2023年2月16日 衆院予算中央公聴会 戦争が始まる雰囲気 安保3文書 前泊沖縄大教授「外交を」

 衆院予算委員会は16日に中央公聴会を行いました。公述人の前泊博盛・沖縄国際大学教授は「沖縄での戦争がまた始まりそうな雰囲気だ」と述べ、政府が昨年末に閣議決定した安保3文書について「傍観者ではなく当時者として議論してもらいたい」と強調しました。日本共産党の宮本徹議員が質問しました。
 前泊氏は、安保3文書について、米国の戦争に「巻き込まれる危険な水域に日本が入っていこうという印象を持っている」と述べました。「馬毛島から始まって奄美大島、沖縄本島、宮古、石垣、与那国と、次々に自衛隊のミサイル基地が建設されている」と指摘。「このミサイル基地は一体誰から誰を守るためのものなのか」「まずは国を守るよりも国民を守る安全保障の議論をしてほしい」と述べました。
 さらに、米軍ヘリが普天間第二小学校に窓枠を落下させる事故が起きた際、日本政府の対応は「シェルターをつくって守ってあげる」というものだったと批判。「もの言える関係をアメリカとの間につくっていただければ」と語りました。公述人の川上高司・拓殖大学教授は「日本と中国の独自の話し合いも必要だ」と述べました。
 宮本氏は、安保3文書に基づく政府の軍事力強化の主張について質問。前泊氏は「仮想敵とされた相手国は、それを上回る軍拡をしてくる可能性がある」と指摘しました。
 また、沖縄には146万人もの住民がおり、「それを守れるような安全保障政策は、外交で片づけるしかない」と述べ、外交の重要性を訴えました。

以上2023年2月17日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2023年2月16日 第211国会衆院予算委員会公聴会第1号午前の議事録≫

○根本委員長 これより会議を開きます。令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算、令和五年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。この際、公述人各位に一言御挨拶を申し上げます。公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。令和五年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうぞ忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。御意見を賜る順番といたしましては、まず川上高司公述人、次に清水秀行公述人、次に井上善博公述人、次に前泊博盛公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。それでは、川上公述人にお願いいたします。

○川上公述人 皆さん、おはようございます。拓殖大学の川上でございます。よろしくお願いします。今日は、二十分という限られた時間でございますので、十一点につき簡単に御説明いたしたく思います。今日なんですけれども、現状認識から、どういう具合に我々は日本としてやったらいいのかというふうな、かなり総論から各論まで論じていきたいと思います。一番最初なんですが、現状認識なんですけれども、我々は今どういうふうな現状にいるのかというふうなことでございますが、新しい戦前、戦争前の状況、これをアメリカの軍事作戦部長のリチャードソンは、グレーウォー、つまり本当の戦争になる直前のこととして表していたわけなんですが、我々が述べていますグレーゾーン事態の戦争は、今既に台湾のみならず日本でも開戦されているというふうなところで、この点につきましては、先生方御承知の国家防衛戦略の冒頭で、中国を名指しして、中国に対する抑止力の強化と、いつもにない強い調子で、本当に、戦前、つまり戦争の前にあるというふうなことを論じ、それに応えて防衛戦略三文書が出されたというふうなところで、ありていに言いますと、今、台湾危機を前にして、我々はちょうど戦時の前の体制に多分、軍事状況では入っているのかと。これは本当に抑止力強化の面で必要なことでございますが、その状況はいかなる状況かといいますと、ウクライナで戦争がいまだに継続しているわけでございますが、これはウクライナ型戦争と我々は呼んでいるんですが、つまり、米軍は、軍事的に直接は介入しないけれども、違う領域、ドメインで戦い方が行われている、こういう新たな戦争の時代に入っておりますので、恐らく、これから先、少なくともバイデン政権の間は、そういった、オールドメインといいますが、全領域戦の戦いをするのは間違いない。したがって、軍事力行使はしないけれども、ほかの領域で戦いをやるというふうなことでなっていると思うわけでございます。そこで、脅威というのは、当然ながら、能力掛けるの意思で示されるわけでございますけれども、二点御提案したいわけです。一点目は、脅威を減じる努力を我々はしなくちゃいけない。抑止力は日米一体化で本当に今どんどんなされている状況で、ほとんど盤石な体制に入りつつあるというようなことなんですが、一方ではやはり、脅威を減じるということで、中国に対する信頼醸成措置、これが必要じゃないかと思うわけでございます。二番目は、これほど戦争が間近に迫っている状況を我々は認識すべきだと思うんですが、戦争回避のシナリオ作り、これは現在まで、CSIS、アメリカの国際戦略研究所、日本では戦略フォーラムのところで、いわゆるウォーゲームということではかなりそういうシミュレーション、我々、ポリティコ・ミリタリー・ゲームということを、私も二百回も三百回もやってきたんですが、そういうところでシナリオを立てられていたんですけれども、これほど危機が迫った段階では、そのいわゆるシミュレーションゲームのほかに、いわゆる戦争回避のためのシミュレーション、こういうふうなところが必要ではないかと今強く思っている次第でございます。それでも、戦争に巻き込まれる可能性は九〇%以上というふうなところで備えなくちゃいけないと私は認識している次第でございます。そこで、実は、私が理事長を務めている日本外交政策学会というところでポリミリゲームを行わせていただいて、いかに台湾有事における日本に対する危機管理、これが起こるかということをやらせていただきました。ここでは戦争を抑止するための努力が必要で、幸いにして、いろいろな、アメリカチーム、中国チーム、日本チーム、台湾チームとありまして、そこで米中間における話合いがあり台湾危機は回避された。これは日本にとっては、現状維持でございますので、一番いいシナリオだったわけでございますけれども、そういうのがありました。さて、ここから本題といいますか、ウクライナ型戦争と台湾アナロジーということで問題に入らせていただきますが、言うまでもなく、その背景は、中国の脅威の高まり、軍事的、経済的、これでアメリカは単独では対抗できないというところで、特にバイデン政権に入りましてからは、同盟国の力、日本を含む、そういうところを使って、全部の同盟力でもって中国を封じ込めよ、若しくは、最近では、中国とロシア、それから北朝鮮、若しくはイラン、そういうふうな非共産主義圏対民主主義同盟というような戦いになってきていますので、それにはアメリカだけでは戦えないというところで、同盟諸国の力を今やっているわけであります。ウクライナ型戦争なんですが、これは統合抑止戦略ということで、しっかりとアメリカの戦略の中に、この間、国防戦略の中にそれが入れ込まれているわけでございますけれども、これは、簡単に申し上げますと、いろいろな読み方があるんですが、アメリカの目的はプーチン政権の弱体化にあり、つまり、そういう体制間の紛争の中でまずロシアの脅威を減じる、それから二番目には多分、中国の力を減じる、そのほか、イラン、北朝鮮のいわゆる体制間の力を減じるというふうな、かなり大きな新冷戦型の備えに対してこの統合抑止戦略を展開しているというふうなところでございますが、もしそうであるならば、ウクライナで戦った戦争は台湾でも同じように戦われるのではないかというふうなところ。そこで、問題は、もし台湾で有事になった際、故安倍総理が台湾有事は日本有事であると申し上げられたとおり、我が国にとっては即戦争になるわけでございまして、そう考えるんでしたら、日本が、ウクライナに対する支援をしているポーランドというふうな状況になるのか、若しくは日本自体がウクライナになるのか、そういうふうなことになってくると思われるわけでございます。そういうところで、台湾アナロジーとしまして、最初に台湾でもし何かあった場合には、アメリカは恐らく、軍事的なものを優先するよりも統合抑止戦略でほかのドメインで戦う。現在もう既に戦っていると思いますけれども、そういう戦いが行われ、アメリカはもちろん助けに来るんですが、時差を置いて、当然ながら自衛隊が戦い、その後に、一、二週間後にもしかするとアメリカが来ることになるかもしれない、そうじゃいけないんですが。ただ、それは覚悟しておかなくちゃいけないというふうなことになると思います。ここで簡単に、アメリカにとってのウクライナ戦争のバランスシートというのを考えてみますと、プラスの面というのは、ロシアが弱体化した、アメリカにとってですね。民主主義同盟の結束というのがここで強固になった。それから、体制間戦争でアメリカは非常に優位にあるというふうなところになりますし、マイナスの面では、忘れてはいけないのは、トランプ政権のときには、中国に対して抑止力を利かせるために、バランシングというものでロシアを使っていたわけですね。ところが、このウクライナ戦争によってロシアと中国がほとんど一体化してきた。そうすると、そのときに対して世界全体が平和から対立へというふうな具合にシフトしてきてございますので、その点は核戦略の一部としても考えなくちゃいけない。つまり、もしロシアと中国の核が同じく日本に向けられる、若しくは北朝鮮に向けられるとするならば、核時代の極がMAD体制から三極体制に入ってきた、この時点で日本の拡大抑止はもしかすると破られているのかもしれない、そうすると、この時点では間違いなくニュークリアシェアリングが必要になる。韓国はその論議が始まっていますし、そういう具合に考えられることになってございます。それから、その次なんですが、防衛三文書、これはいろいろな論議がありますが、私の方からは二点指摘いたしたく思います。まず一番目、指揮系統なんですけれども、これは国家防衛戦略の中に、「いついかなる事態が生起したとしても、日米両国による整合的な共同対処を行うため、同盟調整メカニズム(ACM)を中心とする日米間の調整機能をさらに発展させる」必要がある、これをどう読むかなんですが、福島第一原発のときに、アメリカは太平洋軍を日本に上げて、統合支援部隊、JSFを横田基地に設置したのは皆さん御承知のとおりでございますが、この状況はトモダチ作戦を展開する際ももちろん非常に有効だったわけでございますが、そのときに自衛隊とともに共同調整所をつくり、そこでは、有事の際、これは有事ですね、そのときにアメリカが指揮権を取り、自衛隊はその傘下に入るとまでは言いたくないんですが、やはりそこに従って日本のトモダチ作戦を展開し、しかも中国軍が出るために日本の海上自衛隊等々は展開したわけです。そういうふうなことが同じように行われる、つまり、常設部隊を現段階から日本に置くというふうなところで、問題はそのときの指揮権なんですが、日本が独自に展開できればいいんですが、事有事になってしまったらやはり米軍主導になる、そうなれば、本当に日本の防衛は日本が思うように作戦展開ができるかというのが一点。それから、二点目なんですが、反撃能力です。反撃能力、これは本当に願ってもないことで、抑止力はもちろん、抑止力というものはそういう懲罰的抑止と拒否的抑止でやられているわけなので、拒否的抑止につきましては、ミサイルディフェンスで淡々といまだにやられています。ところが、懲罰的抑止、これがなかったわけです。現に、中国の東海岸には千発以上のミサイルが展開していまして、INF条約でアメリカはできなかった、それを廃止して、第一列島線上に、PDIというふうな戦略に基づいて、パシフィック・ディターレンス・イニシアチブに従って、アメリカは、その線上に今、中距離弾道ミサイルを置こうとして、中国を抑止しようとしているというふうなことであります。もちろんこれはウェルカムで、当然、今回防衛三文書に入りましたトマホークとかいろいろなもの、これはそれに対する懲罰的抑止としては有効なものでございますが、ポイントは、その発射権が日本にあるかどうか、これが大問題です。対敵基地攻撃能力という言葉が外れ、反撃能力ということになったわけなんですけれども、その際に、多分、有事になった際には、ミサイルを撃つという段階になった場合には、日本はアメリカにコンサルテーションをしながら撃たなくちゃいけない。アメリカ側だったら当たり前のことです、巻き込まれますから。それは日米間の一体化した、アメリカの戦略に基づくそういう展開がなされる。これをどう考えるかなんですね。我が国防衛のために本当に反撃能力が使えるかどうか、これを申し上げたい。それから、四番目なんですが、これは私の大好きな作家で、三島由紀夫が大好きなんですけれども、三島由紀夫がバルコニーで割腹自殺を遂げたときに、自衛隊は永遠にアメリカの傭兵として終わるだろうと、すごいことを言って亡くなった。割腹したわけですね。これはありていに言いますと、もちろん必要なわけなんですけれども、これは日米同盟のジレンマ、つまり捨てられる恐怖と巻き込まれる恐怖があって、現在、今我々はそういうジレンマに直面し、それで今現在、日本はアメリカの力を使って抑止しようというふうな体制に入っていますので、その逆の巻き込まれる恐怖というのがございまして、これに対する捕捉も十分必要であるわけでございます。それから、五番目なんですが、アメリカは、本気で中国と戦争する、できるのか、するのか、やるのか、こういう状況なんですが、もちろんやりますが、言いましたように、統合抑止戦略の下でやるとするならば、アメリカは軍事力は使わずにその他のドメインで入るわけですから、実際に向かい合うのは恐らく自衛隊と中国人民解放軍、この可能性も否定できないというようなところを我々は考えながら戦略を立てなくちゃいけないというのは間違いございません。それから、六番目なんですけれども、では、日本はアメリカの軍事的影響力から脱することができるのか。我々は、戦後、吉田茂総理のときから、私も中曽根総理のときから十年間一緒に働かせてもらいましたが、特に戦後政治の総決算というところで、目的は、日本が防衛力を持てるかどうか。本当に、自分のことを考えて自分の国益に基づいて自分の戦略を展開し、アメリカの戦略と一緒に重なった部分で日本がそういう防衛戦略を展開できるのか。よく、私の友人のマイケル・グリーンと、それからアーミテージと何年も岡崎大使の下で話し合ってきたんですが、いわゆる米英同盟型に我々は同盟体制をグレードアップできるのか、多分これなんですね。日米同盟は不可欠なんですが、ただ、自分独自の防衛戦略ができるかどうか。これは、パワーシェアリングということで私とマイクは言っていましたが、そういうようなことでございます。台湾有事のシナリオ、これはもう本当に百も二百もあって、いろいろなシナリオができるんですが、簡単に言うと三つに分けられると思います。中国勝利、米国勝利、それから引き分け。いずれにしましても、中国勝利の場合には、第一列島線を中国が突破して第二列島線まで来るわけですから、ちょうど我々の今いる東京の真下の小笠原ぐらいまでの第二列島線上に中国の艦船、海警、それから漁船が何千隻と現れるような状況になるわけです。これはどうしても阻止しないといけないわけですが、ただ、その状況はいかに、そこまで考えなくちゃいけません。ちょうど、アンドリュー・マーシャルがネットアセスメントで、アメリカの国防総省で百年の戦略を立てましたが、そこまで、我々は少なくとも五年、十年先まで考えなくちゃいけないというようなことでございますので、いずれのシナリオでも台湾から米軍は引かざるを得ないことに中長期的にはなるんじゃないかというようなことが考えられるわけでございます。あと、残りなんですが、核シェアのところで一点だけ申し上げますと、アメリカで盛んに行われていますのが、ケネス・ウォルツとスコット・セーガンの論理がありまして、核を持った方が戦略的に安定すると論議が行われているんです、アメリカでは。これが全く日本では報じられていない。この学者が何百人という具合にアメリカにおります。NATOにもいます。こういうふうなことを考えながら、我々は戦略的安定のために逆の方向も考えなくちゃいけないというふうなことでございます。残り時間が迫ってきましたので。それから、バイデン政権後のことも我々は考えなくちゃいけないわけですね。アメリカにいる私の友人たちから電話がありまして、本当に日本は大丈夫か、アメリカの戦略に乗って、いや、バイデン政権の戦略に乗って政策は展開しているが、もしトランプが現れた場合どうなるんだ、真逆になるんじゃないかと。ロシアともう一回手を結び、それから、トランプ大統領のやったことは、同盟ではなく、アメリカ・ファーストをやり、しかも、ロシアとそういう具合にもう一回手を結び直し、中国とはディールするんじゃないか、そうしたときに、我が国ははしごを外された段階でどうするんだというふうな声が、実は民主党政権の研究員から上がっているわけでございます。最後なんですけれども、こういう具合なことを述べてみますと、我々は絶体絶命のピンチにあるような状況に立たされているわけでございまして、しかし、これを、考えてみるならば、戦後七十八年間アメリカの影響力からなかなか脱し得ない日本が脱する千載一遇のチャンスだとも考えられるわけで、これはまさに、解答から言いますと、ビスマルク的な外交戦略を展開し、それで日本がバランシング、バランサーとなればいいわけでございます。これはイギリスが取ってきた歴史的な知恵でございますけれども、そういうことをやりながら、日本は戦略的地位として台湾とアメリカの間に立つ国でございますので、これほどいい戦略的地位、若しくは地政学的地位を持っている国はありません。したがって、日本が中心となり、アメリカと中国をバランシングする。最後に、そういうことで、日本は幕末と同じような状況に今立っているわけでございまして、こういうふうな弱肉強食の時代でありますところで、我々は、特に、日本の独立を守るために、とにかく、強く、それからしなやかに、周到に、時にはマキャベリ的に振る舞う行動をしなければ生き残れないというふうなことだと思っております。以上で、時間になりましたので終わります。以上でございます。(拍手)

