2023年4月26日 衆院財金・安保連合審査会 FМS爆買いやめよ 未納・未清算・部品不具合

 日本共産党の宮本徹議員は26日の衆院財務金融・安全保障両委員会連合審査で、米国の武器輸出制度「有償軍事援助」(FMS)について追及しました。
 宮本氏は、FMSでは、会計検査院が、前払いしても納入されなかったり、精算されずに余剰金が戻ってこなかったりするケースの改善を求めていると指摘。浜田靖一防衛相は、未精算額が2019年度の332億円から21年度の400億円へと増加しており、21年度の未納入は63件の123億円に上ると明らかにしました。
 また、FMSで購入した部品には機能欠落や損傷などの不具合が継続的に発生しており、改善されたのかと追及。浜田防衛相は不具合報告が21年度で89件あり、オスプレイの部品にも「へこみや傷が確認された」と答弁しました。
 宮本氏は「(23年度予算で)FMSが4倍となり、未納、未精算、欠陥品の納入が大きく増える」と追及。鈴木俊一財務相は「放置していい問題ではなく、予算編成でしっかり査定したい」と述べました。
 また宮本氏は、財務省の調査で、C2輸送機やP1哨戒機などの国産航空機でも、4~6割に輸入部品が使われ、価格上昇の要因になっていると指摘。浜田防衛相は「米国企業の言いなりで調達しているわけではない」と答弁しました。宮本氏は「FMSの問題を解決すらせず、軍事費倍増を進め、医療、年金財源の削減や増税は許されない」と強調しました。

以上2023年4月27日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2023年4月26日 第211国会衆院財務金融委員会安全保障委員会連合審査会第2号議事録≫

○塚田委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。今日は、アメリカ政府を通じて調達しますFMSについてお伺いいたします。今年度予算は、FMSが昨年の四倍、一兆四千七百六十八億円、巨額に膨らんでおります。防衛力整備計画の五年間で、米国のFMSで調達すると決まっているものの総額は幾らか。また、国産で調達するものは幾らか。どちらか確定しないものは幾らか。お答えください。
○浜田国務大臣 防衛力の抜本的強化については、必要となる防衛力の内容を積み上げさせていただきました。どのような機能、装備品が必要であるかについては、これは当然積み上げで行っておりますが、機種選定が終わっておらず、FMSで取得するか否か決定していない事業があること、また、FMSによる取得に向けた米国との調整が未了の事業があることなどから、現時点で五年間のFMS調達額や国内調達額の総額をお示しすることは困難であり、各年度の予算編成の過程でその規模を示してまいりたいと思います。その上で、令和五年度予算について申し上げると、契約額約八兆九千五百二十五億円のうち、国内からの調達は約六兆八千二百五十八億円、約八割、FMS調達額は約一兆四千七百六十八億円、約二割となります。以上です。
○宮本(徹)委員 いや、本会議の答弁のときに総理は、米国から調達するか、国産で調達するか、確定しないものもあるためという答弁をされたんですね。でも、それ以外に確定しているものもあるんじゃないかと思いますから、来年以降も含めて五年間で確定しているFMSの額をお伺いしたんですよ。
○浜田国務大臣 済みません、今御答弁したことが今私どもとして把握していることでございます。
○宮本(徹)委員 それ以外にも確定しているものがあるはずだと思うんですけれども、後で資料要求したいと思います。続きまして、FMSは、価格は言い値、そして前払い。そのため、前払いしたけれども納入されない、あるいは、精算されず、前払いの余剰金は戻ってこないケースがある。二〇一九年、会計検査院からこの点の改善が求められました。会計検査院がFMSの未精算額の減少を求めましたが、果たしてこの未精算額は解消されたのか。二〇一九年度から二〇二二年度、各年度のFMSの未精算の件数、そして未精算の額、お述べいただけますか。
○浜田国務大臣 未精算件数及び未精算額については、二〇一九年度は二百二十九件、三百三十二億円、二〇二〇年度は二百五十件、三百三十七億円、二〇二一年度は三百十三件、四百億円となっております。二〇二二年度については、現在集計中であり、お答えすることが困難であることを御理解をいただきたいと思います。その上で、未納、未精算の解消の取組として、履行状況を把握するために履行管理体制の強化など様々な取組を行っているところであります。FMS予算が増額する中、未納入、未精算の解決に向け、継続して、私自身、働きかけを行っていくことが重要だと考えております。
