2022年5月11日衆院厚生労働委員会 児童福祉法改正案で 財政支援強化求める
宮本徹議員は11日の衆院厚生労働委員会で、児童福祉法改正案に関し、社会的養護自立支援のアフターケア事業や、地域の子どもの居場所づくり事業などへの財政支援の強化を求めました。
社会的養護を巣立った人を対象とするアフターケア事業所は、就業、進学、住居確保などで保証人になる家族もいない人を支えています。宮本氏は、国の退所児童等アフターケア事業の補助金が不十分なため、民間のさまざまな助成金をかき集めてギリギリの運営をしている事業者の例を紹介。現場の状況を把握し、財政的支援を抜本的に拡充するよう求めました。厚労省の橋本泰宏子ども家庭局長は「施行までの間に必要な財政支援を検討したい」と答えました。
また宮本氏は、子どもが地域とつながり、地域のおとなとの関係性を築ける子ども食堂などのボランティア的活動をバックアップする支援策を要求。橋本局長は、法改正で新設する子ども家庭支援センターの業務として、「子ども食堂等の地域の取り組みを支援するための予算事業を実施する」と述べました。
宮本氏は、児童相談所や子ども家庭センターが増え続ける相談や虐待に対応し、困難を抱える親子に支援を続けるには、人材確保と育成、財政支援が必要だと迫りました。
以上2022年5月25日付赤旗日刊紙より抜粋
≪2022年5月11日 第208回衆院厚生労働委員会第18号 議事録≫
○橋本委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。社会的養護を巣立った人などを対象にしましたアフターケア相談所ゆずりはでお話を伺ってまいりました。何重にもハンディを負い、虐待のトラウマで苦しんでいる人も多いそうです。就職、進学、手術、住宅など、保証人になる家族もいない。住まいの確保や生活保護や通院の同行、就労の身元保証人引受け、自己破産の手続の支援、高卒認定資格取得学習会、週一回ジャム作りでの就労支援など、困難に寄り添い、支援をしていらっしゃいます。相談件数は延べで三万件、施設退所者以外の相談が四割、虐待に遭ったけれども社会的養護にたどり着かなかった方の支援も行っているとのことであります。そして、出身施設には相談しづらい方もいるということでありました。相談者の年代は十代後半から六十代で、二十代後半から三十代が多い。人生のステージごとの様々な相談があるとのことです。運営費は五千万円かかっているけれども、国の退所児童等アフターケア事業の補助金は一千五百万円程度。民間の様々な助成金をひっかき集めるなどして、ぎりぎりの運営だということです。もう少し相談スタッフを確保したい、こういう話もありました。今回、このアフターケア事業、社会的養護自立支援拠点事業というのが始まりますけれども、これについては、社会的養護経験者に限らないこと、対象年齢も区切らないこと、出身施設では相談しづらいケースも当たることを踏まえて事業の設置を進めること。また、現在アフターケア事業に取り組んでいるところの状況もしっかりつかんで、財政的支援を抜本的に強める必要があると思いますが、いかがですか。
○橋本政府参考人 社会的養護自立支援拠点事業の利用者の問題でございますけれども、児童養護施設等を退所後に引き続き相談支援等を必要とする方に限らず、入所等の措置は受けなかったけれども児童相談所による一時保護や在宅指導措置を経験した方なども想定しておりまして、また、対象年齢についても上限は設けておらず、利用者の状況に応じて適切な支援へのつなぎを行うこととしております。それから、出身施設に相談しづらいというふうなお話もございました。御指摘のような、そういうケースもあろうかというふうに思っております。出身施設以外の拠点においても支援を受けることも想定しております。それから、スタッフの不足等々の問題も御指摘いただきました。現在、施設退所者等の自立支援に取り組んでいただいている事業所における相談スタッフの状況についても、私どもとしてつぶさに把握しているわけではございませんけれども、予算事業である社会的養護自立支援事業におきましては、継続支援計画の策定、関係者間の連絡調整等を担う自立支援コーディネーターですとか、あるいは、地域での自立した生活に向けた相談支援を行う生活相談支援担当職員の配置などを行っております。今後、社会的養護自立支援拠点の役割を果たすことができる人員配置の基準等について、実態も踏まえつつ、施行までの間に、必要な財政支援とともに検討してまいりたいというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 しっかりとした、実態に見合った財政支援をお願いしたいと思います。同時に、今日、午前中の参考人質疑では、是非これも義務的事業にしてほしい、次の児童福祉法の改正ではしてほしいという意見も参考人から出ておりましたので、よろしくお願いいたします。そして、社会的養護の手前での支援が極めて重要であります。養育環境などに課題を抱える児童の居場所づくりなどを行う児童育成支援拠点事業について、これはスティグマを感じさせないための工夫が必要ではないかと思います。また、毎日の居場所をつくる事業に加えて、子供たちが地域とつながり、時間をかけて地域の大人との相談ができるような関係性が築ける子供食堂などのボランタリーな活動もしっかりバックアップする支援策が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
