2022年2月17日 衆院予算委員会第三分科会 インボイス中止訴え
日本共産党の宮本徹議員は17日の衆院予算委員会分科会で、消費税増税に伴うインボイス(適格請求書)について、導入中止を訴えました。
宮本氏は政府調査で免税業者と取引のある事業者のうち、取引価格の引き下げなど条件変更を検討しているのは半数に上るとして、「許容範囲と考えるのか」と迫りました。鈴木俊一財務相は「免税事業者への影響を軽減できるようにしたい」と述べるだけで、影響を否定できませんでした。
宮本氏は、理由を示さない解約の規制がない現行の独禁法では、インボイス導入で立場の弱いフリーランスが守られず、取引から排除されると指摘しましたが、鈴木財務相は、具体的な対応策について示すことができませんでした。
宮本氏は、インボイス制度は、増税分の2480億円を体力のない業者間で押し付け合う制度であり、岸田政権の掲げる収入増とも矛盾すると指摘。鈴木財務相は、「影響を受ける残り半数の事業者にはさまざまな取り組みをしていきたい」と述べるだけで、否定できませんでした。
宮本氏は、政府は「インボイス制度は複数税率のもとで適正な課税をおこなうために不可欠のもの」だというが、複数税率を原因にした不適正な事例がどれくらいあるのかとただしました。財務省の住澤整主税局長は、「集計はおこなっていない」と述べ、インボイス導入の必要性を示す客観資料がないことが明らかになりました。
以上2022年2月18日付赤旗日刊紙より抜粋
≪2022年2月17日 第208国会衆院予算委員会第三分科会第2号 議事録≫
○葉梨主査 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)分科員 日本共産党の宮本徹です。まず、インボイスの問題についてお伺いしたいと思います。インボイス導入を決めた際の法の附則百七十一条の二には、消費税の軽減税率制度の導入三年以内をめどに、適格請求書等保存方式の導入に係る事業所の準備状況及び事業者取引への影響の可能性などを検証し、必要があると認めるときは、法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする、こうあります。大臣は、事業者取引への影響の可能性がどの程度悪影響だったら法制上の措置を取るお考えですか。
○鈴木国務大臣 先生御指摘の法律の附則の規定に基づく検証では、免税事業者の行う取引のうち約六割についてはBツーC取引であり、取引の相手方が課税事業者であっても、その約三分の一は簡易課税を適用している事業者であって、このような取引はインボイス制度導入による影響がない点を改めて確認するとともに、免税事業者と見られる事業者と取引のある事業者にアンケート調査を実施いたしました。この結果に基づいて、優越的地位を利用し、不当な取扱いについては、独占禁止法や下請法等の取扱いをQアンドA等により明確化し、各事業者団体への法令遵守要請などを行うなど、免税事業者を始めとした事業者の取引環境の整備に関係省庁で連携して取り組んでいくこととしております。また、令和四年度税制改正におきまして、年や事業年度の途中からインボイス発行事業者となることのできる特例を延長することとしておりまして、これにより、免税事業者の方々が柔軟なタイミングでインボイス発行事業者になるかの御判断をいただけるような法制上の措置を講ずることといたしております。こうした取組を行いながら、今後とも、事業者の状況を踏まえ、インボイスの円滑な移行に努めてまいりたいと思っております。
○宮本(徹)分科員 お答えがないわけですけれども、先ほどの御紹介があった政府のアンケート結果でも、免税事業者との取引をやめるが二%、取引価格の変更を検討する者、課税事業者になることを提案する者、それぞれ二割程度という結果になっているわけですよね。かなり大きな事業者取引への影響があると思われます。この政府の結果については、許容できない大きさの影響と見ているのか、許容の範囲だと考えているのか、イエスかノーかでお答えください。