○根本委員長 ありがとうございました。次に、清水公述人にお願いいたします。

○清水公述人 ただいま御指名をいただきました連合の清水でございます。本日は、このような場で私たち連合の意見を表明する機会をいただき、感謝を申し上げます。連合は、資料の冒頭にあるとおり、働くことを軸とする安心社会を目指しております。本日は、働く者の立場から、必要な政策について申し述べたいというふうに思います。初めに、現下の経済社会の課題認識について申し述べます。まず、世界に目を向けますと、ロシアによるウクライナ侵攻から一年が経過しようとしています。そのような中、今年五月に広島でG7サミットが開催されます。サミットでは、ルールに基づく国際秩序、国連憲章の原則、人権、平和、国際協力へのコミットメントを今こそ世界に発信すべきであり、日本は議長国としてその中心的な役割を果たす必要があります。加えて、ミャンマーにおける重大な人権問題が風化しつつある今、アジアで唯一のメンバーとして、民主化の進展を着実に進めるための積極的な支援強化を求めたいと思います。次に、我が国に目を向けると、昨年来の資源、エネルギー、原材料、食料品を中心とした物価高騰が、とりわけ低所得者層の暮らしや中小企業の経営に大きな打撃を与えています。また、我が国では、三十年余りもの間、平均賃金の水準向上が見られず、二〇二二年の出生数は統計開始後初めて八十万人を割り込むことが見込まれるなど、経済社会の構造的課題は深刻さが増しています。今こそ、このような構造的課題の解決に向けた抜本的な対策を示す必要があり、個別の論点について連合の考え方を申し述べたいと思います。初めに、賃上げ実現についてです。連合は、「くらしをまもり、未来をつくる。」をスローガンに、二〇二三年春季生活闘争を日本の未来をつくり変えるターニングポイントとすべく取り組んでいますが、その成否の鍵を握るのは、雇用労働者の七割が働く中小企業と、四割を占めるパート、有期、契約などの非正規雇用で働く仲間の賃上げ実現であります。資料三ページを御覧ください。中小企業の賃上げを実現するには、労務費を含む価格転嫁が実現できるかに懸かっておりますが、パートナーシップ構築宣言の状況を見ると、資本金三億円超の大企業の宣言数は一千百十一社で、全体の一割にも満たない状況です。円グラフは昨年九月に中小企業庁が実施した価格交渉の調査結果ですが、価格交渉が全くできていない企業の割合は一三・九%と、前回調査よりも三・九ポイント上昇しています。次に、資料四ページを御覧ください。同じ調査において価格転嫁率を聞いたものですが、コスト全体を転嫁できた割合が五割弱、四六・九%でございます。また、前回調査から上昇し、ゼロ割あるいはマイナスと答えた企業の割合は低下しましたが、ゼロ割やマイナスの企業は、依然として二割、二〇・二%を超えています。政府は、パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージに基づき、価格転嫁対策に全力で取り組むとしていますが、中小企業が安心して賃上げできる環境が整っているとは到底言い難く、政府には、大企業のパートナーシップ構築宣言の拡大と価格転嫁の実効性を高める取組の早急な実施を求めたいと思います。雇用形態間の処遇格差の是正も同様に重要です。同一労働同一賃金に関する指導、助言の実施件数は、二〇二一年度で一万件を超えています。労働組合は、組合員であるか否かにかかわらず、同じ職場で働く仲間の労働条件向上を要求、交渉しますが、政府には、同一労働同一賃金が全ての職場で実現されるよう、労使双方への周知と監督指導の徹底に取り組んでいただきたいと存じます。二〇二三春季生活闘争は、回答引き出しの山場を三月十三日の週に予定していますが、先行組合が引き出す賃上げの流れを労働組合のない企業も含め多くの中小企業などに波及させることが肝要であり、政労使による社会的メッセージの発信なども検討すべきと考えます。そして、賃上げと併せて実現すべきは、物価高騰の影響を特に受けやすい低所得者への対策であり、税による所得の再分配を通じた格差の是正が必要ですが、今回の税制改革関連法案には特段見当たらないため、連合として導入すべきと考える施策を三点申し上げます。一点目は、租税原則の公平の原則に基づき、金融所得課税を強化するとともに、将来的な所得税の総合課税化に向けた検討を行うことです。二点目は、所得税の人的控除について、できるだけ社会保障給付や各種支援策等に振り替え、残すものは、税負担軽減が高所得者ほど大きい所得控除から、所得水準にかかわらず一定である税額控除に変えることです。三点目は、マイナンバー制度を活用した正確な所得把握を通じて、早期に給付つき税額控除の仕組みを構築し、基礎的消費に係る消費税負担分を給付する消費税還付制度や、社会保険料、雇用保険料における労働者負担分の半額相当分を所得税から控除する就労支援給付制度を導入することです。次に、子供、子育て政策について申し上げます。何よりも重要なのは、子供、子育てを社会全体で支えるという認識を共有することです。連合は、全ての子供を平等に社会全体で支える仕組みの充実を通じ、子育て世帯が応援してもらっていると実感できる社会の実現を求めています。妊娠期から寄り添う伴走型相談支援など、子供、子育て支援の仕組みは拡充されつつあるものの、当事者の実感にはまだまだつながっておりません。子供を育てたいと考える全ての方にとって子供の養育や教育に係る費用の負担は大きく、将来の生活設計に不安を感じています。そのため、児童手当は、保護者の所得の多寡にかかわらず、全ての子供へ支給すべきと考えます。教育費についても同様です。家庭の所得格差が教育機会の格差となってはなりません。学習指導上必要な教材や部活動など、学びに係る費用は社会で負担すべきと考えます。また、高校の無償化は年収要件を撤廃すべきであり、高等教育においても学費の低額化や奨学金制度の拡充が必要です。さらに、仕事と子育ての両立には保育サービスの確保が不可欠ですが、都市部を中心にいまだ待機児童問題が解消されておりません。特に放課後児童クラブは、一万五千人を超える待機児童が存在しています。加えて、保育施設における児童虐待や不適切な保育に関する報道が後を絶ちません。その背景には、保育士等の人材不足、重い業務負担、業務に見合わない処遇などの課題があると考えます。配置基準を見直すなど、これらの課題を早急に改善し、安心して長く働き続けられる労働環境を整備することで、保育人材を確保していく必要があります。なお、子ども・子育て関連三法の附帯決議で確認された、保育等の質の向上を図る〇・三兆円の財源が確保されないまま現在に至っていますので、早期の確保を求めます。その上で、改めて、社会保障・税一体改革の原点に立ち返りつつ、子供、子育てを社会全体で支えていこうという今、政府の子供政策の強化で十分なのかを国会で明らかにするとともに、国の責任において必要な財源が確保されることを求めます。次に、曖昧な雇用で働く就業者の法的保護の拡充について申し上げます。現在、政府においては、フリーランスに係る取引の適正化等に関する法律案が検討されていると認識しています。報酬支払いの遅延や一方的な業務内容の変更等のトラブルが頻発する中、本法案は就業者保護に資するものと評価をしております。他方で、仲介事業者に対する業規制、実効性ある履行確保措置など、検討すべき課題は多くあると認識しています。フリーランスの方が安心して働ける環境を整備するためには、実態として労働者性が認められる場合は労働関係法令が適用されることを周知徹底し、厳正な指導監督を行うことが必要です。加えて、労働基準法における労働者性の判断基準を社会の実態に合わせて見直し、法的保護の拡充を図ることが喫緊の課題だと考えます。次に、労働移動、リスキリングについて申し上げます。政府は、成長と分配の好循環の実現に向け、労働移動の円滑化、リスキリング、構造的な賃上げに一体的に取り組むとし、人への投資に五年間で一兆円の予算を確保するとしています。人への投資の抜本的強化が必要との認識に相違はありませんが、成長と分配の好循環は労働移動のみで実現するものではなく、むしろ、リスキリングを含む能力開発と処遇改善による雇用の質の向上を軸に実現していくべきと考えます。成長分野等への労働移動については、労働者自らが移動を希望したくなるような移動先の処遇や安定した雇用環境の整備が何より重要と考えます。なお、労働移動促進という観点から、解雇規制や労働法制の緩和につながるような議論がなされることがあってはならないと申し上げておきたいと思います。リスキリングについては、労働者や求職者個人への支援策拡充はもとより、企業を通じた支援策も、企業の成長に資する人材育成支援として、引き続き維持、拡充が必要と考えます。その上で、これら施策を実効性あるものとするには、企業等のニーズを踏まえた対応が重要であり、訓練プログラムの充実や中小企業等に対するノウハウ支援を行い、全体的な底上げを図る必要があります。また、全ての労働者にひとしく能力開発等の機会を確保していくことが重要です。とりわけ、非正規雇用で働く者への人への投資は、処遇改善、正社員転換、キャリア形成支援に資するよう、企業の取組に加え、政府による支援の拡充が不可欠と考えます。次に、GXの推進について申し上げます。国際公約と我が国の競争力強化、経済成長の同時実現を目指すGX推進法案が今国会に提出されました。資料の五ページを御覧ください。連合は、GXの実現には公正な移行を通じた働くことを軸とする安心社会の実現と連携させることが必要であると考えますが、昨年末に確認されたGX実現に向けた基本方針にある公正な移行が、GX推進法案では明示されていません。また、基本方針に示された方向性を具体化するためには課題も残されており、現時点で連合の考える懸念点を三点申し上げます。一点目は、失業なき労働移動の実現についてです。雇用形態に関わりなく学び直しの機会が担保されるとともに、その間の生活を保障する資金援助や住宅補助など、重層的なセーフティーネットの構築が必要です。また、中小零細企業の雇用への影響に対しては、サプライチェーンだけでなく、国や地域での目配りと強力な支援が必要です。さらに、今後の政策立案に当たっては、政労使を含む関係当事者が加わる社会対話の枠組みが国、地域、産業レベルで行われるとともに、地域脱炭素化や産業移転に伴う地域経済の在り方を含めた分野横断的課題の深掘りも重要であり、各省庁が連携した推進体制を求めます。二点目は、GX経済移行債の投資の対象についてです。基本原則の一つである国内の人的、物的拡大につながるものに、付加価値の高い、グリーンでディーセントな雇用の創出にもつながるものとの要件を加えるべきと考えます。また、投資を受ける企業は、いわゆるESGのS、社会的責任や、G、健全な企業統治の側面においても法令遵守や人権に関するデューデリジェンスが確立されていることを前提にすべきであると考えます。三点目は、カーボンプライシングについてです。既にエネルギー価格が高騰している中、創設される賦課金や排出量取引の下での事業者の負担水準など具体的な制度の検討においては、現行制度の見直しも含め、労使を含む関係当事者の意見を取り入れ、丁寧な議論を進めていただきたいと思います。とりわけ、負担は特定の産業だけに偏ることなく、広く国民でなされるべきであり、事業者が適正に価格を転嫁できる環境整備も必要となります。次に、日本社会のありようについて申し上げます。社会の根底には、平和、自由と民主主義の普遍的原理、そして人権の尊重が貫かれていなければなりません。政府の目指す多様性のある包摂的社会や、連合が目指す多様性を認め合う社会を考えるとき、先日の元総理秘書官の発言は、時代錯誤かつ人権意識が希薄であり、断じて許されるものではありません。資料六ページを御覧ください。G7各国の状況を見ると、性的指向、性自認に関する差別を禁止する法律を持たないのも、同性婚を認めていないのも日本だけです。G7議長国であるにもかかわらず、日本は世界の潮流から大きく遅れている状況です。一方で、同性カップルを婚姻関係と同等に認めるパートナーシップ条例は、二〇二三年一月十日時点で二百五十五自治体で制定されており、人口カバー率は六五・二%です。これは、政府の政策の遅れを自治体がカバーしている状況と言えます。同性パートナーの権利保障のため事実婚に準じた扱いとすることや戸籍変更要件の緩和など、性的指向や性自認に関する課題の解消に向けた民法の整備と、差別を禁止する法律の早期制定が求められます。また、G7各国の中で選択的夫婦別氏制度を認めていないのも日本だけです。資料七ページを御覧ください。連合の調査でも、夫婦の姓について、同姓でも別姓でも構わないと答えた人が六四%に上り、多くの人たちが選択的夫婦別氏について容認していることが分かりました。一九九六年に法制審議会が選択的夫婦別氏について法律案要綱を答申してから二十七年、今こそ、多様性を認め合う社会の実現に向けて、選択的夫婦別氏制度を導入すべきときと考えます。最後に、あらゆる差別を禁止し、国際社会における差別禁止のスタンダードと言える、ILO第百十一号条約について申し上げます。第百十一号条約は、一九五八年に採択されたもので、百七十五か国が既に批准しています。しかし、日本はいまだに未批准であり、世界から見て周回遅れのランナーと言える状況です。政府が取りまとめたビジネスと人権に関する国別行動計画に基づき、日本が人権を尊重しているということを国際社会に示す意味でも、ILO第百十一号条約の早期批准を強く求めたいと思います。以上を申し上げ、私の意見陳述とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○根本委員長 ありがとうございました。次に、井上公述人にお願いいたします。

○井上公述人 私は、ただいま九州の福岡県で旅館、ホテルの組合の理事長として務めております。そして、この度、全国の旅館、ホテルの組合の連合会の次期会長として、ちょうどこの二月に選出をしていただき、この春以降からその職を務めさせていただくという大変若輩な人間でございます。さて、私の宿でございますが、九州の福岡県そして大分県の県境の朝倉市というところにございます。目の前には、九州一の大河、筑後川が流れております。その筑後川の川原で、昔のことですから、鶴が湯あみをしたということで、原っぱに鶴ということで原鶴温泉と名づけられております。私の宿の創業は明治十八年、一八八五年でございます。明治、大正、昭和、平成、そして令和と、大変細々でありますが、私の先祖から、この宿屋家業、旅館業を営んでおります。その間には、さきの大戦を経験をし、ちょうど私の地元、朝倉、甘木には大刀洗という飛行場がございました。私の亡くなった祖母は、昔のことですから、GHQ、当時の占領軍の方々が私の宿にも泊まりに来ていたそうです。昭和の話ですから、田舎の話ですから、そんなアメリカ軍の方々、白人の方、黒人の方を初めて見たということを私によく話をしてくれました。そして、敗戦後、昭和二十八年には、その九州の大河、筑後川が大氾濫を起こして、私の宿も全流したそうです。それから何とか歯を食いしばって、大きな水害を経験し、再建し、ちょうど昭和四十年代、五十年代に、今のいわゆる鉄筋コンクリート型の旅館として何とか親から引き継いで、現在に至っておる次第でございます。近年を考えますと、特に私ども九州では、熊本地震の大きな災害がございました。そして、私の地元でも、ちょうど衛藤先生、いらっしゃいますけれども、日田も含めた九州の北部豪雨というものがございました。そういったような経験をしてきたわけでございますけれども、これまでそういったような大きな経験がございましたが、このコロナの三年間は、私のような、明治とか大正、昭和から続く旅館の仲間にとっては、大変厳しい状況の期間を過ごしてまいりました。私は、日本の宿文化というのは、それ自体が、世界中が憧れる、世界の人たちが憧れる、そして日本が世界に誇り得る最大の売りではないかと思っております。先人の方々がつくり上げてきたすばらしい文化を将来に引き継いでいく責務があると考えております。このコロナの三年間、コロナの発生時より、緊急事態宣言や蔓延防止法など度重なる発令により、人の流れ、人流が止まりました。当然ながら、私ども旅館業、宿泊業は、お客様を迎える、そして初めて仕事になる、そういったことからすると、大変多くの機会損失がなされました。さらに、一番つらかったのは、先ほどから連合の方々もお話ししていますが、お仕事に来ていただいている従業員の方々、パートさん、アルバイトさん、その方々に、お休みを、仕事をしなくていい、コロナがうつるからということで出勤を止める、そういったような大変心苦しい思いもしてまいりました。しかしながら、ここにお集まりの国会議員の先生方、そして観光庁の皆様が、このコロナ禍を経験しても、観光が国の成長戦略の柱である、地域活性化の切り札である、そういったことに変わりはないということを御発言をいただいたり、そういったお言葉に本当に勇気づけられて、我々もそのことを信じてやみません。頑張ってまいりたいと思っております。旅館は千三百年を超える歴史を有するとともに、我が国が、長い歴史の中で、世界に類を見ない、独自の宿泊形態、宿文化をつくり上げてまいりました。国が観光立国を目指すとともに、世界でも我が国の観光が大変注目をされている昨今、日本の自然や、また、和食を代表とする食事、神社仏閣、様々な文化遺産など、魅力が先生方の御地元の全国津々浦々にあると言えます。世界でオンリーワンの宿文化も、我が国の、ある意味ではキラーコンテンツであると確信をしております。現在、ハイアットとか、いわゆる世界で有名な外資系のホテルチェーンも旅館のブランドを立ち上げようとする動きがございます。まさに、そのことは、世界中が旅館に注目し始め、我が国の宿に着目をしているという証左であると考えます。外資系の資本がよいとか悪いとか、そういったのは切り離し、まさに事実として、海外の人々、そしてその企業が我が国の宿の魅力に気づき始めているという事実があります。でも、残念ながら、我々日本人、日本の人々、そして何よりも我々旅館の経営者が、この魅力についてまだまだ気づいていないという事実もございます。例えて申すならば、外見だけ旅館のような宿を造ることは技術的、建築的には可能かもしれませんが、長い長い歴史に基づく、そして地域の伝統、文化、価値に基づく、地域に根差した、兼ね備えた旅館が一度なくなると、もう二度と再生することは不可能でございます。いろいろな地域の旅館は、我が国の宿文化、地域の歴史、文化に裏づけられた固有のストーリーが集約された、地域のストーリーが集約されたショーケースであると考えております。こうした背景を踏まえて、国の成長戦略の柱、地域活性化の切り札と言われる宿泊産業は、宿を中心とした地方創生を実現させ、強い責任感を持って取り組まなければならないと考えております。たくさんの課題が山積しているのも事実でございます。今後は、こうした課題を一つ一つ解決していくことが必要でございます。コロナ禍で大きな打撃を受けた宿泊産業でございます。いち早く立て直す、そういうことが大事であります。この場をかりて、いろいろなお礼を申し上げたいことがございます。コロナ発生時以来、政府の皆様、先生方には、雇用調整助成金の支給やゼロゼロ融資の実施、我々の日々の商売、日々の雇用、キャッシュフローを支えていただきました。GoToキャンペーン、県民割、ブロック割など旅行支援をたくさん講じていただき、インバウンドの需要が消滅した中で、それに代わる国内需要の喚起をしていただきました。持続化給付金や宿泊事業者による感染防止対策など、直接的な支援の形をしていただきました。そして、経産省の事業再構築補助金でございますが、多くの事業者がワーケーションの施設やグランピングなど新しい取組を始めることに、大変前向きに御支援をいただきました。そして、この度の高付加価値化事業では、令和二年度に五百五十億円、令和三年度に一千億円、さらに、昨年末に御成立をいただいた補正予算では、一千五百億円という大変破格の御予算を組んでいただきました。我々、宿のリノベーションを通じた地域の面的再生、高付加価値化を大いに御支援をいただいたところであります。私の地元である福岡県の原鶴温泉でも、この高付加価値化補助金を利用させていただいております。先ほどお話ししましたが、さきの九州北部豪雨等で、私の後輩の宿、泰泉閣という旅館がありますが、そちらもなかなか投資ができなかった、なかなか金融機関がお金を貸さなかったわけであります。それも、今回のこの高付加価値化の事業の採択を受けてからは、何とか金融機関の御理解が進み、融資が実行をされ、そして、ただいま設備投資をしている真っただ中でございます。我々の業界もそうですが、人手不足の問題が取り上げられております。今回の高付加価値化補助金に参画した施設は、工事を終了し、新しいお風呂つきの客室だとか、そういったような付加価値のある客室を造ったりして宿の利益が向上したと聞いております。その利益を従業員に還元させて、待遇を従来よりも改善していく、そして、それをもって募集を行う、そういった動きも出てきております。また、よく、スマートフォンでも見られますけれども、多くの我々の宿や施設が写真やホームページを掲載して、若い方々の採用も増えているという話も聞いております。これから、人手不足の解消の実現に向け、賃上げの原資を生み出せるよう、高付加価値化やDX支援を通じた収益力向上の下支えをお願いしたい、そのように思っております。さて、まだ引き続き、高付加価値化補助金を活用して、賃上げの原資を生み出して人手不足を解消したいと考え、取り組んでいるところでございますが、よくホテル様等で、百室ほど客室があるホテルが、人手不足、ベッドメイキングがいない、そういったようなことで八割しか稼働できない状況もあると聞いております。人手不足については、何よりも我々の業界が魅力ある業界に生まれ変わらなきゃいけない、賃金を引き上げるといった自助努力が必要であると思っております。現在宿泊業に従事する人々に、そしてこれから就職を考える若い方々に宿泊産業で働くことの意義や矜持を伝えてほしい、これこそ、国の皆様とともにできる、そういうことを考えております。また、宿泊業について、ちょっと懸念する問題について述べたいと思います。我々の業界が力を合わせて今頑張っている中、いわゆる民泊でございます、サテライト民泊、つまり、地域の文化を体現していないような宿泊スタイルが推進されております。そういう動きに非常に懸念を持っております。先ほど申し上げたように、宿というのは、単に旅行者に泊まる場所を提供することではなく、我々は地域の文化を旅行者に伝達するという目的があります。そういう気概で仕事に当たっておりますので、国の方でも、各地域の自治体の皆様に、これから、こういう違法民泊等を、御理解いただき、取り締まるなど、引き続きの強化をお願いしたいと思っております。昨年の十月から水際対策を大幅に緩和していただき、さらには全国旅行支援を開始をしていただき、インバウンドについてはまだまだ回復途上にあるものの、大変大きな目で見ると、国内需要は、対コロナ前で比較をして、同等程度までに回復をしてきております。しかしながら、地域を細かく見ると、大変濃淡、格差があるのも事実でございます。我々の仲間の中には、当面、資金繰りに、やりくりする、大変苦労している旅館もたくさんあるのが事実です。政府の皆様には、こうした資金繰りに苦慮している事業者に支援が行き渡るよう、細かい金融措置を講じていただきたい。再度お願いを申し上げたいと思っております。人口減少、少子化、高齢化を迎え、消費者の人々の嗜好が大きく変化する中、我々宿泊産業も、こうした時代の波に合わせて変革が必要であると思っております。地域を守るために必要な様々な経営や運営の在り方、つまりは所有と経営の分離、事業継承、事業譲渡、事業再編等も一定は必要になってくると思っております。単に金融的な視点での事業再生は絶対にやってはいけないと思っておりますし、旅館を始めとする我が国の宿泊産業の存在意義を深く理解していただいた上で、地域を持続可能なものにするような事業再生の支援もお願いしたいと思っております。こうした問題解決と並行して、我々宿泊産業は、今後、より一層地域の方々と結びつきを強め、中心となって地域の再生、地域創生を実現していかなきゃならないと思っております。最後に、国内旅行に求められていくのは、全国どこでも一緒の画一的な地域ではなく、個性あふれる魅力を持った、持続可能な地域にすることだと思っております。地域固有の伝統、文化、価値等に基づく魅力を生かしたまちづくり、そして、そうしてでき上がった地域が持続可能な地域となるような仕組みづくりが求められております。まさに、将来へ引き継ぎ、域内人口の維持、増加につながるものではないだろうかと思っており、今回の高付加価値事業を大いに活用し、地域の再生、地方再生に取組を進めたいと思っております。今後とも、観光庁を始めとする政府の皆様方と一体となって、宿泊産業を我が国の基幹産業に、宿を中心とした地方創生を実現させる、我々の先人が残してくれたこのすばらしい宿文化を将来世代に引き継ぐ、そのような強い決意の下に、一歩一歩、取組を進めていきたいと思っております。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○根本委員長 ありがとうございました。次に、前泊公述人にお願いいたします。

