオミクロン株の肺炎というのは下気道への炎症が少ないという特徴があり、むしろ、いわゆるインフルエンザに合併するような細菌性肺炎であったり、ウイルス性の肺炎は比較的軽症なものが多いという状況でございます。
○松本(尚)委員 ありがとうございます。そういう意味では、全く違う肺炎が出ているというふうに認識すればよろしいというふうに理解したいと思います。第三波でも経験したんですけれども、まず感染症というのは必ず若者が出て、それからピークアウトした頃に次の世代、例えば三十、四十代、五十代、六十代というふうに広がっているのは、もう我々は何度かこの波で経験していると思うんですね。今回も同じようなところで、最終的にはお年寄りのところに行くんだということはもう分かっていたはずですし、現状、今介護福祉施設なんかが一番ひどい目に遭っているということで、それももう分かっていたはずなんですね。そうすると、じゃ、何をすればよかったかという話になりますけれども、例えば、そういった介護福祉施設とか、あるいはそこが集中しているような東京それから大阪といった人口の密集地の介護福祉施設といったようなところプラスその職員さん、そういったところから集中的に三回目のワクチン接種というのはやればよかったんじゃないかというふうに、私なんかはそんなふうに思っているんですけれども、その辺の先生の御見解を伺いたいなと思います。
○脇田参考人 委員御指摘のとおり、この流行の波というのが、やはり今回もそうでしたが、年末年始、会食の機会を通して若者世代に広がる、それから、家庭、学校、職場、そして介護施設、医療施設というところへ感染拡大をしていくということで、そこはもうおっしゃるとおりだと思います。我々としても、やはり、今回のいわゆる第六波の感染拡大において、高齢者のワクチン接種というものを進めるべきだということは当然のことだと思いますけれども、それだけではなくて、介護施設における従事者の定期的な検査であったり、あるいは、もし感染が起きた場合の感染管理あるいは医療のサポートというものは、地域医療であったり地域の自治体からのサポートを行っていくということで、やはり介護施設というものを今回の新型コロナの感染で守っていくということは非常に重要な点だと、そこは思っております。
○松本(尚)委員 私が質問したかったのは、そういう意味では、全国一斉に平等にワクチン接種を進めるんじゃなくて、ターゲットを絞ってワクチン接種を進めるというような方法というのは僕はあるかなと、ある意味、全国一斉というのは悪平等ではないかというふうにも思うんですけれども、その辺りは、例えばアドバイザリーボードの中でそういった議論はあったかどうかお聞きしたいんですけれども。
○脇田参考人 もちろん、やはりリスクベースということがありますので、特にこの疾患は高齢者、それから基礎疾患のある方が致死率、重症化率が高いということですから、そういった方を対象に優先的に接種を進めるということが大前提だと思っています。その中でも、やはり介護施設、それから医療施設、医療従事者が最優先とは思いますけれども、さらに、介護施設ではクラスターが起きますとかなりインパクトが大きくなりますので、そういったところが優先されるべきだということは、アドバイザリーボードでもかなり議論があったところです。
○松本(尚)委員 ありがとうございます。医師から政治家になってみると、どうしても平等平等になってしまうんですね。でも、やはり戦略的にワクチン接種というのは僕は必要だというふうにずっと思っていたので、それって言えるのって、逆に言うと、医師しか言えないようなところもなくはないので、是非、そういった戦略的な対策というのはやはり医師の立場からがんがん押していっていただきたいなというふうに思うわけであります。ちょっと、出口のお話をさせてください。アドバイザリーボードはすごく、専門家集団として細かいデータを出されていらっしゃいますけれども、一方で、将来予測、ここで言う将来予測というのは、もっと全体を俯瞰的に見て、目の前の対応だけではなくて、この先どうなっていくかということの将来予測ですけれども、そういったような視点でいくと、一月二十一日にアドバイザリーボードが、オミクロン株の特徴を踏まえた効果的な対策は、オミクロン株はデルタ株を始めとしたこれまでの新型コロナウイルス感染症とは異なる感染症と考えるべきであるというふうにあります。それについて、先生、もうちょっとそこは細かくお話をいただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○脇田参考人 御質問ありがとうございます。オミクロン株というのは、これまでの変異株、特にデルタ株と大きく違うと考えております。これは、感染力が、感染伝播力が非常に強い、そして、世代時間といいますけれども、ある人が感染をして、その次、二次感染者に感染させるまでの時間も非常に短いということで、感染力と世代時間が短いということで、非常にスピードが速く感染をしてまいります。もう一つの特徴は、比較的重症化率が低いということでありまして、これは特に若い世代で、あるいはワクチンを接種している方で重症化率が低いという特徴がございます。ですので、非常に軽症者が多くなるということが一方であり、重症化率は低いわけですけれども、感染者が多くなりますとやはり重症者も出てくる、特に高齢者、それからワクチン未接種の方がそういった重症化のリスクがあるということになります。それから、それに加えて、今ちまたでも言われていますように、かなり感染者、それから濃厚接触者が増えてきますから、もうこれは諸外国でも分かっていたことですけれども、社会機能の維持に必要なエッセンシャルワーカー、医療機関を代表とするエッセンシャルワーカーが就業ができなくなるということで、社会機能の維持というものが難しくなるような疾患であるということで、これまでのデルタ株までの対応とはかなり違う対応が必要だ、そういう意味で我々は議論をしております。
○松本(尚)委員 ありがとうございます。二月二日にアドバイザリーボードが、流行拡大期において保健医療体制の確保を図るための感染症法の措置の柔軟な適用について提言をされています。この提言の中で、今後のウイルス変異の予測は現時点で困難で、病原性、感染性が再度高まる可能性は否定できません、感染症法において、新型インフルエンザ等感染症として現在使用されている措置を直ちに解除することは慎重であるべきだというふうに言っています。先ほど、違うものだと考えましょうというふうに言っているんですけれども、一方で、まだまだ慎重ですというふうな書きぶりになっている。先ほど先生の意見陳述でもございましたし、私も医師として、やはりこういう書きぶりはしようがないなというふうに思うところで、理解はできるんですけれども、逆に、国民の視点でいうと、じゃ、一体いつになったら元に戻るんだろうというふうな意見というのは、やはりちまたで物すごくたくさん出ていると思うんですね。そういう意味では、そろそろちゃんと出口の議論というのを私はしなきゃいけないんじゃないか、それはある意味必要なことだというふうには思って、ずっとそれは、早く出口の議論をやろうよやろうよといろいろなところで言っていたんですけれども。そろそろ、このオミクロン株を違うものだというふうに考えるのであれば、今が一番いい契機だというふうに思うんですけれども、そうなったときにどういった見通しとかがあるんだろうということを、なかなか、先生、ここでお話しされるのは難しいのはもう百も承知なんですけれども、あえて聞きたいなと思うんですが、いかがでしょうか。
○脇田参考人 大変難しい御質問だと思いますけれども、ただ、オミクロン株というものの特徴を踏まえて、そういった今後の見通しというものも一つ考えるきっかけになると我々も考えています。これは、先ほども、若者から感染拡大が始まり、そして小児、あるいは高齢者に感染が広がっていくという特徴があるというふうに申し上げましたけれども、例えば、じゃ、今の感染流行の状況がどうなのか、感染の中心はどこにあるのかということで、必要な対策、これまで飲食店の様々な時短要請であったりということをお願いをしてきた、だけれども、そこをいつまで続ければいいのか。それから、これから先は、やはり高齢者施設であったり、あるいは小学校や保育園といったところの感染対策というものに軸足を移していく時期ではないか。あるいは、移動の制限とかもいろいろ議論をされていますけれども、そういったところでも、家族で旅行をしてその先でリスクの高い行動はしないというようなことは、ある程度これから許容をしていくような、そういったこともあるでしょうし。ですから、リスクに応じた我々は対策というものを取りながら、生活を元に戻していくということを考える時期にあるんだというふうに思っております。
○松本(尚)委員 ありがとうございます。なかなか言うのは難しいと思うんですけれども、僕は、これは先回りして、早め早めにインフォメーションする。もしかしたら間違いが起こるかもしれないとはもちろん思うんですけれども、早め早めにきちんとインフォメーションをするということで、僕は、国民の皆さんは理解をしてくれる。たとえそれが結果的に間違ったとしても、きちんとインフォメーションして早めに教えてあげる、見通しを示していくということが僕は大事かなと思っていて、今、同じ医師の立場から見ても、何か失敗をしないようにしないようにというような、そういう守りに入っているところがすごくあるかなとどうしても思ってしまうんですね。先生のお立場からするとそれは非常に大変なことだろうとは思うんですけれども、やはり、早めにいろいろな見通しをインフォメーションしていく、こうなったらこうなるよというような、アルゴリズムではないですけれども、そういったものを国民の皆さんに示すということが僕は大事なのかなと。でないと、何か、世の中みんな、梅雨明けになっちゃって、海に行こうぜ、海に行こうぜと言っているのに、梅雨明け宣言はいつしようかという議論をしているような、そういう事態になってしまうような気がするというのは余りみっともいい感じじゃないなというふうにいつも思っているんですけれども、是非その辺の御検討をお願いしたいなと思います。河野先生に一点だけ、ちょっとお話を伺いたいと思います。先生の出された資料の中の四ページ目に、治験プロセスが遅延しているというのがございました。今回の国会でも、薬機法で緊急にもっと早く薬剤承認をしようというような改正案も出されるところでありますけれども、私は、そういう、早く承認しようという法律を作るとともに、治験の部分のハードルをもっと下げないと、そこはカップリングしていかないと、幾ら法律を作って早く承認するルールを作っても、結局できないという結果になってしまうというふうに思っているんですね。今の治験プロセスというのは、私も治験をやったことがありますけれども、非常にハードルが高くなっています。そこのところはやはり上げ下げをする必要があるというふうに私は思うんですけれども、先生の御見解を伺いたいなと思います。
○河野参考人 御質問ありがとうございます。私自身も、大学病院で勤務していたときには、抗菌薬の治験をたくさんしてまいりました。当然、当時は日本でたくさんの抗菌薬が開発されて、そして、これに対して、やはり質の高い治験をということで、治験ができる施設はGCPに準拠した極めて高いストリクトなものに沿った治験しかできない、それ以外のデータはもう認められないということでやってまいりました。今回、私が最も感じますのは、先ほどもちょっと述べましたように、大きい病院で重症者を診る、治験ができる病院というのは、どちらかというと重症者をしっかり診る病院になってしまっております、コロナに関しては。そういったところでは、例えば軽症の経口薬の治験というのは不可能です。患者さんも来ませんし、そこに人材を割くのは現実的でありません。今回のようなパンデミックに際して、経口薬は絶対に必要であります。これがないと、今後、どんな展望を出しても、もう本当に絵に描いた餅です。したがって、軽症者の治験をそうしたらどこでやるのかということになります。従来どおり極めてしっかりした精度を求めるというのはなかなか厳しい。そうなると、しかし、質は捨てていいのかという議論も出てきます。だからこそ、やはり、ここでオンライン、DXを用いて、例えば開業の先生でも、その患者さんの情報は、ちゃんと治験の評価に必要な情報は取れるんだといった、今までにない治験のシステムをやはり構築すべきだろうということで、今までのGCP準拠という、違ったやはりクライテリアがそこに必要になる。当然、そこはやはり、国が新しい薬として認めるからには、それは質も必要でしょうけれども、今度は、こういった非常事態において、いかに迅速に必要な患者さんを集めるかという、また別のシステム構築が絶対に必要で、今までのようなやり方だけでは、これはもう不可能です。全て海外から開発された、海外でたくさんの患者さんがおるところで行われたものしかできない。せっかく日本の製薬業界で優秀な薬ができてきても、それが人に使われるとなると、やはり日本人での効果と安全性が必要ですから、やはり、議員おっしゃるように、別の方法を議論すべき、早急に議論すべきだろうと考えております。以上です。
○松本(尚)委員 ありがとうございました。その辺りのところも、我々の側で治験のプロセスというのを高いハードルを一旦決めてしまうと、それを下げるということはなかなか難しい部分もあります。是非、先生方からそういった意見をたくさん出していただきたいなというふうに思うわけであります。最後になりますけれども、脇田先生にももう一度、質問というよりも意見ですけれども。出口の議論というのを先ほど私、させていただきましたけれども、これはもう最終的には政治判断になるかなと、もうこれでいいよという話は。ただ、それについて、言い出しっぺは誰になるかということがすごく大事だと思っていて、やはり、医療の専門家の側がきっちりと言い出しっぺになってあげないと、政治家の、こちら側に立っていると、なかなかそれって言いづらい部分というのはあると思います。おまえ、言えといえば私は幾らでも言うつもりなんですけれども、そうはいかない部分はあります。医療が逼迫してくると、当然、トリアージをやらなきゃいけませんし、トリアージをやるということは、ある意味、誤解を恐れずに言えば、高齢者の人からそういった医療の提供を絞り込んでいくということにもならざるを得ませんから、やはりそういうことも含めて医者が言い出さなきゃいけないというふうに思っています。脱コロナ宣言とか収束宣言とか、そういったものも同じだと思うし、やはり是非、医師を含む、まあ、私も含んで結構ですけれども、先導して議論を始めるべきだと思いますから、是非、アドバイザリーボードには、そういったことも含めて積極果敢に攻めていただきたいなというふうに思うんですけれども、最後に先生、その辺りのところ、御意見を伺いたいと思います。