○鈴木国務大臣 イエスかノーかというふうに簡単に答えられませんので、ちょっと申し訳ありません。先ほど申し上げましたアンケート調査の結果では、約半数の事業者が条件を変えずに取引を継続すると回答しておりまして、こうした事業者と取引を行っている免税事業者の取引には影響がないこと、これが確認したところでございます。他方で、残りの約半数の、関係法令を踏まえて取引価格を変更できないか検討するとか課税事業者になるように提案すると回答した事業者と取引を行う免税事業者には、不当な取扱いを受けないように、先ほど申し上げました、独占禁止法や下請法等の関係法令に基づき対処することといたしております。具体的には、免税事業者との取引について発注者側が関係法令上で留意すべき点をQアンドA形式で明らかにし、各事業者団体へ送付をして法令遵守要請を行う、また、下請かけこみ寺や駆け込みホットラインでの相談対応を行う、下請Gメンや書面調査による状況把握や発注者側への牽制を行うといった取組をしてまいります。今後とも、このような取組を関係省庁と連携して行うことによりまして、免税事業者への影響を軽減できるように、免税事業者を始めとした事業者の取引環境の整備により一層取り組んでいきたいと考えております。
○宮本(徹)分科員 許容範囲だとはおっしゃることができないわけですよね。免税業者への影響を軽減したいということを言うわけですけれども、現状は大変大きな影響が出るということを裏返しでは認めているということですよ。だったら、法の措置、百七十一条の二の条項を発動して、これは止めるべきだと私は思いますよ。先ほど来、QアンドAを出したということをおっしゃられます。その中では、取引価格の引下げに応じない場合の解約について、優越的な地位の濫用など、独禁法が適用される可能性には言及されております。しかし、今でもしばしば行われている理由を示さない解約や更新拒絶、あるいはインボイス以外の理由を挙げての解約や更新拒絶、これについては何らの規制もないわけですね。これらの規制がない現行法の下でインボイスを導入すると、立場の弱いフリーランス、免税事業者が守られず、取引から排除されるという指摘が当事者からなされているわけです。大臣はこの指摘にどう応えますか。
○鈴木国務大臣 事業者が取引先の免税事業者に対しましてインボイス発行事業者になるよう要請すること自体は独占禁止法で直ちに問題となるものではございませんけれども、そこにとどまらずに、課税事業者にならなければ取引価格を引き下げろとか、それにも応じなければ取引を打ち切るなどと一方的に通告するといった行為、これは独占禁止法上又は下請法上問題となるおそれがある、そのように承知をしております。関係省庁においては、事業者からの相談にも広く応じてきております。加えて、具体的な事案に対しては積極的に対処していくことと承知をしております。具体的には、書面調査等の機会を利用して、情報源が明らかとならないような、そういう配慮をしっかり行った形で端緒を収集し、対処していくことと承知しています。今後とも、関係省庁とも連携しながら、制度の周知、広報を始め、こうした取組をしているんだということも丁寧に説明し、進めていきたいと思っております。
○宮本(徹)分科員 私は、それでは駄目だという声を紹介したわけですよね。取引価格を下げなきゃ応じない、だったら、そんなところにはもう取引を続けませんよ、解約だと言ったら、それは、明言したら当然独禁法の対象で、優越的な地位の濫用になるでしょう。しかし、そう明言せずに解約を、違う理由だとかを並べ立ててやるケースというのは、今までもいろいろなことで起きているわけですよ。それが今の現状なわけですよね。そうしたままでインボイスを導入したら、本当にどんどんどんどん、取引価格の引下げに応じない方々は排除されていくということになるわけですよね。そこをどう止めるのかというのがないわけですよ。ないままインボイス導入というのは、本当に私はあり得ないと思いますよ。その上で、免税事業者が課税事業者になることを選択した場合に、新たに支払う消費税分を報酬に上乗せしてもらわなければ、実質、収入減となります。これまで政府からは、消費税が円滑に転嫁できるよう環境整備を進めるという答弁が繰り返されてきました。しかし、残念ながら、これまで消費税は、三十年たっても、事業者間取引において一〇〇%の転嫁はできておりません。この二年間は転嫁の状況も横ばいであります。あと一年半で事業者間取引について消費税が一〇〇%転嫁できるようになる、こんなことは到底無理だと思いますが、いかがですか。