○宮本(徹)委員 今のお話を聞くと、二〇一九年、一回減らしたものの、二〇一九年、二〇年、二一年と、未精算の件数も未精算の額も増え続けているという話じゃないですか。根本的な改善が全く図られていないと言わなければなりません。それから、出荷予定時期が過ぎても武器が納入されない未納入のケースについて、これも出荷促進へアメリカと調整を行うよう会計検査院に求められました。未納というのは解消されたんでしょうか。二〇一九年度から二〇二二年度の未納件数、未納額についてお述べいただけますか。
○浜田国務大臣 未納入件数及び未納入額については、二〇一九年度は八十四件、百六十六億円、二〇二〇年度は五十五件、百四十四億円、二〇二一年度は六十三件、百二十三億円となっております。二〇二二年度については、現在集計中であり、お答えすることが困難であることを御理解をいただきたいと思います。
○宮本(徹)委員 未納入額は減少を若干しているようですけれども、それでも依然として二〇二一年度、百二十三億円と巨額に上っているわけですね。前払いして納入されない、こういうのが毎年毎年繰り返されたら、普通の商取引だったら、こんなの、相手はおしまいですよ。あり得ないことがこのFMSでは続いているわけでございます。さらに、二〇一七年の会計検査院の指摘では、アメリカから届いた武器の受領検査についても様々改善を求めております。二〇一九年、私も安保委員会で部品の不具合の問題を取り上げましたが、果たして改善されたのか。アメリカに送付した不具合報告書の件数と契約額について、二〇一九年度から二〇二二年度まで述べてもらえますか。
○浜田国務大臣 FMSで調達した装備品等に関して米国政府に不具合報告書を提出した件数は、二〇一九年度は八十九件、二〇二〇年度は百二十二件、二〇二一年度は八十九件となっております。二〇二二年度については、現在集計中であり、お答えすることが困難であることを御理解いただきたいと思います。また、不具合報告があった契約額については、通常業務として集計を行っておらず、お答えすることは困難ですが、不具合報告の対象物品の総額については、二〇一九年度は約二億円、二〇二〇年度は約四億円、二〇二一年度は約四億円となっております。
○宮本(徹)委員 この不具合も、継続的に発生していて、一向になくならないわけですね。ただの計算書の間違いというだけでなく、機能が欠陥している商品だったり、損傷した部品やさびている部品、あるいは異なる部品が届いているということなんですよね。私、不具合報告書の事例リストというのをいただきました。例えば、二〇二一年度で見ると、ティルトローター機、オスプレイですかね、これについては、部品の損傷、発さび等が四件あります。これは具体的にはどういうことなんですかね。なぜそうなっているんですかね。
○浜田国務大臣 不具合のあった個別具体的な部品名、不具合の事象内容については、米国政府との関係もあることからお答えできませんが、一般的な不具合の事象として、品目数量過不足、品目の相違、損傷やさびの発生等がございます。御質問のティルトローター機の部品については、当該物品を部隊が受領検査を行った結果、部品のへこみや傷が確認されたため、米国政府に対して是正措置の要求を行っております。本件は米国政府側の責任と判断され、不具合品の交換や金銭賠償による是正措置が取られる予定となっております。いずれにいたしましても、不具合の事象があったものについて、速やかに米側と調整し、対応を行ってまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 そういうへこんだ部品が送られてきているというのは、これまた普通の商取引じゃ余り考えられないわけですよね。オスプレイは訓練でも墜落が少なくなく起きております。大体、部品を交換するために、壊れているから部品を交換するわけですけれども、そうしたらへこんだ部品が届くというのは、本当に漫画みたいな話だと私は思いますよ。しかし、これは本当に、オスプレイが訓練されている地域の住民からすれば、そういう部品が届いてくること自体、私は命に関わる問題だというふうに思います。財務大臣にお伺いしたいんですけれども、FMSが今年は四倍化、さらに、今後も大量のアメリカ製兵器の爆買いというのが想定されます。そうすると、このFMSの未納だとか未精算だとか欠陥品の納入だとか、これがどんどんどんどん大きく膨らんでいくんじゃないんですか。