○脇田参考人 ありがとうございます。アドバイザリーボードは、基本的に医療あるいは公衆衛生の専門家が集まって、リスク分析、リスク評価というものを行っております。ただ、分科会というものもございまして、コロナ分科会では、医療だけではなくて、経済の専門家であったり、あるいは社会学、あるいは自治体であったりと、幅広い方々が集まって議論をしています。我々も、そういった場だけで議論をしているわけではなくて、そういった経済の専門家あるいは社会学の専門家とも常日頃から意見交換をして議論をしておるところでございますので、そういった出口戦略というのは、やはり医療だけではなかなか、我々はどうしても患者さんを守るというところに集中をしがちですので、そういった経済あるいは社会、自治体の先生方からの御意見も伺いながら考えて、それで意見を集約していくべきだと考えております。
○松本(尚)委員 どうもありがとうございました。これで私の質問を終わります。
○根本委員長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。次に、道下大樹君。
○道下委員 立憲民主党の道下大樹です。本日は、四名の参考人の皆様、お忙しいところお越しいただきまして、ありがとうございます。それでは、早速質問をさせていただきたいと思います。まず、村上参考人に伺いたいというふうに思います。意見陳述の中でも述べられましたけれども、雇用保険制度の財源の一部であります国庫負担割合について、政府は、現在、本則四分の一、二五%としているものを、雇用情勢及び雇用保険の財政状況が悪化している場合は四分の一とし、それ以外の場合は四十分の一、つまり二・五%でございますけれども、に大幅に引き下げるとする雇用保険法改正案を今国会に提出しております。これについて、連合は、極めて遺憾であるという談話を発表されました。コロナ禍で、やはり雇用調整助成金が雇用や企業の経営もしっかりと下支えしているというふうに私も思っております。このような状況の中で、国庫負担割合、これが見直されることについて、連合として、再度、もう一度、お考えというか、また問題点だとか、そういったことをお伺いしたいというふうに思います。
○村上参考人 先ほどの意見陳述の中でも述べましたけれども、雇用保険の国庫負担というのは、国の雇用政策に対する責任を示すものだと思っております。この間、本来は四分の一だったところを時限的ということで、雇用保険の財政も豊かでありましたので、十分の一を掛けまして四十分の一、二・五%にしてきたということはやむを得ないというところで、労働政策審議会などでも対応してきたところです。
ただ、今回はその四十分の一の期限が切れるところでありますし、また、こういったコロナの中で、雇用情勢が大変厳しくなってくるところの中で、今こそ国の責任というものを示していただきたいということで、労働政策審議会などでは労働側の委員は主張してきたところでございます。この点は、労働側だけではなくて、使用者側、また公益側も、その点、主張されてきたところでありますが、こういった結果になっているということで、私どもとしては、やはり四分の一という本則を大事にしていただきたいというふうに考えております。
○道下委員 私も、先ほどの出していただいた資料も含めまして、今財源が枯渇している中で、なぜ政府がこの国庫負担割合を本則、原則、つまり四十分の一にする、これはちょっと、どうしてそのような考えにするのか。先ほども村上参考人おっしゃいましたけれども、そういう、今回、雇用調整助成金、使われていますけれども、財源が潤沢にある場合は暫定的に四十分の一にすることはあり得ても、枯渇しているときになぜ法改正してまで四十分の一に本則を引き下げてしまうのか。これは本当に不思議でならないというか、我々は、これは本当に、連合とともに、遺憾というふうに思っております。そうした中で、今、本当に雇用調整助成金等で何とか雇用が維持されているという中で、ただ、やはりコロナ禍で、働いている皆様に本当に多大な影響が出ている。そして、業種によって様々、濃淡はありますけれども、多くの方々にコロナの影響が及ぼされていると思います。私、その中で考えるのは、やはり非正規雇用であったり、あとは、お子さんを育てている御家庭の親御さん、働いている親御さん。そうなると、やはり女性の方々に特にこのしわ寄せというか影響というかそういったものが出ているのではないか、影響の度合いは深刻ではないかというふうに思っております。連合として、この点について、どのように認識をされ、またどのような支援策等が必要なのか、お伺いしたいと思います。
○村上参考人 ありがとうございます。この間、先生がおっしゃるように、雇用の、コロナによって最も多くの影響を受けたのは、やはり一番弱い立場の方々だと感じております。それは、女性であったり、特に非正規雇用で働く皆さん方。そして、大きな影響が出ているのは、この間、職場がなくなったり、あるいは月収が落ち込んだりしていることで、お子さんを育てながら働いている女性の方々には大きな影響が出ているというふうに感じております。この点については様々なところで調査なども行われておりますが、労働政策研究・研修機構などの調査においても、特に子育て中の女性の生活を圧迫している、貧困化しているということが指摘をされております。こういったことは、今、今々の問題もございますが、社会的な格差につながりかねないと考えております。この女性の貧困というのは、今出てきたわけではございませんで、元々、女性、再就職をした場合に非正規で働くといったことや、初職から非正規で働いていて所得が低いといったこと、また雇用が不安定だというところから出てきた問題でありまして、それがコロナ禍によって顕在化したというふうに受け止めております。抜本的には、中長期的には、やはり非正規の働き方、非正規雇用の皆さんの処遇を改善していくということが重要と考えておりますが、今どうしていくのかということについて言えば、公的な相談体制を整備するということや、先ほども意見陳述にございましたが、NPOの方々、民間団体の方々が様々支援しているという状況にありますので、そういった方々への、そういった機関への財政的な支援も重要と思っております。また、新型コロナウイルス感染症対策関連では様々な事業が民間委託、本来公共でやるべきものが民間委託されておりますが、そういったところで雇用を創出していくといった工夫も重要ではないかと考えております。以上です。
○道下委員 ありがとうございます。やはり、これまでのしわ寄せ、なかなか、我々も訴えてはきましたけれども、やはり今回のコロナ禍によって様々な、社会、経済、また政治や医療、教育における課題が浮き彫りになった。それがやはり非正規雇用だとか、やはり女性の置かれている立場とか、これは本当に厳しいところに置かれていたということが今回如実に表れたんじゃないか。そのために、しっかりと変えていく、政策として支援をしていく、そうしたことにつなげていきたいというふうに思います。ありがとうございます。次に、瀬戸参考人にお伺いしたいと思います。本当に胸にじいんとくるというか、本当に私も、様々な、テレビや、あと、超党派の議員の皆さんとともに駆けつけて、そして支援をして、住居だとかまた生活費を提供する、こうした活動に本当に心から敬意を表したいというふうに思います。そうした意味で、こうした皆様の活動は本当にすばらしいというふうに思っております。皆さん、本当に、NPOやボランティアや様々な民間団体でされています。こうしたものは必要であり、そして、皆様が行政の様々な支援制度、窓口にお連れして、そして、そうした支援政策につなげていくということは大事だ、私はそのように思います。でも、これがずっと続いていいのかと私は思います。つまり、何かというと、こういった社会的弱者の方々や、今回コロナで様々な影響を受けている方々に対しての問題というか課題というか、こうした方々が、今我々は、参考人の皆様、瀬戸参考人のお話だとかマスコミ等でも分かっている。行政も分かっている。でも、そのままではいけないと私は思うんです。そのために行政サービスがあって、そうした皆様がやっていることを少しずつでも、私は、理想は行政が、もちろんマンパワーと予算が必要です、そうした中で、皆様がやっているような活動を行政も、若しくは行政がしっかりとやるべきだというふうに思っているわけであります。そうした意味で、今この困窮者支援の活動をされている皆様、瀬戸参考人におかれましては、そうしたことも含めまして、今、窓口が本当に消極的というお話もありましたけれども、今、本当にどのようなことを行政に求めるのか、行政は何をすべきなのか、国は、自治体は何をすべきなのか、是非お伺いしたいと思います。特に女性だとか若者の今貧困ということがありますので、そこにちょっと絞っていただいて、お話をいただきたいと思います。
○瀬戸参考人 ありがとうございます。僕自身が今感じているのは、今日は余り時間がなくて触れなかったんですけれども、非常に今感じているのは、例えば、生活困窮者自立支援が第二のセーフティーネット、第三が生活保護ですね。行くと、第二のセーフティーネットと第三のセーフティーネットが分かれているんですね。例えば、今日、文書の中に入れていますけれども、緊急の即日貸付けと書いているじゃないですか。例えば、本当に、先ほど出ていたように、今日ガス、水道が止められる、そうしたときにどこに行けばいいんだ、そうしたときに問合せ先がやはり分かれていくんですね。その中で、やはり、例えば、自立支援のところではこれはできません、生活保護のところではこれはできません、そうしたときに、ワンストップサービスといいながら切れているんですよね。そこを具体的にちゃんとつなげる役割、例えば、家がない人たちが生活保護申請に行ったときに、自立支援のところで一時生活支援事業があるじゃないですか、そこと生活保護のところの居住のところが完全に現場でいうと分かれています。そういうところの抜本的な見直しが非常に必要だなというふうに感じているんですね。やはり、この間非常に感じているのは、二〇〇八年から二〇〇九年の年越し派遣村のときの状況と今の状況は本当に変わっています。そういう意味でいうと、今の制度設計が、具体的にこれだけの若者とか女性を想定していない制度になっている、ですよね。ですから、今の、今回経験したコロナ貧困の中で、若者や女性たちの状況に対してどうやって具体的にアプローチしていくのかという制度設計について、もう一回見る必要がある。僕がもう一つ若者で気になっているのは、僕らが駆けつけして、そうしたときに、親も大体貧困なんですよ。ほぼ、僕らが駆けつけする人はやはり大学に行っていないわけですね。高卒だとか高校中退です。虐待とかあります。 そうしたときに、学生の時代からちゃんとしっかり、そういうような、本当に経済的に厳しい家庭の子供たちに対しての具体的な支援、そうしていかないと、多分、その頃から、例えば部屋が狭くて勉強をする環境にないとかそういう問題があって、もう最初から、彼らが本当に十八、十九、二十歳になったときの格差がすごいんですよ。それで、彼らが非正規しかやはり仕事がなくて、先ほど出たように、ほとんど住居がない。ですから、そういうような段階からの、具体的にしっかり捉えていくという政策がやはり必要ですね。女性については、先ほど、連合の方がいらっしゃっているので。非常に気になります。この間、女性の人たちが、先ほど、文書には書いていないかな、公園の中で、公園のトイレの中で夜中うずくまっているんですね。そうしたときに、女性が相談に行ったときに、女性のやはり保護施設が全然少ないんです。どこにも行くところがない。DVの一時保護施設についても非常に不足しているし、そういうところについても、僕自身、現場の中でそういう実感をしているというところです。済みません、不十分で。
○道下委員 ありがとうございます。制度と制度のこの隙間というか、これをちゃんとつながるような、やはり仕組みが必要だというふうに伺いました。ありがとうございます。次に、脇田参考人に伺いたいと思います。第五波そして第六波、今コロナの死亡者数がほぼ同じに、八十九人、九十人になりました。やはり、この第六波について、これだけの感染が広がったのはオミクロン株だと思いますし、私は、もう一つ、政府は専門家の皆さんのお話をもっと伺うべきではなかったのか。つまり、コロナ分科会、実は今日開かれると伺いました。でも、前回は十一月だった。こんなに、もう三か月も空いている。なぜ政府は、この十月、十一月、十二月、コロナの感染が収まっているときに、しっかりと専門家の皆様からお話を伺って、取るべき、これからの最悪のことを想定しつつ、何をやるべきなのかということをしっかりと専門家の皆様から意見を聞くような場を、適宜しっかりとやってこなかったのが、私は、今回コロナの第六波を迎えている要因ではないか。特に、年末年始の人流抑制などは、昨年はしっかりとやったんです。今回は、国民に対する呼びかけが弱かったのではないか。さらに、検査キットが不足しています。そして、ワクチンの三回目の接種も、もっと早くやればできたと思っています。こうした様々な、先を先を見通して提言をされている専門家の皆さんの意見を政府は聞いていなかったのではないかというふうに私は思いますけれども、是非、脇田参考人から御意見を伺いたいと思います。
○脇田参考人 御質問ありがとうございます。確かに、この第六波というのは、これまでのいわゆる第五波までとはかなり違う感染症の様相を示しているということで、非常に感染速度も速いということで、素早い対応が求められてきたというふうに思っております。専門家の間でも、これまでと違った対応が必要だということで、様々な提言を我々専門家有志の間でまとめて、それを政府にお願いをするということで、アドバイザリーボード等でも提言を出し続けてきたというところです。ですから、そういった提言を、アドバイザリーボードだけではなく、コロナ分科会というところでも意見交換をしたいというのは、我々専門家も考えているというところです。そういったところでの議論を踏まえて、更に対策につなげていただくということが重要で、専門家、我々、リスク評価、分析というのをアドバイザリーボードで行っていますけれども、リスク管理については、やはりコロナ分科会でしっかり議論をしていくということが必要だと思っております。