○橋本政府参考人 まず、スティグマというふうな問題を御指摘いただきました。この児童育成支援拠点事業でございますけれども、御指摘いただきましたように、スティグマの影響により、本来であれば支援をつなぐことが適切な児童が支援を受けにくくなってしまう、そういうふうな事態を起きないようにしていく必要がございます。先進事例の中におきましては、事業実施場所の詳細をホームページなどで公表しないことですとか、あるいは、顔見知りと会うことを嫌がる不登校の児童等については近隣ではなく少し離れた事業実施場所を利用させることなど、そういった様々な工夫をしているところもあるようでございまして、こうした事例も参考にしながら、事業の具体的な設計に当たってまいりたいというふうに考えております。それから、子供食堂等のバックアップのことも御指摘いただきました。身近な場所で居場所を得ることができることは、児童の健全な成長につながるという大きな意義を持つものであると考えております。このため、今般の児童福祉法の改正により新設するこども家庭センターの業務といたしまして、子供食堂等の取組を行うNPOやボランティア等の主体の掘り起こしを行うということも位置づけますとともに、子供食堂等の地域の取組を支援するための予算事業も実施することといたしておりまして、引き続きそれぞれの地域の取組をバックアップしてまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 この点でもしっかりとした財政支援というのをお願いしたいと思います。虐待の原因は孤立にあるということがよく指摘をされるわけでございます。そういう点で、子供が話せる環境、親以外に、地域で設けていく、築いていくという上で、子供食堂は大変大きな役割を果たせるというふうに思いますので、ふさわしく支援をお願いしたいと思います。続きまして、子育て短期支援事業のショートステイですけれども、仕事でもいいですよという自治体もあるんですけれども、仕事理由での利用は駄目という自治体もあります。これは利用できることを明確にすべきではありませんか。
○橋本政府参考人 子育て短期支援事業におけるショートステイは、保護者の疾病その他の理由により家庭において子供を養育することが一時的に困難となった場合等に児童養護施設等において一定期間養育、保護を行うものでございます。このショートステイについては、保護者の育児に係る負担軽減の観点から、虐待の発生を未然に予防するための取組として重要であるというふうに認識しておりまして、今御指摘いただきましたように、保護者の仕事を理由とした場合であっても、一時的に支援が必要な場合には事業の利用を可能としているところでございます。今般の児童福祉法改正案におきまして、このショートステイは支援内容等の拡充を図ることとしておりますので、ショートステイの実施体制をより充実させるため、利用要件についても通知等により自治体に対して更に周知を行ってまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 今、ショートステイは、仕事というのは実は明記はされていないですので、今の通知には。しっかりと明記していただけるということですので、よろしくお願いしたいというふうに思います。それから、家庭支援の様々な事業が今回メニューとして盛り込まれております。こうしたものについて、やはり市町村の財政力格差によって施策に支援の格差が生じないように国がしっかり責任を果たす、このことが必要だと思いますが、この点、いかがでしょうか。