○鈴木国務大臣 消費税は、御存じのとおり、価格への転嫁を通じて最終的には消費者に御負担をいただくことが予定されている税でありまして、事業者の方々が消費税を価格に転嫁できること、これは重要な点であると考えております。そして、宮本先生御指摘の、中小企業庁の転嫁モニタリング調査におきまして、免税事業者も含まれると見られる従業員一人から五人の小規模事業者では、消費税の引上げ分について、価格に全て転嫁することができたと回答した割合は、調査開始の平成二十六年四月の七七・六%から、最新は令和三年十月の調査でありますけれども、八九・三%と改善をしております。また、この調査におきましては、全て転嫁できたと回答している事業者のうち、本体価格と消費税額を分けることにより交渉しやすくなったとの回答が、最新の調査で一九・二%となっております。この点について、インボイス制度では、インボイス発行事業者が交付する請求書等には消費税額が必ず記載されることになり、受け取った消費税相当額と本体価格が明らかになることから、インボイス制度は消費税の円滑な転嫁に資するものでもある、そのように考えております。インボイス制度の導入に当たっては、関係省庁で連携して、このような、転嫁も含めた、免税事業者を始めとした事業者の取引環境の整備に取り組んでいきたいと思っております。
○宮本(徹)分科員 現状で八九%なわけですよ。残りは転嫁できていないわけですよ。このままインボイスを導入したら、転嫁できない方々はどうなるんですか。免税事業者の方々は、全部その分、自分でかぶらなきゃいけないわけですよ。財務省の調査でも、利益が百数十万しか残らない方々が平均十五万円の増税だ、こう説明してきたわけですよね。とんでもない話になりますよ。一方、小さな体力のない発注者はどうなるのか。中小出版社でつくる日本出版者協議会が、インボイス制度について声明を出しております。出版社としては、これまで仕入れ額として控除できた分の消費税を新たに負担することは困難であり、著者や、製作に関わる上記のフリーランス等が免税事業者であっても適格請求書の発行をお願いせざるを得ない、税務署としては、これまで免除されてきた消費税を、業者間で押しつけ合いをさせた上で確実に取り立てる制度と言える、こういうことも言われております。つまり、今回、インボイス制度で二千四百八十億円、政府は増収を見込んでいるわけですけれども、この二千四百八十億円の増税分の消費税を体力のない業者間で押しつけ合う、これが今回のインボイス制度がもたらすものだという認識はあるんでしょうか。そして、今、岸田政権は賃上げということを掲げているわけですけれども、率直に言って、このインボイス制度の導入というのは、フリーランスの皆さんの収入減をもたらすということを考えれば、この賃上げ政策とも矛盾するんじゃないですか。
○鈴木国務大臣 まず、宮本先生が御指摘になられました二千四百八十億円の試算についてでありますが、これは、インボイス制度への移行に当たりまして、全てのBツーB取引を行う免税事業者が課税転換をするという前提で機械的に試算したものであるということを申し上げておきたいと思います。現時点での免税事業者が実際に課税事業者になって納税するかどうかにつきましては、取引先が簡易課税制度を適用しているか、経過措置の適用があるのか、個々の取引当事者の関係がどうであるかなどといった様々な要素により影響を受けることとなります。実際に、関係省庁と財務省が連携して実施いたしましたアンケート調査の結果では、約半数の事業者から、条件を変えずに取引を継続するとの回答がありました。したがって、こうした回答を行った事業者と取引のある事業者については、引き続き、免税事業者であったとしても、インボイス制度の影響を受けることはありませんので、御指摘のような、負担を押しつけられるといったことはないのではないかと思います。また、残りの半数の他の事業者との取引についても、先ほど申し上げましたような様々な取組を進めて、対応してまいりたいと思っております。