○道下委員 ありがとうございます。もう一つ、今オミクロン株の中、今主流はBA・1なんですけれども、BA・2が確認されて、広がりつつある。こうすると、今、これからもしかしたら収まるんじゃないかと思われているものが、どんどんまた収まらない。また更に感染力が強いBA・2が広がって主流になってくると、これは長い第六波になってしまうんじゃないかというふうに思いますが、どのような見通しをされていますでしょうか。
○脇田参考人 BA・2系統についての御質問だと思います。現在、BA・1が国内では主流になっているというところですけれども、BA・2についても、検疫ではかなり割合が高くなってきている。つまり、これは海外においてBA・2がかなり増えてきているということを示しております。BA・1とBA・2の違いを分析しておりますけれども、約一五%程度、感染伝播力が高いという分析であります。したがいまして、BA・1をこれからBA・2が凌駕してくるのかどうなのかということは、モニタリングをしていくわけですけれども、現在の感染対策ですね、蔓延防止等重点措置であったり、あるいはそれ以外の対策というのが取られておりますので、そういったものでBA・2の感染拡大も抑えられてくるのか、あるいはBA・1に置き換わってBA・2が更に感染拡大に向かうのかといったところは、今のところ、実効再生産数で見ますと減少傾向が続いていますので、今後の推移を見ていく、ここで置き換えが起きてくるのか、それともこのまま減少傾向がBA・1もBA・2も続いていくのか、そこはしっかり見ていく必要があると考えております。
○道下委員 ありがとうございます。次に、河野参考人に伺いたいと思います。やはり私も、河野参考人と同じように、医療とか命を守るもの、つまり、今回はワクチンだとか薬だとか、そういったものは国産化をすべきだと思います。そのための研究開発予算が足りなかった。今の高齢社会に向けて医療費の予算を抑制するためにこういうことになってきたと思うんです。だから、私は、こういう研究開発予算に政府の予算をもっともっと拡充すべきだと思いますけれども、河野参考人のお考えを伺いたいと思います。
○河野参考人 御質問ありがとうございます。どうして、今回、我が国でのワクチンの開発が遅れたかというと、やはり、米国の状況を見てみましても、例えばNIHから研究機関に渡った予算はもう圧倒的な違いがございます。これ一つもってしても、なかなか、やはり今回のメッセンジャーRNAのような新しいタイプのワクチン開発というのが出遅れたなと。結局、皆様も覚えておられると思いますけれども、コロナも、今回でなくて、SARS、MERS、ああいったものがあって、諸外国では随分騒いだ、我が国には幸い何も来なかった。また、十数年前には、インフルエンザのパンデミックでしっかりした対応策を提言されていながら、喉元過ぎれば熱さ忘れるで、しっかりした系統が続いていない。基礎研究にしてもそうであって、やはり、もちろんイノベーションは大切なんですけれども、ベーシックなリサーチに対して、国は、これはやはり国民のために必要なんだという意識をしっかり持っていただいて、先ほど、感染症はやはり国防だという気持ちでずっと継続的にしっかりした予算をいただくことがやはりその領域の研究者を増やすということじゃないかなと。それと、当然ながらそれを実際の薬にする製薬メーカーに対するやはり産官学の連携をしっかりするということで、目の前の効果、利益だけにとらわれるのではなくて、やはり継続的なしっかりした国策としてのそういった対応が必要じゃないかと考えております。以上です。
○道下委員 四名の参考人の皆様、ありがとうございました。これで質問を終わります。
○根本委員長 これにて道下君の質疑は終了いたしました。次に、足立康史君。
○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。参考人の先生方、今日はありがとうございます。脇田参考人中心に伺うこと、時間の制約がありますので、お願いしたいと思いますが、最後に村上参考人にも雇用保険のことで少しお伺いしたいと思います。まず、脇田参考人、大変お忙しい中、今日もありがとうございます。オミクロンについて、るる議論があります。今、ちょっと最後、新しいタイプが少し入ってきているということですが、感染力は高そうだと。毒性はどんな感じでしょうか。
○脇田参考人 お尋ねは、BA・2系統ということだと思います。オミクロン株、これはBA・2系統もデンマーク等で今感染拡大をしているということでありまして、感染力、感染伝播力に関しては、その分析で、先ほど申し上げたように、やや高いのではないかということがありますが、重症度、ここが非常に重要なところだと思うんですけれども、いまだに十分な情報がなくて、ただ、入院率に関しては、BA・1、元々の主流の株、これと差がないのではないかといった、これはデンマークの感染研と同じような機関から報告がされていると思います。
○足立委員 ありがとうございます。少し、安心してはいかぬのですが、また新しいというか、重症化率というか、毒性が余り高いとちょっと怖いなと思いましたので。また、しっかり注視をしていきたいと思います。そのオミクロン株ですが、別のウイルスと思った方がいいというか、先生方も、六波はかなりこれまでの五波と、例えばデルタとオミクロン、かなり違うということはいろんな、各所から私たちも聞いております。そういう中で、ちょっと抽象的な御質問になりますが、ウイルスの性質と、国会、政府、立法府が用意している制度、これが少し追いついていないというか、オミクロンの性状、性質に対して、法令を始めとする制度が少し追いついていないという印象を私は持っていますが、ちょっと抽象的なレベルから、ちょっと後でブレークダウンしていきますが、抽象的にはそうお感じになることはありませんか。
○脇田参考人 この第六波において中心になっているオミクロン、デルタも一部まだ残存しているわけでありますけれども、非常に、重症度からいきますと、軽症の方が多い、特に若者中心にということになりますと、例えば入院勧告であったり様々な措置ですね、そういったものが、これが適切なのかといったところの議論があると思いますので、そういった措置を柔軟に適用できるといった体制は、もちろんウイルスの株がどんどん変わっていくということがありますので、そういった柔軟性というものは必要だと感じております。
○足立委員 その柔軟性ということで、先日も我が党は、日本維新の会のコロナ対策本部として厚労大臣のところに、二類相当、感染症法における新型インフルエンザ等感染症という、法律上位置づけてしまっていることについて問題があるんじゃないかと。ここはやはり柔軟に、五類相当。法律の技術的な、法技術的な取扱いはまた法律の専門家が議論すればいい、私たちが議論するわけでありますが、今、二類相当に法律上位置づけていることに伴うメリット、なぜ必要かというと、何か、いやいや、税金を投入できるんだとか、あるいは入院勧告だとか、あるいは隔離だとか、いろんな議論がありますが、私、いずれもそのメリットは大分減ってきている、入院と隔離に係る、二類相当に位置づけておくことによる強制力とか、そういうメリットはもう余り必要なくなってきていて、むしろ逆に、それらで縛っていることに伴うデメリットが増えてきているんじゃないかと思っているんですね。例えば、よく耳にするのは、濃厚接触であるだけで、もう一般の医療機関には入れてもらえない。交通事故で骨折をしたら熱が出て、熱があるということで、指定医療機関でしか入れてもらえない。私は、今の病床の、増えてきていますね、重症病床も増えてきています。でも、その半分は、実はコロナは、オミクロンは軽症だというふうに吉村知事からも私たちは聞いています。申し上げていること、御理解いただけると思いますが、結局、今の二類相当と位置づけていることによって増えている、指定医療機関の病床逼迫ということが起こっているとすれば、二類相当に位置づけていることのメリットよりもデメリットが増えてきていると私は強く懸念を持っていますが、もし、お立場上いろいろあるかもしれませんが、是非忌憚のない御意見をいただきたいと思います。
○脇田参考人 お答えしたいと思います。多分、今、二類相当に置かれているということの主眼は、一つには、感染症の蔓延防止ということがありますし、それから医療体制をしっかりコロナ感染症の患者さんに届けるということでありますので、そういったメリットは十分に、いまだにあるんだと思っております。ただ一方で、そういった、社会機能を維持するために様々デメリットが出てくる。例えば、濃厚接触者であったり、それから陽性者となった場合も療養期間が非常に長いというところも。そういったところは適宜、科学的なエビデンスに基づいて緩和をしていくということの対応は必要だと考えております。それから、通常の医療がかなり逼迫をしてしまうということは、コロナ病床を確保するということで、特に現在、冬でありまして、様々な急性疾患、心筋梗塞であったり脳血管障害であったり、あるいは、もちろん外傷もありますし、そういった方がしっかりと医療を受けられるというのは、元々もうかなり厳しい状況で、この日本の医療体制があったということですので、そういったところを少し、コロナ病床が空いていればそこを本当に柔軟に動かせればいいんですけれども、なかなかそれが難しいというようなところもあります。一方で、五類相当にしてしまって、これは季節性のインフルエンザと同じようにするということになりますと、例えば、外来に、クリニックにかかったときに、高齢者の方がたくさんいらっしゃいますが、そこに、隣に今までもインフルエンザの方はいたかもしれない、だけれども、今もコロナの方が同じところにかかってきていて、それが分からないような状況になるということで、そういった状況を本当に許容できるのかといった問題もあるんだと思います。ですから、そういった、コロナが高齢者にとって非常に重症度が高い疾患であることはまだ変わっていませんので、そういったところも見ながら、それについて検討していく必要があると思っております。
○足立委員 ありがとうございます。結局、一般の医療機関と指定医療機関、コロナを扱う、これが二分されているんですが、私も、一般のところにコロナの感染のおそれのある方々がどんどん混ざっていくということがいいとは思っていません。しかし、今は指定医療機関にぐっと負担が、負荷がかかり過ぎて、そこには、コロナは軽症で全く入院の必要はないんだが、原疾患が悪化をしたためにそういう重たい状況になっている方が半数以上いらっしゃる。つまり、もう少し、ある程度、感染予防というか、部屋を分けるとかそういうことは必要にしても、今の状況は、制度がつくり出している病床逼迫という側面が強いので、私はもう少しそこの、指定医療機関と一般の医療機関のところの柔軟性が要ると思いますが、いかがですか。
○脇田参考人 ありがとうございます。現在の制度でも、一般の医療機関でもコロナ感染症患者を診察することは可能だと思うんですね。ですから、やはり、これだけ感染者が増えてきますと、感染管理等のノウハウといいますか、そういったものも一般の医療機関でかなり、均てん化といいますか、入れていただいて、そして、そういった患者さんも診れるような体制というものをつくっていくということも必要なことではないかというふうに考えております。
○足立委員 どうも御丁寧にありがとうございます。ちょっと話題が変わりますが、引き続き脇田参考人に伺いたいのは、特措法が、過料がさきの改正で入りました。そのときに、内閣法制局を含む政府の中でいろいろ議論があったそうでありまして、やはり、飲食店の方々に強い規制、要は罰則をかける、過料ですが、罰則をかけるに当たっては、これは近藤法制局長官の言葉をかりれば、不用意に広がらないように、その措置が、その規制が。要は、緊急事態宣言とか蔓延防止等重点措置とかを発令した途端に罰則がかかるわけです、国民の財産権、営業権を規制するときに罰則でやるわけです。そうすると、不用意にその措置が、安易に発令されるとか、不用意に広がるとか、本当に疫学的な見地から、ここはどうしてもその措置を講ずる必要があるのだと、そこに絞っていく必要があるんだということは、これは内閣の見解として、内閣法制局の見解として国会でも表明をいただいています。そういう中で、法律にも専門家の意見を聞くと書いてあるのは、別に審議会とかあれを開いて意見を聞いたらいいということじゃなくて、今申し上げたように、科学的、疫学的な見地から合理性がなければ駄目だということですよね。そういう中で、今オミクロンの特性ということを踏まえたときに、本当に緊急事態宣言が有効なのか。そこはやはり、それの専門家が有効だとおっしゃっているのであれば、根拠を持ってですよ、科学的、疫学的に有効だとおっしゃっているのであればありですが、そうでなければ、これは違憲になります、違法になります。要は、憲法二十六条だったかな、財産権を侵害することになります、過度に。脇田参考人に伺うのは、今のオミクロンに係る知見を踏まえたときに、緊急事態宣言になだれ込んでいく、を発令することの科学的、疫学的な根拠はあるとお考えですか。あるのであれば、その一端でも御紹介をいただきたいと思います。
○脇田参考人 御質問は非常に難しい御質問だと思いますが、緊急事態宣言あるいは蔓延防止等重点措置、それが、発令が直ちに効果があるのかということは、なかなかそれはお答えが難しいと思います。感染それから流行の状況と、それから緊急事態宣言あるいは蔓延防止等重点措置でどのような対策を行うのかということで、適切な対策が行われれば、これは当然効果が認められるということになると思いますし、それが、例えば飲食店が流行の今状況の拡大の中心要因だというときに、どういった措置でやるかは別にしまして、飲食店への対策が行われたとすれば、それは感染拡大の要因を止めることができるということになりますので、緊急事態宣言だけがどうかという御質問にはなかなか答えるのは難しいんですけれども、措置が適切であることが必要だというふうに考えます。
