2022年10月28日 衆院厚生労働委員会 コロナ後遺症 支援要求 周知啓発も

配布資料 出典:HIRAHATA GLINIC提供資料
配布資料 出典:Viruses 2022,14,

 日本共産党の宮本徹議員は28日の衆院厚生労働委員会で、コロナ後遺症の患者に対する支援や企業等への周知啓発を求めました。
 コロナ後遺症外来のある「ヒラハタクリニック」(東京都渋谷区)の平畑光一院長のデータによると、2781人のコロナ後遺症患者のうち、退職や休職、勤務時間の短縮など、労働に影響した人は1904人、68・5%に及びます。症状が改善するという論文が出ているEAT(上咽頭擦過療法)という治療法を採用する医療機関は、耳鼻科全体の5%程度しかありません。
 宮本氏は、EATの普及のために、厚労省が作成している診療の手引き(罹患=りかん=後症状のマネジメント)で治療法の事例として紹介することや、低すぎる診療報酬の引き上げを要望。後遺症患者が経済的に困窮している実態も示し、生活支援策の検討も求めました。
 コロナは、感染後2カ月に無理をすると後遺症が深刻になりやすく、治療で改善しても無理をして悪化することがあります。宮本氏は「職場でコロナ後遺症患者に対する十分な配慮がなされていないケースが少なくない。大臣も先頭に立って、コロナ後遺症患者に配慮した就労が保障されるよう、周知啓発に取り組んでほしい」と要求しました。
 加藤勝信厚労相は「コロナ後遺症に悩む人たちがスムーズに医療や職場復帰の支援につながるよう、さらに取り組みを進めていきたい」と答弁しました。

以上2022年10月29日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2022年10月28日 第210回衆院厚生労働委員会第3号 議事録≫

○三ッ林委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。まず、コロナの後遺症についてお伺いをいたします。日本でコロナの後遺症の患者を最もたくさん診ているのはヒラハタクリニックの平畑光一先生だと思いますけれども、平畑先生のデータもお持ちしました。一番初めに、どれぐらいの症状の重さなのかという症状の区分けを、ME、CFSですね、筋痛性脳脊髄炎で使われているものを一ページ目に載せております。疲労、倦怠の程度ということで、パフォーマンスステータスでPS0からPS9まで分かれておりますが、PS2までならば働けますけれども、3からはもうフルタイムはできない、PS5からはそもそも労働自体が困難ということになっているわけでございます。資料をめくっていただいて、二ページ目に、ではどういう分布になっているのかということで、山が二つございます。PS1、PS2のところに一つの山があり、もう一つはPS6、PS7というところに山があります。つまり、PS6、7の山の方々は働くことも困難なわけですけれども、ここにも大きな山があるというのが実態です。三枚目を見ていただきたいと思いますけれども、労働への影響ということで、これは二千七百八十一人について調べたデータですけれども、労働に影響した方が一千九百四人いる。休職の状態が千二百九人。解雇、退職あるいは廃業という方が二百十四人。それ以外にも、働いている時間を短くしたり、日数を減らしたり、在宅勤務ということになっているわけでございます。まず、大臣の基本的な認識を初めにお伺いしたいと思いますが、新型コロナの後遺症の問題というのは日本社会にとっても大問題だ、こういう認識はございますでしょうか。
○加藤国務大臣 新型コロナの罹患後の症状、いわゆる後遺症でありますが、多くの症状は経時的に頻度が低下する一方で、罹患後症状に悩む患者の方が一定程度おられることは承知をしており、新型コロナの影響によって生じている問題の一つというふうに認識をしております。
○宮本(徹)委員 問題は、長期にわたってコロナの後遺症、ロングCOVIDで困っておられる、苦しんでおられる皆さんが医療につながることも困難な状況というのはございます。東京では、コロナ後遺症対応の医療機関というのは症状ごとにホームページで公表されております。ですけれども、全国的に見たら、公表されていないところも多いんですよね。是非、国が旗を振って、全都道府県でコロナ後遺症を診る医療機関、できれば症状ごとに、東京のような形で公表すべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状、いわゆる後遺症については、一般の医療の中でも対応できるものが少なくないと承知をしておりますので、まずはかかりつけ医等や地域の医療機関につなぐことが重要であると考えています。