2月13日予算委員会 研究者の雇用守れ 国ただす


配付資料 出典:文部科学省提出資料より宮本徹事務所抜粋
配付資料 出典:2022年10月26日衆議院厚生労働委員会会議録より宮本徹事務所抜粋

 日本共産党の宮本徹議員は13日の衆院予算委員会で、大学や理化学研究所での研究者の大量雇い止め問題をただし、政府の責任で個別に働きかけ、雇い止めをやめさせるべきだと迫りました。
 文部科学省の調査で今年度末、無期雇用への転換が可能になる有期雇用契約10年を迎える研究者1万2000人のうち、5000人は雇用契約が未定、1000人は契約を結ぶ予定がありません。
 宮本氏は、文科省が公表していない調査項目で、就業規則等で契約更新の回数上限や通算勤続年数の上限を設けている大学・研究開発法人が57.6%に上っていると告発。事実上の無期転換逃れになっており、無期雇用への転換を可能にした法改正後でも就業規則を変えて雇用上限を設ける不利益変更をしていないか、不利益変更した就業規則をさかのぼって適用し、不当に雇い止めしようとしていないか調査し、是正指導する必要があると主張しました。
 加藤勝信厚生労働相は「大学や研究機関の雇用管理は、まず各法人が法令に基づき適切に対応すべきだ」などと、法人任せの姿勢を示しました。
 また宮本氏は、国立大学・研究開発法人については、文科省には適法に法人運営をさせる責任があるとして、「私大も含めてしっかりと体制をとって、個別に働きかけて、雇い止めをやめさせる責任を果たすべき」と追及しました。
 永岡桂子文科相は「各機関に適切な対応を求める通知を発出するなど、累次にわたり働きかけを行っている」と答弁。宮本氏は「法人任せの対応をしていたら、研究者の雇い止めは止まらない」「日本の研究力はこのままどんどん低下する」と批判しました。

以上2023年2月14日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2023年2月13日 第211回衆院予算委員会第10号議事録該当部分抜粋≫

○宮本(徹)委員 ~略~ 研究者の雇い止め問題についてお伺いいたします。文科省の調査では、三月末に無期転換権が発生する、十年を迎える有期雇用の研究者一万二千人のうち、五千人が雇用契約が未定で、一千人が契約を結ぶ予定がないということが明らかになりました。理研では、世界初の最先端の研究を担っている四十代の研究者が、再就職先が決まらず、韓国の企業に就職することになったと報じられました。博士課程に進む人が今急減しておりますが、目の前で先輩がいなくなっていく、こういう事態を放置していたら、研究職に希望が持てるはずがありません。今の大量雇い止めの問題というのは、日本の科学研究基盤を掘り崩していると言わなければならないと思います。加藤大臣にお伺いしたいと思います。文科省のアンケート項目にありながら文科省が公表していない項目がありまして、それを資料でいただきまして、資料の三ページ目につけております。特例ルールの対象者に対して、就業規則等で更新回数の上限や通算勤続年数の上限を設けている大学、研究開発法人が四七・六%に上っているわけですね。事実上の無期転換逃れになっているんじゃないかと思います。この雇用上限の撤廃を働きかけなきゃいけないと思います。とりわけ、無期転換ルールが法律でできた後に就業規則を変えて雇用上限を設ける不利益変更をしていないのか、そして、不利益変更をした就業規則を二〇一三年に遡及適用して、この三月末で不当に雇い止めをしようとしているのか、これを調査して是正指導する必要があると思うんですが、加藤大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 まず、一般論として申し上げますと、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で、無期転換申込権が発生する前に雇い止めを行うことは、労働契約法の趣旨に照らして望ましくないと考えているところでございます。その上で、大学や研究機関の雇用管理は、まず、各法人が法令に基づき適切に対応すべきでありまして、文部科学省から、これまで累次にわたり、労働契約法の趣旨や好事例の周知徹底が図られていると承知をしております。その上で、厚労省としては、文科省等を含む関係省庁と連携し、無期転換ルールの制度の内容、趣旨の周知等を進めるとともに、労働契約法に照らし問題のある事案を把握した場合には、都道府県労働局において、これまでも啓発指導を行ってまいりましたし、今後とも啓発指導等を行っていきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 これは徹底的にやっていただきたいんですよね。本当に多くの研究者の皆さんが、今大変な事態に置かれているわけでございます。今も、来年度の雇用が決まらずに、一生懸命、どうにかしてくれということで交渉を続けている方々がいらっしゃいます。文科大臣にもお伺いしますけれども、大学についても、そして研究法人についても、所管は文科省であります。さらに、国立大学法人、研究開発法人でいえば、文科大臣には適法に法人運営をさせる責任も法律上あると思います。私大も含めて、しっかり体制を取って、個別に働きかけて雇い止めをやめさせる、この責任を果たしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○永岡国務大臣 お答え申し上げます。無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的でいわゆる雇い止めを行うことは、労働契約法の趣旨に照らしまして望ましくないと考えております。研究者等の雇用管理につきましては、各機関におきまして法令に基づき適切に対応する必要がございます。文部科学省といたしましても、周知徹底を図るとともに、今般の調査結果を踏まえまして、改めて各機関に適切な対応を求めているところでございます。特に、昨年九月時点におきましては今後の雇用契約の見通しが未定の方が約四割である点については、各機関におきまして、状況の把握、説明、相談などに取り組んでいただくことが必要と考えております。文部科学省といたしましては、昨年九月に調査を行うとともに、昨年十一月そして今年の二月に各機関に適切な対応を求める通知を発出するなど、累次にわたりまして働きかけを行ってきておりまして、引き続きましてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 通知を出しているのは知っているんですけれども、通知を見ても全然正されていないわけですよ。実は、今日の午後も、理研の雇い止めになる皆さんが院内集会を開かれているわけですよね。その中でも本当に悲痛な訴えが行われております。ですから、通知を出しておしまいにするんじゃなくて、一つ一つの大学や研究機関に対して、どうなっているんだ、法律の趣旨に基づいてちゃんと研究者の未来を守ってくれ、そして研究者の未来を守ることが日本の研究力にとっても大事なんだ、こういうことをしっかりやっていかなきゃいけないんですよ。通知を出しておしまいというんじゃなくて、ちゃんと大臣が、人も配置して、しっかり責任を果たす必要があるんじゃないですか。いかがですか。
○永岡国務大臣 お答え申し上げます。独立行政法人でございます理化学研究所におきましては、法人の自主性、自律性の下に運営されることが基本でございまして、労働契約法令に基づきまして、引き続き適切な人事運用を行っていただきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 そういう法人任せの対応をしていたら、研究者の雇い止めは止まりません。これを放置していたら、毎年毎年、十分の一の任期付の研究者に同じことが起きるんですよ。一年目にしっかり対応を取らなきゃ駄目なんですよ。その責任を果たさないと、本当に日本の研究力はこのままどんどんどんどん低下しますよ。
○根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。
○宮本(徹)委員 この問題の解決に責任を果たすこと、あわせて、この問題の根本的な解決のためには財源の確保も必要ですので、その点もしっかり責任を果たしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
○根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。