○足立委員 ありがとうございます。まさに、その措置が適切かどうかということについて政府は専門家に意見を聞くことになっていまして、基本的対処方針も含めて、それは、基本的対処方針を定めるに当たって、専門家の皆様の御意見を伺うことになっているわけです。だから、今の基本的対処方針が、特定の方々に罰則つきで規制をすることが有効であるということを科学的、疫学的にバックアップしていただかなければ、これは私は違憲になると思っているんですね。だから、今、昨日も蔓延防止、追加をされました。これから東京だどこだということで、緊急事態の議論もあります。政府は、オミクロン株に対応しているよなと私たちが納得できるような基本的対処方針になかなかしてくれません。そういう中で、私は、このまま緊急事態宣言を発令することは違憲だと強く思っています。専門家として、それは私たちが、専門的な見地から、冒頭申し上げたような、必要な科学的、疫学的知見は持ち合わせているのであるということでいいでしょうか。
○脇田参考人 御質問の趣旨は、多分、専門家が、もし緊急事態宣言が発令される場合において、我々専門家が疫学的に十分なエビデンスを持っているかというところですけれども、当然、流行状況については、そのときの状況、これを分析して御報告するということでありますので、ただ、そのときの状況というのは分析はできるわけですけれども、必ずしも十分な情報が全て整っているかというと、そこは、分析を行うということで補完をするということになります。ですから、今、緊急事態宣言が必要かどうかということを問われているわけではないと思いますので、そういったことを問われる際には、我々としては、十分にデータを分析をして、それを提出をしたいというふうに考えています。
○足立委員 ありがとうございます。脇田参考人を責めているわけではなくて、これは政府の責任なので、専門家の皆様の御意見を賜る、そして判断をするのが政治ですから、政治がしっかりと、立法府が認めた法令を遵守しているかどうか、これはきっちりと国会として精査をしているところであるし、今日も午後、私、内閣委員会で、山際コロナ担当大臣と今のこの点について、今日の脇田参考人の御意見も踏まえながら質疑をさせていただく予定ですので、また国民の皆様には御注目をいただきたいと思います。済みません、最後になりましたが、村上参考人、ありがとうございます。雇用保険財政、私は、大変問題があると。それだけではなくて、コロナ対応で、財政だけではなくて窓口、多分、ハローワークで雇用調整助成金とかいろんなものが措置されているけれども、要は、平時の仕組みなんですね、全て平時の仕組みです。税をどんと入れたのは、例えばリーマンで入れた。今回、コロナで二兆円ぐらい入れた。でも、そもそも雇用保険制度自体が基本的には平時の仕組み。有事にも同じ雇用保険制度で対応していること自体が私は間違っていると思うんです。平時と有事を立て分けて、有事法制、有事に対応した支援法制、これをつくらないといけないと思うんですね。例えば、ちょっと話題は変わりますが、社会福祉協議会、ここで、平時には、緊急小口資金、年間六百件ぐらい。これは、大阪府。大阪府の社会福祉協議会。年間六百件ぐらいですよ。総合支援基金、年間五十件ぐらいですよ。ところが、コロナでどうなったか。月間八千件とか、特例総合支援資金に至っては、ああ、もっとあるな、月間三万六千件。それから、累計でいうと二十万件とかになっているわけですね。ゼロが幾つ増えているんだ。ゼロがたくさん増えているわけです。同じ窓口でやっているんです。平時と有事をしっかり立て分けた議論をしない限り、雇用保険財政の議論も、私は本質的な議論はできない、こう思っていますが、御意見ありましたら教えてください。
○村上参考人 雇用保険制度も同じようなところはございまして、やはり、通常の時期と、想定している経済状況の悪化、景気変動に対応して雇用調整助成金なども制度設計されてきているかと思います。その点、今回のコロナの急激な影響というものに十分対応できるのかどうか。給付の窓口については全国ハローワークがございますし、そういったところで十分かとは思うんですけれども、その仕組みを活用していくことが重要だと思っておりますけれども、ただ、制度の仕組みとか、雇用保険財政で全てをカバーするべきだったのかどうかというところについては、まだ様々検討することが必要だと思っておりますし、また、雇用保険制度のセーフティーネットの適用対象になっていない方々、例えばフリーランスの方々などについても、きちんとした制度は特段ございませんので、そういった方々をどのように救済していくのかということについて、こちらは、緊急時というよりは、むしろ通常時においても今後検討していくべき課題ではないかと考えております。
○足立委員 時間が来ました。どうもありがとうございました。
○根本委員長 これにて足立君の質疑は終了いたしました。次に、伊佐進一君。
○伊佐委員 おはようございます。四人の参考人の皆様、お忙しいところ、今日はありがとうございます。公明党の伊佐進一です。まず、冒頭、河野参考人に何問か質問させていただきたいと思います。ワクチン、治療薬の開発、国産ですね、この開発については、とにかくここ、開発、我々も相当力を入れて取り組んできたつもりです。コロナ禍が始まってほどなく、開発というものに注目をして、この開発のためのプロジェクトチームを立ち上げて、とにかく、いろんな専門家の御意見であるとか、あるいは開発している企業の皆さんの意見を聞きながら、これはというのをどんどん政府に、厚労省に対して後押しをお願いしてきたというようなことがありました。 その中でお世話になったのが、今日参考人で来ていただいております長崎大学の河野学長。本当にお世話になりました。さっき、レムデシビルについても触れていただきました。一番最初のこれは承認された薬でありますが、このときも、いろいろ河野参考人にアドバイスをいただきながら、我々は三月に国会で使用を提言して、あの当時は、今理事でいらっしゃる稲津さんが副大臣をされていらっしゃいましたけれども、そのときも、厚労省の中は、レムデシビルという感じで、まだ全面的に厚労省もゴーという感じじゃなかったときに、いろいろ河野参考人からお話を伺って、これはというので、米国との共同治験が始まって、五月に承認されたというようなことがありました。その中で、今現在は、日本の国産の経口薬で一番進んでいるのが、今は塩野義と報道されていますので塩野義ですが、この塩野義の治験責任者が、長崎大学の迎先生、河野先生の直弟子だというふうに思いますが、本当に、今の開発の状況もよく河野先生も熟知していらっしゃるというふうに思いますので、ちょっとまず冒頭、質問は、日本の今の国産治療薬の開発の現状、これは、今後の見通しですよね、今治験されていらっしゃると思いますが、今どのような感触を持っていらっしゃるかということを伺いたいと思います。
〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕
○河野参考人 御質問ありがとうございます。皆様も御存じのように、国民の七割、八割が少なくとも一回、二回、ワクチンを受けている現状であります。ワクチンという場合には、開発という場合には、諸外国もそうなんですけれども、一回目、初めてワクチンを打って、そしてどのような効果が出るんだというところからデータを出す必要がございます。ということは、国産ワクチンであっても、今のような状況では、国内で臨床試験がすぐに進むかというと、極めて厳しい状況であります。ということは、何ができるかといいますと、既にワクチンを打った方に追加接種した場合にどのような効果があるのかという、そういった新しい評価法が導入されないと、幾ら立派な国産のワクチンができても海外で治験をせざるを得ないということになりますので、こういった基本的な問題は、日本の現状に合わせて、せっかく日本の国内の企業が頑張っているときに、やはり日本人でしっかりした検討ができるような、そういった今回の状況を踏まえた制度設計も是非お願いできればと思っております。
○伊佐委員 今、ワクチンの話をしていただきました。これは経口薬も同じだと思うんですが、ちょっと私、当然これは、最終的にはPMDAがこの有効性と安全性というものを客観的にしっかりとここは判断していただいて、ただ、その上で、我々の思いとしては、国産、とにかく国産の経口薬、国産のワクチンというものをやはり安全保障上もしっかりと作っていく必要があるんだという中で、厚労省が本気で、国産がやはり大事だと思って一生懸命押してくれているのかなと思うと、ちょっと実は不安に思うようなときもあって、そういう観点で、せっかくこういう場ですから、政府に対して、もう少しこういうような支援があったらというのを是非言っていただければ。
○河野参考人 ありがとうございます。先ほどもちょっと述べましたように、経口薬の新しい薬は、もう本当に、今から、コロナと、ウィズコロナで共生していく、コロナ後も考えると必須の薬剤です。皆さんも、ちょっと想像されると、今、インフルエンザになると、開業医の先生のところに行って、すぐに簡単な検査を受けて、十分か十五分後に診断をつけて、そして、インフルエンザだと診断がつけば経口薬を服用する。これも発症四十八時間以内ということで、早ければいい。 ですから、全く同じような考えで、やはり、経口薬がないと、今後幾らコロナをどうするかと話しても、将来の展望ができません。そうすると、軽症の方、経口薬、外来で治験をどうやるかというところが、今までのPMDAではなかなか制度設計ができていない。先ほども述べましたように、しっかりした質の高いデータを取る、そういった治験のクオリファイされた病院でやるということは、実際、今のような、このような状況ではできませんので、やはり本気で考えるんだったら、これは外来でどうやるか。例えば開業の先生を使うのか、それとも、外来にそういった特別な施設を設けて治験を進めるのかとか、やはり本気で外来の経口薬をどうやるか。この場合には、やはりオンラインを使うことが極めて重要になるだろうと思いますし、そこを是非とも国には早めに考えていただければ、大変国民のためになる。やはり日本で作らないと、何かあって海外にこの薬を頼るだけでは厳しいのかなと考えておりますので、是非ともよろしくお願いいたします。
〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕
○伊佐委員 河野先生、もう一問だけ、ちょっと伺いたいと思います。ちょっともう一つ思い出話をさせていただくと、パルスオキシメーター、あれも河野先生からいろいろとアドバイスをしていただいて、今ではもうパルスオキシメーターって当たり前になっていますけれども、あのときは、ホテル療養をしても何もなかったというようなところの中で、酸素飽和度と呼吸数を組み合わせれば重症化が早期に判断できるんじゃないかというふうにアドバイスをしていただいて、あのとき、さっきの資料にもありましたコスタ・アトランチカ号、この対応で、これを採用されてやっていらっしゃった。 これを受けて、我々の、公明党の相談にも大分乗っていただいて、国会でも取り上げて、ここから、ホテル療養であるとか自宅療養であるとか、こういうところにパルスオキシメーターの配備が始まっていったというようなこともございました。そこで、ちょっと今の現状なんですが、オミクロン株、五十歳未満で基礎疾患がなければ自宅療養というような状況の中で、とにかくこれは、自宅療養といえども、医療へのアクセスというのはちゃんと確保しておかなきゃいけないというふうに思っています。既にもう相当の数の方が今自宅療養されていらっしゃるわけで、その中で、重症化を防止する、自宅で亡くなるような方というのを、まさしく先生の本にも書かれている死者ゼロというふうにするためにはどういうところがポイントになるか、アドバイスをいただければと思います。
○河野参考人 私、考えていますのは、先ほど述べましたように、もちろん、軽症の方で自宅療養、元気な方ということなんですけれども、報道にありますように、こういった方でも基礎疾患等があれば急速に重篤化するということで、パルスオキシメーターを含めた医療へのアクセス、ここがやはり重要で、公衆衛生と医療システム、これを本気で今回考え直さないといけないのかなと。ということは、先ほども御質問があっていましたように、コロナを診ないという診療所、病院がやはりあってはいけないと思うんですよね、患者さんは何でも一緒ですから。これはちゃんとやはり感染症に対する対応をしっかりすべきで、どんな患者さんが見えても対応できる。ですから、全ての医師がやはり感染症の患者さんにどう対応するか。そうすると、自宅療養されていても、その方のデータをどこかの例えばかかりつけの先生がちゃんと見られて、おっ、何も訴えはないけれども、これはちょっとやばいね、往診に行こうか、そういった、本当に公衆衛生と医療、ここを根本的に今回見直していただければ、大変、日本の医療もピンチをチャンスに変えるところになるんじゃないかなと思います。よろしくお願いいたします。
○伊佐委員 ピンチをチャンスに変える、本当にそのとおりだというふうに思います。次、脇田参考人に何問か伺いたいと思います。この間、本当に、分科会の会長代理であったりとか、あるいはアドバイザリーボードの座長として事に当たっていただいて、まず感謝を申し上げたいと思います。ワクチンができて、経口薬もどんどんいろんな種類が今できてきているという中で、ただ、戦う相手も変異を繰り返しながら、今いろんな状況になっている。こういうオミクロン、今主流の敵でありますが、ただ、申し上げたように、武器は今どんどん増えてきているわけです。その中で、本当はもう第六波、これが最後になればいいなと思うわけですが、なかなかそうはいかないかもしれないという中で、どれぐらいこれから先続くんですかというような質問も先ほどありました。その中で、参考人がおっしゃったのは、リスクに応じた対応をしていくのが大事なんだということでした。ただ、そのためには、リスクを見極めることが大事だというふうに思っています。つまり、データとか科学的な対応に基づいて、どういう対応が必要なのかというのを考えていく。さっき、緊急事態宣言の話も、維新の委員、もう足立さん、いらっしゃらないですが、からありました。そのときにも、本当にこれは意味があるのかというようなこともおっしゃっていましたけれども。ただ、逆に、私は、自治体の首長の方こそがより安全サイドにいろいろと判断せざるを得ない、住民の皆さんと直接接しているわけですから。そういう観点では、奈良県知事は、今ちょっと、同調圧力に屈しないんだというふうに言っていらっしゃいますが。その中で、今のこの蔓延防止とか緊急事態宣言の在り方について、これは、だから、効果があるのかどうかという先ほどの質問じゃなくて、データに基づいてしっかりと対応すべきだという観点で伺いたいと思います。
