2022年4月27日 衆院厚生労働委員会 児童養護施設支援の拡充を求める

 宮本徹議員は4月27日の衆院厚生労働委員会で、児童養護施設等への支援拡充と、子どもの権利擁護の仕組みを実効性あるものにするよう求めました。
 児童養護施設等での支援は原則18歳、最大22歳までですが、児童福祉法改正案では年齢制限が撤廃されます。しかし、現状は8割が高校卒業の18歳で施設を退所しています。
 宮本氏は「東京では一時保護所が常に満杯で、児童養護施設もひっ迫している」として、施設の定員増、職員の確保と育成支援を要求。後藤茂之厚労相は「予算や職員の確保等を通じ、児童養護施設等の安定経営に努める」と答弁しました。
 宮本氏は、早期の自立を強いればその後の人生にも困難を強いるとして、22歳までの支援継続を当たり前の状況にしていく必要があると求めました。
 改正案では、子どもの意見表明支援が新たに法定事業になりますが、都道府県に対しては努力義務にとどまります。宮本氏は、子どもの声を聞き権利を守る「子どもアドボカシー」を機能させることが大事だとして、「子どもアドボケイト(擁護者)を担える人材を育成し義務事業にすべきだ」と指摘。橋本泰宏子ども家庭局長は「国として支援し着実な実施を図りたい」と答えました。

以上2022年5月12日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2022年4月27日 第208回衆院厚生労働委員会第17号議事録該当部分抜粋≫

○橋本委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。児童福祉法改正案について質問をいたします。児童養護施設等の支援は、現状、原則十八歳、最長でも二十二歳、これが本法案では支援の年齢制限がなくなります。年齢要件の緩和は関係者の悲願です。絵に描いた餅にしない手だてが必要だと思います。二〇一一年に、資料を配付しておりますが、厚労省は措置延長の積極的な活用の通知を出しております。進学したケース、就職や福祉的就労をしたケース、あるいは進学や就職が決まらない児童であっても、継続的な養育を必要とする児童は積極的に措置延長ということを通知を出したわけでございます。さらに、二〇一七年には、二十二歳までの社会的養護自立支援事業も始まりました。厚労省にお伺いします。高校の卒業後、措置延長を行った人数及び延長しなかった人数、また、措置延長終了後、社会的養護自立支援事業を利用した人数、お答えください。
○橋本政府参考人 令和元年度末に高等学校等を卒業した児童養護施設の児童のうち、措置延長を行った人数は三百五十六人、それから、措置延長しなかった人数は千三百九十六人となっております。それから、令和二年度に社会的養護自立支援事業の居住費支援を利用した人数は三百二十五人となっております。
○宮本(徹)委員 厚労省は措置延長の積極的活用の通知を出したわけですけれども、それでも、十年たった後でも、高校卒業の十八歳での退所というのが大半を占めていて、措置延長は二割にとどまっているわけでございます。この原因について、どう分析されているんでしょうか。
○橋本政府参考人 児童福祉法上、児童養護施設等への入所措置等は原則十八歳までなわけでございますが、二十歳までは措置の延長ができるというふうになっております。しかし、児童養護施設において高等学校卒業後も措置延長されている方は、令和元年度末に高等学校等を卒業した約千七百五十人のうちで約三百五十人にとどまっているわけでございます。この措置延長の仕組みが活用されない背景でございますが、様々な理由があると考えておりますけれども、入所等措置は十八歳までという原則にのっとって、措置延長できるケースが厳格に捉えられている場合もあるということも一つの要因ではないかというふうに考えております。今般の児童福祉法改正案によりまして、自立支援について二十二歳の年度末までという一律の年齢要件を弾力化するわけでございますが、その前提といたしまして、十八歳到達時点において一律に措置解除するのではなくて、支援が必要な場合には措置延長等により支援を継続するということが前提として重要なわけでございます。したがいまして、厚労省としましては、これまでも全国会議等で各都道府県に対して措置延長制度の積極的な活用をお願いしたわけでございますが、今般の児童福祉法改正案におきまして、都道府県の行わなければならない業務として、措置解除者等の実情を把握し、その自立のために必要な援助を行うこと、これを位置づけることとしておりますので、この業務を都道府県が果たしていく上で、支援が必要な場合には確実に措置延長がなされるように、より一層の働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 措置延長について厳格に捉えているケースもあるというお話でございました。