○前泊公述人 皆さん、おはようございます。今日は、石破さん、先日、国会での議員のやり取りも聞かせていただきましたけれども、戦争の経験者が中央にいるうちは戦争は起こらないけれども、その人たちがいなくなったらこういう動きになるのかなという懸念を示されていました。まさにその話を、昨日、沖縄でも議論をしてきたところです。我々、沖縄戦経験者たちがいなくなって、沖縄での戦争がまた始まりそうな雰囲気だということで、今日は、その話を含めて、皆さんに是非、傍観者ではなく当事者として安保三文書についても議論をいただきたいということで出てまいりました。今日は、レジュメの方を発言要旨ということで提出をさせていただきましたけれども、安保関連三文書ということで、先ほど川上先生からも、捨てられる恐怖とそれから巻き込まれる恐怖というお話がありました。今まさに、捨てられる恐怖から、巻き込まれる危険な水域に日本が入っていこうというような印象を持っています。そうならないためにどうしたらよいかということで、我々も、沖縄でもノーモア沖縄戦という取組、あるいは対話プロジェクトということで、台湾や中国の皆さんをお招きをして沖縄で議論をしていただく、そういう取組を始めています。それから、ハブプロジェクトということで、沖縄における、こういう戦争に巻き込まれないために、沖縄を戦場にしないための施設や、あるいは投資や、あるいは国連の機関の誘致、こういった動きまで含めて、本当に鬼気迫る感じで取組が始まっているところです。それから、国会にだけ任せていたら沖縄は戦場にされかねないということで、自治体外交の取組も含めてこれからは展開せざるを得ないだろう、そういった議論も始まっています。是非、この問題についても、皆さん共有する形で、傍観者ではなく当事者として取り組んでいただければというふうに思っています。国会審議なしの、事実上の閣議決定で軍拡や敵基地攻撃能力というものが決められている、そんな印象を持っています。そういう意味では、異次元の軍拡、これは、防衛省から出ている予算書を見ると愕然とするんですけれども、もう戦争が始まったのかというぐらい、一気に一兆円余りの予算が増額をされています。そして、兵器を買うお金も含めて、一気に二倍、三倍に膨らんだ、そういった予算が今後通ろうとしています。そういう意味では、有事即応態勢というどころか、もう戦時体制の予算編成が第一歩を踏み出している、そんな印象を持っています。これをどう変えていくかです。下の方に、国家防衛戦略の全体像ということで、防衛省の資料をつけさせていただきました。この中を見ると、赤字で防衛省はもちろん強調しておりますけれども、我が国自身の防衛体制の強化、ここが強調されています。これがまさに、川上先生がおっしゃったように、我が国自身の防衛体制の強化、捨てられたときに困らないような体制かというふうな印象を受けます。そしてさらに、防衛力の抜本的な強化、国全体の防衛体制の強化ということが強調をされています。二番目が日米同盟の抑止力と対処力、そして三番目の、セーフティーネットとして、同志国の連携という言葉が出ています。これまでになかった、同盟関係を更に強める形で次のグループ、これが同志国という表現をされています。この中には、豪州、インド、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア等、そして韓国、カナダ、ニュージーランド、東南アジア。我々は、軍拡に対して外交力がもう少し発揮されてしかるべきではないかということを注目をしていたんですが、岸田首相が、せんだって外遊をなさって、外交を展開したというふうなことでしたけれども、中身を見ると、この同志国の訪問を繰り返しているんですね。並べてみると、これは明らかに中国包囲網をつくろうとしているかのような印象を受けます。そうすると、まさに中国側からすれば、包囲網をつくられて心穏やかではない、これにどう対処するかというような、戦争を惹起するような外交を展開しているかのような印象を受けます。こういうことにならないように。昨日、石破先生が指摘をされたとおり、何のための防衛三文書なのか、この辺りが国民に説明が十分されていない。そのことについては、まさに同感であります。読まれて分かると思いますが、異次元の軍拡というのが、宇宙航空自衛隊という言葉が出てきます。宇宙です。これから宇宙の時代、そして、これから軍事衛星をぼんぼん上げていかなければならないという話にもなっていきます。それから、海自と海保の融合も出てきます。これは、尖閣問題を抱えている沖縄からすると、今、海上自衛隊が出てきていない、海保で対話をしているがために戦争に至っていないというふうな視点で見ていましたけれども、ここに海自が出てくるということになれば、一触即発の危機すら招きかねないという懸念です。それから、沖縄については、十五旅団というのがあります。これは、熊本、師団の隷下にありますけれども、これを、旅団を師団に上げる。今二千五百人を、五千、六千あるいは七千と。師団規模に上げるということはどういうことかというと、師団というのは単独で戦争が遂行できる規模というふうなことを聞いていますけれども、師団化することによって、沖縄での局地戦を展開する準備を進めるかのような印象を受けますね。ここら辺でも、沖縄が非常に危機感を持っているところです。今日は、石破先生ほか、岩屋先生、それから衛藤先生、私も記者時代に、御三方、たくさんの指導を受けましたけれども、そういうところでいうと、この師団化の動きについても、沖縄は心穏やかでない状況にあるということをお伝えをしておきたいと思います。それから、国是であったはずの専守防衛は、いつの間に敵基地攻撃能力に転換をされてしまったのか。ここに踏み出してしまうと、軍事力は幾らあっても足りないという状況になってくると思います。先ほど、トマホークの購入の話もありましたけれども、大量の燃料を入れるとトマホークは果たしてどれだけ運用可能な状況で維持できるのかという話もありました。五百発が本当にこの国を守るに十分な量なのか。今、ロシアのウクライナ侵攻の話を聞いていますと、三千発、五千発、あるいは一万発を撃ったけれども、まだ劣勢にあると。今後、ウクライナを侵攻するために、勝利を得るためには、一万発どころか十万発が必要という話も出てきたりします。そうしますと、中国と本当に日本が立ち向かうときに、どれだけのミサイルを準備していくのかという話があります。日曜日に、対話プロジェクトで、中国の国民党、それから民進党のお二人をお招きをしましたけれども、核武装についても議論したことはありますかということをストレートに懇談の場でお聞きしました。それについては、やはり取り組んだことがあるけれども、途中で、完成間際でアメリカによって止められたというお話を聞きました。沖縄からすると、復帰前に千三百発の核、ミサイルが配備をされていました、沖縄にです。そのミサイルはどこに行ってしまったのかということを何度も確認をしているんですが、これは曖昧戦略の中で、明らかにされないまま、今進んできています。その核が台湾に行っていないという保証はあるのだろうか、そういうことでお聞きをしたことがあります。こういう偶発的な戦争勃発の危険性、そういったものが専守防衛を撤回することによって出てこないかということであります。それから、戦時体制の構築というところで、今、予算規模を見ると、世界の第三位の軍事大国化というふうな指摘もあります。日本は本当に軍事大国を目指していくのかどうか、この予算委員会の中でしっかりと議論をいただければというふうに思っています。予算書を見ると、四兆七千億円から、七兆円規模ぐらいまで後年度負担も増えています。いわゆるローンで武器を買ってきました、これは五兆円ぐらいだったんですが、もう七兆円ぐらいまで増えていくんですね。表に出ている防衛予算の裏側で後年度負担が激増している部分についても、予算委員会の中で議論をいただかなければならないのではないかというふうに思っています。それから、もちろん、一%枠を撤廃しました。二%の設定の根拠はと。これも石破先生が昨日質問していましたけれども、答弁を聞く限り、釈然としない、もう少し突っ込んでほしかったなというふうにテレビを見ながら思っていましたけれども、是非、専門家として、国民目線で引き続き追及をしていただければというふうに思っています。それから、二枚目の方に行きますけれども、裏面の方に。次の課題として、台湾有事という危機が創出をされているかのような印象を受けます。危機をあおることによって有効需要が創出されるというのがありますけれども、軍需産業というのは、危機をあおればあおるほどもうかります。そういう意味では、四十三兆円という、今後、莫大な防衛投資を行っていこうとしているわけですから、これは、一体なぜそれだけのお金が必要なのか、この試算の根拠は何かというのがあります。今回、予算書をこの議論に当たってお送りいただいたんですけれども、数千億円規模の、四兆とか五兆とかそういう数字が出てきます。その中で、例えば、新たな航空機の購入、戦闘機の購入だと思いますけれども、その数字についても、四千億円とか五千億という、ばくっとした数字が出てくるんですけれども、やはり、この予算委員会では、お買物リストについてもしっかりと出していただいて、それぞれ、その買物が必要なものなのかどうかというのはしっかり議論をいただきたいと思っています。前に、衆議院の、同じように地方公聴会で発言をさせていただきましたけれども、その際には、オスプレイの購入、オスプレイについて予算書を見ると、どこにもオスプレイのオの字もない。中を見ると、ティルトローター機と書いてあるんですね。いわゆるティルトローター機というのはオスプレイのことですけれども、これが、最初の年に五機、次に五機、その次に五機、そして二機というふうな形で散らばって書いてあります。これがまた、トータルで幾らということで、軍用機の料金として書かれているんですね。一機当たり幾らか分からない。これも、私もワシントンで聞いたら、九十八億ぐらいだというふうに聞いていたのが、予算の中身を見ると、十七機で千七百から三千六百億円ぐらい。一機当たり二百億円ぐらいになっているんですね。日本が買うとなぜその値段になるのかという、そういった辺りの予算の突っ込みがもう少しあってよろしいのではないかというふうに思っています。それから、沖縄の戦場化の話ですけれども、沖縄を戦場にされるというので、学生たちから、もう沖縄ガチャから抜けたい、なぜ沖縄で生まれたばっかりにこういう戦争の話ばかりされるんだ、あるいは基地問題を聞かれ続けるのか、そういうことを、復帰五十年の中で、NHKの朝の番組でこの学生たちのディベートを紹介されたときにこんな話が飛び出して、ツイッターでかなりバッシングをされたというふうに聞いていますけれども。沖縄を戦場にしなければならない理由は何なのかということですね。この議論を聞いていると、今、ウクライナで東側のドンバスがまさに攻撃を受けていますけれども、首都のキーウの方では普通の生活が続いている、こういうことが出てくると、沖縄は戦場になって、そして東京では普通の生活が続くという、そんなイメージすら浮かんでくるんですね。東京では、今日ももう出勤の時間よ、お弁当を持ったのという話が出ている、ところで、テレビを見たら、今日、沖縄でミサイルは何発飛んだの、何人が死んだの、こんな話をされかねないような、そういう背筋がぞっとするような議論が続けられていくような気がして、こういう問題に対して、もっと当事者意識を持ってほしいというふうに思っています。それから、国民保護計画、これもあります。沖縄においてミサイル防衛ということで、今日、資料をつけさせていただきましたけれども、資料の四枚目ぐらいに。陸上自衛隊の南西諸島配備です。馬毛島から始まって、奄美大島、そして沖縄本島、宮古、石垣、与那国と、次々に自衛隊のミサイル基地が建設をされています。このミサイル基地は一体誰から誰を守るためのものなのか、何から何を守るためのミサイル防衛なのかというところが非常に気になるところであります。これは、話を聞くと、もうあと五分前になってしまいましたけれども、資料をたくさんつけてありますので読んでいただきたいと思いますけれども、ポイントとして、この新聞記事の中にも入れましたけれども、トゥキュディデスのわなというのがあります。新興国家が覇権国家に挑む、その際には戦争になることが多いということで使われている、これはハーバードの言葉でありますけれども、ハーバードの研究者たちがつくった造語のようですけれども。覇権国がむしろ新興国を潰すための戦争をしかけているのかなという、これも川上先生からの指摘がありましたけれども、こういった動きに対して、国民は、じゃ、どういうふうに対応すればいいのか。日本がそういうトゥキュディデスのわなにはまりかねないということを懸念をしているところでありますけれども、アメリカの戦争に日本が巻き込まれないようにということを川上先生も指摘をされておりましたけれども、我々も、まずは、国を守るよりも国民を守る安全保障の議論をしていただきたい、そのことがまず基本ではないかというふうに思っています。それから、沖縄から見た安全保障の問題でいうと、平時の安保と有事の安保があります。今日、私の同行人として、「ゴルゴ13」の原作も書いている平良さんが同行させていただきましたけれども、彼が、漫画で読む地位協定というものを書いていただきましたけれども、漫画しか読まない国会議員の方もいるというので、漫画を描いて作らせていただきましたけれども、その中で強調したのは、DEFCONという話です。日本においては、有事と平時における区分けがないままに地位協定が運用されている。このために、戦時体制において作られた地位協定が国民の権利を侵害し、そして国民の安全すらも脅かすような状況が続いている。これは、例えば、資料につけさせていただきましたけれども、訓練の中で、小学校の上を飛んで、そしてヘリコプターが窓枠を落下させる、こういったことが起きないように、この上を飛ばないでくれとまさに政府が申入れをしたにもかかわらず、その上を飛び続けるんですね。日本政府ができることは、こういうシェルターを造って子供たちを守る、米軍の訓練から日本ができることは、その上を飛ばさないことではなくシェルターを造って守る、こういう状況が沖縄では起こっているということです。 しかも、この普天間基地、いつ返るのかということのめども立たない。そして、その代替施設は、一体幾らお金がかかるのかも分からないという状況の中で造られ続けている。そして、私の研究室から見えます、その写真をつけましたけれども、今も新しい施設がどんどんこうやって造られているんですね。大きな施設が造られているのに、普天間が返るというようなことを誰が信じるのかということです。こういう、二十五年間にわたる普天間返還というこの動きは、もしかしたらフェイクだったかもしれないというふうにそろそろ気がついてもよいのかなという話すら出ています。こういう国民を守る安全保障、そのために何の議論が必要かということを今考えていただきたいということで、今日の公聴会の中の意見を陳述をさせていただきました。それから、軍は民を守らないというのが沖縄戦における最大の教訓でありましたけれども、今、ウクライナ戦争を見ていると、新たな脅威が出ています。軍は民を守らないどころか、軍は民を盾にする、そして民間地域が攻撃を受ける、そこを戦場にすることによって犠牲者が出る、その犠牲者の数を外に出すことによってNATO軍から武器の供与を更にいただく、国際世論を味方につける、そういう民を盾にしているような戦争のように映ります。そういう犠牲を沖縄が受けないためにどうしたらよいのかということを考えているわけですけれども、私は、沖縄は日本におけるまさにカナリアではないかというふうに思っています。この国の中で沖縄が犠牲になるときは、日本全体が犠牲になるときだというふうに思っています。沖縄という地域は、日本というこの国が抱えている問題が全て凝縮された地域です。沖縄の危機を共有することによって日本の危機に対処することができるというふうに思っています。是非、傍観者ではなく当事者として、この問題について注目をしていただければと思います。たくさんの資料をつけてありますけれども、是非その中身についてもお目通しをいただいて、実りある議論をしていただけることを期待したいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○根本委員長 ありがとうございました。これより公述人に対する質疑を行います。質疑の申出がありますので、順次これを許します。辻清人君。