○脇田参考人 現在は、流行状況に応じまして、それでレベルの考え方というものを専門家の間では出しております。主には、医療の状況ですね、こちらを捉えながらその地域のレベルを判断していくというところで、レベル2になると強い対策も考慮する、レベル3になったら強い対策が必要というようなことでありますので。ただ、そこの、今流行しているウイルス株がどういう特性を持っているのかということによって、感染者数とか医療の提供体制に非常に大きな変化が出てくるということを、今回、デルタ株であったりあるいはオミクロン株、そしてワクチンの接種状況によってもそれが変わってくるということを我々は学んでいますので、今後、ワクチンの接種、三回目の接種も進んでくるといったときに、どういった方がリスクがあって、どういった方は大丈夫なのかということもしっかり見極めて判断をしていくということが必要だと思いますので、そういった情報を我々としては常に提供しながら、今の状況ではこういったところが非常にリスクが高いですよということも情報を提供しながら、そういった判断につなげていただければというふうに思っております。
○伊佐委員 もう一問、伺いたいのは、ブースター接種の体制ですね。これは、今のままで本当に大丈夫かという、国会の中でもずっと議論がありました。供給量は確保されています、打つ体制をどうやってつくっていくかという中で、今回、自衛隊の大規模接種会場、これも、我が党も山口代表が相当強く働きかけて、その翌日に、この委員会質疑でも、自公、与党の二名それぞれからの議員の質問もあって、一日当たり五千回ということに拡大をしました。これは、でも、大阪は依然、まだ千回いっていないんです。これは何とかしなきゃいけないというふうに思っていますが。でも、今、現時点では、ようやく一日五十万回まで来ました。その中で、ただ、ちょっと、本当に厳しい現実は、二回目接種から六か月、七か月で打つので、もう分かっているわけですよ、何人来るか。分かっている中で、七か月前の状況を考えると、例えば、一日、当初少なかったのが百万回を超えて、七月、八月になったら百二十万回になって、百七十万回になって、最後二百万回を超えたような状況もあったわけですよね。その固まりがそのまま六か月後に、七か月後に来るわけです。そうすると、今のこの五十万回で大丈夫なのか。本当に、百万回でも実は足らないんじゃないかというような状況になると思いますが、これ、どうやって広げていくか、何がネックになっているか。この辺はちょっと専門的に、実際に体制を組むに当たって、アドバイザリーボードもいろいろ意見されていらっしゃるかもしれませんが、是非御意見を伺えればと。
○脇田参考人 ありがとうございます。ワクチンが、一回目、二回目の接種と違って、地域の接種においては一回目、二回目はファイザーであった、それから、集団接種会場においてはモデルナ社のものを主に使われたというような状況があったと思います。 今回は、どちらかというとモデルナ社のワクチンの供給が多いということですので、前回のような区分けがはっきりとなっているわけではなくて、地域の接種でも集団接種会場でも、どちらも選べるような体制にあるのかもしれません。ですから、そういったところで、例えばワクチンの保管状況ですね、これがデリバリーのときに、マイナス二十度であったり、マイナス七十度であったりというようなところの難しさが少しあるかもしれないということは伺っています。それからもう一つ、昨年の九月ぐらいから三回目接種の議論を始めましたが、その際には、自治体の方が、接種券の準備とか、それから三回目の接種の体制を整えるという準備が、なかなかやはり、あの時点では、前倒し、前倒しというのはかなり難しいというような状況があったと思います。ただ、今現状で、かなり、委員がおっしゃったとおり、五十万回の接種が可能になってきたというところで、我々としても接種の状況を見ていますけれども、ここまでなかなか立ち上がってこなかったところが急速に今立ち上がってきているという状況ですから、このペースで集団接種会場も更に開設されていくということを聞いていますので、ここで更に加速をして、委員のおっしゃる、百万回の方々が次々と来るわけですから、そこに対応できるような体制を取っていただく。接種券はきっちり届けていただければ、そういったところで対応が可能になるんだろうというふうに思っております。
○伊佐委員 ありがとうございます。次に、瀬戸参考人に伺いたいと思います。さっきのお話も私も聞かせていただいて、本当に胸に迫るお話を聞かせていただきました。その中で公明党の名前も挙げていただきまして、ありがとうございます。その瀬戸参考人のお話の中で、求職者支援給付金の話がありました。つまり、保険がない、雇用保険の対象でもない、こういう方々に対して、より職業につなげていくために訓練を受けていただいて、しかもその間給付金も出すというこの制度でありますが、より弾力的な運用をしてほしいというお話がありました。これは我々も大分政府の方にもお願いをして、要件緩和はしてきたつもりです。例えば、世帯収入が月二十五万以下という要件だったのを四十万以下まで要件は緩和したりとか、あるいは、欠席、これは研修を受けるのが当然、給付金を受ける、訓練が要件になっておりますので、ただ、欠席を何日したら駄目よというのがあります、このやむを得ない欠席、やむを得ない理由以外の欠席でも二割までは認められるとか、ちょっと柔軟にはしてきたつもりなんですが、更にこれはもう少しこうなったらいいよとか、もしあればいただきたいと思います。
○瀬戸参考人 ありがとうございます。まず前提として、現場の中で、例えば、生活保護を利用されている人たちの現場のところで、なかなかこの制度が案内されていない。先ほど僕が答えたときに、生活困窮者自立支援と生活保護のところがつながっていないと。そういう話と全く一緒ですね。それで、本当に、この要件緩和については非常によかったと思っています。ただ、職種の問題とか、そういう職種のところだとか、例えば、この間、労働者協同組合法が、労協法が秋から制定されますけれども、例えばフリーランスの人たちだとか自営業の人たち、そういう人たちが具体的にいろんな職種選択をする中で、いろんなカリキュラムコースの中で、もう少しその範囲が拡大されればいいかなというふうに感じているんですね。今の職種でいうと、やはりなかなか限定がされるということです。僕ら自身が今関わる中で、若者たちが本当に、非常に、うつ病とか、やはり長期化の貧困の中で非常に精神的に苦しんでいるんです。この要件緩和で欠席率の問題は非常に助かったんだけれども、その中で、いろんな職種の選択とかいろんな職種の希望を聞いて、汎用性、その範囲が拡大できればいいかなと。最大は、やはり窓口で案内してほしいです。ほとんど、僕が関わってきている中で、本当に二、三人ぐらいしか案内がされていないわけですね。やはりその状況が一番でかいかなと。やはり、現場の中でまだ機能しづらいから案内できない、そういう状態になっていないかなということが非常に気になります。以上です。
○伊佐委員 ありがとうございます。そろそろ時間になりました。村上参考人、質問するつもりだったんですが、時間になりまして、申し訳ありません。四人の参考人からいただいたお話、今後のコロナ対応にしっかり役立たせていきたいというふうに思います。ありがとうございました。
○根本委員長 これにて伊佐君の質疑は終了いたしました。次に、鈴木敦君。
○鈴木(敦)委員 国民民主党の鈴木敦でございます。四名の参考人の皆様、本日は御多忙の中をお越しいただきまして、誠にありがとうございます。また、新型コロナ対応につきましては、方々におきまして皆様の御協力をいただいております。本当に感謝を申し上げたいと思います。まず冒頭、村上参考人にお伺いしたいと思います。新型コロナウイルスが日本に上陸をしてから三度目の冬になっております。この間、働き方や生き方、過ごし方まで大きく変化がありました。その中におきまして、リモートワークですとか、あるいは出勤の抑制など、いろいろと現場でも御対応いただいているところではございますが、中でも、日本において、高度経済成長期以降、非常に薄く破れやすくなったのがセーフティーネットでございます。働いている仲間たちは、やはり守っていただいている部分もあり、また自分たちで闘っている部分もあるわけですが、今一例として、職場の労働組合や若しくは今現場で頑張っている仲間たちから、今回も御説明をいただきました雇用保険についてどのような懸念や不安があるのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○村上参考人 ありがとうございます。先ほどの意見陳述の中でも述べましたけれども、今回、コロナの影響、雇用形態ということもございますけれども、産業や業種によって打撃の受け方は違うというところがございます。その中で、やはり交通、運輸関係ですとか、あるいは宿泊サービス、観光、そして飲食などの皆様方の産業には大きな打撃を受けていまして、休業を余儀なくされるといったところがございます。そういったところで、この雇用調整助成金という仕組み、あるいは在籍出向型の産業雇用安定助成金というものをつくっていただいたということで、雇用はつながっているということで、本当に大変ありがたいという声をいただいております。私ども、今、春季生活闘争ということで賃上げ闘争を、始まっているところでありますが、そういった会議体の中でもこの雇調金が大変重要だということの声が出ておりまして、そのことも踏まえて、やはり安定的な財政運営ができるような財源確保ということを是非お願いしたいと思っております。ありがとうございます。
○鈴木(敦)委員 ありがとうございます。私も一般の会社で働いておりまして、一時期は労働組合にいたこともございましたが、その中でも、今まで働いている仲間たちを守ってきたセーフティーネット、国が本来昔はやってきたものが希薄になってきている。そして、正規と非正規の問題もございます。私も非正規だった時期が一時期ございました。そのときは、守ってもらえるセーフティーネットが正規とは大きく異なって、更に網の目が粗いものになっています。非常にこぼれやすいものに、システムになっておりますけれども、村上参考人、正規と非正規で、組合の方にも御相談、別々に取っていらっしゃると思いますが、特に非正規の皆様から今御要望ですとか御意見ですとかあるのであれば、教えていただけますでしょうか。
○村上参考人 ありがとうございます。日常から私ども労働相談活動というものをやっておりまして、組合員以外の方からの御相談も受けているところであります。そういった中で、コロナに関して言えば、やはり休暇の問題などはありまして、十分、正社員であれば、有給休暇、特別休暇などで措置、休めるといったところがあるところを、非正規ということで、仕事をしていない日はもう欠勤となってしまうといったことがございます。また、シフト勤務の課題などもありまして、雇用はつながっているんだけれども、仕事の時間が減ってしまう、仕事の日数が減ってしまうということで、収入が減ってしまうといった御相談も寄せられているところであります。そういったことなども踏まえて、やはり、セーフティーネットとして、この間、制度としてはだんだん拡充をしてきております。元々パートタイマーは適用されなかったところをパートタイマーに広げて、さらに、雇用期間の継続の見込みのところについても、リーマン・ショックを受けて拡大をしていただいております。そういった様々な事情に応じて、また働き方の多様化に応じてセーフティーネットを拡充してきていただいておりますけれども、今般のコロナを踏まえて、どこが課題だったのかということをしっかり検証して、どういった制度をつくっていくのかということをやはり今後検討していくことは重要だと考えております。
○鈴木(敦)委員 非正規の場合も正規も同じですけれども、働いているという点では皆様同じでございますので、この点につきましては私たちもしっかりと認識をして、対応していかなければならないと思います。それを申し上げた上で、同じように働いている方、そして、重要な役割を果たしているにもかかわらず、待遇が一向に改善されない職種がございます。これは本日の村上参考人の資料の五ページにもございますけれども、介護、看護、保育士等の職種の平均勤続年数と収入ということで資料をいただいております。私の身の回りに、同級生が、実は何人か保育士になった方がおられます。高い志を持って、子供たちのしっかりと面倒を見る、そして働いている仲間が安心して仕事ができるようにすると、高い志を持って専門学校に入り、そして教育を受けて、子供たちのために頑張っている仲間たち、非常にいらっしゃいます。ただ、村上参考人がおっしゃったとおり、この方々におきましては労働組合がない場合がほとんどでございますし、また、賃金が低く待遇も余り高くないという現状が実はございます。本日お伺いしたいのは、総予算、今審査中でございますが、その中でも待遇改善が言われております。しかしながら、この内容で果たして十分なのかどうかは私たち懐疑的に思っておりまして、村上参考人として、組合や若しくは連合として、そういった意見等が入っておられましたら御紹介願えますか。
○村上参考人 ありがとうございます。先ほど意見陳述でも述べましたけれども、今回、介護、看護、保育等の関係の職種についての年収の引上げの措置について、これは一歩前進だと思っております。やはり、その職場の状況に応じた現実を見た上で処遇改善していかなければならないという認識を皆さん持っていただけたというところはありがたいと思っております。ただ、これで全て十分かというと、まだまだ足りない部分があると感じております。やはり、仕事に応じた、その仕事の重要性とか仕事のつらさとか負担感といったことと、ほかの産業と比べた場合どうなのかというところを見ると、やはりまだまだ、初めに仕事に入るときにはやる気に満ちていた方々が魅力を感じなくなってしまうということもあるのではないかと心配をしております。公立の施設であれば、私どもも、労働組合もあるところですけれども、それ以外のところは労働組合がない職場が大変多いというふうにも考えておりますので、労働組合をつくっていくということももちろん大事ですけれども、そういったところの処遇改善できるように、政府におかれても措置をしていただきたいと考えております。