児童養護施設の施設長や職員の皆さんからお話を伺うと、本人も施設も措置延長して支援をしたいというケースでも、措置延長が認められないケースがあると。そして、その背景の一つに、東京の場合でいうと、児童養護施設がほぼ満杯である、そして一時保護所もいっぱいだと。一時保護の長期化があると、次の人が児童養護施設に入所できるように措置延長に消極的になる、こういう背景があるということを聞いております。もちろん、今、東京都は児童養護施設の定員を増やしてほしいということを求めているところでもあります。ここでお伺いしたいんですけれども、今回、法案では自立生活援助事業の年齢の上限を取り払うわけでございますが、子供の最善の利益の立場に立って必要な支援を行うためには、東京などでは児童養護施設等の定員、キャパを増やす必要がある、こういう認識はあるんでしょうか。
○後藤国務大臣 全国の児童養護施設の入所児童数については、二〇二一年の定員が約三万一千人となっている一方で、入所児童数は約二万四千人で、入所率は約八割となっていることから、一概に、直ちに児童養護施設の定員が不足し、入所すべき児童が入所できないという状況ではないとは認識しています。一方で、今委員御指摘のあったように、地域によっては、東京都のように、東京都の児童養護施設は予約待ちの状況であり、障害等のある児童が増えており、入所調整に時間がかかるといった状況等があるということも承知をいたしております。こうした中で、今般の児童福祉法の改正でございます。児童自立生活援助事業の年齢制限が一律となっているところを弾力化することとしておりますが、児童が不必要に施設等にとどまり続け、自立が阻害されることがないように、都道府県が関係者を集めたケース会議を開催するなど、自立に向けた取組を強化することも検討をいたしております。さらに、児童養護施設や児童自立援助ホームなど、自立に向けた支援について各都道府県等においてニーズに応じて計画的に体制整備を進めるために、今般の法改正に伴って都道府県社会的養育推進計画の策定要領についても見直しまして、自立支援の計画的な体制整備に向けた、より明確な目標等を設定することとしております。自立支援が必要となる者に適切に支援が行き届く体制について、各都道府県等の状況も確認しながら、しっかり整備していきたいと思います。
○宮本(徹)委員 本当に、東京の状況を大臣からも答弁していただいたとおりなんですよね。ですから、しっかりと施設も増やしていく、そのための支援もお願いしたいと思います。その上で、施設を増やしたいけれども、職員の確保が簡単ではないという現状がございます。分園のグループホームをつくろうと思うと、その小規模施設の中で、様々な問題が起きるわけですから、それに対応できる経験ある職員というのが必ず必要になります。しかし、これは簡単ではない。あるいは、新しい職員が入ってきても、若い皆さん、若い職員の皆さんが、心が傷つくことも少なくない。その中で残念ながら離職せざるを得ないという方も出ているというのは、皆さんも御存じのことだというふうに思います。そこで、大臣にお伺いしますけれども、児童養護施設等の定員を増やす上で、職員の確保、定着、育成への支援が極めて重要だという認識はあるでしょうか。あと、職員のメンタルサポートに補助金を求める声もありますが、どう支援されるんでしょうか。
○後藤国務大臣 児童養護施設の定員につきましては、都道府県等において、保護が必要な子供の状況等を踏まえまして、必要量を見込み、その受皿となる児童入所施設等を整備しております。そして、児童入所施設等に要する経費については、児童入所施設措置費等国庫負担金により支弁をしております。あわせて、児童養護施設における職員の定着やメンタルサポートを進めるために、これまで厚生労働省においては、児童指導員等、直接児童を支援する職員の負担軽減のための補助者等による支援、児童相談所OB等を活用した職員の悩み等を気軽に相談できる環境の整備、児童養護施設に従事する職員の相談支援体制の整備などを行っております。加えて、児童養護施設における人材育成については、職員の資質の向上や研修指導者の養成、入所児童の自立支援計画等の作成や職員の指導を行う基幹的職員などの養成などに取り組んできたところでございます。引き続き、予算や職員の確保、職員の継続的支援等を通じ、児童養護施設等の安定した経営に努めてまいります。
