2023年2月20日 衆院予算委員会第三分科会 オスプレイ騒音苦痛 対応ただす
日本共産党の宮本徹議員は20日の衆院予算委員会分科会で、米軍のCV22オスプレイが横田基地周辺(東京都福生市など)で繰り返す訓練による轟音が住民生活を破壊していると告発し、政治の責任で解決に乗り出すべきだと迫りました。
宮本氏は、同基地北東部在住の住民によるCV22の低空ホバリング(空中停止)訓練の記録を紹介。轟音がガード下の騒音並みの99デシベルを記録し、頭痛や吐き気を感じるほどだとする訴えを示し、林芳正外相の認識をただしました。外相は「周辺住民からの苦情は承知している。米側に地域住民の被害を最小限にするよう求めていく」と答えるにとどまりました。
防衛省北関東防衛局は米軍に対し、住宅街に隣接する基地北東部の「北側ヘリパッド」から基地中央部のヘリパッドへの訓練移行を求めています。米軍側は「南側にあるヘリパッドが使用可能な時は訓練場所を同側に変更する」としながら、「任務遂行のため、北側を引き続き使う可能性は排除されない」などと説明してきました。
宮本氏は改めて防衛省の対応をただしましたが、井野俊郎防衛副大臣は米側の主張を繰り返すばかり。「引き続き地元の被害を最小限にとどめるよう米軍に求めていく」と、住宅地付近での訓練を容認する姿勢を示しました。
以上2023年2月21日付赤旗日刊紙より抜粋
≪2023年2月20日 第211国会衆院予算委員会第三分科会第1号 議事録≫
○中山主査 次に、外務省所管について審査を進めます。質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮本徹君。
○宮本(徹)分科員 日本共産党の宮本徹です。まず、横田基地の訓練被害についてお伺いいたします。二〇一八年に米軍のオスプレイが配備されて、それ以降、長時間のホバリング訓練で、そばに住む住民の生活が破壊をされております。住民の最近の記録、大臣にも届いていると思いますけれども、少し読み上げさせていただきます。一月四日。休暇が終わり、飛行始まる。いつオスプレイが来るかと思うと落ち着かない。今日はヘリの低空飛行又はホバリングがひどかった。一月五日。十七時二十分、オスプレイ、自宅前低空飛行中。家の中は物すごい振動。オスプレイが飛行すると生活音が消され、下から突き上げてくる振動とともに轟音。頭痛と吐き気がしてくる。十八時、自宅前にてホバリング始まる。無灯火にて時間十五分ぐらい。十八時三十分、いまだ低空飛行、ホバリング続く。精神的につらい。二十一時三十九分、自宅前にてホバリングが始まる。物すごい轟音、振動。騒音計、九十九、これは多分デシベルだと思いますね。この時間にホバリング、低空飛行。休むことすらできない。こういうのがずっと、住民は被害記録をつけ続けております。ちょっとこれ、大臣にも事前にお渡ししておりますけれども、この記録を読んでの大臣の心の声を聞かせてください。
○林国務大臣 横田飛行場における米軍オスプレイの運用につきまして、今委員から御紹介のあった周辺住民の記録にもあるとおり、これまで周辺地域住民の方々から騒音などについて要請、苦情が寄せられていると承知しておりまして、我々としても大変重要な問題だと認識しております。米軍の運用に当たっては、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきこと、言うまでもなく、私自身も、本年一月の日米2プラス2において、在日米軍による地元の影響に最大限配慮した安全な運用について求めたところでございます。今後とも米側に対し、部隊運用に当たっては、周辺地域住民の皆様に与える影響を最小限にとどめるよう米側に対して申し入れていく考えでございます。
○宮本(徹)分科員 今日、防衛省に来ていただいておりますけれども、私、この何年間ずっと防衛省とこの問題をやり取りをして、防衛省からも米軍側には何度も働きかけていただいて、ようやく去年、一年ぐらい前ですかね、文書でも米側にも正式に要請するということもやってきたわけですが、被害が続いておるわけですね。取組状況をちょっと説明してもらえますか。