○鈴木(敦)委員 ありがとうございます。引き続き、この待遇改善等々につきましては、この国会でも議論をさせていただきたいと思いますし、また、組合の皆様にも勉強をさせていただきたいところがございますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。さて、瀬戸参考人にお伺いをいたします。本日、この国会において貧困の問題を取り上げていただいたこと、また、非正規や、電話、電気、そういったライフラインが止まってしまった方々の声をこの国会に届けていただいたことを感謝申し上げます。私自身も、非正規で働いておりましたとき、電気が止まって電話が止まって、そうなると生活ができなくなってきて、次に止まるのはガスですね。それで、水道にバルブがつけられたときに思うんです、どうしてこうなったのか。自分に情けないと思って、非常に悩みました。そんな中で、瀬戸参考人がこうして活動していただいていることに本当に感謝したいと思います。一度貧困に入りますと、この日本では簡単に抜け出せません。自助ではどうにもならないときが実はございます。実例を挙げさせていただきますが、私が仕事をしていたとき、私は実家がございましたけれども、同期が、社宅があるということで入社をいたしました。賃金が低く、また仕事もきつかったので、仕事を辞めたいと思っても、社宅を出るときにいろんな手当を引かれて、貯蓄もないし手取りもない、そんな中で引っ越しができないので仕事をせざるを得ない、このような状況にある仲間が今もいます。今も彼は仕事をしています。そんな中で、私は、この席をいただいて、皆様の前でこうしてお話しをさせていただいておりますので、言わなければならないし、皆様に知っていただかねばならないんです。瀬戸参考人、今日の資料にも書いてございますけれども、公的住宅手当、これがなぜ必要なのか、実例を挙げて皆様に御紹介願えますか。
○瀬戸参考人 ありがとうございます。今日は余り触れなかったんですけれども、コロナ禍の状況が長期化していて、本当に最近、家賃が払えなくて強制退去、そういう事例が増えています。その中で、要するに、僕らは寮つき派遣とかそういうふうに言っているんですけれども、寮というのはあれですよね、住まいではないですよね。そこについてやはりちゃんと認識を共通化させなきゃいけない、それは福利厚生の一環だと。そういうところで、本当に寮つき派遣からの追い出しが多いです。僕らは、強制執行されると、その日に荷物を積んで、それで引っ越しまでやる、要するにそういう形になっているんですね。そういう事例がやはり多発をしています。僕自身が非常に感じるのが、先ほどのデータにもあったように、このデータではっきりしているように、この間のいろんな報告の中で、若者世代の貯蓄がほとんどない。先ほどの、ネットカフェ、六二・八%の人たちが具体的にそもそも部屋を借りれるような初期費用を持っていない、このことはやはり非常に重たく受け止めていただきたいんですね。ですから、そういう意味でいうと、例えば東京でいうと、生活保護基準の住宅扶助手当について五万三千七百円ですけれども、みんな、初期費用のゼロゼロ物件に入るわけです。だけれども、例えばそれで家賃滞納で二か月すると、すぐ出されるわけです。それで、シェアハウスですね。僕が非常に気になっているのは、地方から多くの女性たちが東京に出てきます。そうしたときに、保証人もいない、友達もいない、だからシェアハウスに入るしかない。シェアハウスについても、多くのシェアハウスが二か月でみんな出しちゃうんです。そうしたときに、今日書きましたけれども、明確に、家賃支援という形でいったときに、まず、そこの入居支援ですよね。入居支援のところについての具体的な補助制度、それと、収入に応じた家賃支援ということですね。住居確保給付金がこの間一歩進んだということはやはり大きいと思います。そのことをちゃんと恒常的にお願いをしたい。それと、先ほどもちょっと触れたんですけれども、やはり公営住宅の問題ですよね。例えば、都営住宅の自治会長の話を聞いても、たしか狛江市だったかな、八〇%が六十五歳以上の高齢者で占められている。そうしたときに、高齢者ばかりの都営団地についても、逆にコミュニティーが崩壊している。そういうような公営住宅に、若者世代が具体的にちゃんとしっかり入れるようにしてほしい。そうしたときに、コミュニティーの有機的な連携も可能になるじゃないですか。東京都でいうと、六十歳未満は入居要件外です。そういうところも含めて対応をしていただきたいなというふうに思います。
○鈴木(敦)委員 ありがとうございます。私自身も一時当事者だった者として、瀬戸参考人のこの御提言、重く受け止めたいと思います。更にお伺いします。携帯電話のことですね。ここの資料にも書いていらっしゃいますが、確かに携帯電話は、実質上、これが社会的なIDとして使われているというのはまさにそのとおりだと思います。携帯電話が今なければ、情報が得られないとか、連絡が取れないという意味だけではなくて、個人として尊重されないに近い状況のものがございます。幾つかの行政サービスにおいても、携帯で問合せをしてくださいという窓口がいまだに多くございます。まあ、メールアドレスを書いてあったり、フォームがついている先進的なところもございますが、幾つかは、これ、私ども国民民主党も何度か提言をしましたが、行政サービスが携帯電話若しくは電話番号でやってくださいと言われたときに、携帯電話が止まった人たちは、じゃ、どうやって助けを求めるのか。携帯電話が、音声通話ができなければ、彼らがどうやって助けを求めてくるか、これは我が党の代表だったと思いますが、助けを求める人たちの大半はメールなんですね。これは本日の資料の中にも書いてあります。なぜかというと、携帯が止まった後、フリーWiFiで皆様助けを求めてくるんです。これをしっかりと私たち、認識をしなければならない、自分たちも本当にそれを我がものとして考えなければならない。そして、私は実際にやりましたので、皆様に代わってここで申し上げたいと思いますが、行政サービスの中でも、やはり、助けを求めたいという人たちが多くいる中で、音声通話に限定しているこの現状について、瀬戸参考人、何か提言はございませんでしょうか。
○瀬戸参考人 要するに、携帯電話、先ほどお話があったように、僕らの問合せについてはあえてメールが中心なんですね。ですから、メールが、要するに携帯電話が止まっている人たちからの問合せがやはり多い。そういうことの前提で考えたときに、まず一つ、福祉行政の中で、一部の福祉の窓口でいうと、携帯電話の要するにレンタルをしている自治体が一部あります。でも、本当に一部ですよ。具体的に、携帯電話がないと、その後、例えば、アパートを借りたいとか、就労もできないんですよね。ですから、この問題についてしっかり、携帯電話が止まってしまう以前の問題については後で触れます、止まったときに、じゃ、例えば福祉的な支援を受けるときに、一定期間ちゃんと携帯電話が行政のところで貸出しできるサービスがやはり必須だと思います。そうしないと、その後の、具体的にアパートを借りる、それと、例えば仕事をするということについての道がなかなか進まない、そういうことがあります。それと、僕は生活保護費の特別加算という話を実はあえてしたんです。というのは、これは直接生活保護の問題じゃないんだけれども、若者たちの生活費、これは、携帯電話が非常に金額が高額の料金を払っていて、止まってしまう、そういう事例がやはり多いです。それでブラックリストに載ってしまう。そうしたときに、いろんな制度とか、いろんな支援のことを考えたときに、生活保護の例えば基準の引下げのときの、二〇一二年、二〇一三年の頃と今の時代の若者たちの携帯電話料金の問題というのは全然状況が違うわけです。そういう意味でいうと、先ほどの福祉制度の見直しのときに、明らかに状況が変わったんだ、社会の構造も変わっているし、そういうような通信インフラのやはり状況も変わっているということも含めてお願いをしたいなと。僕らのところでいうと、携帯電話が止まっていて、もう本当に細いWiFiのエリアですね、僕が待ち合わせするのは大体コンビニなんです。やり取りするときに、どこのコンビニにいる、例えばセブンイレブンの何々店にいる、そこにいてくださいと。そこにいないと会えないんですよね。そういう状況になっています。WiFiスポットの問題とか、そういうことについても非常に現場から感じるところがあります。だから、携帯料金の引下げはやはり必要なのかなというふうに非常に思いますね。
○鈴木(敦)委員 ありがとうございました。予算委員の皆さんに申し上げますが、私のように昭和六十三年の生まれは、大学に入学するときにリーマン・ショック、大学を卒業するときに東日本の大震災、社会的にも経済的にも非常に混乱した中で若い世代を生きてまいりました。これから三十代前半、これは私たちよりも少し下の世代までこうした問題が頻発することが予想されますので、国会でも是非御審議をいただきたいと思います。最後に一問、脇田参考人に御質問がございます。今、オミクロン株が非常に急拡大をしている中で、保健所の機能が非常に逼迫をしているという御説明がございました。その中で、厚生労働省も提言をしておりますが、実際に自治体から上がってくるデータと公表しているデータとの間に乖離が発生する懸念がある、このように言っています。実際に、これだけの、何万という数が自治体から上がってくればそれが発生するのは仕方がないのかもしれませんが、少しでもその乖離を少なくする何か具体的な策はございますでしょうか。
○脇田参考人 ありがとうございます。元々、報告されているデータ、これはHER―SYSに登録されるものでございます。それから、自治体が日々公表しているデータがありまして、そこには多少ラグといいますかがありますし、それから、HER―SYSには様々な入力項目がありますので、それが全て入力されるのにも時間がかかるといったところがあります。したがって、陽性となってから報告されるまでのラグというものを我々としては今調査しながら、どういった自治体でそういった報告の遅れが顕著になっているかということはこれまでアドバイザリーボードでもデータを出しておりまして、そういった自治体でどういった問題があるのか、医療機関、保健所、そして、まあ、感染原因といいますか、入力というところになりますので、そこのどこに問題があるかというところを今調査をして、それを改善できるように努めているというところでございます。
○鈴木(敦)委員 ありがとうございました。終わります。
○根本委員長 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。今日は、四人の参考人の皆様、大変お忙しい中、貴重な意見を賜りまして、ありがとうございます。まず、瀬戸参考人にお話をお伺いしたいと思います。今日、お話で、駆けつけ支援をやった際に、福祉事務所の対応が、大変、いろいろ問題があるんじゃないかというお話もございました。もちろん、ケースワーカーの皆さんが一人で本当にたくさんの人の対応をしているという問題もあるかとは思うんですけれども、具体的な改善策について、御意見があればお伺いしたいと思います。
○瀬戸参考人 お答えします。改善策の前に、ここにちょっといろんな事例が出ています。この間、やはり、僕らが生活保護の申請の同行に行かないと十分な対応がされない。例えば、先ほど話したように、追い返しですよね。本当に、若いんだからあなたは生活保護を受けられませんよとか、いろんな形で追い返されます。これ自身が、具体的に、生活保護の趣旨からいって外れているのではないですか。要するに、違法な対応が繰り返されているということです。分権という形で僕が非常に気になっているのは、東京都内のところでも、自治体対応格差が非常に激しいです。ですから、ここの福祉事務所に行けば非常にいい対応を受けるけれども、ここの福祉事務所に行けばとんでもないことになる、そういうことが頻発をしているんですね。そういうような対応がなぜ起きるんでしょうか。ちゃんと生活保護法にのっとって、適正な運用をしっかりと行うということについてお願いしたい。例えば、東京都でいうと、居所がない人たちが具体的に申請に行ったときに、ビジネスホテルを提供していいですよ、そうしたときに、二十三区のうち十区ぐらいしか出さないんです。そういうようなことがなぜ起きるんでしょうかということです。この問題について、よくあります。僕らが、東京の区内で何か問題が起きたときに、東京都に話をします。そうしたときに、それは最終的に自治体の判断ですというふうになるんです。こういうようなばらつきについて、厚労省がしっかり調査をして、お願いしたい。もう一つは、施設強要ですね。ここに出ています無料低額宿泊所です。全ての無料低額宿泊所が悪いと言っているわけではありません。実は、僕らの相談者で、生活保護を利用したことがある人たちの三割がこういう施設から逃げ出しています。いまだに集団部屋。例えば、東京都でいうと、生活保護費が全て合わせて十三万六千円ですけれども、十万円以上、十一万円以上が実は施設費等々で抜かれているわけです。それに対して、具体的に、福祉の方が放置状態です。ケースワーカーが一度もその施設に訪問したこともないのに、その施設に入れる。その人たちは家がないから自立できるか分からない、だから、その施設に入れて判断するんだと。コロナ禍の中で、これだけ想定外の状態で、居所を失った人たちに対して、なぜ、その施設の中で集団で訓練をして、そこで頑張って、耐えて、三か月、六か月したらアパートで自立していいんだよというふうに言われるんでしょうか。これは男性だけではありません、女性もそうです。そういう状態で、ここに出ているように、何で所持金が百円なんでしょう。福祉事務所に相談して、対応してくれなかったからですよ。相談しても追い返されたからですよ。だから、信用できないからこういう状態になって、所持金が百円になっているんです。本当に、国として、今福祉事務所の実情がどうなっているのかということについて、しっかり、ちゃんと現場を見てほしい。それと、生活保護の法律が、具体的に、ちゃんと、しっかり自治体でそのまま運用されているのか。これについては、僕が福祉事務所が人を殺すというふうに書いているのは、そのことによって死に至らしめる、そういう事態が起きているんだということです。済みません、長くて。