厚労省では、かかりつけ医等が罹患後症状に悩む方に適切に対応できるよう、厚生労働科学研究費による研究等によって得られた国内外の科学的知見を盛り込んだ診療の手引を策定し、都道府県や医師会を通じ、幅広く医療機関に情報提供を行っているところであります。また、各自治体においても、地域の実情に応じて、罹患後症状の患者が適切な医療につながるよう工夫されております。今委員お話があったように、罹患後症状に悩む方の対応が可能な医療機関リストを作成し、ホームページ又は自治体の窓口で周知しているという自治体もあります。他方で、かかりつけ医等の地域の医療機関に相談することを勧めているという自治体もあるところでございます。地域の実情に応じて対応いただくことが重要でありますので、一律に、罹患後症状に対応する医療機関を指定することや、そのリストの公表を求めているわけではありませんが、各自治体においてそこにある医療資源をうまく活用していくという中で、適切な医療につながるよう、それぞれ取組を把握し、その情報を各自治体と共有もさせていただいているところでございます。引き続き、幅広い医療機関で罹患後症状に悩む方が適切な医療を受けられるよう、診療の手引の周知に努めていくとともに、各自治体の取組をそれぞれの状況に応じて活用できるように横展開をしたり等、自治体とも連携をしっかり図っていきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 残念ながら、少なくない医療機関が新型コロナの長期の後遺症についてなかなか理解がされていない例もあって、いや、それは気のせいですよということで精神科を紹介するとか、そういうことになっている例も少なくないわけですよね、残念ながらいまだに。だから、ちゃんと、コロナの後遺症を診る医療機関はそれぞれ都道府県で公表するというのは、最低限、各自治体でやるべきことだと思いますよ。是非これは大臣から指示を出していただきたいと思います。それから、先ほど診療の手引のお話がございましたが、問題は、この診療の手引を見ても、治療法が載っているわけじゃないんですよね、診療の手引には。こういう症状があるよということと、こういう検査という話はありますけれども、治療法というのは一切何も紹介されていないというのが今の現状です。このヒラハタクリニックの平畑先生がこの間、一貫して紹介しているのがEATという上咽頭擦過療法です。これで症状が改善する人もいるというふうにおっしゃっているというので、私が、去年の春ですかね、一番初め、ここで取り上げたことがございました。このEATについては、今日資料もつけておりますけれども、その後、論文も出ております。ジャーナル・ウイルスに、このEAT、上咽頭擦過療法の効果を示す論文が掲載もされております。国内でもこのEATに取り組むところは少しずつ広がっておりますけれども、まだ耳鼻科全体の中の五%程度だというお話も伺っております。平畑先生も、これを普及するために、来月はEATの講習会も行うということもおっしゃっておられました。このロングCOVIDで本当に苦しんでいる方々を見ると、本当に漏れなく慢性上咽頭炎が見られるというのが平畑先生がおっしゃっていることなんですよね。ですから、それを改善していく治療法が、疲労感といいますか倦怠感とか、これを改善していくことにも実際つながっているというのがこの論文の中でも書かれていることなんですけれども、これが広がっていくというのが、私は患者にとっての一つの光ではないかというふうに思っております。この診療の手引、十月にバージョン二・〇が出ましたけれども、ここにはまだ出ておりませんが、このEATの普及のために、治療法の事例として、推奨とかそこまでまだ国としてできないのかも分からないんですけれども、こういう治療をやっているところがありますよという事例として是非紹介していただきたいというふうに思いますし、あと、診療報酬が本当に低いんですよね。患者からすれば助かるんですね、一回やっても三百円ぐらいですから。ですけれども、診療報酬がやることに比べて低いのでなかなか広がらないということもありますので、この診療報酬の引上げだとかそういうことも含めて、是非御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○佐原政府参考人 お答えいたします。一部の医療機関におきまして、新型コロナの罹患後、後遺症を呈する患者さんに対しまして、上咽頭を擦過し、塩化亜鉛等の薬剤を塗布する治療が行われていることは承知をしております。しかしながら、現時点では、同療法の安全性、有効性についての科学的なエビデンスは確立していないものと認識をしております。