○井野副大臣 横田基地におけるオスプレイのホバリング訓練については、数次にわたり、我々としても、配慮要請を米軍に対して行ってまいりました。昨年二月に、北関東防衛局から米側に対して、CV22オスプレイホバリング訓練の実施に当たっては、近隣住民に対する影響を最小限に抑えるよう要請をいたしました。そして、米側からは、CV22オスプレイの訓練が北側ヘリパッドで行われている理由として、南側ヘリパッド付近で追加工事が行われているということ、また、工事完了後については、南側ヘリパッドが使用可能なときは訓練場所を変更する予定ですが、任務遂行のため、また乗員の即応性を維持する必要があることから、北側ヘリパッドの使用は今後も継続して行われる可能性は排除されないという回答がございました。防衛省としては、訓練が飛行場周辺の方々にできる限り影響を及ぼさないようにすることは重要と考えておりまして、引き続き米軍に対して、訓練の実施に当たっては地元の皆様に与える影響を最小限にとどめるよう求めていきたいというふうに考えております。
○宮本(徹)分科員 当初、追加ヘリパッド工事は秋に終わると言ったのに、終わらずにずっと北側が使われ続けているわけですね。防衛省の出したレターの中でも、基地中央に位置するヘリパッドで行い、北側ヘリパッドでは行わないといった抜本的な措置を講じるよう、改めて特別な配慮を要請します、こういう文書まで出しているにもかかわらず、いろいろな理由を並べ立てて、基地中央のヘリパッドがあるのにやらない状態が続いているわけですよ。私は、これはもっと高いレベルでやらないといけないと思うんですよ。北関東防衛局の皆さんは一生懸命、住民の声に応えていろいろやってもらっていますけれども、そういう段階ではないと思うんですね。何回もこのやり取りをしてもらっているんですよ。これは大臣、是非、2プラス2でそういうやり取りをやられているという話、先ほどありましたけれども、もっと個別具体的にこの問題を解決してほしいというのを高いレベルで対応してほしいんですよね。本当に住民の生活、できない状況です。どうですかね。
○林国務大臣 横田飛行場における米軍オスプレイによる訓練について、先ほども御紹介がありましたが、これまでも周辺地域住民の皆様から要請や苦情を寄せられていると承知しておりまして、外務省としても大変重要な問題と認識しております。在日米軍の運用に際しては、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきこと、これは言うまでもないことであります。これまでも、政府として、米側とは様々なレベルでやり取りを行ってきております。先ほども申し上げましたが、今年の一月の日米2プラス2においても、在日米軍による地元の影響に最大限配慮した安全な運用を求めたところでございます。周辺地域の住民の皆様に与える影響、これを最小限にとどめるように、引き続き外務省としても申入れを行っていく考えでございます。
○宮本(徹)分科員 防衛省も、これは政務が乗り出して解決してほしいんですよね。このお宅は、本当だったら買い取ってもらって引っ越したいぐらいの状況なんですけれども、その買取りの制度もそのお宅のある場所はないためにそこに住み続けざるを得ないという状況になっているわけですよ。そうである以上、日本国民の生活を守るというのは日本政府の責任だと思いますよ。それができないんだったら、オスプレイの配備はもう直ちにやめる。今六機ですけれども、これが十機になったらもっと大変な被害になるわけですよね。私たちはオスプレイ配備撤回をずっと求めていますけれども、少なくとも、それを容認している政府の責任として、これはもう政治家の責任で、是非乗り出して解決してほしいと思うんですけれども、副大臣、いかがですか。
○井野副大臣 基地周辺に当たっては様々な影響があるものというふうには認識しております。防衛省としては、引き続き、米側に対して、地元の御懸念、御要望について伝えるとともに、米軍機の運用に当たっては、安全面など様々な部分に最大の配慮を求め、地元の皆様に与える影響を最小限にとどめていくように対応してまいるということであります。
○宮本(徹)分科員 多分、もう本当に現場レベルの対応ではなかなか事が進まないと思う。何年もやっている話ですから、よろしくお願いいたします。続きまして、PFAS、有機フッ素化合物の問題についてお伺いしたいと思います。東京の多摩地域の住民の血液検査で、血液中のPFOSの濃度が全国平均の三・七倍だったということが明らかになりました。八五%の方がこのPFAS四種合計でアメリカの指標値を超えたということです。現状、今、多摩地域の浄水施設では高濃度で検出されているので、三十四か所の水源井戸が取水停止ということになっております。