2023年4月19日 衆院財金・安保連合審査会 米が基地攻撃目標設定 宮本氏指摘 日本、下請けで実行
日本共産党の宮本徹議員は19日の衆院財務金融・安全保障両委員会の連合審査で、ミサイル防衛と敵基地攻撃を一体にする統合防空ミサイル防衛(IAMD)では、米側が攻撃目標を決定し、自衛隊が敵基地攻撃を行うことになると批判しました。
宮本氏は、敵基地攻撃を行う際に攻撃目標を特定するための情報は米軍が保有していると指摘。集団的自衛権行使で敵基地攻撃を行う場合には「米軍以上の情報を日本が持つはずはなく、米側が攻撃目標を決定し、米軍で足りないところを日本に分担を求めるのが必然だ」と迫りました。
浜田靖一防衛相は「今後議論するもので、自衛隊の運用に関わるので答えられない」と述べるのみ。宮本氏は「指揮系統が別々どころか、日本のIAMDは米国の下請けにならざるを得ない。それを隠すのは国民にも国会にも不誠実だ」と批判しました。
宮本氏はIAMDを念頭に置く「統合防空・ミサイル防衛訓練」を自衛隊単独で実施したことはなく、日米共同で行っていると指摘。同訓練項目に敵基地攻撃能力行使も加えるのかとただしました。浜田防衛相は「現時点で具体的な計画はない」と答弁。宮本氏は「敵基地攻撃能力は、IAMDの重要な構成部分で、必然的に訓練項目になっていく。そうなると日常的に仮想敵を想定し、日米で相手国の領土を攻撃する訓練を行うことになり、軍事的緊張を高める」と警告しました。
以上2023年4月23日付赤旗日刊紙より抜粋
≪2023年4月19日 第211国会衆院財務金融委員会安全保障委員会連合審査会第1号議事録≫
○鬼木委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。軍事費倍増の中心的な目的の一つが、敵基地攻撃とミサイル防衛を一体化させた統合防空ミサイル防衛能力、IAMDの構築であります。アメリカの国家安全保障戦略では、同盟国と緊密に協力してIAMDの共同の取組を強化することは米国の重要な優先事項としており、日本を名指ししております。一方、この間の質疑では、岸田総理は、日本は米国のIAMDに参加することはない、全く別物だ、日米は独立した指揮系統に従って行動する、こうおっしゃっているわけです。そこで、浜田防衛大臣にお伺いしたいと思います。集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行う際、日米で攻撃目標の分担は行うのか、それとも、重複をすることを構わずに日本が単独で攻撃目標を決定するんでしょうか。
○浜田国務大臣 まず、存立危機事態における対応を含めて、武力の行使の三要件に基づいて行われる我が国の武力行使は、あくまでも我が国の防衛のために我が国が主体的に行う自衛の措置であります。また、米国は、これを支援し補完するとともに、拡大抑止を提供するといった立場にあり、こうした日米の基本的な役割分担は日米ガイドラインにも記載しているところであります。その上で、反撃能力については、弾道ミサイル等の対処と同様に、日米が協力して対処していくこととしているところでありますが、日米共同でその能力をより効果的に発揮する協力体制を構築することとしております。他方、日米間での協力内容は、お尋ねの点も含めて日米間で今後議論していくものであり、また自衛隊の運用に関わる事柄であるため、詳細をお答えすることができないことを御理解いただきたいと考えます。自衛隊による全ての活動は、共同対処を含め、我が国が主体的な判断の下に各々独立した指揮系統に従って行動して、これは反撃能力においても変わりはございません。
○宮本(徹)委員 攻撃目標の分担をするのかどうか今後議論する、もし議論した後についてもお答えはできないと。そんなこと言って、どうやって日米が独立した指揮系統に従って行動しているかどうか、国会は確認のしようがないじゃないですか。あり得ない答弁だと思いますよ。どう考えたって、軍事の常識として、同じ目標を日米で攻撃するなんてあり得ないわけであります。当然、集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行う際は、攻撃目標の分担案の提示というのはアメリカ側が行ってくることになるんじゃないですか。
○浜田国務大臣 今御指摘の点については、我々とすれば、日米間で、この協力の内容については、お尋ねの点も含めて今後議論していくものであって、自衛隊の運用に関わる事柄であるため、先ほども申し上げたように、お答えできないことを御理解をしていただきたいと思います。一般論として申し上げれば、反撃能力については日米が協力して対処することとしており、情報収集、分析についても日米で協力することとなると考えますが、いずれにせよ、日米間で状況に応じた双方向の調整を行い、緊密に連携していくこととなるため、御指摘のように米側から一方的に提案がなされる性質のものではないと考えております。
