2023年3月10日厚生労働委員会 患者暴行 徹底調査を 滝山病院事件受け宮本徹氏

 日本共産党の宮本徹議員は10日、衆院厚生労働委員会で、入院患者への暴行で看護師が逮捕された滝山病院(東京都八王子市)の事件を受けて、徹底的な調査を求めました。
 滝山病院(精神科)は、日常的な患者への虐待や医師の指示のない身体拘束、不適切な医療提供、非常に高い死亡退院率の実態が報じられています。患者側弁護士は、診療報酬不正請求の疑いがあるとして、保険医登録の取り消しを求めています。
 宮本氏は、東京都が昨年4回調査したが実態を把握できなかったとしていることから、予告なしの立ち入り検査を強化し、国が実地調査に入るよう求めました。
 同病院の朝倉重延院長が過去に院長を務めていた埼玉県の朝倉病院では、入院患者の不法な身体拘束や医療行為が問題となり、同院長は2001年に保険医の指定が取り消されています。宮本氏は、現在は保険医に再登録されているとして、所管する厚生労働省の判断が妥当だったのかと質問しました。
 加藤勝信厚労相は、保険医の取り消しから5年を経過した者や該当する刑の執行を終えた者は再登録の機会を認める対応をすると答弁。宮本氏は、結果的に同じような事態が繰り返されたとして、再登録の判断基準を厳格化すべきだと主張しました。

以上しんぶん赤旗ホームページ2023年3月15日配信記事から抜粋

≪2023年3月10日 第211国会衆院厚生労働委員会第2号議事録該当部分抜粋≫

○宮本(徹)委員 ~略~ 続きまして、八王子にあります滝山病院についてお伺いをいたします。先ほど小川委員も取り上げられましたけれども、滝山病院で看護師が暴行容疑で逮捕されました。滝山病院では、日常的な暴言、暴力、床擦れで骨まで露出するようなことが起きているわけですね。必要な治療、ケアを行っていないのではないのか。あるいは、僅かな血液検査の異常値も心不全と診断して過剰に抗凝固薬を投与するなどの過剰な医療提供、看護記録等の捏造、カルテに指示のない身体拘束、異常に高い死亡退院率などなどが報じられているわけでございます。大臣、これは徹底的な調査が必要なんじゃありませんか。
○加藤国務大臣 今回の事案、精神病院等でこうした事案が発生しているということは甚だ遺憾なことでございます。その上で、東京都において精神保健福祉法及び医療法に基づく立入検査等の対応が現在行われておりますので、そうした東京都の対応をしっかり見据えつつ、連携を密に図りながら実態把握を早期に行い、その上で適切な対応を取りたいと考えております。
○宮本(徹)委員 先ほど小川委員からも指摘がありましたけれども、患者側の弁護士は診療報酬を不正に請求している疑いがあるということで病院の保険医登録の取消しを求めておりますが、こうした角度でも当然調べる、調査するということでよろしいわけですね。
○加藤国務大臣 診療報酬の不正請求について、個別の事案についてお答えするのはこれまでも差し控えさせていただいておりますが、一般論ということにもなりますけれども、病院における診療報酬の不正請求が判明した場合は健康保険法に基づいて厳正に対処することとなります。
○宮本(徹)委員 ちなみに、この間、診療報酬の不正な請求は滝山病院はなかったんですか。
○三ッ林委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○三ッ林委員長 速記を起こしてください。加藤大臣。
○加藤国務大臣 先ほど申し上げたように、個別の事案についてお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、一般論として申し上げたように、病院における診療報酬の不正請求が判明した場合には健康保険法に基づいて厳正に対処するということであります。
○宮本(徹)委員 これだけの問題になっているわけですから、しっかり、これは国民に対しても、どういう事態があってどこまで厚労省が把握しているのかというのは明らかにされた方がいいと思います。そして、この精神科病院の指導監督に当たるのは都道府県ということになっているわけですけれども、長期にわたる虐待というのが疑われているわけです。東京都は、昨年五月以降、四回調査したといいますけれども実態は把握できなかった、こう述べていたわけですね。大臣は、この滝山病院について、東京都の指導監督が十分に機能してきた、こういう認識でしょうか。