政府のPFAS専門家会議のメンバーでもある原田浩二准教授は、米国や沖縄などの泡消火剤を使っていた基地周辺でPFAS汚染が起きている、横田基地が汚染源であることに疑いはない、こう述べております。一方、多摩には、PFASを使うそれ以外の工場もあります。しかし、汚染源を特定しようにも、横田基地に東京都が立ち入って調査もできない、必要な情報も米軍からは出てこない状況がございます。そこで、東京都と周辺自治体からの要請が防衛省や外務省宛てにも出ております。環境補足協定については、環境に影響を及ぼす可能性がある場合には、通報の有無にかかわらず立入調査を行えるよう改善を図ること、さらに、通報の基準については、環境に影響を及ぼす可能性がある事件、事故等が発生した場合及び発生した疑いがある場合にまで拡大することとあります。最低限の地元自治体からの要請だと思います。当然、本当に住民の命、健康に関わる問題ですから、こうした問題では自治体が立入調査できるように改善すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○林国務大臣 このPFOS等をめぐる問題につきましては、地元住民の皆様が大きな不安を抱えていると承知しておりまして、関係省庁とも連携しながら、政府全体として真剣に取り組んでおります。在日米軍は、これまでも、PFOS等の漏出が起こった際には日米間の合意に従って日本側に通報を行ってきておりまして、地元からの要望がある場合には、環境補足協定に基づきまして、地方自治体とともに米軍施設・区域内への立入り等を実施してきております。この通報の基準でございますが、公共の安全又は環境に影響を及ぼす可能性がある事案が発生した場合に、米側から日本側へ通報することとなっております。また、米側から通報がない場合であっても、日本側として、米軍施設・区域に源を発する環境汚染が発生し、地域社会の福祉に影響を与えていると信ずる合理的理由のある場合には、別途、日米合同委員会合意、これは一九七三年の環境に関する協力についての日米合同委員会合意でございますが、この合意に従いまして米側に調査要請や立入り許可申請等を行うことが可能でございます。今年一月に行われました日米2プラス2においても、私から環境に係る協力強化を要請し、日米間で環境に係る協力を強化するということを確認したところでございます。外務省としても、米軍施設・区域内外の環境対策が実効的なものとなるように、環境省を始めとする関係省庁と連携して引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
○宮本(徹)分科員 残念ながら、現状は自由に立ち入ることができないという状況なわけですよね。私は、本当に、この日米地位協定の下で米軍の特権が守られ過ぎていて、国内法が適用されない事態になっていることがこの問題でも重大な問題になっていると思いますので、私は、地位協定も環境補足協定も抜本的に見直して、本当にこういう問題では国内法が適用できる状況にしなきゃいけないと思います。とりわけ、このPFASの問題でいえば、汚染源を特定して浄化していく、こういうことが必要じゃないかということも言われているわけですよね。そのためにはボーリング調査も必要だという意見も出ているわけです。ですから、この問題は本当に、地元自治体がちゃんとどこでも速やかに立入りできるように、しっかり取り組んでいただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。続きまして、次の問題に移ります。二月十五日の予算委員会で、岸田総理から、台湾有事で、在日米軍基地からの出撃について、事前協議は当然行うことである、こういう答弁があったわけでございます。これは前原さんの質問でした。その際、ノーという選択肢があるのかと前原さんが問うたのに対して、岸田総理は、日米安保条約に基づいて責任を果たしていく、こういう答えで、ノーという選択肢があるのかないのか明確に答えていない答弁だったんですね。明確にお答えいただきたいと思うんですけれども、台湾有事で、在日米軍基地からの出撃に際して事前協議があった際に、日本の側はノーという選択肢は当然ありますよね。
○林国務大臣 台湾有事という仮定の質問にお答えするということは難しいわけですが、事前協議に際しては、我が国の国益確保の見地から、具体事案に即して我が国が自主的に判断をして諾否の決定をするということになっております。
○宮本(徹)分科員 諾否の決定をするということですから、ノーという選択肢はあるということで間違いないですよね。
