2023年6月2日 地こデジ・厚労 連合審査会 改定マイナンバー法「10割負担」解決策なし 宮本徹氏「保険証廃止は中止を」
配付資料 出典:全国保険医団体連合会「医療現場と患者の無用なトラブルを招く健康保険証廃止法案は廃案に」5月31日緊急記者会見資料
配付資料 出典:健康保険法
日本共産党の宮本徹議員は2日の衆院地域・こども・デジタル特別委員会で、健康保険証を廃止すれば、マイナ保険証による医療現場のトラブルはさらに深刻になると指摘し、「健康保険証の廃止は中止すべきだ」と迫りました。
宮本氏は、保団連の調査で、ICチップが壊れるなど本人の資格確認ができず、窓口10割負担を求めた例が393件にのぼると指摘し、「保険料を納め、マイナ保険証を提示しているのに、さまざまな不備によって、窓口10割負担を求められるようなことはあってはならない」と迫りました。
加藤勝信厚生労働相は「弾力的に3割等の自己負担に合わせた対応が取られるよう、いま医療の関係者の方と調整をさせてもらっている」と述べました。
宮本氏は、健康保険法と規則では資格が明らかでない人は10割負担としており、医療現場からは初診の患者に未収金を覚悟で3割負担はできないと声が出ていると指摘。加藤厚労相は「そうした懸念の声があることも承知していることも踏まえ、具体的なやり方を調整させていただきたい」と述べるだけで、具体的な解決策を示しませんでした。
宮本氏は、健康保険証を廃止した場合、資格確認書の申請がない人への職権での発行は自治体の大きな負担になり、修学旅行などで健康保険証のコピーの代わりに資格確認書を持っていく場合、申請の子育て世代にも自治体にも大きな負担になると指摘。社会のさまざまな面で不便をもたらす健康保険証廃止は中止すべきだと強く求めました。
以上2023年6月3日付赤旗日刊紙より抜粋
≪2023年6月2日 第211国会衆院地域活性化・こども政策・デジタル形成に関する特別委員会厚生労働委員会連合審査会第1号 議事録≫
○橋本委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。今日、全国保険医団体連合会の調査が引用されておりますけれども、マイナ保険証のシステムを運用している二千四百四十の医療機関で、トラブルがあったが六三・八%と。保険者情報が正しく反映されず、無効、該当資格なしと表示される、あるいは、マイナ保険証の不具合、カードリーダーの不具合、様々なトラブルが起きているわけですね。四月のオンライン資格確認の件数が一億三千万回。うち、マイナ保険証によるオンライン資格確認の件数は八百三十万回ということなんですね。今は健康保険証でやっているから、逆に言えば、トラブルはこの程度だということなわけであります。これは、健康保険証を廃止したら、物すごい数のトラブルが起きる、大変な現場の負担になるんじゃないかと思いますが、その自覚は大臣にございますか。
○加藤国務大臣 先ほどの質問にもありましたけれども、まずは、オンライン資格確認を導入した医療機関等で生じたトラブルについては、社会保険診療報酬支払基金等に設置されたオンライン資格確認に関するコールセンター、これでしっかり対応させていただいて、きめ細かく対応し、更にそれを強化していきたいと考えております。また、顔認証つきカードリーダーや資格確認端末の不具合、あるいはシステム障害等が理由でオンライン資格確認等が、システムを利用した資格確認がその場で行えない場合には、こうした、いわゆるシステム障害時モードを立ち上げて対応するという仕組み、これを既に明らかにさせていただいております。さらには、緊急時の場合にはマイナポータルの被保険者資格画面を提示し、それを活用するということも考えられるところでございます。こうした取扱いを明確にし、医療現場に周知している中で、健康保険証の廃止に向けた、更に改善すべき点はないか等も引き続き検討し、円滑な廃止に向けて作業を進めていきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 コールセンターにつながらない、トラブルのたびにいろいろな仕組みをつくっても、本当にそれは、現場の負担がどんどんどんどん増えるだけなんですよね。さらに、十割負担を請求したことがある医療機関、百七十一医療機関、推計値で三百九十三件あったということなんですね。大臣の基本的な認識をお伺いしますけれども、保険料を納めて、マイナ保険証を提示しているのに、保険者側の様々な不備によって窓口で十割負担が求められる、こういうことは本来あってはならないことなんじゃないですか。
○加藤国務大臣 窓口において、そもそも健康保険証の紙の段階でも、本人がお忘れになる、あるいは転職に伴うタイムラグ、そういったことが生じている。その場においては、十割負担の中で弾力的に三割等、自己負担に合わせた対応をしていただいているところでございますので、今回、こうしたシステム障害等々の場合において、基本的にはそうした対応が取られるよう、具体的な内容について、今、医療の関係者の方と調整をさせていただいており、今後整理をした上で、その内容をしっかりと周知をしていきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 いろいろ整備するというんですけれども、今日、健康保険法を配っております。法律上、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、療養給付を受けることができ、三割負担になるということなんですね。資格確認ができなければ十割負担、これがもう法律上の仕組みになっているんですね。療担規則の中では、療養の給付を受ける資格が明らかな場合は、その限りでないという整理をしているわけですよ。つまり、今でも柔軟な対応はやっていますよ。連続して治療をしている人だったら、たまたま保険証をそのとき忘れても、この人はこの保険の人だからということで三割負担でやるということができるわけですけれども、新しい、初めて来た患者さんだった場合、そういう対応はとても取れないというのが医療現場から起きている声なんですね。未収金を覚悟で三割負担だけやってくださいということを医療機関に求めるということなんですか。
