2023年3月16日 衆院内閣・厚生労働委員会連合審査会 接種被害救済 迅速に 体制強化抜本的に

 日本共産党の宮本徹議員は3月16日の衆院内閣・厚生労働委員会連合審査会の新型インフルエンザ特措法集中審議で質問し、予防接種の健康被害救済のための申請認定の迅速化に向けた抜本的な体制強化を求めました。
 加藤勝信厚労相は、早期に対応すべきは死亡一時金だが、認定までの平均期間が1年2カ月かかっているとして、さらに迅速化して被害救済が受けられる体制を構築したいと答えました。
 宮本氏は、申請にはカルテの開示など医療機関の協力が必要だとして、周知啓発を要求。加藤厚労相は、自治体と連携し引き続き周知啓発の努力を続けると答弁しました。
 宮本氏は、新型コロナの5類見直し後も、外来のひっ迫を想定するなら、検査キットを無料または安価で入手できる仕組みが必要ではないかと質問。加藤厚労相は、市場価格引き下げのための補助等は行わないと背を向けました。宮本氏は、自分がコロナかどうか確認できないと治療にもつながらず、感染拡大を防ぐ点でも問題があるとして、検討するよう強く求めました。

以上しんぶん赤旗ホームページ2023年4月2日配信記事から抜粋

≪2023年3月16日 第211国会衆院内閣委員会厚生労働委員会連合審査会 議事録≫

○三ッ林委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。まず、コロナパンデミックの取組の検証についてであります。この新型コロナは、都道府県での人口当たりの死者数は大きな差があります。大阪や北海道、高知は、新潟に比べて四倍の差があります。都市部だけ見ても、大阪は東京の一・七倍近いということになっているわけですね。一般的に、都市化や人口密度や気候というのは感染者数に影響する、高齢化率は感染者の死亡率に影響するというふうに思いますけれども、それ以外に、都道府県の対策や医療、公衆衛生体制なども影響を与えている可能性は大きいわけです。今後の感染症対策を考えても、都道府県ごとの人口当たりの死者数、ここもちゃんと踏まえながらの検証というのが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 委員がお示しいただいたように、都道府県別の人口当たりの新型コロナによる累積死亡者数には地域差がございます。この点、アドバイザリーボードの専門家からも、都道府県別の状況にも注目すべきであるという意見も頂戴をし、令和四年十二月二十八日からは都道府県別の新規死亡者数を資料としてお示しもさせていただいております。地域差の要因としては、そもそもベースとなる感染者数に差があること、罹患した場合に重症化するリスクが相対的に高い高齢者の割合に、これはかなり地域で差があることが要因と考えられますが、都道府県が講じる対策や医療提供体制などが死亡者数に与える影響について、現時点で定量的な分析が行われたものはないと承知をしております。今後、都道府県別の人口当たりの死亡者数も含めて、どのような点に着目し感染状況の分析を行い、それを今後の対応に反映をしていかなきゃいけないか、そういう観点に立って、専門家の御意見もいただきながら、不断に感染状況の評価を行っていきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 これは、本当に今後の命を守る上でも大事な点ですので、しっかり専門家の皆さんの意見を踏まえて対応を願いたいと思います。二つ目ですけれども、新型コロナウイルスの現状の特徴は感染力の強さにあるわけです。この間、外来の体制が足りないということで、重症化リスクがない方は家でセルフ検査をしてほしいということでやってきました。しかし、都道府県が行っている有症者等への抗原検査キットの無料配付事業が大体終わるんですよね。私も、一月に感染したとき、正月でしたので、これは大変助かりましたが、終わってしまいます。では、五類に見直したら、外来でみんなが受診できるキャパがあるのか。それを考えると、この新型コロナの感染力を考えると、その保証はないのではないかと思います。もし外来の逼迫を想定しているのであれば、どうするのか。検査キットを薬局で手に入れるにしても、高くて買えない人もいる。厚労省が承認している検査キットが無料やあるいは安価に入手できる仕組みというのを考える必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 まず、今回の位置づけの変更に伴い、外来医療体制については、これまでの限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常の体制に移行していきたいと考えております。そのため、医療機関における感染対策の見直し、設備整備等の支援、応招義務の明確化等々を通じて、対応する医療機関の維持拡大をまず図っていきたいと思います。加えて、外来の逼迫回避のため、これまでもお願いをしておりました自己検査キットや解熱鎮痛剤の常備を含め、低リスク者への自己検査、自宅療養の呼びかけ、受診・相談センターなどの取組は継続していきたいと考えております。こうした取組で、重症化リスクの高い方や、重症化リスクが低い方であっても症状が重いなど受診を希望する場合には、医療機関を受診できるようにしていきたいと考えています。また、新型コロナの検査キットでありますが、これまでも、それぞれ自己で御負担をいただいて対応してきた方も多くいらっしゃると思います。そうした中で、流通する製品の増加に伴い、価格は以前に比べて徐々に下がってきており、市場価格を引き下げることを目的とした補助等を行うことは考えておりませんが、いずれにしても、今申し上げた対応を取ることによって、今後の感染の拡大等にしっかり対応していきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 徐々に下がってきているとはいっても、やはり一回検査したら千円ぐらいかかるわけですよね。