新型コロナの罹患後症状に対する治療法については大変重要なものと認識しておりまして、厚生労働科学研究費やAMED研究費によりまして、疫学研究や臨床研究等の支援を行っているところでございます。また、罹患後症状に対する治療法の科学的な知見につきましては、診療の手引を作成している研究班において情報収集を行っております。有効性、安全性の科学的エビデンスが確認された治療法については、速やかに診療の手引に盛り込み、周知に取り組んでいきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 先ほど言いましたように、もう既に論文も出ております。ちなみに、コロナそのものについては、エビデンスが確立していないアビガンだって、あんなに診療の手引に載せ、推奨するようなことを政府はやっていたわけですよ。こっちは論文もあるわけですから、私は、事例として、こういう治療法もあるよと載せるぐらい、やれないことは、今までの政府の姿勢からいっても、ないということは申し上げておきたいと思います。それから、経済的な支援も必要だと思うんですよね。本当に経済的な困窮が生じております。仕事でコロナに罹患して、その後、後遺症になった場合は、労災があります。仕事での罹患でなくても、傷病手当もあります。しかし、自営業者などは、国民健康保険で、傷病手当はありません。さらに、初めの資料のところに戻っていただけたらと思いますけれども、PS8、9というところまでいけば、障害年金に該当します。ところが、その手前ですね、PS5、6、7というのは、在宅勤務を含めて全く働けないぐらいの状態なんですけれども、障害年金には該当しないんですね。使い得るとしたら、全部資産を使った後の生活保護ということしかないわけですけれども、御存じのとおり、生活保護は利用するのにいろいろなハードルがあるわけでございます。ロングCOVIDの患者の皆さんに対しての支援策というのは、私は今、穴が空いている、大穴が空いている状況だと思いますので、是非、これをどうするのかというのを政府部内で検討を始めていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 新型コロナの罹患後症状、後遺症について、罹患後症状によっては社会生活に大きな制限が生じていることもあると認識をしております。今委員からお話がありましたように、業務により新型コロナに感染し、罹患後症状があり、療養等が必要と認められる場合には労災保険の給付対象に。また、業務外の事由による療養のため労務に服することができない場合は、これは健康保険の被保険者ということになりますが、要件を満たせば各保険者から傷病手当が支給。さらに、罹患後症状により日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害が残る場合等には、一定の保険料納付等の要件を満たせば障害年金の対象ともなるところであります。一方で、国内外の研究によると、罹患後症状については、一般的に、時間の経過とともにその大半は改善されるとも考えられているところであります。罹患後症状がどのくらい期間が続くのか、どのような方に長期間症状が残存するのか、更に言えば、罹患後症状のメカニズムそのもの等について、現在、厚生労働科学研究やAMEDにおいて研究を進めているところでございますので、こうした取組も通じて、罹患後症状で悩む方への支援に対して今後どのような支援を行っていくことができるのか、引き続き、そうした観点も踏まえて検討していきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 後遺症もいろいろな種類がありますから、割と早く治る方もいらっしゃいますけれども、重い、それこそ、PS5とか6とか7とかこういう段階になった方々というのは、元に治っていった方というのは極めて少数なんですよね。一五%ぐらいだという話も聞いております。ですから、重い症状にまでなってしまった方というのは、なかなかそこから抜け出せない、本当に倦怠感で苦しみ、生活の先を見通せない苦しみもあって、本当に苦しい状況がありますので、そこはしっかり生活支援策、補正予算を考えるんだったら、こういうところもしっかり私は考えてほしいと思うんですよね。あわせて、あと、資料の四ページ目を見ていただきたいと思うんですけれども、PS6以上になる方というのは、六十日以内にPS6になっているんですね。PS6というのは、先ほど言いましたように、働けないような状況なわけですね、一日の半分以上は自宅で休息している状態、準寝たきり状態ですけれども。六十日以内にこうなるということは、コロナ感染後二か月の間に無理をするとこういうことになりやすいということを示しているというふうに思います。