2022年6月7日科技特 雇い止め 半数は博士 大学研究員など 宮本徹氏「大きな損失」

配付 出典:文部科学省提出資料
配付 出典:2022年5月28日付東京新聞
配付 出典:論座 2019年2月12日付

 11大学と理化学研究所で来年3月末に雇用条件の10年で雇い止めとなる非正規研究員のうち、半数以上が博士号取得者であることが政府の答弁で明らかになりました。7日の衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会で、日本共産党の宮本徹議員が質問しました。
 労働契約法では、大学や研究機関の非正規研究者は、雇用が10年を超えた場合、本人が希望すれば期間の定めなく働ける無期雇用に転換できます。このため無期雇用への転換前に雇い止めされる恐れが指摘されています。
 政府によると、11大学で契約期間の上限を10年以内とし、来年3月末に10年を迎える非正規研究者は1205人いて、そのうち684人が博士の学位を取得しています。
 宮本氏は、「優秀な研究者が雇い止めされるのは、日本社会にとって大きな損失だ」と批判。「大臣の文部科学省に対する勧告権限を使って、雇い止めを回避すべきだ」と要求しました。
 小林鷹之科学技術政策担当相は「労働契約法の趣旨にのっとった運用がなされるのが重要だ」と述べた上で、「それぞれの特性や事情を踏まえた個別的かつ具体的な対応が求められる」と、大学任せの姿勢に終始しました。
 宮本氏は、大学側が65歳まで雇用する財源がないことを理由に雇用を延長しない事例もあることから、その財源を国が担保すべきだと主張しました。
 また、理化学研究所では来年3月末に10年の雇用上限となる任期付き研究員は201人いて、博士の学位取得者は161と、8割に及びます。宮本氏は「希望者は無期転換すべきだ」と迫りました。

以上2022年6月8日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2022年6月7日 第208回衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会第3号 議事録≫

○手塚委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。質問します。この間、日本の研究力の低下が指摘をされております。国立大学の法人化以降、若い世代で正規のポストが大きく減りました。任期付が増えました。落ち着いて研究ができない、先が見えないので博士課程への進学者も大きく減っております。そして、今起きているのが、研究者の大量雇い止めの危機です。政府の調査では、科学技術・イノベーション活性化法等の特例適用者で二〇二三年三月末に十年となる者は、国立大学及び研究機関で四千五百人。お配りしている資料は、文科省から提出していただいた資料でございます。国立大学法人、国立研究開発法人等の研究職員の中で来年三月末で雇い止めの可能性がある方について、学位の取得状況を調べてもらいました。これは概略を紹介してもらえますか。
○田中副大臣 お答えいたします。国立大学法人及び国立研究開発法人等を対象に、文部科学省といたしまして有期雇用職員の学位取得状況を網羅的に確認できてはおりませんが、議員から御指摘のあった国立大学法人十一法人に対して確認を行ったところ、本年五月三十日時点で、有期雇用職員のうち、科学技術・イノベーション創出活性化に関する法律等による労働契約法の特例の対象者のうち、令和五年三月三十一日時点で雇用期間が十年となる者、計二千百五十一人の学位取得状況については、博士号取得者が一千三百十六人であり、そのほか、博士号取得見込み者が四十五人、修士号取得者が二百二十四人、学士号取得者が四百九人となっております。また、各法人の労働契約において通算雇用期間の上限を十年以内としている者、計一千二百五人の学位取得状況については、博士取得者が六百八十四人であり、そのほか、博士取得見込み者が三人、修士取得者が百三十五人、学士取得者が二百六十六人となっております。
