2022年3月17日 衆院議院運営委員会 別株への警戒必要 宮本徹氏 医療体制崩壊恐れ 倉林氏 まん延防止解除質疑
衆参両院の議院運営委員会は17日、18都道府県に適用中のまん延防止等重点措置を21日に解除する方針について、政府から報告をうけ質疑を行いました。日本共産党から宮本徹衆院議員、倉林明子参院議員が質問しました。
宮本氏は、新型コロナウイルスの「オミクロン株」より感染力が高い「BA.2」株への置き換わりについて、岸田文雄首相が16日の記者会見で言及しなかったことを指摘し、「世代時間が短く、アジアで死者が増えている。BA.2への警戒を国民的に共有するコミュニケーションが求められる」と質問しました。山際大志郎経済再生担当相は「BA.2の情報の科学的知見が判明し次第、伝えていきたい」と述べました。
宮本氏は「仮にリバウンドがあった際、まん延防止等重点措置を再発出する際の基準は検討するのか」と質問し、山際担当相は「基準を変える必要はない。医療が逼迫(ひっぱく)しないように措置する」と答えました。
宮本氏は、大阪の人口当たりの死者数が全国で最も多かったことや感染を示す抗体保有率が高いことについて、「原因をどう分析しているか」と質問。山際担当相は、高齢者施設でのクラスターが多かったこと、医療機関に行かない方がそれなりにいたと述べました。
宮本氏は「今後の対策を考えて分析を求めたい」と述べました。
倉林氏は、岸田首相が会見で「出口ははっきり見えてきた」と言明したことについて根拠をただしました。山際担当相が「新規感染者数が最大だったところから約半数に落ち着いた」などと答弁したのに対し、倉林氏は「(重点措置の)基準を下げたから解除できただけだ」と批判。厚労省アドバイザリーボードが「しばらくの間、新規感染者数が高いレベルで推移していく」と触れ、解除後に増加に転じている県が5県あると述べ、「一般救急医療が逼迫した状態は続いている」と批判しました。
さらに倉林氏は、PCR検査、抗原検査の直近1週間平均の実施件数を質問。山際担当相は、1日あたり「PCR検査は13万件、抗原定量検査は2万件、抗原定性検査は3万件」と述べました。倉林氏は「全く不足したままの解除になる」と指摘し、感染拡大リスクを広げかねず「医療提供体制を崩壊させかねない」と警笛を鳴らしました。
以上2022年3月18日付赤旗日刊紙より抜粋
≪2022年3月17日 第208回衆院議院運営委員会第17号 議事録≫
○山口委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 宮本徹です。職場で独自に判断した濃厚接触者の検査は自費という報道が出ておりました。現在、感染不安がある場合は検査を無料でできますが、報道が事実であれば整合性が取れないと思いますが、いかがですか。
○山際国務大臣 今般、先生に今御指摘いただいた話は、濃厚接触という考え方をどこまで私たちはオミクロンに合わせていくかという議論をしております。その中で、職場で働いていらっしゃる方々に関して、積極的疫学調査を行って、どなたが濃厚接触者であるかということを追うというのは、オミクロン株の足が速いという特性を考えると、余りこれは実情に合っていないということで、積極的疫学調査を職場においてはしないという判断になりました。ということは、結局、職場で働いていらっしゃる方々には、ある意味社会的な制限がかからないということになりますので、行政検査として検査を行う必要というのはなくなるということでございます。それでもなお御心配であるということであれば、当然、それは会社の判断で検査を行っていくということもできますし、また、無料検査として提供しているサービスということも使っていただくことも可能でございますが、何にしても、行政として、検査をやってくださいということをお願いする状況ではないということで、自由な活動の中でやっていただくのであれば、当然、費用負担は、自由な活動の中ですから、民間の皆様方に御負担いただくということは普通であろう、こういう考えでございます。
○宮本(徹)委員 今、感染不安がある方はあちこちに設置されている無料の検査場で受けられるわけですから、同じようにやった方が、やはり感染拡大の不安があるから職場でも検査しようとなるわけですからね、陽性者がいれば。そこはしっかり対応していただきたいと思います。二つ目ですけれども、昨日の総理の記者会見で、BA・2株への置き換わりへの言及がありませんでした。BA・2株に置き換わることでのリバウンドの可能性やあるいは医療への負荷、これについてどう認識されているでしょうか。
○山際国務大臣 BA・2がどのようなものであるかということは、厚生労働省におきますアドバイザリーボードにおいて、専門家の先生方から資料も提出され、そこで議論が深められてございます。それで全てではないと思いますが、BA・1に比べて更に感染力が強いということ、あるいは、動物実験においては、もしかすると重症化する可能性もあるということが言われておりますが、現在のところ、入院率等々において有意な差が認められる、そういう科学的な報告はないというふうに伺っております。しかし、我々としては、BA・2がBA・1に置き換わることによって更に感染が拡大する可能性というものは当然排除できませんので、最大限の警戒を持って当たらなくてはいけない、そういう表現で総理も昨日記者会見で申し上げたとおりでございまして、BA・2のことはきちんと踏まえた上で対応しなくてはいけないと思っております。
