多子世帯の保育料値上げについての赤旗特集にコメント

以下、2015年10月3日付赤旗日刊紙より抜粋

子育て新制度 各地で悲鳴

「えっ!? 保育料が4倍超」

仙台では共産党追及で軽減

「6600円から3万300円と4・6倍になった。とても払えない」(大阪府豊中市)などの声が上がっています。

子ども・子育て支援新制度の実施にあたり安倍政権が、これまで実施していた年少扶養控除の「再計算」をしないと決めたことが原因です。

一方で値上げを撤回させるとりくみもすすんでいます。

4月から多子世帯の保育料値上げをした仙台市では、保護者の訴えをうけた日本共産党市議団の追及により、4月にさかのぼって保育料を引き下げます。

中3、中2、小6、保育園の年長(6歳)、年少(4歳)の5人の子どもがいる加藤由美さん(仮名、40)は、子ども2人分で8290円だった保育料が3万7350円と4・5倍になりました。年間にすると34万8720円の負担増です。

驚いた加藤さんは日本共産党の花木則彰市議に相談。同市議は市議会で「『再計算』などの手だてをうち、多子世帯の保育料の軽減を」と何度も求めてきました。同市は「19歳未満の子どもが3人以上」で「実際に保育料が上がった」世帯について、年少扶養控除があるものとして計算し直して「変更通知」を出し、既納分を還付することが2日、明らかになりました。6日、市議会に報告されます。

9月に保育料の改定を実施した自治体が多く、各地で保育料値上げに対する集団での異議申し立ての動きも広がっています。

宮本徹議員の追及に政府「再計算を妨げない」

多子世帯の保育料値上げは年少扶養控除の「再計算」をしない国の方針がおおもとの原因です。
子ども手当の拡充と引き換えに、2010年の税制改正で0~15歳の年少扶養控除(所得税38万円、住民税33万円)が廃止されました。保育料が上がらないように国は昨年度まで年少扶養控除があった場合の税額を「再計算」するよう自治体に促していました。しかし、安倍政権は4月からの子ども子育て支援新制度で「再計算」しないことを決めたのです。
国は、子ども2人世帯の保育料が制度実施前後で同じになるよう自治体に求めました。しかし、3人以上きょうだいがいれば、保育料が上がる人は多くいます。国は在園時に限り「再計算」する経過措置をとってもいいとしましたが、多くの自治体は経過措置さえとっていません。
日本共産党の宮本徹議員は3月4日の財務金融委員会で「再計算を引き続き行うなど、多子世帯の保育料が上がらないような手だてを」と求めました。国は同6日、「新規の入園者の再計算を妨げない」との通知を自治体に送りました。

自治体独自に軽減措置(東京)

東京都内では約3割の自治体が新入園児も含めて「再計算」しています。約2割の自治体は、第3子以降の保育料無償の対象拡大など多子世帯の保育料を独自に軽減しています。
武蔵村山市では子どもが3人以上いる世帯について、年少扶養控除があるものとして税額を「再計算」しています。担当者は「子どもがたくさんいる世帯の保育料が高くなるのは、少子化を食い止める政策に逆行しかねない」とその理由を話します。
同じく「再計算」を行っている町田市では、新制度実施を前に保育料をシミュレーションし、子どもが3人以上いる世帯で保育料の階層が上がることがわかりました。担当者は「市に多少の負担があっても、制度の移行によって保育料負担を変えないために、『再計算』を決めた」と話します。

多子世帯の軽減 国の責任で (宮本徹議員のコメント)

安倍政権が押し付けた保育料計算方式の変更は、子どもが多い世帯ほど大きな値上げをもたらしています。子育て支援に逆行しています。
日本共産党国会議員団は3月に、多子世帯の保育料の負担軽減を政府に申し入れ、保育料無料化の対象拡大を求めました。
多子世帯から悲鳴が上がるなか、内閣府の有識者会議も8月に発表した提言に、第3子以降の保育料無償化の対象拡大を盛り込みました。子育て世代の負担軽減が前進するよう全力をあげます。