あと、コロナで、EAT、治療してだんだんよくなってきた方でも、また働き始めて無理をすると、またぶり返して悪化するケースも少なくないわけです。ただ、こうしたことが余り知られていなくて、職場でコロナ後の後遺症の皆さんに十分な配慮がなされていないケースというのが少なくありません。是非、大臣が先頭に立って、このロングCOVIDの患者の皆さんに配慮した就労というのが保障されるように、周知啓発、取り組んでいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 後遺症においては、症状によって社会生活に大きな制限が生じることもあります。罹患後症状を抱えていても罹患前の社会生活に戻ることができるよう、支援が必要な場合には、患者の治療者が事業者や産業医に対して情報提供を行うことも重要であることから、診療の手引においては、罹患後の職場復帰支援の意義に加えて、産業医や人事労務管理担当者などとの連携等についてもお示しをし、治療と就労の両立を後押しをしているところであります。加えて、企業には、勤務時間の短縮やテレワークの活用など、症状が持続している労働者の負担軽減に配慮した、無理のないものになるよう、経済団体を通じて企業への周知も図っているところであります。また、職場において事業者から必要な支援が行われるよう、就業上の措置や治療に対する配慮等についてまとめた企業向けガイドラインの作成及び周知などの取組も進めているところであります。罹患後症状に悩む方々がスムーズに医療や職場復帰に、支援につながるよう、更に取組を進めていきたいと考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 まだまだ全然、周知は不十分だと思いますので、更なる取組を求めたいと思います。法案について質問します。まず、検疫法の罰則についてお伺いしたいと思います。今回の法案は、居宅等での待機の指示を受けた者が待機状況の報告の求めに応じない場合は六か月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処するとしてあります。有識者会議の取りまとめで問題点の指摘があったといいますけれども、この有識者会議で刑事罰を求める意見というのはあったんでしょうか。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。今委員御指摘の内閣官房に設置された新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議の取りまとめが本年六月の十五日に行われました。その中では、待機の協力要請に従わずに不要不急の外出を行う入国者等が見られたことを指摘した上で、水際対策の実効性を高めるための仕組みづくりが必要である、こういう形で最終的には取りまとめがなされたところでございます。その背景には、取りまとめで指摘された新型コロナウイルス感染症での事例がありまして、例えば、居宅等での待機状況の報告を求めてもこれに応じない入国者が一定数存在して、第一線の検疫所では対応に苦慮する実態があった、こういうことも書かれております。一方で、委員御指摘の、では、その審議の過程の中で直接的に刑事罰に言及された意見があったのかという点で申しますと、そこはございませんでした。
○宮本(徹)委員 実効ある措置を求めるということであっても、刑事罰を科せという意見なんて、どこからも出てきていないわけですよね。それが、今回、刑事罰が設けられたというのは、私は経過からしても大変問題じゃないかと思っています。ただ、現在、検疫法には、隔離、停留に従わなかった場合の罰則というのがあります。コロナパンデミックでこうしたケースで罰則が科せられた例というのは何例あるんでしょう。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。新型コロナウイルス感染症の検疫の対応において、検疫法に基づく隔離ですとか停留ですとか、こういった処分に従わなかったとして罰則が科せられた事例はございません。