○加藤国務大臣 そうした懸念の声があることも承知をしております。ですから、そうしたことも踏まえて、今、医療機関の皆さん方とも具体的なやり方を調整をさせていただき、調整ができ次第、整理した考え方をお示しさせていただきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 そうした懸念の声があり、やり方は調整しているということですけれども、調整できていないということじゃないですか、逆に言えば。だって、新しい患者さんについて確認のしようがない。法律と療担規則に基づいていけば、なかなか難しいと思うんですよね。新しい患者さんに対して、これは三割だけその場で求めてくださいと。いや、これは患者の立場からしたら十割負担なんてとんでもないという話になるわけですけれども、これは医療機関の側の立場もあるわけですよね。重ねて聞きますけれども、全国保険医団体連合会の調査では、ICチップの破損などマイナ保険証の不具合で読み取りができなかった、こういう回答もたくさんあるわけですよね。これ、マイナカードのICチップが壊れてオンライン資格確認ができない場合は、この方が保険者はここだということが分かっていればいいですけれども、分からなかったら、これは先ほどの新規患者の例でいえば、窓口十割負担に結局なっちゃうということなんじゃないですか。
○加藤国務大臣 オンライン資格確認で、顔認証又はマイナンバーカードの四桁の暗証番号により本人確認を行った上で資格確認が可能となる仕組みではありますが、こうした認証ができない場合、例えば、医療機関の職員が患者本人とマイナンバーカードの写真との目視により確認することで、資格確認を行うことも可能としているところでございます。この仕組みについては、既にオンライン資格確認等システムの運用マニュアルにおいてお示しをしておりますが、このようなケースについて医療機関の職員が対応に迷われた際には、社会保険診療報酬支払基金、国保中央会による医療機関向けコールセンターにお問い合わせいただければ、具体的な確認の方法の手続などに関する説明も行わせていただいているところでございます。引き続き、丁寧な対応をしていきたいと思います。
○宮本(徹)委員 いやいや、そうじゃない。暗証番号を忘れているとか、そうじゃなくて、ICチップが壊れた場合は、それはできないんじゃないですか。ちょっと止めてください。止めてください。委員長、止めてください。
○橋本委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○橋本委員長 速記を起こしてください。加藤厚生労働大臣。
○加藤国務大臣 マイナンバーカードで受診した際に、顔認証つきカードリーダーやシステム障害等が理由で資格確認がその場で行えない場合についても、カードの券面に記載された生年月日情報に基づき自己負担分をいただき、事後に正確な資格情報の確認ができた段階で訂正の必要がある場合には所要の手続を行うなど、医療機関において所要な対応をしていただくことが考えられるということを先ほど申し上げました。ICチップが壊れていたことによって医療機関等で資格確認ができない場合も、これらと同様、柔軟に対応していただくことが考えられますので、引き続き、先ほど申し上げた、医療現場の皆さん方とよく内容を調整した上で、その点、整理した内容を周知していきたいというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 ICチップが壊れていたら資格確認のやりようがないんですよね。それで、結局、いろいろ医療機関と今調整しているという話をしていますけれども、新規患者の場合は、未収になることを覚悟で三割だけ取ってくれという無理なお願いを、法律に基づかない方法でのお願いをせざるを得ないようなことを、さっきから大臣は繰り返しているわけですよね。これは大変な問題だと思いますよ。大変な矛盾だと思いますよ。紙の保険証を残していれば、こんな問題は何一つ起きないんですよ。なぜその決断ができないのかということが私には全く理解できないわけであります。さらに、十割負担になるという問題だけじゃないわけですよね。資格確認書を、マイナ保険証を持たない方には、健康保険証廃止後、発行するとおっしゃっております。これ、資格確認書も申請だと。申請がない場合あるいは申請が困難な場合は職権で資格確認書を発行するといいますけれども、これは職権で自治体の皆さんが発行するということになって、もう大変な負担だと思うんですね。一体、この職権による発行件数というのは、年間最大どれぐらいになるというふうに見込んでいらっしゃるんですか。