○宮本(徹)委員 是非、本当に、人の確保、苦労していますので、現場の声を聞いて、更に職員の確保、定着、育成の支援策について具体化をしていただきたいと思います。あわせて、児童養護施設の子供たちには、当然、児童精神科医や、また臨床心理士の体制があるわけですが、職員の皆さんも実はそこにかかって診てもらっているという方も、多くの施設であるわけですね。ですけれども、やはり職員に特化したメンタルサポートが必要だ、こういうお話も聞きますので、更なる踏み込んだ支援を、是非、現場の声を更によく聞いていただいて、検討していただきたいと思います。その上で、措置延長の積極的な活用が現状不十分な下で、子供アドボカシーが機能するか、これは極めて大事だというふうにお話を伺っております。今回、意思表明等支援事業が設けられる、このことへの期待は大変大きいものがあります。しかし、先ほど答弁ありましたけれども、都道府県について、これは努力義務ということになっているわけですよね。十八歳を超えて児童養護施設で引き続き支援を受けたい、こう思った子供が受けられるようにする上でも、この意思表明等支援事業は努力義務ではなくて都道府県の義務にすべきではないかと思いますが、この点、いかがですか。
○橋本政府参考人 子供が意見、意向を示すことができる環境を整備するため、都道府県等の事業としまして、意見表明等支援員が、児童相談所長等の意見聴取等の対象となっている子供に対して、意見、意向を聴取、把握すること等を内容とする意見表明等支援事業を創設をすることといたしております。この事業、非常に大事な役割を担うわけでございますけれども、やはり、まだまだこの意見表明等支援を行うことのできる資質のある方々を養成していくということも含めてやっていかなければならない段階でございますので、まずは努力義務ということでスタートさせていただきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 法施行までは時間があるわけですよね、法施行までは。その間に一生懸命養成すれば、これは義務にしていけるのではないかと思いますが。今の答弁でいえば、養成を速やかに進めて、できる限り早く義務にしていきたい、そういう思いが含まれている答弁だということでよろしいですか。
○橋本政府参考人 先ほど申し上げましたように、事業の担い手など地域資源の状況が自治体ごとに異なるということなどもございますので、義務とはせず、都道府県による必要な措置の実施を努力義務として今回は規定しているわけでございますけれども、子供の意見表明等支援というのは重要でございますので、しっかりと国としても支援することにより、着実な実施ということを図ってまいりたいというふうに思います。
○宮本(徹)委員 その後いつ義務にするのかというのが全く見えない答弁だったわけですけれども、資源ということをおっしゃいますけれども、兵庫県の場合は弁護士会が受けているわけですから、弁護士会は日本中に、どこにだってありますよ。やはりそこでしっかり研修すれば、私は、法施行前にちゃんとどこでもできるような状況をつくれると思いますし、そうしていかなきゃいけないというふうに思いますので、そこは、全ての都道府県でやってもらうんだ、こういうことで、しっかりと準備を進めていっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。その上で、この子供の意見表明等支援事業について、やはり第三者機関としての独立性が維持される、この制度設計が極めて大事だと思いますが、いかがですか。
○橋本政府参考人 子供の意見、意向表明等支援につきましては、この問題を議論しました社会的養育専門委員会におきましても、都道府県等は一定の独立性を担保する必要がある、こういった指摘をいただいたところでございます。したがいまして、これを行う体制につきましては、措置等を実施する児童相談所等からは独立した第三者である立場の意見表明等支援員が担うことによりまして、子供の意見や意向をしっかりと酌み取ることができる、そういう制度設計にしたいと考えております。
○宮本(徹)委員 あわせて、この子供の意見表明等支援事業、今回は児童福祉法の枠でつくられるわけですけれども、本来、子供の意見表明の支援というのは児童相談所等に措置された子供だけを対象にすべきものじゃないと思うんですよね。対象を限定せずに、いじめだとか、ハラスメントだとか、不登校だとか、引きこもり等で苦しんでいる子供にも、やはり意見聴取の機会、意見表明の支援の機会というのを保障しなきゃいけないと思いますが、いかがですか。
○橋本政府参考人 子供の意見をしっかりと聞くということの重要性については、いろいろな御議論があるわけでございます。今回の児童福祉法改正案の中で盛り込んでおりますのは、一時保護ですとか施設への措置、里親への委託、そういった子供の社会的養育ということに関わる、そういう子供にとっての人生の大きな転換につながるような、そういった重大時におきまして、子供の意見をしっかりと聞き、それを十分に勘案して、子供の最善の利益のためにしっかりとした措置を行う、こういった趣旨で導入するものでございます。委員が御指摘のものというのは、もう少し幅広いものというふうに捉えておられるんだと思いますけれども、私どもとしては、今回の改正案の中では、そういった社会的養育、社会的養護というふうな枠組みの中で、必要な場面において意見聴取をする、そういったものとして提案させていただいております。
○蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。児童相談所に措置された子供に限らず、全ての子供について適切に意見聴取の機会を設けるということは重要と考えております。加えて、御指摘いただいた、いじめとかハラスメント、不登校等で苦しむ児童生徒につきましては、適切に心のケアなどを行う観点から、例えば学校の教職員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどによる相談を行う中で、児童生徒の声も丁寧に聞き取り、必要な支援につなげていくということが重要であるというように考えております。
○宮本(徹)委員 せっかく今回アドボカシーの制度をつくろうということですから、この子供アドボカシーの制度は、小さく今回生まれるわけですけれども、大きく日本社会全体で育てるということに政府全体で取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。続きまして、今回、社会的養護自立支援事業などが児童自立生活援助事業に一本化されるわけでございます。児童養護施設に入所していて支援が必要な子は、本人の希望を聞いた上で措置延長が基本だというふうに思いますが、十八歳で措置解除された場合、その子がそのまま自立生活援助事業に移行できるのか、その場合の生活の場はどのようなところを想定しているのか、お答えいただけますか。
○橋本政府参考人 現行制度におきましても、十八歳で措置解除された方については、本人が児童自立生活援助事業の利用を希望する場合には、同事業を活用しまして、自立援助ホームに居住して支援を受けることができます。また、同事業におきましては、事業者がアパート等の借り上げを行った上で事業の利用者を居住させ、自立への支援を行うことも可能としているところでございます。今般の児童福祉法改正案におきましては、児童自立生活援助事業につきまして、実施場所の更なる弾力化を行い、児童養護施設等の施設内や里親宅等においても事業を実施することを可能にしたいというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 その上で、現場から聞いている声ですけれども、やはり本当に支援が必要な場合は、十八歳から自立支援事業ではなくて、やはり措置延長の方が手厚い支援ができるということを伺っております。現場は支援が必要だと思っているのに、現状、東京では措置延長にならないケースというのがあるわけです。そういうときにこの制度は使えるわけでございますが、逆に、この制度が拡張されることによって、都市部において措置延長がより認められづらくならないのかという懸念の声も現場からは聞いておりますので、こうした懸念される事態が起きないように徹底をお願いしたいと思います。さらに、この児童自立生活援助事業の対象者の要件で、六条の三で、その他政令で定めるやむを得ない事情とありますけれども、ここには本人が希望した場合というのも入るんでしょうか。
○橋本政府参考人 現在、児童自立生活援助事業におきましては、大学等への進学を主な理由として、希望する措置解除者等に対して、二十二歳までの利用を認めるなどしてきたところでございます。今回の見直しは、就学している者という要件に該当しなくても、本人の置かれている状況等に鑑みて必要であるというふうに認められる場合には、児童自立生活援助事業の対象とすること等によりまして、措置解除者等の自立支援の強化を図るものでございます。それで、支援の対象の基準であります、政令で定めるやむを得ない事情ということの具体的な範囲につきましては、この見直しの趣旨を踏まえつつ、施行に向けて精査をいたしますが、現時点で、例えば、障害や疾病、過去に受けた虐待などによる心理面の課題等によりまして他の施設や自力での生活に移行するまでの期間を要するということですとか、あるいは職業訓練を受けている、あるいは求職中である等の事情を抱えていること、こういったものを基準で定めることを想定いたしております。今回の見直しの趣旨に照らせば、単に本人が希望しているという事実だけをもって支援対象とすることはなかなか難しいのではないかというふうに考えておりますが、支援の必要性については都道府県が自立支援に関係する者を集めた場で決定することとし、その中で本人の希望や意向も踏まえて決定をするということなど本人の希望も踏まえた運用がなされるように、施行に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 是非、本人の意向を踏まえた制度にしていっていただきたいというふうに思います。