○林国務大臣 事前協議に際しては、我が国の国益確保の見地から、具体的事案に即して我が国が自主的に判断して諾否の決定をするということに尽きるため、その諾否について予断をすることは差し控えたいと思います。
○宮本(徹)分科員 ただ、諾否ということは、否があるというのは今の答弁のとおりだと思うんですけれども。問題は、この台湾有事なんですよね。予算委員会でも議論になっておりますけれども、一月にCSISが発表した台湾有事のシミュレーションというのがございました。私もざっと拝見させていただきましたけれども、これは、米中、そして日本、どこも大変な被害が出るというものだったわけです。このシミュレーションを見ると、中国は日本への攻撃というのは初めはしないわけですよね。ところが、在日米軍基地から中国への攻撃が行われるという中で、中国は在日米軍基地への攻撃を始めるというものだったんですよね、大体。そうすると、これは、ノーという選択肢がこの台湾有事に際してもあるという立場でなければ、アメリカの戦争に日本が自動的に巻き込まれ、甚大な被害が出るということになると思うんですね。ですから、この台湾有事についても、当然、ノーという選択肢がなくてはならないと思いますが、いかがですか。
○林国務大臣 事前協議に際しましては、我が国の国益確保の見地から、具体的事案に即して我が国が自主的に判断して諾否の決定をするということは、先ほど申し上げたとおりでございます。台湾有事という仮定の御質問に関して、諾否について予断することは差し控えたいと思います。
○宮本(徹)分科員 諾否が一般論としてあるんだったら、台湾有事についても諾否がなきゃこれはまずいわけですよ。否という選択肢がないと、本当にその選択肢がないということになったら自動的に戦争に巻き込まれるということですから、そんなことは絶対あり得ないということをしっかりと言ってもらわなきゃいけないというふうに思います。その上で、もう一点、これに関わってお伺いしたいんですけれども、今年は日中平和友好条約四十五周年ということになりますが、この条約の一条の中では、両国は相互の関係において、全ての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認するということがあるわけですね。そうすると、日本への攻撃がない下で、米軍が中国への攻撃を行う際に在日米軍の出撃を日本が認めるということ、これは日中平和友好条約に反するというふうにお考えですか。
○林国務大臣 今委員が御指摘になったような仮定の御質問についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにいたしましても、日中間では、一九七二年の日中共同声明、また一九九八年の日中共同宣言、さらには二〇〇八年の日中共同声明といった基本文書と並んで、今お話のありました、一九七八年、この日中平和友好条約に記されました精神と方針の下で日中関係を発展させてきておりまして、我が国としてこうした立場に何ら変更はないところでございます。
○宮本(徹)分科員 私はそんなに難しい仮定の質問を個別具体的に聞いているわけじゃなくて、一般論だと思うんですよね。日本への攻撃がない下で、在日米軍に対して日本は中国への出撃を認めるということは、日中平和友好条約に反するのではないのか。基本的な話だと思うんですけれども、これについて、これは反するというふうに答えることはできないということなんですか。
○林国務大臣 先ほど申し上げましたように、諾否について、仮定に立ってお答えするということは差し控えさせていただきたいと思います。
○宮本(徹)分科員 いや、この日中平和友好条約は、相互の関係において全ての紛争を平和的手段によって解決するんだ、日中の間では相争わないんだ、武力も、行使も武力の威嚇もやらないんだというのが双方の合意なわけですよね。そうすると、在日米軍基地から、別に日中で争っていないのにですよ、日中で争うというのはもうこの条約が崩れている状況だと思うんですけれども、日中で争い、戦争状態がない下で、在日米軍は出撃していいですよという合意を日本が与えるというのは、私はどう考えてもこの日中平和友好条約に反すると思うんですよね。それを反すると言えないというのは、中国に対するメッセージという点でも大変まずいんじゃないかと思いますけれども、そうお考えになりませんか。