○宮本(徹)委員 アメリカ側から一方的な提案がなされることはないとおっしゃいましたけれども、驚きの答弁ですけれども、じゃ、日本側が提案することがあるということなんですか。集団的自衛権の行使ですよ。戦争しているのは、まずアメリカが戦闘している、それに対して日本が集団的自衛権として敵基地攻撃を行う際に、日本の側からここを攻撃した方がいいですよというふうにアメリカに提示するんですか。そんなことあり得ないと思いますけれども。
○浜田国務大臣 我々とすれば、常に情報の共有をしていくわけでありますので、その都度その都度の場面によって変わってくるものと思いますが、仮定の質問でございますので、これに対してはお答えができないということであります。
○宮本(徹)委員 仮定の質問だから答えないというのでは、私は本当に問題だと思うんですよね。総理は日米は独立した指揮系統に従って行動するなんという答弁をしているから、いや、それは事実と違うんじゃないかということを確認したいわけですよ。どう考えたって、集団的自衛権の行使として日本が敵基地攻撃能力を行使する際、日本の側から、アメリカの戦状全体をつかんで、米軍に対してここを攻撃した方がいいと思いますとか、私たちはここをやりますなんて、こんな話するわけないじゃないですか。アメリカの側から提示があるんじゃないんですか。交戦している米軍以上の情報を日本が持つなんということがあり得るんですか。
○浜田国務大臣 基本的に、こういった事態対応に対しては常に議論が行われ、そして、我々の判断だけでできるものではなく、常に国会の確認を取りながらその中で判断をしていくことになるわけでありますので、今申し上げた点について、委員からの御指摘のように、すぐにこれで対応していくということにはならないわけでありまして、あらゆる状況の判断をすることが極めて重要だというふうに思っております。
○宮本(徹)委員 いや、私はそういうことを聞いているんじゃないんですよね。結局、交戦している米軍以上の情報を日本は持つことはないわけですから、米軍の情報に基づいてアメリカ側が攻撃目標を決定して、米軍で足りないところを米軍の側から日本にここを分担してくれと求めてくるのは、これは必然になると思うんですよ。結局、私は、日本のIAMDというのは米軍の下請にならざるを得ない、このことを厳しく指摘しておきたいと思います。日本がトマホークを使用するのに必要な地形情報はもちろんのこと、攻撃目標の位置情報も結局米軍から入手することになるんじゃないですか。
○浜田国務大臣 まず、国家防衛戦略等においては、スタンドオフ防衛能力の運用に必要となる目標情報等を一層効果的に収集するといった観点から、衛星コンステレーションを活用した画像情報等の取得や、無人UAV、目標観測弾の整備等を行うことによって、情報収集、分析機能を強化することとしております。こうした我が国自身の取組を進めつつ、日米間でも情報収集、分析等に係る協力を進めていくことになると考えておりますが、これ以上の詳細については、今後日米間で議論していくものであって、自衛隊の運用に関わる事柄であるため、お答えできないことを御理解いただきたいと考えます。
○宮本(徹)委員 現実の衛星情報なんかは今でも米軍側から入手してやっているわけであります。ですから、実際は、攻撃目標はアメリカの側が決め、攻撃目標の位置情報も米軍が指示をする、そのことによって、指揮系統は別々どころか、日本のIAMDはアメリカのIAMDの一部として組み込まれることは私は明白だと思いますよ。それは軍事の常識だと思うんですよ。そのことを隠して、これから議論だ、そして、議論で決まったこともお答えすることはできない、これは本当に国民に対しても国会に対しても極めて不誠実な、あり得ない姿勢だと思います。加えてお伺いしますが、自衛隊の統合防空ミサイル防衛訓練はこれまで何回行ったのでしょうか。日米合同では何回、日本単独では何回あるのか、お答えください。
○浜田国務大臣 統合防空ミサイル防衛訓練は、平成二十九年度から日米共同訓練として実施しており、これまで六回の訓練実績があります。なお、本訓練は、日本単独で実施はしておりません。
○宮本(徹)委員 何で日本単独では行っていないんでしょうか。必ず日米でやっているんですか。