○宮本(徹)委員 大学ごとは見ていただければと思いますけれども、どの大学でも、博士の学位取得をされている方が半数近く又は半数以上ということになっております。十年特例で十年を迎える方々は、十年研究してきている方々ですから、大きな研究実績もある方々でございます。次の資料、東京新聞の記事を見ていただきたいと思いますが、来年三月末で雇い止めにされようとしている東大のバイオ系の特任教授は、こう述べております。別の大学に移れるならいいが、昨年から十件以上、大学教員の公募に書類を出しているが全く通らない、同じような境遇の人が殺到しているのだろう、背に腹は代えられない、中国からオファーがあれば考える、こう述べておられます。小林大臣にお伺いいたします。優秀な研究者が雇い止めされていくことは、日本の研究力を一層低下させ、日本社会にとって大きな損失だと考えますが、そういう認識はございますか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。我が国の研究力の向上のためには、研究者が腰を据えて研究に打ち込める環境を整えていくこと、これが重要だと考えています。その観点からは、研究者の雇用の安定を確保する労働契約法の趣旨にのっとった運用がなされることは、私は大変重要だと考えております。個別の法人の業務運営につきましては、各法人を所管する省庁におきまして適切に対応いただくものではございますが、意欲と能力のある研究者がそれにふさわしい処遇を得て研究に取り組めるようにすることが、我が国全体の研究力の強化にとって重要だと考えます。政府としては、研究の魅力向上や研究環境の改善を図って、国際的に比較して我が国の研究力が向上するように、その取組を進めていきたいと考えます。
○宮本(徹)委員 我が国の研究力にとっても大変ゆゆしき事態が今起きつつあるということなんですね。私、大臣、この東京新聞に出てくる教授に直接お話を伺いました。ここではA教授ということにしておきたいと思います。このA教授の寄附講座の資金を出している会社、B社としますけれども、B社は、資金をこれからも出すので、A教授に研究を更に続けてほしいとおっしゃっているわけですね。A教授も東大で研究を続けたいと考えている。ところが、大学の側は、十年を超えて雇用するとA教授に無期転換権が生じる、しかし、A教授を六十五歳まで雇用する財源がない、こういう理由で雇用は十年までだというふうに大学側は説明しているということなんですね。A教授は、じゃ、B社の寄附が続く間だけでも雇用を延長してほしい、こう求めても、大学側は、いや、法律上、無期転換権が生じるので、そうした約束をしても法律が優先するから駄目だ、こういう話になっているということでございます。A教授は学生の指導も行ってきております。無期転換させないために十年で雇い止めするということで得する人は、はっきり言って、私、誰もいないと思いますよ。A教授にとっても、東大にとっても、あるいはB社にとっても、日本の研究力にとっても、誰にとっても大きな損失というのがこのケースだと思います。A教授はこうおっしゃっていました。私のような研究者が職を失う、これを見て学生は大学の研究者になろうとは思わない、民間に就職をする、基礎研究を荒廃させていくことになるんじゃないか、こうも言われておられました。このA教授のケース、今ちょっと御紹介させていただきましたけれども、大臣、率直にどう思われますか。
○小林国務大臣 私自身、一つ一つの個別の事例を詳細に存じ上げているわけではないので、ちょっと個別の案件についてコメントすることは控えますが、そもそも政府として、雇用の在り方については先ほど申し上げたとおりです。個々の具体的な人事の在り方につきましては、やはり、それぞれの大学、機関、あるいはそれを所管する省庁において、その具体的な在り方についてしっかり決めるものだというふうに私は認識をしているところであります。
○宮本(徹)委員 問題なのは、個々で決めてもらうということでいくと、こうした、誰にとっても得にならない、日本の研究力にとっても、A教授にとっても、大学にとっても、そしてB社にとってもマイナスになることしか結論として出てきていないということなんですよね。これを放置していいのかということが問われていると思うんですよ。私は、今、個別の方の紹介をしましたけれども、同じ例が千の単位で、今、日本社会で起きているわけですよね。任期付で十年を迎える方々が研究を続けられるようにしようということを考えたら、私は、もっと大臣自身が、個別の大学任せではなくて、政府としてちゃんと対策を取っていく、個別の事例、一つ一つどう解決していくのかということも含めてやっていかなきゃいけないと思います。大臣には文部科学省に対しての勧告権限もあるわけでございますから、こうした勧告権限も使って研究者の大量雇い止めを回避すべきだと思いますが、いかがですか。