○宮本(徹)委員 生活保護の適正な運用については、本当に、厚労省からもしっかり指導、調査という提起がありましたので、取り組んでいきたいというふうに思います。それから、あと、居住の貧困というお話がございました。先ほどのお話も伺っていましたけれども、やはり日本の住宅の支援というのは、持家に対しては住宅ローン減税でかなりの支援が行われていますけれども、賃貸に対しては本当に支援が乏し過ぎるというのが実情だと思います。それから、本来だったら、公営住宅入居基準を満たすぐらいの収入基準の方にはみんな家賃助成制度があってしかるべきではないかというふうに思いますが、そうした、やはり住宅政策の根本的な転換が必要じゃないかと思いますが、現場から見てどうお考えでしょうか。
○瀬戸参考人 先ほど、具体的に、いろんな支援制度について話をさせていただきました。やはり僕ら自身が非常に感じているのは、公的住宅の支援の問題と、先ほど出ていた、空き家とか、あれだけ空き家住宅があるのに、僕らが福祉事務所に行ったときに、空き家住宅の提供、居住支援協議会、法人を経由して、具体的にそこから情報をもらってそれを提供するという、そのスキームがほとんど出てこないんですね。そういう意味でいうと、公的住宅や家賃支援制度や空き家住宅の活用というのは、幾つかそれはこの間ずっと話をしてきました。そこの、住まいの部分についての、先ほどの、横串を刺して、こういう情報が要するに常に循環してその提供ができるということについての、ある意味で、国土交通省や厚労省や幾つかのところで連携をして、お願いをしたいなというふうに思っています。それと、アパートに入居できないという理由の中で、やはり身分証明書とか、知人、友人がいない、そこで保証人がいない、緊急連絡先がいない、この問題について、どうやって公のところがしっかりサポートしていくのかということについて、やはり必要かなと。やはり身分証がなければ借りられないんですよね、アパートが。そういう状態もあるのかなというふうに考えています。
○宮本(徹)委員 ありがとうございました。そうしたところも、しっかりとした制度設計を求めていきたいと思います。続きまして、村上参考人にお伺いしたいと思います。今、休校、休園が広がっていまして、小学校等休業助成金への問合せも本当に増えているんですけれども、一方で、これが、なかなか企業が使ってくれない、個人申請をしても事業主が協力してくれないという声がかなりたくさん上がっているわけですけれども、この改善についてはどうお考えでしょうか。
○村上参考人 ありがとうございます。御指摘のような状況があると伺っております。まず、対象の御本人たちに制度が知られていない。小学校等という名前もございますので、保育園等も対象になっているのかどうかというところも理解されていない部分もあるかと思います。また、それ以外にも、制度そのものが知られていなかったりするということ、そして、事業主が申請してもらえないといったようなことは伺っているところです。改善策として、まずは、事業主にきちんと申請するようにというところを、改めて制度を徹底していただきたいというところがございます。また、一部、電子申請というものも、本人から事業主を経由しないで支給してはどうかといった御提案もあるとか、様々、以前の仕組みを少し変えていくべきではないかといった御提言もあるというふうに聞いております。そういったことを踏まえながら、より使いやすい制度にしていくということが必要かと思っております。
○宮本(徹)委員 ありがとうございます。是非、連合からも政府への働きかけ、お願いを申し上げたいと思います。それから、本委員会で、労働政策をめぐって岸田さんが、新しい資本主義だ、新自由主義の弊害を正すということなんかも議論になっているんですけれども、その一方で、解雇規制の緩和を主張する議論も行われていますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
○村上参考人 解雇規制につきましての議論ということですが、特段、今審議会などで俎上に上っているということではないとは承知しております。ただ、一部、解雇の、例えば金銭解決を入れたらどうかといったようなことの御主張は様々なところでなされているというふうに承知しております。その点につきましては、私どもとして、解雇の金銭解決制度は導入すべきでないという考え方で、一貫して対応してきているところでございます。
○宮本(徹)委員 ありがとうございました。脇田参考人にお伺いしたいと思います。幾つかあるんですけれども、一つは学校のことなんですけれども、幾つかの自治体では、休校の基準について、文科省の基準よりも緩和するという対応を取り始めております。今、クラスに二人感染者がいたら学級閉鎖ということを決めているのが文科省のガイドラインですけれども、ただ、これだけ感染が広がると、別に学校で感染が広がっているわけではなくて、Aさんの家庭とBさんの家庭でそれぞれ家庭内感染で、クラスで二人感染者がいるということで、それで学級閉鎖というのは、こういうことになると、更にこれから感染が広がるということを考えると、本当にどんどんどんどん学級閉鎖になりかねないというふうに思いますので、これは専門家の皆さんからも、ちょっと、しっかりと整理をして。学校で感染が大きく広がっている状況だったら、それはもう当然、そういう、インフルエンザと同じようにしっかり対応しなきゃいけないと思うんですけれども、今の基準についてはもう少し検討が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○脇田参考人 御質問ありがとうございます。その点につきまして、我々専門家の間でもかなり議論をしているところであります。小中学校、それから幼稚園であったり保育園というところがありますけれども、それぞれ役割というのが、小中学校になれば学びという意味が大きくなりますけれども、保育園、幼稚園というところになると、預かりの場所というところの意味合いも出てくると思います。それで、確かに、委員がおっしゃったとおり、小児の感染というものが地域の感染拡大の主な要因というわけでは今ありません。インフルエンザのように、それこそ本当に、そういった、学校における感染拡大が地域の流行につながるというところではないと我々は認識をしていて、できる限り教育の機会を継続するということは重要でありますので、休校であったり学級閉鎖の基準というものをなるべく明確にしていって、一人、二人で止めるということはしないということも重要だというふうに思っております。ただ、有症状者、症状がある方がいれば、それはもう、なるべく休んでいただくということ、それから、学校等は感染対策がかなりできると思いますので、感染リスクの高いプログラムを止める。あるいは、部活がかなりリスクがありますので、そういったところもなるべく減らしていくといった対応をしていくということが重要であります。それから、休校であったり学級閉鎖の期間ですね、どの程度休む必要があるのかということも、これは科学的なデータもある程度出てきていますので、そういったところも併せて見ていただいて、提言をしていくということも我々も考えております。
○宮本(徹)委員 引き続き、脇田参考人にお伺いしたいと思います。あと、水際対策なんですよね。ずっと外国人は原則入国停止ということがまだ続いているわけです。元々、私自身の感覚からして、別にウイルスは国籍を選んでうつるわけじゃないですから、日本人と外国人と同等でいいんじゃないかという思いをずっと一貫して持っているわけですけれども。更に言えば、これだけ日本の中でオミクロン株の感染が広がっている下で、今のような在り方でいいのかと。今のような在り方というのは、防疫上何か意味があるのかという点についてはどうでしょうか。
○脇田参考人 水際対策についての御質問だと思います。アドバイザリーボードでも、まとめとして、水際対策について書かせていただいておりますけれども、現状でも、かなり検疫で陽性になる方が今検出をされているというところであります。日本の感染状況が今かなり拡大をしていて、それの意味があるのかという御質問だと思いますが、一方で、検疫における検出されているのが、今、日本の主流の株、BA・1系統と申し上げましたけれども、検疫においてはBA・2の系統が、その割合がかなり大きくなってきているというところであります。日々百名を超えるような陽性者が検疫で見つかっていますので、そういったものを安易に本当に国内に入れても大丈夫なのかといった議論があるんだと思います。それから、海外での流行状況をしっかりと見ていく必要もありますので、そういった対策は必要だと思いますけれども、委員がおっしゃるとおり、国内の流行状況とそれから海外の流行状況、これをしっかり比較考量といいますか分析をして、適切な水際対策というものが必要だと思います。
○宮本(徹)委員 私は、どんどん緩めろと言っているという話ではなくて、やはり日本人と外国人でこれだけ異なる対応を取り続けるというのは、何か逆に、ウイルスというのは外国人が広げているんじゃないか、そういう差別にもつながるんじゃないかという思いもありますし、本当に、留学生で日本で学びたいと待っている方々もいる下ですから、やはり科学的にやる方が大事ではないかなという思いを持っております。それから、これはもう一問、脇田参考人にお伺いしたいんですけれども、デルタ株までは潜伏期間が四から五日間だということで、発症前からウイルス量がかなりあって、うつすんだと言われていました。オミクロン株はこの潜伏期間がかなり短くなりました。その下で、オミクロン株もデルタと同じように発症前からばんばんうつしているものなんでしょうか、どうなんでしょうか。その辺りをお聞かせください。
○脇田参考人 お答えしたいと思います。我々、調査していますのが、シリアルインターバルと世代時間というのがあって、感染から感染、発症から発症というものがあります。それから、潜伏期が今御案内のとおりありました。潜伏期は大体平均三日間ということですけれども、世代時間というのはそれよりも短いんですね。短いということは、発症前に感染が起きないとそういう現象は起きないということですので、オミクロン株になっても発症前に感染が生じているということは、我々、推定をしているというところであります。
○宮本(徹)委員 多分、いや、数字を引くと、世代時間二・一だ、それから潜伏期間が三日だとしたら〇・九残るし、感染研の発症日と発症日を比べたやつは二・六日というのが出ていたので、もうちょっとその間は短いのかも分からないなと思うんですけれども。それと同時に、一月五日に感染研と国際医療政策センターでしたっけ、が一緒に出していたペーパーを見ると、発症前あたりのウイルスを見ると、分離できたわけですよね、感染性があるウイルスというのが分離できた検体の件数は少なかったですよね。それを見ると、何となく、ちょっと違うのかな、これまでのデルタとは、という印象も私は持っているんですけれども。ただ、世代時間と潜伏期間との関係を見ると、そこから見れば、やはり事前にうつしていなきゃおかしいしと。何となく、一月五日のデータとそれぞれの数字が合わないなという印象を私は持っているんですよね。その辺りは何か教えていただけるでしょうか。
○脇田参考人 ありがとうございます。どうしても発症前の検体を多く集めるというところが技術的に難しいというところはもちろんあると思うんですね。今回、検疫で陽性になった方が主に無症状でも陽性になって、その方々が今回全員入院しましたから、検体を採取して、そういう方々で調査をしたというのが、発症前、ウイルスの分離のデータだと思います。一方で、様々な調査方法があって、例えば家庭内での感染状況を実地疫学的に分析をしたりというような状況を見ますと、かなり感染源の方とそれから二次感染者が短い時間で感染を起こしているという例も疫学調査では見つかっていますので、必ずしも発症前に感染をしなくなったというふうに我々は理解をしていないところです。
○宮本(徹)委員 ありがとうございます。河野参考人にもお伺いしたいと思っていたんですけれども、ちょっと今、質問時間が終了しましたというのが来てしまいましたので、申し訳ございません。どうもありがとうございました。
○根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。次に、仁木博文君。
○仁木委員 有志の会の仁木博文と申します。今日は、四人の参考人の皆様方、本当にありがとうございます。私、この予算委員会におきましても、国民の命と健康、特にそれを感染症を含めた脅威から守る日本版CDCという組織に関して提言をしてまいりました。そういう中で、今日、脇田先生、そして河野先生に質問しますし、特に河野先生のプレゼンテーションにおきましては、そういったビジョンが共有できるような感じに思いましたので、また後の方で質問させてもらいたいと思います。そういう中で、まず脇田先生に質問しますが、それぞれのコロナ感染症、特にウイルスの属性ということで、感染力であったり、あるいは毒性ということがあると思うんですね。感染力ということに関しての、その根拠、これというのはどういう形で出されていますか。それは、毒性と併せてお答えいただければありがたいです。
○脇田参考人 委員の御質問は、オミクロン株の感染力、それから病原性といったものをどういった根拠で分析をしているかということでありますけれども、これは、これまで変異株の分析でも我々は行ってきたところですけれども、まず感染伝播力に関しましては、変異株の置き換わりのスピードというものが観察をされます。それによって、実効再生産数の程度がどの程度違うのかということを分析してまいります。そうしますと、デルタ株に比べて、当初、オミクロン株は四、五倍程度あるのではないかということが言われました。ただ、先ほどからありましたように、世代時間が短いということがありますので、世代時間が短いとどうしても急速に感染拡大していくという性質がありますので、実効再生産数では一・六倍程度ではないか、そういったところで分析をしております。それから、病原性につきましても、年代別それからワクチンの接種の有無についての重症者それから致死率というものを見ておりまして、デルタ株と比べますと、やはり、ワクチンを接種している、あるいはしていなくても若者世代であれば重症化率それから致死率というのは低いというのは分かっていますが、ただ、高齢者であったり、特にワクチンを打っていない高齢者はデルタ株とほとんど変わらないというようなデータも出ていますので、ウイルスそのものの肺炎の起こしやすさというのはやはり低くなっている。これは、上気道の感染が主であるというところが原因なんですけれども。ただ、高齢者に感染しますと、やはり基礎疾患の悪化であったりといったところで重症化あるいは致死率というのが上がってくるということが分かってきております。