○林国務大臣 台湾有事という仮定の質問にお答えをするということは難しいわけでございますが、事前協議に際しては、我が国の国益確保の見地から、具体的事案に即して我が国が自主的に判断をして諾否の決定をする、先ほど申し上げたとおりでございます。また、日中間では、先ほど申し上げましたように、七二年の共同声明、そして九八年の日中共同宣言、二〇〇八年の日中共同声明、そして日中平和友好条約に記された精神と方針の下で日中関係を発展させてきておりまして、こうした立場に何ら変更はないわけでございます。
○宮本(徹)分科員 ですから、この日中平和友好条約の立場に立てば、当然、日中間で争いがなければ、戦争が起きていなければ、在日米軍が日本から中国に向かって出撃するというのは、これはうんと言うことはあり得ないということを申し上げておきたいと思います。その上で、もう一点、この問題に関わってお聞きしたいんですけれども、よく自民党の政治家の皆さんは、台湾有事は日本有事だからとか、あるいは、台湾有事が起きたらこれは存立危機事態なんだと、麻生さんなんかもそういうことをおっしゃったりするわけですけれども、この存立危機事態というのは、私も安保法制の議論のときに随分議論させていただきましたけれども、我が国への武力攻撃がないわけですよね。他国に対する武力攻撃が発生して、そのことにより我が国の存立が脅かされて、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態ということになっているわけですね。一体全体、他国への武力攻撃によって自分の国の存立が脅かされるというようなことが起き得るのかというのを私は安保法制のときに議論しました。当時の外務大臣であった岸田さんは、二回、この問題、議論したんですけれども、二回目のときにこういうお答えがあったんですね。他国への武力攻撃によって自分の国の存立が脅かされたといって集団的自衛権を行使した例というのは世界にないということだったんですよね。集団的自衛権を行使する際に、そういう、存立危機事態みたいなことだといって集団的自衛権を行使した例というのはないわけですよね。やはり、普通に考えて、他国に対する攻撃が自分の国の存立を脅かすというのはなかなか考えにくいと思うんですね。そうすると、なぜこの存立危機事態というのを想定しているのかなということを考えると、それは、在日米軍が日本から出撃していく、これを当然視しているから、当然、在日米軍が日本から出撃したら、在日米軍基地への反撃というのは想定されることになるので、だから存立危機事態というのを想定しているのかなというふうに思うわけです。逆に言えば、在日米軍が出撃しなければ、存立危機事態というのはそもそも起き得ないんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○林国務大臣 委員の御質問は、事前協議とそれから事態認定、またがってということでございましたが、事前協議と事態認定、これはいずれが先行することもあり得るわけでございますが、協議に対する諾否の決定、それから事態認定、これは個別具体的な状況に応じてそれぞれ判断されるべき事柄でございまして、前後の関係も含めて、一概に申し上げるということは困難であると考えております。
○宮本(徹)分科員 存立危機事態が先に認定されることがあるというのが今の大臣の答弁なわけですけれども、一般的に、日本がどこの国とも交戦状況にありません、米軍が攻撃されました、でも、その米軍が日本と全く縁がないところで活動している米軍だったら、それが存立危機事態になることというのはあり得ないわけですよね。しかし、在日米軍が出撃した場合は、これは在日米軍基地が逆に反撃される可能性があるから存立危機事態になるというのが普通の理解だと思うんですけれども、存立危機事態が先に認定されるというのは、一体どういう事態を想定されているんでしょうか。
○林国務大臣 先ほど申し上げましたように、事前協議と事態認定、これはいずれかが先行することはあり得るわけでございますが、それぞれ、個別具体的な状況に応じて判断されるべき事柄でございます。したがって、それぞれにおいて、どういった事態にどういう判断をするかということは、あらかじめ申し上げることは差し控えたいというふうに思います。