○伊原政府参考人 お答えいたします。現段階でのマイナンバーカードの保険証利用登録者数は、五月二十八日時点で六千二百七十三万人、総被保険者の中の五〇・三%となってございます。マイナンバーカード交付枚数に占める割合としては、六九・一%の方に登録いただいてございます。そして、来年秋の健康保険証廃止の時点における、健康保険証利用登録を行っていない人の数については、今後のカードの普及状況や利用登録の状況によるので、現時点でちょっとお示しすることは難しいと考えてございます。いずれにしましても、来年の九月に向けて更に努力をしていきたいと考えてございますけれども、そうした中で、資格確認書の発行枚数、来年十月以降、秋以降でございますけれども、どのくらいになるかということでございますが、これはまさに、今後のマイナンバーカードの普及状況や、カードの紛失その他、この資格確認書が必要だというニーズがどのくらいあるかという状況等もございますので、現時点では流動的でございますから、お示しするのは難しいと考えてございます。
○宮本(徹)委員 どれぐらいになるかも分からないということをおっしゃるわけですけれども、相当な数になると思うんですよね。これは自治体の皆さんからしても、本当にそんな仕事をやってもらうんですか。健康保険証を残していれば、それの手間はありますけれども、それはもうルーチンでやり方があるわけで、それを今度は、マイナ保険証がない方は資格申請書を出してください、出してくださいと勧奨をやる、勧奨をやってもなかなかない方には職権で発行すると。大変な手間ですよ。こんな愚かなことを本当にやるんですかね。もう一点お伺いしますけれども、これも何度も聞いてきたんですけれども、修学旅行や部活の遠征時、これは、今は保険証のコピーを持っていくというのが多いわけですけれども、健康保険証廃止後どうするんだということを聞いても、これは検討中、検討中、検討中と、何回聞いても去年からそういうお答えでしたが、これ、もしその都度資格確認書を発行してくださいとなったら、子育て世代の負担は大変大きいと思うんですね。これは、対応は定まったんですか。
○伊原政府参考人 お答えいたします。御指摘のように、学校行事、修学旅行などの場合に、病気やけがに備えて健康保険証の原本を持参した場合、そういうことが心配なことから、写しを持参するケースがあるというのは承知しているところでございます。健康保険証廃止後でございますけれども、マイナンバーカードは、やはり服薬情報なども分かりますので、可能ならば、もちろん児童にマイナンバーカードを持参いただいて受診いただくことがいいんですけれども、実際なかなか難しいという場合に、どういう対応が必要かということについて今検討しているところでございます。御指摘のように、資格確認書で対応していくということももちろん考えられますけれども、現場の実態に即した柔軟な方法につきまして、関係府省と連携しながら、具体的な運用を現在検討しているところでございます。
○宮本(徹)委員 これまた検討中という話なんですけれども、今ある選択肢の中でいえば、資格確認書を毎回そのたびに発行するということになるわけですね。修学旅行のたびに、その学年のお母さんたちが、あるいはお父さんかも分からないですけれども、役所に資格確認書を一斉に申請すると。これも、子育て世代の負担も大変ですけれども、役所もこれに対応するのも大変ですよ。健康保険証を残せばいいものを、廃止するから、社会の本当に様々な面で不便がたくさん増えるじゃありませんか、医療現場でも学校現場でも。これは、河野大臣は一生懸命マイナカード普及のためにやられておりました。マイナポイントを使ってやるのは邪道だということをおっしゃいましたけれども、私は、マイナカード普及のために健康保険証は廃止だと、こういう強制的なやり方というのは邪道を超えるものだと、本当にとんでもないやり方だと思いますけれども、もうこれは、これだけいろんな被害が想定されて、予想されているのに、何でこれ、健康保険証廃止にこだわるんですか。河野さんはマイナカードを普及したかったから言ったわけでしょう、健康保険証廃止って。もうここまで普及しているんだったら、マイナカード普及のために健康保険証を廃止というのを無理やりやるというのはやめたらいいじゃないですか。いかがですか。
○河野国務大臣 マイナンバーカードを健康保険証と一体化することで、国民の皆様によりよい医療を受けていただくことができるようになりますので、そこは厚労省としっかり協力関係でやってまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 いやいや、別に健康保険証を廃止しなくたって、よりよい医療は受けられるわけです。別に、今、オンライン資格確認は、ほとんど健康保険証でやっているわけですよ。九十数%、健康保険証でオンライン資格確認をやって、皆さんちゃんと、医療現場も回っているわけですから。せいぜい、個人がマイナポータルで見られるのは、健診情報と投薬情報だけでしょう。お薬手帳と、毎年もらっている健康診断の結果なんて、皆さん持っていますよ。よりよい医療と言いますけれども、具体的に示される中身は何もないじゃないですか。本当に、この健康保険証を廃止する理由というのは、本来的に何一つない。これは、法律は強行、今日されましたけれども、これは中止すべきだということを強く求めまして、時間になりましたので、質問を終わります。
○橋本委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。これにて散会いたします。