○仁木委員 ありがとうございます。それにおきまして、後者の、病原性、毒性のことで質問させてもらいたいんです。今言われた様々なワードですけれども、そのデータというのは、例えば、私が思うに、最前線で治療しているところからも得られると思うんですが、実際、今、例えば各都道府県における、そういった重症患者さんを診ているICUであるとかそういったところからの生の、あるいはリアルタイムのデータというのは出ていないですよね。特に抽出を選ばれていますよね。その辺をお願いしたいと思います。
○脇田参考人 抽出を選ぶ……(仁木委員「抽出を選ぶというか、どこかと提携しているというか」と呼ぶ)ありがとうございます。現在、悉皆的に収集をしているのはHER―SYSのデータということになりますので、それは届出の情報になりますから、届出時の重症度というものは全て把握をされています。ただ、委員が御指摘のように、現場の病院でその後どのような経過を取ったかということに関しては、必ずしもリアルタイムに全国的な情報が集められるわけではないということになっております。
○仁木委員 私、今回は、ある一つのICUの担当教授とお話をした中で、ワクチンが非常に効果があったということを実感しているということを本当に聞きました。やはり、例えば、それをエビデンスとして国が把握する上で、脇田先生、非常に重要なポジションにいらっしゃるんですけれども、例えば、ワクチンを打っている人の抗スパイクたんぱくを測定するとか、患者さん、あるいは中和活性を測定するとか、そういったことをしていくと、例えば、ワクチンが、今回のオミクロン株に関しても、打っている人の方が重症化が低いとかいうメッセージ、そういうのをしっかりとした形で国民の方に出せていけると思うんですね。ワクチンが今接種率が低いことも、いろいろ理由があります。これは話が少しそれますけれども、ワクチンの交互接種についても先般質問をしましたけれども、やはり、今、ファイザーの方がモデルナに比べて副反応が低いという偏見みたいな情報がありまして、もちろん量は減らしていたりしています。半量になっていますね。それで、実は交互接種した方が、ファイザー、ファイザー、モデルナのように交互接種した方が、実は抗体価が上がって免疫力が高まるんだというような情報を次から次へと発信していくと、交互接種の、つまりモデルナの使用回数が増えたというふうな今実態になってきています。つまり、国民の側からすれば、信用される組織からの情報発信、いわゆるリスクコミュニケーションが非常に大切だということで、その一つを担うのが、私が一つ提言しておりました日本版CDC、そういう疾病を予防するような管理センターの役割ではないかというふうに思うわけです。このモニター等々、基礎研究も併せてですけれども、いろんな情報を海外からも、過去に、先生、海外のそういうラボ、研究機関、あるいは行政的な組織とは情報を得ているんでしょうか。これは、例えば、インド由来のデルタ株とか、あるいはイギリス由来のアルファ株とか、今回、南アフリカ由来のオミクロン株とか、そういうのがあったんですけれども、そういう発祥地である、例えば私がさっき言った機関ですね、そういうのも、もちろん、外務省経由か、あるいは個々につながりがあって情報は得ていて、それで日本に入ってくる水際対策に反映させたり、あるいはそんな感染症対策に反映させたということをされているということなんでしょうか。教えてください。
○脇田参考人 御質問ありがとうございます。海外との情報収集に関しましては、感染研だけではできないというところであります。我々感染研も、WHO、特に西太平洋地域、WPROですね、その地域の事務局とは非常に密接に関連をしておりますし、それから、厚労省の医系技官の感染症専門医官、医務技監ですね、の養成プログラムというものがありまして、それで、米国CDC、それから英国の、今、名前が変わってUKHSAですね、そういったところに派遣をする、それからあとはEUのCDCですね、ECDCといったところにそういった医務技監の研修生を派遣をして情報収集をしているというところで、我々としても、様々な情報をそういったところからいただいているというところで、対策に役立てております。
○仁木委員 私は、そういう意味で、様々な情報を得るためには、やはり、エネルギーというか、これは、お金もそうですし、そういう人材も必要になります。そういう情報をやはり得て、そして、今回のような、社会的にも日本国全体に影響を及ぼすような、経済的にインパクトを与えるようなこういう感染症対策、パンデミック対策に生かせるような組織構築というのは重要だということを訴えているところであります。実は、この問題というのは、さっきHER―SYSの話をされましたけれども、これは本当に医療の現場でもかなり負担になっていますし、必ずしもそういったことを、医師の指導の下にその情報入力をするメディカルクラーク等々がそろっているわけでもないですし、実際、この感染症対策を担っているドクター、あるいはそのチーム、負担もかかっていると思います。こういった情報を、例えば、私がこの前の予算委員会でも申し上げたのは、今、オミクロン株に罹患して、いわゆるリカバーしている人が結構いらっしゃるわけですね、大多数の人が重症化していないわけですから。そういった方々の罹患履歴も例えばHER―SYSに入れるとか、そういったことで経済を回していくということで、与党さんが出されているワクチンパスポートなるものを免疫パスポートに変えるとか、そういったことも提言しているところであります。これは、一方、医療的な側面からいいますと、例えば、一昨年の新規のがん登録者数が、通年、いわゆるコロナ禍前の六割になった。これは、四割減って喜ぶんじゃなくて、実は、医療介入する、つまり早期発見される人が減ったというデータでもあります。何が言いたいかといいますと、そういったがん治療、そして通常医療における例えば救急医療、かなり影響が出ています。実際、患者の側にとっても、そういった、感染症があるかもしれないというので面会もできないんですね。愛する家族の最期に立ち会えないというふうな、そういう悲しい場面、これは介護施設でも出ています。そういった情報も、これは、脇田先生のところには届いた上での、いわゆる今回のオミクロン株に対する感染症対策をアドバイザリーボードに提言されているのかというか、そういったことも実は知りたいわけでございます。これは、ある種、先ほど足立委員の方が質問されたことにもつながるんですけれども、やはり、その場その場で、その場その場というのは、感染症を、パンデミックを引き起こしている株に対応した柔軟性というのは必要でありまして、そういった、行き過ぎる、あるいは、従来デルタ株が強かったからとかそういうことで、それを今回も当てはめていくと、やはりそれは難しい。もちろん、これは、いろんな組織のありよう、あるいは、立法化に基づく行政のありようもあるわけですけれども、そういったことに対して、何か所見というか、今私が申し上げたことに対して何か御意見ありましたら、お願いしたいと思います。
○脇田参考人 ありがとうございます。今、大変幅広いところから御意見をいただいたというふうに思います。まず、サーベイランスとデータベースということになるかと思うんですけれども、HER―SYSはその両方の役割が組み込まれてはいるんですけれども、どうしてもこういった感染急拡大の状況になりますと、やはり、保健所、医療機関共に、かなり負担が大きくなってきて、入力項目も重点化していく必要がどうしても出てきてしまう。そうしますと、患者さんの経過、そういったものを必ずしも把握ができるようなものにはならないということになりますので、データベースの機能としては、しっかりとそこは充実させながら、感染者数の状況をしっかり把握するといったサーベイランス機能、この二つを、切り分ける必要はないかもしれませんけれども、両立をさせていく仕組みをしっかりとつくっていくということが必要だと思います。それから、本当に、高齢者施設であったり、それから病院の面会の問題とか、これは、アドバイザリーボード、あるいは分科会のときでも、やはり、面会をしっかりと再開をしていく、そういった社会活動をしっかり再開しなければいけないといった声がよく議論としても上がってきますし、そういった提言をしているところもあります。ただ、新規がん登録者の低下とか、そういった、一般、通常これまでしっかりやれてきた医療が、今後、本当に日本の健康問題にどのように影響していくかというところについては、なかなか我々のところだけでは議論が難しいところだと思いますので、先生方の御意見も伺って、我々としても議論を進めていかなければいけないポイントだと思っております。
○仁木委員 データベースの取り方、あるいは、そういったスタディーの結果、アウトカムの反映の仕方、これは本当にすごく政治的な問題でもありますけれども、先生も多々、現場にいらっしゃって思われることが多いと思います。私は、そういう意味で、改めて、日本版CDC、かなりそういった、これは、河野先生もおっしゃっていました人材育成にもつながることですし、場合によったら、メイド・イン・ジャパンのワクチンを作っていく、あるいはメイド・イン・ジャパンの治療薬を作っていく、そういったことにもつながる組織になるべきだというふうに思っております。それでは、河野先生の方に御質問したいと思いますけれども、先生、日本の基礎研究に対しての予算が少ないというのは、本当にこれは、今、日本の様々な国際的な指数の中でも結果が出てきていまして、もうなかなかそれを元の、日本が科学立国で輝いていた時代に戻すというのは難しくなりつつあるんですけれども、今ここで踏ん張らなきゃいけないと思います。今、阻害しているものというのはどういったものが、もちろん、予算化に対する国民のコンセンサスをやはりこの際にかなり高めていく。実際、私も現場でワクチンを打っていまして、国産のワクチンがあったらいいなとか、あるいは、国産ワクチンだったらもっと、調達も予定どおり政府が、先般も河野大臣がワクチン担当大臣だったときに、入ってくる、職域接種もできますよと言っていたのに供給ができなくなった、ワクチンが調達できなかったということで遅れたこともありましたけれども、そういったときにも国民の声として、やはりメイド・イン・ジャパンのワクチンがあればそういうことはなかったのになという声もありました。そういうことを踏まえて、先生、何か御所見はありますか。
○河野参考人 ありがとうございます。何が予算、研究費を阻害していたかという御質問と思いますけれども、これはむしろ先生方が、国民がですね、先生方が阻害していたんじゃないかというふうにはっきり思います。結局、例えば国立大学の運営費交付金は、ずっと、年々、この十何年間、減らされ続けました。もう明らかに、ここはもう体力が落ちております。そして、なおかつ、盛んに諸外国との批判をされますけれども、これだけ手足を奪いながら頑張れというのは、もう無体じゃないかなと思います。やはり、おっしゃいますように、国民の理解がないと、こういった、例えば国防としての感染症のための継続的な十分な予算というのは、それはもう無理だと思いますけれども、今回の経験を是非生かして、やはりこういったものは継続的に必要じゃないかということを国民とともに、立法府、行政府の皆さんがしっかり御理解いただかないと、また一過性に、今回コロナで何兆円つけた、それで終わってしまって、終わったらまた元のもくあみとならないように、是非、先生方にしっかり頑張っていただければと思います。以上です。
○仁木委員 河野先生、ありがとうございます。まさに今、五つのグループが新しいメイド・イン・ジャパンのコロナワクチンの開発も進めているという情報があるわけですけれども、もし仮に、製品化できない、いわゆる臨床の場で使われないワクチンになったとしても、例えば、そこで用いた研究を、あるいはそのプラットフォームを、実はバイオヘルスの、ほかの分野にも使うということも言われておりますが、やはりこの際、日本というのはこういった健康面で世界をリードする国にする意味でも、先生おっしゃったようなことをクリアしていく、そしてまた、まず私たち国会議員がそういう認識を持つということはやはり重要だというふうに、今、先生の御所見で改めて感じたところでございます。改めて、ちょっと話を戻すんですけれども、このように、このコロナウイルス感染症というのは、社会、そして医療、様々な形で影響を及ぼします。今、そこで、疾病分類の話も出ましたけれども、私が感染症法に望むというか、あるべき形というのは、さっき日本版CDCということを出しましたが、そういったCDCの方々によって、同じ、例えばコロナウイルス感染症であったとしても、その方々のいわゆる提言というか、いわゆる示唆というか、そういったことによって分類も変えていけるような形にしていけばいいのかなと思っております。さもなければ、いろんなまた法律を作った上で、また設置の根拠をつくり、また専門家会議をつくり、またそこで予算、そうじゃなくて、これからこの病原性というのは、今後、またいろいろな形で日本に起こってくるわけですし、また変異していくわけですし、そういったことに対することで、日本版CDCというのを、改めて、つくっていきたいなということを皆様方にもお願いしたいと思います。今日は長くなりましたが、そういったことで質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。
○根本委員長 これにて仁木君の質疑は終了いたしました。以上をもちまして午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。