○宮本(徹)分科員 半数は免税事業者のままで仮にいられた、そうなるとは私は思えないですけれども、仮にいられたということになっても、その残り半数は消費税増税分を押しつけ合うということには変わりないわけじゃないですか。今のは何の説明にもなっていないですよ。更に言えば、私は賃上げ政策と矛盾するんじゃないのかということを申し上げましたけれども、この点については回答がないじゃないですか。フリーランスの収入が実質減らないなんという保証はできないわけでしょう。こういう問題を私は岸田さんとちゃんと相談すべきだと思いますよ。インボイス制度を導入したら、岸田政権が掲げている収入を皆さん増やしていこうということとは逆のことが起きるんだ、それはインボイス制度を所管している財務大臣の責任ですよ。そのことを厳しく申し上げておきたいと思います。この間、政府は、インボイス制度は複数税率の下で適正な課税を行うために不可欠なものと答弁されてきました。消費税率が始まって三年目ですけれども、インボイスがなくても世の中は回っております。複数税率を原因として具体的にどのような不適正が起きているのか、詳細を述べられたいと思います。
○鈴木国務大臣 例えばでございますけれども、料飲食業において、軽減された税率である八%であります食料品と一〇%である酒類の仕入れについて、全額を標準税率一〇%で税額控除しているような事例など、取引先への確認を含めた税務調査等で不適正の事例を把握しているものと承知しております。
○宮本(徹)分科員 そうした事例はどれぐらい起きているんでしょうか。
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。国税当局における税務調査等におきましては、消費税に関しまして、課税取引、非課税取引など、課否判定に誤りがないか、また、売上げや仕入れの金額に間違いがないかなど、様々な観点から検討を行い、また非違を指摘していると承知をしております。委員御指摘の売手が軽減税率で申告し、その一方で買手は標準税率で仕入れ税額控除をするという事例、すなわち適用税率の誤りもそうした非違の一類型であり、そうした事例だけを抜き出した集計は現時点では行っていないというふうに聞いております。
○宮本(徹)分科員 そうした事例がどれだけ起きているかも分からないと。しかも、そうした事例も、税務調査すれば把握できているわけですよね。インボイスを導入する必要性なんてどこにもないじゃないですか。大体、そんな、売手が軽減税率で申告して、その一方で買手が標準税率で仕入れ税額控除をするというのはミスですよね、ミス。それはちゃんと今までどおり正せばいいだけの話であります。インボイスを導入する理由には全くなっていない、誰が考えてもそうなるというふうに思うんですよね。本当に、インボイスを導入しなきゃ正せない不適正なんてどこにもないんじゃないですか。複数税率が導入されたことによってインボイスがなきゃいけない理由というのはどこにあるんですか。
○住澤政府参考人 インボイスがなくても誤りが税務調査等で確認できているのではないかという御指摘でございますが、現行の区分記載請求書等保存方式におきましては、売手側に対して請求書等の交付義務やその写しの保存義務もないというのが実情でございます。また、買手側におきましては、少額の仕入れの場合、三万円未満の取引である場合や、請求書等の交付を受けなかったことについてやむを得ない事情がある場合などについては、請求書等の証憑類の保存がなくとも控除が可能な仕組みと現状ではなっております。そのために、仮に売手の側が軽減税率で申告しているものについて買手が標準税率で仕入れ税額控除を行っていたとしても、適用税率や税額を明らかにする証憑類が保存されていない場合も多々ございまして、事後的に確認することが非常に難しい仕組みとなっております。反面調査に行ってかなり詳しく調べない限り分からない仕組みになっているということでございます。言い換えますと、仮に不正や誤りがあったとしても証憑類から把握することが難しいということで、こうしたことから、インボイス制度は、適正な課税を確保していく観点から必要な制度であるというふうに考えております。