○鈴木国務大臣 FMS調達について、これまで未精算や未納入、不具合等の問題点があるということ、宮本先生からも今御指摘があったわけであります。こうした不具合の問題点につきまして、防衛省において、これらの原因の特定と課題の解消に向けて、組織レベルでのFMS管理体制の強化、大臣レベルでの働きかけといった取組を進めているものと承知をしているところであります。その上で、FMSについては、我が国にない高性能な装備品を米国政府から早期に導入することができるといった面もあり、具体的に調達する装備品の種類等については、所管する防衛省において、必要な性能、コスト、スケジュールなど様々な観点から検討されているものと考えております。防衛力の強化に当たりましては、防衛力整備計画に基づきまして、実効的かつ効率的に進めることが重要である、そのように考えます。こうした観点から、各年度の予算編成において、FMS調達についてもしっかりと精査をして、必要に応じて改善に向けた取組を反映していきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 何年か前質問したときも同じような答弁が当時あったんですよね。課題を解消していきたい、全然解消していないんですよ。課題を解消していないのにFMSをどんどんどんどん増やしていくというのは、国民の税金の使い方として到底理解が得られないと思いますよ。そういう自覚は、大臣、ないんですか。
○鈴木国務大臣 FMS調達についての問題点があるということ、これは今、宮本先生とそれから浜田大臣のやり取りの中でも具体的に明らかになったところであります。もちろん、こうした課題がある、問題点があるということは、これはこのまま放置していい話ではありません。国民の税金を執行するという意味におきましてもこれはよくないことでございますので、先ほど申し上げましたとおり、各年度の予算編成におきまして、こうした問題点についてしっかりと査定をしてまいりたいと思っております。
○宮本(徹)委員 査定すると言いながら四倍にも増えているわけですよ。こうしたFMSの問題点を解決すらせずに軍事費倍増、しかも、その財源として、増税や、医療や年金の財源の横取りをする、到底許されないと思いますよ。さらに、当初よりも価格が高騰している兵器というのが防衛省の場合多いわけですけれども、この間、価格が一・五倍から二・五倍に上昇している輸送機C2や哨戒機P1など国産主力航空機四機について、財務省が調査をしております。そうしたら、国産航空機であっても四から六割が輸入部品で構成され、それらが価格上昇の要因になっているということが明らかになっております。この輸入部品は、三倍とか八倍とか九倍だとか上がっているわけですね。この輸入部品価格上昇の要因は何なのか。プライム企業と下請企業との契約はどうなっているのか。米国企業の言い値になっていることはないのか。防衛大臣にお伺いしたいと思います。
○浜田国務大臣 御指摘の防衛省・自衛隊の航空機部品の価格上昇については、輸入部品の生産量の減少や海外における人件費、材料費の上昇、為替変動などが主な理由となります。この輸入部品については、プライム企業とその下請企業がそれぞれ海外企業から調達し、最終的にはプライム企業が、下請企業との契約関係の下、機体に組み込み、防衛省に納入することになります。この中で、プライム企業及び下請企業は、輸入品を効果的に調達するため、海外企業と価格交渉等を行いますが、この際、価格上昇要因についても確認し、やむを得ない事情か否か、その妥当性を確認して調達していることから、米国企業の言いなりになって輸入部品を調達しているわけではございません。いずれにしましても、防衛省としては、価格上昇に強い問題意識を持っており、限られた財政資源を最大限生かし、効果的かつ効率的な調達に不断に取り組むとの観点から、機体や構成品の長期契約による一括調達、維持整備費の低減に係る検討、構成品価格等のデータベース化による価格上昇要因の平素からの確認と迅速な対応策の検討といった取組を進めているところであります。防衛省としては、このような取組を通じてこの価格問題に対してのしっかりとした対応ができるよう、不断に努力をしていく覚悟でございます。
○宮本(徹)委員 いや、アメリカの企業の言いなりになっているわけじゃないというお話でありますけれども、八倍とか九倍とかに上がっていくというのは普通考えられないわけですよね、常識的には。国内の部品はそんなに上がっていないわけですから。ところが、輸入部品は物すごい勢いで上がっている。私は、こういうところに本当にしっかりメスを入れなきゃいけないと思いますよ。アメリカ企業の言いなりだとかFMSだとか、ここにしっかりメスを入れることもなく、本当に大軍拡だけ進めていく。到底許されないということを申し上げまして、時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。
○塚田委員長 本日は、これにて散会いたします。