○小林国務大臣 内閣府特命担当大臣の勧告権について今お尋ねがありましたが、委員御指摘の勧告権というのは、内閣府設置法の第十二条第二項で、特命担当大臣が、その掌理する事務の遂行のために特に必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し勧告することができる旨、確かに規定されています。ただし、これは、各省の大臣がそれぞれの権限や責任を果たす分担管理をあくまでも基本としつつ、内閣府の特命担当大臣に対して総合調整の観点から与えられた権限であると認識しています。御指摘の大学や研究機関における人事や雇用につきましては、今し方申し上げたとおり、それぞれの機関の特性や事情を踏まえた個別的かつ具体的な対応が求められますことから、各法人の経営判断で決定されるものであって、また、その業務運営について、所管省庁において適切に対応いただくものであると考えます。ただ、政府としては、研究の魅力向上を図りつつ、十兆円大学ファンドによる研究環境の強化、また、先ほど来議題に上っている博士課程学生への経済的な支援等々、意欲と能力のある研究者が、ふさわしい処遇を得て良好な環境で研究に専念できる環境をつくっていきたいとは考えております。
○宮本(徹)委員 しかし、今はそのふさわしい処遇がないというのが問題なわけですよ。実績もある研究者の皆さんが、十年だ、ただそれをもってして雇い止めにされようとしている、こんなので本当に研究者にみんななろうと思いますかね。ならないんじゃないですか。幾ら若手の皆さんに支援をしますといったって、その先が見えないわけですから。ここを本気で変えるということが私は問われているというふうに思いますよ。それが私は小林大臣の大きな仕事だと思います。各省庁というお話がありましたので、文科省にもお伺いしたいと思います。先ほど、立憲民主党の藤岡議員とのやり取りで、実態把握を行うという答弁がございました。この中身についてちょっとお伺いしたいんですけれども、この実態把握なるものはいつ行うのか。そして、それは数字をつかむものなのか、私が紹介したような個別の問題についてつかもうと考えているのか、そして、個別の問題をつかんだ上で指導する、そういうことも考えて実態把握をしようとしているのか、お答えください。
○田中副大臣 お答えいたします。先ほども答弁をさせていただきましたが、今後必要な対応を検討するためには、法律の施行状況等を把握する必要があると考えております。本特例の適用から十年を超えることとなる令和五年四月以降に、本特例に基づいて無期転換する研究者等が生じることになるため、その前後の状況も含めつつ実態把握をすることは、これは必要であると考えております。
○宮本(徹)委員 前後というのは、今、前なんですよね。今、前なんですよ。数だけつかんでも、率直に言って意味がないと思うんですよね。今起きている事態をどう解決するのかということを、文科省はなされるつもりなんでしょうか。
○寺門政府参考人 お答えいたします。今ほど副大臣から申し述べましたとおり、改正法の附則におきまして規定されているとおりでございますので、本特例に基づいて無期転換が生じる研究者等が生じることを踏まえますると、こうした法律の施行状況をまず把握しなければいけないと考えてございます。このことについて、その上でどのような対応を図るのかを考えておりまして、今後、その調査の方法、在り方については、事務的によく検討を詰めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 いや、ですから、無期転換の期限が来た後に無期転換したかどうかという、そういうのを悠長に調べていたら、全く今起きている事態に対しては何もしないということになっちゃうわけじゃないですか。今起きている事態を誰が責任を持って対処するんですかということをお伺いしているんですよ。
○寺門政府参考人 お答え申し上げます。先生御指摘のこの問題につきましては、各法人がそれぞれのミッションに基づいて各研究者とともに契約を行っているというところでございますので、労働契約の趣旨を踏まえまして適正に対応いただくよう、これまで文部科学省としても周知をしているところでございます。したがいまして、この件については、引き続き、法人において丁寧な対話を継続していただきまして、種々の問題というものの解決に努めていただきたいというふうに考えてございます。文部科学省としては、労働契約の趣旨を踏まえて、これまでも適正に対応いただくよう周知を図ってございまして、こういったルールの適切な運用について周知徹底を図ることを通じまして、適切な各労働契約の運用というものに努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 ですから、ルールを周知しているだけではこうした事態が止まっていないじゃないですかということを言っているわけですよ。具体的に、労働契約法の趣旨にもとる事態が今起きているわけですよ。小林大臣は、労働契約法の趣旨に基づいて雇用の安定化を図ってほしい、こういうことを言っているわけですよ。具体的にどうするんですか。