○宮本(徹)委員 アドバイザリーボードの資料を私も見ているんですけれども、世代時間が更に短いんじゃないかという問題等々、いろいろ指摘をされています。アジアでもかなり死者が増えている一つの原因がBA・2株ではないかと指摘されておりますので、移行期間で、最大限の警戒をしながら日常を取り戻す上で、このBA・2への警戒はしっかり国民的に共有するコミュニケーションが求められると思いますが、いかがですか。
○山際国務大臣 これはBA・2に限りませんが、やはり新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっている中で、私たちが都度都度申し上げてきたのは、この新しい病気を正しく恐れようという話をしてまいりました。正しく恐れるためには、先生がおっしゃったように、正しい情報がなければ判断ができませんので、そこのリスクコミュニケーションというものは政府の責務だと思っております。なので、BA・2に関しましても、科学的な知見が判明し次第、それは遅滞なくきちんと透明性を持って国民に対して示していくということが必要だと思いますし、その機会をつくりながらやってまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 次にお伺いします。今後、仮にリバウンドした際、そして医療が逼迫した場合、蔓延防止等重点措置を再発出する際の基準、これについてはどう検討されるんでしょうか。
○山際国務大臣 基準そのものは何も変える必要はないと思っております。すなわち、医療に対してどれほど負荷がかかっていくか、医療が逼迫しないようにしていくために蔓延を防止しなくてはいけない、そういう視点で蔓延防止等重点措置というものを適用するということになりますから、感染が爆発的に増えるものなのか、じわじわと来るものなのか、重症化率がどうなのか、そういうことを総合的に判断しながら、医療への逼迫がない、あるいはあるということについて、私たちはある一定の基準というものをそこに置きながら総合的に判断することになると思います。
○宮本(徹)委員 今後の対策を考える上で、もう一点ですけれども、大阪の件についてお伺いしたいと思うんです。大阪が人口当たりで亡くなった方が一番多いわけですけれども、この原因というのはどう分析されているんでしょうか。
○山際国務大臣 これは、全ての分析がもう既に終わっているということではありませんが、大阪府そのものが分析を加えたもの等々を見ておりましても、やはり高齢者の皆様方の罹患者数が多いということ、高齢者施設におけるクラスターというのが多いということ、この辺りが相当どうしても死亡率を上げているということに関わっているということを大阪府そのものの分析でも示されておりますから、そこは非常に大きな要因なのではないかと思っておりますが、それ以外のこともあると思います。恐らく、高齢者の方と若い方とが非常に近くに住んでいらっしゃるという地域事情とか、そういうことも聞いておりますから、その一つだけではないと思いますが、一つは、高齢者のクラスターというものは要因だろうというふうに言われております。
○宮本(徹)委員 大阪で、昨年十二月の時点で、感染を示す抗体保有率が感染者数と一番大きく乖離していたデータがあります。この原因はどこにあったんでしょうか。
○山際国務大臣 そのことは私たちも承知しております。しかし、それは二回目の調査のときにそうだったんですね。一回目に調査したときには各県でばらばらで、やはり同じように、検査したときの抗体の保有率というのが逆転していたり、あるいは倍ぐらい違ったりというところが、各県ばらばらでありました。ですから、それを科学的に全部こういうものだということは申し上げられませんが、一般的に考えれば、実際に感染はしているけれども、症状がないがゆえに医療機関に行かない、あるいはその必要がないということで、抗体を持っていらっしゃるという方がそれなりにはいらっしゃるということではないかと思います。
○宮本(徹)委員 大阪は現実の感染者はもっと多かったということだと思うんですね。その点で、第三波の緊急事態宣言解除のタイミングや第六波の蔓延防止等重点措置発出のタイミング、大阪についての評価はありますか。
○山際国務大臣 今の話は実は大阪に限った話ではなくて、特にオミクロン株になってからは、恐らく無症状で経過をするという方はそれなりにいらっしゃると思います。ですから、実際には、分かっているよりも感染者数が多いという実態はあるのかもしれません。その上で、今回の解除に関して、大阪府とは相当コミュニケーションを取ってまいりました。先ほどから申し上げているように、病床使用率が安定的に下がってきているか、重症病床使用率が安定的に下がりつつあるか、しかし、実際には病床使用率はまだ五〇%を超えている、そこでどうするかというような話でございました。さらには、大阪府の方で相当努力をしてくださいまして、高齢者施設に対して第三回目のブースター接種というのをここのところで相当やってくださったということもあって、一番リスクの高い高齢者の皆様方がワクチン接種が終わっている。そういうことも総合的に判断して、今回は解除という形になったというふうに御認識いただければと思います。
○宮本(徹)委員 時間になりましたから終わりますけれども、今後の対策を考えても、大阪の例については、なぜ感染がここまで、やはり感染が広がったからクラスターが増えて亡くなった方が増えたということだと思いますので、やはりそこを本当によく分析していただければと思います。終わります。
○山口委員長 これにて発言は終わりました。本日は、これにて散会いたします。