○宮本(徹)分科員 差し控えたいということで、存立危機事態の認定が先行する例というのはお示しにならないわけですけれども、多分示せないと思いますよ、私は。在日米軍が出撃しなければ、そもそも日本と関係がない話なんですから。そこは、私は、しっかりと国民に明らかにして説明すべき話だというふうに思います。そして、仮に、本当に台湾有事に米軍が武力介入した際、在日米軍基地への反撃の可能性があるということで存立危機事態として認定して、今回の安保三文書にあるような敵基地攻撃能力を行使する、こういうことになったら、これはもう本当に全面戦争に日本が進んでいくことになるわけですよね。ですから、ここは本当に、事前協議の際にノーという選択肢があるということ、そして、ノーという選択肢を取れば存立危機事態にはなり得ないんだ、こういうことをしっかり、その立場に立たなければならないというふうに思います。その上で、次の質問、お伺いしたいと思います。安保三文書では、中国について、アメリカと歩調を合わせて、中国は競争相手だ、事実上の仮想敵とみなしている扱いをしているわけであります。私は、昨年来、総理とも、敵基地攻撃能力を保有して、集団的自衛権として行使できる、こういう道を歩んだら、安全保障のジレンマに陥るだけではないか、より相手の対抗を招いて日本への脅威は増すだけじゃないかと指摘をしてまいりました。それに対して、当時、総理は、透明性を持って説明する、こう繰り返されたわけです。日中外相首脳会談が行われましたけれども、この安保三文書について外務大臣はどう説明されて、中国側から理解が得られたのか、お聞かせください。
○林国務大臣 二月二日の日中外相電話会談におきまして、私から秦剛外交部長に対しまして、日中両首脳間の重要な共通認識であります建設的かつ安定的な関係の構築という大きな方向性の実現のために連携していきたい旨を述べまして、同部長からも同様の考えが示されたところでございます。また、日中関係には多くの課題や懸念があるからこそ対話が必要であるという旨を述べまして、秦剛部長との間で、各分野の対話を着実に進めていくことで一致をいたしました。引き続き、中国とは、首脳、外相レベルを含めたあらゆるレベルで緊密に意思疎通を行いまして、主張すべきは主張し、責任ある行動、これを強く求めながら、諸懸案を含め、首脳間を始めとする対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力する、建設的で安定的な日中関係を日中双方の努力で構築をしていきます。日中双方の安全保障政策についてのやり取りはございましたけれども、詳細については、外交上のやり取りであり、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○宮本(徹)分科員 肝腎の、私が質問したところはお答えを差し控えるという答弁なわけですけれども。中国側の発表文書を見ますと、日本に対して、軍事的な緊張を高めるような行動については慎重であるべきだという発言があったというふうに中国側の文書には書かれております。そして、日中は平和共存こそ唯一の道だ、こういうことが中国側からはあったということが書かれているわけですよね。ですから、到底、総理は、透明性を持って説明して安全保障のジレンマに陥らないようにするという話をしたわけですけれども、事実上、安保三文書というのは中国を仮想敵に置いているものですから、これは理解は得られるはずがないわけですよね。専守防衛を投げ捨て、敵基地攻撃能力を保有し、アメリカと一緒になって集団的自衛権を行使しますよ、これが本当に進むべき日中関係なのか。私は違うと思いますよ。確かに、中国の覇権主義的な行動は問題ですよ。南シナ海でも東シナ海でも問題ですよ。しかし、だからといって、軍事で、アメリカにつき合って、抑え込んでいくという、アメリカの世界戦略に同調するというのは、私は日本が進むべき道ではないと思います。ちょっと時間が来てしまいましたので終わりますけれども、私は、米中双方に、対立を抑えていく、緊張を静めていく、そういう立場に立って働きかけていくことこそ日本政府がやるべき立場だということを申し上げまして、時間になりましたので、あと数十秒あるかな、一言、じゃ、大臣にお答えいただきまして、質問を終わります。
○林国務大臣 最後の部分ということだと思いますが、米中両国の関係の安定、これは国際社会にとっても極めて重要であると考えております。我が国としては、引き続き、同盟国たる米国との強固な信頼関係の下で様々な協力を進めつつ、中国に対して、大国としての責任を果たしていくように働きかけていきたいと考えております。
○宮本(徹)分科員 時間になりましたので、終わります。
○中山主査 これにて宮本徹君の質疑は終了いたしました。