○橋本政府参考人 今御指摘いただきましたように、家庭支援のための各事業につきまして、小規模な市区町村も含めて、広く全国に普及していくことが重要というふうに考えておりますので、提供体制の整備に取り組んでいくことが必要でございます。具体的には、国の策定する指針の下で、子ども・子育て支援事業計画の作成を通じて地域のニーズとそれに応じた計画的な体制整備を促すということ、それから、子ども・子育て支援交付金の対象として位置づけて財政支援を行うということ、それから、令和三年度補正予算において、安心こども基金を活用して、各市区町村における先行的な事業の実施を促すこと、こういったことを様々今進めているところでございますので、多くの地域で円滑にこういった事業を導入いただけるように、私どもとしての取組を進めてまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 ですので、様々なメニューを考えるときに、やはり財政力格差が支援の格差にならないようにしようと思ったら、何分の何ぼで自治体に対して支援を出すのかというのに左右されるわけですよね。これは、十分の十でやれば、格差は、それは人材確保以外は、財政的には出ないわけですから、そういう辺りをしっかりと検討していただきたいと思います。続きまして、児童養護施設等についてお伺いしたいと思いますが、今、入所者、障害などがある子の比率が大変増加をしておりまして、三六%に国の統計ではなっております。医療、心理的ケアが必要な子を積極的に受けている施設に先日伺いましたが、通院、投薬している子が本当に多いんですね。ケアニーズが高い子が不安定になると、職員がかかり切りになって、ほかの子のケアができなくなる。そして、その子へのケアは時間外で対応することになる。職員を増やしたい、こういう切実な声を伺ってまいりました。先日、ここの委員会のやり取りで、児童養護施設等の措置費の在り方の検討について、調査研究を行って議論し、よりよいものを実現するという答弁がございました。ケアニーズが高い人が多い施設は、当然、更に人的配置が可能になるように、早急な具体化を求めたいと思います。あわせて、一方を引き上げる代わりに、別の施設についてはケアニーズがそれほど高くないなどといって措置費や人員配置を引き下げるようなことは決してない、このことも確認したいと思いますが、これはいかがでしょうか。
○橋本政府参考人 児童養護施設におきましては、障害等を理由に手厚い支援が必要な子供が増加しておりまして、施設において児童の状況に応じた支援ができるように、入所定員数等に応じて施設に支払われる措置費に上乗せして、児童のケアニーズに応じ、心理療法担当職員の配置ですとか、被虐待児や医療的ケア児を受け入れた際の加算等を行っているところでございます。それで、措置費等の在り方等につきましては、児童養護施設等に入所している児童へのケアの現状や施設の課題等についての調査研究を実施する準備を進めているところでございますけれども、今後、こうした取組を通じて課題や進め方を整理しつつ、できる限り早急に有識者や施設関係者との検討の場を設けたいというふうに考えております。引き続き、児童養護施設等に入所する子供のニーズに応じた支援が行き届くように、支援してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 そこまでの話は前回の委員会の話だったと思うんですよね。ですから、当然ケアニーズが高い人には支援をしていく。だけれども、それほど高くないなどという理由で、逆に、じゃ、スクラップ・アンド・ビルドみたいなことは起きないですよねということを確認させていただきたいと思います。
○橋本政府参考人 施設の職員配置ですとか補助額等につきましては、様々な事情を抱えた個々の児童に対応するため、より充実させてほしいという要望を、施設を運営されている方々から私ども日々頂戴いたしておりますので、そういった当事者の御意見をよく伺いながら検討をさせていただきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 それは、当事者の意見を踏まえて伺ってやれば、当然スクラップ・アンド・ビルドみたいにはならないということだと思いますので、受け止めたいと思います。続きまして、こども家庭センターの設置についてお伺いしたいと思います。母子保健と児童福祉の連携を図ることは極めて重要でございます。子ども家庭総合支援拠点、東京では子供家庭支援センターが、自治体に設置をされておりますが、現状、ここでの相談は増え続けております。学校や保育園などから対応をしてほしいと要請され、一度は訪問、面接するんですけれども、ケースがどんどんたまっていくので、困難を抱えている親子に継続的に支援を続けるためにはマンパワーが足りない、こういう悲鳴の声を伺います。また、客観的に支援が必要な人ほど支援を拒否するケースも少なくないのが現状でございまして、粘り強く働きかけるだけの十分な体制も必要になります。今日は資料を配っておりますけれども、資料二ページ目のところに、厚労省から資料をいただきましたけれども、今、こども家庭センターの、正規、非正規ということで見れば、四割が非正規、会計年度任用職員ということになっております。そのうち多数が、かなりの部分が、三年以内の方ということになるわけです。自治体なんかのお話を聞けば、保健師を除けば正規は一般行政職で、数年で入れ替わるということで、福祉職の正規がいないということも伺います。専門性がなかなか蓄積されていかないという悩みも伺います。