〇浜田国務大臣 統合訓練においては、日米の参加部隊の間で、データリンクを通じて情報を得て、弾道ミサイル対処及び防空戦闘に関するシミュレーション訓練を実施をいたしました。これは、弾道ミサイルへの対処を含む統合防空ミサイル防衛に係る自衛隊の統合運用能力及び日米共同対処能力の維持向上を図ることを目的に行っております。その上で、訓練の内容の詳細については、各種の事態における我が国及び米国の具体的対応に関わるものであるために、事柄の性質上、お答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
○宮本(徹)委員 私はそういうことを聞いているわけじゃなくて、何で、日本単独でやらずに、日米でいつも一緒にやっているのかということをお伺いしたんですけれども。結局、このIAMD、統合防空ミサイル防衛というのは、日本単独ではやらないからじゃないんですか。アメリカの情報に基づいて、アメリカのIAMDの中に組み込まれているから、常に常に日米共同でこの訓練はやっているということになるんだと思うんですよね。先ほど、データリンクというお話がありましたけれども、この訓練のデータリンクでは、日米一体で攻撃目標の分担というのは当然やっているわけですよね。
○浜田国務大臣 日米共同統合防空ミサイル防衛訓練は、日米の参加部隊間で、データリンクを通じて情報を得て、弾道ミサイル対処及び防空戦闘に関するシミュレーション訓練を実施をしております。これは、弾道ミサイルへの対処を含む統合防空ミサイル防衛に係る自衛隊の統合運用能力及び日米共同対処能力の維持向上を図ることを目的に行っております。その上で、訓練の内容の詳細については、先ほども申し上げましたが、事柄の性質上、お答えすることが困難であることを御理解をいただきたいと思います。
○宮本(徹)委員 攻撃目標も日米で分担しないと、複数のミサイルが飛んできたときに、どちらの方からそれは迎撃した方がいいのかということを当然やっているわけですよね。隠すような話じゃないと思いますよ。そうすると、これまでは、弾道ミサイル対処及び防空戦闘を主要な訓練項目としていたわけですけれども、今後、この日米共同の統合防空ミサイル防衛訓練というのは、訓練項目に、敵基地攻撃能力の行使、これも加わるということですか。
○浜田国務大臣 先ほど来申し上げておりますけれども、日米共同統合防空ミサイル防衛訓練は、弾道ミサイルへの対処を含む統合防空ミサイル防衛に係る自衛隊の統合運用能力及び日米共同対処能力の維持向上を図るために実施をしております。なお、今後の訓練の内容について、御指摘の反撃能力の行使に関わる訓練については、現時点で具体的な計画はございません。
○宮本(徹)委員 現時点ではって、今持っていないから現時点で計画はないわけですけれども、当然、IAMDは、政府の方針自身でも、敵基地攻撃能力を重要な構成部分にしているわけですから、日米で敵基地攻撃能力も一緒に訓練していくということに必然的になっていくと思うんですよね。そうすると、日常的に仮想敵を想定して、日米で相手国の領土を攻撃する訓練を今後行うことになっていくわけですよ。こんなことを平時からやり始めたら、相手国との関係で極めて緊張関係を高める、そういうことにしかならないんじゃないですか。
○浜田国務大臣 我が国自身の防衛体制の強化に加えて、同盟国である米国との協力を一層強化することが必要であると考えております。これらの強化に当たり、各自衛隊が行う共同訓練は重要な役割を果たしており、日米共同訓練の実施は、日米同盟の抑止力、対処力を強化するために不可欠であると考えます。その上で、自衛隊が行う共同訓練は、あくまでも自衛隊の戦術技量の向上や外国軍隊との連携の強化が目的であり、特定の国を念頭に置いて実施しているものではありません。そのため、自衛隊と米軍による共同訓練が周辺諸国との軍事的緊張を高めるといった御指摘は当たらないものと考えております。
○宮本(徹)委員 本当に真顔でそういう答弁をすると私も驚いちゃうんですけれども、トマホークは、トマホークミサイルの中にも、それが正確に相手の目標にぶつかれるように相手国の地形データも含めて搭載するわけでしょう。それがなければトマホークミサイルの機能を発揮できないわけですから。そういうミサイルを持つということは、特定の相手国を想定しないと言いながら、特定の相手国を特定しない限り、トマホークにはそうした地形データは入れられないじゃないですか。そうですよね、大臣。そういう、本当に、国民をごまかすような答弁ばかりするのはやめていただきたいと思います。本当に、敵基地攻撃能力を持つことは私たちの国をアメリカの戦争に巻き込まさせる道だということで、やめるべきだということを申し上げまして、質問を終わります。