沖縄の本土復帰50年、訴えたこと

 5月15日、沖縄県は本土復帰50年を迎えました。私は、清瀬市、東久留米市、東村山市、東大和市、武蔵村山市の5市をまわって街頭から思いをお伝えしました。久米川駅前(東村山市)でのスピーチを紹介します。

祝賀ムードとはいかない沖縄の現実

 きょう5月15日は沖縄が本土に復帰して50年の日でございます。午後2時から記念式典がございますけれども、私は記念式典の方は欠席させていただきまして、ここに立っております。祝賀ムード一色というわけにはいかない沖縄の現実がある、と私は考えております。

県民は基地のない平和な沖縄を求めていた

 沖縄のみなさんは、基本的人権が尊重される平和憲法のもとへ復帰したい、基地のない平和な沖縄にしたい、こういう思いを掲げて復帰運動をすすめてこられました。ところが、当時の日米両政府は、基地のない沖縄を願う沖縄のみなさんの思いに真っ向から反する形で、米軍基地を残したまま、沖縄を本土に復帰させるという道を選んだわけであります。
 当時、沖縄の屋良朝苗(やら・ちょうびょう)首席は、基地を残したままの本土復帰は許せないということで、県民の思いがつまった屋良建議書を持って上京したわけですが、その直前に基地を残したままの沖縄返還協定が国会で強行可決されました。

繰り返される米軍による許しがたい事件

 それから50年。沖縄ではこの米軍基地が集中していることによって、許しがたい事件・事故が繰り返されてきております。2016年、米軍の軍属によって、沖縄の若い女性がウオーキング中に暴行され、殺害された。この事件はみなさんの記憶にも新しいのではないでしょうか。あるいは1995年、当時小学校6年生だった女の子が米兵3人によって暴行される。こうした女性や子どもの人権が踏みにじられることが沖縄では続いてきました。

玉城デニー知事が建議書を発表

 今回、沖縄の玉城デニー県知事は、復帰50年に合わせる形で、沖縄県の新しい建議書を発表されました。そのなかで日本政府に対して、米軍普天間基地の運用のすみやかな停止、辺野古新基地建設の断念、さらには日米地位協定の見直しなどなどを強く求めるものになっております。日本政府は、この玉城デニー知事が発表した沖縄県の声に真剣に耳を傾ける必要があるのではないでしょうか。

辺野古の新基地建設は直ちにやめよ

 とりわけ、辺野古の新基地建設、この基地は耐用年数が200年にもなります。この基地建設を許せば23世紀まで米軍基地を沖縄に押し付けることになります。オスプレイの墜落事故が4年前にありました。さらには、沖縄では、子どもたちを巻き込んでの墜落事故もあったわけでございます。こうした事故を繰り返さない。そして、海兵隊がいることによって繰り返される人権じゅうりんの事件を許さない。このためにも、辺野古の新基地建設はただちに中止すべきではないでしょうか。

米軍普天間基地は無条件で返還すべきもの

 普天間基地を返してほしければ新しい基地をよこせ、というアメリカのいい分になぜ日本政府が付き合うのか。そもそも、普天間基地というのは、沖縄戦のさなかに、沖縄のみなさんが収容所に入れられている間に、集落をつぶし、無法な国際法違反でつくられた基地であります。国際法違反でつくった普天間基地を返してほしければ、新しい基地をよこせということ自体が、とんでもないアメリカの不当な要求ではありませんか。日本の政府が、日本国民を代表する立場に立つのであれば、普天間基地については無条件でアメリカに対して返還を求める、そして辺野古の新基地建設はただちに断念する、この立場に立つべきなのではないでしょうか。

共産党が衆議院の決議に反対したわけは

 私たち日本共産党は、基地のない沖縄をめざす県民の思いに固く連帯して、これからも国会でたたかっていく決意でございます。
 復帰50周年にあたって、国会でも沖縄復帰50周年の決議なるものが先日、採択されました。私はこれに反対をいたしました。なぜなら、決議のなかには、なんと新基地建設を進めることを盛り込んだ1997年の国会決議を踏まえるという文言が入っていたわけでございます。さらには、私たちが繰り返し求め、沖縄県議会が全会一致で決議をしている日米地位協定の見直しや、あるいは米軍基地の整理縮小という文言は、その欠片(かけら)すら衆議院の決議には入りませんでした。こんなものに賛成するわけにはいかないということで、私たち日本共産党だけは、筋を貫いて反対をしたところでございます。

参院選 新基地建設ストップの意思を示しましょう

 来るべき参議院選挙、ご一緒に力を合わせて、沖縄県民の思いに心を寄せて、新基地建設ストップ、この意思表示をご一緒にしていこうではございませんか。立場の違いを超えて、米軍基地なくせと国会で奮闘しております私ども日本共産党、そして東京では山添拓参議院議員への大きなご支援たまわりますことを、私宮本徹からも心からお願いを申し上げます。