○宮本(徹)委員 罰則はあるけれども、発動しないんですよね。抑制的にやっているわけですよ。それはそうですよね。大体、元々の考え方からいっても、時代遅れなんですよね、隔離だとか停留に従わなかったら刑事罰を科すというのは。感染症法の考え方ががらりと、ハンセン病の患者の皆さんへの不当な隔離だとかあるいはHIV患者の皆さんへの不当な差別から考え方を改めて、隔離、社会防衛という考え方から、よりよい治療を提供していこうという方向に変わっていったわけですね。ところが、検疫法の側は相変わらず古い発想で、罰則でこれを何かやらせようということになっているわけですけれども、実際は、隔離や停留に従わなかった例があっても、罰則は、これは発動していないわけですよ。だったら、検疫法に、自宅待機者に新たな刑事罰を設けるのではなくて、今ある停留だとかの刑事罰の方を私は見直していくべきだ。それが時代の要請だと思いますよ。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。検疫法の目的につきましては、国内に常在しない感染症の国内への発生を防ぐという目的でございます。それに照らし合わせますと、先ほど、刑事罰の適用に至った事例はないとお答えいたしました。ただ、将来的に、新たな感染症が発生した場合において、繰り返しになりますが、国内に常在しない感染症が国内に流入するかもしれない。それによって国民の生命や健康が危険にさらされるような事態を確実に防止する必要があると考えております。そのためには、水際対策において厳格な対応が必要になることも想定されることから、刑事罰による担保を維持する必要があると考えております。なお、新型コロナウイルス感染症の対応の初期において、検疫官からの指示に従おうとしない入国者がいらっしゃいました。その方に対して、刑事罰の適用もあり得ることを告知したことで指示に従ったという事例もございました。このように、刑事罰には法違反に対する一定の抑止力もあるものと考えております。
○宮本(徹)委員 私は、そういう脅しでやるやり方というのは考え方が違うんじゃないかと思います。あわせて、前回の感染症法の改悪の際に、入院拒否と積極的疫学調査の協力拒否に行政罰が設けられましたけれども、それぞれ、この間、何件適用されたんでしょうか。
○佐原政府参考人 お答えいたします。本年九月に厚生労働省が実施した各自治体への調査、これは、対象は都道府県と保健所設置市百五十七自治体でありますけれども、これによりますと、百三十七の自治体から回答がありまして、罰則が適用された事例はなかったと承知しております。
○宮本(徹)委員 保健所長の皆さんは猛反対したわけですよね、これを導入するときに。感染症法の考え方と違うということで。実際、現場の皆さん、こんなの使いたくないということで使っていないというのが実態なんじゃないですか。私は、感染症の対応であっても、やはり、人権の尊重、患者のよりよき治療、こういう考え方に立った法体系にすべきだということを、この法の運用の実態に照らしても、考え直す必要があると思います。次に、病院に対するペナルティーの問題についてお伺いをいたします。特定機能病院や地域医療支援病院の承認を仮に取り消したら、病院と地域医療にどういう影響が出ると大臣はお考えですか。
○加藤国務大臣 まず、今回の改正案は、各医療機関との協議や調整を経て合意した内容に基づく協定により、感染症発生又は蔓延時に必要な医療提供体制を確保するということにあります。公立・公的医療機関や特定機能病院、地域医療支援病院は、その機能や地域での役割を踏まえ、感染症発生、蔓延時にも一定の役割を果たすことが期待され、また、その機能に応じた様々な支援策も講じていることから、医療の提供を義務づけることとしております。また、承認取消し等の履行確保措置についても、この医療提供義務や協定を実効性のあるものにするために設けられているところであります。ただ、今申し上げた承認取消し等云々、これは、正当な理由なく医療の提供義務や協定にのっとった対応をせず、さらに都道府県知事からの勧告、指示にも応じない場合に行使されるものであり、医療提供義務や協定にのっとった対応ができない正当な理由がある場合には、これはもちろん対象とならないわけであります。こうしたことを含めて、あらかじめ地域の役割分担を明確化することで、感染症発生、蔓延時における迅速かつ的確な感染症対応が可能になる、こうした体制をつくるとともに、今申し上げたこの仕組みについて、医療機関等に対してもしっかりと丁寧に説明を行っていきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 答えていないですよ。私は、特定機能病院や地域医療支援病院の承認を取り消したら、病院と地域医療にどういう影響が出ますかと聞いたんです。
○加藤国務大臣 ですから、そうしたそれぞれの病院等々、各医療機関がその役割をしっかり果たしていただくため、そして、そもそもそれらがどういう役割を持っているか事前に、この感染症対応についてですね、それを明らかにすることで、また、そこで、先ほど申し上げた、働いている方にとっても、ある意味では安心も提供していく、そうした全体の仕組みをしっかり回していくという意味においてつくっている機能ということでありますから、実際にこれが適用されるということのないように、まず、しっかりとそれぞれの皆さんの理解を得て、そして、いざそうした対応のときにその役割をしっかり果たしていただくということが大事だということであります。