○辻委員 おはようございます。自由民主党の辻清人です。本日は、川上公述人、清水公述人、井上公述人、前泊公述人におかれましては、御多忙の中、当公聴会にお越しいただき、貴重な御意見を賜り、ありがとうございました。また、理事、委員の皆様、質問の機会をいただき、ありがとうございました。時間が限られていますので、早速質問に入りたいと思います。まさに四者四様で、様々なお話をいただきました。今年は明治維新から数えて百五十六年、明治維新から終戦までで七十八年、終戦から現在までで七十八年、ちょうど半分半分でございまして、中曽根元総理が以前行革の話をしているときに、日本が変われたのは明治維新のときと終戦のときの二回だけだというふうな言葉を残していることを私は記憶に覚えていますが、今年はこの百五十六年目で、四人に共通することは、まさに今、我々は時代の大きな転換点に立っているということだと思うんです。令和五年度の予算を見てみますと、過去最大の百十四兆円の規模の中で、それこそ、子供政策やGX、DX、スタートアップ、もちろん防衛費についてもそうですが、我が国が直面する内外の重要課題に対してどうにか道筋をつけようという予算編成だというふうに私は考えていますが、それぞれ御意見を陳述された中で重複する部分もあると思いますが、この令和五年度の予算の中で特に評価をしたい部分と課題を、それぞれ四名の方、お一人ずつ、川上公述人から一言ずつ申し述べていただければと思います。
○川上公述人 辻先生、貴重な御質問どうもありがとうございます。私が今回の予算編成で一番やはり感激したのは、総理もおっしゃいましたが、まさに歴史の転換点である。いろいろな意味があると思うんですが、やはり日本独自の自衛力をつけるというところで、いろいろな、例えば日本の防衛自主産業とか、それから、防衛も、他の国と一緒に防衛装備品も造る、それから、アメリカに一辺倒ではなく、そういう具合の予算配分もしているというふうなところ、それから、自主防衛に当たって、中身の論議というのはもちろんあるんですけれども、その方向性としては、非常に、日本の抑止力をつける、これは間違いないわけですね、これは評価できます。あとは、論議すべきところは論議をこちらの方の委員会できちっとやり、先ほど前泊先生の方からもいろいろなことがございました、本当にこういう装備体系でいいのかが一番目、それからこういう予算が幾らぐらいあるのか、その中でもっと安くできないのか、そういうふうなところが私の一番問題視したところでございます。簡単ではございますが、そういうことでございます。
○清水公述人 予算については、本来、予算編成というのは、根拠となる政策と裏づけの財源が一体的に措置されるべきであろうというふうに思っております。そういった意味では、社会保障費だけがずっと伸びてきた、そういった予算が、個々の施策についての予算が今回振り分けられているということでいうと、確かに、大きな予算の転換をしたというふうに私も思うところはございます。ただ、やはり優先順位と必要な議論を十分していただくこと。課題となっていることについて言えば、連合はこの間ずっと言わせていただいておりますが、財政規律の強化、それから歳出を含めた不断の見直しですね。プライマリーバランスについて、決めた当時のことをもう一度振り返っていただき、やはり財政規律をしっかりとしていく。将来世代に負担を残してはいけないというところが、一番私たちとすれば申し上げたいところであります。財源を安易に国債に依存し続けるということは将来世代にやはり負担をツケ回すことになりますので、そういったことのないように、百十四兆円という過去最大の予算が果たしてそれでいいのかどうか、再度の御議論をいただければというふうに思います。
○井上公述人 先ほどから申し上げているとおり、私どもの業界はこのコロナで大変傷んで、いろいろな意味での設備投資がままならない、そういったことがございました。やはり今般の一千五百億という破格の予算をいただきました高付加価値化事業というのは、本当に私どもとしては大変ありがたい、助かっておるということでございます。また、今、国内旅行支援等をしていただいておりますけれども、今後、二〇二五年の関西・大阪万博までには、インバウンドの受入れの整備や国内のいろいろな施設の整備等があります。その中には、先ほどの従業員さんあるいは外国人の労働者の皆さん、そういった方の雇用もありますので、我々宿泊業が地域の基幹産業となるべく、潰れないように、倒産しないように、いろいろな需要喚起策とか手当てをしていただければと思っております。以上でございます。
○前泊公述人 今日、私の方からは、防衛と沖縄関係予算についての評価をさせていただければと思っていますけれども、国会でのこの数字を見ますと、すさまじい勢いで異次元の軍拡が進められている様子が分かるような気がします。これだけ大きな予算をつけるのであれば、もっと物価高に苦しんでいる生活の保障をしっかりしてほしいというお声を、県民からも出ていますし、国民の多くがそういうふうに感じていると思います。この拡大の中で重視されているのが軍事費なのではないかという指摘です。それから、これだけのお金が増えている中で、沖縄は、復帰五十年を迎える節目の年、三千億円台を維持していたものが二千六百億円台に落ちています。通常であれば五十年記念の御祝儀相場かなと期待されたところが、むしろ減らされている。じゃ、その減らされた理由は何かというと、政治的なものということになります。知事選があるから、あるいはそういうことで予算を増減をさせるという議論、非常に残念な国だと思います。沖縄が抱えている課題、五十年間、所得水準は全国最低のままです。十三兆五千億円のお金を投入したにもかかわらず、最低水準が維持されている、この理由は何なのか。そういう中で、調べてみると、落ちてくる予算、落とされている予算の四八%が本土ゼネコンに還流をするという、そういった数字もあります。ケインズが言う乗数効果がほとんど期待できないような数字の落とし方です。お金をつけるだけでなくて、具体的にどういうふうにそのお金が地域に落ちているのかどうか、政策の中で、その政策に反映されている額は幾らか、そういうところまでしっかりと検証をしていただくことが必要ではないかというふうに思っています。
○辻委員 ありがとうございます。それでは、川上公述人とちょっと外交、安全保障の話をさせていただきたいと思います。限られた時間ですが、まさに戦略三文書の改定と併せて、今日、前泊公述人からも、実際、アメリカと日本の関係、分かりやすく言ったら、太極図じゃないけれども、陰極まれば陽に転ずで、近づき過ぎてもいけないし、離れ過ぎてもと。捨てられる、巻き込まれる。私は、これは、もっと言えば、明治に日本がいち早く列強の支配から抜け出したときに、G7でも今唯一のアジアの国ですけれども、我々日本人は、思想的に西洋と近いのか、それとも人種的にアジアなのかという、そのジレンマというのは常に私はあると思うんです。すごく個人的な話ですが、やはり、外から日本を見た方で、そのジレンマを感じていない方はいないと思うんですね。それを、明治の方々は脱亜入欧とかそういう言葉で、また、近代でいうと親米保守とか親中リベラルとか、私は、個人的には決してそういった二律背反ではないと思いますし、そういう考え方から脱しないといけないんですが。ただ、我々がどう思おうと、アメリカという国はかなり合理的な国でして、大統領が替わるたびに、ここ最近は特に、よくアメリカや欧米は、内政は政権が替わると変わるけれども、外交は変わらないよというふうなことを論評する方がいるんですけれども、私は、個人的には、九・一一以降のアメリカに関しては決してそうではないと思いまして、ブッシュ政権以降、政権が替わるたびに、思想的にも、戦術的には分かりませんけれども、安全保障の戦略的には大きなやはり変化が生じていると思います。それで、今年、戦略三文書を書く中にも、恐らく、捨てられる、巻き込まれるの、背景の苦悩というのはあったと私は思うんです。ただ、アメリカで、来年、二〇二四年にはまた大統領選挙がございます。ここで誰がどうという私の個人的なあれは控えますが、仮に今のバイデン政権から新たな候補者、大統領が就任した場合、大きな安全保障の戦略的な転換が仮にあったとしても、私としては、日本が、今回、二〇一三年以来の大改定ですから、これはこれとしてしっかりと堅持をして振り回されないようにする、それが大事だと思っていますが、川上公述人のそこら辺に対してのアドバイスと評価をお願いしたいと思います。
○川上公述人 辻先生、どうもありがとうございます。大変貴重な御意見と御質問だと思いまして、ほぼ私は辻先生の御意見と同一でございまして、本当に今現在は歴史の転換点、先ほど述べられましたように、戦後それから明治維新に匹敵するぐらいの転換点だと思うわけですね。先ほど私が述べさせていただきましたように、日本独自の国益に基づいた日本独自の戦略、これは戦略三文書の中に最初にございまして、非常によくできた、私が申し上げるのもあれですが、文書だと思っていますが、ただ、問題は、それが本当に実行できるのかどうか、日本の戦略に基づいて実行ができるかというのが非常に問題で、逆さまに見ると本当は重要性があるんですね。つまり、日本の国民の国民保護であるとか、そういうことをなさなくちゃいけないのに、それが、冒頭の方はアメリカと一緒にというか、戦うんだというふうな抑止力強化、これはいいんですけれども、本当に順番の問題で、やはり我々は最初にやるべきことは国民保護であり、もちろん抑止力も必要であり、そこから信頼醸成であるという具合にやるべきだと思います。さて、辻先生が御指摘いただいたように、大統領が替わったら、これまで我々は相当振り回されてきたわけであって、これではやはりどうしても駄目だということは我々国民も先生方も十分お感じのところと思うんですけれども、そのためには、これを契機に、日本は独自の、日本国民とは何なんだ、日本の国とは何なんだというふうな基本的な概念にもう一回立ち戻り、我々の先人たちはやってきたわけです、そのしかばねを乗り越えて我々はそういうところに立ち戻り、国益、国家観を見直し、次に日本独自の戦略を立て、決して今の戦略が悪いとは言わないんですが、ただ、あくまでも、冒頭私が申し上げましたように、アメリカの国防戦略があった次に日本の戦略三文書が出ているわけなので、そうではないと。日本のやはり国防戦略があり、アメリカの国防戦略があり、そこで初めて我々はやるんだ、つまり、米英同盟型にグレードアップするというふうなところが一番必要なことだと思っているわけでございます。簡単ではございますが、以上です。
○辻委員 ありがとうございます。ちょっとここで、本当に、時間がもっとあればいろいろ、私は、個人的には、イギリスと日本をよく例える例があるんですが、私はちょっと違うと思っているんですね。同じ島国ですけれども、やはりアメリカとイギリス、その一体感と、日本とアメリカ、そこはちょっといろいろと考えていかないといけないと思っています。時間も限られているので、一つだけちょっと井上公述人に質問。人手不足。今、恒常的な人手不足です、我が国。これからもっと深刻になる可能性もありますが、今行っている、特に、私も地元に浅草や銀座を抱えている観光地なので、何かちょっと一つアドバイスをいただけますか。
○井上公述人 人手不足、もちろん、少子高齢化等によって人口が減っているということがございます。一番は、我々の業界、観光業が、そしてまた宿泊産業がやはり魅力あるものということで、私と業界自身もしっかりそれを認識して、そして、ここにお集まりの国の先生方も、また観光庁さんと一緒になって、魅力ある仕事だということをしっかりと訴えていく、そういう必要があると思います。また、外国人の労働者につきましては、昨今の為替の影響等、日本で働いても稼げない、そういったような声も聞いて、なかなか日本にやってくる方が、コロナ禍もありまして、少なくなっているというふうに感じております。これはまた、我々がというよりも、大きな意味での、為替も含めた状況によって変わってくるのではないかと思っております。以上です。
○辻委員 終わります。ありがとうございました。

○根本委員長 次に、赤羽一嘉君。

○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。四名の公述人の皆様方におかれましては、本日は、大変お忙しい中、当委員会に御出席を賜り、また貴重な御高見を拝聴させていただきましたことに、まず心から感謝を申し上げたいと思います。ただ、質問時間が何しろ十五分と限られておりますので、四名の方全てに質問できない非礼をまずおわびを申し上げたいと思います。まず、清水公述人に質問させていただきたいと思います。まさに、働くことができるということは、私は社会の安定につながるものだというふうに思っております。歴史を振り返りますと、かつてリーマン・ショックの後に、我が国は、円高、デフレ不況という大変深刻な状況で、長らく就職氷河期が続きました。私の子供がちょうどそのときに当たっていたものですから、大変暗い世相、親としても本当に切ない思いをしたわけでございます。その後、国の政権が替わり、政策が変わる中で、結果的には全四十七都道府県の有効求人倍率が一倍以上になるということになって、私は、相当これは社会の底上げというか、非常によかったのではないかというふうに思っておるわけでございます。そうした中で今を迎えて、少し話が飛びますが、私は、少子化の原因の中で、なかなか正規雇用に就いてそして家族を養える所得、収入が得られない、だから結婚ができないという方もかなりを占めている、そういった話を部会で聞くことが多いわけでありますが、なかなか難しい面があることを承知の上で、希望される方は正規雇用を原則とする社会を我が国は目指すべきだというふうに考えておるわけでございます。そうしたことについて連合の皆様の御意見をお聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○清水公述人 まず、今の若い方たちあるいは女性の方たちの就業に関して、一つの実態としては、やはり大学等を出て一番最初に勤めるのが既に非正規の形という、そういった形でスタートする方がたくさんいらっしゃる、特に、女性の方で四割の方が、そういったスタートが非正規から始まるというような状況がある。これは、自ら望んでそうしたということではなく、やはり社会の中で雇用の在り方、そういったものについて抜本的に、女性などが働きづらい状況になっているということは変わっていないということが一つあろうかというふうに思っております。社会全体で、確かに、景気が厳しかったときに、雇用を守るということで、連合もそこのところに重点を置きながら、また企業も収益を設備投資やいわゆる内部留保にためていった、そのことが三十年間賃金が引上げにならなかったというところがあろうかと思います。そういったところの状況のデフレの部分を、やはり抜本的にステージを変えていく、そういうことが雇用の充実につながっていく、雇用の質の充実を図っていくべきだというふうに思っております。以上です。
○赤羽委員 ありがとうございます。かつての働く場がなかったところから、働く場は確保される中で質を高めていくというのは、私も全くそのとおりだと思います。また、今、若い方々、子育て世帯を見ますと、おおよそほぼ全てのところで、共働き世帯が当たり前の世の中になっていると思います。ですから、私は、社会の在り方そのものを、共働きということをスタンダードにする、異次元の子育て支援というのは私はそういうことを言っているのではないかと。特に、育児休暇制度、育休というのは、男性も取れるようになりましたけれども、まだまだ十分じゃないところがありますし、保育所待機児童ゼロ作戦というものを、公明党としても、かつて、過去から歴史をかけてやって、相当なところまで進んでおりますし、また、我が党は、子育て応援プランということで、結婚、妊娠、出産からということを発表したばかりでございますが、私は、育休はもう少し柔軟に取れるような、また、その制度の運用も柔軟にできるようなことが本当に大事なのではないかというふうに思っておりますが、その点についての御所見、簡潔にお答えいただけますか。
○清水公述人 育休の取得については、昨年十月から、いわゆる育休制度に入る、取れるんですよということ、職場でそのことをしっかりと呼びかけるということ。連合の中の事務局の話で恐縮ですが、いわゆる出産という状況に至った、妊娠が分かったときに、そういうふうに、取れますよ、いつ取りますかという職場の声かけが、やはり取得率が上がっていくんだというふうに思っております。特に、男性のということで、やはり男性も含めた働き方そのものを変えていかないと、私も、一日とか三日とか、やっと取れて三日とかしか取りませんでした。今の若い人たちはやはり、一年一年取れるのであれば、一年取り、そして連れ合いさんも一年取る、最初からそういう取り方をする、そういう会社や世の中のありようがあればいいかというふうに思います。
○赤羽委員 先日、実は仕事で長岡の市役所に行きまして、長岡市役所で、当時、男性の育休というのは一割しか取らなかった、ところが、国交省のOGの女性の方がアドバイザーとして来て、今は七割以上取るようになったという。これは本当にやればできることだと思いますので、これは官公庁も含めて進めていかなければいけない、こう思います。次に、観光、旅行業について、井上公述人に御質問したいと思います。三年間を超えるこのコロナ禍で、私は、最も影響を受けている業界は観光業、そして交通業界だと思っております。この観光、交通業界、雇用も九百万人を抱えている大変大きな産業でございますし、加えて、観光業は、裾野も広くて、第一次産業も含めると大変に大きな産業だということでございます。当時、私は国土交通大臣を務めておりましたこともあり、この業界の実情をと思って、全国で六十か所のところで、皆様方と一か所二時間半から三時間のタウンミーティングをやらせていただきました。今、公明党に戻りましても、観光立国推進議員懇話会の会長として、今、十五か所で意見開陳をいただいております。様々な意見を聞いている中で、改めて、先ほど言われました地方創生のまさに切り札であろうし、我が国の成長産業であり得るべきだ、そのために重要インフラである業界の皆様を潰してしまっているのは本当にもったいない、また、してはいけない、こういう思いでございます。一つ目は、よく皆様方から聞かれるのは、三年間のダメージというのは短期間では回復できないんだ、こういうことを言われます。GoToトラベル事業、私も実施をさせていただいて、大変感謝もされておりましたし、あの成功があるから苦しいところは何とか耐えられるというお言葉をいただきましたが、ただ、他方で、ああ、なるほどなと思ったことは、百室の旅館は百室以上の予約は取れないんですと。これは当たり前のことなんですね。ですから、短期のカンフル剤を打っても、ある程度の時間がないと三年間の損失は取り返せないというふうに御指摘いただきました。加えて、人手が足りなくて、一〇〇%の予約を入れることができないのが実態だ、七割から八割の予約しか取れていないんだ、残念ながらと。こういう声は各所で、ほぼ全所で聞かされております。また、全国旅行支援も今やっているわけでありますが、これは都道府県に今はばらまいていますので、四十七のルールがあって、実は大変使い勝手が悪いというような声も聞こえております。いろいろあると思いますが、時間が限られておりますので、まず、この需要喚起策、GoToトラベル事業も実は四千五百億円ぐらい年度内に使い切れなくて不用と今なっておりますので、そうしたことは回復してほしいという声も強く聞くんですが、業界として、新年度以降の継続というのは必要かどうかということについて、率直な御意見を聞かせていただければと思います。
○井上公述人 赤羽先生がおっしゃるとおり、本当にこの三年間は大変厳しい状況を、我々宿泊業も本当に厳しい期間を過ごしてまいりました。先ほどの予算、四千六百億の件とか、予算化していただいて大変ありがたいと思っております。しかしながら、そういった旅行支援も本当にやっていただきたいのが本音でございますし、また、このコロナの前から、様々な私どもに横たわる、金融の問題とか、いろいろあるのも事実でございます。私どもは、これから先生の御地元関西でも万博が開催されたりしますので、それまでに、地方にあまねく、いろいろ旅行者に、またインバウンドにも旅していただきたいということから、この宿文化を守り、将来に引き継ぎたい、そして持続可能な商売ができるような様々な支援をいただきたいということがございます。本当に、GoToトラベルキャンペーンや全国旅行支援、大変我々業界としてはありがたく、感謝申し上げます。ありがとうございます。
○赤羽委員 継続の必要があるかどうか、希望はどうでしょうか。
○井上公述人 継続の必要があるというふうに私どもは思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○赤羽委員 あともう一つ、資金繰りについても大変心配をしておりまして、旅館、ホテルというのは装置産業ですから、大体、融資を受けながら仕事をしているというのが常態だと思います。私の地元の有馬温泉の方々も、ほとんどそうです。加えて、このコロナに対して、ゼロゼロ融資もほとんど借りられているはずです。これが、返済が始まって、返済が大変厳しくなっている、資金繰りが大変苦しいと。政府としても、これはリスケをするということ、十分対応しろということは金融機関に指示が出ているはずですが、その現場の状況はそうなっているのかどうか。一律には言えないかもしれませんが、お答えできる範囲でお答えいただければと思います。
○井上公述人 おっしゃいますように、コロナ前から、我々は、地方のそれぞれの旅館、ホテルで、金融機関、地方銀行さん、あるいは信用金庫さんからそれなりのやはり借入れを起こしているのも事実です。先ほどから申し上げますとおり、このコロナで、人流を、人の動きを止めると、これは航空会社だとか鉄道会社さんとか旅行会社さんを含めてですけれども、それでやはり機会を損失したということで、やはりどうしてもキャッシュフローが回らなくなった。それにおいての先生方のお力添えによりゼロゼロ融資を実行していただき、まさにこれから返済の期間もあってくると思います。それぞれのケースによりますけれども、劣後ローンだとか、そういったものを実施をしたり、いろいろな形で債務の方をリスケジュールしていただいたりというのが現実であります。これから、このコロナが明けて経済が開かれていく中で、個々における金融問題をそれぞれの事業者は抱えてくるということであります。これについては、私ども事業者だけでは解決ができない問題も多々ございますので、先生方のお知恵をかりながら、様々な方々から御指導いただきながら、この大きな金融問題、そもそもコロナ前からの債務、そしてコロナで借りさせていただいた債務については、何とかそれを御理解いただきながら、我々が生きられるように、いろいろな施策を講じていただければというふうに思っております。ありがとうございます。
○赤羽委員 私は、我が国の観光立国政策は進めていかなければいけないし、そのための重要インフラだと思っておりますので、資金繰りについては、是非、各地域の運輸局も相談窓口をつくっていると思いますので、御相談いただければと思います。また、今日は時間がもう終わりなので質問できませんが、人手不足も相当深刻ですので、外国人労働の問題というものにやはり前向きに向き合わなければいけないのではないか。連合も、所管外かもしれませんが、そうしたことも含めて、官民、力を合わせていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたしたいと思います。以上で終わります。ありがとうございました。