○宮本(徹)分科員 先ほどお話ありましたけれども、まず、不適正な事例がどれだけ起きているかという数も把握していない、そして、反面調査が大変だという話をされますけれども、実際は税務調査をやって、皆さん、つかんでいるじゃないですか。税務署の仕事をちょっとだけ負担を軽くしたい、そのために大変なしわ寄せを免税事業者の皆さんに寄せるんですか。これは本当に大問題だと思いますよ。税務署の負担をほんの少し軽くする、それも、どれぐらい軽くなるか分からないじゃないですか。大体、どれだけそういう不適正な事例があるのかという把握もしていない、数も出てこない。これは、そもそもインボイスを導入する立法事実があるとはおよそ言えない事態だと私は思いますよ。私、少なくとも、そういう事例が幾つ起きているのかというのをしっかりと示していただきたいと思いますので、それは資料要求をしたいと思います。ちょっと時間がなくなってまいりましたので、先に進みます。今日、防衛省にも来ていただいております。中期防衛力整備計画では、五年間の防衛関連予算は、平成三十年度価格で二十五兆五千億円、契約額は十七兆一千七百億円としております。お伺いしますけれども、二〇一九年度から二〇二二年度予算案までで、各年度及び四年間の合計の予算と契約額について、平成三十年度価格では幾らになりますか。そして、残り一年ですけれども、残額は幾らということになるでしょうか。
○鬼木副大臣 現行の中期防の下で実施される各年度の予算編成に伴う防衛関係費の総額の平成三十年度価格について、人件費や為替等の影響を考慮した仮の試算額は、令和元年度から令和四年度までの四年間で二十一兆七千六百六十九億円となります。また、その内訳となる各年度の仮の試算額は、令和元年度は五兆三千九百七十二億円、令和二年度は五兆三千九百七億円、令和三年度は五兆七千八百九十億円、令和四年度は五兆一千九百億円となります。その上で、仮に現行の中期防の下で実施される各年度の予算の編成に伴う防衛関係費の総額である二十五兆五千億円から仮の試算額を機械的に差し引いた残額は、三兆七千三百三十一億円となります。次に、現行の中期防を実施するために新たに必要となる事業に係る契約額の総額の平成三十年度価格について、為替等の影響を考慮した仮の試算額は、令和元年度から令和四年度までの四年間で十四兆二百二億円となります。また、その内訳ですが、各年度の仮の試算額は、令和元年度は三兆四千二百八十三億円、令和二年度は三兆四千百八十億円、令和三年度は三兆七千五十二億円、令和四年度は三兆四千六百八十七億円となります。その上で、仮に現行の中期防を実施するために新たに必要となる事業に係る契約額の総額である十七兆一千七百億円から仮の試算額を機械的に差し引いた総額は、三兆一千四百九十八億円となります。中期防は、防衛大綱に定められ……(宮本(徹)分科員「いいです、いいです、そこまででいいです。ちょっと時間がないので」と呼ぶ)いいですか、はい。
○宮本(徹)分科員 今数字を出していただきましたけれども、五年間で二十五兆五千億ということを決めてきたわけですけれども、これまでの四年の支出を引いたら、残っているのは三兆七千三百三十一億ということなんですよね。毎年、防衛省は、人件費と食料費で二兆一千億円かかっております。さらに、これまで様々契約してきたものに基づく二〇二三年度分の後年度負担額は二兆七千八十二億円あるんですね。この二つだけでも四兆八千億になるんですよ。残っている三兆七千三百三十一億円なら、そもそも二〇二三年度は防衛省の予算が組めないという額しか残っていないわけですよね。そういう下で、今の中期防を四年でチャラにして、新たな中期防を作って、また新たな枠をつくっていく、こういうことを皆さんはやろうとしているわけですね。全く財政規律がないじゃないですか。
○鈴木国務大臣 令和四年度を含む各年度の当初予算における防衛費は、現行の中期防に基づきまして、骨太の方針で示された歳出改革の取組を堅持しつつ、所要額を計上しております。他方、現行の中期防期間内において、厳しさを増す安全保障環境等に機動的に対応するため、補正予算により、特に緊要となった経費を追加的に計上してきました。また、総理の所信表明演説において、中期防を国家安全保障戦略や防衛大綱と併せて新たに策定する方針が示されておりますが、こうした方針が示されたのは、我が国の安全保障環境が急速に変化する中、政府一丸となって国民の生命と財産を守り抜くためである、そのように承知をいたしております。今後、新たな中期防等を策定するに当たっては、財政規律の観点も含めまして、国民的な議論を丁寧に積み重ねていくことが重要である、そのように思っています。