○加藤国務大臣 今回の事案については、現在、東京都が立入検査等の対応を進めていることでありますので、その詳細について申し上げることは差し控えたいと思いますが、一方、東京都も含め都道府県は日頃から精神科病院の指導監督等を実施しているわけでありますけれども、そうした中でも虐待事案が発生をしております。虐待行為が潜在化しやすいことを踏まえた対応が必要であり、二月十七日には、虐待が強く疑われる緊急性が高い場合などは予告期間なしに、ちゅうちょなく速やかに指導監督等を行うよう、改めて都道府県に周知をしたところでございます。また、改正精神保健福祉法において、令和六年四月から、虐待を発見した人には都道府県に通報する義務が生じるわけでありますが、改正法の施行に向け、精神科病院の虐待防止措置に係る取組をしっかり進めるとともに、施行までの間においても、虐待の防止、早期発見、再発防止に向け、自治体ともよく連携をして対処していきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 関係者の皆さんは、やはり都道府県の指導監督機能が明らかに機能していないと口々に指摘されていらっしゃいます。精神科病院の虐待はこの数年でも繰り返されているわけですよね。どうすれば指導監督機能がちゃんと発揮されるのかというのを真剣に考えなければならないというふうに思います。基本的に都道府県は年一回は検査をするわけですけれども、予告してから行くわけですよね。滝山病院の場合は、報道を見ていましても、検査の前に拘束具を隠していた、こういう元職員の証言が出ております。私も、滝山病院に監査に入ったことがある医師に聞きました。ですけれども、あのような暴力があることを見抜けなかったと述べておられました。国の通知を見ると、入院中の者に対する虐待が強く疑われる緊急性が高い場合等については予告期間なしに実施できることとありますが、法律上適正を欠く等の疑いでは、最長でも一週間から十日間の予告期間で行うということになって、法律上の適正を欠く疑いがあっても予告して行くのが前提のようになっているわけですよね。これでは、滝山病院のように、虐待だとか、あるいは、医師の指示がない拘束だとかそういうのをやっているということを隠すということが、予告することによって起きてしまうわけであります。ですから、予告なしの立入検査をもっと入れるようにする、こうしたことも含めて、都道府県の指導監督がしっかり機能するようにしなきゃいけないんじゃないでしょうか。
○加藤国務大臣 精神保健福祉法に基づき、都道府県知事は、必要があると認めるときは、精神科病院の管理者等に対し、報告徴収また立入検査等を求めることができるとされており、これはまさに都道府県の判断ではあります。ただ、厚労省としては、虐待行為の早期発見、再発防止に向けて、虐待が強く疑われる緊急性が高い場合等は予告期間なしに指導監督を行うよう、その通知を令和三年に改正をしております。また、本年の二月十七日には改めて、こうした場合には、ちゅうちょなく速やかに行うよう都道府県に周知をしたところであります。今後、今般の事案の実態把握なども踏まえて、必要な場合に都道府県等が予告期間なしに、ちゅうちょなく速やかに指導監督を行うよう、更に周知徹底することも含めて、必要な対応を検討したいと考えております。
○宮本(徹)委員 今の答弁は、必要な場合、予告期間なしに入れるということで、今のルールよりももっと予告なしで入れるようにしようという方向だということでよろしいですね。
○加藤国務大臣 元々令和三年の改正で、それまでは場合によっては予告なしに実施とされていたものを、入院中の者に対する虐待が強く疑われる緊急性が高い場合などについては予告なしに実施というふうに書き直し、ちゅうちょなく速やかに行うよう、改正をしたわけであります。そして、それを今年の二月にも申し上げたところでありますが、その上において、今回の実態把握も含めて、速やかに監督指導が行えるよう、更なる周知徹底も含めて、どういう対応が必要か検討したいということでございます。
○宮本(徹)委員 今の、やはり、虐待が強く疑われるというのと、法律上適正を欠く疑いとの、この二つのランク分けがされているわけですけれども、強く疑われるよりも、やはり何らかの疑いがあったら入らないと、予告なしで入れるようにしなければ、ちゃんとした立入検査ということにならない。相手は隠してしまうというように思いますので、もっと予告なしで柔軟に立入検査ができるように、できるというか、しなければならないというようにしていただきたいと思います。あわせて、国の通知を見ますと、法律上極めて適正を欠く等の疑いのある精神科病院に対しては、国が直接実地指導を実施することもあり得ることと書いているわけですね。滝山病院に対して、国は立入検査をすべきじゃありませんか。