沖縄を平和な未来の架け橋に

 沖縄の玉城デニー知事の建議書のなかでは、もう一つ、こういうことがいわれております。それは、沖縄をアジア太平洋の平和の構築のために、最大限生かしてほしいという中身であります。玉城デニー知事は、日本政府、自民党や維新の会が検討を進めている敵基地攻撃能力の保有というのは、軍事的な緊張をこの地域で高める方向にしかならないということで、反対しておられます。それよりも、各国との信頼関係をさらに深めていくことによって、この地域の平和と安全を守っていくべきだ、ということを訴えておられます。私も全く同感です。

憲法9条を破壊する敵基地攻撃能力の保有

 自民党さんがいうように、敵基地攻撃能力を私たちの国が持つことによって、本当にこの国の安全は来るでしょうか。私はまったく逆だと思います。これまで、歴代の自民党政権は、専守防衛が憲法9条の考え方にかなっている、そして専守防衛というのは、相手国に対して攻撃する能力を持たない、そのことを周辺国に理解してもらうことによって安全保障環境を安定させていく、という考え方でやってきたわけでございます。一方、この専守防衛とまったく逆行するのが、いま自民党さんや維新の会が盛んにいう敵基地攻撃能力の保有であります。

果てしのない軍拡競争のエスカレーションに

 敵基地攻撃能力を保有することについて、賛成の学者も反対の学者も同じことをおっしゃっていることがあります。それは、周辺国は日本が攻撃する能力と意図を持つということだと受け止める、ということであります。これまで専守防衛だと日本はみなされてきた、だから日本に対しては構えるということを考えていなかった国も含めて、日本の敵基地攻撃能力保有に対して敵対的な軍拡競争で対抗することになるであろう。安全保障のジレンマとして際限のない軍拡競争、軍事的な緊張関係が高まるであろうということはいっておられるわけでございます。そうした道に、本当に踏み込んでいくことが正しいことなのでしょうか。絶対に選んではならない道だと思います。

愚かな道に進んではならない

 もっと現実的な話を申し上げます。かりに、日本が敵基地攻撃能力を保有するという道に踏み出し、中国や周辺国と軍拡競争をすすめていったとしましょう。財政的にどちらが優位なのでしょうか。もうはっきりしているのではないでしょうか。残念ながら、財政力はいまや日本よりも中国の方がはるかに上なわけでございます。こういうもとで、日本が敵基地攻撃能力保有も含めて軍拡競争をすすめていけば、先に財政がもたなくなるのは日本の側であることは、誰もがわかる話でございます。
 そうであるならば、こうした愚かな道に進んではならないということは、日本の財政状況をみてもはっきりしているのはないでしょうか。

軍拡競争は増税と社会保障切り捨ての道

 ところが、自民党さんは、日本の財政のこともなにも考えずに、敵基地攻撃能力を保有するそのために、5年以内に防衛省の予算をいまのGDPの1%強から2%へ、2倍に引き上げるということをおっしゃっておられます。そんな財政どこにあるんでしょうか。プラス5兆円の軍事費が出てくる財政状況は今の日本にあるでしょうか。そんなことをやれば、消費税を増税するのか、社会保障を切り捨てるのか、こういう話になってしまうんではないでしょうか。

参院選挙で軍拡ノーの意思を示しましょう

 だいたい、いま、物価がどんどん高騰し、国民生活は厳しい状況でございます。そんなときに、優先して税金を使うべきことは、果たして軍拡競争なのか。それとも国民の暮らしを支えるために、安心の年金や教育の無償化をすすめていくのか、このことが今度の参議院選挙では厳しく問われることになると思います。
 自民党さんが防衛予算を今の2倍に増やすということをいっているもとで、来るべき参議院選挙でご一緒に、暮らしこそ優先すべきではないのか、教育無償化こそ優先すべきではないのか、安心の年金制度こそ優先すべきではないのか、この意思表示をしていっていただきたいと思います。

物価高騰の中で年金削減をすすめる政治のいいのか

 私は国会で、この間、年金削減をやめるべきだということを岸田総理に対しても強く求めてきたところでございます。これだけ物価が上がっている。電気代やガス代は、みなさんも請求が来るたびにびっくりしている状況ではないでしょうか。1年前に比べて2割以上上がる状況になっております。食品もどんどん値上がりが続き、収入が少ない方ほど厳しい状況を迎えております。
 そういうときに、なぜ自民党さんや公明党さんは、年金削減をこのまますすめるというのか。私はあまりにも冷たすぎると思います。軍事費を2倍に増やすのでなく、年金を減らさない、これこそ先にやるべきことなのではないでしょうか。

高すぎる教育費の負担を軽くすることこそ急げ

 私は教育の無償化を大学の卒業論文のテーマにしてまいりました。いま、物価が高騰し、生活が厳しさを増すなかで、高い授業料のねん出にも苦労している。こういうお話もうかがいます。世界をみれば、大学や専門学校の授業料が日本より低い国はたくさんあります。日本の給付制奨学金、あるいは大学授業料減免制度の対象(満額の対象)となっているのは、年収270万円までという極めて限られた世帯だけであります。しかし、実際には中間所得者層のみなさんも含めて、大学や専門学校の授業料の高さには大変苦労されて、たくさんの奨学金を借りて、返済にも苦労されている方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
 軍事費を2倍にする。こんなことをいう前に、あまりにも高すぎる日本の教育費の負担を軽減することこそ、いの一番にやるべき仕事なのではないでしょうか。