○宮本(徹)分科員 財政のキャップを中期防で決めているというのは、やはり歴史的経過があってやってきているわけですよね。その財政のキャップを全く無視するやり方を、この間、安倍政権以来続けてきているというのは、本当に、極めて重大な問題だということを指摘をしておきたいと思います。残り時間が少ないですので、次のテーマに行きます。ゆうちょ銀行が、一月十七日から硬貨でATMに入金する際などに手数料を取るなど、新たな手数料を導入いたしました。ある視覚障害者の方は、こう言っております。買物のときに端数のお金を一つずつ確認して数えるのに時間がかかるから、お札を出してお釣りをもらう。たまった硬貨は時々ゆうちょの口座に入れてきた。日常生活で普通にやっていることに一々手数料がかかり困る。あるいは、都内のある就労継続支援B型事業所。利用者さんの工賃を、毎月、工房の口座から金種別に下ろして利用者ごとに封筒に入れて手渡している。工賃は二百円の人もいる。多くて二万円程度。交通費も併せて支払うので、ICカード運賃だと一円単位になる。利用者さんの口座振り込みにすると手数料で足が出てしまうぐらい工賃が少ない人もいるので、現金で手渡している。これを金種別に引き出そうとしたら手数料がかかる事態になってしまった。あるいは、ある障害者団体。集めたカンパを活動資金にしているが、集めた募金を自分の口座に入れるだけで目減りしてしまう。こういう声がたくさん寄せられているわけでございます。駄菓子屋さんからも、あるいは宗教法人からも、困っているという声をたくさん伺うわけでございますが、ゆうちょ銀行にはどういう苦情が寄せられているのか。そして、あわせて、二〇〇五年、郵政民営化法案を可決した際に、参院の附帯決議ではこう書いてあったんですね。現行水準が維持され、万が一にも国民の利便に支障が生じないように万全を期すること、こう書いてありました。この国会の附帯決議違反ではないのか。この二点について総務副大臣に御答弁を求めたいと思います。
○中西副大臣 まず、お尋ねの事実関係のみ御紹介をしたいと思いますが、ゆうちょ銀行によれば、硬貨手数料の新設を行った本年一月の一か月間において約二千七百件の苦情、要望が寄せられており、主な内容としては、料金改定に賛同できない、ATMでの硬貨の手数料について、ATM画面上の案内が分かりにくいといった声があると伺っております。その上で、御指摘の附帯決議におきましては、郵便局ネットワークの維持、郵便局における郵便、貯金、保険サービスの確実な提供、現行水準の維持、国民の利便に支障が生じないことなどを求められているというふうに承知をしております。これらは、郵便局のユニバーサルサービスの維持を図るということが趣旨でございまして、個々の商品の利率とか、あるいは、御指摘の手数料について水準の維持を求めるものではないというふうに我々は承知をしております。今回の硬貨の手数料の設定は附帯決議に反するものではないというふうに考えておりまして、なお、今回の硬貨の手数料につきましては、総務省の許認可の対象ではなく、ゆうちょ銀行の経営判断で行ったものでありまして、ゆうちょ銀行において利用者の皆さんに丁寧に説明されるべきものと考えております。
○宮本(徹)分科員 もう時間が最後になりますので、最後に一問だけお伺いしますけれども、財務大臣、こういう事態は、やはりどんどん広がるというのはまずいと思いますよ、私は。国民に対して金融機関がこうなっていくのは。一言、最後、政治家として、この問題をどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。
○葉梨主査 鈴木財務大臣、簡潔にお願いします。
○鈴木国務大臣 今の中身につきまして、総務副大臣からお話があったとおりでございますが、こうした硬貨取扱手数料をめぐる動きにつきましては、昨今の各種手数料の設定の動きの中の一つとして、顧客からサービスの対価としてどのような手数料を徴収するかということであって、これは各金融機関における経営判断に基づいて行われるものと承知をいたしておりまして、通貨制度を所管する財務省の立場から評価を申し上げるのは差し控えたいと思います。
○葉梨主査 もう終了しております。終えてください。
○宮本(徹)分科員 終わりますので。ゆうちょ銀行は、株主は、大半持っているのは国ですからね。終わります。
○葉梨主査 これにて宮本徹君の質疑は終了いたしました。