○根本委員長 次に、渡辺創君。

○渡辺(創)委員 立憲民主党の渡辺創でございます。まずは、お話しをいただきました四人の先生方、本当に今日はありがとうございました。予算委員としてこの議論に臨んでおりますけれども、今この国が様々な分岐点に立っているということは事実だというふうに思うんですが、私は元々新聞記者でありましたけれども、政治家がまなじりを決して転換点だと言うときには大概国民への説明がないがしろにされるもので、きちんと国民に理解を得ていくという議論を積み上げていくことが大事だというふうに思っておりますので、今回の公聴会も国民の皆さんの理解に資する場になればというふうに思っているところであります。それでは、もし質問が全ての先生に行き着きませんときは、どうか御容赦をいただきたいと思います。まず、川上公述人にお伺いをしたいというふうに思います。先生のレポート、最近のものもいろいろ読ませていただきました。今日、御説明にもありましたし、先ほど自民党の皆さんの御質問にもありましたが、アメリカがトランプ政権からバイデン政権に替わったことによって、米中関係が大国間の競争から、ある意味では民主主義対専制主義というような体制間の競争に変容した、この位置づけの変化というのは日本にも当然大きな影響を与える、そのとおりだなというふうに思ったところでありました。今日も、捨てられるリスク等々のいろいろ話がありましたけれども、今、例えば先日といいますか年の初めの日米首脳会談等にしても、やはり岸田政権はすごくバイデン政権に引っ張られているなという気がします。今回の防衛三文書に関しても、先生のお考えの中では、アメリカの政権が替わったときに果たしてこれは効果を持つというか適用が続くようなものになるのかという不安があるというお話がありました。先ほど自民党さんの御質問の中では、変わらないようなものであるというお話がありましたけれども、そこのリスクみたいなものについて先生はどのように課題をお考えか、お伺いしたいと思います。
〔委員長退席、中山委員長代理着席〕
○川上公述人 渡辺先生、どうもありがとうございます。その点が一番重要なことではないかと私も思っている次第なんですが、防衛三文書、これは本当に、誠に立派な文書であると私申し上げたとおりでございますが、ただ、どう運用するかの問題だと思うんですね。例えば、いろいろ中にありますように、反撃能力であるとか指揮系統の問題であるとか、それからそういう武器の購入問題であるとか、いろいろな論点があり、これは本当に今の集大成の問題で、やはり論点は非常に的確だと思うんですが、それを運用する際に、仮に今度バイデン政権から違う政権になり、全く違う、先ほど申し上げましたように、トランプ政権になった場合、これは本当に、ロシアと一緒にもう一回トランプ政権は戻って、ウクライナ戦争は終わり、かつ、中国とも大国間戦争に戻った場合、我が国はどうするか。この場合、浮いちゃうんじゃないかというような論議はもちろんあるわけでございますが、ただ、今回の防衛三文書に基づいて、日本はいかようにも、つまり、アメリカと一体化しながら、米国のどちらかというと主導権の下に展開する、そういうふうなことを今、岸田政権はやっていると思うんですが、この後の場合は、逆に、自主的なものを用いて自主的に防衛をやり、自主的な外交をし、両方とも転換できるような、内容はすばらしいものだと私は評価しておりますので、そういう具合にやらなくちゃいけない。ということは、時の政権がやはり今までの日米関係をもう一回見直しながら、日本独自の政権に転換していく。特に日本は、言うまでもなく、トランプ政権等々になった場合でも、危機的なもの、脅威を考えるならば、三正面、ロシア、中国、北朝鮮、間近にあるわけでございますので、それに対してどう抑止力を持っていくのかというのは全く変わらない。しかしながら、その一方では、本当に我が国は、信頼醸成を得ながら平和外交を展開し、やらなくてはいけない、やはり日本の平和、それからアジア地域の平和というものを率先してやらなくちゃいけない。そういう具合に転換できるんじゃないかと考えている次第でございます。以上です。
○渡辺(創)委員 続いて、前泊公述人にお伺いをしたいというふうに思います。先ほどお話があった中で、傍観者ではなく当事者としての意識を持って議論をというのは、本当に重く受け止めなければならないというふうに思ったところでありました。その中で、国民保護計画の欺瞞性というのが今日の資料のところにもあったわけです。私、大変御指摘は理解できるところだなというふうに思ったんですけれども、軍隊が国民を守らないというのは、沖縄戦の経験からいってもそれは明らかなわけでありまして、沖縄戦末期の島田叡知事のドキュメンタリーとかを見ても、いかにまさに地方行政が大変な思いをしたか、軍隊との間でどういうことがあったのかということも明らかになると思います。それをやはり感覚的にというか歴史の中でも感じていらっしゃる沖縄の皆さんは、もしかしたら、本土で暮らす我々よりもそこのところには鋭敏な感覚もお持ちだというふうに思うんです。先ほどの御説明の中で、ちょっと時間の関係もあって、そこの欺瞞性のところについて十分に先生はお話しになれなかったんじゃないかという気がしましたので、少し補足がありましたら、その辺りをお伺いしたいと思います。
〔中山委員長代理退席、委員長着席〕
○前泊公述人 御質問ありがとうございます。今日、資料の中で、先島配備の問題について資料をつけさせていただきましたけれども、本来、自衛隊を沖縄に配備するというときにどういう持込み方をしたかというと、離島で災害が起こったときに救助する、あるいは救急医療、飛行機で運ぶ急患輸送、こういったものが自衛隊は非常に優れているということで、監視部隊が置かれると、一緒に来た部隊がそういう日常的な災害救助部隊として活躍をしますよということで、実は沖縄も受け入れた島々も多いと思います。ところが、災害救助隊がいつの間にかミサイル部隊に変わっているんですね。受け入れたらそういうことになるよという警鐘を鳴らしていた研究者の方も多かったんですが、結果、そうなってしまっている。そして、こういう、資料の中にも入れましたけれども、住民を守るという災害救助部隊、サンダーバードが、いつの間にか軍隊としての化けの皮が剥がれてしまう、そういうことになってしまう。そして、倉庫だと言っていたものが弾薬庫に変わり、弾薬庫がミサイル庫に変わる。こういった形でいうと、日本の防衛政策は、最初から表で議論をさせないような形で入り込んでいくという、それはある意味では、地元からすればだまし討ちのような、これはパールハーバーかと言われるような感じになってしまっています。そして、その中で、自衛隊のOBの皆さんが、将官クラスがたくさんの本を出されていますけれども、台湾有事の本の中で、国民保護については自衛隊の仕事ではないというふうに書いているんですね。これは私も、沖縄戦を戦った神直道さんという航空参謀、彼が生き残って、こちらで話を、取材したときに、軍は民を守らないというのは本当ですか、そのとおりだと。軍にとって、命令は敵のせん滅であるということです。そして、それが全く同じような形で、自衛隊の将官クラスOBたちが、国民保護は地方自治体の仕事であると言っているんですね。そして今、与那国も含め、石垣、宮古、万が一の際には百隻余りの船が必要になるが、それは事実上困難であるという話になってくる。何日かかるのか、十日かかる、一週間かかるという話で、そんな議論の中で、無理だからシェルターをという話になります。まさにドンバスと同じように、ウクライナと同じようにシェルター生活。じゃ何日続くのかと。どこまでそれは、終わるまでいればいいのかと。今、ウクライナ戦争は一年がたとうとしていますけれども、沖縄はどうなのかという話になります。こういう、国民を守るための戦争なのか、それとも、国民を犠牲にして、何から何を守ろうとしているのか。国体護持のために戦わされたあの戦争を思い出させるような、そんな戦争をやりかねないというところで懸念があるというところをお伝えしておきたいと思います。御質問ありがとうございました。
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。続いて、連合の清水事務局長にお伺いをしたいと思いますが、今国会の議論の中で、本会議の答弁で、また予算委員会でもいろいろ議論になりましたが、産休中にリスキリングという趣旨の岸田総理の発言もきっかけとなって、いろいろな在り方について議論があり、総理の基本認識、政府の基本認識が改めて問われるというような場面もあったんですが、多くの働く子育て世代も連合の中にはいらっしゃるはずです。そういう皆さんの意見を集約をし、環境改善に取り組んでいる立場から、あの発言、そして議論をどのように感じていらっしゃったか、受け止めをお伺いできませんでしょうか。
○清水公述人 連合で、働く現場の女性の皆さんから、あの国会での発言、答弁等を含めて、やはり、産休や育休中に学び直しなどはちょっとできる状況ではありません、そもそも制度の意味を理解されていないのかという、当初は相当、怒りの声が届いたところでございます。産後の休暇については、労働基準法の母性保護の規定によって、産後八週間、原則、働くことができないということになっています。育児休業は子を養育するための休業であって、学び直しに使える時間については、そういった余裕は全くないというのが本音のところの多くの声でございました。また、先ほどもありましたが、男性の育休の取得期間が短いこと、このことも、子育てをする女性への負担が多くなる要因ともなっているということです。固定的な性別役割分担について払拭していく、そういった職場が必要であろうというふうに思っています。加えて、現在、段階的に改正されています育児・介護休業法を職場に定着させること、そのことこそがリスキリングとか様々言われていること以前に行うべきことではないのかというのが、連合としての声の集約での考えでございます。
○渡辺(創)委員 清水公述人にもう一問お伺いをしたいと思うんですが、同じく今国会では、性的少数者の見方をめぐる差別発言がきっかけとなり、法制度の在り方等も議論になりました。また、今日、御意見の中でもありましたが、選択的夫婦別姓等についてもいろいろな声が上がっているところです。連合の皆さんは、多様性を認め合う寛容な社会をつくっていくということは大事だというふうに思われて取組を進めていらっしゃるというふうに思いますけれども、幅広い労働者、いろいろな環境に置かれている労働者の方々を代表する立場で、この議論についても、どうお感じか、お伺いしたいと思います。
○清水公述人 連合は、このことについての、差別発言についてということで国会でも議論になりましたが、かねてから、性的指向あるいは性自認に関する差別については、禁止する法律の制定が必要だということを目指してきました。当事者団体の皆さんともそういった形で連携をして、この間、ずっとやってまいりました。今回の差別発言については、特定の人々にのみ配慮が必要だという、そういう課題として捉えるのではなくて、全ての人の対等や平等、人権の尊重に根差した課題と捉えていただきたいというふうに思います。国際的な潮流にのっとった大きな考えの下、まさに国会での議論を進めていただきたい。また、選択的夫婦別氏制度の導入については、二〇一五年あるいは二〇二一年の最高裁の判決が既に出ております。そこで国会に対して議論を促している、それが判決でございます。しかしながら、これまで、何ら措置について議論がされていない。今回、様々、理解増進も含めて議論されるということですが、国会は真摯に、速やかにやはり立法措置を講ずるべきであろうと三権分立の立場からも促されていることを大事にしていただきたいと思います。
○渡辺(創)委員 最後に、井上公述人にお伺いしたいと思います。私、九州の宮崎ですので、実は朝倉に行ったことがありまして、秋月城址があったり、行った季節にもよったかもしれませんが、桜も大変きれいな町であったと思います。コロナ禍で、本当にいろいろな御苦労があられたかというふうに思うところです。今日、御意見の中でもありましたが、これから宿文化をいかに価値を高めていくか。また、今、インバウンドもどんどん戻ってきています。この宿文化とインバウンドをどう連携させていくか。その辺り、どうお考えかをお伺いしたいというふうに思います。
○井上公述人 ありがとうございます。インバウンド、これから、まだまだということではございますけれども、地方にはいろいろな歴史や文化を持った温泉地や観光地があります。そういったものを今、とかく、コロナ前は、東京、大阪とか名古屋、大都市圏、九州でも福岡は特に集中していたということでございますので、その辺を、もっと情報発信等を、特に国交省さん、観光庁さんと一緒になって広めていって、そして、いろいろな、多言語対応だとか様々な部分で、日本の独特のおもてなしというものを更に見詰め直して、打ち出していきながら、あまねく日本の地方にも足を運んでいただけるような施策を講じていただきながら、我々業界としても頑張っていきたい、そのように思っております。ありがとうございます。
○渡辺(創)委員 これで終わろうと思います。四人の皆様に改めまして感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。

