秘密保護法違憲訴訟問題でスピーチ
フリージャーナリストら43人が国を相手に、秘密保護法の違憲・無効確認などを求めて東京地裁に提訴した裁判の判決を11月18日に控え、原告団は9月29日夜、東京都港区のJR新橋駅前でリレー演説会を開きました。
原告をはじめ多彩な立場の人たちが、同法は戦争法や改憲と一体で、知る権利が奪われ戦争に突き進んで行くと訴えました。
原告の1人、ジャーナリスト安田浩一氏は「表現の自由、報道の自由が奪われてしまう」と強調。「記者だけでなく情報提供者も処罰の対象となり、内部告発の手段が封じられる。国家の情報が闇の中に閉じ込められてしまう」と指摘しました。
新聞労連委員長の新崎盛吾氏は、「我々が国民の知る権利に応える役割を果たせなくなったとき、戦争が始まる」と述べました。
劇団を主宰する樽原拓氏は、秘密保護法を題材に昨年上演した作品を紹介し「荒唐無稽と思えたが、安保法制と結びついたら急に現実味を帯びてきた」と危惧。元外務省国際情報局長の孫崎享(うける)氏は、「安倍政権を倒す必要がある」と力を込めました。
このほか、日体大教授の清水雅彦氏、出版労連「特定秘密保護法」廃止特別委員会事務局長の前田能成氏、日本共産党の宮本徹衆院議員、社民党の福島瑞穂参院議員、アイドルグループ「制服向上委員会」のメンバーらがスピーチしました。
以上2015年10月1日付赤旗日刊紙から抜粋
演説要旨
今日は、秘密保護法と、戦争法の問題について訴えたい。
先日、国民多数の反対を無視し、憲法違反の戦争法が強行されました。この戦争法は30日に交付され、半年以内に施行されます。この国がいよいよ海外で戦争する現実の危険が生まれます。戦前、日本が戦争への道をつきすすんだときも、国民に真実を知らせない暗黒体制がつくられました。安倍政権も、戦争法に先立って、秘密保護法がつくり、昨年12月から施行されています。
秘密保護法は、行政機関の長が、この情報は「安全保障に支障がある」と判断すれば、「特定秘密」に指定されます。政府の都合次第で、好き勝手に情報が隠されます。国民は何が特定秘密なのかもわかりません。そして、特定秘密を知らせることも、知ろうとすることも、この秘密を明らかにせよと迫ることも犯罪とされ重罰が課されます。憲法の保障する表現の自由、知る権利を奪う憲法違反の法律です。戦争する国づくりへ、国民に真実を知らせない。国民の目と耳と口をふさぐ、これが秘密保護法の本性にほかならないのではないでしょうか。
政府は、今回の戦争法について、国会承認が歯止めであるかのようにいいます。しかし、「存立危機事態」あるいは「重要影響事態」だと政府が判断した根拠となる情報が、特定秘密に指定されれば、国会にはでてきません。自衛隊を海外にだす根拠を国会でただしても、「それは特定秘密なのでこたえられません」、となるのです。こんなことで、国会が、自衛隊の海外派遣の歯止めの役割が果たせるわけがないではありませんか。
だいたい、みなさん、戦争はいつも、ウソではじめられてたではありませんか。ベトナム戦争のときはトンキン湾事件がでっち上げられ、イラク戦争のときは、イラクが大量破壊兵器を持っているというウソで戦争がはじめられました。今回の戦争法にもとづく自衛隊の海外派遣でも、政府に都合の悪い情報は、特定秘密だと隠すおそれだってあります。国民に真実を隠して、ウソで戦争への道へと進むことなど断じて許されない。戦争法も、特定秘密保護法も廃止するしかない。
政府は、都合の悪い情報を隠したがります。国会での戦争法の審議の中で、自衛隊の内部資料がなんども問題になりました。昨年末、自衛隊のトップである河野統幕長が訪米して、陸軍、海軍、空軍、のトップの会談録です。夏までに成立させる、ジブチでの活動の拡大、中東、アフリカを担当する米軍と連携を深める、オスプレイに反対しているのは一部の活動家だけなど、目を疑うような話まででていた。防衛省は同じタイトルの文書はあるが、一字一句同じではない。正式バージョンの公表は差し控えたいと言ってだしてこなかった。
もし、政府が、都合の悪い情報を恣意的に、特定秘密に指定してしまったら、私たち国会議員が、追及すること自体が犯罪とされてしまいます。こんな悪法は廃止するしかありません。
いまでも自衛隊は秘密だらけです。自衛隊がどういうときに、どういう基準で武器を使うのか、交戦規則、ROE、自衛隊では部隊行動基準と言いますが、これは、いまでもマル秘扱いです。国会で質問しても、「手の内をさらすことになるからお答えはさしひかえたい」という。
今回の戦争法で、平時から、米軍の艦船や航空機を自衛隊が武器を使って守ることが可能になります。現在、米軍の交戦規則と自衛隊の交戦規則は違います。米軍は先制攻撃を辞さない。一方、自衛隊は受動的にしか使えないと政府は説明する。この場合、米軍が自衛隊の受動的な武器使用基準に合わせなければ、憲法違反になると、衆議院の特別委員会で、参考人としてきた元内閣法制局長官の宮崎さんはおっしゃった。しかし、自衛隊の交戦規則も、米軍の交戦規則も、その適応もすべて秘密とされたら、憲法違反がおこなわれているかどうかの検証すらできないではありませんか。
戦争法が施行されたら、来年5月、南スーダンに派遣されている自衛隊のPKOの部隊に、新たに駆け付け警護の任務を付与すると報道されています。そのために、武器の使用基準を緩和する検討に入ると報道されています。しかし、これも秘密にされる。南スーダンでPKOで駆け付け警護で間違って、民間人を射殺してしまうという事態が生じても、検証のしようがないではありませんか。
憲法違反の秘密保護法と、戦争法がセットで運用されたら、国民が真実を知らされないまま、まちがった戦争に日本がどんどんつきすすむ危険があります。力を合わせて、秘密保護法も戦争法も廃止しようではありませんか。
日本共産党は、戦争法制廃止と安倍政権の打倒のたたかいをすすめる国民連合政府の実現を呼びかけ、この政権構想に同意した野党が選挙協力をすすめていくことを呼びかけています。ごいっしょに安倍政権を打ち倒し、秘密保護法も戦争法も廃止しましょう。心から呼びかけて、連帯のあいさつとさせていただきます。