○加藤国務大臣 まず、精神保健福祉法に基づく国による精神科病院の立入検査は、都道府県の実地指導の状況を検証するために定期的に行うものを除き、基本的には行っていないところでございます。今回の事案については、現在東京都が立入検査等の対応を進めているところであり、厚労省としては、東京都と連携を図りつつ、実態の把握に努めていきたいと思います。精神科病院への実地指導については、今委員御指摘のように、精神保健福祉法では、都道府県及び国に権限があるとされておりますが、実地指導は原則的には都道府県が行うことにしており、国による直接の実地指導は広域にわたる問題等、特に必要がある場合に特例的に実施すべきものとして整理をさせていただいています。
○宮本(徹)委員 国の通知は、広域的というふうには書いていないんですね。法律上極めて適正を欠く等の疑いがある精神科病院ですから、法律上極めて適正を欠く等の疑いがあると滝山病院については思うんですけれども、この通知の書き方に、書きぶりに滝山病院は合致しているんじゃありませんか。
○加藤国務大臣 今申し上げたように、通知において、基本的には都道府県知事においてこれら監督権を発動するものであること、なお、これらの規定により、厚生労働大臣の監督権は、広域にわたる問題等特例的な場合に限り発動するものであると記載をされているところであります。現時点においては、まず、東京都と連携を図りながら実態の把握を行いたいと考えています。
○宮本(徹)委員 通知には、特例的ということに、広域ということは書かれておりません。都道府県の指導監督がしっかりと機能していればもっと虐待は防げるわけですけれども、それはなかなかやはり機能し切れていない、何度もあちらこちらで深刻な虐待事案が繰り返されている、こういうことを踏まえれば、じゃ、虐待防止に対して国はどう責任を果たしていくのかというのをもっと真剣に考えなければならないというふうに思います。その上で、もう一点お伺いします。滝山病院の朝倉院長は、〇一年の朝倉病院事件で保険医の指定が取り消されております。なぜ、また院長になれたのかという疑問が湧き起こっているわけです。法律では、保険医の登録について、申請者が保険医又は保険薬剤師として著しく不適当と認められる者であるときは登録をしないことができるということになっているわけですね。朝倉院長の再登録の際、厚労省はどのような指導をしたのか、再登録の判断は妥当だったのか、再登録の判断を厳格化する必要があるのではないのか、お答えください。
○加藤国務大臣 保険医の登録を取り消された医師から再登録の申請があった場合、健康保険法上、申請者が保険医の登録を取り消された日から五年を経過しない者であるとき、申請者が禁錮以上の刑に処せられて刑の執行を終えていないとき、申請者が保険医として著しく不適当と認められる者であるときは保険者の登録をしないことができるとされており、こうした事由に該当しない場合は、健康保険法の規定に基づき、保険医の登録を行うということになります。今委員から御指摘があった、申請者が保険医として著しく不適当と認められる者であるときについては、局長通知において、取消処分を逃れるために保険医等の登録を辞退し、その後しばらくして登録申請をしていたとき、保険医等の登録取消しを二度以上重ねて受けたときに該当する場合であると示しており、その場合には、地方社会保険医療協議会の協議を経た上で、再登録を拒否することが可能となっております。保険医の登録については、こうした法令、また通知等を踏まえて対応しているところでございます。現状においては、現行の健康保険法において、取消しから五年を経過した者や該当する刑の執行を終える者に再登録の機会が認められる趣旨を踏まえて、こうしたような対応となっているというふうに承知をしております。
○宮本(徹)委員 その局長通知は私もいただいて見ているわけですけれども、その二項目に該当しなければ、五年たてば再登録をしてしまう、これでいいのかと。著しく不適当と認められる者という場合に、もっと私は厳格に見なければ、今回のように、同じような事態が繰り返されるということになってしまうんじゃないかと思うんですね。ですから、これは再登録の判断基準を検討する必要があるんじゃないでしょうか。
○加藤国務大臣 先ほど申し上げたように、現行の健康保険法においては、取消しから五年を経過した者や該当する刑の執行を終えた者についても再登録の機会が認められているわけでありますので、単に保険医の指定を一度取り消されたからといって保険医の対応をする場合の基準を厳格化するというのは、そうした法の均衡からして、いろいろ課題があるというふうに認識をしております。
○宮本(徹)委員 何らかのルールをやはり厳格化しなければ、同じようなことが繰り返される。今回、もし取消しということになった場合、五年後またということも、ああ、二回取り消すというのは、それはないわけでしたけれどもね。ですけれども、二回目までを認めちゃうということになっているわけですから、そこはしっかり、私は判断基準を厳格化をすべきだと思います。~以下略~