○寺門政府参考人 お答え申し上げます。繰り返しで恐縮でございますけれども、委員御指摘の違法な事案というお話がございましたけれども、詳細について、一般論として申し上げれば、個別事案の違法性というものにつきましては、労働契約法十九条の雇い止めの法理に基づきまして、最終的には司法において判断されるというふうに承知をしているところでございます。その上で、労働契約の趣旨に基づいた対応ということを文科省としては各法人に再三再四にわたって周知しているところでございますので、丁寧な対話を、引き続き、各法人においては、現場を知悉すべき法人が、各労働契約の相手方と十分にお話をしていただきながら、その周知を図ることによって解決をお願いしたいというふうに考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 そういう法人任せでは、本当に駄目なんですよ。私は、これはもう本当に特別な体制を取って対応しなきゃいけないと思いますよ。あわせて、これは大学も困っている面があるんですよね。先ほど東大の例を紹介しましたけれども、無期転換しようと思ったときに財源がないんですよね、財源が、その方を定年まで雇っていく。私は、この財源を手当てすることも含めて考えなきゃいけないと思いますが、この点、小林大臣、どうお考えですか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。若手の研究者が研究に専念できる環境を構築していくことが重要でございますので、若手研究者が挑戦的な研究に取り組める創発的研究支援事業などの施策を実施してきておりますが、若手研究者への任期なしポストの充実も必要だと認識はしています。そのため、内閣府としては、研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ、これは令和二年に決定したものでございますが、これを踏まえて、例えば間接経費、あるいは競争的研究資金の直接経費から研究者の人件費を支出することで捻出した運営費交付金など、多様な財源を戦略的かつ効果的に活用することで、特に優秀な若手研究者の安定的なポストの確保を図っていくことを研究現場に促しているところであります。引き続き、こうした取組を各大学が行うことを政府として後押ししていくことで、一定の流動性の確保を図りつつも、大学における優秀な研究者の安定的なポストの確保を図って、それをもって研究力の強化に取り組んでいきたいと考えます。
○宮本(徹)委員 日本でトップの実力を持つ東大であっても、財源に苦労しているんですよ、無期転換の財源に。今の大臣のお話だけでは、足りなくて困っているんですよね。これは本気で、どうやって解決するのかというのをよく実態をつかんで考えないと、本当に大損失ですよ。若い皆さん、博士課程に行こうなんて本当にどんどん思わなくなりますよ。任期付の研究者の皆さんの一割が、毎年こういうことが起きていくわけですよ、これから毎年毎年、このままでいけば。これは、ちゃんと更に考える必要があるんじゃないですか。大臣、いかがですか。
○小林国務大臣 無期雇用転換ルールにつきましては、ルール適用の実態などを踏まえて、労働契約法令を所管する関係省庁において今後検討がされることになると承知をしています。検討の結果を踏まえて、政府として適切に対処していくということだと思います。委員が今御指摘の、博士、研究者を目指さなくなるんじゃないかという点につきましては、政府としては、研究の魅力向上を図りつつ、十兆円規模の大学ファンド、これも大学の研究環境の強化ということもありますし、これで博士課程の学生への支援というのも当然行っていきます。また、先ほども申し上げた創発的研究支援事業などを通じて、研究者が良好な環境で研究に専念できる環境をつくっていきたい、努めてまいりたいと考えます。
