物価高に合う生活保護基準へ 個人請願書9225人分 全生連「国は恒久的引き上げを」
全国生活と健康を守る会連合会(全生連)は20日、2013年8月から引き下げられた生活保護基準を元に戻し、物価高騰に見合う引き上げを求める個人請願書(加藤勝信厚生労働相宛て)9225人分を厚労省に提出しました。全生連は同日会見し、全国でたたかう保護基準引き下げ違憲訴訟(いのちのとりで裁判)の原告らが生活困窮の実態を語りました。
同請願書は、今年10月19日に横浜地裁が判決で、13年の保護基準引き下げに基づく保護費減額処分は生活保護法違反だとして処分の取り消しを国と自治体に命じたと指摘。大阪、熊本、東京各地裁に続く原告勝利だと述べています。また物価高騰について、水光熱費や灯油、食パンなど負担が増し、さらに円安が進めば1ヵ月分の生活保護費に匹敵する大きな負担になると訴えています。そのうえで請願書は、保護基準が他制度の土台になっており、多くの国民に影響を及ぼすと強調。
全生連の吉田松雄会長は会見で、要請時に厚労省の担当者が保護基準を今後2年は据え置くと応じたことに「物価高騰の中では、実質引き下げになる」と批判したとし、「今求められているのは、物価高に見合う引き上げだ」と強調しました。
神奈川県の原告の武田新吾さん(54)は、夏場に冷房をつけず電気代を節約したにもかかわらず、昨年の4000円から7000円に上がったと語りました。「厚労省は、生活困窮者への一時的な支給金ではなく、恒久的なものとして保護基準を引き上げてほしい」と訴えました。
東京都内在住の原告男性(53)は、暖房代などにあてる生活保護の冬季加算にふれ、「それだけでは物価高に追い付かない」と不安を口にしました。都内在住の渡辺孝子さん(76)は、スーパーで賞味期限切れ間際の値引き品を買って食費を節約し「何とか食べつないでいる」と語りました。
日本共産党の宮本徹衆院議員が請願書提出に参加し、あいさつしました。
以上2022年12月21日付赤旗日刊紙より抜粋