軍拡なのか 教育・暮らし・福祉なのか

 自民党や維新の会など、タカ派の政治家に任せていたら、どんどん軍拡競争に国民の税金が注ぎ込まれて消えてまいります。すでに、民主党政権時代に比べて、自民党政権に代わってからのこの数年のなかで、防衛省の予算というのは実に1兆円以上増えたわけでございます。これをもし仮に教育予算に充てていたら、大学や専門学校の授業料を全員半分近くにまで下げることができる。これぐらいのお金が実は軍拡のほうには回っているわけでございます。国民の税金の使い方を決めるのは国会でございますが、国会議員を決めるのは一人ひとりの有権者の選択です。
 軍拡なのか、教育、暮らし、福祉なのか。このことを鋭く問われるのが、来るべき参議院選挙でございます。ぜひ、暮らしを応援しよう、こういうみなさんの思い、立場の違いを超えて、日本共産党と、そして東京では山添拓参議院議員へとお寄せいただきますことを心からお願いを申し上げます。

ロシアの入国禁止リストに志位和夫委員長の名が

 そして、もう1つ、お伝えしたいことがございます。それは、今も続くプーチン大統領によるウクライナ侵略です。これも本当にストップさせていかなければなりません。
 私もこの間、ロシアの同盟国であるベラルーシの大使館に行って、ロシアへの軍事協力はやめるべきだ、ということを迫ってまいりました。私たち日本共産党としても、やれる努力をいま、全力で尽くしているところでございます。
 こうした日本共産党の活動は気にくわないということで、ロシア政府は、日本人のロシア入国禁止リストなるものを発表いたしました。63人の名前があがっています。政府・自民党の閣僚らの次に出てきたのが、私ども日本共産党の志位和夫委員長の名前でございました。ロシアのプーチン政権が、私たち日本共産党の主張を恐れている。このことの裏返しだと私は思います。党首で、ロシアから入国禁止が発表されたのは、岸田総理と志位和夫日本共産党委員長の2人だけというのも、今の日本の国政の状況を表しているのではないでしょうか。

プーチン大統領を増長させた安倍政権

 私たち日本共産党は、今の日本政府のプーチン政権に対する対応をもっとしっかりとしなければならないと思っております。安倍政権の時代、プーチン政権に大変甘い対応をとったのが、日本政府です。北方領土の問題について、プーチンさんとの個人的な関係で安倍さんはどうにかしようとした。そのために大変な譲歩を北方領土の問題でも行い、さらには何の進展もないまま、ロシアに対する経済協力をどんどん強め、あの2014年、クリミア半島が併合されたとき、ヨーロッパ各国がロシアに制裁したさい、当時の安倍さんはこの制裁に及び腰の姿勢をとったわけでございます。プーチンを増長させた一因は日本の安倍政権にある、こういうことも指摘されてきたわけでございます。

岸田政権 プーチン政権への経済協力予算削らず

 それでは、このプーチン寄りの安倍外交を岸田政権はすべて清算できているのか。残念ながらそうではございません。今年成立した予算のなかでも、みなさんの税金が今のロシアの経済協力のために使われる。21億円盛り込まれたままになっているわけです。たとえば、ロシアのみなさんの肥満対策について、日本の税金で行われる予算が盛り込まれたままです。もし、ロシア政府がやるべきロシア国内の対策について、日本政府が税金で肩代わりをすればどうなるでしょうか。ロシア政府は浮いたお金で兵器を購入し、ウクライナへの残虐非道な侵略をさらにすすめるということになるではありませんか。
 なぜ、こうしたプーチン政権に対する経済協力の予算を強行してしまったのか。とんでもない話でございます。

ロシアへの経済協力予算は全部削れ

 私たち野党の追及のなかで、この予算、いま一部を除いて執行は見合わせるという状況になっておりますが、いまだに予算そのものは削ろうとしておりません。これを見合わせるだけではなくて、予算そのものを全部削る。このことも引き続き求めていきたいと考えております。日本国民の税金が、プーチン政権のウクライナ侵略の兵器購入に使われるようなことがあってはならない。

参院選でご一緒に声をあげましょう

 みなさんもそうお思いではないでしょうか。そう思っているみなさん、そしてストップ・プーチン、プーチンの侵略は止めたい、こう思っているみなさんは、ぜひ来るべき参議院選挙、ご一緒になりまして声をあげていこうじゃございませんか。
 立場の違いを超えて、ストップ・プーチン、みなさんの願いは日本共産党へとお寄せいただきますこと、そして山添拓参院議員へとお寄せいただきますことを心からお願いを申し上げまして、この場所での国会報告とさせていただきます。どうもありがとうございました。