こうした子ども家庭総合支援拠点の現状について、大臣は、どう把握、認識されているでしょうか。現状の配置基準でもマンパワーが足りない、こういう声が上がっていることを認識しているでしょうか。こども家庭センター、これを今回設置するに当たっては、現状よりも配置基準そのものを引き上げる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○後藤国務大臣 現行の市町村が設置する子ども家庭総合支援拠点については、その設置運営要綱におきまして、人口規模のみならず、児童虐待相談対応件数等に応じまして、必要となる専門職員の配置人数を設定しているところであります。今後、こども家庭センターの職員に係る配置基準について、どのように設定するかは、子ども家庭総合支援拠点や子育て世代包括支援センターにおける現行の配置基準等を十分に踏まえた上で、虐待相談対応件数以外の相談件数を含め、市町村における相談件数の増加にどう対応するか、サポートプランの作成など今般の制度改正による市町村の業務の増加にどう対応するかなどの論点につきまして、市町村等の自治体の意見を伺いながら、今後、施行までに必要な検討を行っていくこととしております。なお、その際には、委員御指摘のように、マンパワーが現行制度において十分でないとの意見もある一方、小規模自治体において専門人材の確保が難しいといった意見も見られるところでありまして、それらを十分に踏まえる必要があると考えております。
○宮本(徹)委員 大事なのは、やはり子供の福祉の観点だというふうに思いますので、やはり子供の福祉の観点を貫いて是非この問題を考えていただきたいと思いますが、その点の決意をお願いいたします。
○後藤国務大臣 委員のおっしゃるとおりだと思います。
○宮本(徹)委員 では、そのとおりに、子供の福祉の観点から、配置基準はしっかり引き上がっていくものだと私は受け止めさせていただきました。その上で、先ほども申し上げましたけれども、現状の子ども家庭総合支援拠点は、正規は一般行政職の方が少なくなく、三年程度で入れ替わるということも多いわけでございます。専門職は会計年度任用職員が多数という自治体も少なくありません。こういう点で、本当に専門性をどう確保していくのかということを考えた場合に、やはり児童福祉の専門性を持った職員が正規で配置できるような財政支援が必要ではないかと思いますが、この点、大臣、いかがでしょうか。
○後藤国務大臣 市町村における子供家庭福祉分野の職員の専門性の確保は、重要な課題であると認識しています。現行においても、厚生労働省としては、市町村において相談援助業務を行う職員の専門性向上に向けた研修に必要な経費の補助を行うなど、自治体の取組を支援し、加えて、母子保健と児童福祉の一体的な運営に要する費用についても、今般の児童福祉法改正案の施行に先駆けて、補助率の充足を図ったところであります。職員の雇用形態については、現行の市町村の子ども家庭総合拠点における正規職員の割合は約六割程度と承知しております。今般の児童福祉法改正案において設置するこども家庭センターにおける職員の雇用形態についても、引き続き、各市町村における地域の実情に応じて、適切に配置いただきたいと考えています。いずれにしても、こども家庭センターにおける専門人材の確保は重要でありまして、これまでの研修等の支援に加え、今般の改正案において導入することとしている子供家庭福祉の認定資格についても、その積極的な取得促進に取り組むとともに、こども家庭センターの円滑な設置に向けて、財政支援も含めた必要な支援を検討して、その設置を促進してまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 今の御答弁というのは、できるだけ専門職、正規で、しっかりと配置できるようにしていきたいということでよろしいんでしょうか。
○後藤国務大臣 財政支援も含めて必要な支援を行いまして、こども家庭センターにおける専門人材の確保、しっかり図れるようにしてまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 専門人材、本当にそこで長く経験も蓄積をして頑張っていただこうと思ったら、やはり正規でというのが一番目指さなきゃいけない方向だというふうに思いますので、そこはしっかりと財政支援をお願いしたいというふうに思います。あわせて、公務員人材増が見込めない下で、保健と福祉の双方をマネジメントできて、要支援家庭を発見して介入できる人材、これをどう確保していくのか、この点はどうお考えでしょうか。