今、日本の全体では、大学、専門学校の進学率は八割ということになっているわけです。一方、児童養護施設等では、十八歳で自立できるようにするのが自分たちの役割なんだ、高校卒業はゴールと思って取り組んできた、こういう話も伺うわけです。しかし、一般家庭よりも不安定な生育状況にありながら、早期に自立を強いるというのは、その後の人生でも大きな困難を強いることになってしまいます。私は、社会的養護においては、ある意味、二十二歳までの支援継続は当たり前というような状況にしていく必要があるんじゃないかと思いますので、その点、更に政府でも検討していただきたいと思います。続きまして、一時保護開始時の判断に関しまして、今回、司法審査が導入されます。このことに関わりまして、子どもシェルター全国ネットワーク会議から意見書が出ております。子供シェルターを利用するのは、自ら必死の思いで家を出てきた中学生、高校生です。子供の陳述以外に虐待を立証する証拠がなく、親が虐待を認めていない場合に、裁判所はどう判断するのか。子供の話だけでは一時保護できないとすると、子供の安全は守れるのかと懸念をしております。そこで、伺います。子供シェルターを利用する子供の一時保護について、子供が家に帰りたくないと意見を表明している場合、つまり子供が一時保護を望んでいる場合は、裁判所の審査においても一時保護することを明確にすべきではありませんか。
○橋本政府参考人 子供の意見というものにつきましては、しっかりと聴取した上で判断していくということになるわけでございますけれども、単に子供の表明した意見のとおりにするということを意図しているわけではございませんので、児童相談所が判断するに当たりましては、子供の意見を聞いた上で、子供にとっての最善の利益は何か、そういう観点から判断すべきものというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 自らもう家にいては危ういということで子供シェルターに助けを求めてくる方々なわけですよね。そういう方々の場合について、私はお伺いをしているわけでございます。子供シェルターに関わるある弁護士さんは、こうおっしゃっていました。なぜ子供が帰宅したくないという意見を尊重することが大事なのか。第一に、子供が帰宅したくないと意見を表明すること自体が重い出来事だ。第二に、精神的虐待、性的虐待は物的証拠が残りにくく、一時保護から七日以内で裁判所に提出できない。後に子供の心の傷として虐待が明らかになることがあります。取扱開始直後の厳密な証拠の要求は危険です。第三に、子供の意見が重視されることが常識と確認されれば、児相が過度に消極的になることが防げます。児相が司法審査を恐れて消極的になったら子供を助けられない。是非、こういう子供シェルターに助けを求めてきた子供たちが帰宅をしたくないと言った場合は、子供の意見を無視しないように、しっかりとした要件を定めてほしいと思いますが、もう一度お伺いします。
○橋本政府参考人 今般の児童福祉法改正案におきまして、一時保護の要件を法令上、明確化することとしておりまして、児童虐待のおそれがあるとき、それから少年法第六条の六第一項の規定により事件の送致を受けたとき、これは法律の中で明示しております。その他の要件は内閣府令で定めることとしております。内閣府令で定める一時保護の具体的な要件につきましては、実務者を含めた作業チームにおいて今後検討していく予定でございますが、児童相談所がちゅうちょなく適切な一時保護を開始できるように、現行の一時保護ガイドラインや、様々なケースで行われている一時保護の実情を踏まえた、適切な規定ぶりとする予定でございます。先ほど来お尋ねいただいております、子供が帰宅を拒否して保護を求めているようなケースにつきまして、先ほども申し上げましたように、現行制度においても、そのことのみをもって機械的に一時保護を行っているわけではございませんが、虐待の有無等に関する十分な情報がなくて、引き続き調査が必要な場合も含めて、児童の安全確保の観点から、必要に応じて一時保護を行っているところでございますので、こうした一時保護の実態を踏まえながら、作業チームにおいて適切な要件を検討させていただきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 虐待の証拠が客観的なものが見えなくても、子供が帰宅したくない、家に今帰ったら危ないんだと言っていること自体は、本当に、ある意味それが客観証拠の一つだと私は思いますので、そこを踏まえた対応を重ねてお願いを申し上げておきたいというふうに思います。あと、残り時間が僅かになってきました。~以下略~