四人家族で四千円。一回で済むのかといったら、抗原検査は大体、一回目では、熱が出た直後では残念ながら正確に把握できない。私も二回測って、二回目でプラスだったわけですね。それを考えたら、四人家族なら八千円の負担ということになっちゃうわけですよね。これは本当に考えないと、外来が逼迫ということが生まれた場合に、自分がコロナなのかどうなのかと確認ができないと、治療にその後つなぐということができない、あるいは感染拡大を防ぐという点でも問題があると思いますので、検討を是非していただきたいと思います。続きまして、予防接種健康被害救済制度ですけれども、先日、新型コロナワクチン接種後に家族を亡くされた御遺族の有志の方が、繋ぐ会として活動されているんですけれども、各会派に申入れがありまして、私もお話を伺いました。代表の須田さんからは、申請から認定まで一年二か月かかったという話でした。二年かかっても審査中の人もいるというお話もありました。認定審査会の資料を見ますと、三月十四日現在の受理件数は六千六百五十七件、審議したのが一千八百六十七と三割弱なわけですね。今年だけ見ても、受理件数はプラス八百件増えていますが、審査したのは三百九十四件ということですから、申請受理に審査が追いついていないのははっきりしていると思うんですね。大臣は、一体、現状どれぐらいこの審査に時間がかかっていると把握しているのか、そして、迅速な救済のためには抜本的な体制の強化が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 まず、救済制度がしっかり迅速に対応していくというのはまず大事だというふうに私も考えております。その上で、期間でありますけれども、この仕組みが、まず市町村に申請され、市町村で書類等を整えられ、それから国に、これは進達という言葉を使っていますが、したがって、市町村における期間はちょっと私どもでは分かりませんが、市町村から国に上がってきて、実際、結論が出るまでについて、大半、半年から一年程度の期間を要しております。特に、私も一番早期に対応すべきなのは死亡一時金だと思っておりますが、この死亡一時金の進達受理から認定までの平均期間は、これまでの処理をしたものについては一年二か月程度かかっているということでございます。やはりこれは私は遅いと思っておりますし、それから、今委員お話しのように、この間は、申請に比べて処理できる方が少なかったものですから、だんだんだんだんたまってきたという御指摘もございました。これまでもいろいろと迅速化に取り組んでまいりまして、その結果として、いわゆる、接種から比較的早期に発症し治癒したアナフィラキシー等の即時型アレルギーについては、国へ進達されてからおおむね四か月程度で認定はされておりますが、更なる対応もすべきということで、審査会の開催頻度を増やす、審査会の増強、増設をする、事務局機能の増強などの取組も行っており、さらに、これまでも、審査事例、いろいろ蓄積もされて、ノウハウが積み重なってまいりました。現状は、おおむね月ごとの進達受理件数を上回る審査が行われる体制には来たなというふうには思っておりますが、更に迅速化を図って、やはり今回のような被害を受けられた方々がその救済がしっかり受けられていく、こういう体制を構築していきたいと思っています。
○宮本(徹)委員 しっかりとした体制強化をお願いします。さらに、もう一点、この予防接種健康被害救済制度のことを医療機関の側が十分知らずに、そういう例があったり、新型コロナワクチンの副反応疑いについての知識が不十分だったり、あるいは、遺族がカルテの開示を求めても応じてもらえなかった、こういう話が御遺族の皆さんからありました。カルテの開示など、救済制度への医療機関の協力について、医療機関への周知啓発が必要だと思うんですよね。今日、資料をお配りしておりますけれども、ぺら一枚ですよね、医療機関に対して予防接種健康被害救済制度のことについて説明しているページは。それも本当に内容も大変乏しいものですから、ここは本当に遺族の皆さんの悲痛な思いに医療機関が応えられるふうに働きかけていただきたいと思いますが、いかがですか。
○加藤国務大臣 医療機関に対しては、医療機関向けの手引をお渡しをするというだけではなくて、ワクチンの添付文書にも注意事項が書かれ、その周知、また、医療品製造販売事業者による適正使用ガイドライン、こういったものも通じて、副反応に関する提供、あるいはこの制度に対する周知、これをしっかり図らせていただいているところでありますので、引き続き、医療機関で正しく対応していただけるよう注意喚起をしていきたいと思っております。また、予防接種後に健康被害を受けた方々が健康被害救済制度の申請を適切に行うためには、御本人のカルテの提供など、医療機関の協力が大変重要であります。厚労省としても、自治体と緊密に連携しながら、医療機関にそうした対応に関しても周知啓発を図っているところでありますので、引き続きそうした努力を続けていきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 よろしくお願いします。最後ですけれども、マスクについてですけれども、今いろいろルールの見直しがあったわけですけれども、症状がなくなったとしても、発症後十日までのマスク、私はこれを推奨すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 新型コロナの症状がある患者の方については、発症日から十日間が経過するまでは、感染リスクが残存することから、マスクを着用すること等、自主的な感染予防行動の徹底をお願いしており、これは三月十三日のマスクの取扱いの見直し以降も変更はしておりませんので、引き続き、新型コロナの症状がある方に関しては、症状がなくなっても、発症日から十日間が経過するまではマスクの着用をお願いをしているところでございます。
○宮本(徹)委員 そこははっきり、いろいろなもので、明示的に伝わっておりませんので、よろしくお願いいたします。終わります。