○宮本(徹)委員 いや、ですから、取り消したら病院と地域医療にどういう影響が出ますかということを聞いているんです。
○加藤国務大臣 ですから、そういう状況にならないようにしっかり御理解を求め、そして体制をしていく。逆に言えば、取り消さなきゃいけない事情が起きているというときには、まさにその病院がその機能を十分果たしていただいていないということになっているわけでありますから、逆に、その機能を果たしていただけるようにする、それが我々の目的であります。
○三ッ林委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○三ッ林委員長 速記を起こしてください。加藤大臣。
○加藤国務大臣 今申し上げたのは、委員からは取り消した後のことをおっしゃっていますが、取り消す状況に至っているというところがポイントでありまして、取り消す状況に至っているということは、まさにその機能がその地域において機能を果たしていない、こういうことであります。
○宮本(徹)委員 全く私の質問に答えていないんですけれども。当然、特定機能病院にしろ、地域医療支援病院についても、診療報酬の加算をして、それぞれそれにふさわしい役割を担ってもらっているわけですね。そのための器材だとかマンパワーだとかというのが配置されているわけですよ。承認を取り消したら、そうした国民の医療の中で果たしているとても大事な役割が果たせなくなるということなんですよ。とんでもないペナルティーなわけですよね。こんなことを盛り込んでおきながら、何が起きるのかということ一つ答えないというのは、あり得ない話だと思いますよ。あわせて、立法事実があるのかお伺いしますけれども、コロナの感染拡大の第五波から第七波の中で、特定機能病院や地域医療支援病院が正当な理由なく都道府県や国の要請に応えない具体的な事実というのはあったんでしょうか。
○榎本政府参考人 お答え申し上げます。これまでの新型コロナ対応におきましては、病床確保などに関する都道府県や国からの要請に対しまして、各医療機関におかれては可能な限り受け止めて対応いただいたと承知しているところでございます。一方で、六月に取りまとめられました有識者会議の報告でも御指摘がありましたとおり、地域で個々の医療機関が果たす役割が具体化されていなかったことから、感染の拡大に病床の確保が追いつかない事態が生じたなどの課題があったところでございます。こうした課題を踏まえ、今般の改正案では、病床確保を始め数値目標を盛り込んだ予防計画、医療計画を各都道府県において策定することとしておりまして、その上で、計画を踏まえ、各医療機関の機能や役割に応じた病床確保や医療人材の派遣などの措置を実施することを内容とした協定を締結して、平時からの体制整備を行っていくということとしているところでございます。
○宮本(徹)委員 つまり、可能な限りみんな協力してもらったという答弁でしょう。正当な理由なく応えなかったという事実はないということですね。立法事実自体がないじゃないですか、こんな条項を設ける。あったんですか。正当な理由なく病床確保の要請に応えなかったことがあったんだったら答えてください。今、あったとはお答えにならなかったですよね。
○榎本政府参考人 お答え申し上げます。公立・公的医療機関などや、あるいは特定機能病院、地域医療支援病院は、その機能や地域での役割を踏まえて感染症発生、蔓延時にも一定の役割を果たすことが期待されて、その機能に応じた様々な支援策を講じていることから、医療の提供を義務づけることとしているところでございまして、承認取消しなどの履行確保措置につきましても、この医療提供義務や協定を実効性のあるものとするというために設けさせていただいたところでございます。
○宮本(徹)委員 全く答えていないですけれども、時間になりましたからこれで終わりますけれども、はっきり言って、正当な理由がなく指示に従わない場合はペナルティーを科すと言いながら、これまでのコロナの感染拡大の中で、正当な理由なく国や都道府県の要請に応えなかったという事例はないということじゃないですか。立法事実は全くないんですよ。立法事実もないのに、ペナルティーで病院を脅すというやり方自体、私は間違いだと思いますよ。私は本会議でも言いましたけれども、やはり医療機関の皆さん、医療従事者の皆さんは一生懸命コロナの中で頑張っていただいているんですよ。今、社会活動を回す中でも、医療機関の皆さんはいろいろなことを我慢しながら頑張っていますよ。そういう皆さんに対して必要なのは敬意とリスペクトですよ。ペナルティーじゃないですよ。そのことを申し上げて、続きはまた次回やります。