○宮本(徹)委員 幾ら十兆円ファンドを用意しても、無期転換が図られていかなければ不安定なんですから、この問題の解決には全く当たらないということを申し上げておきたいというふうに思います。本当は、今日は、東大の労務担当理事の方にも来ていただく予定で、本人には了解を得ていたんですけれども、与党の反対でなぜか呼べずに、この問題をちゃんと議論ができなくて大変残念だというふうに思っております。その上で、理研についてもお伺いしておきたいと思います。理研では、二〇二三年末で雇い止めをされる研究職が三百人弱おります。この中には、六十人以上の研究室の主宰者が含まれております。研究室主宰者が雇い止めになると、研究室も廃止となり、そこで働く職員の雇い止めにもなるわけでございます。お伺いしますけれども、理化学研究所で来年三月末で契約期限を迎える非常勤研究者のうち、学位の取得状況はどうなっているか、教えていただけますか。
○坂本政府参考人 お答えいたします。理化学研究所に確認したところ、令和四年四月一日時点での集計によれば、令和五年三月末での十年の雇用上限となる常勤の任期付研究系職員は計二百一名、このうち、最終学歴が博士の学位取得者は百六十一名、修士の学位取得者は二十八名、学士の学位取得者は十二名ということでございます。
○宮本(徹)委員 八割が博士号を持たれている方ということになるわけですね。理研で十年、二十年研究を支えてきた人たちがたくさんいらっしゃるわけです。この理研の雇い止めのひどいところは、労働契約法が改正された後の二〇一六年になってから、無期転換ルールを逃れるために、新たに有期雇用の通算契約期間について五年上限、十年上限というのを定めました。雇用の安定化を図るための無期転換ルールを定めた労働契約法の趣旨に真っ向から反するやり方でございます。事務職員の五年上限については国会でも大問題になり、労使の交渉で、二〇一六年四月以前から雇用があった者については無期転換を図るということになりました。同じ理屈で言えば、十年特例の対象者についても、二〇一六年以前から雇用されている者については、これは違法な不利益変更に当たる、希望者は無期転換すべきだというふうに思います。理研を指導して、法の趣旨にもとることはやめさせるべきではありませんか。
○田中副大臣 理化学研究所では、平成二十八年の就業規程改正前から雇用されている任期制職員のうち、事務系職員については、平成三十年二月に、従事する業務が存続する範囲において、五年間の雇用上限の適用を除外することとしたと承知いたしております。これは、事務系職員の業務の特性に鑑み、採用当時において、業務の整理合理化が行われない限りは雇用が継続する可能性があったと考えられることから、このような取扱いを変更したものと確認しております。一方、就業規程改正前から雇用されている任期制職員のうち、研究者については、従事する研究プロジェクトの終了や見直し等により任期満了となることを前提として雇用されており、事務系職員と研究者とでは雇用の前提が異なると考えております。理化学研究所では、新しい研究領域を開拓し、国家的、社会的ニーズの高い研究を機動的に進めるため、プロジェクトの廃止も含めた見直しを適時適切に行っております。これにより、時宜にかなった最先端のプロジェクトを立ち上げ、そこに優れた若手研究者などの人材を結集し、研究所の国際競争力を維持向上させることとしております。文部科学省としては、理化学研究所において、労働関係法令に基づき適切な人事の運用を行っていただくとともに、労働者との丁寧な対話を継続していただきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 とんでもない答弁だと思いますね。十年の任期が来るからということで、プロジェクトを途中で廃止をしていっているわけですよ。それが、何かあたかも合理的な見直しみたいなことを文科省が擁護するなんて、もってのほかだと思いますよ。時間が来ましたから、これで質問を終わらなければなりませんが、正直、この問題をそのままにしておいたら、私は、取り返しのつかない事態を、若い皆さんへの影響も含めて、日本の研究に与えるというふうに思います。そのことを自覚を持って、小林大臣には打開策を考えていただきたいと思います。うなずいていただけますか。
○小林国務大臣 委員の御指摘については、一連の質疑については伺わせていただきました。いずれにしても、研究力の底上げを図っていくためには若い研究者の方々の処遇の改善というものをしっかりやっていく必要があるということは、問題意識が共有できていると思います。ただ、個々の具体的な事例につきましては、あくまで冒頭申し上げたとおり、研究者の雇用の安定を確保する労働契約法の趣旨にのっとった運用がなされることは大変重要であるというふうに考えておりまして、政府としては、当然、その法令にのっとって適切に対応していくということだと考えます。
○宮本(徹)委員 その法の趣旨が貫徹されるような取組を求めまして、質問を終わります。