○根本委員長 次に、掘井健智君。

○掘井委員 日本維新の会の掘井健智でございます。公述人の皆様、今日は、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いをいたします。早速、質問に移ります。まずは、前泊先生にお伺いいたします。防衛についてはいろいろなことがありますので、質問していきたいんですけれども、そもそもということで、この後、川上先生にも質問していきたいと思うんですけれども、維新の会は、防衛には強い抑止力が必要、持つということが大事であるということから、この度の政府の防衛力強化については賛成をいたしております。しかし、今日は、いろいろな御意見を聞いて勉強していきたいと思うんです。安全保障関連三文書の一つ、防衛力整備計画におきまして、島嶼防衛用高速滑空弾の配備でありますとか、また、南西地域における補給拠点の整備、これが明記されたと聞きます。これは、沖縄が戦場として想定されておる、こうお考えでしょうか。
○前泊公述人 御質問ありがとうございます。まさに、そういうふうに受け止められるような文書になっていると思っています。南西諸島において補給基地を強化するという、兵たん基地化という話も入っていますし、それから、離島防衛という名目で、離島におけるミサイルの配備、そして、その滑空弾の配備、それから、長距離弾を置こうということで、これまで射程が五百から六百キロぐらいだったものを、一千五百から二千キロぐらいまで延ばしていこうという話までされています。ということは、敵基地攻撃までできるような拠点に南西諸島を位置づけようとしているかのような文書になっているというふうに思っています。
○掘井委員 続いて、川上先生にお伺いをいたします。先生から現状認識のお話がありました。予算委員会の総理の答弁では、台湾有事は日本の有事である可能性がある、こういうことを政府は思っておるということが明らかになったわけであります。川上先生が考えるシナリオ、これは先生が寄稿した文書を読んだんですけれども、アメリカは台湾を国連に加盟申請させる、中国はそれを絶対受け入れない、中国は台湾周辺に排他的地域を設定し、入ってくる者を攻撃するだろう、つまり局地戦になる、そしてアメリカが軍事介入をして中国の弱体化を図っていく、こういうことであります。言い方を変えれば、台湾を使って中国を戦争に引きずり込もうという、こういう戦略ということであります。そうであれば、我が国は、まさにアメリカの軍事的影響に直面しているわけであります。安保法制、存立の危機を議論するまでもなく、沖縄の米軍基地が攻撃されるということは、自衛権の発動になります。ここまで想定することが現実なのか、先生の御所見をいま一度聞きたいと思います。
○川上公述人 どうも、貴重なこれも御質問ありがとうございます。もちろんそうなると私は思っております。いろいろなシナリオ、例えば、日本以外に、ランド研究所、私も見たわけなんですが、いろいろなポリミリゲーム、シナリオの一環として、必ず、もちろん日本は有事になるという想定がございまして、危機管理というのは最悪の場合を想定して行わなければいけない、それに対する防衛力の整備であって、そういうシナリオは当然あるわけで、そのうちのどのシナリオになっても、我が国が本土防衛をし、かつ、国民保護をしなくちゃいけないというのは、これは変わらないところでございます。先生御指摘の、私の学会でやったシナリオなんですけれども、これは、台湾が国連加盟をするという具合な国連演説を蔡英文がやり、そこから中国側が六地域において軍事的な演習をしながら、いわゆる封鎖を行っていくというところから上がっていくわけなんですが、このシナリオの立て方、何を見たいかというところで、今回のシナリオの場合には、いかに日本政府が戦争を回避することができるのかというところを先生方にやっていただきたく行ったシナリオであり、恐らく、いろいろなシナリオがあって、軍事的なシナリオ、ウォーゲームであれば、これはもう戦争に突入するんだという前提でありますので、突入いたします。そうしますと、先生の御質問の、もちろん我が国は有事になりますので戦わざるを得ない。そのときにはアメリカ主導の、今、ヤマサクラとか、いろいろなところでやっていますけれども、そういうふうなシナリオに沿って当然ながら展開するということになりますので、どの段階で政治家の皆さんが戦争を回避できるのか、いや、できなかった場合にはどういう具合に対処しながら国民保護を行わなくちゃいけないか、これは、本当にそういう局面の直前になっていると思います。以上でございます。
○掘井委員 今、戦争回避の話がありました。岸田総理が予算委員会で答弁されております。まず、積極的な外交を展開することによって我が国にとって好ましい国際環境を実現していくことが基本であって、そうした強力な外交には、我が国は自らの国を守れるんだという防衛力というものの裏づけもなければならないということで、防衛力を根本的に強化する、こう述べられております。防衛力の位置づけは、そのとおりだと思っております。川上先生、前泊先生、両公述人に質問したいと思います。これは、まずは外交が大事だと思っておるんですね。日本は経済の安定を基礎として、やはり日中の信頼関係を構築して紛争の予防に努めなければいけないとは思っております。日本の外交の可能性について、お二人の先生方の御所見を伺いたいと思います。
○川上公述人 これも一番肝になる質問だと思います。かつて、日本というのは、戦争に入る前、例えば日露、日清戦争、それからアメリカとの戦争もそうなんですが、バックチャネルがあって、やはり戦争をするというか、抑止力を働かせる、裏側では平和外交というのを展開したわけなんですが、今の岸田総理には、そういうふうなバックチャネル、若しくは積極的に対話をする、特に信頼醸成措置、若しくは我々学者との対話、これを積極的になさっている節がどうも少ないような気がいたしております。それはそれでやるべきであり、一方では抑止力を強化する、これが非常に必要だと思っている次第でございます。そういう意味で外交力。総理がなさっている外交的な積極的外交、これは立派なんですが、やはり抑止力を強化するという意味での外交力でございますので、その一方で、やはり信頼醸成を発揮する外交力が必要じゃないかと思っている次第でございます。以上です。
○前泊公述人 外交については、まずマンパワーの問題も指摘をされるのではないかと思います。日本の外交官の数、私が押さえているのはちょっと古いデータですが、五千人ほどですね。それに対して、中国は八千人、あるいンスだと一万人、そしてアメリカは二万四千人という数字を聞いたことがありますけれども、その中からすると、やはりマンパワーを、外交官をもっと増やした方がよいのではないか。外務省の勉強会でそれを言うと、先生、これは数ではなく質ですよという話をされていましたけれども、その質が伴った上で、もちろん数が必要だと思いますけれども、圧倒的にやはりマンパワーが足りない。それから、在外公館の数でも、中国に圧倒的に今もう凌駕されています。数的なものがやはり情報収集力につながってきますし、その現地の情報をしっかり取れるかどうか。これは企業外交も含めて、これまで日本は積極的にそれを展開をしてきたんですけれども、その部分がちょっと弱いような気がします。是非、マンパワーも含めて、外交官の数、在外公館の数も増やして、その中で、きちんとした情報収集をした上で外交を展開していただければというふうに思っています。
○掘井委員 先生方の御所見を伺って、国会の議論を深めていきたいと思っております。次に、清水公述人にお伺いをしたいと思います。今日は賃金のお話がありましたけれども、賃金が上がらないのに、企業の内部留保や役員の報酬が増えていると言われております。そして、日本の企業の利益は、本業の売上げを増やすことだけではなくて、人件費の削減、法人税減税などによってこれがまた生み出されておって、そういった利益は、金融投資、海外投資、外に向けてお金が行っている。その一方で、従業員給付の削減であるとか、法人税が減税と抱き合わせになって消費税が上がったということで、消費意欲も減ってきて国内市場が縮小した、だから企業は逆に外に向かって、海外に向かっていく、こういうことが構造化になっているのかなというようなお話があります。こういうことについて、是非御所見を伺いたいと思います。
○清水公述人 この間の、いわゆるデフレ、あるいは賃金が上がらないという大きな部分で、先生おっしゃるとおり、人への投資であったりとか賃金にその分が回っていない。特に、一番大きいのは、一定程度、様々な内部留保の中でも、設備投資であるとか、そういったものは次へのチャレンジの上でも必要だという部分は私たちもよく分かるんです。この間、やはり株主への配当、こういったところが非常に多く配当されているということ、こういったところが、やはり賃金に回らない、お金が外へ出ていってしまっているということに、金融課税についても先ほど申し上げましたが、そういったところにしっかりと課税していくのも必要じゃないかと。かつて、保育の産業に多くの企業が参画できるようになったときに、国からの補助金は、当初は、何割は人件費に回しなさいということでスタートしたにもかかわらず、あるときからその規制が外れて、そこから企業がどこへ持っていったかというと、配当に持っていってしまった。それで人件費に回らずに、今の厳しい保育の人たちの状況がある。そういったことが構造的に行われてきたのが、この間の、賃金も含めた、日本経済が回らないというか、そこにお金が行っていなかったことの原因であろうというふうに思っております。以上です。
○掘井委員 ありがとうございます。賃金を上げるということは、一つは金融政策、また一つは政治の力、制度改革であるとか補助であるとか、もう一つはやはり現場の力だと思いますので、是非頑張っていただきたいなと思っております。同じく清水公述人にお伺いしたいと思うんです。我々維新の会は、労働市場全体の生産性と賃金水準の向上を実現していくために、就労意欲の向上と雇用の流動化が必要であると思っております。まず一つは、税額控除あるいはベーシックインカムの導入によって、ある程度最低生活を確保することで、これは就労意欲につながるのではないかな、こう考えております。これに対していかがでしょうかということと、もう一点、これまで、新卒一括採用、また終身雇用の中で、若い労働者の意識もだんだん変わってきたように思っております。そういった中で、労働移動時のセーフティーネットをつくって、柔軟性と安全性の高い社会を我々は目指しているわけでありますけれども、そのために労働市場の流動化を考えておるんですけれども、この雇用の流動化について、是非御所見を伺いたいと思います。御意見で結構です。
○清水公述人 幾つかございましたが、まず、ベーシックインカムについてでございますけれども、ベーシックインカムについては、全国民に同額の現金給付を行う案や、あるいは、最低限の給付を行いつつ個別の制度による給付も行うなど、様々な考え方があって、共通認識が図られているとはなかなか言い難いところがあろうかと思います。他方、障害や傷病、あるいは高齢、シングルペアレント等の課題にそれぞれ対応した支援については、引き続き重要であるということはございますので、ベーシックインカムについて検討するのであれば、現在の各種制度の見直しにつながるということ、あるいは、巨額の財源をいかに確保するのかということを含めて、広く国民的な議論が必要かと思います。労働の円滑な移動についてですが、これについては、企業間あるいは産業間での失業なき労働移動、そういった円滑化に向けた指針について、本年六月までに政府が取りまとめるというふうに言っております。能力を開発することとか人材を育成すること、また、雇用の質の向上に軸足を置く、そういった政策が行われる上で労働移動について考えるのであればいいんですが、労働移動だけが目的化するようなことがないようにしていただきたいなというふうに思っています。労働者のための政策というのであれば、まず労働者の意見を十分に聞いていただいた上で政策について御議論いただければと思います。維新の皆さんの方から、労働の円滑化、移動について様々なお考えがあることは私も十分承知をしておりますので、是非私たちの声も聞いていただければと思います。以上でございます。
○掘井委員 終わりますけれども、清水会長にも本当は質問があったんですけれども、是非、五類になったので、これからインバウンドも、内需も期待できると思いますので、頑張っていただきたいな、このように思っております。時間が来ました。公述人の皆さん、本日は誠にありがとうございました。

○根本委員長 次に、斎藤アレックス君。

○斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。公述人の皆様、本日は誠にありがとうございます。ちょっと時間が限られていまして、皆様に質問が行き届かない可能性もございますけれども、どうか御容赦をいただきたいと思います。続きになりまして恐縮ですけれども、連合の清水事務局長に何点かお伺いをさせていただきたいと思います。今、春闘の真っただ中で、大変お忙しい中、本日もお越しいただき、ありがとうございます。我々国民民主党、この国会、賃上げ実現国会にしなければならないということで、国会、予算委員会が今主に開かれていますけれども、この場でも様々な賃上げ政策についてお話をさせていただいております。やはりそういった意味でも、この春闘での取組というものが日本の労働界全体にとって、経済にとってとても重要だと我々も考えているんですけれども、改めてになりますけれども、この春闘が、これまでの春闘に比べてどういった意味を持っているのか、なぜ重要なのか、あるいは、この春闘でどういったことを実現をされたいのか、その決意のようなものを是非お聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○清水公述人 二〇二三の春季生活闘争、先生おっしゃるように、今まさに真っただ中でございます。二月の末に、それぞれの産別あるいは単組、企業内労働組合が要求書を提出し、三月の中旬頃に山場の回答ということになっています。今回、連合としても、五%程度の賃金の引上げをということを求めました。これは単純に物価高に見合う分の賃上げのパーセントを提示したのではなく、二〇一四年から地道に三%を超える要求を出し、二%や二%弱の賃金引上げをかち取ってきた。その継続の上に立って、その上に立って、今期春季生活闘争においては、物価高の分もありますが、まさに三十年伸びなかった賃金を、ステージを変えることによって、今年だけで終わりではなく、来年も再来年も含めて賃金の引上げ、それによって適正な物価高、適正な賃金引上げ、適正に経済が回る、そういったことを私たちは求める、その一番根本的なステージを変えていこうということが、一番の今回の春季生活闘争の目標というか、目的でございます。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。まさにこの三十年間の賃金低迷、そして経済低迷を打破するための大切な春闘、そして大切な国会だと考えておりますので、是非、政労使連携をしながら賃上げ実現に取り組んでいきたいと思っております。その賃上げに関連した質問になるんですけれども、先ほど、中小企業とそしてパート労働者の賃上げが重要だというお話がございました。このパート労働者の賃金をどう上げていくかというところに関して、少し御意見であったりとか方向性、ありましたらお伺いをできればと思うんですけれども、事務局長、いかがでしょうか。
○清水公述人 正規雇用の個々の賃金、これが非常に引き上がっていくことが大事だということが一点。もう一つ、今お話があったいわゆる非正規、パートタイマーであったり派遣であったり、様々な形での働いている方たち、その方たちの給与が上がっていくことが大事だ。この間、最低賃金等についても、毎年確実に積み上げていっています。私たちは、誰でもどこでも千円の最低賃金をということを連合はずっとお話をしてきました。各政党も、選挙のときには、千円どころか、千五百円というような公約も出していただいているところがありますが、是非そういったことに向けて、今現在は東京と神奈川と大阪だけが千円を最低賃金は超えていますが、実は全都道府県を見ると格差が、やはり都市部と地方というか、その格差が縮まっていないところがあるので、そこを一つ一つ縮めていくことが大事だということであります。全国の、やはりパートもそうですし、中小企業の、七割が中小企業で働く皆さん方ですので、そのパートの部分、パートタイマーの最低賃金を引き上げることも、中小企業の引上げにもつながっていく。経営者の皆さんはなかなか厳しいというふうにおっしゃいますが、日本商工会議所の方も、この間、最低賃金のことでは若干意見のところでもめるところがありましたが、今回は一つにしてやっていこうということで、二〇一七年以来のトップ同士の懇談もさせていただきました。是非、中小企業の皆さん方、そこで働くパートタイマーの皆さん方の賃上げに続くような、そういった形を国会においても環境整備をお願いしたいなというふうに思っております。以上でございます。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。おっしゃるように、非正規の方々が正規になって働いていくということももちろん重要なんですけれども、今やはり必要なこととしては、パートタイマーの方々にも賃上げをしっかりと享受をしていただくということだと思いますので、最低賃金の引上げ、そして一律の引上げということは、我々国民民主党も繰り返しこの国会でも取り上げておりますので、しっかりと実現をさせていただきたいと考えております。また、清水事務局長にもう一つお伺いをさせていただきたいんですけれども、少し賃上げから離れないかもしれないんですけれども、子育て支援の所得制限の撤廃の件に関してでございます。こちらは、民主党時代に、子ども手当として、所得制限がない子育て支援が一つ実現したことはあったんですけれども、その後、巻き戻ってしまいまして、今、子育て支援施策、様々あるけれども、所得制限がかかっていて、ある所得を超えるとその支援が受けられない、そういった状況がこの日本の現実でございます。様々な意見がありまして、高所得者、富裕層には支援が必要ないということをおっしゃる議員の方もいらっしゃいますけれども、そもそもこの所得制限の水準というのは、その所得制限を超えても決して富裕層とは言えない水準になっていますので、その部分はちょっとおかしいのではないかなと思うんですけれども、事務局長にお伺いをしたいのは、所得制限を撤廃することがなぜ必要なのか、所得制限というものはなぜない方がいいのか、そのことについて連合さんのお立場をお聞かせいただければというふうに思います。
○清水公述人 この間、働く者の立場から見て、パートタイマー、あるいは、それぞれの家庭で主たる生計を担う者と、それからパートタイマー等で家計を助けるというような形で働く、そのことが、いわゆる一つの家庭のモデルとしてつくられてきました。夫婦であり、一人が働き、一人が未就労で扶養手当を受ける、そして子供が二人。既に、もうその形の家庭制度が第一番ではなくて、家庭の在り方についても、お二人で家庭を築かれている方、お子さんが一人というのが、もうほとんどでございます。そういう形であれば、そもそもの、根本の議論が国会でも必要なのではないか。そのことが、今回の所得制限のところ、いわゆる女性の就労を進めるためにもこのことを撤廃した方がいいという意見もありますし、この間、産後、扶養手当も含めて築き上げてきた、大事にしてきた、高度成長の中で大事にしてきたこの制度を単純に外してしまうだけでは、逆に増税になってしまったりとか様々な議論があるので、ここは慎重に議論もしながら、そこについての議論は大きくやっていくべきだということで、連合も、実はこのことについては現在PTを立ち上げて、五月に一定の見解をまとめようと思っています。かなり大胆な議論をしておりますので、是非、国会の中でも、各政党においても御議論いただければというふうに思っております。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。夫が正規雇用で働いて奥様はパートで働くという、これまで日本の政治システムが前提としてきたモデル家庭というのは、既に多数派ではなくなってしまっている。その働き方、家庭の在り方の変化に応じて、社会保険であったり社会のシステムを変えていかなければならないということは、これはもう本当におっしゃるとおりでございますので、社会保険改革など、なかなか国会での議論が進んでいないところがございますけれども、また、中身に関してはやはりいろいろな意見があって難しいところはあると思いますが、しっかりと連合さんのPTの御意見も伺いながら検討を政治の方で進めていければというふうに考えております。事務局長、ありがとうございました。次に、外交安全保障について、一点、二点、御質問をさせていただければと考えております。台湾有事の話が本日は何点かありました。川上先生からも、また前泊先生からもありました。安全保障の在り方、防衛力の在り方については様々な議論があって、一致できない点も多いと思うんですけれども、日本の安全保障にとって最も重要なのが戦争回避であるということは、これはこの部屋にいらっしゃる方、どなたも一致ができるところだと思います。その戦争を回避するための手段が、それぞれ様々な意見があるということだと思います。先ほど、少し外交のお話なども既にあって、かぶることはあると思うんですけれども、川上先生と前泊先生にそれぞれお伺いしたいんですけれども、台湾有事を回避するためのキーとなる、あるいは鍵となる取組、それはそれぞれ何であると考えていらっしゃるのか、川上先生、前泊先生の順にお答えいただければと思います。
○川上公述人 防衛省それから我々学会の方でコストインポージングストラテジーという言葉がここ数年間出ておりまして、つまり、もし中国が台湾を侵攻した場合にはそれ以上のコストがかかるというような戦略を打ち立てながら、ここ数年間やってきたというふうなことがございます。それの一環として、アメリカの戦略のパシフィック・ディターレンス・イニシアチブに従って中距離弾道ミサイルは展開している、抑止力。それで、核戦略のものも一つある。それから、スタビリティー・インスタビリティー・パラドックス、つまり、核戦略がしっかりしていれば、その下の通常戦力はしっかりするんだけれども、ここが揺らいでしまった場合には侵攻がしやすくなる、そういうふうないろいろな戦略環境上の変化がございまして、その中で台湾海峡の危機というのは目の前に来ているわけで、それをどう回避するか。これは二点あると思います。一点目は、今申し上げたように、そういうふうな抑止力を強化する、これはやっております。二点目の、何回か申し上げましたように、信頼醸成措置、相手の脅威を下げる。これは具体的に、例えば、かつて冷戦時代にホットラインを設けるとかいろいろなこともやりましたが、そういうふうな偶発的に戦争が勃発するシナリオ、例えば海南島の事件があって、米軍の偵察機と中国の戦闘機が衝突して、その後に海南島にアメリカの偵察機が着陸して、というふうなことがございます。ここから偶発的に上がるシナリオは十分考え得るわけでございまして、そういうときにどうするかというふうなものであるとか、それから、尖閣をめぐる問題、今日は余り論議になっておりませんが、当然ながら同時並行的に起こります。それから、北朝鮮の韓国に対する侵攻、これも当然ながら起こる可能性はあります。そういうところの危機に対していかに回避するかというふうな、いわゆるありていな言葉で言うと信頼醸成措置であり、そういう対話であり、そういうふうなことをやらなくてはいけない。それからもう一つは、グローバリズムが進展しているわけでありますので、一回そのグローバリズムにどう戻して平和というものを構築するのか。そういうふうな、やはりもう一つ根底から考え直す我が国の総合的な安全保障政策が必要かと思うわけでございます。以上です。
○前泊公述人 御指名ありがとうございます。今日の資料におつけした、これは朝日新聞の記事なんですけれども、一九五八年、第二次台湾海峡危機の際に、アメリカが中国を核威嚇をしているんですね。核威嚇をすることによって、海峡封鎖の場合には主要都市を核攻撃しますということで脅すんですね。それに対して旧ソ連のフルシチョフ第一書記が、その場合には我々もあらゆる手段で報復をする、そういうことがあって、その際に核攻撃を思いとどまるかと思ったら、何とアメリカは、その場合には我々は台湾と沖縄を失うことになるという、つまり、核攻撃も辞さずという判断をしていたことが明らかになっているわけですね。このエルズバーグ氏の証言を基にすると、アメリカだけに任せておいては、我々は台湾も沖縄も失うことになるということになります。日本として独自に外交を展開することによって、アジアにおける有事を起こさせないためには何が必要か。私は、非常に大きな話でいうと、アジアは一つのチームをつくるべきだと思っています。EUがあるようにAUをつくってほしい。これは何度も言いますけれども、そういう形で、アジア人の手によってアジア人の血は一滴たりとも流さない、そういうことが必要ではないかと思っています。それからもう一つは、フェイクニュースに踊らされないようにアジアで共通のメディアを一つつくっていく、そのことによって常にファクトとエビデンスに基づく判断ができるようにする、これが非常に重要なことではないかというふうに思っています。そういうことでいうと、台湾有事は、今、独立の動きがあれば武力攻撃を辞さずという、習近平体制、シー・チンピン体制は言っています。そういうことでいうと、独立ということを議論させないというところが一つの回避策。これはもちろん、七二ですかね、合意があるようですけれども。あと、もう一つは内乱、そしてもう一つが外部からの介入ですね。このいわゆる独立と内乱と外部介入、この三つが武力攻撃を惹起する要件というふうになっています。この三つをまずはこの間は起こさないこと。なのに、日本が今、ミサイル防衛という形で外部から介入をしている、そういう状況であれば、むしろ、有事を日本が招きかねないような環境をつくっているような印象も受けます。この三つの基本を押さえた上で、日本側として判断をしっかりしてほしいと思っています。以上です。
○斎藤(ア)委員 皆様、本当にありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○根本委員長 次に、宮本徹君。