○橋本政府参考人 こども家庭センターにおきましては、児童福祉と母子保健の担当者が合同でケース会議を定期的に開催する等によりまして一体的かつ適切に情報を共有して支援につなぐということが重要でございますし、そのためには、児童福祉、母子保健共に造詣の深い統括支援員を配置をいたしまして、各々の専門職の専門性を生かしつつ、それを束ねるコーディネートを担うということとしております。それで、この母子保健と児童福祉の双方をマネジメントする統括支援員ですとか、あるいは、個々の支援の相談の中で支援が必要な方々を把握し支援につなぐ、そういう人材の確保に当たりましては、これまで市町村において取り組んでいただいている児童福祉及び母子保健の相談支援や指導等に関する知識、技能を有する人材を、現役のみならず、市町村勤務経験者、すなわちOBの方々なども含めて活用いただくとともに、自治体の規模に応じて柔軟な人員配置を認めること、あるいは、市町村向けの研修の充実を図ること、今般の児童福祉法改正案において導入することとしている子供家庭福祉の認定資格の積極的な取得を促進すること、こういったことなどによりまして、市町村において適切な人材が確保できるように支援してまいりたいというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 是非、人材育成の支援、更にお願いしたいと思います。本当にこども家庭センターが担う仕事というのは極めて大事な仕事になると思うんですけれども、先週の答弁を聞いていますと、地方分権の観点からこれは努力義務にしたんだという大臣から答弁がありましたが、私は、こうした事業というのはそもそも地域間格差があってはならないんだと思いますが、その点、大臣、いかがですか。
○後藤国務大臣 今般のこども家庭センターについては、努力義務とはしたものの、地域の状況も踏まえつつ、可能な限り地域間格差がなく整備する必要があるというふうに考えます。こども家庭センターについて、虐待防止や家庭支援等の観点から、児童福祉と母子保健の一体的な対応が重要であることはどの自治体にも言えることでありまして、丁寧にその必要を説明し、可能な限り早く各自治体にこども家庭センターを設置いただけるよう、自治体に促してまいりたいと思います。このため、厚生労働省としても、こども家庭センターの円滑な設置に向けて、人材確保のための支援を行うこと等について検討しまして、地域間格差が生じないように設置を促進してまいります。
○宮本(徹)委員 続きまして、児童相談所の体制についてお伺いしたいと思います。私も連休のはざまに都内の児童相談所を伺いました。連休のはざまですけれども、執務室はいっぱいで、皆さん仕事をされておられました。本当に大変な仕事量だということになっていると思います。今、東京ではリクルーターも配置して児童福祉司を懸命に増やす努力をしておりますけれども、まだまだ足りないということで、児童の虐待事案等の一人当たりの対応件数、そこの児童相談所では一人当たり六十から百件というふうな状況だというふうに聞きました。最大の課題は人材の確保と育成だということでございました。先日、児童福祉司の人数について、大臣からでしたかね、新プランの目標、三万人に一人を一年前倒しでおおむね達成した、こういう答弁があったわけですけれども、今日、資料を一ページ目と三ページ目に児童福祉司の人数、一ページ目は都道府県ごとの一人当たりの対応件数も書いておりますけれども、つけております。一人当たり件数は、東京、大阪では七十件を超すというのが直近の数でございます。ですから、自治体ごとに見ると全く現状は足りていない、この認識をしっかり持つ必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○後藤国務大臣 児童福祉司を四年間で約二千人増員すること等を目標とした新プラン、児童虐待防止対策体制総合強化プランについては、国全体での増員目標でありまして、自治体ごとの目標は定めておりません。一方で、御指摘のとおりに、特に都市部の児童相談所では人員が引き続き不足している状況であると認識をいたしております。また、児童福祉司については、社会福祉士や精神保健福祉士などのソーシャルワークの専門職に加え、大学で心理学や教育学等を専修した者等も任用要件に加えておりまして、一定の専門性の確保に留意しつつ、学校等で養成された幅広い人材の確保を図っております。厚生労働省としては、各自治体で必要とされる人材を確保できるように、自治体が行う児童福祉司等の採用活動、研修に必要な経費について補助を行っております。これに加えて、新プランにおいて国全体として児童福祉司等の増員を進めていることを踏まえ、厚生労働省が自ら、児童福祉司等の仕事の内容や魅力を周知するための動画作成、周知する、児童福祉司等の採用活動に資するポスターやパンフレットを作成し各自治体に活用してもらうよう送付するといった取組を行いまして、児童福祉司の仕事の魅力の発信もしているところでございます。