○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。今日は、お忙しい中、四人の公述人の皆様、大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。川上公述人と前泊公述人から、バイデン政権に追従する日本の政府の下で、アメリカの戦争に巻き込まれるリスクが高まっているというお話がございました。これは、与党、野党、双方の推薦の公述人からそういうお話が出ているということを私たちは本当に重く受け止めて、絶対に戦争にしてはならない、こういうことが必要だと思います。それで、まず前泊公述人にお伺いしたいと思いますが、岸田政権は敵基地攻撃能力の保有や南西地域の軍事体制の抜本的な強化に踏み切ろうとしておりますが、政府は、その論拠として、軍事力の強化によって武力攻撃の可能性を低下させることができるという考え方をしているわけですね。こうした政府の主張についてはどうお考えでしょうか。
○前泊公述人 御質問ありがとうございます。軍拡というのは、新たな軍拡を招きます。四十三兆円の軍事費の増額というものが、日本だけが増額をしていくわけではない、仮想敵とされた相手国はそれを上回る軍拡をしてくる可能性があります。そういうチキンレースに、日本がまずそれをしかけているかのような印象を受けますね。このままいけばどんどん軍拡がアジアにおいて拡大をしていく危険性があるというところでは、むしろ軍縮に向けた動きを外交として動くべきではないかというふうに思っています。
○宮本(徹)委員 加えて前泊公述人にお伺いしたいと思いますが、今、岸田政権が進めている軍拡路線、筆頭に対中国を挙げているわけですけれども、これが日中の経済関係に与える影響というのはどうお考えでしょうか。
○前泊公述人 私も大学では経済を教えていますけれども、中国と日本の関係の数字を見ると、取引額を見ると、一九九〇年までは中国の比率は六・四%です。アメリカが二七・四%を占めていました。輸出入額総額に占める割合ですね。一方で、二〇二〇年に入りますと、中国は今、二五%の取引額。アメリカが一四%。二〇二一年です。これだけ依存度が高まっている国と有事を構えるということがどれだけ大変なことか。これは福田元首相とお話をした際に、中国の脅威論をかなり強調するけれどもなぜだと言ったら、日本の首相として中国脅威論を言わない人はいないという話をしていました。辞められた後、今もそう思いますかとお聞きしましたら、辞めた後まで中国脅威論を言うばかはいないとおっしゃっていました。そういうことでいうと、中国に対する政治的パフォーマンスの中でこういうつき合いをすべきではないと思いますね。これだけ経済的な連携が強まっている中で、軍事的な問題だけを議論することの愚かさというものをしっかりと押さえて、経済的な部分での議論もしっかりとしていただきたいと国民的には思っています。以上です。
○宮本(徹)委員 ありがとうございます。更に前泊公述人にお伺いしますけれども、一昨年三月にアメリカのインド太平洋軍の司令官が、六年以内に中国は台湾に侵攻するかもしれないという発言をして、それ以降、日本国内でも、この委員会室でもそうですけれども、台湾有事は日本有事だ、こういう議論が繰り返されているわけですけれども、こうしたアメリカの司令官だとかあるいは日本の政治家の発言について、どうお考えでしょうか。
○前泊公述人 重ねての質問、ありがとうございます。軍人が発言をするというのは、軍事的な利権に伴う発言であるということですね。では、そうでない方たちの発言はどうなのか。今、国内においても、コメントをする方たち、防衛研究所の方が多いんですけれども、軍事的な分野からの発言が増えてくれば、当然その危機感は高まることになります。日本は外交官はどこに行ってしまったのかとありますけれども、アメリカに行きますと、国防総省と国務省では見解が違います。そういうところでいうと、違う発言のことについて、アメリカからの発言もしっかりとヒアリングをするべきだというふうに思っています。もちろん軍人たちはリタイア後の就職先も考えますから、そういう意味では、軍事的な脅威をあおることによって軍事的な有効需要が創出をされて、そこで仕事が生まれていくことになると思います。七十兆円、八十兆円ものお金を国防費に充てているアメリカからすれば、これはまさにアイゼンハワー大統領が懸念したとおりでありますけれども、軍産複合体の持つ危険性、そこに、最近は軍産官学複合体、そして最近はメディアも加えて軍産官学報複合体がこういう軍事的なものをむしろあおっているような印象すら受けます。ここにどう歯止めをかけるかも、この予算委員会の中で議論をしていただければと思います。
○宮本(徹)委員 川上公述人と前泊公述人、お二人にお伺いしたいと思うんですけれども、バイデン政権の戦略にどこまでも追従していくと、日本が米中対立の中で本当に戦争に巻き込まれるリスクというのはどんどん高まるということになっていくと思うんですね。そういう点でいえば、アメリカ追従ではなくて、日本が自主的な平和外交を行っていく、そして、米中双方に対して自主的に言うべきことをしっかり言っていく、こういうスタンスでの外交が必要だと考えるんですけれども、お二人の御意見をお伺いしたいと思います。
○川上公述人 先生御指摘のとおりだと私も思います。一番目。それから、二番目は、しかしながら、脅威というのはどんどん増している。つまり、相対的にアメリカのアセット並びに抑止力が減じている。一番目。それから、中国の脅威に増して、中国とロシアが一体化しながら、現在は日本の国の周りをお互いに偵察機を飛ばしている、さらには、ロシアは核魚雷の潜水艦を持ち、脅威は増えているわけでございますので、先ほどの前泊先生のお話なんですが、軍拡、こういうセキュリティージレンマは回避すべきで、軍縮に向かうべきなんですが、そこの過程において、軍備管理という言葉があるんですね。だから、相手の脅威に同じぐらいのこちらはパワーを持って対峙してから、そこから先に軍縮に向かう、この過程が非常に重要でありまして、その過程と、プラス、やはり日本と中国の独自の話合い、これも必要であると思っている次第でございます。
○前泊公述人 川上先生の御意見に私も賛成ですけれども、ただ、軍拡に行かないように、日本がまた軍拡をすれば、当然軍拡が進むということですので、そうならないようにしてほしいと思います。沖縄から見ていると、日本の政治家でしっかりとアメリカに物言える政治家がどれだけいるんだろうかというのが常に気になるところです。例えば、冒頭にもちょっと紹介しました、普天間第二小学校で米軍ヘリが窓枠を落下させるという事故が起きました。その際に、その上を飛ばないようにと当時の安倍首相や菅官房長官がお願いをしましたけれども、アメリカは聞いてくれなかったんですね。聞いてくれなかったので、日本ができたのは、シェルターを造って守ってあげるという、こんな対応です。果たして、日米関係というのは、上下関係がまだ抜けていないのか、あるいは敗戦国のままなのかどうかというのがあります。これは地位協定の問題でも、岩屋先生が改定案を作られましたけれども、その際にアメリカにしっかりと伝えておけば、コロナの感染も防げたのではないかというところがあります。アメリカ軍基地から入り込んできたオミクロン株が米軍基地があるところから広がっていった経緯もあります。あのときに、岩屋先生たちが作られた、出入国については国内法を適用するというところができていれば、この悲劇は減らせたかもしれないという思いがあります。是非、岩屋先生にも、改めて地位協定の問題についても議論をしていただけるようにお願いをしておきたいと思いますけれども、物言える関係を是非アメリカとの間につくっていただければと思います。
○宮本(徹)委員 ありがとうございます。前泊公述人、今日は沖縄から来ていただいていますので、沖縄に関わってお伺いしたいと思いますが、政府は、自衛隊の抗堪性を高めるとして、司令部の地下化を進めていくということになっているわけですね。来年度予算では、陸上自衛隊の那覇駐屯地などでも司令部の地下化に着手しようとしているわけですけれども、こうした動きについてはどうお考えでしょうか。
○前泊公述人 これも、新聞記者時代は見せてもらえなかった施設が記者を辞めると見せていただけるというのがあるんですけれども、いわゆるオフレコの中で出てくる情報というのがいかに確度が高いかというのもありますけれども、那覇基地の中で既にそういうものはあるのではないかという話もあります。それから、これは歴代沖縄の総領事にお願いしたことがありますけれども、普天間基地のある一部の施設、穴があって、そこから米兵が湧いてくる穴があるという話を聞かされたことがあります。これは沖縄国際大学の校舎からは見えるんですけれども、その穴は何かということでフェイスブックで出しましたら、核シェルターだという話を聞きました。当然、嘉手納基地や普天間基地にはシェルターがあるという話を聞いていますけれども、これについては、私、歴代沖縄の総領事に、その穴は埋めてほしいということをお願いしました。有事の際になぜアメリカ軍だけが生き残るのか、県民はどういうことになるのかと。そういう意味では、同じように、穴のない形で百四十六万人がいるわけですから、それを守れるような安全保障政策は、もう外交で片づけるしかない。有事になったときの犠牲といったものが、どれぐらいの犠牲が出るかという試算まで含めて、むしろ出していただきたいというふうに思っています。今日おつけしてある資料の中に、アメリカの資料ですけれども、ジョンズ・ホプキンス大学は、朝鮮有事の際にどれだけ犠牲者が出るかという数字を出しています。なぜこれが防衛政策の中で日本では出てこないのか。台湾有事における国民の犠牲者数をしっかりと出した上で議論をしていただきたいというふうに思っています。以上です。
○宮本(徹)委員 ありがとうございます。続きまして、清水公述人にお伺いしたいと思います。今、春闘を迎えているわけですけれども、非正規の皆さんの賃金というのは、最低賃金にも大きく左右される面があるわけですね。フランスなんかは、物価が上がれば自動的に最低賃金は上がって、何回も去年は最低賃金が上がっているわけですけれども、日本の最低賃金が上がるのは、慣例的には年に一回ということで、十月に上がった最低賃金では足下の物価上昇率にも追いついていない状況ということになっています。こういうことを考えた場合には、国ができる賃上げ支援として、最低賃金の再改定をしていく、もちろん、そのためには、中小企業の皆さん、大変体力の心配がありますから、社会保険料の軽減だとか、そういうことと併せてということを考えなければいけないと思いますけれども、こうした最低賃金、年に一回だけじゃなくて、物価高騰局面では再改定、複数改定、こういうことも必要なんじゃないかと思いますけれども、その点、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○清水公述人 最低賃金については、最低賃金法という法律に定められてできております。定める三要素ということで、地域の労働者の賃金、地域の労働者の生計費、それから通常の事業の支払い能力、これに関わって総合勘案して決定すべきということで、まさに、五月過ぎから丁寧な議論を積み重ねて、七月に向けて、労使そして学者の皆様に入っていただいて決めていくということでございます。ですから、地域の最低賃金については、生存権を確保した上で、労働の対価としてふさわしいナショナルミニマムの水準へ引き上げることが直近必要であろうということで、先ほど申し上げましたが、連合が、誰でもが時給千円ということ、今、欧米などではもう既に千五百円、二千円という状況でございますから、そこを一つの通過点に、早く到達することが大事ではないかなというふうに思っています。高校の初任給などについても、いわゆる最低賃金に当たる、時給ベースでいえば千円を超えたところに到達するような高校の初任給のレベルにしていくことが必要ではないかというふうに思っています。最後に、もう一点。地域別最低賃金の地域間格差、先ほど申し上げましたが、A、B、C、D、特にC、Dのランクの幅が広がり過ぎていますので、そこの底上げにつながるような地方への手当て、これについて国でも御議論いただければというふうに思っております。以上です。
○宮本(徹)委員 時間になってしまいました。井上公述人に質問できずに済みませんでした。終わります。

○根本委員長 次に、緒方林太郎君。

○緒方委員 今日、十五分、よろしくお願いいたします。まず、井上公述人にお伺いをさせていただきたいと思います。これから全旅連の会長として是非頑張っていただければと思います。我が福岡県からということでありまして、私、原鶴温泉、大好きであります。人口減少と相まって、やはりこれからインバウンドの大事さというのが出てくると思います。そういった中、高付加価値の事業を使って、それぞれの地域が本当に付加価値が上がる観光産業をつくっていただきたいと思うわけでありますが、私自身、やはり伝統的な日本というのをアピールするということが重要なのではないかと。全国、金太郎あめではなくて、一律ではない。そういったインバウンドの今後の方向性についていかがお考えか、お聞かせいただければと思います。
○井上公述人 緒方先生、ありがとうございます。やはり、インバウンドと一言で言っても、コロナ前は本当に、例えば中国からのクルーズ船、私ども、特に九州では福岡を中心にたくさんの、もう横浜を抜くぐらいのたくさんの訪日の、中国の、外国人の方が来ておりました。よくそのときに言われた言葉が、爆買いとか、どっちかというと、宿とか日本のそういったお店には落とさずに、量販店で例えば家電製品を買う、あるいはお薬を買う、そういったようなのが散見されるかと思います。これから、インバウンドの取組としては、やはり、当然、東京、大阪、名古屋を中心の、大都市圏に人が入ってくる中で、地方に、岩屋先生の別府もそうですけれども、行っていただきたい。ただ、よく観光庁さんとも話しているのは、これからのインバウンドの皆様のいわゆる日本に落とすお金、そういったものを、付加価値を上げていきながら、例えば、今まで一万円、二万円の宿泊単価を三万円、五万円に上げていくとか、あるいは、それ以上に、先ほどの外資系のホテルの話、日本の旅館をしていこうとかいう話とか、あるいは、星野リゾートさんとかが新しいブランディングをして五万、十万のお宿を造るとかということで、今動きがあっております。そういった意味では、これからは、量より質といいますか、そういった形で、インバウンドの皆さんも余計日本に、若干、為替の影響でまだ中国は本格的回復じゃございませんが、台湾とかあるいはタイ、そういった東南アジアの皆様方も来ていただいて、いろいろな形で日本にお金を落としていただいております。稼ぐ力、そして、訪日外国人のインバウンドのお客様からより一層のお金を落としていただくような取組をしていければ、そういうふうに思っております。ありがとうございます。
○緒方委員 それでは、続きまして、清水公述人にお伺いをさせていただければと思います。私、いつも、連合の政策を見る中で、そろそろ改定した方がいいのではないかと思うものがございまして、それがエネルギー政策であります 二〇一二年に当時の南雲事務局長がつくられたエネルギー政策、あれは私はすごくよくできていたと思うんですね。ただ、その後、いろいろな事情の変更もありました。十一年たっておりますので、連合として、エネルギー政策の変更を、変更というか改定をすべきではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○清水公述人 連合としては、東日本大震災が起こった次の年にエネルギー政策について一定まとめて、現在もそれに基づいて方針を決めておるところでございます。おっしゃるとおり、現在のエネルギーの状況については様々な御意見がございます。特に今、GXの実行会議、うちの芳野会長も出させていただいていますが、エネルギーの安定供給の確保を大前提とした、GXに向けた脱炭素の取組が議論されております。その際にも会長の方から申し上げさせていただきましたが、中長期的には、再生可能エネルギーの主力電源化等に向けた投資を拡大するということが基本であろう、短期的には、やはり、現下の厳しいエネルギー逼迫状況から国民生活を守ること、あるいは産業を守るため、そのために国が前面に立ち、安全性を大前提に、Sプラス三E、これを堅持した上で、安定的で安価なエネルギー供給の確保、こういったものが重要だというのが現在の連合としての考え方でございます。見直すかどうかについては、今のGXの会議のありようも含めて、各産別の御意見も伺いながら検討していきたいと思います。
○緒方委員 ありがとうございました。もう一問、清水公述人にお伺いをさせていただきたいと思います。学校の先生だったということもありまして、私がずっと最近気になっております給特法の件でございます。かつて、制度ができたときというのは、多分、学校の先生に報いるという意味合いがあったんじゃないかと思いますが、今、四%払ったら働かせ放題という、何かブラック企業のツールになっているんじゃないかという気がいたします。思いをお聞かせいただければと思います。
○清水公述人 私は十九年間学校現場におりましたので、ありがとうございます。給特法については、全体の労基法の罰則規定が入ったことを含めて、いわゆる働き方改革の中で、学校の働き方改革ということも議論されました。その中で、先生御指摘の給特法について改正が行われました。改正が行われたことによって、在校等時間という時間の管理、これについてしっかりやっていこうということで、一定程度、それを一月四十五時間で収めよ、そういったことが図られたということは、給特法の改正が行われたことでプラスであったかというふうに思っております。ただ、じゃ、教員の時間外労働の改善はどうなっているかというと、中学校の部活動であるとか、あるいは高校もそうですけれども、部活動の問題、それが全くなくなっていませんので、そういったこと、あるいは、今回のパンデミックの対応などを含めて、また、GIGAスクールについても、進んだことはよかったんですが、これに対応するのにもなかなか大変な、新しいことが起こった。そういうことを含めたときに、また教員勤務実態調査が行われておりますので、最新、その速報値が春頃にも取りまとめが出ると聞いております。その結果も踏まえて、労働基準法三十七条の適用についての根本的な理由も含めて、いわゆる、労基法の世界に行くのか、給特法を守るのか、その辺りの抜本的な見直しについて御議論いただくことが大事かなと思っています。
○緒方委員 ありがとうございました。続きまして、川上公述人にお伺いをさせていただきたいと思います。米軍が中国軍と戦わないということが資料の中に書いてありました。私も実はそういうことではないかと思ったりするんですが、そうすると、抑止力の中で、核の傘の信頼性という問題が出てくるのではないかと思います。これはもう釈迦に説法ですけれども、ゲームの理論の世界でありまして、相手がどう思っていると私が思っていると相手が思っているかみたいな世界じゃないですか。そうしたときに、現在のそういった国際的なパワーバランスが中国の目にどう映り、抑止力がどう機能しているんだろうかということについて非常に懸念をするわけでありますが、いかがお考えでしょうか。
○川上公述人 御質問ありがとうございます。中国の目から見たアメリカ若しくは日本、日米の抑止力の問題でございますが、これは、時間がたてばたつほど中国に有利だ。第一点目。それから、二点目というのは、核の問題は、中国は今、二百発、三百発から、明らかに千発に向かって伸びています。そうとするならば、かなり、一番上のそういう抑止力は、時間がたてばたつほど中国がまた有利だ。それから、もう一つは、今回のウクライナ戦争で、ロシア側が中国と一緒に行動するのであれば、もちろんロシアは半分ぐらい戦車を失ってかなりの戦闘能力を失っていますが、核に関してはアメリカと並ぶぐらい持っているわけです。したがって、核戦力の面で中国とロシアが一緒になるならば、一番上の抑止力は既に崩壊しておりますので、したがって、その下にある中距離それから戦術核の面では中国は有利である。とするならば、先ほど申しました、中国は誤解をして、つまり、本当に何かあった場合に、核の報復はないと思って通常兵力で攻める、若しくは通常弾を積んだINF等々で攻めるということは十分に考えられると思いますので、その機を狙っている。それから、二番目、サイバー戦、認知戦、こちらの方のグレーゾーンでの戦いが、いわゆる超限戦と中国は言っていますが、まずそれでやるのは間違いないわけであって、戦わずして勝つ、こういう具合に考えるのでありますから、そういうことに鑑みますと、中国は台湾のみならず日本の本土でも相当有利に戦っているのではないか。もちろん、日本でもアメリカでもそういう認知戦、サイバー戦、ハイブリッド戦は、恐らく、今現在日本でも台湾でも行われている、そういうふうな認識に立っていると思いますので、結論は、中国は、台湾、日本の機を伺いながら、なるたけ犠牲の少ない状況で、つまり、本当に軍事力は使わずにこちら側を落として、その目的は、沖縄でありましたら、恐らく中国は米軍基地は攻撃しないと思うんですね。先島諸島はやるかもしれない。恐らく、ターゲットは、沖縄にいる米軍を撤退させる、有事駐留にさせる、そこにあるのではないのか。したがって、我々はレッドゾーンを読まなくちゃいけないということだと思います。
○緒方委員 前泊公述人にお伺いをさせていただきたいと思います。私、FMS、フォーリン・ミリタリー・セールス、あれの問題点、まさにアメリカからの武器の購入の問題について、あれが実は重く乗っているのではないか、今回の防衛力の整備の中で。そもそも、セールスを有償援助と訳すというのは根本的に間違っていると思うんですけれども。今回の防衛力整備を見ていると、ちょっとこれはすごくうがった見方ですけれども、安倍さんのときに、防衛力、アメリカから武器をたくさん買うことをコミットしたせいで、それが重くなって、そして国内の防衛産業に、物すごく、お金が行かなくなって、負担が重くなったので防衛力の強化をせざるを得なくなったというところもあるのかなとか思ったりするんですけれども、FMSの問題点についていかがお考えでしょうか。
○前泊公述人 防衛産業の存在についてもしっかりと把握をしていく必要があるというふうに思っています。四、五年ほど前に神戸で視察をした際に、三菱重工あるいは川崎重工を含めて、本来なら商船を造らなきゃいけないドックに並んでいるのは全部潜水艦だけでした。そういう意味では、日本の財閥も、もう国の予算に頼らざるを得ない、ある意味では生活保護企業になりつつあるという、そんな印象すら受けました。そういう意味では、そこを買い支える、あるいは支えるために防衛費を使うということが果たして意味があるんだろうかというところもありました。アメリカについて言えば、今、日本の債務状況というのは、債務残高でいうとギリシャを超えてワーストです。GDPに占める割合、二〇二〇年、二六四%、アメリカが一二二%。そこからすると、アメリカを支えるために軍事費を支出するのかという話になれば、本末転倒のような気がします。思いやり予算というのが、アメリカの双子の赤字を埋めるために始まったはずなのに、いつの間にか思いやり過ぎ予算になり、そして今、それをごまかすために同盟強靱化予算という、名前まで変えていますけれども、そういうやり方ではなくて、本当に必要な防衛費は幾らか、そしてそれはアメリカからしか買えないものなのかどうか、ほかの国からも今回ミサイルの購入を決めているようですけれども、今回出てくる四十三兆円のうち、アメリカからの買物は幾らぐらいなのかというところも含めて、予算委員会の中でしっかりチェックをしてほしいと思います。以上です。
○緒方委員 最後にもう一問、前泊公述人にお伺いしたいと思います。中央から来たお金が沖縄にとどまらずに東京に還流しているという話なんですが、私、全く同じ感想を持つんですね。何で沖縄の地方自治体とかいろいろな方はあんなに東京のコンサルに頼るんだろうと、いつもそれを思うんですよね。何でだと思いますか。
○前泊公述人 ありがとうございます。まさに、ざる経済と言われてきましたけれども、ざるだと何も残らないんですが、今、漏れバケツ理論というのがあります。これはイギリスで出た理論でありますけれども、バケツの穴が空いているんですね。水を幾ら注いでもそこから抜けてしまうというのがありますけれども、この穴が、あるいはコンサルに必要なノウハウ、知恵、それからいわゆる企業の財務能力、あるいはマンパワー、いろいろな条件があります。そういったものが全部そろわない限り駄目ということですけれども、沖縄でいえば特Aランキングの企業じゃないと受注できないというような縛りもあったりしますね。それから、ボンド制というのもあります。お金を全部先払いをした上で事業が受けられる、百億の事業には百億準備しなきゃいけないというボンド制というのもあります。こういったものが、過少資本である場合には、本土企業、ゼネコンに頼らざるを得ないという状況もあります。そういった中でいうと、辺野古の新基地建設もそうですが、どこにたくさんお金が流れているか、沖縄にお金が落ちているかのような沖縄予算の審議の仕方は違うと思います。流れているのは、半分は本土に流れています。そういう意味では、予算審議の中で、どこに落ちるお金かをしっかりチェックしていただきたいと思います。ありがとうございました。
○緒方委員 終わります。

○根本委員長 次に、大石あきこ君。

○大石委員 れいわ新選組の大石あきこと申します。本日は、公述人の皆様、どうぞよろしくお願いします。岸田政権による今国会の予算案、私は異次元の売国棄民予算であると考えているんです。本当に、今は歴史の転換点、すごく危機感でいっぱいですし、皆様にこの国の政策の在り方について御指導いただきたいなと思っています。最初に川上公述人にお伺いしたいんですけれども、この資料やプレゼン、拝見させていただいて、非常に生々しいなと思ったんですね。世間で言われているような、アメリカや欧米の正しい戦争、正義というのとは大分違うなと。私が考えるに、一番大きなやくざと二番目に大きいやくざの抗争、その抗争の中で、日本が一番目のやくざの肩を持って、うまいことやりながら独自の軍事力を高めていくというふうに私には聞こえたんですね。先生の資料の中でも何個か出てくると思うんですけれども、バイデン政権が、米中対立は民主主義バーサス専制主義という位置づけだと。これは、すごく今、テレビでもメディアでもそういう騒ぎになっていて、多くの国民もそのように、世論に大きく影響していると思うんですけれども、川上公述人は、この民主主義バーサス専制主義というのはフィクションだと思われていますか。簡潔に教えていただきたいです。
○川上公述人 簡単なお答えなんですが、第二次世界大戦後、米国は覇権をずっと維持しようとしていますので、フィクションであり、フィクションじゃない。まあ、フィクションではないわけですね、現実的に。ただ、アメリカが自分の覇権体制を逃さないために必死になって、同盟国の力を使いながら、自分の力が落ちたので、そのフィクションを守ろうとしている。違うフィクションがもう一回出るわけですから。今回の場合、中国がアメリカに取って代わってもし覇権体制を取るならば、中国流のルールに従ったフィクションができるわけですね。したがって、日本はそのフィクションに、どちらに入るのかという選択肢は本当なんでしょうか。日本は日本独自のフィクションをつくり、日本独自の道を選ばなくちゃいけない、それが私の回答でございます。
○大石委員 でも、やはり多くの国民の方がこれがフィクションだと思っていない中で、防衛費増額が正しいのかどうかというのが議論されるというのは、私は、不誠実であり、危険だなというふうに思います。私は、まず前提として、防衛費増額というのが、アメリカの軍需産業ですとか、日本でも一部の資本家の方の大きな利益にはなるでしょうけれども、多くの国民にとってはマイナスのことだと思っております。特に沖縄ですよね。沖縄を度々犠牲にして平和を構築するということは、まず不可能ですし、やってはならないというふうに思っていますが、いわゆる内地といいますか、本土の国民、住民の方に、私も大阪ですけれども、もっと、この問題はみんなの問題なんだよ、こういうことをするとみんなにとってよくないんだということを知っていただきたいなと思って、そういう観点から前泊博盛教授にお伺いしたいと思っています。棄民政策と私は冒頭言いましたが、やはり防衛費増額というのは非常に大きな問題でして、敵基地攻撃能力の保有などは、米軍需産業からの日本の買物を増やす一方で、その軍備強化をしたとしても、むしろ沖縄を含めた日本全体の安全を損なうのではないかと考えています。軍備強化は必然に、人々への予算配分、民生部門への資源配分を損なってしまうのではないでしょうか。れいわ新選組の決意文というのがあって、その一行目は、この国を守るとはあなたを守ることから始まるんだ、そのような決意文なんです。このような考えに立ったときに、人々の安全な暮らし、あなたを守るんだという立場からは、国の安全保障の前提となるものをかえって脅かすのではないかと考えるんですけれども、前泊教授のお考えをお伺いしたいです。
○前泊公述人 御質問ありがとうございます。本当に、安全保障というのは、この国の国体を守るのか、国民を守るのかという問題を提起しているような気さえしますね。沖縄にとっては、これまで、G・H・カーの言葉をこの資料の中へ入れましたけれども、日本という国は沖縄を前線基地としか見ていないんだというアメリカの歴史学者の見解ですね、その上で沖縄を、エクスペンダブル、消耗品という表現までしています。これは沖縄という言葉でありますけれども、日本という言葉に置き換えていいと思います。アメリカにとって日本という国がエクスペンダブルにならないようにどうしたらいいか、そのことを考えなきゃいけないと思っています。今、大事なのは、軍事費の議論を一生懸命していますけれども、経済にやはり目を向けなきゃいけないですね。経済がこれだけ衰退をして、この数字を見ると、二〇〇〇年、一四%。世界の経済のGDPに占める割合は一四%あったんです。それが今六%まで落ちて、さらに、二〇三〇年、四%まで落ちていく。日本という国がどんどん縮小していく中で、これをどうするかということをもっと議論しなきゃいけないのに、国防の話よりも、むしろ経済が豊かだったからこの国は平和だったんですね。周辺国に対して援助をし、ODAもいっぱい出して、技術も惜しみなく出してくる、この国が宝島のように見えていた、だからこそ大事にされてきた。そういう大事にされる国をもう一度つくっていくこと、それが安全保障の基本ではないかというふうに思っています。是非頑張ってほしいと思います。
○大石委員 ありがとうございます。前泊教授にもう少しお伺いしたいと思うんですね。れいわ新選組は、積極財政ということで、国債を発行して介護とか保育の予算を倍増するとか、教員をもっと増やせとか、そういうことを常々言ってきたんです。一方で、国はそのたび、お金はない、お金はないと言っていたんですが、この度、防衛力の増大、四兆円に関して、実は国債もこういうやり方があってねみたいなことを言い出していて、そのときに国の財源というのが問題というか議論になるんですけれども、国の財源というのは国内の供給力のことですね。ですので、国内の供給力が大丈夫なうちは国債を発行しても通貨が下がらないんですけれども、何に使うのかというところが非常に問題なんだと思っています。財源を戦争や軍備のために使うと、社会の供給力を戦争に取られてしまい、日本経済のよい循環にならない、そのようなことを御示唆されたと思うんですね。戦争経済は、ごく一部の人にはぬれ手にアワのチャンスだとしても、大多数の国民にとっては、大事な供給力、生活のために必要なもの、例えば、食料の生産ですとか、住宅建設ですとか、先ほど言っていたような介護とか、人が人を見るような大事なお仕事というもの、供給力が毀損され、生活水準が苦しくなるというのは、さきの大戦の教訓でもあったかと思います。アメリカの事情にもお詳しい前泊教授にお伺いしたいですけれども、アメリカは軍産複合体が国の経済に浸透してしまい、アメリカは十年に一度戦争しないとやっていけない体質だとも言われるんですけれども、日本は今、抑止力強化の下にこういった戦争経済への道を歩もうとしている。四月に経済安全保障法というのも通ってしまいましたけれども、それを入口にして戦争経済への道を歩もうとしていると私は危惧しております。先生はアメリカを見て、IT産業や軍需産業のハイテク化が進む一方で、アメリカのインフラの弱体化などにも何か御意見があればお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○前泊公述人 生活インフラでいうと、よく、橋が落ちたりするとか、あるいは道路が陥没するというのがあります。日本でも同じように、公共インフラの劣化というものをどう修繕をしていくかというのは課題になっています。戦後七十八年を迎えて、戦後復興で造ったものがそろそろメンテをしなきゃいけない時期を迎えています。そこら辺でいうと、もう財源がないということで、新しいものは造れないし、修復をするためのお金の確保も難しい。これはアメリカが先にその状況に陥っている部分はあると思います。日本においては、今、先ほどちょっと債務残高の話をしたんですが、日本はアメリカの倍も高い二六四%、アメリカが一二二%の債務残高を抱えています、対GDPですけれども。その中で、日本は実はアメリカの国債を大量に持っていますね。今どれぐらい残っているか、私が直近調べたのは、百兆円ぐらいのアメリカの国債を買っている。中国も同じように買っていますけれども、中国は、自分たちで持って、いつでも売れるけれども、日本は、国債を買っても、アメリカの国庫に入っている、いつも売ろうとするとすぐに邪魔が入るという、そんな状況ですね。そういう意味では、日本はなぜ債務残高がこれだけ高いのにアメリカの国債をたくさん持っているのかというところも、財源として、その国債を売って国民のために使うということも議論をいただければというふうに思っています。
○大石委員 アメリカの経済状況に加えて、そういった、やはり日本がアメリカに従属させられているというところからも、それを見直すことで新たな財源も生まれるのではないかということを御指摘いただいたと思います。私は今、国会議員としてここにいるんですけれども、やはり、その前に一人の人間として、また、子を持つ親として、本当に今、恐怖しています。防衛費増額というのがこんなに簡単に進められて、川上公述人にも今日ありていに語っていただいてよかったと思いますけれども、そういった、私に言わせればフィクションでの正義の戦争というものが行われ、その欧米に日本が追随していく、その犠牲になるのは、まず真っ先に沖縄です。沖縄を日本の捨て石にさせてはならない、それから日本をアメリカの捨て石にさせてはならない、そのような思いを今日改めて強めましたので、本当に皆様にはありがとうございました。まだ少しありまして、清水公述人に是非お伺いしたいです。棄民政策と言ったもう一つには、労働者を使い捨てにしてまで、国がぼろぼろになっているじゃないか、そのように感じているんです。連合の清水事務局長にお伺いしたいんですけれども、教育予算の削減問題についてなんです。日教組御出身の清水事務局長は御存じと思うんですけれども、今、教育現場で異次元の教員未配置が起きているということで、学校の教員が過労死レベルの残業を、給特法の下で、不払いのままやらされている。教員不足は、文科省が把握しているだけでも、二〇二一年四月時点で二千五百五十八人、二千五百人を超える欠員がありました。精神疾患で休まざるを得ない先生も高止まりしておりまして、学校現場が回っていない。それに対して今政府がどうしているかというと、残念ながら、教員削減を続けている。昨年度、二〇二二年四月では三千三百二人の教員予算の削減、それから、今回の四月からですけれども、更に二千四百七十四人の教員予算を削減しようとしているんですね。日教組の要求を拝見しますと、教員の基礎定数、加配定数、いずれも改善を求めておられますし、不払い残業の給特法も廃止を求めておられ、非常に真っ当な要求だと思うんですね。学校の先生を計画的に採用、育成をもっともっとしていかないといけないと考えているんです。具体的には、二〇〇五年からなくなった教員定数改善計画を復活させて、また、教員の基礎定数を一・五倍にするくらい必要だと考えているんですね。小中学校で基礎定数を一・五倍にすると、年間約二兆円ぐらいの予算が必要となります。私は、学校現場の声を踏まえれば、基礎定数、一・五倍ぐらいは必要なんじゃないかなと思うんですけれども、その辺、現場の実態をよく知っておられる公述人からもお伺いしたいなと思います。
○清水公述人 教育現場について御質問いただき、ありがとうございます。一応、今は連合の事務局長でございますので、日教組の考えは日教組の考えとしてありますが、定数については、既に国においても、いわゆる四十人学級から三十五人学級という形で進めていこうということで、定数改善が図られているということでございます。子供の数が多かったときには、いわゆる教員の、学校が減っていっても、その分の余剰人員を定数改善に回していく、いわゆる第六次であったり第七次であったりという定数改善をやりながら、少しずつ学校現場に人をという形でやってきました。ここに来て、毎年五百校ぐらいの学校が、小中学校、高校を入れると七百校ぐらいが毎年なくなっている状況でございます。なので、そういった意味では、教員定数が抜本的に定数法上は要らなくなっているのではないかという事実もございます。要は、この後、子供に対する人数が、何人ぐらいで一クラスをやっていくのがいいのかということでいえば、やはり二十人、二十五人。欧米などの状況を見れば二十人台でやっていますので、日本の三十五人はまだまだ多過ぎるということであります。これは、保育所の一人が見る保育児の数も非常に多過ぎるというのと同じことだと思います。なので、抜本的な教育や保育に関わる人の配置ということについてやることは大事だと思いますし、教員の採用が今、二倍を切って、人気のない職業になっているのは非常に残念なことです。是非、学校で子供を育てるということ、将来の人を育てる学校現場、そこに魅力を感じるような、そういった学校の体制になるように、環境整備を定数含めて進められることが必要ではないかと思います。以上でございます。
○大石委員 まさに、少人数学級、二十人以下学級の実現、それから、学校の先生が、不払いをしないで済むように基礎定数をいじった場合……
○根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。
○大石委員 一・五倍必要だというのが学校の先生の現場からの試算だったんですが、それにしても、本当にどのぐらい必要で、計画的に採用していくのかというのを、連合の皆さんとも、国会の中でも外でも真摯に行っていきたいと思います。ありがとうございました。

○根本委員長 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。公述人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手)午後一時三十分から公聴会を再開することとし、この際、休憩いたします。