今後とも、こういった取組を通じまして、各自治体の児童相談所の人材確保をしっかり支援してまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 本当に人材確保、大変苦労しておられまして、今日も大阪の児童相談所の方が、午前、参考人で見えて、この上、一時保護時の司法審査まで考えたら本当に大変な状況だということもお述べになられておりました。終わった後に少しお話を伺って、意見交換もしたんですけれども、やはり、今少子化で、子供が減っていく中で、児童福祉の担い手も、志望者を本当にどうやって広げていくのかというのは相当な努力が必要だ、高校生ぐらいの段階からも働きかけていく必要があるんじゃないかということもおっしゃっておられましたので、そうしたところも含めて幅広く、この児童福祉司もそうですけれども、児童福祉に関わる人々が、この分野で頑張ろうというふうに、増えていくような働きかけを努力していただきたいと思いますが、更に踏み込んでの御検討を大臣にお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○後藤国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、いろいろ施策についてはこれまでも取り組んでおりますけれども、今回こうした形で児童福祉法の改正も御提案させていただいておりますので、しっかりとした支援を含め、我々としてやれることをしっかりやっていきたいというふうに思います。
○宮本(徹)委員 やれることを全力でやっていただきたいと思います。その上で、一時保護の司法審査についてでございますが、児童相談所の方と意見交換する中で、子供が帰りたくないという場合、なぜそうなのかなど、調査のための一時保護もしっかり認められるようにしてほしいんだという強い要望がありました。この点、いかがでしょうか。
○橋本政府参考人 お尋ねの、子供が帰宅を拒否し保護を求めているケースについては、現行制度においても、そのことのみをもって機械的に一時保護を行っているわけではございません。その上ででございますが、一時保護の具体的な要件については、実務者を含めた作業チームにおいて今後検討していく予定でありますが、児童相談所がちゅうちょなく適切な一時保護を開始できるよう、今御指摘いただきました調査保護ということを含めまして、現行の一時保護ガイドラインや、様々なケースで行われている一時保護の実情を踏まえた、適切な規定ぶりとする予定でございます。
○宮本(徹)委員 では、しっかりと適切な規定をお願いしたいというふうに思います。あと、これは前回通告したんですけれども、子供シェルターの弁護士の方から子供代理人という提案がございます。今、子供シェルターでは、子供を担当する弁護士は、児童相談所や保護者からの窓口となって、子供の意見表明を援助するにとどまらず、子供の今後の生活場所についても、児童相談所、保護者と、子供を代弁して、子供の立場から協議、交渉しているということでございました。そこで、義務教育終了以上の子供が、一つは、子供自身が児童相談所に対して一時保護を求めるに当たって代理人、弁護人の選任を希望した場合や、二つ目に、一時保護された子供が代理人、弁護士の選任を希望した場合について子供担当弁護士を選任する制度を設けるべきではないか、こういう提案をされているんですけれども、これはいかがでしょうか。
○橋本政府参考人 一時保護の開始時の司法審査に際しまして、子供の意見については児童相談所が可能な限り疎明資料に盛り込んで裁判所に提出する形とすることを考えております。これに加えまして、都道府県における事業として、弁護士を含め、NPO、ソーシャルワーク専門職など、多様なバックグラウンドを持つ意見表明等支援員を養成し、意見聴取等の際に支援することを制度的に位置づけ、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。今委員が御指摘されました子供担当弁護士ということにつきましては、私の理解では刑事事件における国選弁護人のようなものに近いものというふうに認識しておりますけれども、一時保護というのは刑事手続とはその趣旨、目的を異にするものでございまして、その開始時の司法審査の際に刑事手続における国選弁護人と同等の手続を講じるということについては慎重に考えるべきものというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 別に刑事手続をわざわざここで持ち出して慎重にというような話じゃないと思うんですけれども、やはり、子供の意見表明をしっかりと権利として保障しようという方向で、今回、法改正も全体としてやるわけですから、その際、現時点での専門職としては、やはり弁護士というのはしっかりと私は力をかりる、そのことによって子供は意見表明、自分の意見がしっかり通る仕組みが設けられるというのは、これは子供の福祉にとっても非常に大事なことだと思いますので、再考を求めまして、質問を終わらせていただきます。